説明

LEDランプ

【課題】環形蛍光ランプの代替として用いることができるLEDランプをより低いコストで提供する。
【解決手段】本発明にかかるLEDランプAは、複数のLEDモジュール30を収容する管状部材10,20を備えており、管状部材10,20は、吸気口と排気口とを有しており、吸気口から排気口へ向かう空気の流れを発生させる送風手段60を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、LED)を光源とし、蛍光灯の代替として用いることができるLEDランプに関する。
【0002】
一般用蛍光灯照明器具に用いられる蛍光ランプには、寿命が短い、水銀や鉛などの有害物質を含む、低温動作に弱い、虫が寄りやすいといった問題点があり、LEDを光源とするLEDランプが考案されている。なお、一般用蛍光灯照明器具とは、主に屋内の一般照明に広く用いられる照明器具であり、たとえば日本国内においては、商用100Vまたは200V電源を用い、JIS C7617に定められた直管形蛍光ランプまたはJIS C7618に定められた環形蛍光ランプが取り付けられる照明器具をいう。
【0003】
図8は、従来のLEDランプの一例を断面図で示している(たとえば特許文献1参照)。同図に示されたLEDランプXは、長矩形状の基板91と、基板91上に搭載された複数のLED92と、基板91を収容する管93と、端子94と、を備えており、直管形蛍光ランプの代替として用いられる。基板91の表面には、複数のLED92および端子94に接続される図示しない配線パターンが形成されている。このLEDランプXは、端子94を一般用蛍光灯照明器具のソケットの差込口に嵌合させることにより、複数のLED92を発光させることができるように構成されている。
【0004】
しかしながら、LEDランプXにおいては、点灯時に、複数のLED92の発熱により、基板91および複数のLED92の温度が上昇しやすくなっていた。このため、LEDランプXでは、LED92が劣化しやすくなり、寿命が短くなる問題があった。
【0005】
【特許文献1】実開平6−54103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より寿命の長いLEDランプを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるLEDランプは、複数のLEDを収容する管状の拡散パイプを備えたLEDランプであって、上記拡散パイプは、吸気口と排気口とを有しており、上記吸気口から上記排気口へ向かう空気の流れを発生させる送風手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、上記複数のLEDが発する熱によって熱された空気を上記排気口から放出し、上記吸気口から外気を取り込むことができるため、上記複数のLEDを好ましく冷却することが可能となる。このため、上記複数のLEDの劣化を抑えることができ、上記LEDランプの寿命を長くすることが可能となる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、表面に上記複数のLEDを搭載する基板を備えており、上記送風手段は、上記基板の表面側の空気を流動させるように配置されている。このような構成によれば、上記基板の表面側を流動する空気によって上記複数のLEDが好ましく冷却されるため、上記複数のLEDの劣化を抑えることができ、上記LEDランプの寿命を長くすることが可能となる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDを支持する放熱部材を備えており、上記放熱部材には通気孔が形成されており、上記送風手段は、上記通気孔内の空気を流動させるように配置されている。このような構成によれば、上記複数のLEDが発した熱は、上記放熱部材に伝わり、上記通気孔内の空気に放熱される。上記送風手段により、上記通気孔内の空気は流動するため、上記放熱部材は好ましく冷却される。このため、上記放熱部材により上記複数のLEDが好ましく冷却され、上記複数のLEDの劣化を抑えることができ、上記LEDランプの寿命を長くすることが可能となる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかるLEDランプの第1の実施形態を示す平面図である。図1に示すLEDランプA1は、平面視円環状に形成されており、拡散パイプ10と口金20とを備えている。本発明に係る管状部材は、拡散パイプ10と口金20とによって構成されている。図2は、拡散パイプ10および口金20の内部を示す平面図であり、図3は図2のIII-III線に沿う断面図であり、図4は図2のIV-IV線に沿う断面図である。図2〜図4に示すように、拡散パイプ10および口金20の内部には、基板31,32、制御基板33、複数のLEDモジュール40、放熱部材50、および、送風手段60が設けられている。このLEDランプA1はたとえば環形蛍光灯の代替として、一般用蛍光灯照明器具に取り付けられて用いられる。
【0014】
拡散パイプ10は、本発明に係る管状部材の一方であり、内部に収容する複数のLEDモジュール40から出た光を拡散させて外部へ照射する部材である。拡散パイプ10は、平面視において一部が欠けた円環状に形成されおり、この欠部には口金20が嵌め込まれている。また、拡散パイプ10は、口金20から最も離れた位置に排気口11を備えている。排気口11は、たとえば網目状に形成されており、拡散パイプ10の内の空気を外部へ排出可能なように構成されている。
【0015】
口金20は、本発明に係る管状部材の他方であり、吸気口21と、端子ピン22とを備えている。吸気口21は、たとえば網目状に形成されており、外部から口金20内部へ空気を吸引可能なように構成されている。端子ピン22は、制御基板33と導通接続されており(図示略)、一般用蛍光灯照明器具のソケットの差込口に嵌合させることにより、制御基板33に電力を供給することができる。
【0016】
基板31は、平面視半円環状であり、拡散パイプ10の一方側に収容されている。基板32は、平面視半円環状であり、拡散パイプ10の他方側に収容されている。基板31,32の表面には複数のLEDモジュール40が、周方向に沿って並ぶように配置されている。また、基板31,32の表面には複数LEDモジュール40と導通する図示しない配線パターンが形成されている。基板31,32は、たとえばAl製であり、表面を絶縁膜で覆った構造となっている。基板31,32の裏面は放熱部材50に接着されている。
【0017】
制御基板33は、口金20に収容され、端子ピン22を通じて電力の供給を受けており、基板31,32上の図示しない配線パターンと導通接続されている。この制御基板33上には、複数のLEDモジュール40を制御する図示しない制御手段が搭載されている。さらに、制御基板33の表面と裏面には送風手段60が設置されている。
【0018】
LEDモジュール40は、LEDとそれを覆う樹脂パッケージとを備えており、基板31,32上の図示しない配線パターンを通じて制御基板33から電力の供給を受けて発光可能なように構成されている。LEDモジュール40に内蔵されるLEDは、たとえばn型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた活性層とが積層された構造とされており、たとえばGaN系半導体からなる場合、青色光を発光可能である。上記樹脂パッケージは、LEDからの光に対して透光性を有するたとえばシリコン樹脂を用いて形成されている。この樹脂パッケージに、青色光によって励起されることにより黄色光を発する蛍光材料を混入すれば、LEDモジュール40から白色光を出射させることが可能となる。
【0019】
放熱部材50は、基板31,32を介して複数のLEDモジュール40を支持しており、たとえばAlによって平面視半円環状に形成されている。放熱部材50は、裏面側から突出する複数の放熱板51を有している。複数の放熱板51は、放熱部材50の周方向に沿って延びており、径方向において互いに平行に形成されている。
【0020】
送風手段60は、たとえばマイクロファンであり、基板31,32のそれぞれに向けて送風可能なように制御基板33の表面と裏面に2つずつ設置されている。制御基板33の表面に設置された送風手段60は、基板31,32の表面に搭載されたLEDモジュール40と直接接する空気を吸気口21から排気口11へ向けて流動させる。制御基板33の裏面に設置された送風手段60は、基板31,32の裏面に接着された放熱部材50に接する空気を吸気口21から排気口11へ向けて流動させる。このとき、放熱部材50の外周に接する空気だけではなく、複数の放熱板51同士の間の空気も吸気口21から排気口11へ向けて流動する。
【0021】
次に、LEDランプA1の作用について説明する。
【0022】
本実施形態によれば、制御基板33の表面および裏面に配置された送風手段60により、基板31,32の表面および裏面の空気が、吸気口21から排気口11へ向かって流動する。このため、LEDランプA1では、複数のLEDモジュール40の発熱により暖められた拡散パイプ10内の空気が排気口11から外部へ放出され、拡散パイプ10内に外部から新しい空気が入り込みやすい構造となっている。したがって、LEDランプA1では、複数のLEDモジュール40が冷却されやすくなっており、LEDモジュール40内のLEDの劣化を抑制して長寿命化を図ることが可能となっている。
【0023】
さらに、本実施形態によれば、放熱部材50に放熱板51が形成されており、放熱板51同士の間を空気が流動するため、よりLEDモジュール40が冷却されやすくなっている。このため、LEDモジュール40内のLEDの劣化をより抑制することが可能であり、LEDランプA1のより一層の長寿命化を図ることが可能となっている。
【0024】
図5〜図7は、本発明のほかの実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には上記実施形態と同一の符号を付し、説明を省略している。
【0025】
図5は、本発明にかかるLEDランプの第2の実施形態を示す平面図である。図5に示すLEDランプA2は、LEDランプA1と同様に平面視円環状に形成されている。このLEDランプA2は、拡散パイプ10の周方向における一方の端に排気口11が形成されており、他方の端に吸気口12が形成されている。さらに、LEDランプA2は、口金20の内部に、拡散パイプ10内の空気を吸気口12から排気口11へ向けて周方向に流動させるための送風手段を備えている。LEDランプA2のその他の構造はLEDランプA1と同様となっている。
【0026】
LEDランプA2における、排気口11および吸気口12は、LEDランプA1の場合と同様に、網目状に形成されている。また、LEDランプA2における送風手段は、口金20内の制御基板33に搭載されたマイクロファンである。このマイクロファンは、拡散パイプ10の他方の端に向けて送風するように構成されている。
【0027】
このようなLEDランプA2は、LEDランプA1と同様に、複数のLEDモジュール40の発熱により暖められた拡散パイプ10内の空気が排気口11から外部へ放出され、拡散パイプ10内に外部から新しい空気が入り込みやすい構造となっている。したがって、LEDランプA2では、複数のLEDモジュール40が冷却されやすくなっており、LEDモジュール40内のLEDの劣化を抑制して長寿命化を図ることが可能となっている。
【0028】
図6は、本発明にかかるLEDランプの第3の実施形態を示す平面図であり、図7には図6のVII-VII線に沿う断面図を示している。図6および図7に示すLEDランプA3は、直管状に形成されており、拡散パイプ10、口金20、基板32、複数のLEDモジュール40、放熱部材50、および、送風手段60を備えている。このLEDランプA3はたとえば直管形蛍光灯の代替として、一般用蛍光灯照明器具に取り付けられて用いられる。
【0029】
LEDランプA3においては、拡散パイプ10は、細長の直管状に形成されており、一方の端部に網目状の排気口11を、他方の端部に網目状の吸気口12を備えている。さらに、拡散パイプ10の両端部には口金20が取り付けられている。口金20は、一般用蛍光灯照明器具のソケットの差込口に嵌合する端子ピン22を保持している。
【0030】
LEDランプA3における基板32は、拡散パイプ10の長手方向に沿って延びる長矩形状に形成されている。基板32の表面には複数のLEDモジュール40が、拡散パイプ10の長手方向に沿って並ぶように配置されている。また、基板32の表面には複数LEDモジュール40と導通する図示しない配線パターンが形成されている。基板32は、たとえばAl製であり、表面を絶縁膜で覆った構造となっている。基板32の裏面は放熱部材50に接着されている。
【0031】
LEDランプA3におけるLEDモジュール40は、LEDランプA1の場合と同型のものを用いている。
【0032】
LEDランプA3における放熱部材50は、基板32を介して複数のLEDモジュール40を支持しており、たとえばAlによって平面視長矩形状に形成されている。放熱部材50は、裏面側の中央部が膨出しており、この膨出部に複数の通気孔52を有している。複数の通気孔52は、放熱部材50を長手方向に沿って貫通するように形成されている。
【0033】
送風手段60は、放熱部材50の横幅と同等の長さの直径を有するマイクロファンであり、基板32の他方の端部に設置されており、基板32の一方の端部に向けて送風するように構成されている。送風手段60は、基板32の表面に搭載されたLEDモジュール40と直接接する空気を吸気口12から排気口11へ向けて流動させる。さらに、送風手段60は、基板32の裏面に接着された放熱部材50に接する空気を吸気口12から排気口11へ向けて流動させる。このとき、放熱部材50の外周に接する空気だけではなく、複数の通気孔52内の空気も吸気口12から排気口11へ向けて流動する。
【0034】
このようなLEDランプA3においては、送風手段60により、拡散パイプ10内の空気が吸気口12から排気口11へ向かって流動する。このため、LEDランプA3は、複数のLEDモジュール40の発熱により暖められた空気が排気口11から外部へ放出され、拡散パイプ10内に外部から新しい空気が入り込みやすい構造となっている。したがって、LEDランプA3では、複数のLEDモジュール40が冷却されやすくなっており、LEDモジュール40内のLEDの劣化を抑制して長寿命化を図ることが可能となっている。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、放熱部材50に通気孔52が形成されており、通気孔52内の空気が流動するため、LEDモジュール40がより冷却されやすくなっている。このため、LEDモジュール40内のLEDの劣化をより抑制することが可能であり、LEDランプA3のより一層の長寿命化を図ることが可能となっている。
【0036】
本発明にかかるLEDランプは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかるLEDランプの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。上記実施形態では、吸気口12,21および排気口11を網目状としているが、空気の出入りが可能であれば、どのような形状であっても構わず、位置も適宜調整可能である。また、上記第1の実施形態では、送風手段60は制御基板33の表裏の双方に設けられているが、いずれか片方側にのみ設けられていてもよい。さらに、送風手段60の大きさ、数、配置等は適宜調整可能である。たとえば、LEDランプA1における基板32,33の隙間に、LEDランプA3における送風手段60を設置しても構わない。
【0037】
また、上記実施形態では、放熱部材50による放熱性の向上を図っているが、送風手段60による吸気口12,21から排気口11への空気の移動により複数のLEDモジュール40が冷却されるため、放熱部材を設けずに、軽量化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかるLEDランプの第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すLEDランプの内部を示す平面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明にかかるLEDランプの第2の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明にかかるLEDランプの第3の実施形態を示す平面図である。
【図7】図6のVII-VII線に沿う断面図である。
【図8】従来のLEDランプの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
A1,A2,A3 LEDランプ
10 拡散パイプ
11 排気口
12 吸気口
20 口金
21 吸気口
22 端子ピン
31,32 基板
33 制御基板
40 LEDモジュール
50 放熱部材
51 放熱板
52 通気孔
60 送風手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを収容する管状部材を備えたLEDランプであって、
上記管状部材は、吸気口と排気口とを有しており、
上記吸気口から上記排気口へ向かう空気の流れを発生させる送風手段を備えていることを特徴とする、LEDランプ。
【請求項2】
表面に上記複数のLEDを搭載する基板を備えており、
上記送風手段は、上記基板の表面側の空気を流動させるように配置されている、請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
上記複数のLEDを支持する放熱部材を備えており、上記放熱部材には通気孔が形成されており、
上記送風手段は、上記通気孔内の空気を流動させるように配置されている、請求項1または2に記載のLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−289543(P2009−289543A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139715(P2008−139715)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】