説明

LED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システム

【課題】過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常を解消できるLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムを提供する。
【解決手段】LED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13および降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧の供給を段階的に行い、先に制御電源電圧の供給を受けた昇圧チョッパ回路11が起動したことを検出して、降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧の供給を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から電力をLEDユニットに供給するLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力電源を同一とする回路内に機能が異なる2つ以上の機能ブロックおよびその制御回路を有するLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−105016号公報(図1、請求項1)
【特許文献2】特開2010−092776号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述した特許文献1に記載されたLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムは、機能ブロックを同一の制御電源回路の出力電圧により起動させる場合、制御回路毎に起動電圧により起動する順番が決まり、過渡的に期待外動作が発生する。
従って、前述した特許文献1に記載されたLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムは、過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常が起こる。
【0005】
ところで、このような課題を解決するために、制御電源電圧Vccを生成する制御電源回路と電源電圧の印加を検知する通電検知回路とを備え、通電検知回路により通電が検知されたら、昇圧チョッパ回路および降圧チョッパ回路に同時に制御電源電圧Vccを供給するLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムが提案されている。
しかし、このような従来のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムは、前述した特許文献1に記載されたLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムと同様に、起動順序が確定されていないために、過渡的に期待外動作が発生する。
【0006】
従って、このような従来のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムは、前述した特許文献1に記載されたLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムと同様に、過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常が起こる。
【0007】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常を解消できるLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るLED点灯装置は、入力電源を同一とする回路内に少なくとも2個以上の機能ブロックと、機能ブロックの制御回路とを備え、制御回路を同一の制御電源回路の出力電圧により起動させるLED点灯装置において、制御回路への制御電源電圧の供給を段階的に行い、先に制御電源電圧の供給を受けた機能ブロックが起動したことを検出して、その他の機能ブロックの制御回路への制御電源電圧の供給を開始する。
【0009】
本発明に係るLED点灯装置は、制御電源電圧の供給順序が、入力電源側から出力側への順になされる。
【0010】
本発明に係るLED点灯装置は、交流電圧を電源とし、回路内に交流電圧のピーク値より昇圧した直流平滑電圧を一旦生成する第1機能ブロックと、第1機能ブロックの出力電圧を降圧または間欠的な電圧に変換してその出力電圧を負荷となるLEDに供給して点灯させる第2機能ブロックとを具備し、第1機能ブロックの制御回路へ制御電源電圧を供給した後、第1機能ブロックの出力電圧が電源とした交流電圧のピーク値を超えたことを検出して第2機能ブロックの制御回路へ制御電源電圧を供給する。
【0011】
本発明に係るLED点灯装置は、第2機能ブロックの制御回路への制御電源電圧の供給を開始する際の閾値が第1機能ブロックの出力電圧の282V以上かつ400V以下に設定される。
【0012】
本発明に係るLED点灯装置は、第1機能ブロックは昇圧チョッパ回路であり、第2機能ブロックは降圧チョッパ回路である。
【0013】
本発明に係る照明器具は、LED点灯装置を備える。
【0014】
本発明に係る照明システムは、LED点灯装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムによれば、過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常を解消できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおける照明器具の回路図
【図2】図1の照明器具におけるLED点灯装置の動作を説明するタイミングチャート
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムについて、図面を用いて説明する。
なお、LED点灯装置を備える照明システムはLED点灯装置を備える照明器具に置き換えた。
【0018】
図1に本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおける照明器具の回路図を示す。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおいて照明器具1は、交流電源2に接続されるLED点灯装置10と、LEDユニット3とから構成される。
【0019】
LED点灯装置10は、ダイオードブリッジDBと、単一の入力電源を有する第1機能ブロックである昇圧チョッパ回路11と、昇圧チョッパ回路11と同一の入力電源を有する第2機能ブロックである降圧チョッパ回路12と、昇圧チョッパ回路11用の昇圧チョッパ制御回路13と、降圧チョッパ回路12用の降圧チョッパ制御回路14と、単一の制御電源電圧生成回路15とから構成される。
【0020】
昇圧チョッパ回路11は、入力電源側に配置されており、インダクタンスであるコイルL1と、Nチャネル型のスイッチング素子Q1と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、電解コンデンサC2と、昇圧チョッパ制御回路13とからなる。
コイルL1は一端がダイオードブリッジDBの+側電源に接続され、他端がダイオードD1のアノードに接続されている。スイッチング素子Q1は、ドレーンが昇圧チョッパ制御回路13に接続されている。
昇圧チョッパ回路11は、交流電圧を電源とし、回路内に交流電圧のピーク値より昇圧した直流平滑電圧を一旦生成する。
【0021】
降圧チョッパ回路12は、昇圧チョッパ回路11の下流側に配置されており、ダイオードD2と、電解コンデンサC3と、インダクタンスであるコイルL2と、Nチャネル型のスイッチング素子Q2と、降圧チョッパ制御回路14とからなる。
コイルL2は一端がダイオードD2を介して+側電源に接続され、他端がLEDユニット3に有するLEDチップ4のカソードに接続されている。スイッチング素子Q2は、ドレーンが降圧チョッパ制御回路14に接続されている。
降圧チョッパ回路12は、昇圧チョッパ回路11の出力電圧を降圧または間欠的な電圧に変換してその出力電圧を負荷となるLEDユニット3に供給して点灯させる。
【0022】
制御電源電圧生成回路15は、昇圧チョッパ制御回路13および降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧の供給を段階的に行い、先に制御電源電圧の供給を受けた昇圧チョッパ制御回路13が起動したことを検出して、降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧の供給を開始する。そのため、制御電源電圧生成回路15は、昇圧チョッパ回路11から降圧チョッパ回路12の順に制御電源電圧を供給する順序が設定されている。
【0023】
制御電源電圧生成回路15は、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13へ制御電源電圧を供給した後に、昇圧チョッパ回路11の出力電圧が電源とした交流電圧のピーク値を超えたことを検出して降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14へ制御電源電圧を供給する。このとき、降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧の供給を開始する際の閾値は、昇圧チョッパ制御回路13の出力電圧の、例えば282V以上かつ400V以下に設定される。
【0024】
図2にLED点灯装置10の動作を説明するタイミングチャートを示す。
図2に示すように、時点T1において電源が投入されると、時点T2において昇圧チョッパ制御回路13に制御電源電圧Vcc1が供給されるために昇圧チョッパ回路11が動作を開始する。
時点T2において昇圧チョッパ回路11が動作を開始するために、昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1が上昇し始める。
【0025】
このとき、制御電源電圧生成回路15により昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1が電源とした交流電圧のピーク値を超えたことが検出される。
時点T2の以後の時点T3において、昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1が安定化し、降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14へ制御電源電圧Vcc2が供給される。
【0026】
そして、時点T3の以後の時点T4において、降圧チョッパ回路12の出力電圧Vdc2が安定化する。
以後、昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1と、降圧チョッパ回路12の出力電圧Vdc2とが安定的に出力されることになる。
【0027】
以上、説明した本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおいてLED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13へ制御電源電圧Vcc1を供給した後、昇圧チョッパ制御回路13が起動したことを検出して、降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧Vcc2の供給を開始する。
従って、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、過渡的に発生する部品ストレスおよび動作異常を解消できる。
【0028】
また、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、制御電源電圧Vcc1,Vcc2の供給順序が、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13から降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14の順になされる。
従って、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、起動順序が確定されることにより過渡的な期待外動作を確実に防止できる。
【0029】
そして、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13へ制御電源電圧Vcc1を供給した後、昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1が電源とした交流電圧のピーク値を超えたことを検出して降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14へ制御電源電圧Vcc2を供給する。
従って、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11および降圧チョッパ回路12により安定的な出力を保障できる。
【0030】
さらに、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、降圧チョッパ回路12の降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧Vcc2の供給を開始する際の閾値が昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1の282V以上かつ400V以下に設定される。
なお、安定時の出力電圧Vdc1は400V以上である。
【0031】
従って、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11の出力電圧Vdc1が安定している282V以上かつ400V以下の広い範囲を検出に用いることができる。
【0032】
加えて、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、昇圧チョッパ回路11の昇圧チョッパ制御回路13へ制御電源電圧Vcc1を供給した後、昇圧チョッパ回路11が起動したことを検出してから、降圧チョッパ制御回路14への制御電源電圧Vcc2の供給を開始する。
【0033】
従って、本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおけるLED点灯装置10は、回路変更を伴わずに既存の昇圧チョッパ回路11および降圧チョッパ回路12を適用できる。
【0034】
本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおける照明器具1は、起動順序が確定されることにより過渡的な期待外動作を確実に防止できるLED点灯装置10を備えた照明器具1を提供できる。
【0035】
本発明に係る一実施形態のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムにおける照明システムは、起動順序が確定されることにより過渡的な期待外動作を確実に防止できる照明システムを提供できる。
【0036】
なお、本発明のLED点灯装置、LED点灯装置を備える照明器具およびLED点灯装置を備える照明システムは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 照明器具(照明システム)
3 LEDユニット(LED)
10 LED点灯装置
11 昇圧チョッパ回路(第1機能ブロック,機能ブロック)
12 降圧チョッパ回路(第2機能ブロック,機能ブロック)
13 昇圧チョッパ制御回路(制御回路)
14 降圧チョッパ制御回路(制御回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源を同一とする回路内に少なくとも2個以上の機能ブロックと、
前記機能ブロックの制御回路とを備え、
前記制御回路を同一の制御電源回路の出力電圧により起動させるLED点灯装置において、
前記制御回路への前記制御電源電圧の供給を段階的に行い、先に前記制御電源電圧の供給を受けた機能ブロックが起動したことを検出して、その他の前記機能ブロックの制御回路への前記制御電源電圧の供給を開始するLED点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED点灯装置において、
前記制御電源電圧の供給順序が、前記入力電源側から出力側への順になされるLED点灯装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のLED点灯装置において、
交流電圧を電源とし、回路内に交流電圧のピーク値より昇圧した直流平滑電圧を一旦生成する第1機能ブロックと、
前記第1機能ブロックの出力電圧を降圧または間欠的な電圧に変換してその出力電圧を負荷となるLEDに供給して点灯させる第2機能ブロックとを具備し、
前記第1機能ブロックの前記制御回路へ前記制御電源電圧を供給した後、前記第1機能ブロックの出力電圧が電源とした交流電圧のピーク値を超えたことを検出して前記第2機能ブロックの前記制御回路へ前記制御電源電圧を供給するLED点灯装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のLED点灯装置において、
前記第2機能ブロックの前記制御回路への制御電源電圧の供給を開始する際の閾値が前記第1機能ブロックの出力電圧の282V以上かつ400V以下に設定されるLED点灯装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のLED点灯装置において、
前記第1機能ブロックは昇圧チョッパ回路であり、前記第2機能ブロックは降圧チョッパ回路であるLED点灯装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のLED点灯装置を備える照明器具。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のLED点灯装置を備える照明システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−33611(P2012−33611A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170524(P2010−170524)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】