説明

LED点灯用安定器回路

【課題】電気的衝撃に敏感なLEDの信頼性を確保し、高効率なLED点灯用安定器回路を提供する。
【解決手段】交流電源の60Hz周期で充・放電し、LED使用電流を調節するように並列接続されたキャパシターと抵抗とで構成された電流制限手段と、前記電流制限手段を通した交流電圧を直流電圧に整流するブリッジダイオードが具備されたLED点灯用安定器回路において、前記ブリッジダイオードの両端間にキャパシターと抵抗を直列に接続し、前記ブリッジダイオードの正端子には直列接続された抵抗およびキャパシターにシリコン制御整流器を並列に接続して電源のオン・オフ時に発生するサージからLEDを保護するためのサージアップサーバー回路を構成し、前記サージアップサーバー回路の出力端には複数の順方向LEDが直列接続されたLEDアレイが連結され、前記ブリッジダイオードの負端子には複数の逆方向LEDが直列接続されたLEDアレイが連結されて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED点灯用の安定器回路に関するもので、より詳しくは、半導体スイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)およびRC時定数回路による簡単な回路構成として、電源が印加された状態で、一定時間後SCRで発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)に電流を供給し、電源印加時に発生するサージ電圧、逆電圧および突入電流からLEDを保護するようにし、電源印加時に発生する各種阻害要因から完全に独立し、電気的衝撃に非常に敏感なLEDの信頼性を確保し、かつ熱発生およびエネルギー損失が殆どなく、より一層高効率の特性を有するようにしたLED点灯用安定器回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体技術の顕著なる発達で発光ダイオードの生産が多様化しつつ、一般電球に比べ同じ照度を得るのに必要な電力の消耗が1/10位に過ぎない発光ダイオードが看板用や照明用および信号灯用電灯(1amp)に適用される傾向にある。
【0003】
ところで、発光ダイオード(LED)を使った照明灯を駆動するためには、別途の電源装置が必要である。つまり、従来の一般電球を使う照明灯は、220ボルトの交流(AC)電源を使うので別途の電源装置が要らなかったが、発光ダイオードの場合は直流(DC)電源を使うので220ボルトの常用交流電源を直流に整流し、整流された直流電圧を点灯に要求される大きさの直流電圧に変換するためにSMPSを設置しなければならなかった。
【0004】
しかし、一般的なSMPS方式を採択すると、SMPSの前端に力率調整部を使うようになるが、回路自体が非常に複雑だけではなくインダクター、電解コンデンサーなどを使うので装置の大きさが大きくなる。
【0005】
また、電解コンデンサーの寿命が2〜3年でしかないため、長い寿命が要求されるLEDランプには適していないという問題点がある。また、スイッチングする時に発生する電磁波障害(EMI)の問題で脈流電圧防止のためのノイズフィルターを追加させるので、装置回路がより一層複雑になるという問題点がある。
【0006】
付け加えると、従来のLED照明灯用安定器回路は、主にSMPSを使って直流定電圧回路を構成していて、夫々のLEDモジュールに電流制限用抵抗を使ってLEDが安定的に駆動するように構成されている。
【0007】
しかし、SMPSは非常に精密で複雑な回路で構成されており、原理上、高速スイッチングをしなければならないので発熱および雑音発生の恐れが高いため高価であり、高い信頼性、長寿命性などを期待しにくいという問題点があった。
【0008】
一方、従来において常用電源でトランスフォーマーなしに抵抗またはキャパシターで電圧を降下させ、簡単な電子機器を駆動することができる簡易型電源装置、いわゆる「トランスレス電源」という呼称で広く知られた電源装置が、玄関のセンサーなど、リモコン受信機、家電製品制御部などに一部使われているが、負荷変動による電圧変動が激しくて少ない電流だけを流すことができない上、電源から流入する各種ノイズなどに対する対策がないため、一般的に定電圧ダイオードなどを追加して使うとしても安定した電源装置としては使用することができない。
【0009】
ただし、適宜容量のキャパシターを利用して常用電源からの電流を制限し、LEDを直列に連結する場合、印加電圧は一種のダイオードのLEDの特性上、PN接合部の電位差×LED個数ぐらいだけ安定的に印加される特性があり、これを利用しようとする研究が進められているが、電気的に衝撃に非常に敏感で長寿命性が要求される照明用LEDを常用電源に何の保護回路もなしに直結すると、電源投入時に発生するサージ電圧と、電源に含まれることのある高周波成分ノイズによってLEDが破壊されてしまうので、実験的には可能であるとしても、産業上の利用可能性は全くない。
【0010】
特に、キャパシターとブリッジダイオードを媒介として電源と直結する場合、実験によると最近開発された各種のサージ電圧抑制素子(例えばバリスタ、TVSダイオード、サージプロテクターなど)を適用してもLEDを効果的に保護できないということが分かった。
【0011】
本出願人が前記の問題点を解決するため先に提案したことがある従来のLED照明灯用安定器回路は、図1のごとく、交流電源(AC220V)の一端に60Hz周期で充・放電しながらLED使用電流を調節するように、交流電源(AC220V)の特性に相応して適正な容量を有するキャパシター(C1)と、これと並列に接続された抵抗(R1)とで構成された電流制限手段が連結されたものである。
【0012】
前記電流制限手段の出力端には交流電圧を直流電圧に整流するブリッジダイオード(BD)が連結され、前記ブリッジダイオード(BD)の出力端の両端には順次平滑用キャパシター(C2)、放電抵抗(R2)、サージアップサーバー(surge absorber)の直列接続のキャパシター(C3)および抵抗(R3)が連結され、更に前記ブリッジダイオード(BD)の出力端の一端にはLED保護抵抗(R4)が直列接続されて構成される。
【0013】
また、ブリッジダイオード(BD)出力端の正(+)端子には複数の順方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)が連結され、前記ブリッジダイオード(BD)の負(-)端子には複数の逆方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)が連結されて構成される。
【0014】
しかし、図1に示す従来のLED照明灯用安定器回路で平滑用キャパシター(C2)と放電抵抗(R2)は、電源から流入する周波数の高いノイズ成分を遮断し、LEDアレイ(DA1、DA2....DAn)とLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)に安定した電流供給を行うために付加的に接続されているが、電源印加時に電源部のキャパシター(C1)および高容量の平滑用キャパシター(C2)に突入電流が流れて逆電圧が発生する恐れがあり、この衝撃が後端のLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)とLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)の寿命に悪影響を及ぼすことがあるので、このような現象を軽減させるためにLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)の前端に電流制限抵抗(R4)を連結した。
【0015】
しかし、電流制限抵抗(R4)にはLED駆動電流が常に流れているので熱発生とともにエネルギー損失が発生するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明は、以上のような前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、スイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)およびRC時定数回路による簡単な回路構成として、電源が印加された状態で、一定時間後SCRでLEDに電流を供給して電源印加時に発生するサージ電圧、逆電圧および突入電流からLEDを保護するようにし、電源印加時に発生する各種阻害要因から完全に独立し、電気的衝撃に非常に敏感なLEDの信頼性を確保し、熱発生およびエネルギー損失が殆どなく、より一層高効率特性を有するようにしたLED点灯用安定器回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために本発明は、交流電源の60Hz周期で充・放電し、LED使用電流を調節するように並列接続されたキャパシターと抵抗とで構成された電流制限手段と、前記電流制限手段を通した交流電圧を直流電圧に整流するブリッジダイオードが具備されたLED点灯用安定器回路において、前記ブリッジダイオードの両端間にキャパシターと抵抗を直列に接続し、前記ブリッジダイオードの正(+)端子には直列接続された抵抗およびキャパシターにシリコン制御整流器を並列に接続して電源のオン・オフ時に発生するサージからLEDを保護するためのサージアップサーバー回路を構成し、前記サージアップサーバー回路の出力端には複数の順方向LEDが直列接続されたLEDアレイが連結され、前記ブリッジダイオードの負(-)端子には複数の逆方向LEDが直列接続されたLEDアレイが連結されて構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このように構成された本発明によるLED点灯用安定器回路によると、スイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)およびRC時定数回路による簡単な回路構成として、電源が印加された状態で、一定時間後SCRでLEDに電流を供給し電源印加時に発生するサージ電圧、逆電圧および突入電流からLEDを保護するようにしたことにより、電源印加時に発生する各種阻害要因から完全に独立して、電気的衝撃に非常に敏感なLEDの信頼性が確保され、熱発生およびエネルギー損失が殆どないので、より一層高効率特性を有するようにしたLED点灯用安定器回路を提供することができるという効果がある。
【0019】
また、本発明は抵抗とキャパシターで構成したサージアップサーバー回路が簡単ながらも低価格な長所がある。
【0020】
さらに、直列接続された抵抗およびキャパシターで構成された時定数回路によって電源投入と一定時差を置いてLEDに電流を供給するので、二重でLEDを保護することができ、より一層信頼度が高くて電力損失の殆どない高効率のLED点灯用安定器回路を提供することができる。
【0021】
また、部品点数が非常に少なく、回路自体の体積が小さいので、特に狭い空間に制御回路を設置しなければならない電球型LEDランプの製作時に、放熱板の面積を増加させることができるので、効率的な放熱で電球の寿命と信頼度が向上し、また、製品原価を顕著に節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のLED点灯用安定器回路の構成図である。
【図2】本発明に係るLED点灯用安定器回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を添付された実施例の図面に依拠してより詳しく説明する。図2は、本発明に係るLED点灯用安定器回路構成図である。図2のごとく、交流電源(AC220V)の60Hz周期で充・放電し、LED使用電流を調節するように並列接続されたキャパシター(C1)と抵抗(R1)とで構成された電流制限手段と、前記電流制限手段を通した交流電圧を直流電圧に整流するブリッジ ダイオード(BD)と、前記ブリッジダイオード(BD)の両端間にキャパシター(C3)と抵抗(R3)を直列に接続し、前記ブリッジダイオード(BD)の正(+)端子には直列接続された抵抗(R5)およびキャパシター(C4)にシリコン制御整流器(SCR)を並列に接続して電源のオン・オフ時に発生するサージからLEDを保護するためのサージアップサーバー回路を構成し、前記サージアップサーバー回路の出力端には複数の順方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)が連結され、前記ブリッジダイオード(BD)の負(−)端子には複数の逆方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)が連結されて構成される。
【0024】
このように構成された本発明に係るLED点灯用安定器回路の動作を、添付した図2を参照して詳しく説明する。図1のものと対比すると、図2に示された本発明に係るLED点灯用安定器回路は、図1に示す従来の回路構成における平滑キャパシター(C2)と放電抵抗(R2)および電流制限抵抗(R4)を省略し、その代りにスイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)および時定数回路の抵抗(R5)およびキャパシター(C4)を直列に接続し、電源が印加された状態で一定時間後シリコン制御整流器(SCR)でLEDに電流を供給し、電源印加時に発生するサージ電圧、逆電圧および突入電流からLEDを保護するように構成されたものである。
【0025】
このように構成された本発明に係るLED点灯用安定器回路の動作を説明すると、初期電源(AC220V)印加時には抵抗(R3、R5)を経てキャパシター(C3、C4)の充電のための極小電流だけが流れるだけで、駆動電流はターンオフ状態のシリコン制御整流器(SCR)により遮断されており、抵抗(R5)とキャパシター(C4)は抵抗(R3)およびキャパシター(C3)と共にサージ電圧を吸収し、シリコン制御整流器(SCR)は逆電圧を遮断する。
【0026】
一定時間が経過して電源電圧が安定した状態になって、キャパシター(C4)の電圧が上昇しシリコン制御整流器(SCR)のゲートがターンオン状態になると、LEDアレイ(DA1、DA2....DAn)とLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)に駆動電流が供給される。この時には半導体スイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)でスイッチングをするので、サージ電圧が発生せずLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)とLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)に悪影響を及ぼさない。
【0027】
したがって、本発明によるLED点灯用安定器回路は、衝撃電流に極度敏感な照明用LED駆動にも全く無理がない。
【0028】
実験によると、AC220V、60Hz常用電源で最大定格60mAの照明用LED60個を直列連結し、かつキャパシター(C1)の値を1μFとした時、概略7W、効率98%、力率73%位の高効率LEDランプを製作することができ、また、既存の製品に比べて高効率で発熱が少なく安価ながらも寿命が非常に長いという長所があることが分かった。さらに、本発明は進相効果を有し、トランス、モーターなどの誘導負荷を相当使って進相が発生する常用電源の特性を考慮する時、全体的な力率が改善される長所があるということも分かった。
【0029】
以上説明した内容に基づいて、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲で多様な変更および修正実施例を想到することが可能である。したがって、本発明の技術的範囲は前記実施例に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびそれと均等な範囲によって決定されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は前記の如く構成されるから、本発明によるときは、スイッチング素子のシリコン制御整流器(SCR)およびRC時定数回路による簡単な回路構成として、電源が印加された状態で、一定時間後SCRでLEDに電流を供給して電源印加時に発生するサージ電圧、逆電圧および突入電流からLEDを保護するようにし、電源印加時に発生する各種阻害要因から完全に独立し、電気的衝撃に非常に敏感なLEDの信頼性を確保し、熱発生およびエネルギー損失が殆どなく、より一層高効率特性を有するようにしたLED点灯用安定器回路を提供し得るものであるから、本発明は多大の産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0031】
C1:キャパシター(電流制限手段)
C3:キャパシター
C4:キャパシター
R1:抵抗
R3:抵抗
R5:抵抗
SCR:シリコン制御整流器
BD:ブリッジ ダイオード
DA1、DA2....DAn:LEDアレイ
DA11、DA12....DA1n:LEDアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源(AC220V)の60Hz周期で充・放電し、LED使用電流を調節するように並列接続されたキャパシター(C1)と抵抗(R1)とで構成された電流制限手段と、前記電流制限手段を通した交流電圧を直流電圧に整流するブリッジダイオード(BD)が具備されたLED点灯用安定器回路において、前記ブリッジダイオード(BD)の両端間にキャパシター(C3)と抵抗(R3)を直列に接続し、前記ブリッジダイオード(BD)の正(+)端子には直列接続された抵抗(R5)およびキャパシター(C4)にシリコン制御整流器(SCR)を並列に接続して電源のオン・オフ時に発生するサージからLEDを保護するためのサージアップサーバー回路を構成し、前記サージアップサーバー回路の出力端には複数の順方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA1、DA2....DAn)が連結され、前記ブリッジダイオード(BD)の負(-)端子には複数の逆方向LEDが直列接続されたLEDアレイ(DA11、DA12....DA1n)が連結されて構成されたことを特徴とするLED点灯用安定器回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−221948(P2012−221948A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24965(P2012−24965)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(511267952)
【出願人】(508265550)
【Fターム(参考)】