説明

LED点灯装置及び照明装置

【課題】インバータで調光制御するLED点灯装置において、フィードバック制御によってLED電流を目標電流値に保ち、またインバータの駆動周波数をそれほど高くすることなくLED電流を絞ることができるLED点灯装置を提供する。
【解決手段】LED点灯装置110−1は、第2インダクタ8と直列接続された共振コンデンサ9を持つ。またLED点灯装置110−1では、フィードバック制御部105が、LED13に流れるLED電流に対応する対応信号を検出すると共に、調光コントローラ19から対応信号と比較するための比較対象信号を入力し、対応信号と比較対象信号とを比較して比較結果を生成し、生成された比較結果を電圧制御発振器20に出力する。電圧制御発振器20は入力した比較結果に応じた周波数制御信号をドライバ21に出力する。ドライバ21は周波数制御信号に従ってインバータ回路102を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED点灯装置及びLED点灯装置を有する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を点灯する場合、直接電圧源を接続すると、LEDの電圧―電流特性により、過大な電流が流れてLEDが破壊する可能性がある。そこでLEDに流れる電流を制限するためにLEDと直列に電流制限素子、例えば抵抗やトランジスタを接続し、電流を制限して使用することが一般的である。しかしながらこのような方式では抵抗やトランジスタでの電力損失が大きく、効率低下や抵抗やトランジスタからの発熱が問題となり、近年主流になりつつあるハイパワーLEDまたは高輝度LEDを用いたLED照明器具への使用は不向きである。そこで、理想的には電力損失が発生しないインダクタを用いて電流を制限する方法がある。例えばインバータ回路を用いてLEDを点灯させる方式である(例えば特許文献1)。これはインダクタLが周波数fに比例して2πfLの誘導リアクタンスを有することを利用して電流を制限するものである。本方式よればインバータ周波数を調節してLEDの明るさを調節する調光機能も可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−111104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術によれば、調光を行う場合、例えば明るさを絞る場合、インバータの駆動周波数を高くしてインダクタのインピーダンスを増加させてLED電流を絞っている。この方式のように、単にインバータ周波数を変更して調光を行った場合、LEDの寿命、製造ばらつき、LED点灯装置の部品ばらつき等により、正確に調光制御を行うことが困難であり、器具によって明るさがばらつくといった問題が発生する。また、インダクタのみで調光を行う場合、インバータ周波数の変化範囲が広くなりすぎ、明るさを絞るためには、非常に高い周波数まで上昇させなければならない。このため、インバータ周波数増加に伴うスイッチング損失、スイッチングノイズの増加が増大する。
【0005】
さらに特許文献1によればLEDを逆並列に接続して双方向に電流を流す方式、あるいはインバータ出力にダイオードブリッジ回路を設けて一方向のみの電流を供給する方式を提案している。しかしながらこのような回路方式では、LED電流波形はインバータ周波数に同期した脈動波形となるため、電流の波高値が高くなり、LEDの最大絶対定格をオーバーする可能性があり、LEDの短寿命化を招く。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、LED電流のフィードバック制御を行い、インバータを用いたLED点灯方式において、LEDに適切な電流を供給し、明るさのばらつきを抑えた正確な調光制御を可能とするLED点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のLED点灯装置は、
交流電圧を直流電圧に変換する直流電源回路と、
前記直流電源回路によって変換された前記直流電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力側に接続されて直流成分をカットする直流カットコンデンサと、
前記直流カットコンデンサと直列に接続されたインダクタと、
前記インダクタと直列に接続された共振用の共振コンデンサと、
前記共振コンデンサと並列接続され、前記インバータ回路からの出力電流を直流電流に変換し、変換された前記直流電流を出力端子からLED(Light Emitting Diode)に供給する全波整流回路と、
前記LEDに流れるLED電流に対応する対応信号を検出すると共に、前記対応信号と比較する比較対象信号を出力する比較対象信号出力装置から前記比較対象信号を入力し、前記対応信号と前記比較対象信号とを比較して比較結果を生成し、生成された前記比較結果に従って前記インバータ回路の駆動周波数を制御するフィードバック制御部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のLED点灯装置によれば、LED電流に対応する対応信号を検出し、インバータ回路をフィードバック制御するので、LED電流を目標電流値に保つことができる。また本発明のLED点灯装置は共振コンデンサを備えたので、インバータ回路の駆動周波数をそれほど高くすることなくLED電流を絞ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1におけるLED点灯装置110−1の回路図。
【図2】実施の形態1におけるLED点灯装置110−1の動作フロー。
【図3】実施の形態1における周波数−LED電流特性を示す図。
【図4】実施の形態1におけるLED点灯装置110−1のフィードバック制御のフロー。
【図5】実施の形態1におけるLED点灯装置110−2の回路図。
【図6】実施の形態2におけるLED点灯装置120−1の回路図。
【図7】実施の形態2におけるLED点灯装置120−2の回路図。
【図8】実施の形態2におけるLED点灯装置120−3の回路図。
【図9】実施の形態2におけるスイッチング素子を流れる電流の検出方式を示す図。
【図10】実施の形態3におけるLED点灯装置130の回路図。
【図11】実施の形態3における無負荷共振特性を示す図。
【図12】実施の形態3におけるスイッチ切り替えタイミングを示す図。
【図13】実施の形態3におけるフェードイン点灯を示すフロー。
【図14】実施の形態3におけるフェードアウト消灯を示すフロー。
【図15】実施の形態5における照明装置500の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1のLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)点灯装置110−1の回路図である。なお、図1において、商用交流電源1、調光コントローラ19(比較対象信号出力装置)、直列接続された複数のLED13からなるLEDユニット106はLED点灯装置110−1の構成要素ではない。
【0011】
LED点灯装置110−1は、商用交流電源1より電力の供給を受けてLED13を点灯させる装置である。LED点灯装置110−1は、第1整流回路2、第1インダクタ3、スイッチング素子4、ダイオード5、第1平滑コンデンサ6、スイッチング素子7a、7b、第2インダクタ8、共振コンデンサ9、第2整流回路10(全波整流回路)、直流カットコンデンサ11、第2平滑コンデンサ12、LEDユニット106、LED電流検出抵抗14(第1の抵抗)、LED電流検出回路15(対応信号検知部)、誤差増幅器17(比較部)、電圧制御発振器20(VCOともいう)、スイッチング素子駆動回路21(ドライバともいう)を備えている。また、誤差増幅器17には調光コントローラ19から目標信号18(比較対象信号)が入力される。
【0012】
(直流電源回路103)
第1整流回路2は、商用交流電源1から供給される交流電圧を全波整流する。第1インダクタ3、スイッチング素子4、ダイオード5、第1平滑コンデンサ6は昇圧チョッパ回路101を構成する。昇圧チョッパ回路101は第1整流回路2で全波整流された直流電圧を昇圧、平滑化する。なお。直流電圧を生成する回路構成であれば、昇圧チョッパ回路以外の回路構成でもよく、例えばコンデンサインプット形整流回路でも良い。図1に示すように、第1整流回路2と昇圧チョッパ回路101とは直流電源回路103を構成する。
【0013】
(インバータ回路102)
スイッチング素子7a(第1のスイッチング素子)、スイッチング素子7b(第2のスイッチング素子)は、ハーフブリッジ形のインバータ回路102を構成する。インバータ回路102は第1平滑コンデンサ6に並列接続され、直流電源回路103によって交流電圧から変換された直流電圧を高周波電圧に変換する。インバータ回路102の出力側には直流カットコンデンサ11が接続されている。直流カットコンデンサ11は直流成分をカットし、交流成分のみ出力する役割を果たす。なお、第1整流回路2及び第2整流回路10は例えばダイオードブリッジ回路を構成する。
【0014】
(フィードバック制御部105)
LED電流検出回路15は、LED電流検出抵抗14(第1の抵抗)を介してLED13を流れるLED電流を電圧信号(対応信号の一例)として検出し、誤差増幅器17(比較部)に入力する。誤差増幅器17(比較部)は検出信号を目標信号18(調光コントローラ19から常時出力されている)と比較し、差分を増幅して出力し、電圧制御発振器20(VCO)に入力する。電圧制御発振器20は誤差増幅器17から出力された電圧信号に基づいてインバータ回路102を駆動する周波数信号(制御信号)をスイッチング素子駆動回路21に出力する。図1に示すようにLED電流検出回路15、誤差増幅器17、電圧制御発振器20はフィードバック制御部105を構成する。スイッチング素子駆動回路21(ドライバ)は、電圧制御発振器20から出力される周波数信号に基づき、インバータ回路102(スイッチング素子7a、7b)を駆動する。
【0015】
以上、本実施の形態1に係るLED点灯装置110−1の構成について説明した。次に、本実施の形態1に係るLED点灯装置110−1の動作について説明する。
【0016】
図2は、LED点灯装置110−1の全体動作のフローチャートである。LED点灯装置110−1に商用交流電源1が投入されると(S01)、第1整流回路2は商用交流電源1から供給される交流電圧を整流し(S02)、得られた直流電圧は第1インダクタ3、スイッチング素子4、ダイオード5、第1平滑コンデンサ6より構成される昇圧チョッパ回路101により昇圧、平滑化される(S03)。第1平滑コンデンサ6によって平滑化された直流電源は、インバータ回路102のスイッチング素子7a、7bが交互にオン・オフすることによって高周波電圧に変換される(S04)。
【0017】
インバータ回路102によって高周波電圧に変換されると、この高周波電圧は第2インダクタ8・共振コンデンサ9を介して第2整流回路10により再び直流電圧に変換され、LED13に直流電流が供給される(S05)。ここで、第2整流回路10の出力端子に第2平滑コンデンサ12を設けているので、インバータ回路102から出力される高周波によるリップル電流を小さくすることができ、LED13に流れる電流の波高値を低く抑えて、LED電流の波高値が最大絶対定格電流をオーバーすることを抑制することができる。
【0018】
(調光制御の動作)
次に調光制御について説明する。LED13に流れる電流を小さくして明るさを絞る場合、インバータ回路102の駆動周波数、すなわちスイッチング素子7a、7bのスイッチング周波数を高くすることにより達成する。これはインバータ駆動周波数に比例して第2インダクタ8の誘導リアクタンスXL(XL=2πfL[Ω])が増加するからである。ここで、fはインバータ周波数、Lは第2インダクタ8のインダクタンスである。
【0019】
(共振コンデンサ9による周波数上昇の抑制)
また、第2インダクタ8のみの場合、LED13に流れる電流を小さくする場合、インバータ駆動周波数を非常に高く上昇させなければならず、インバータ周波数増加に伴うスイッチング損失、スイッチングノイズが増大する。そこで、第2整流回路の入力側と並列に、共振コンデンサ9を設けている。すなわち共振用の共振コンデンサ9が第2インダクタ8と直列接続されている。この共振コンデンサ9により、インバータ駆動周波数上昇に反比例して、コンデンサの容量リアクタンスXC(XC=1/(2πfC)[Ω])が減少するので、LED13に印加される電圧が低下し、LED電流を減少させることが出来る。ここで、fはインバータ駆動周波数、Cは共振コンデンサ9の静電容量である。
【0020】
図3は、第2インダクタ8のみの場合と、第2整流回路の入力側に並列に共振コンデンサ9を設けた場合の周波数上昇にともなうLED電流値の比較の一例を示す。特性41が共振コンデンサ9を設けた場合であり、特性42が第2インダクタ8のみの場合である。図3では第2インダクタ8が1.5mH、共振コンデンサ9が0.01uFの場合である。このように第2整流回路10の入力側に並列に共振コンデンサ9を設けることで、調光時のインバータ周波数の上昇を抑制してLED電流を絞ることができる。
【0021】
(LED電流のフィードバック制御)
図4はLED電流のフィードバック制御のフローチャートである。次に図4を参照してLED電流のフィードバック制御について述べる。LED13に流れる電流はLED電流検出抵抗14及びLED電流検出回路15により電圧信号に変換され、誤差増幅器17に入力される(S101)。また、調光コントローラ19により設定される目標LED電流値の目標信号18も誤差増幅器17に入力されて(S102)、LED電流検出回路15の検出信号と比較される。誤差増幅器17は2つの電圧信号値の差を積分値として出力する(S103)。出力された信号は電圧制御発振器20に入力される。電圧制御発振器20は入力された電圧値に応じて周波数信号を出力するもので、誤差増幅器17の出力電圧に応じてインバータ回路102の駆動周波数を決定し、検出電流値と目標LED電流値との差分が小さくなる方向にインバータ駆動周波数を制御して、フィードバック制御を行う(S104)。ここで、LED電流検出回路15は第2整流回路10の出力側に設けられているため、誤差増幅器17と基準電位が異なる。このため、図5に示すように、LED点灯装置110−2では、LED電流検出回路15の内部にフォトカプラ16を設け、LED電流検出回路15から誤差増幅器17への信号伝達は、フォトカプラ16を介して行っている。
【0022】
以上のような方法によりLED電流を検出し、フィードバック制御を行うことで、LED電流を目標電流値に保つことができ、LEDの寿命、製造ばらつきによる特性ばらつき、LED点灯回路の部品ばらつき等があっても、LEDに略一定の電流を供給することが可能となり、装置間による明るさのばらつきを抑制することができ、正確なLEDの調光制御を達成できる。また、LED電流は第2平滑コンデンサ12で平滑化されているため、インバータ点灯方式においてもLEDのリップル電流を小さくでき、最大絶対定格電流をオーバーすることを抑制することができ、平滑化されたLED電流のため、簡単なLED電流検出回路で正確なLED電流検出が可能となる。なお、LED電流は第2整流回路10の入力側の交流電流から検出してもよく、例えばカレントトンランス、検出抵抗などを用いて電流検出してもよい(図示せず)。
【0023】
さらに第2整流回路10の入力側に共振コンデンサ9を設けることにより調光時のインバータ駆動周波数の上昇を抑えることができ、インバータ駆動周波数増加に伴うスイッチング損失、スイッチングノイズの増加を抑制することができる。
【0024】
実施の形態2.
図6は実施の形態2のLED点灯装置120−1の回路図である。実施の形態1のLED点灯装置と同様の構成部分は説明を省略する。実施の形態1との違いは、LED点灯装置120−1では第2整流回路10の出力側にLED電流検出回路15を設けず、インバータ電流検出抵抗22(第2の抵抗)を設けたことにある。
【0025】
次に、本実施の形態2に係るLED点灯装置120−1の動作を説明するが、実施の形態1と同様の動作部分については説明を省略し、調光制御について説明する。ここではLED電流を直接検出せず、インバータ電流検出抵抗22により、インバータ回路102のスイッチング素子7bに流れる電流(以下、インバータ電流)に相当する電圧(対応信号の一例)を検出する。このインバータ電流の平均値とインバータ回路102に入力する電圧との積、ここでは第1平滑コンデンサ6の電圧との積をとれば、負荷側で消費される電力すなわちLEDで消費される電力を算出できる。また、第1平滑コンデンサ6の電圧が一定であるとすると、インバータ電流の検出のみでインバータ回路102の負荷側で消費される電力を等価的に検出できる。さらに、LEDの電気的特性より、LEDの順方向電圧はLED電流によらずほぼ一定と見なすことができるため、インバータ電流検出抵抗22から間接的にLED電流を検出することができる。
【0026】
そこで、本実施の形態2では、LEDを調光する際、インバータ電流検出抵抗22によりインバータ電流に対応する電圧を検出し、検出された信号(対応信号)は誤差増幅器17に入力され、調光コントローラ19から出力されるインバータ電流の目標信号18(比較対象信号)と比較される。以降は実施の形態1と同様である。すなわち、誤差増幅器17はインバータ電流検出値と目標値との差分を増幅し、増幅された信号は電圧制御発振器20に入力される。電圧制御発振器20は入力された電圧信号を対応する周波数信号に変換して出力するもので、誤差増幅器17の出力電圧に応じた周波数信号を出力し、検出電流値と目標インバータ電流値との差分が小さくなる方向にインバータ駆動周波数を調整し、フィードバック制御を行う。
【0027】
以上、図6に示すようにインバータ回路102は、第1のスイッチング素子7aと第2のスイッチング素子7bとが直列接続されて構成されると共に第1のスイッチング素子7aが直流電源回路103の正極側に接続され、第2のスイッチング素子7bを流れる電流が通過する第2のインバータ電流検出抵抗22を介して第2のスイッチング素子7bが直流電源回路103の負極側に接続されている。フィードバック制御部105は、対応信号として、第2のスイッチング素子7bに流れる電流に対応する電圧を第2のインバータ電流検出抵抗22から検出する。以上のような構成とすれば、インバータ電流検出値から間接的にLED電流を検出でき、さらにインバータ電流検出信号の基準電位が誤差増幅器17と同一であるため、検出信号を直接誤差増幅器17に入力可能となり、実施の形態1で述べたフォトカプラ16が不要となる。したがって制御回路の簡素化・小型化が可能となる。
【0028】
図7は、図6に示した第2整流回路10を使用しないLED点灯装置120−2の構成を示す図である。LED点灯装置120−2は、複数のLEDの直列接続からなる第1の直列LEDユニット107と複数のLEDの直列接続からなる第2の直列LEDユニットであって第1の直列LEDユニット107と逆並列に接続された第2のLEDユニット108とからなるLEDモジュール109が共振コンデンサ9と並列に接続されている。LEDを逆並列状に接続して点灯させた場合は、インバータ回路102の交流出力電流の半波電流が直接LEDに供給されるが、本実施の形態2のLED点灯装置120−2によれば、スイッチング素子7bの電流を検出するので、LEDの接続方式によらず、容易に電流検出及びフィードバック制御が可能となる。図7において2つのダイオードからなるダイオード部23は、LEDへの逆電圧保護用ダイオードである。なお、図7に示すLEDの接続方式においても、カレントトンランス、検出抵抗などを用いて直接LEDに流れる電流を検出してもフィードバック制御が可能であることはいうまでもない。
【0029】
また図8は、図7に示した逆並列のLED接続方式において、直接LEDに流れる電流を検出する方式のLED点灯装置120−3の構成を示す図である。
LED点灯装置120−3は、図8に示すように、LED電流検出抵抗14の代わりにカレントトランス36が配置された構成である。すなわち、フィードバック制御部105は、LEDユニット107、108を流れるLED電流がカレントトランス36の2次巻線に発生させる電圧(対応信号の一例)を検出し、フィードバック制御に使用する。
【0030】
また、図9は、インバータ回路102のスイッチング素子7aあるいはスイッチング素子7bを流れる電流を検出する2方式を説明する図である。図9(a)は、図6、図7に示した方式である。図9(a)の方式は、スイッチング素子7b(第2のスイッチング素子)を流れる電流を検出する方式である。この方式に限らず、図9(b)に示す方式でもよい。図9(b)に示す方式は、スイッチング素子7a(第1のスイッチング素子)を流れる電流を検出する方式である。このように、フィードバック制御部105は、図9(a)あるいは図9(b)の方式によってスイッチング素子7aとスイッチング素子7bとのいずれかに流れる電流に対応する電圧をインバータ電流検出抵抗22から検出し、この検出結果に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0031】
本実施の形態2のLED点灯装置によれば、LEDの寿命、製造ばらつきによる特性ばらつき、LED点灯回路の部品ばらつき等があっても、LEDに略一定の電流を供給することが可能となり、装置間による明るさのばらつきを抑制することができ、正確なLEDの調光制御を達成する。
【0032】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3のLED点灯装置130の回路図である。実施の形態1のLED点灯装置との違いは、抵抗26、コンデンサ27、抵抗28、及び例えばトランジスタなどによって実現されるスイッチ手段24、25を設けたことである。ここでは、点灯始動時、消灯時の回路動作について述べる。その他、回路構成等、実施の形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0033】
LEDユニット106が消灯状態のとき、商用交流電源1投入または調光コントローラ19などにより、LED13のオンを指示する信号(点灯指示信号)が出力された場合、LED13が瞬時に定格(全光)点灯状態または目標電流値で点灯すると、人は瞬間的に眩しさを強く感じ、不快感を得る。そのため電源投入時の点灯初期は明るさを絞った調光状態または下限LED電流値から点灯し、時間経過とともに明るく点灯する、いわゆるフェードイン点灯方式が求められる。
【0034】
そこで本実施の形態3においては、商用交流電源1投入時または調光コントローラ19などにより点灯を指示する信号が出力された場合、インバータ駆動周波数をLED13が点灯しない十分高い周波数で駆動させ、その後、時間経過とともにインバータ駆動周波数を下げて目標電流値で動作を行う。
【0035】
インバータ駆動周波数が十分高い状態とは、第2インダクタ8、及び共振コンデンサ9からなる直列共振回路の共振周波数foから十分外れた領域、すなわち図11に示す共振カーブのa点の周波数でインバータ回路102を駆動することである。この状態においては共振コンデンサ9にはLEDを点灯させるに十分な電圧が発生しないため、第2整流回路10を介して共振コンデンサ9と並列に接続されたLED13は点灯しない。
【0036】
この状態から徐々に周波数を下げていくと(図11の矢印の方向)、共振点foに近づく方向となり、共振コンデンサの電圧が上昇し、所定の周波数において調光状態で点灯することとなる。その後LED電流が調光コントローラ19により設定された目標レベルとなるまでインバータ駆動周波数を下げて、目標信号レベルになると、以後その状態で点灯を維持する。
【0037】
このようにインバータ駆動周波数を第2インダクタ8と共振コンデンサ9からなる直列共振回路の共振周波数より外れた高い周波数から徐々に周波数を下げる制御を行うことにより、瞬時に目標設定レベルで点灯することによる眩しさを抑制することができる。
【0038】
次に図12〜図14を参照してフェードイン点灯、フェードアウト消灯の動作を説明する。図12は、スイッチの切り替えタイミングを示す図である。図13、図14はフェードイン点灯、フェードアウト消灯の動作フローである。商用交流電源1投入による点灯指示信号、または調光コントローラ19により点灯指示信号が出力された場合(T=a)(S201)、スイッチ手段24、スイッチ手段25はオフ状態となる(S202)。すなわち、スイッチ手段24、スイッチ手段25は点灯指示信号が出力されるとオフ状態となるように構成されている。これにより目標信号18に基づく電圧が抵抗28、抵抗26を介してコンデンサ27に充電される。ここで、抵抗26の値を十分大きな値とすることにより、コンデンサ27への充電時間が長くなり、コンデンサ27の電圧は徐々に増加していく(S203)。
【0039】
したがって誤差増幅器17に入力される目標LED電流値の信号はコンデンサ27の充電に伴って徐々に増加していくことによりフェードイン点灯し、徐々に明るくなる。電源投入直後はコンデンサ27の電圧がゼロであるため、目標LED電流もゼロとなり、インバータ回路102はLEDが点灯しない十分高い周波数で駆動することとなる。また、電源投入後コンデンサ27の電圧が目標信号18の電圧レベルまで到達する時間は、抵抗28、26の合成抵抗値Rとコンデンサ27の静電容量Cできまり、およそ5×C×R[秒]である。コンデンサ27の電圧が目標信号レベルに到達後(T=b)、スイッチ手段24はオン状態となる(S204)(オン状態となるように構成されている)。これは目標信号18が変化した場合の応答速度を向上させるためである。
【0040】
以上のように、電源投入時または調光コントローラ19から点灯を指示する信号が出力された場合、誤差増幅器17に入力されるLEDの目標電流値を徐々に増加させていくことにより、フェードイン点灯を行う。これにより点灯初期に瞬時に目標LED電流値で点灯することによる眩しさを低減することができる。
【0041】
また、同様の原理によりに、LEDが目標設定レベルの明るさで点灯状態のとき、調光コントローラよりLEDを消灯する信号が出力された場合、インバータ駆動周波数を時間経過とともに高くしていくことにより、徐々に明るさを絞って消灯する、いわゆるフェードアウト消灯させることが出来る。これによりLED消灯時、瞬時にLEDが暗くなることを防ぐ。
【0042】
この動作について図12のスイッチ切り替え参照して説明する。調光コントローラ19により消灯を指示する信号がT=cの時点で出力されたとすると(S301)、スイッチ手段24はオフ、スイッチ手段25はオンとなる(S302)。これにより目標信号18の電圧は抵抗28を介して短絡され誤差増幅器17への入力はゼロとなり、コンデンサ27に充電された電荷は抵抗26を介して放電される。このとき抵抗26の値が十分大きければ、コンデンサ27の放電はゆっくり行われ、コンデンサ27の電圧は徐々に下がる(S303)。これに追従してインバータ駆動周波数は、LED電流を絞るため徐々に上昇していく。時間経過とともにコンデンサ27の電圧がゼロになると、LEDは消灯する(S304)。
【0043】
以上のようにコンデンサ27の電圧を徐々に低下させることにより、目標LED電流が徐々に低下することになり、インバータ周波数がこれに追従してフィードバックされ、フェードアウト消灯することとなる。
【0044】
以上のようにインバータ駆動周波数を制御すれば、容易にフェードイン点灯、フェードアウト消灯が可能となり、点灯時・消灯時の不快感を抑制することができる。
【0045】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4は、実施の形態1に示す回路構成と同一構成であり、第2インダクタ8、共振コンデンサ9の定数設定について述べる。その他、回路構成・回路動作等は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
図1で示した回路構成の第2インダクタ8、共振コンデンサ9はLC直列共振回路を構成し、LED13が接続されていない場合、図11に示したような共振特性となる。図11において、第2インダクタ8のインダクタンスをL、共振コンデンサ9の静電容量をCとすると、周波数がfo=1/(2π(LC)1/2)となるとき、共振周波数となり、共振コンデンサ9には最大電圧が発生する。
【0047】
このような回路構成において、インバータ駆動周波数が共振周波数foより低い動作周波数でLEDを点灯させた場合、何らかの原因によりLEDが故障し、オープン状態となった場合、インバータ回路102は進相領域で動作するため、インバータ回路102が破壊する恐れがある。また、インバータ駆動周波数が共振周波数fo付近で動作し、同様にLEDがオープン故障した場合、共振コンデンサ9に過大な電圧が発生し、共振コンデンサ9、第2平滑コンデンサ12が過電圧により破壊する恐れがある。
【0048】
そこで本実施の形態4では、全光時のインバータ駆動周波数fmを1/1/(2π(LC)1/2)より高くなるように第2インダクタ8、共振コンデンサ9の値を決定する。このように1/(2π(LC)1/2)<fmと設定することで何らかの原因でLEDがオープン故障してもインバータ周波数は遅相領域で動作し、共振周波数より高い周波数で動作しているので共振コンデンサ9に過大な電圧が発生せず、 LED点灯装置の破壊を防ぐことが出来る。また、調光時は全光時より高い周波数で動作するため、問題ない。
【0049】
以上のように、インバータ駆動周波数が第2インダクタ8、共振コンデンサ9の直列共振周波数以下の低い周波数で動作させることを避けることにより、LED故障時のLED点灯回路の破壊を抑制することができる。
【0050】
実施の形態5.
図15は、実施の形態5のLED照明装置500の側断面図である。LED照明装置500の照明装置本体29の内部には、実施の形態1〜4で説明したいずれかのLED点灯装置が収納されており、電源線31、コネクタ32を介して電源に接続される。LED33は照明装置本体29の発光面に装着され、配線34によりLED点灯装置30に接続され、LED照明装置500を形成する。
【0051】
実施の形態5に係るLED照明装置500によれば、LEDの寿命、製造ばらつきによる特性ばらつき、LED点灯回路の部品ばらつき等があっても、LEDに略一定の電流を供給することが可能となり、装置間による明るさのばらつきを抑制することができ、正確なLEDの調光点灯を達成するものである。
【符号の説明】
【0052】
1 商用交流電源、2 第1整流回路、3 第1インダクタ、4 スイッチング素子、5 ダイオード、6 第1平滑コンデンサ、7 スイッチング素子、8 第2インダクタ、9 共振コンデンサ、10 第2整流回路、11 直流カットコンデンサ、12 第2平滑コンデンサ、13 LED、14 LED電流検出抵抗、15 LED電流検出回路、16 フォトカプラ、17 誤差増幅器、18 目標信号、19 調光コントローラ、20 電圧制御発振器、21 スイッチング素子駆動回路、22 インバータ電流検出抵抗、23 ダイオード部、24 スイッチ手段、25 スイッチ手段、26 抵抗、27 コンデンサ、28 抵抗、29 照明装置本体、30 LED点灯装置、31 電源線、32 コネクタ、33 LED、34 配線、101 昇圧チョッパ回路、102 インバータ回路、103 直流電源回路、105 フィードバック制御部、106,107,108 LEDユニット、109 LEDモジュール、110−1,110−2,120−1,120−2,120−3,130 LED点灯装置、500 照明装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する直流電源回路と、
前記直流電源回路によって変換された前記直流電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力側に接続されて直流成分をカットする直流カットコンデンサと、
前記直流カットコンデンサと直列に接続されたインダクタと、
前記インダクタと直列に接続された共振用の共振コンデンサと、
前記共振コンデンサと並列接続され、前記インバータ回路からの出力電流を直流電流に変換し、変換された前記直流電流を出力端子からLED(Light Emitting Diode)に供給する全波整流回路と、
前記LEDに流れるLED電流に対応する対応信号を検出すると共に、前記対応信号と比較する比較対象信号を出力する比較対象信号出力装置から前記比較対象信号を入力し、前記対応信号と前記比較対象信号とを比較して比較結果を生成し、生成された前記比較結果に従って前記インバータ回路の駆動周波数を制御するフィードバック制御部と
を備えたことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記フィードバック制御部は、
前記対応信号として、前記LEDを通過した電流が第1の抵抗を通過する際の電圧を検出することを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記インバータ回路は、
第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とが直列接続されて構成されると共に前記第1のスイッチング素子が前記直流電源回路の正極側に接続され、第2の抵抗を介して前記第2のスイッチング素子が前記直流電源回路の負極側に接続され、
前記フィードバック制御部は、
前記対応信号として、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とのいずれかに流れる電流に対応する電圧を前記第2の抵抗から検出することを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記全波整流回路は、
前記出力端子に接続されて前記直流電流を平滑化する平滑用コンデンサを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のLED点灯装置。
【請求項5】
交流電圧を直流電圧に変換する直流電源回路と、
前記直流電源回路によって変換された直流電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路の出力側に接続されて直流成分をカットする直流カットコンデンサと、
前記直流カットコンデンサと直列に接続されたインダクタと、
前記インダクタと直列に接続されると共に、複数のLED(Light Emitting Diode)の直列接続からなる第1の直列LEDユニットと複数のLEDの直列接続からなる第2の直列LEDユニットであって前記第1の直列LEDユニットと逆並列に接続された第2のLEDユニットとからなるLEDモジュールと並列に接続される共振用の共振コンデンサと、
前記LEDモジュールを構成するLEDに流れるLED電流に対応する対応信号を検出すると共に、前記対応信号と比較する比較対象信号を出力する比較対象信号出力装置から前記比較対象信号を入力し、前記対応信号と前記比較対象信号とを比較して比較結果を生成し、生成された前記比較結果に従って前記インバータ回路の駆動周波数を制御するフィードバック制御部と
を備えたことを特徴とするLED点灯装置。
【請求項6】
前記フィードバック制御部は、
前記対応信号として、前記LEDを通過した電流がカレントトランスの2次巻線に発生させる電圧を検出することを特徴とする請求項5記載のLED点灯装置。
【請求項7】
前記インバータ回路は、
第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子とが直列接続されて構成されると共に前記第1のスイッチング素子が前記直流電源回路の正極側に接続され、第2の抵抗を介して前記第2のスイッチング素子が前記直流電源回路の負極側に接続され、
前記フィードバック制御部は、
前記対応信号として、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とのいずれかに流れる電流に対応する電圧を前記第2の抵抗から検出することを特徴とする請求項5記載のLED点灯装置。
【請求項8】
前記フィードバック制御部は、
前記対応信号を検知し、検知した前記対応信号を出力する対応信号検知部と、
前記対応信号検知部の出力した前記対応信号を入力すると共に、前記比較対象信号出力装置から前記比較対象信号を入力し、前記対応信号と記比較対象信号を比較する比較部と
を備え、
前記対応信号検知部は、
フォトカプラを有すると共に、前記フォトカプラによって前記対応信号を出力することを特徴とする請求項1または2または5または6のいずれかに記載のLED点灯装置。
【請求項9】
前記フィードバック制御部は、
点灯を指示する点灯指示信号を入力すると、前記インバータ回路の駆動周波数を制御することにより、前記LEDの発光状態を次第に高輝度状態へと遷移させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のLED点灯装置。
【請求項10】
前記フィードバック制御部は、
消灯を指示する消灯指示信号を入力すると、前記インバータ回路の駆動周波数を制御することにより、前記LEDの発光状態を次第に低輝度発光状態へと遷移させて消灯することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のLED点灯装置。
【請求項11】
前記インバータ回路は、
駆動周波数が、前記インダクタと前記共振コンデンサとから決まる直列共振周波数よりも高いこと特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のLED点灯装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のLED点灯装置を備えた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−60615(P2011−60615A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209881(P2009−209881)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】