説明

LEDアレイ用制御回路および対応する作動方法

【課題】本発明の課題は、LED制御回路を、一層簡単で、著しくコストの面で有利であるように改良することである。
【解決手段】前記課題は、LED電流の平均値を一定に調整する調整回路が、マスタ・ストランドである第1のLEDストランドの半導体スイッチ(T1)を制御するだけでなく、スレーブ・ストランドである第2のLEDストランドの半導体スイッチ(T2)も制御することによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はこれを以て、まだ公開されていないドイツ連邦共和国特許出願DE−A19930174.3号をはっきりと引き合いに出す。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のLED用制御回路および対応する作動方法から出発している。その際殊に、タイミング制御されるLED制御回路を用いた発光ダイオード(LED)における制御損失電力の低減に係る。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)の制御の際、普通は、電流制限のための前置抵抗が使用される(例えばUS−A5907569号参照)。発光ダイオードにおける典型的な電圧降下(U)は数ボルトである(例えばPowerTOPLEDではU=2.1Vである)。LEDと直列である公知の前置抵抗RV(DE−A19930174.3号の第1図参照)は、バッテリー電圧UBattが高い電圧変動(普通はKfzにあるような)に曝されているとき特に、高い損失電力を発生する。LEDにおける電圧降下はこの形式の電圧変動があってもなお一定にとどまる、すなわち残留電圧が前置抵抗Rにおいて降下する。従ってRは交番的に多かれ少なかれ強く負荷される。実際には大抵、複数のLEDが直列に(ストランド)接続されていて、制御において一層良好な効率が実現されるようにしている(DE−A19930174.3号の第2図)。車載電源装置(12Vまたは42V)に応じて、相応に多くのLEDを1つのストランドにまとめることができる。12V車載電源装置では、バッテリー電圧UBattの下限がある。すなわちそこまでは、法に定められた安全装置(例えば警告点滅装置)が機能するという限界である。それは例えば9Vである。すなわちここでは、4つまでのPowerTOPLEDを1つのストランドにまとめることができる(4×2.1V=8.4V)。
【0004】
DE−A19930174.3号では更に、タイミング制御されるLED制御を用いた発光ダイオード(LED)での制御損失電力の低減が記載されている。LEDのこの制御において、それぞれ個々のLEDストランドはそれ自体で電流調整される。これによりできる限り大きな安全が計られるようになる(インテリジェントLEDドライバモジュール、DE−A19930174.3号の第4図参照)。しかし例えば自動車のテールランプにおいて使用される場合のように、比較的大きな面積を照明するために、比較的大きな数のLEDドライバモジュールが必要であるが、コストが高くつく。LEDドライバモジュールの数は2つの要因に依存している:
LEDストランドに対して使用可能な給電電圧Uが小さければ小さいほど、必要なストランドの数はますます大きい。
LEDストランドに対して使用しようとする、LEDの順方向電圧Uが大きければ大きいほど、僅かな数のLEDしか1つのストランドにおいて使用することができない。
LEDドライバモジュールが多く必要になればなるほど、コストはますます高くなる。
【0005】
DE−A19930174.3号において記載されているようなLED制御に課せられる要求は勿論維持される、例えばLEDストランドにおける温度調整および障害検出の可能性。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US−A5907569
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、請求項1の上位概念に記載のLED制御回路を、一層簡単で、従って著しくコストの面で有利であるように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、LED電流の平均値を一定に調整する調整回路が、マスタ・ストランドである第1のLEDストランドの半導体スイッチ(T1)を制御するだけでなく、スレーブ・ストランドである第2のLEDストランドの半導体スイッチ(T2)も制御することによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】マスタ・スレーブ原理に従ったLEDに対するタイミング制御される電流調整部の基本原理を示す回路略図である。
【図2】個々のストランドにおいて種々異なる数のLEDを有する場合の制御回路の別の実施例を示す回路略図である。
【図3】2つのマスタ・ストランドを有する場合の制御回路の別の実施例を示す回路略図である。
【図4】リザーブ・マスタ・ストランドを有する場合の制御回路の別の実施例を示す回路略図である。
【図5】LEDに対するタイミング制御される電流調整部のLED制御回路の原理を示すブロック図である。
【図6】障害検出の行われないLED制御回路を示す回路略図である。
【図7】完全な障害検出の行われるLED制御回路を示す回路略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の基本原理は、予め公知の制御のカスケード接続である。DE−A19930174.3号の構想に示されているLED制御は次のようにまで簡単化される:基本的な制御クロックが、以下に「マスタ」と称する第1の上位のLEDストランドのトランジスタT1の時計(クロック、CLK)によって所属の調整回路のコンパレータの出力側において定められかつこのクロックは別の下位のLEDストランド(スレーブ)に対しても使用可能である(図1)。LEDに直列に接続されている抵抗RSSnが任意選択的な複数の付加的な分路抵抗RShuntをなしている。これらは作動中必ずしも必要ではない。というのは、これらの値は非常に小さく選択されるからであり(約RSS1=1Ω)かつ調整設定されている順方向電流Iに不都合な影響を与えないからである。しかしスレーブ・ストランドにおいて断線検出が行われるべきであるときはこれらは不可欠である。
【0011】
この構想によって、任意の大きさの面積の照明を基本的に唯一の調整回路によって実現することができる。ここではそれはいわゆるマスタ・スレーブ式電流調整であり、その際マスタ・ストランドがクロック(CLK)を前以て決めかつすべての付加的なLEDストランド(スレーブ・ストランド)はマスタクロックによって制御される。
【0012】
最も簡単な実施の形態において、1つのマスタ・ストランドが使用される。この解決法は特別コストの面で有利である。しかしこの場合有利には、スレーブ・ストランドにおけるLEDの数が唯一のマスタ・ストランドにおけるLEDの数と同じ大きさであるようにされる。そうしなければ明るさもしくは輝度にも差異が生じることになるからである。
【0013】
特別有利な実施の形態において、ストランドにおけるLEDの数を変化させることができる。その際異なった数のLEDを有している(例えばマスタ・ストランドにおけるLEDの数が比較的大きいとき)LEDストランドを制御するために2つの異なった実施形態がある:
第1の形態において、付加的に、それぞれ1つの直列の負荷(抵抗、Zダイオード等)、殊に直列前置抵抗Rxnがn番目のスレーブ・ストランドに接続されて、欠けている単数の発光ダイオード(ないし複数の発光ダイオード)を置換する。その際最大数の発光ダイオードを駆動するLEDストランドの制御クロックがマスタクロックとして使用される(図2)。その際別のストランド(スレーブ・ストランド)におけるLEDの数は同じ大きさかまたは小さく選択される。有利にはこの数はマスタ・ストランドにおける数より最大30%だけ少なくなるようにして、損失が大きくなりすぎないようにされる。
第2の形態において、1つまたは複数の付加的なLED調整回路(第2ないし第3というようなマスタ調整回路)がLED制御モジュール(IC)に集積される。この制御モジュールのLEDストランドは第1のマスタ・ストランドにおけるLEDの数より僅かな数のLEDによって動作する。その際作動電圧UBattはすべてのトランジスタTに接続されている。その場合第2のマスタ調整回路の制御クロック(CLK2)は相応の僅かな数のLEDを有するスレーブ・ストランドn群において使用することができる(図3)。この実施例は、それぞれ同じ数のLEDを有するLEDストランドの群に適している。
【0014】
有利にも、マスタ・ストランドの故障耐性も改善される。というのは、マスタが何かある状態によって故障するとき(例えば断線)、そこに接続されているすべてのスレーブはマスタクロックをもはや使用できないからである。スレーブはもはや制御されずかつその場合には破壊から保護するために同様に遮断されなければならない。
【0015】
それ故に有利には、スレーブ・ストランドの1つはリザーブマスタ・ストランドとして実現される。このことは、断線を検出するための手段がマスタ・ストランドの調整回路中にあり、この手段は調整回路の切換スイッチに接続されており、ここで切換スイッチは一方においてマスタ・ストランドに接続されており、他方においてリザーブマスタ・ストランドに接続されていることを意味している。その場合マスタが故障すれば、リザーブマスタ・ストランドに切り換えられる(図4)。この冗長性によって、マスタの作動具合に障害が生じた場合(断線)ただちにリザーブマスタに切り換えられることが保証されている。従って、接続されているスレーブ(図示されていない)が作動のための制御クロック(マスタクロック)を引き続き得ることが保証されている。
【0016】
有利にも、マスタ1が規定通り動作している場合には、リザーブマスタはスレーブとして利用される。
【0017】
有利には、LEDストランドにおける障害検出(誤機能)も改善される。最も頻繁に生じる障害の種類は断線および短絡である。LEDの故障は常に断線を意味している。この場合、それはLEDストランドにおける断線を意味し、すなわちすなわち少なくとも1つのLEDが故障している。
【0018】
しかしそれにも拘わらず短絡が生じる可能性がある。しかもこの場合は図5に示されているように、LEDアノード(A1)とアース(GND)との間の電気的な接続線路の断線の意味において(図5参照)。殊に自動車に使用される場合(例えばLEDから成るテールランプ)この種類の障害は検出されて、障害発生時には、LEDドライバモジュールまたは短絡された負荷回路(LEDストランド)だけの遮断のような相応の対抗措置を開始できるようにしなければならない。障害例「短絡」は例えば、衝突事後が原因で生じる可能性がある。この場合にはテールランプは障害を受ける。
【0019】
それ故にすべてのストランドにおいてエラーを検出するようにすれば非常に得策である。この目的のために、ドライバモジュール(IC)においてスレーブ・ストランドに対する検出器入力側が必要であり、しかも有利には、断線検出に対する第1の入力側(図5のOL)および短絡検出に対する第2の入力側(図5のSC)が必要である。OLは「オープン・ロード(Open Road)」(断線)を表し、一方SCは「ショート・サーキット(Short Circuit)」(短絡)を表している。
【0020】
検出器入力側の総数は、監視されるべきスレーブ・ストランドの数に従って決まる。普通の場合、スレーブ・ストランド当たり2個の入力側がモジュールに必要である。
【0021】
LED制御回路の基本的な要素はDE−A19930174.3号に記載されている。そこで、図5に示されているように、マスタ・スレーブ方式に従った作動に対する要素が付け加えられる。理解のためにすべてを列記するものとする:
LEDにおける順方向電流の定電流調整(I=一定)
外部、従ってフレキシブルな順方向電流調整設定
切換作動による小さな損失電力(大きな前置抵抗Rの省略)
LEDストランドにおける断線検出
LEDストランドにおける短絡検出
LEDの保護のための温度調整
第2のLEDマスタ調整回路による、ストランドにおけるLEDの数が異なる場合の制御の際のフレキシビリティ
所属のスレーブ・ストランドのLEDの数が同じ場合のマスタ1およびマスタ2の制御クロック出力側(クロック出力側)
マスタ切換による安全性の増大
ロジック制御(マイクロコントローラ・コンパチブルENABLE入力側)
作動中およびスタンバイモードにおける制御回路の僅かな自己電流消費
誤極性接続防止(ICに集積されているまたはコネクタコード化によって外部で実現可能である)
過電圧保護
コンパクトなケーシング(例えばSMD技術に対するパワーSOケーシング)
温度領域−40℃≦T≦150℃
42Vの車載電源装置(12Vの車載電源装置に対しても実現可能)。
【実施例】
【0022】
図1ないし図5については既に説明した。
【0023】
図6の適用回路はスレーブ・ストランドに対する障害検出部なしで示されている。詳細はDE−A19930174.3号の図8に示されている。スレーブ・ストランドは群毎に、調整される所属のマスタ・ストランドによって制御される。使用例において障害検出を省略することができる場合には、スレーブ・ストランドの検出器入力側(OLおよびSC)は固定の電位(例えばHIGH)に接続しておくことができる。
【0024】
図7はこれとは異なっている。ここでは、スレーブ・ストランドにおける障害検出に対する検出器入力側OLおよびSLも利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDの少なくとも2つのストランドから成っているLEDアレイに対する制御回路であって、
1つのストランドは、直列に配置されている複数のLEDから成っており、該LEDは給電電圧(UBatt)に接続されており、
それぞれのLEDストランドと所属の給電電圧との間に、半導体スイッチ(T)が直列に配置されており、該半導体スイッチはLED電流をタイミングをとって供給することができるようにし、
少なくとも第1のLEDストランドにおいて順方向電流Iに対する分岐において、例えばLEDとアースとの間に、電流Iを測定するための手段、例えば測定抵抗(RShunt)がLEDに対して直列に配置されており、
調整回路が、以下マスタ・ストランドと称する第1のLEDストランドの半導体スイッチ(T1)を、LED電流の一定の平均値が得られるように調整する
形式のものにおいて、
前記マスタ・ストランドはそのストランドに前以て決められている数XのLEDを有しており、ここで前記調整回路は少なくとも、以下スレーブ・ストランドと称する別の、第2のLEDストランドの半導体スイッチ(T2)も制御する
ことを特徴とするLEDアレイ用制御回路。
【請求項2】
すべての付加的に存在しているLEDストランドはそれぞれ、マスタ・ストランドと同じ数X個のLEDを有しており、ここでマスタ・ストランドの調整回路はすべての付加的なLEDストランドを一緒に制御する
請求項1記載のLEDアレイ用制御回路。
【請求項3】
すべての付加的に存在しているn個のLEDストランドは、X個のLEDを有しており、ここで数X=Xであり
かつX<Xのときには、付加的な負荷、例えば抵抗Rxnが、LEDストランドにおいてLEDに直列に配置されている
請求項1記載のLEDアレイ用制御回路。
【請求項4】
LEDの数が異なっている2つの群のLEDストランドはそれぞれ1つのマスタ・ストランドに配属されており、ここで1つの群のスレーブ・ストランドのLEDの数Xは所属のマスタ・ストランドにおけるLEDの数と一致している
請求項1記載のLEDアレイ用制御回路。
【請求項5】
スレーブ・ストランドの1つは、断線検出のための手段がマスタ・ストランドの調整回路に存在していることで、リザーブ・マスタ・ストランドとして実現されており、該断線検出のための手段は調整回路における切換スイッチに接続されており、ここで該切換スイッチは一方においてマスタ・ストランドに接続されておりかつ他方において前記リザーブ・マスタ・ストランドに接続されておりかつ、マスタ・ストランドに断線がある場合に該リザーブ・マスタ・ストランドに切り換えられるようになっている
請求項1記載のLEDアレイ用制御回路。
【請求項6】
それぞれのストランド(マスタ・ストランドおよびスレーブ・ストランド)は付加的に、障害検出のための手段を有している
請求項1記載のLEDアレイ用制御回路。
【請求項7】
複数のLEDストランドまたはアレイを作動するための方法において、
LEDストランド(マスタ・ストランド)は、クロック周波数を前以て定める調整回路を備えており、かつ
少なくとも1つの別のLEDストランド(スレーブ・ストランド)は前記クロック周波数によって一緒に制御される
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−15123(P2012−15123A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219616(P2011−219616)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【分割の表示】特願2001−531343(P2001−531343)の分割
【原出願日】平成12年4月1日(2000.4.1)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】