説明

LED照明灯システムの制御方法、この方法により制御されるLED照明灯及びこの照明灯を制御するLED照明灯制御装置。

【課題】複数のLED照明灯の明るさを遠隔制御で調整する機能を備えることで、更なるランニングコストの低減を可能とするとともに、LEDの過熱による危険を防止できる、LED照明灯、LED照明灯の制御方法及びLED照明灯の制御装置を提供する。
【解決手段】LED照明灯制御装置1とAC電源ラインを介して複数のLED照明灯L11〜L2nが接続される。LED照明灯制御装置は、AC電源ラインを介して各LED照明灯に対してアドレス情報と照度情報とを送信し、これにしたがってLED照明灯が個別に照度等の調整を行う。これによって、照明電力を効果的に節約することが可能となる。また、LED照明灯は、1個でもその中の発光ダイオードが断線すれば消灯制御を行う機能を備え、過熱による危険防止ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)式照明灯及びその制御方法に関するものであり、より具体的には、複数のLED照明灯を遠隔制御により明るさを調整可能とする、LED照明灯及びそのLED照明灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明灯は、二酸化炭素削減や省エネ効果があり、また寿命が長く、紫外線、熱線がほぼゼロで虫が寄り付きにくいなど、数々の利点があり、近年急速に市場に普及されつつある。具体的には、現状のLEDの技術水準でも蛍光灯に比べて寿命は著しく長く、実質的には10年以上交換不要の製品も販売されている。
また、LED照明灯は、光エネルギーへの変換効率が従来から普及している電球や蛍光灯と比較して高いという特徴がある。例えば、このようなLED照明灯として下記特許文献1で提案されている従来技術がある。
【0003】
一方、従来の電球や蛍光灯と比べてLED照明灯は、製品単価が高いという欠点がある。このため、製造メーカは、LED照明灯の購入コストをカバーするランニングコストの低下や様々なメリットをアピールすることで、LED照明灯の利点を強調し、普及・販売活動を行っている。
【0004】
LED照明灯は、明るさの変換効率は白熱電球と比較すると著しく高いが、最も効率の高いインバータ式蛍光灯と比較すると、現在市販されているものは著しい差は見られない。したがって、市場に出回っているLED照明灯は、どちらかというと変換効率の低い白熱電球の代替の利用が多い。
【0005】
蛍光灯の代替としてのLED照明灯も市販されてはいるが、長寿命の特徴を生かして交換に手間がかかる街路灯、防犯灯、常夜灯、誘導灯、天井の高い体育館、寺院、病院などに限定された使われた方が多いのが現状である。このような状況であるからLED照明灯の明るさを調節するという市場の要望は稀である。
【0006】
一方、LED照明灯の技術進歩は著しく、インバータ式蛍光灯を凌駕する変換効率に達しており、近い将来、高性能のLEDを組み込んだLED照明灯が市場に現れる可能性は高くなっている。さらに、二酸化炭素削減を政策的に実行しなければならない状況から、電気料金が値上げされる可能性が高く、蛍光灯の代替としてLED照明灯が市場に受け入れやすい環境が整いつつある。
【0007】
このため、今後は高い変換効率のLED照明灯が市場に普及していき、更なるランニングコストの低下を求められ、最適な明るさに調整できるLED照明灯が求められると考えられる。例えば、コンビニエンスストアの照明を想定すると道路に面した昼間の照明は、電力を節約し50%程度の明るさにし、夜間は100%の明るさにするなどの機能が望まれるであろう。
【特許文献1】特開2010−97919公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のこの種のLED照明灯には、複数のLED照明灯の明るさを遠隔制御で調整する機能を備えたものは無かったといった課題を有していた。
また、LED照明灯では、発光ダイオードの過熱防止のため定電流駆動をするように奨励されているが、コスト削減のため複数のLEDブロックを一括して定電流駆動しているのが一般的である。このような構造では、一部のLEDブロックの発光ダイオードが断線すると、残りのLEDブロックの電流が増加するため、点灯している発光ダイオードに過電流が流れ、温度上昇を引き起こす。甚だしい場合には、発光ダイオードの過熱による火災の危険もあるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、複数のLED照明灯の明るさを遠隔制御で調整する機能を備えることで更なるランニングコストを低減可能にすると共に、発光ダイオードの過熱による危険を防止できる、LED照明灯、LED照明灯の制御方法及びLED照明灯の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のLED照明灯システムの制御方は、少なくとも1つ以上のLED照明灯と、この照明灯を制御するLED照明灯制御装置より構成されるLED照明灯システムの制御方法において、LED照明灯制御装置は、所定の制御信号を前記LED照明灯に送信し、LED照明灯は、制御装置より受信した前記制御信号の内容に応じて照明の明るさを調整することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載のLED照明灯システムの制御方法は、制御信号が交流電源から供給された電流を予め定められた規則に従って断続させた交流符号であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のLED照明灯システムの制御方法において、この制御信号は、交流電源を半波長単位で断続制御することで生成され、1波長を基準として、半波長の欠落の違いを第1の値または第2の値に割り当て、欠落が無い波長を第3の値とし、1波長以上の欠落を前記制御信号であることを示すスタートビットとすることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の符号方式は、符号の誤り検出のためのパリテイー符号の規則を示すものである。
【0014】
請求項5に記載のLED照明灯システムの制御方法は、LED照明灯には予めアドレスが設定され、LED照明灯制御装置は、このLED照明灯のアドレス情報と照度情報とを含んだ制御信号を送信することで、複数のLED照明灯を個別に制御することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載のLED照明灯システムの制御方法は、LED照明灯制御装置が時計機能を備え、予め設定された時刻にLED照明灯の明るさを調整する制御信号を送信することを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載のLED照明灯は、複数のLEDブロックからなる発光手段と、受信した制御信号に含まれたアドレス情報を検出するアドレス情報検出手段と、制御信号に含まれた照度情報を検出する照度情報検出手段と、アドレス検出手段がアドレス情報の一致を検出すると、照度情報検出手段が検出した照度情報に従って、発光手段の照度を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載のLED照明灯は、複数のLEDブロックに流れる電流を監視することで、LEDブロックの発光ダイオードの断線を、検出する断線検出手段を有することを特徴とする。
【0018】
請求項9に記載のLED断線検出方式は、複数のLEDブロックが並列接続された負荷を定電流駆動しているとき、一つ或いは複数のLEDブロックの断線が生じた場合、LEDブロックの電圧が上昇することを利用して断線を検出することを特徴としたものである。
【0019】
請求項10に記載のLED照明灯において、制御手段はLEDブロックに電流を供給する定電流駆動回路を有し、定電流駆動回路はLEDブロックに流れる電流に応じて電圧値が変わる電圧分圧回路と、この電圧分圧回路の電圧が一定になるように、前記LEDブロックに供給する電流を調整する電流調整回路とを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項11に記載のLED電流の制御は、LEDに供給される総電流を監視する電流検出回路に分流回路を付加して分流量を調整することにより総電流を調整することを特徴とするものである。
【0021】
請求項12に記載したLEDの断線検出方式は、予め単独LEDブロック電流が定められている場合、該電流が所定以上変化した場合、全LEDへの電流供給を停止することを特徴としている。例えば、全LEDブロックの総電流が一定なるよう制御している場合、電流監視していないブロックのLEDが断線した場合、監視しているブロックのLED電流は増加し、断線が複数のブロックで生じた場合さらに増加する事を利用している。
【0022】
請求項13は、LEDの断線を検出したとき、LEDブロックの総電流を制御して単独LEDブロック電流の増加を防止してLEDの異常過熱を防止する方式に関するものである。
【0023】
請求項15は、マイクロプロセッサーを使用した本発明のLED照明灯の照度制御及び断線時の制御に関するものである。
【0024】
請求項17に記載のLED照明灯制御装置は、少なくとも1つ以上のLED照明灯と接続され、この照明灯の照度制御を行う制御装置であり、LED照明灯を特定するアドレス情報を生成するアドレス情報生成手段と、アドレス情報生成手段で特定されたLED照明灯の照度情報を生成する照度情報生成手段と、アドレス情報及び照度情報を制御信号としてLED照明灯に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、交流電源のACラインに複数のLED照明灯を並列にLED照明灯制御装置に接続し、この制御装置でこれら照明灯を個別に照度の制御をできるようにした。このため、事務所、店舗、その他多くの建築物に、昼間の自然光を利用できる建造物に本発明のLED照明灯システムを設置すれば、昼間の消費電力を効果的に節減できる。
【0026】
また、本発明の照明灯は複数のLEDをブロックにまとめ、その複数ブロックを一括制御しており、ブロックの一個のLEDが断線するとこれを検出して全体の電流を制御して単一ブロック当たりのLED電流の上昇を防止し、また、複数のブロックでLEDの断線が生じて、単一ブロック当たりのLED電流の上昇を制御しきれなくなったら照明灯の消灯処理を行うので、LED照明灯の異常過熱を防止するとともに、消灯時の待機電力を最小限に抑制可能となり、安心して利用することができる。
【0027】
更に、本発明のLED照明灯は、その電子回路の大きさがコンパクトで、市販の蛍光管の大きさの中に組み込めるため、ケースなどで余計なコストを必要とせず、市場に安価に供給することができ経済的である。
LEDの技術進歩によりLEDの長寿命化、高効率化が進み、市場も多様化しLED照明灯の照度制御のニーズが高まる傾向にあり、本発明によって利用分野がさらに広がることが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施する一形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のLED照明灯システムの実施形態を示すシステム構成図である。本実施形態によるLED照明灯システムは、電源スイッチSW4を介して交流電源ACと接続されるLED照明灯制御装置1と、この制御装置1から送信される交流符号の制御信号によって、照明の明るさを調整する4つのLED照明灯L11、L1n、L21及びL2nより構成されている。
なお、このLED照明灯L11、L1n、L21及びL2nは、例えば、蛍光灯の代替として用いられる発光ダイオードが直列接続されたLED照明灯である。
【0029】
LED照明灯制御装置1は、前述したように4つのLED照明灯L11、L1n、L21及びL2nの照明の明るさを調整する制御装置であり、LED照明灯Lを特定する機能と、特定したLED照明灯の明るさを設定する機能とを備えている。
LED照明灯制御装置1は、制御信号を送出する端子AC1及びAC2を介して、これらLED照明灯Lと接続されている。なお、この制御信号は、交流電源から供給された電流を予め定められた規則に従って断続させた交流符号である。
制御信号を送出しないときは、AC1、AC2から合流電源がLED照明灯に供給される。
【0030】
以下、図1を用いてLED照明灯制御装置1の構成を説明する。図1に示すように、LED照明灯制御装置1は、電源スイッチSW4に端子1及び3が接続されたダイオードブリッジDB1を備えている。ダイオードブリッジDB1は、図2のaに示された例えば、AC100Vの波形をbの直流波形に整流する4つのダイオードにより形成されたブリッジ型全波整流回路である。ダイオードブリッジDB1の端子4は、逆流防止ダイオードD1のアノードに接続されている。
【0031】
ダイオードD1のカソードには、抵抗R7の一端が接続され、この抵抗R7の他端は、発光ダイオードとフォトトライアックとで組み合わされた、ゼロクロス制御ソリッドステートリレーSSR1の発光ダイオードのアノードに接続されている。ゼロクロス制御ソリッドステートリレーSSR1は、フォトトライアックの入力側がスイッチSW4を介して交流電源に接続され、出力側が端子AC1に接続されている。ゼロクロス制御ソリッドステートリレーSSR1は、発光ダイオードの点滅にしたがってフォトトライアックが制御され、端子AC1にLED照明灯Lを特定しかつその明るさを指定する制御信号を送出する。
制御信号を送出しないときは、SSR1を常に導通状態にして交流電源を供給する。
【0032】
ダイオードブリッジDB1の端子2(GND側)と端子4(Vcc側)の間には、分圧点P1の電圧を分圧する直列接続された分圧抵抗R12、R13が接続されている。ダイオードD1のカソードと抵抗R7の一端には、また、電解コンデンサーC1のプラス電極が接続され、このコンデンサーC1のマイナス電極には、ダイオードブリッジDB1の端子2が接続されている。
抵抗R7の他端には、また、一定の電圧にするツェナーダイオードZD1のカソードと、電解コンデンサーC2のプラス電極に接続されている。ツェナーダイオードZD1のアノードと電解コンデンサーC2のマイナス電極は、ダイオードブリッジDB1の端子2に接続されている。
【0033】
LED照明灯制御装置1は、内蔵ROM(図示せず)にプログラムが格納され、これにしたがって動作するAD変換器内蔵のマイクロプロセッサM1を備えている。このマイクロプロセッサM1は、端子1〜10を備え、LED照明灯Lの特定と照度とを設定する制御信号を生成する。端子10は、抵抗R7の他端に接続され、この端子10から電源が供給される。端子9は、押しボタンスイッチSW1を介して抵抗R7の他端に接続されている。
この押しボタンスイッチSW1は、LED照明灯Lの特定や照度を操作者が設定するときに使用するスイッチである。
【0034】
マイクロプロセッサM1の端子8は、切替スイッチSW2を介して抵抗R7の他端、またはダイオードブリッジDB1の端子2に接続される。同様に端子7は、切替スイッチSW3を介して抵抗R7の他端、またはダイオードブリッジDB1の端子2に接続される。端子6は、ゼロクロス制御ソリッドステートリレーSSR1の発光ダイオードのカソードに接続され、この端子6の電位がGNDになるとこの発光ダイオードに電流が流れて点灯し、フォトトライアックが導通状態になる。
【0035】
マイクロプロセッサM1の端子5は、カウンターIC1のリセット端子RSTに接続されている。このカウンターIC1は、4つの抵抗R10−1〜R10−4と4つの発光ダイオードLD10−1〜LD10−4からなるアドレス表示器10と、4つの抵抗R11−11−4と4つの発光ダイオードLD11−1〜LD11−4からなる照度表示器11の点灯制御を行うICである。
アドレス及び照度は各4個のLEDのON、OFFでいわゆる2進法で表示する。
【0036】
マイクロプロセッサM1の端子4は、カウンターIC1のクロック端子CLKにクロック信号を供給する。端子3は、クロック用コンデンサC3を介してダイオードブリッジDB1の端子2とカウンターIC1の接地端子GNDに接続されている。端子2は、分圧抵抗R12,R13で分圧された分圧点P1に接続され、この分圧点P1に現れる図2の波形bを観測することで交流波のゼロクロスポイントを検出する。端子1は、ダイオードブリッジDB1の端子2とカウンターIC1の接地端子GNDに接続されたGND端子である。
【0037】
カウンターIC1のイネーブル端子ENAは、アドレス表示器10の各抵抗R10−1〜10−4を介して発光ダイオードLD10−1〜10−4のアノードにそれぞれ接続されている。また、発光ダイオードLD10−1〜10−4のカソードは、カウンターIC1の端子Q3〜Q0にそれぞれ接続されている。同様にカウンターIC1のイネーブル端子ENAは、Vcc端子に接続されている。また、発光ダイオードLD11−1〜11−4のカソードは、カウンターIC1の端子Q4〜Q7にそれぞれ接続されている。
【0038】
LED照明灯制御装置1は、端子AC1及びAC2を介してLED照明灯L11L1n、L21及びL2nに接続されている。図1に記載されているLED照明灯Lは、その機能ブロック図が示されており、ダイオードブリッジDB、スイッチSW及び発光ダイオードやその制御装置からなる照明部Lightより構成されている。また、LED照明灯Lは、その電子回路の大きさがコンパクトであり、市販の蛍光管の筐体をそのまま利用可能な設計となっている。
【0039】
LED照明灯L11、L1n、L21及びL2nのダイオードブリッジDB1DB1n、DB21、DB2nは、それぞれ、端子1が端子AC1に接続され、端子3が端子AC2に接続されている。これらダイオードブリッジDBは、図2の波形aに示された例えば、AC100Vの波形を波形bの直流波形に整流する4つのダイオードにより形成されたブリッジ型全波整流回路である。ダイオードブリッジDB1、DB1n、DB21、DB2nで整流された電流は、それぞれ照明部Light11、1n、21、2nに供給される。
【0040】
LED照明灯L11、L1n、L21及びL2nのスイッチSW11、SW1n、SW21、Sw2nはそれぞれ、固有のアドレスが設定されたスイッチである。本実施の形態では、アドレスは、アルファベットA、B、Cの3文字によって示される。したがって、図1では4台のLED照明灯Lが接続されているが、実際には、9台までのLED照明灯を個別に制御可能である。すなわち、各スイッチには、
(A,A)、(A,B)、(A,C)、(B,A)、(B,B)、(B,C)、
(C,A)、(C,B)、(C,C)のいずれかがアドレス情報として重複せずに設定される。なお、本実施の形態ではスイッチSW11には(A,C)が設定されているものとする。
【0041】
図3を参照すると、図1に示したLED照明灯Lの回路図が示されている。LED照明灯Lは、図1に示したダイオードブリッジDBの他に、瞬間的な大電流を吸収するサージ吸収素子Z1、ノイズを防止するノイズフィルタF1を備えている。LED照明灯Lは、また、2値化符号検出回路A、照明用LEDブロックB、LEDブロックBの全電流を監視する回路C、スイッチング電源回路D、2値化制御信号の復号とLEDブロック電流計測とアドレス認識と照度認識とLEDブロック電流の制御及びスイッチング電源の停止機能を有する回路ブロックE及び直流電源回路Fを備えている。
【0042】
図1に示したLED照明灯LのスイッチSW(SW11、SW1n、SW21、SW2n)は、2値化符号復号回路内のSWで示されている。図1に示したLED照明灯Lの照明部Lightは、図3に示した各構成要素の中からダイオードブリッジDBとスイッチSWとを除いた部分になる。
ダイオードブリッジDBの端子4と端子2は、サージ吸収素子Z1を介してノイズフィルタF1に接続されている。ノイズフィルタF1は、電源ラインACを通してLED照明灯L内に入ってくるノイズを吸収するフィルタである。ノイズフィルタF1は、2値化符号検出回路Aに接続されている。
【0043】
2値化符号検出回路Aは、LED照明灯制御装置1から送信された制御信号を受信すると、図2の波形c,fに示すパルス信号に変換して2値化符号復号回路Eに出力する回路である。2値化符号検出回路Aは、逆流防止ダイオードD3、分圧抵抗R18、R27及び閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aにより構成されている。
【0044】
逆流防止ダイオードD3は、アノードがノイズフィルタF1のVcc側(+側)に、カソードが電解コンデンサC4のプラス電極側と照明用LEDブロックBに接続されている。抵抗R18の一端は、ノイズフィルタF1のVcc側に接続され、他端は、抵抗R27の一端と閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの入力端子1に接続されている。ここで抵抗R18と抵抗R27により電圧が分圧される個所を分圧点P1とする。抵抗R27の他端は、ノイズフィルタF1のGND側に接続されている。
【0045】
ここで、例えば、図2に示す波形dの電圧が端子AC1と端子AC2を介してダイオードブリッジDBに入力されると、ダイオードブリッジDBによって波形eに整形される。そして、この波形eは、閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの入力端子1に入力され、この回路IC3Aにより図2に示す波形fが、出力端子2より出力される。波形eの閾値電圧ShVが閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの閾値である。閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの出力端子2は,2値化符号復号回路Eに接続される。
【0046】
照明用LEDブロックBは、直列接続された発光ダイオードLD11〜LD1n、LD21〜LD2n、LD31〜LD3nを備えた3ブロックからなる光源部である。発光ダイオードLD11、LD21及びLD31のアノードはそれぞれ、2値化符号検出回路AのダイオードD3のカソードとスイッチング電源回路Dに接続されている。
発光ダイオードLD1nのカソードは,抵抗R22と抵抗R23の一端に接続され、抵抗R22の他端はPNPトランジスタQ5のベースに、抵抗R23の他端は,このトランジスタQ5のエミッタに接続されている。
【0047】
PNPトランジスタQ5は、発光ダイオードLD11〜LD1nに流れる電流を検出するトランジスタであり、コレクタが回路ブロックEに接続されている。発光ダイオードLD2nのカソードは抵抗R24の一端に、発光ダイオードLD3nのカソードは、抵抗R25の一端にそれぞれ接続されている。抵抗R22、抵抗R24及び抵抗R25の他端は、回路ブロックCに接続されている。
【0048】
回路ブロックCは、4つの抵抗R14、R15、R20、R28及びPNPトランジスタQ1により構成されている。抵抗R14及びR15の一端は、照明用LEDブロックBの抵抗R22、抵抗R24、抵抗R25の他端に接続されている。また、抵抗R14の他端は、PNPトランジスタQ1のエミッタに、抵抗R15の他端は、PNPトランジスタQ1のベース及びスイッチング電源回路Dに接続されている。
【0049】
抵抗R14≪抵抗R15で、抵抗R14を流れる電流が照明灯LEDブロックBに流れる全電流にほぼ等しい。PNPトランジスタQ1及び抵抗R14は、抵抗R15に流れる電流に比例したコレクタ電流Isを生成するための回路である。
PNPトランジスタQ1のコレクタは,抵抗R20の一端及び回路ブロックEに接続されている。
【0050】
抵抗R20の他端は、抵抗R28の一端及びスイッチング電源回路Dに接続されている。抵抗R28の他端がGND側に接続され、抵抗R20及び抵抗R28は、分圧点P3の分圧抵抗になっている。これにより、照明灯LEDブロックBに流される電流に比例した電圧が分圧点P3に現れ、スイッチング電源回路Dに印加される。
【0051】
スイッチング電源回路Dは、分圧点P3の電圧を一定に保つための電源回路である。スイッチング電源回路Dは、スイッチング電源用IC2を備え、これの端子3が分圧点P3と接続されている。スイッチング電源用IC2は、端子7が抵抗R16に、端子6が高周波用コンデンサC6に接続され、これら抵抗R16とコンデンサC6によりスイッチング周期が決定される。スイッチング電源用IC2はまた、ノイズ防止の目的で、端子2が高周波用コンデンサC7に、端子3が抵抗R30にそれぞれ接続されている。
【0052】
スイッチング電源用IC2はさらに、端子8が電源Vccに端子4がGNDに接続され、端子5がスイッチング用FET Q2のゲートに接続されている。スイッチング用FET Q2は、スイッチング電源用IC2により駆動される電界効果型トランジスタであり、ドレインがダイオードD2のアノードとインダクタL1の一端に、ソースがGND側に接続されている。ダイオードD2のカソードとインダクタL1の他端は、それぞれ、高周波用コンデンサC5の一端と他端とが接続されている。
【0053】
スイッチング電源用IC2は、スイッチング用FET Q2、ダイオードD2、インダクタL1及びコンデンサC5によりスイッチング電源として動作する。なお、ダイオードD2のカソードとコンデンサC5は、また、照明用LEDブロックBと接続されている。さらに、スイッチング電源用IC2の端子8は、また、直流電源回路Fと回路ブロックEとも接続されている。
【0054】
直流電源回路Fは、スイッチング電源用IC2、閾値機能付非反転バッファー回路IC3A、回路ブロックEのインバータIC4A及びマイクロプロセッサIC4に電源Vccを供給する直流電源回路である。直流電源回路Fは、インバータIC4Aからの出力に応じて直流電源の供給をオン、オフする素子としてPNPトランジスタQ3、NPNトランジスタQ4、抵抗R17、抵抗R19、抵抗R21、抵抗R26、抵抗R29を備えている。
【0055】
すなわち、トランジスタQ4のベースには、抵抗R29を介してインバータIC4Aの出力端子2と接続され、この出力端子がHレベルになるとコレクタ−エミッタ間を導通し、Lレベルの場合には非導通にする。トランジスタQ4は、そのコレクタが抵抗R21を介してトランジスタQ3のベースに接続されるとともに、エミッタがGNDに接続されている。トランジスタQ3は、抵抗R17と抵抗R21により分圧された電圧がベースに印加される。トランジスタQ3は、トランジスタQ4が導通状態では、コレクタ−エミッタ間が導通となり、非導通状態になるとこの間が非導通になるトランジスタである。
【0056】
トランジスタQ3のコレクタ−エミッタ間には、十分に抵抗値の高い抵抗R19が接続されている。トランジスタQ3のコレクタには、抵抗R26を介してツェナーダイオードZD2のカソードと電解コンデンサC8のプラス電極に接続されている。ツェナーダイオードZD2及び電解コンデンサC8は、スイッチング電源用IC2、閾値機能付非反転バッファー回路IC3A、回路ブロックE及びインバータIC4A及びマイクロプロセッサIC4に定電圧を供給する素子であり、そのアノードとマイナス電極は、GNDに接続されている。ツェナーダイオードZD2のカソードと電解コンデンサC8のプラス電極は、また、回路ブロックEに接続されている。
【0057】
回路ブロックEは、LED照明灯Lの各種制御を行う制御回路である。
すなわち、2値化符号復号回路Eは、制御装置1から受信した制御信号に応じた照明制御や、照明用LEDブロックBの発光ダイオードLDの断線等の異常を検出すると消灯制御を行い、異常過熱の防止を行う断線検出機能を備えている。2値化符号復号回路Eは、マイクロプロセッサIC4、スイッチSW、インバータIC4A、PNPトランジスタQ6、Q7、抵抗R31〜R38及びコンデンサC3により構成されている。
【0058】
スイッチSWは、LED照明灯Lのアドレス設定を行うアドレス設定用スイッチである。スイッチSWの端子aは、マイクロプロセッサIC4の端子4に、端子bは、端子5にそれぞれ接続されている。また、端子aは抵抗R37を介して、端子bは、抵抗R38を介してマイクロプロセッサIC4の端子2と電源VCCに接続されている。
【0059】
マイクロプロセッサIC4は、プログラムメモリ及びAD変換器内蔵のプロセッサであり、スイッチSWで設定されたアドレス値が、閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aより、端子9に入力した制御信号のアドレス情報と一致するか否かを判断する。また、マイクロプロセッサIC4の端子10は、インバータIC4Aの入力端子1とスイッチング電源用IC2(スイッチング電源回路D)の端子1に接続されている。
【0060】
マイクロプロセッサIC4は、アドレスが一致した場合、端子9より受信した照度情報に応じてトランジスタQ6とトランジスタQ7のスイッチング制御を行う。すなわち、マイクロプロセッサIC4の端子8は、抵抗R35を介してトランジスタQ6のベースに、端子7は、抵抗R33を介してトランジスタQ7のベースに接続され、これらトランジスタQ6、Q7をオンにする場合には、端子8、7の出力をそれぞれ「L」レベルに、オフにする場合には端子8、7の出力を「H」レベルにする。トランジスタQ6、Q7のエミッタは、LED全電流監視回路Cに接続され、コレクタはそれぞれ抵抗R32、抵抗R34を介してGNDに接続されている。
【0061】
マイクロプロセッサIC4は、また、抵抗R31及び抵抗R36で分圧された分圧点P4に端子6が接続されている。マイクロプロセッサIC4は、分圧点P4の電圧を端子6でLD11・・LD1nの電流を監視する。LD21・・LD2nブロックのLEDが断線するとブロックBは定電流駆動であるから、端子6の電圧が増加し、照明灯LEDブロックBの異常と判断すると、端子10の出力を「H」レベルにしてスイッチング電源回路Dの電源供給を停止する。マイクロプロセッサIC4は、端子3がノイズ防止用のコンデンサC9を介してGNDに、端子1がGNDに接続されている。
【0062】
図2は、本実施の形態によるLED照明灯システムの動作例を示す2値化符号の説明図である。波形aは、交流電源波形であり、LED照明灯制御装置1のダイオードブリッジDB1の入力波形である。波形aは、また、図3のLED照明灯Lに電源を供給している状態を示している。波形bは、波形aの全波整流波形であり、ダイオードブリッジDB1(LED照明灯制御装置1)及びLED照明灯LのダイオードブリッジDBの出力波形である。
【0063】
波形cは、波形bを閾値ShVでパルス変換した波形であり、図3の2値化符号検出回路Aの閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの出力端子2から出力される波形である。波形dは、波形aを半波長単位で欠落させたときの一例を示す波形であり、端子AC1、AC2に現れるLED照明灯Lの入力電圧である。波形eは、波形dの全波整流波形であり、図3の2値化符号検出回路Aの分圧点P1の電圧波形である。
【0064】
波形fは、波形eを閾値ShVでパルス変換した波形であり、2値化符号検出回路Aの閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの出力端子2から出力される波形である。波形fから分かるようにアドレス及び照度の設定を行う制御信号は、先頭から1波長のスタートビット(ST)、2波長のアドレスビット(Addr)、2波長の照度ビット(Lx)、1波長のパリティビット(P)で構成されている。すなわち制御信号は、1波長を基準として、半波長の欠落の違いを第1の値または第2の値に割り当て、欠落が無い波長を第3の値とし、1波長以上の欠落を制御信号であることを示すスタートビットとしている。本符号のSTビット、Addrコード、Lxコードのパルスの数をカウントしてトータルが偶数か奇数かでパリテイービットを決める。この例では、A又は、B又はCがパリテイービットの値となる。本システムは、照明灯に電源を供給している交流信号を断続して制御情報を送っているので、交流の断が継続することを避けるため以上の符号構成にしている。
【0065】
次に、図1、図2及び図3を用いて本発明によるLED照明灯システムの実施形態の動作を説明する。まず、LED照明灯制御装置1の切替スイッチSW3を「L」レベルから「H」レベルにしてアドレス・照度の設定モードにする。これによりマイクロプロセッサM1は、端子7が「L」レベルから「H」レベルに変化し、既存データがリセットされる。
【0066】
次に、切替スイッチSW2をアドレス設定側(「L」レベル)にし、押しボタンスイッチSW1を押して、マイクロプロセッサM1にLED照明灯Lのアドレスを設定する。続いて、切替スイッチSW2を照度設定側(「H」レベル)にし、押しボタンスイッチSW1を押下して、マイクロプロセッサM1にLED照明灯Lの照度を設定する。SW1を押下するごとにアドレス又は照度が1ステップ毎に増加するものとする。
【0067】
押しボタンスイッチSW1で押された内容は、アドレス表示器10や照度表示器11により可視表示されるので、間違えずに操作することができる。アドレス及び照度の設定が終わったら、切替スイッチSW3を「H」レベルから「L」レベルにして送信モードに切り替える。
【0068】
マイクロプロセッサM1は、端子7が「H」レベルから「L」レベルに変化したことを検出すると、アドレス情報及び照度情報の2値化符号を生成して端子6よりパルス送信する。マイクロプロセッサM1は、端子6よりパルス送信する際、端子2で波形b(図2)を観測し、交流波のゼロクロスポイントを検出して、半波長単位でゼロクロス制御ソリッドステートリレーSSR1を制御する。
【0069】
これにより、例えば、波形d(図2)が生成され、電源ラインAC1、AC2から送出される。波形dの例では、アドレスが(A,C)、照度が(C,B)、パリティ(A)の制御信号が送出された場合を示している。このような制御信号の送出処理は、マイクロプロセッサM1の内臓ROMに書き込まれたプログラムにより実行される。なお、ダイオードD1は、電解コンデンサC1の電圧で交流波形のゼロクロス点が隠れるのを防止している。
【0070】
例えば、電源ラインAC1、AC2に接続されたLED照明灯L11のアドレスがスイッチSW11で(A,C)に設定されていると、LED照明灯制御装置1から送出された制御信号により、LED照明灯L11の照度は、(C,B)に設定される。ここで、照度の定格出力は、100%出力が(C,C)、75%出力が(C,B)、50%出力が(C,A)、25%出力が(B,C)、消灯が(A,A)と決められていた場合、LED照明灯L11の照度は、75%出力に設定される。
【0071】
次に、図3を用いてLED照明灯Lの照度を個別に制御する実施形態を説明する。図3の2値化符号検出回路Aの分圧点P1の波形は、図2の波形b及び波形eになり、閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの出力は、波形c及び波形fになる。ここで、ダイオードD3は、電解コンデンサC4の電圧が分圧点P1に印加されるのを防止するためのダイオードである。
【0072】
図2の波形b及び波形eに記したShVは、閾値機能付非反転バッファー回路IC3Aの閾値電圧である。このバッファー回路IC3Aの出力は、2値化符号復号機能を有する回路EのマイクロプロセッサIC4の入力ポートである端子9に入力される。この端子9から入力されたパルス列は、このマイクロプロセッサIC4に書き込まれたプログラムで処理され、アドレス情報と照度情報に復号される。
【0073】
そして、スイッチSWで設定されたアドレスと一致すれば、マイクロプロセッサIC4は、照度情報に従って出力ポートである端子7、8、10を制御する。
例えば、照度情報が(A,A)なら、マイクロプロセッサIC4は、端子10を「H」レベルにして照明用LEDブロックBを消灯する。また、照度情報が(C,C)ならマイクロプロセッサIC4は、端子10を「L」レベルにするとともに端子7と端子8を「L」レベルにし、トランジスタQ6、Q7を導通状態にして照明用LEDブロックBの照度を100%に設定する。
【0074】
さらに、照度情報が(C,B)ならマイクロプロセッサIC4は、端子10を「L」レベルにするとともに、端子7を「H」レベルにしてトランジスタQ7を非導通状態にし、端子8を「L」レベルにしてトランジスタQ6を導通状態にして照明用LEDブロックBの照度を75%に設定する。
【0075】
また、照度情報が(C,A)ならマイクロプロセッサIC4は、端子10を「L」レベルにするとともに、端子7を「L」レベルにしてトランジスタQ7を導通状態にし、端子8を「H」レベルにしてトランジスタQ6を非導通状態にして、照明用LEDブロックBの照度を50%に設定する。また、照度情報が(B,C)ならマイクロプロセッサIC4は、端子10を「L」レベルにするとともに、端子8と端子7をともに「H」レベルにしてトランジスタQ6、Q7を非導通状態にし、照明用LEDブロックBの照度を25%に設定する。
【0076】
照明用LEDブロックBの抵抗R22、R24、R25は、各LEDブロックの電流バランスを取るための保護抵抗である。トランジスタQ5と抵抗R23は、抵抗R22でダイオードLD11・・・LD1nの電流を検出し、これに比例した電流Idを2値化符号復号機能を有する回路Eの抵抗R31に流すための回路である。この電流Idは、抵抗R36により分圧点P4の電圧として、マイクロプロセッサIC4の端子6に入力される。マイクロプロセッサIC4は、端子6に入力した電圧をAD変換して電流Idの状態を認識する。
【0077】
電流監視回路Cは、照明用LEDブロックBの発光ダイオードLDに流れる全電流を監視する回路である。抵抗R14≪抵抗R15で、抵抗R14を流れる電流が照明用LEDブロックBに流れる全電流にほぼ等しい。トランジスタQ1と抵抗R14は、抵抗R15を流れるベース電流に比例したコレクタ電流Isを生成するための回路である。これにより、照明用LEDブロックBの全電流にほぼ比例した電圧が、抵抗R28により分圧点P3に現れ、スイッチング電源回路Dのスイッチング電源用IC2の端子3に入力される。
【0078】
抵抗R16、コンデンサC6でスイッチング電源用IC2のスイッチング周期が決まり、抵抗R30とコンデンサC7は、このIC2のノイズ防止用である。スイッチング電源用IC2は、電圧監視を行う入力端子1の電圧が一定になるように、端子5から出力するパルスのデューティを制御する。これにより、スイッチング用FET Q2のゲートが駆動されて、コンデンサC5、インダクタL1及びダイオードD2によって、スイッチング電源として作動する。
【0079】
2値化符号回路EのトランジスタQ6、Q7の導通時のコレクタ−エミッタ間の電圧を無視し、抵抗R20+抵抗R28=抵抗R34、抵抗R20+抵抗R28=抵抗R34/2とすると、前述したようにトランジスタQ6、Q7のON/OFF選択で、照明用LEDブロックBの全電流を100%、75%、50%、25%に調節することができる。
【0080】
以上の説明から解かるように、スイッチング電源回路Dは、照明用LEDブロックBの全電流を監視している定電流電源である。したがって、例えば、照明用LEDブロックBの発光ダイオードLD21系列の発光ダイオード1個が断線すると、他の発光ダイオードLD11系列と発光ダイオードLD31系列の電流が50%増加し、電流Idが50%増加する。この変化は、分圧点P4の電圧変化となり、マイクロプロセッサIC4の端子6に入力される。マイクロプロセッサIC4は、端子6のこのような変化を検出すると、端子10を「L」レベルから「H」レベルに移行する。
【0081】
マイクロプロセッサIC4の端子10の変化は、スイッチング電源用IC2の端子1に入力される。これにより、スイッチング電源用IC2は、端子5を「H」レベルにホールドして定電流電源を停止し、照明用LEDブロック内の発光ダイオードLDの異常過熱を防止する。発光ダイオードLD31系列の発光ダイオードが断線した場合でも、発光ダイオードLD21系列の場合と同様の状態になり異常過熱が防止される。
【0082】
また、発光ダイオードLD11系列の発光ダイオードが断線すれば、電流Idは「0」になり、分圧点P4はGNDレベルの電位となる。マイクロプロセッサIC4は、端子6のこのような変化を検出すると、同様に端子10を「L」レベルから「H」レベルに移行し、これをスイッチング電源用IC2が検出して定電流電源を停止し、発光ダイオードLDの異常過熱を防止する。
【0083】
以上のLED断線検出はQ5、R23、R31、R36を通じて行っているが、もし、仮にR23のR22との結合点を点線で示した如くLD11のアノードに接続すると、R36の端子電圧はLEDブロックの印加電圧VDにほぼ比例する。従って、いずれかのLEDブロックのLEDが断線すると、ブロックBの等価抵抗は増加する。また、ブロックBは定電流駆動されているので、VDが増加し、IC4−6の電圧が増加し、上記と同様にLEDの断線を検出できる。なお、このときは、R23の値は十分大きくしてこの検出回路の消費電力を少なくするのはいうまでもない。
【0084】
直流電源回路Fに流入する電流Iccは、スイッチング電源用IC2、閾値機能付非反転バッファー回路IC3A、インバータIC4A及びマイクロプロセッサIC4等の制御回路の直流電源とし供給されるが、照明用LEDブロックBを通して流入するため、このブロックBの照明灯に流れる電流でもある。一般にこれら制御回路の電源電圧は5〜10Vであるため、P2点で示された個所の電圧が15〜20V程度あれば、交流電源の変動や負荷のばらつきに対しても安定した電源電圧を供給できる。
【0085】
したがって、上記制御回路で消費されるエネルギーロスは、20V×Icc程度になる。従来、この種のLED照明は、例えば、電解コンデンサC4のプラス側(+)から電流の供給を受けており、100V交流電源を想定すると、制御回路によるエネルギーロスは、140V×Iccとなる。LED照明灯に用いられる一般の制御回路のICは、電流Iccが10mA程度なので、本実施形態と従来技術とでは、エネルギーロスはそれぞれ0.2Wと1.4Wになる。一般の事務所用の蛍光灯タイプのLED照明灯の消費電力は、15W程度であるので、この消費電力の差は無視できない。
【0086】
また、LED照明灯Lが照度情報(A,A)を受信するか、または照明用LEDブロックBの発光ダイオードLDの断線を検出したとき、P2点の電圧は、前記の例では、140V近くまで上昇し、かつ電流Iccも増加して直流電源回路Fのエネルギーロスが上昇する。これを防止するための回路がトランジスタQ3、Q4、抵抗R17、R21、R19、R29、R26及びインバータIC4Aである。
【0087】
照明用LEDブロックBが点灯しているときは、P2点の電圧は約20V、マイクロプロセッサIC4の端子10は「L」レベル、トランジスタQ3、Q4は導通状態である。また、照明用LEDブロックBが消灯しているときは、P2点の電圧は、約140V、マイクロプロセッサIC4の端子10は「H」レベル、トランジスタQ3、Q4は非導通状態となる。抵抗R19の抵抗値を十分高くすることで、P2点の電圧が約140Vの時でも電流Iccの値を最小限にすることができる。
【0088】
一般にスイッチング電源用IC2及びマイクロプロセッサIC4が停止状態(例えば、スリープモード)では、これら制御回路に流れる電流Iccは、1/5程度(約2mA)に低下するので、この場合は抵抗R19を約57KΩとするのが妥当である。なお、この場合の消費電力のロスは、約140V×2mA=280mWとなり、十分に小さくすることが可能となる。
【0089】
なお、LED消灯時の制御回路の消費電流はIC2、IC4、IC3A、IC4A、の待機電流となるが、これらのICを合理的に選択すれば、待機電流はトータルとして数百uA程度にすることも可能である。即ち、本発明の回路方式であれば、待機時の消費電力も数十mW程度になることを期待できる。
【0090】
以上、本発明によるLED照明灯システムの実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を伴う各種変形等は、本発明の範疇に含まれる。具体的には、例えば、LED照明灯制御装置1のマイクロプロセッサM1に時計機能とスケジュール機能を付加することで、これに接続された各LED照明灯Lの明るさを時間で調節することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、LED照明灯Lを4台接続した例を示したが、勿論、この数に限定されるものではなく、例えば、10台以上であっても適用可能である。制御装置(図―1)に光センサを接続し、外部の明るさが所定の明るさ以上の場合には消灯させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明のLED照明灯システムの実施形態を示すシステム構成図。
【図2】本実施の形態によるLED照明灯システムの動作例を示す2値化符号の説明図。
【図3】図1に示したLED照明灯Lの回路図。
【符号の説明】
【0093】
1・・LED照明灯制御装置
A・・2値化符号検出回路
B・・照明用LEDブロック
C・・電流検出回路
D・・スイッチング電源回路
E・・2値化符号復号回路
F・・直流電源回路
L11、L1n、L21、L2n・・LED照明灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のLED照明灯と、該照明灯を制御するLED照明灯制御装置より構成されるLED照明灯システムの制御方法において、
前記LED照明灯制御装置は、所定の制御信号を前記LED照明灯に送信し、
前記LED照明灯は、前記制御装置より受信した前記制御信号の内容に応じて照明の明るさを調整することを特徴とするLED照明灯システムの制御方法。
【請求項2】
前記制御信号は、交流電源から供給された電流を予め定められた規則に従って断続させた交流符号であることを特徴とする請求項1に記載のLED照明灯システムの制御方法。
【請求項3】
前記制御信号は、交流電源を半波長単位で断続制御することで生成され、1波長を基準として、半波長の欠落の違いを第1の値または第2の値に割り当て、欠落が無い波長を第3の値とし、1波長以上の欠落を前記制御信号であることを示すスタートビットとすることを特徴とする請求項2に記載のLED照明灯システムの制御方法。
【請求項4】
請求項3の制御信号において、制御信号が半波長単位の発生個数の総和を偶数または奇数になるようにパリテイビットを付加することを特徴とした誤り検出方式。
【請求項5】
前記LED照明灯には予めアドレスが設定され、前記LED照明灯制御装置は、該LED照明灯のアドレス情報と照度情報とを含んだ制御信号を送信することで、複数の前記LED照明灯を個別に制御することを特徴とする請求項1に記載のLED照明灯システムの制御方法。
【請求項6】
前記LED照明灯制御装置は時計機能を備え、予め設定された時刻で前記LED照明灯の明るさを調整する前記制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のLED照明灯システムの制御方法。
【請求項7】
複数のLEDブロックからなる発光手段と、
受信した制御信号に含まれたアドレス情報を検出するアドレス情報検出手段と、
前記制御信号に含まれた照度情報を検出する照度情報検出手段と、
前記アドレス検出手段が前記アドレス情報の一致を検出すると、前記照度情報検出手段が検出した照度情報に従って前記発光手段の照度を制御する制御手段とを有することを特徴とするLED照明灯。
【請求項8】
前記LED照明灯において、前記複数のLEDブロックに流れる電流の総和を監視する手段と単独のLEDブロックに流れる電流を監視する手段と、これら2個の電流を比較する手段により前記LEDブロックの発光ダイオードの断線を検出する断線検出手段を有することを特徴とする請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項9】
前記複数のLEDブロックを並列接続して定電流駆動する方式において、LEDブロック電圧を監視する回路を有し、該電圧によりLEDブロックの断線を検出する方式。
【請求項10】
前記LEDブロックに電流を供給する定電流駆動回路を有し、該定電流駆動回路は、前記複数LEDブロックに流れる電流の総和に応じて電圧値が変わる電圧分圧回路と、該電圧分圧回路の電圧が一定になるように前記LEDブロックに供給される総電流を調整する電流調整回路とを備えたことを特徴とする請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項11】
前記複数LEDブロックに流れる電流の総和を検出する前記電圧分圧回路に並列に分流回路を付加し、前記照度情報に応じて該分流回路に分流される電流を調整して、前記複数LEDブロックの総電流を調整することにより、照度を調整することを特徴とした請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項12】
前記複数のLEDブロック内の単独LEDブロックに流れる電流に応じて電圧値が変わる電圧分圧回路を有し、該分圧電圧が所定以上変化したときに前記定電流駆動回路の動作を停止させて、全LEDブロックへの電流供給を停止させることを特徴とした請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項13】
定電流駆動されたLEDブロックの電圧降下を計測し、LEDブロック内の任意の個々のLEDの断線を検出することを特徴とした請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項14】
請求項8又は9によりLEDの断線を検出したとき、請求項11に記載の分流電流を増加することにより、全LEDブロックへの電流を低下させることを特徴とした請求項7に記載のLED照明灯。
【請求項15】
請求項7に記載のLED照明灯において、LEDブロックの電流流出端子に制御回路の直流電源回路の入力端子を接続することを特徴とした電源供給方式。
【請求項16】
前記アドレス情報と照度情報を解読する機能と単独LEDブロックに流れる電流の前記電圧分圧回路の電圧を計測する機能を有し、予め組み込まれたプログラムにしたがって、照度情報に応じた2値出力を出すポートと請求項8又は9に示した方法でLEDの断線を検出してLEDブロックの電流を制御するためのマイクロプロセッサーを持つことを特徴とした請求項7に記載したLED照明灯。
【請求項17】
少なくとも1つ以上のLED照明灯と接続され、該照明灯の照度制御を行うLED照明灯制御装置において、
前記LED照明灯を特定するアドレス情報を生成するアドレス情報生成手段と、
前記アドレス情報生成手段で特定された前記LED照明灯の照度情報を生成する照度情報生成手段と、
前記アドレス情報及び前記照度情報を制御信号として前記LED照明灯に送信する送信手段とを有することを特徴とするLED照明灯制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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