説明

LED照明基板の製造方法

【課題】低コストで良好な照明特性を確保することができるLED照明基板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のLED素子を基板に実装して構成されたLED照明基板の製造において、複数のLED素子が素子実装位置に実装された基板を対象として、光拡散レンズを装着する装着基準位置を検出しておき、基板への接着剤塗布後のレンズ装着に際しては、検出された装着基準位置に基づき光拡散レンズを各LED素子に装着する。これにより、LED素子に対して適正位置に光拡散レンズを装着することができ、LED照明基板の製造において低コストで良好な照明特性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED素子を基板に実装して構成されたLED照明基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどの表示パネルのバックライト用の光源装置として、LED素子を基板に実装したLED照明基板が広く用いられる。表示パネルのバックライトには、パネル領域の各位置において均一な照度を与えることが求められ、この用途に用いられるLED照明基板には一般に多数のLED素子が高密度で配列される。このため、バックライト用のLED照明基板はコスト高となることが避けられず、従来よりLED照明基板の低コスト化が求められていた。このような要請に対応するため、LED素子の数量の低減によるコストダウンを図ることを目的として、LED素子に光拡散用のレンズを装着する方法が用いられるようになっている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に示す先行技術には、LED発散光をレンズの中心方向、周辺および側方向に均一に拡散させるための光拡散レンズの例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−332054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の先行技術例を含め従来技術においては、LED素子に対して光拡散レンズを正しく位置合わせすることが困難であることに起因して、照明光の照度が不均一になるという問題が生じていた。すなわち従来技術では、複数のLED素子が実装された基板に光拡散レンズを実装する実装過程において、予め設計段階で準備された実装位置データを用いた位置合わせを行っていた。
【0005】
ところがLED素子の実装後の位置は必ずしも実装位置データ通りであるとは限らず、幾分かの誤差が避けがたい。さらに個々のLED素子の発光特性は一様ではなく、必ずしもLED素子の中心位置に照明光の輝度中心が一致しているとは限らない。このため、光拡散レンズを実装位置データを用いてLED素子に装着すると、バックライトとしての照明光の分布特性にばらつきが生じる結果となる。このように従来技術においては、低コストでLED照明基板の良好な照明特性を確保することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、低コストで良好な照明特性を確保することができるLED照明基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のLED照明基板の製造方法は、基板に実装された複数のLED素子を光源とし前記LED素子に個別に光拡散レンズを装着して成るLED照明基板を製造するLED照明基板の製造方法であって、前記複数のLED素子が素子実装位置に実装された基板を対象として、前記光拡散レンズを装着する装着基準位置を検出する装着基準位置検出工程と、前記基板の前記素子実装位置に光拡散レンズを固着するための接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、前記装着基準位置検出工程にて検出された装着基準位置に基づき、前記光拡散レンズを各LED素子に装着して前記接着剤に接触させるレンズ装着工程と、前記レンズ装着工程後の基板を加熱することにより前記接着剤を硬化させて前記光拡散レンズを基板に固着する接着剤硬化工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のLED素子が素子実装位置に実装された基板を対象として、光拡散レンズを装着する装着基準位置を検出しておき、基板への接着剤塗布後のレンズ装着に際しては、検出された装着基準位置に基づき光拡散レンズを各LED素子に装着することにより、LED素子に対して適正位置に光拡散レンズを装着することができ、LED照明基板の製造において低コストで良好な照明特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の各工程を示すフロー図
【図3】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【図4】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【図5】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【図6】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【図7】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【図8】本発明の一実施の形態のLED照明基板の製造方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、LED照明基板の製造システム1の構成を説明する。LED照明基板の製造システム1は、基板に実装された複数のLED素子を光源とし、LED素子に個別に光拡散レンズを装着して成るLED照明基板を製造する機能を有するものである。LED照明基板の製造システム1は、基板4(図3参照)にLED素子12(図4参照)を実装する作業を実行するための複数の装置を連結したLED実装ライン1aと、LED素子が実装された後の基板に光拡散レンズ26(図7参照)を装着する作業を実行するための複数の装置を連結したレンズ装着ライン1bに大別される。
【0011】
LED実装ライン1a、レンズ装着ライン1bを構成する各装置はLANシステム2を介して相互の接続されており、さらに管理コンピュータ3に接続されている。なおLED実装ライン1a、レンズ装着ライン1bは一繋ぎの一連の製造ラインとして配置してもよく、LED実装ライン1a、レンズ装着ライン1bを独立した製造ラインとして、LED実装ライン1a、レンズ装着ライン1b間で中間製品の基板4を搬送する(矢印a)ようにしてもよい。
【0012】
ここでLED実装ライン1aを構成する各装置について説明する。印刷装置M1は、照明基板を構成するベースとなる基板4に部品接合用の半田を印刷する。印刷検査装置M2は、基板4に印刷された半田の印刷位置や半田量などの印刷状態を検査する。部品実装装置M3は、半田印刷後の基板4にLED素子12を実装する。実装検査装置M4は、基板4におけるLED素子12の位置などの実装状態を検査する。リフロー装置M5は、LED素子実装後の基板4を加熱して半田を溶融させLED素子12を基板4に接合する。
【0013】
次いでレンズ装着ライン1bを構成する各装置について説明する。位置検出装置M6は、LED素子12が実装された基板4を対象として所定の計測作業を行うことにより、光拡散レンズ26を装着するための装着基準位置を検出する。接着剤塗布装置M7は、装着基準位置を検出後の基板4に光拡散レンズ26を固着するための接着剤を塗布する。レンズ装着装置M8は、接着剤が塗布された後の基板4に光拡散レンズ26を装着する。キュア装置M9は、光拡散レンズ26が装着された後の基板4を加熱することにより接着剤を熱硬化させる。
【0014】
次に、LED照明基板の製造処理フローについて、図2に示すフローに則して図3以下の各図を参照しながら説明する。図3(a)に示すように、照明基板を構成するベースとなる基板4においてLED素子12が実装される素子実装位置には、LED素子を接合するための電極4aが形成されている。なお、図示例では電極4aが1つのみ図示されているが、実際に照明基板として用いられる基板4では複数の電極4aのそれぞれについてLED素子12が実装される。
【0015】
基板4はまず印刷装置M1に搬入され、ここで基板4を対象としてスクリーン印刷が行われる(ST1)。これにより、図3(b)に示すように、電極4a上には部品接合用の半田ペースト5が印刷される。次いで基板4は印刷検査装置M2に搬入される。ここでは図3(c)に示すように、半田ペースト5が印刷された基板4は検査用カメラ6によって撮像され、この撮像結果を印刷検査処理部7によって検査処理することにより、基板4における半田ペースト5の印刷状態の良否が検査される(ST2)。そして印刷検査結果により良品であると判定された基板4は、部品実装装置M3に搬入され、ここで図3(d)に示すように、実装ヘッド8に保持されたLEDパッケージ9を、基板4に印刷された半田ペースト5上に着地させる(ST3)。
【0016】
図4(a)は、LEDパッケージ9の概略構成を示している。ここでは、単体のLED素子12を個片基板10に設けられたLED実装部11内に予め実装した後に、LED素子12を発光性の樹脂13によって樹脂封止してLEDパッケージ9を構成し、このLEDパッケージ9の状態のLED素子12を基板4に実装する例を示している。もちろん、単体のLED素子12を直接基板4に半田接合により実装して照明基板を製造する構成であってもよい。
【0017】
次にLED実装済みの基板4は実装検査装置M4に搬入される。ここでは図4(b)に示すように、LEDパッケージ9が実装された基板4は検査用カメラ14によって撮像され、この撮像結果を実装検査処理部15によって検査処理することにより、LEDパッケージ9の位置や姿勢など基板4におけるLEDパッケージ9の実装状態の良否が検査される(ST4)。実装検査結果により良品であると判定された基板4は、リフロー装置M5に搬入される。そしてここで所定の加熱プロファイルで基板4を加熱することにより、図4(c)に示すように、半田ペースト5が溶融固化してLEDパッケージ9を基板4に半田接合する半田接合部5*が形成される(ST5)。
【0018】
図5(a)はこのようにしてLEDパッケージ9が実装された基板4の平面を示している。このとき、部品実装装置M3における部品搭載位置精度や、リフロー装置M5における半田接合時のLEDパッケージ9の表面張力による移動などに起因して、半田接合後のLEDパッケージ9は必ずしも設計情報によって規定される正規位置にあるとは限らず、X方向、Y方向のいずれについても幾分かの位置ずれが存在する。そしてこのような位置ずれ状態のLEDパッケージ9に対して設計情報に示される正規位置に光拡散レンズ26を装着すると、発光源であるLED素子12に対して光拡散レンズ26の光軸が正しく位置合わせされず、光拡散特性にばらつきを生じる。このため本実施の形態においては、光拡散レンズ26の装着に先立って、基板4におけるLED素子12の位置又はLED素子12による照明光の輝度中心位置を、光拡散レンズ26を装着するための装着基準位置として予め検出するようにしている。
【0019】
すなわちLEDパッケージ9が実装された後の基板4は、位置検出装置M6に搬入される。ここでは図5(b)に示すように、LEDパッケージ9が実装された基板4は位置検出用カメラ16によって撮像され、この撮像結果を実装位置検出部17によって位置検出処理することにより、基板4におけるLEDパッケージ9の位置が検出される。この位置検出においては、図5(c)に示すように、LEDパッケージ9におけるLED素子12の中心位置を、X方向、Y方向の位置座標として検出する。
【0020】
そしてこの位置検出結果は、光拡散レンズ26を装着するための装着基準位置としてレンズ装着装置M8の実装制御部へ、フィードフォワードデータとしてLANシステム2を介して出力される(ST6)。すなわち複数のLED素子12が素子実装位置に実装された基板4を対象として、光拡散レンズ26を装着する装着基準位置を検出する(装着基準位置検出工程)。そして図5に示す例では、装着基準位置検出工程においてLED素子12の位置を光学的に検出した位置検出結果に基づいて、装着基準位置を検出するようにしている。
【0021】
なおLED素子12の位置を光学的に検出して、位置検出用カメラ16の装着基準位置とする代わりに、図6に示すように、LED素子12が発光する照明光の輝度分布を基準とするようにしてもよい。すなわち、図6(a)に示すように、LEDパッケージ9が実装された後の基板4は、位置検出装置M6Aに搬入される。ここでは基板4の上方には暗室部21を備えた光検出部22が位置しており、光検出部22をLEDパッケージ9に対して下降させることにより、暗室部21によって閉囲された計測空間が形成される。
【0022】
この状態で電源装置20によってLEDパッケージ9に電力を供給してLED素子12を発光させ、発光された照明光を光検出部22によって受光する。そしてこの受光結果を輝度分布検出部23が処理することにより、図6(b)に示すように、LED素子12から発光される照明光の輝度分布を示す計測曲線Lにおける輝度中心CPが、X方向、Y方向について求められる。そして輝度中心CPを示すデータは、同様にレンズ装着装置M8の実装制御部へフィードフォワードデータとしてLANシステム2を介して出力される。
【0023】
すなわち、図6に示す例では、装着基準位置検出工程において、LED素子12が発光する照明光の輝度中心CPを検出した輝度中心検出結果に基づいて、光拡散レンズ26の装着基準位置を検出するようにしている。このような方法を採用することにより、LED素子12の発光特性において輝度分布に偏りがある場合においても、光拡散レンズ26を正しい位置に装着することができる。
【0024】
次に、基板4の素子実装位置に光拡散レンズ26を固着するための接着剤を光拡散レンズ26に転写する(接着剤転写工程)(ST7)。すなわち、基板4は接着剤塗布装置M7に搬入され、図7(a)、(b)に示すように、基板4の上面におけるLEDパッケージ9の周囲には、ディスペンサ24によってエポキシ樹脂などの接着剤25が複数点塗布される。
【0025】
次に接着剤塗布後の基板4に対して光拡散レンズ26の装着が行われる(ST8)。すなわち基板4はレンズ装着装置M8に搬入され、実装ヘッド27によって保持された光拡散レンズ26をLEDパッケージ9を覆って装着し、基板4に塗布された接着剤25に接触させる。光拡散レンズ26は、LEDパッケージ9のLED素子12が発光した照明光を水平方向に拡散させることにより、少ない数のLED素子12によって極力広い照明範囲を確保することを目的として装着されるものである。このように光拡散レンズ26はLEDパッケージ9の上方を覆って装着されるため、本実施の形態に示す例では、光拡散レンズ26の下面側にはLEDパッケージ9との干渉を避けるための凹部26aが設けられている。なお、光拡散レンズ26の形状としては、下面に凹部26aが設けられたもの以外にも、下面側に接着剤25による接着用の凸部が設けられたものなど、多様な形状のものを適宜選択して用いることができる。
【0026】
この光拡散レンズ26の装着においては、実装ヘッド27を移動させるレンズ実装機構28を実装制御部29によって制御することにより、光拡散レンズ26のLED素子12に対する位置合わせが行われる。このとき、実装制御部29には位置検出装置M6の実装位置検出部17、あるいは位置検出装置M6Aの輝度分布検出部23から、光拡散レンズ26の装着基準位置を示すデータがフィードフォワードされており、レンズ実装機構28はこの装着基準位置にしたがって、光拡散レンズ26をLED素子12に対して位置合わせする。これにより、図7(d)に示すように、光拡散レンズ26の光軸点26bは予め検出された装着基準位置に位置合わせされる。すなわちここでは、装着基準位置検出工程にて検出された装着基準位置に基づき、光拡散レンズ26を各LEDパッケージ9が備えたLED素子12に装着して接着剤25に接触させる(レンズ装着工程)。
【0027】
この後接着剤25の熱硬化が行われる(ST9)。すなわち図8(a)に示すように、レンズ装着後の基板4はキュア装置M9に搬入され、ここで所定加熱条件で加熱される。これにより、接着剤25が熱硬化し、図8(b)、(c)に示すように、基板4に実装されたLEDパッケージ9を上方から覆って装着された光拡散レンズ26を基板4に固着する樹脂固着部25*が形成される(接着剤硬化工程)。
【0028】
上記説明したように、本実施の形態に示すLED照明基板の製造方法においては、複数のLED素子12が素子実装位置に実装された基板4を対象として、光拡散レンズ26を装着する装着基準位置を予め検出しておき、基板4への接着剤25塗布後のレンズ装着に際しては、検出された装着基準位置に基づき光拡散レンズ26を各LED素子12に装着するようにしている。これにより、LED素子12に対して適正位置に光拡散レンズ26を装着することができ、LED照明基板の製造において低コストで良好な照明特性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のLED照明基板の製造方法は、低コストで良好な照明特性を確保することができるという効果を有し、複数のLED素子を基板に実装して構成されたLED照明基板を製造する技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 LED照明基板の製造システム
4 基板
4a 電極
5 半田ペースト
5* 半田接合部
9 LEDパッケージ
12 LED素子
25 接着剤
26 光拡散レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された複数のLED素子を光源とし前記LED素子に個別に光拡散レンズを装着して成るLED照明基板を製造するLED照明基板の製造方法であって、
前記複数のLED素子が素子実装位置に実装された基板を対象として、前記光拡散レンズを装着する装着基準位置を検出する装着基準位置検出工程と、
前記基板の前記素子実装位置に光拡散レンズを固着するための接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記装着基準位置検出工程にて検出された装着基準位置に基づき、前記光拡散レンズを各LED素子に装着して前記接着剤に接触させるレンズ装着工程と、
前記レンズ装着工程後の基板を加熱することにより前記接着剤を硬化させて前記光拡散レンズを基板に固着する接着剤硬化工程とを含むことを特徴とするLED照明基板の製造方法。
【請求項2】
前記装着基準位置検出工程において、前記LED素子の位置を光学的に検出した位置検出結果に基づいて、前記装着基準位置を検出することを特徴とする請求項1記載のLED照明基板の製造方法。
【請求項3】
前記装着基準位置検出工程において、前記LED素子が発光する照明光の輝度中心を検出した輝度中心検出結果に基づいて、前記装着基準位置を検出することを特徴とする請求項1記載のLED照明基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−238410(P2012−238410A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104988(P2011−104988)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】