説明

LEDモジュールおよびそれを用いた照明器具

【課題】光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能なLEDモジュールおよびそれを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】複数のLED9が実装された配線基板11と光の配光を制御可能なレンズユニット3との間の距離を規定範囲で変更可能で、レンズユニット3は、複数のレンズ部3bを有し、配線基板11のLED9の実装面側に、各LED9からの光が対応するレンズ部3b以外の他のレンズ部3bに入射するのを防ぐ第1遮光壁13jが設けられ、各レンズ部3bの光入射面側の周部に対応するLED9以外の他のLED9からの光が入射するのを防ぐ第2遮光壁3dが突設され、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの高さ寸法が、規定範囲の上限よりも大きく且つ第1遮光壁13jおよび第2遮光壁3dの高さ寸法が、規定範囲の下限よりも小さく、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部が、LED9同士の並ぶ方向において重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDモジュールおよびそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、浴槽などのスポット照明として使用され、光源としてLEDを用いた照明装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された照明装置は、図21および図22に示すように、略円筒形状に形成され内周面に雌ネジ溝81aが設けられた装置本体81と、略円筒形状に形成され外周面に装置本体81の雌ネジ溝81aと螺合する雄ネジ溝82aが設けられた調整部82とを備えている。なお、雌ネジ溝81aおよび雄ネジ溝82aの各々は、多条ネジからなる。
【0004】
また、この照明装置は、調整部82の内周側に配置された略円筒状の内筒部83と、6個のLED87が装置本体81の軸線を中心とした円周上に等間隔で配置された基板84と、凸レンズ形状に形成されたレンズ部88を有する配光部85とを備えている。また、この照明装置は、ヒートシンク86を備えている。なお、特許文献1には、内筒部83を、アルミニウム製とする旨が記載されている。
【0005】
調整部82の先端部(図22では、左端部)には、使用者が摘んで回転させるために、外側方向に突出した外側環状凸部82bが設けられている。また、調整部82の先端部には、配光部85の位置決めをするために、内側方向に突出した内側環状凸部82cが設けられている。
【0006】
配光部85は、円盤状に形成されたレンズアレイ板85aと、レンズアレイ板85aに立設された区画板85bとを有している。また、レンズアレイ板85aには、基板84に搭載された各LED87の各々の光軸上に位置するように、上述のレンズ部88が設けられている。
【0007】
レンズアレイ板85aの周端部は、調整部82の内側環状凸部82cと内筒部83の先端(図22では、左端)との隙間によりできる環状凹部91(図22参照)に、回転摺動可能に嵌め込まれている。
【0008】
上述の照明装置では、調整部82と内筒部83とが、固定筒である装置本体81に対する移動筒を構成しており、配光部85を装置本体81の軸線に沿って移動させる。
【0009】
基板84には、6本の基板スリット84aが、装置本体81の軸線を中心として放射状に設けられている。ここにおいて、配光部85の区画板85bは、隣接するレンズ部88同士の間にレンズアレイ板85aの中心から放射状に配置されるとともに、基板84側に向って延びるように板状に形成されており、貫通孔である上述の基板スリット84aに挿通される。つまり、上述の照明装置では、区画板85bと、この区画板85bが挿通する基板スリット84aとで、調整部82を回転させても配光部85が供回りすることを防止する回転止め機構を構成している。
【0010】
特許文献1には、区画板85bが、各レンズ部88と各LED87とを各別に区分けするように設けられており、各レンズ部88に、対応するLED87以外の他のLED87からの光が照射されないように遮蔽する遮蔽板として機能する旨が記載されている。また、特許文献1には、区画板85bを、各LED87からの光を各レンズ部88の方向へ反射する反射板として機能させることができる旨も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−299679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の照明装置では、配光部85を回転させることなく装置本体81の軸線に沿って移動させることができる。したがって、上述の照明装置では、各LED87と各レンズ部88との位置関係がずれることなく、各LED87と各レンズ部88との距離を無段階に変更することが可能となるので、光の照射範囲を所望とする広さに無段階に調整することが可能である。
【0013】
しかしながら、上述の照明装置では、内筒部83の内周面と、レンズアレイ板85aの中心から放射状に配置された区画板85bの先端との間に、空隙96(図22参照)が形成されているので、各LED87からの光が、アルミニウム製の内筒部83の内周面で反射して各LED87の光軸上に位置するレンズ部88の隣に位置する他のレンズ部88に入射することにより、被照射面に照度むらが生じる可能性がある。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能なLEDモジュールおよびそれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のLEDモジュールは、複数のLEDが実装された配線基板と、前記各LEDから放射される光の配光を制御可能なレンズユニットとの間の距離を規定範囲で変更可能なLEDモジュールであって、前記レンズユニットは、前記各LEDの各々から放射される光の配光を各別に制御する複数のレンズ部を有し、前記配線基板における前記各LEDの実装面側に、前記各LEDから放射された光が、前記各LEDの各々に対応する前記レンズ部以外の他の前記レンズ部に入射するのを防ぐための第1遮光壁が前記各LEDの周囲を取り囲むように設けられ、前記各レンズ部の光入射面側の周部に、前記各レンズ部の各々に対応する前記LED以外の他の前記LEDから放射された光が当該レンズ部に入射するのを防ぐための第2遮光壁が突設され、前記第1遮光壁の高さ寸法と前記第2遮光壁の高さ寸法との合計高さ寸法が、前記規定範囲の上限よりも大きく、且つ、前記第1遮光壁の高さ寸法および前記第2遮光壁の高さ寸法が、前記規定範囲の下限よりも小さく設定され、前記第1遮光壁と前記第2遮光壁との一部同士が、隣り合う前記LED同士の並ぶ方向において重なるように配置されることを特徴とする。
【0016】
このLEDモジュールにおいて、前記第2遮光壁は、前記第1遮光壁の外側に配置されてなることが好ましい。
【0017】
このLEDモジュールにおいて、前記第1遮光壁は、前記各LED側の側面に、前記各LEDから放射された光を、前記各LEDの各々に対応する前記レンズ部の光入射面側へ反射する反射面が設けられてなることが好ましい。
【0018】
このLEDモジュールにおいて、前記各レンズ部は、光出射面側が凸曲面状に形成されており、前記光出射面の周部に、当該レンズ部に対応する前記LEDからの光を拡散する拡散部が形成されてなることが好ましい。
【0019】
このLEDモジュールにおいて、前記配線基板を有する光源部と、前記光源部を保持する枠体と、前記枠体の内側に配置され前記枠体に回動自在に保持される円筒状の回動子と、前記回動子が前記回動子の外周方向に回動することで前記レンズユニットを前記回動子の中心軸に沿って移動可能とする変換機構とを備えてなることが好ましい。
【0020】
本発明の照明器具は、前記LEDモジュールと、前記LEDモジュールを保持する器具本体とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のLEDモジュールにおいては、光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能となる。
【0022】
本発明の照明器具においては、光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能なLEDモジュールを用いた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1のLEDモジュールにおいて、(a)はレンズユニットが光源部に最も近づいた状態を示す概略断面図、(b)はレンズユニットが光源部から最も離れた状態を示す概略断面図である。
【図2】同上のLEDモジュールの分解斜視図である。
【図3】同上のLEDモジュールにおけるホルダを示し、(a)は前側から見た斜視図、(b)は後側から見た斜視図である。
【図4】同上のLEDモジュールにおける枠体を示し、(a)は前側から見た斜視図、(b)は後側から見た斜視図である。
【図5】同上のLEDモジュールにおけるレンズユニットを示し、(a)は前側から見た斜視図、(b)は後側から見た斜視図である。
【図6】同上のLEDモジュールにおける回動子を示し、(a)は前側から見た斜視図、(b)は後側から見た斜視図である。
【図7】同上のLEDモジュールに関し、回動子を枠体に取り付ける方法を説明する説明図である。
【図8】同上のLEDモジュールに関し、(a)はレンズユニットを回動子に取り付ける方法を説明する説明図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図9】(a)(b)は同上のLEDモジュールに関し、光源部を枠体に取り付ける方法を説明する説明図、(c)は(b)のD−D断面図である。
【図10】同上のLEDモジュールに関し、回動子を回動させた状態を説明する説明図である。
【図11】同上のLEDモジュールに関し、回動子を回動させた状態を説明する他の説明図である。
【図12】同上のLEDモジュールに関し、回動子を回動させた状態を説明する別の説明図である。
【図13】(a)は同上のLEDモジュールに関し、レンズユニットが光源部から最も離れた状態を示す斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図14】同上のLEDモジュールに関し、回動子を回動させた状態を示す斜視図である。
【図15】(a)は同上のLEDモジュールに関し、レンズユニットが光源部に最も近づいた状態を示す斜視図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図16】同上のLEDモジュールを器具本体に取り付ける方法を説明する説明図である。
【図17】実施形態1の照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図18】同上の照明器具の他の構成例を示す斜視図である。
【図19】実施形態2のLEDモジュールにおいて、(a)はレンズユニットが光源部に最も近づいた状態を示す概略断面図、(b)はレンズユニットが光源部から最も離れた状態を示す概略断面図である。
【図20】実施形態3のLEDモジュールにおいて、(a)はレンズユニットが光源部に最も近づいた状態を示す概略断面図、(b)はレンズユニットが光源部から最も離れた状態を示す概略断面図である。
【図21】従来例の照明装置の分解斜視図である。
【図22】同上の照明装置において、レンズアレイ板をLEDから遠ざけた状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本実施形態のLEDモジュールについて、図1〜図16を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態のLEDモジュール10は、複数(本実施形態では、7つ)のLED9が実装された1枚の配線基板11と、各LED9から放射される光の配光を制御可能なレンズユニット3との間の距離を規定範囲で変更可能なものである。このLEDモジュール10は、上述の配線基板11を有する光源部1と、上述のレンズユニット3と、光源部1を保持する枠体2(図2参照)と、枠体2の内側に配置され枠体2に回動自在に保持される円筒状の回動子4(図2参照)とを備えている。また、LEDモジュール10は、回動子4が回動子4の外周方向に回動することでレンズユニット3を回動子4の中心軸に沿って移動可能とする変換機構8(図2参照)を備えている。
【0026】
光源部1は、図2に示すように、上述の複数のLED9と、これら複数のLED9が実装される1枚の配線基板11と、配線基板11に電気的に接続された一対の電線12,12とを有するLEDユニット29を備えている。なお、図2では、7つのLED9のうち5つのLED9が見えている。また、複数のLED9の電気的な接続関係は、直列接続や並列接続であってもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせた接続であってもよい。
【0027】
LED9としては、例えば、青色光を放射するLEDチップ(以下、青色LEDチップ)と、青色LEDチップから放射された青色光により励起されブロードな黄色光を放射する黄色蛍光体からなる蛍光体とを組み合わせて白色光を得る白色LEDを用いることができる。このようなLED9は、例えば、青色LEDチップ(図示せず)と、この青色LEDチップが実装された1つの実装基板9aと、青色LEDチップを覆い黄色蛍光体を含有した第1の透光性材料からなる色変換部(図示せず)とを有している。なお、1つの実装基板9aに実装される青色LEDチップの個数は、1個でもよいし、複数個でもよい。また、第1の透光性材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなどを用いることができる。
【0028】
また、このLED9は、青色LEDチップおよび色変換部を封止した第2の透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなど)からなる凸レンズ状の封止部9bを有している。
【0029】
ここにおいて、LED9の蛍光体は、黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いてもよい。また、LED9は、紫〜近紫外線を放射するLEDチップと、赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体とを組み合わせて白色光を得る白色LEDを用いてもよい。さらに、LED9は、赤色光を放射するLEDチップと緑色光を放射するLEDチップと青色LEDチップとを組み合わせて白色光を得る白色LEDを用いてもよい。
【0030】
配線基板11は、例えば、金属ベースプリント配線板により形成されており、平面視において多角形状(本実施形態では、八角形状)に形成されている。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、配線基板11として金属ベースプリント配線板を用いているが、これに限らず、例えば、ガラスエポキシ樹脂などからなる絶縁性基材により形成されたプリント配線板、セラミック基板などを用いてもよい。また、本実施形態では、配線基板11の外周形状を、平面視において八角形状としているが、これに限らず、例えば、四角形状、五角形状、円形状などであってもよい。
【0031】
配線基板11における各LED9の実装面側(図2では、下側)には、各LED9と電気的に接続可能な一対の第1電極部(図示せず)が、配線基板11に形成された導体パターン(図示せず)の一部によりそれぞれ形成されている。ここにおいて、各LED9は、アノード電極が一対の第1電極部の一方に電気的に接続され、カソード電極が他方に電気的に接続されている。
【0032】
また、配線基板11における各LED9の実装面側には、各LED9および各一対の第1電極部以外の部位の大部分を覆う白色のレジスト層などからなる反射層(図示せず)が形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、各LED9から放射された光が配線基板11に吸収されるのを抑制することが可能となる。
【0033】
また、配線基板11における各LED9の実装面側には、複数のLED9に給電するための一対の第2電極部(図示せず)が、上記導体パターンの一部により形成されている。ここにおいて、各電線12は、各第2電極部と電気的に接続可能な導電体(図示せず)が絶縁被覆部12b(図2参照)により覆われた被覆電線であり、各第2電極部に電気的に接続される上記導電体の一部が露出している。
【0034】
また、各電線12の上記導電体の一部の各々は、各第2電極部に、例えば、半田からなる接合部32により電気的に接続されている。
【0035】
また、配線基板11における各LED9の実装面側とは反対側(図2では、上側)には、電気絶縁性および熱伝導性を有する放熱シート14が配置されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、光源部1で発生した熱を、放熱シート14を通してLEDモジュール10を保持する器具本体20(図16参照)側へ効率よく放熱することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態のLEDモジュール10では、光源部1が、上述の配線基板11を保持可能なホルダ13を有している。
【0037】
ホルダ13は、合成樹脂材料(例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など)により構成することができる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13を、黒色の合成樹脂材料により構成している。
【0038】
また、ホルダ13は、配線基板11を収納する有底筒状(本実施形態では、有底円筒状)のホルダ本体13aと、ホルダ本体13aの開口側(図2では、上側)において外方へ延設された鍔部13bとを有している。
【0039】
ホルダ本体13aの深さ寸法は、配線基板11の厚み寸法よりも若干大きく設定されている。また、ホルダ本体13aの内周形状は、配線基板11の外周形状よりも若干大きく設定されている。
【0040】
ホルダ本体13aの内底面には、配線基板11をホルダ本体13aの外周方向に位置決めするためのリブ13c(図3参照)が、ホルダ本体13aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に突設されている。ここで、配線基板11の周端部は、配線基板11がホルダ本体13a内に収納された状態においてホルダ本体13aの各リブ13cに対応する位置の各々に、切欠き部11aが形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、配線基板11を、ホルダ本体13a内においてホルダ本体13aの外周方向に位置決めすることが可能となる。なお、図3では、2つのリブ13cのうち1つのリブ13cが見えている。また、図2では、2つの切欠き部11aのうち1つの切欠き部11aが見えている。
【0041】
また、ホルダ本体13aの内底面には、配線基板11の周端部を保持する保持爪13d(図3参照)が、ホルダ本体13aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に突設されている。ここで、配線基板11の周端部には、各保持爪13dが配線基板11を保持するための突片11bが配線基板11と一体に設けられている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13が配線基板11を保持することが可能となる。また、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ本体13aの底部において各保持爪13dの近傍に、貫通孔13fが形成されており、各保持爪13dが配線基板11を保持した状態を確認することが可能となっている。
【0042】
また、ホルダ本体13aの側部には、配線基板11に電気的に接続された一対の電線12,12を外部へ導出する導出部13eが設けられている。ここにおいて、ホルダ本体13aの底部には、ホルダ13が配線基板11を保持した状態において配線基板11に実装された各LED9を露出させる複数の窓孔13g(図3参照)が形成されている。
【0043】
ホルダ13の鍔部13bには、枠体2がホルダ13を係合するための係合爪13k(図3参照)が、ホルダ本体13aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に突設されている。なお、各係合爪13kは、ホルダ本体13aの底面に沿った一方向に弾性変形が可能となっている。
【0044】
また、鍔部13bの内周部には、配線基板11の上記反対側へ突出した突壁13m(図3参照)が、鍔部13bと一体に設けられている。
【0045】
枠体2は、例えば、合成樹脂材料(PBTなど)により構成することができる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、枠体2を、黒色の合成樹脂材料により構成している。
【0046】
また、枠体2は、中央部に円形状の開口孔を有する板状(本実施形態では、円板状)の底壁2aと、底壁2aの外周縁から光源部1側(図2では、上側)に向かって突出する円筒状の第1側壁2bと、開口孔の内周縁から光源部1側とは反対側に向かって突出する円筒状の第2側壁2cとを連続一体に形成して構成されている。
【0047】
第1側壁2bの内側面には、ホルダ13の各係合爪13kが各別に係合する複数(本実施形態では、2つ)の係合穴2g(図4参照)が形成されている。本実施形態のLEDモジュール10では、人が、ホルダ13の各係合爪13kを第1側壁2bの各係合穴2gの位置に合わせた後に、ホルダ13を押し込むことによって、各係合爪13kが各係合穴2gに各別に係合され、ホルダ13を枠体2に保持させることが可能となり(図9参照)、例えば、ねじなどの固定具を用いることなく、光源部1と枠体2とを組み立てることが可能となる。ここで、第1側壁2bの内側面には、ホルダ13の各係合爪13kを各係合穴2gへ導入するための導入部2h(図4参照)が、各係合穴2gの各々の近傍に形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13の各係合爪13kを第1側壁2bの各係合穴2gに各別に係合させる作業性を向上させることが可能となる。なお、図4では、2つの係合穴2gのうち1つの係合穴2gが見えている。また、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13に各係合爪13kを突設し、枠体2に各係合穴2gを形成しているが、枠体2に各係合爪13kを突設し、ホルダ13に各係合穴2gを形成してもよい。
【0048】
また、第1側壁2bにおいて第2側壁2c側とは反対側(図2では、上側)の端部には、ホルダ13を枠体2の外周方向に位置決めするための凹部2j(図2および図4など参照)が、枠体2の外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、4箇所)に形成されている。ここにおいて、ホルダ13の鍔部13bは、ホルダ13が枠体2に保持された状態において第1側壁2bの各凹部2jに対応する位置の各々に、突片13n(図2および図3など参照)が突設されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13が枠体2の外周方向に回動するのを防止することが可能となる。
【0049】
レンズユニット3は、透光性材料(例えば、アクリル樹脂、ガラスなど)により構成することができる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、レンズユニット3を、アクリル樹脂(メタアクリル樹脂(PMMA)など)により構成している。
【0050】
また、レンズユニット3は、板状(本実施形態では、円板状)の基体3aと、基体3に形成され各LED9の各々から放射される光の配光を各別に制御する複数のレンズ部3bとを有している。
【0051】
基体3aは、配線基板11に実装された各LED9と対向する部位の各々に、上述のレンズ部3bが一体に形成されている。本実施形態のLEDモジュール10では、レンズ部3bの光出射面側が、凸曲面状(例えば、非球面状)に形成されている。
【0052】
ところで、図21および図22に示した構成の従来例の照明装置では、6本の基板スリット84aが、基板84において装置本体81の軸線を中心として放射状に設けられており、調整部82を回転させても配光部85が供回りすることを防止するので、基板84が破損する可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施形態のLEDモジュール10では、枠体2の第1側壁2bの内側面に、レンズユニット3が基体3aの外周方向に回動するのを防ぐ回動防止部2d(図4参照)が、枠体2の外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に内方へ向かって突設されている。また、レンズユニット3の基体3aの周端部は、枠体2の内側にレンズユニット3が配置された状態において枠体2の第1側壁2bの各回動防止部2dに対応する位置の各々に、切欠き部3cが形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の回動によりレンズユニット3が基体3aの外周方向に回動するのを防止することが可能となり、図21および図22に示した構成の従来例の照明装置のように、基板84に6本の基板スリット84aを設ける必要がない。ここにおいて、ホルダ13の鍔部13bは、このホルダ13が枠体2に係合された状態において枠体2の各回動防止部2dに対応する位置の各々に、各回動防止部2dと当接するのを回避するための第1切欠き部13qが形成されている。また、ホルダ13の鍔部13bには、器具本体20(図16参照)がLEDモジュール10を保持するための第2切欠き部13r(図3参照)が、ホルダ本体13aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に形成されている。
【0054】
各回動防止部2dには、LEDモジュール10を器具本体20に固定するための固定ねじ(図示せず)が螺合する固定ねじ孔16(図4参照)が形成されている。各固定ねじ孔16は、底壁2aの開口孔の中心線に平行な方向に沿って形成されている。
【0055】
また、第1側壁2bの外側面には、各回動防止部2dに対応する位置の各々に、底壁2aの開口孔の中心線に平行な方向に沿った溝部2eが形成されている。各溝部2eは、底壁2aの開口孔の中心線に平行な方向の長さ寸法が、第1側壁2bの高さ寸法の半分に設定されており、第1側壁2bにおいて第2側壁2c側に配置されている。
【0056】
また、第1側壁2bの内側面には、内方へ突出する凸部2fが、枠体2の外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に突設されている。
【0057】
回動子4は、例えば、合成樹脂材料(PBTなど)により構成することができる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4を、黒色の合成樹脂材料により構成している。したがって、本実施形態のLEDモジュール10では、枠体2および回動子4を、黒色の合成樹脂材料により構成しているので、各レンズ部3bの光出射面の周部から出射される光を遮断することが可能となり、光源部1からの光を一定範囲に集光させることが可能となる。
【0058】
また、回動子4は、円筒状に形成された回動子本体4aと、この回動子本体4aにおける中心軸に沿った方向の一端部(図2では、上端部)に外方へ延設された複数(本実施形態では、2つ)の外鍔部4bとを有している。ここで、各外鍔部4bの突出寸法は、枠体2の底壁2aの幅寸法よりも若干大きく設定されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4を枠体2の内側に配置することによって、枠体2が回動子4を保持することが可能となる。
【0059】
回動子本体4aの他端部側(図2では、下端部側)の外側壁には、人が回動子4を指で回動させる際に、指の滑りを抑制するための滑り止め部4cが、回動子本体4aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に設けられている。本実施形態のLEDモジュール10では、各滑り止め部4cを、回動子本体4aの外側壁においてこの回動子本体4aにおける中心軸に沿った方向に形成された複数の溝4jにより構成している。各溝4jは、回動子本体4aの外側壁において回動子本体4aの外周方向に沿って形成されており、断面視形状がV字状に形成されている。
【0060】
また、回動子本体4aの他端部側の外側壁には、枠体2に対する回動子4の回動位置を示す目印4dが、回動子本体4aの外周方向に離間して複数(本実施形態では、2つ)設けられている。枠体2の第2側壁2cにおいて第1側壁2b側とは反対側(図2では、下側)の外側壁には、光源部1とレンズユニット3との間の距離を調整するための目盛り部2kが、枠体2の外周方向に離間して複数(本実施形態では、2つ)設けられている。本実施形態のLEDモジュール10では、各目盛り部2kを、光源部1とレンズユニット3との間の距離を各別に示す複数(本実施形態では、5つ)の目盛り2mにより構成している。したがって、本実施形態のLEDモジュール10では、人が、枠体2に対して回動子4を回動させる際に、回動子本体4aの目印4dを、枠体2の目盛り部2kにおける複数の目盛り2mのうち1つの目盛り2mに合わせることによって、光源部1とレンズユニット3との間の距離を調整することが可能となる。
【0061】
各外鍔部4bの外周端には、回動子4が枠体2に保持された状態において第1側壁2bの内面に沿って外周壁4eが延設されている。
【0062】
各外周壁4eには、回動子4が回動子本体4aの外周方向に回動自在に回動するのを案内するスリット部4fが、回動子本体4aの外周方向に沿って形成されている。各スリット部4fには、各凸部2fを各別に導入するための導入部4gが、これらスリット部4fに連通するようにそれぞれ形成されている。各導入部4gは、各スリット部4fにおいて回動子本体4a側(図2では、下側)に配置されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4を枠体2に回動自在に保持させることが可能となり(図7参照)、回動子4を回動子4の外周方向に回動させることが可能となる。ホルダ13の鍔部13bには、このホルダ13が枠体2に係合された状態において、回動子4を枠体2の凸部2fとの間に保持する一対の保持部18,18がホルダ13と一体に設けられている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、枠体2の各凸部2fの形状が変形するのを抑制することが可能となる。また、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の各スリット部4fの内周壁に、枠体2の各凸部2fに弾接可能な複数の突起(図示せず)が設けられることが好ましい。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、人が回動子4を指で回動させるときに、各スリット部4fの上記各突起が枠体2の各凸部2fに各別に弾接するので、人にクリック感を与えることが可能となる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、枠体2の凸部2fに対して上記突起を1対複数で設けているが、1対1で設けてもよい。
【0063】
変換機構8は、レンズユニット3の基体3aの外周方向の一方向に沿って基体3aの一面(図2では、下面)から離れるように傾斜する傾斜片5aを有する第1傾斜部5と、傾斜片5aの一表面5d(図2および図5参照)が基体3aの外周方向に摺接可能な傾斜面6a(図6参照)を有する第2傾斜部6と、傾斜片5aの他表面5c(図5参照)が基体3aの外周方向に摺接可能な摺接部7と、上述の回動防止部2dとで構成されている。
【0064】
第1傾斜部5は、レンズユニット3の基体3aの周端部に、この基体3aの外周方向に離間して基体3aと一体に複数(本実施形態では、4つ)設けられている。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、各第1傾斜部5が、レンズ部3bの光出射面側へ突出するように設けられている。
【0065】
また、各第1傾斜部5は、基体3aの外周方向の一方向に沿って基体3aから徐々にレンズ部3bの光出射面側へ突出するように傾斜する上述の傾斜片5aと、基体3aと一体に形成され傾斜片5aを支持する支持片5bとを連続一体に形成して構成されている。
【0066】
第2傾斜部6は、回動子4の各外鍔部4bに、回動子本体4aの外周方向に離間して回動子4と一体にレンズユニット3側(図2では、上側)へ向かって複数(本実施形態では、2つ)ずつ突設されている。
【0067】
摺接部7は、回動子4の各外鍔部4bに、回動子本体4aの外周方向に離間して回動子4と一体にレンズユニット3側へ向かって複数(本実施形態では、2つ)ずつ突設されている。
【0068】
また、各第1傾斜部5の傾斜片5aの各々には、回動子4の各摺接部7を傾斜片5aの他表面5cに各別に導くための切欠き部5eが形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の各摺接部7が、レンズユニット3の各第1傾斜部5における傾斜片5aの他表面5cに摺接することが可能となる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の各外鍔部4bにおける各摺接部7の近傍の各々に、貫通孔4hが形成されており、各摺接部7がレンズユニット3の各傾斜片5aの他表面5cに摺接した状態を確認することが可能となっている。
【0069】
以下、本実施形態のLEDモジュール10に関して、回動子4の回動に対してレンズユニット3が回動子4の中心軸に沿って移動するのを、図10〜図15に基づいて説明する。
【0070】
本実施形態のLEDモジュール10では、図10に示すように、枠体2の各凸部2fが回動子4の各スリット部4fの各導入部4g側とは反対側(図10では、左側)の端部に配置された場合、回動子4の各第2傾斜部6および各摺接部7が、レンズユニット3の各第1傾斜部5における傾斜片5aの一端部側(図5では、右端部側)の端部に配置されるので、光源部1とレンズユニット3との間の距離が最も長くなり、光源部1の各LED9から放射される光の照射範囲が最も狭くなる。ここで、本実施形態のLEDモジュール10では、人が、図11中に示した矢印の方向に回動子4を回動させると、図11に示すように、回動子4の各摺接部7がレンズユニット3の各第1傾斜部5における傾斜片5aの他表面5cを基体3aの外周方向の一方向に摺接するとともに、回動子4の各第2傾斜部6の傾斜面6aがレンズユニット3の各第1傾斜部5における傾斜片5aの一表面5dを基体3aの外周方向の一方向に摺接し、徐々に、レンズユニット3が光源部1側へ近づくように移動するので、光源部1とレンズユニット3との間の距離が徐々に短くなり、光源部1の各LED9から放射される光の照射範囲が徐々に広くなる。
【0071】
そして、本実施形態のLEDモジュール10では、図12に示すように、枠体2の各凸部2fが回動子4の各スリット部4fの各導入部4g側(図12では、右側)の端部に配置された場合、回動子4の各第2傾斜部6および各摺接部7が、レンズユニット3の各第1傾斜部5における傾斜片5aの他端部側(図5では、左端部側)の端部に配置されるので、光源部1とレンズユニット3との間の距離が最も短くなり、光源部1の各LED9から放射される光の照射範囲が最も広くなる。
【0072】
したがって、本実施形態のLEDモジュール10は、複数のLED9が実装された配線基板11と、各LED9から放射される光の配光を制御可能なレンズユニット3との間の距離を規定範囲で変更可能なものである。また、本実施形態のLEDモジュール10では、上述の配線基板11を有する光源部1と、上述のレンズユニット3と、光源部1を保持する枠体2と、枠体2の内側に配置され枠体2に回動自在に保持される円筒状の回動子4と、回動子4が回動子4の外周方向に回動することでレンズユニット3を回動子4の中心軸に沿って移動可能とする変換機構8とを備えているので、光の照射範囲を変更可能となる。ここにおいて、本実施形態のLEDモジュール10では、レンズユニット3の各第1傾斜部5の支持片5bが、回動子4が枠体2から脱離するのを防ぐために回動子4の回動範囲を規制する規制部としての機能を有している。また、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の各摺接部7が、規制部(支持片5b)に係脱自在に係止可能な係止部としての機能を有している。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、回動子4の回動範囲を規制することが可能となり、例えば、ねじなどの固定具を用いることなく、回動子4が枠体2から脱離するのを防止することが可能となる。
【0073】
ところで、本実施形態のLEDモジュール10では、光源部1の配線基板11における各LED9の実装面側に、各LED9から放射された光が、各LED9の各々に対応するレンズ部3b以外の他のレンズ部3bに入射するのを防ぐための第1遮光壁13j(図1および図2など参照)が各LED9の周囲を取り囲むように設けられている。具体的に説明すると、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ本体13aの底部における配線基板11側とは反対側(図2では、下側)に、平面視において各窓孔13gの各々を取り囲むように上記反対側へ突出した上述の第1遮光壁13jが、ホルダ本体13aと一体に設けられている。つまり、この第1遮光壁13jは、各LED9の周囲を取り囲むように配置される。ここにおいて、ホルダ本体13aの底部における配線基板11側には、各電線12を各別に収納可能な収納溝33(図3参照)が形成されている。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、ホルダ13が配線基板11を保持した状態において配線基板11に電気的に接続された一対の電線12,12を、導出部13eを通して外部へ導出することが可能となる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、第1遮光壁13jを、ホルダ本体13aと一体に設けているが、ホルダ本体13aと別体に設けてもよい。
【0074】
また、本実施形態のLEDモジュール10では、レンズユニット3の各レンズ部3bの光入射面側の周部に、各レンズ部3bの各々に対応するLED9以外の他のLED9から放射された光が、このレンズ部3bに入射するのを防ぐための第2遮光壁3d(図1および図5など参照)が突設されている。
【0075】
第2遮光壁3dは、非透光性材料(例えば、白色不透明の樹脂など)により構成することができる。また、第2遮光壁3dは、各レンズ部3bの光入射面から光出射面側とは反対側(図1では、上側)に突出するように、各レンズ部3bの光入射面側の周部に設けられている。ここにおいて、本実施形態のLEDモジュール10では、第1遮光壁13jの先端部(図1では、下端部)に、第2遮光壁3dの先端部(図1では、上端部)を収納配置することが可能な溝部13w(図1および図9参照)が形成されている。なお、図2および図3では、溝部13wを省略している。
【0076】
本実施形態のLEDモジュール10では、第1遮光壁13jの高さ寸法と第2遮光壁3dの高さ寸法との合計高さ寸法が、配線基板11とレンズユニット3との間の距離を変更可能な上記規定範囲の上限よりも大きく、且つ、第1遮光壁13jの高さ寸法および第2遮光壁3dの高さ寸法が、上記規定範囲の下限よりも小さく設定されている。
【0077】
また、本実施形態のLEDモジュール10では、第2遮光壁3dが、第1遮光壁13jの外側に配置される。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、第2遮光壁3dが、第1遮光壁13jの内側に配置される場合に比べて、光源部1の各LED9から放射される光の照射範囲を広くすることが可能となる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、第2遮光壁3dを、第1遮光壁13jの外側に配置しているが、第2遮光壁3dを、第1遮光壁13jの内側に配置してもよい。
【0078】
本実施形態のLEDモジュール10では、図1(a)に示すように、レンズユニット3が光源部1に最も近づいた場合、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部同士が、隣り合う各LED9同士の並ぶ方向(図1では、左右方向)において重なる。また、本実施形態のLEDモジュール10では、図1(b)に示すように、レンズユニット3が光源部1から最も離れた場合も、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部同士が、隣り合う各LED9同士の並ぶ方向において重なる。要するに、本実施形態のLEDモジュール10では、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部同士が、隣り合う各LED9同士の並ぶ方向において重なるように配置される。これにより、本実施形態のLEDモジュール10では、光源部1の各LED9から放射された光が、各LED9の各々に対応するレンズ部3b以外の他のレンズ部3bの光入射面に入射するのを抑制することが可能となり、被照射面の照度むらを抑制することが可能となる。なお、図1中に示した矢印Kは、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部同士が、隣り合う各LED9同士の並ぶ方向において重なる位置を表している。また、図1中に示した一点鎖線は、各LED9の各々から放射された光を表している。
【0079】
以上説明した本実施形態のLEDモジュール10は、複数のLED9が実装された配線基板11と、各LED9から放射される光の配光を制御可能なレンズユニット3との間の距離を規定範囲で変更可能なLEDモジュールであって、レンズユニット3は、各LED9の各々から放射される光の配光を各別に制御する複数のレンズ部3bを有している。また、本実施形態のLEDモジュール10では、配線基板11における各LED9の実装面側に、各LED9から放射された光が、各LED9の各々に対応するレンズ部3b以外の他のレンズ部3bに入射するのを防ぐための第1遮光壁13jが各LED9の周囲を取り囲むように設けられ、各レンズ部3bの光入射面側の周部に、各レンズ部3bの各々に対応するLED9以外の他のLED9から放射された光が、このレンズ部3bに入射するのを防ぐための第2遮光壁3dが突設され、第1遮光壁13jの高さ寸法と第2遮光壁3dの高さ寸法との合計高さ寸法が、上記規定範囲の上限よりも大きく、且つ、第1遮光壁13jの高さ寸法および第2遮光壁3dの高さ寸法が、上記規定範囲の下限よりも小さく設定され、第1遮光壁13jと第2遮光壁3dとの一部同士が、隣り合う各LED9同士の並ぶ方向において重なるように配置されるので、光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能となる。
【0080】
以下、本実施形態のLEDモジュール10を用いた照明器具の一例について、図16および図17に基づいて説明する。
【0081】
本実施形態の照明器具30は、LEDモジュール10と、LEDモジュール10を保持する器具本体20とを備えている。
【0082】
器具本体20は、例えば、アルミニウムなどの金属により構成することができる。
【0083】
また、器具本体20は、中央部に円形状の開口孔を有する板状(本実施形態では、円板状)の底壁21aと、底壁21aの外周縁からLEDモジュール10側(図16では、下側)に向かって突出する側壁21bとを連続一体に形成して構成された本体部21を有している。また、器具本体20は、LEDモジュール10で発生した熱を放熱する放熱部22を有しており、この放熱部22は、本体部21の底壁21aにおいてLEDモジュール10側とは反対側(図16では、上側)に配置されている。なお、本実施形態の照明器具30では、器具本体20を金属により構成しているが、これに限らず、例えば、金属以外の材料により構成してもよい。
【0084】
本体部21の底壁21aの内周部には、LEDモジュール10における一対の電線12,12を、器具本体20の外部へ導出するための切欠き部23が形成されている。
【0085】
また、本体部21の底壁21aには、LEDモジュール10を保持する保持片25が、底壁21aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に設けられている。本実施形態の照明器具30では、本体部21の各保持片25を、LEDモジュール10のホルダ13の各切欠き部13rに通してホルダ13を保持することによって、器具本体20がLEDモジュール10を保持することが可能となる。なお、図16では、2つの保持片25のうち1つの保持片25が見えている。
【0086】
また、本体部21の底壁21aには、LEDモジュール10を器具本体20に固定するための上記固定ねじを挿通する固定ねじ挿通孔26が、底壁21aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に設けられている。ここで、各固定ねじ挿通孔26は、LEDモジュール10が器具本体20に保持された状態において、LEDモジュール10における各回動防止部2dの各固定ねじ孔16に対応する位置の各々に設けられている。これにより、本実施形態の照明器具30では、LEDモジュール10を器具本体20に固定することが可能となる。なお、図16では、2つの固定ねじ挿通孔26のうち1つの固定ねじ挿通孔26が見えている。
【0087】
本体部21の側壁21bには、上述の照明器具30を、例えば、配線ダクト40(図17参照)に保持された保持具41(図17参照)に取り付けるための第1の取付ねじ(図示せず)を螺合するねじ孔28が、底壁21aの外周方向に離間して複数箇所(本実施形態では、2箇所)に設けられている。なお、図16では、2つのねじ孔28のうち1つのねじ孔28が見えている。
【0088】
放熱部22は、LEDモジュール10における放熱シート14に接触可能な板状(本実施形態では、円板状)の接触部22aと、この接触部22aにおいてLEDモジュール10側とは反対側(図16では、上側)に立設された複数の板状の放熱フィン22bとで構成することができる。なお、本実施形態の照明器具30では、放熱部22を本体部21に取り付ける手段として、例えば、放熱部22を本体部21に取り付けるための第2の取付ねじ(図示せず)を用いているが、放熱部22を本体部21に取り付ける手段は、これに限るものではない。
【0089】
接触部22aの外周端には、放熱部22が本体部21に取り付けられた状態において、本体部21の底壁21aの切欠き部23に対応する位置に、LEDモジュール10における一対の電線12,12を、器具本体20の外部へ導出するための切欠き部24が設けられている。本実施形態の照明器具30では、切欠き部23と切欠き部24とが、LEDモジュール10における一対の電線12,12を、底部21aおよび接触部22aのLEDモジュール10側から上記反対側へ導出するための導出孔27を構成している。
【0090】
以下、本実施形態の照明器具30の使用例について、図17に基づいて説明する。
【0091】
本実施形態の照明器具30は、例えば、天井面に設置される配線ダクト40に取り付けられるスポットライトとして使用される。この照明器具30は、器具本体20を配線ダクト40に保持させるための保持具41と、配線ダクト40に設けられた導電板(図示せず)に電気的に接続されLEDモジュール10に電源を供給する電源ユニット42とを有している。なお、図17に示した構成の照明器具30では、LEDモジュール10における一対の電線12,12を、照明器具30から導出された1本の電源ケーブル31により構成している。また、本実施形態の照明器具30では、使用例として、配線ダクト40に取り付けられたスポットライトを例示しているが、これに限らず、例えば、図18に示すように、天井材に埋め込み配置されるスポットライトなどであってもよい。
【0092】
以上説明した本実施形態の照明器具30では、上述のLEDモジュール10と、LEDモジュール10を保持する器具本体20とを備えているので、光の照射範囲を変更可能で、且つ、被照射面の照度むらを抑制可能となる。
【0093】
(実施形態2)
本実施形態のLEDモジュール10の基本構成は、実施形態1と同じであり、第1遮光壁13jが、図19に示すように、各LED9から放射された光を、各LED9の各々に対応する各レンズ部3bの光入射面側へ反射する反射面13tを有する点が実施形態1と相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0094】
第1遮光壁13jは、各LED9側の側面に、上述の反射面13tが設けられている。反射面13tは、第1遮光壁13jにおける各LED9側の側面に、例えば、白色紛体を塗装することにより構成することができる。なお、本実施形態のLEDモジュール10では、反射面13tを、白色紛体を塗装することにより構成しているが、これに限らず、例えば、金属板により構成してもよい。
【0095】
したがって、本実施形態のLEDモジュール10では、第1遮光壁13jは、各LED9側の側面に、各LED9から放射された光を、各LED9の各々に対応する各レンズ部3bの光入射面側へ反射する反射面13tを設けているので、実施形態1のLEDモジュール10に比べて、レンズ部3bの光出射面から出力する光出力を向上させることが可能となる。
【0096】
なお、本実施形態のLEDモジュール10を、実施形態1で説明した器具本体20に用いてもよい。
【0097】
(実施形態3)
本実施形態のLEDモジュール10の基本構成は、実施形態2と同じであり、図20に示すように、各レンズ部3bの光出射面の周部に、各レンズ部3bに対応するLED9からの光を拡散する拡散部3uが形成される点が実施形態2と相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0098】
拡散部3uは、レンズ部3bの光出射面の周部に、例えば、光出射面に凹凸を形成するシボ加工などの表面処理を施すことによって形成される。
【0099】
したがって、本実施形態のLEDモジュール10では、各レンズ部3bは、光出射面側が凸曲面状に形成されており、各レンズ部3bの光出射面の周部に、各レンズ部3bに対応するLED9からの光を拡散する拡散部3uを形成しているので、各レンズ部3bの光出射面の周部から出射する光の照度と、各レンズ部3bの光出射面の中央部から出射する光の照度とを同じにすることが可能となり、実施形態2のLEDモジュール10に比べて、被照射面の照度むらをさらに抑制することが可能となる。また、本実施形態のLEDモジュール10では、各レンズ部3bの光出射面の周部に、上述の拡散部3uを形成しているので、各レンズ部3bの光出射面の周部で発生する光の色むらを低減することが可能となる。
【0100】
なお、本実施形態のLEDモジュール10を、実施形態1で説明した器具本体20に用いてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 光源部
2 枠体
3 レンズユニット
3b レンズ部
3d 第2遮光壁
3u 拡散部
4 回動子
8 変換機構
9 LED
10 LEDモジュール
11 配線基板
13j 第1遮光壁
13t 反射面
20 器具本体
30 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが実装された配線基板と、前記各LEDから放射される光の配光を制御可能なレンズユニットとの間の距離を規定範囲で変更可能なLEDモジュールであって、前記レンズユニットは、前記各LEDの各々から放射される光の配光を各別に制御する複数のレンズ部を有し、前記配線基板における前記各LEDの実装面側に、前記各LEDから放射された光が、前記各LEDの各々に対応する前記レンズ部以外の他の前記レンズ部に入射するのを防ぐための第1遮光壁が前記各LEDの周囲を取り囲むように設けられ、前記各レンズ部の光入射面側の周部に、前記各レンズ部の各々に対応する前記LED以外の他の前記LEDから放射された光が当該レンズ部に入射するのを防ぐための第2遮光壁が突設され、前記第1遮光壁の高さ寸法と前記第2遮光壁の高さ寸法との合計高さ寸法が、前記規定範囲の上限よりも大きく、且つ、前記第1遮光壁の高さ寸法および前記第2遮光壁の高さ寸法が、前記規定範囲の下限よりも小さく設定され、前記第1遮光壁と前記第2遮光壁との一部同士が、隣り合う前記LED同士の並ぶ方向において重なるように配置されることを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記第2遮光壁は、前記第1遮光壁の外側に配置されてなることを特徴とする請求項1記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記第1遮光壁は、前記各LED側の側面に、前記各LEDから放射された光を、前記各LEDの各々に対応する前記レンズ部の光入射面側へ反射する反射面が設けられてなることを特徴とする請求項2記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記各レンズ部は、光出射面側が凸曲面状に形成されており、前記光出射面の周部に、当該レンズ部に対応する前記LEDからの光を拡散する拡散部が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記配線基板を有する光源部と、前記光源部を保持する枠体と、前記枠体の内側に配置され前記枠体に回動自在に保持される円筒状の回動子と、前記回動子が前記回動子の外周方向に回動することで前記レンズユニットを前記回動子の中心軸に沿って移動可能とする変換機構とを備えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のLEDモジュールと、前記LEDモジュールを保持する器具本体とを備えてなることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−89503(P2013−89503A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229947(P2011−229947)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】