説明

LED照明装置

【課題】小型で既存の照明設備に容易に適用でき、発熱の問題を解決しながら長寿命化を実現するようなLED照明装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明のLED照明装置は、所要のソケットに装着可能な口金部と、発光ダイオードを配してなる発光部と、前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、前記ケース内で前記発光部の発光面の裏面側に配設された空冷ファンと、前記ケースに開口され前記空冷ファンとの間で空気を導入若しくは導出する開口部とを有することを特徴とする。開口部を有したケースに一体化された空冷ファンを作動させることで発光ダイオードを配してなる発光部で発生した熱を放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用光源としてLED(発光ダイオード)を用いたLED照明装置に関し、特に電灯用のソケットに装着して使用できるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明用ランプとして、光源にタングステンフィラメントや各種ガス、蛍光放電を行う既存の電球、蛍光灯に代えて、寿命が長く省電力化が可能で、環境性能の良さが期待できる将来の理想的な光源として半導体LEDを用いた照明装置が普及しつつある。
【0003】
このようなLEDによる幾つかの利点を備えた照明装置を、電飾以外の電力の大きな照明用ランプとして活用する場合には、1つの方式として既存のフィラメント式バルブのソケットにそのまま差し込んで使用できるものが、電源供給のための装置を既存のものからそのまま転用できるために便利である。既存のフィラメント式バルブのソケットにそのまま差し込んで使用できるLED照明装置としては、従来より、幾つかの例が知られており、発光ダイオードに電源を供給する電源部に電源を供給するための接続部を電球用の口金と同形状とし、既存の照明器具へ取り付け可能としたもの(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0004】
また、機器のインジケーターや携帯電話機のバックライト照明用や電飾用として使用されている砲弾型、チップ型の如き小型のLEDでは、その消費電力が約0.07W程度と低いため発熱も微量であり殆どが無視できる程度のものであったが、ランプ照明用として十分な明るさを得るためのパワーLEDではその発熱量も大きく、その放熱対策も必要である。このような発熱の問題に対処するための構造として、ペルチェ素子のような冷却素子を放熱板と共に用いた構造の照明装置も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−202864号公報
【特許文献2】特開2005−77468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ペルチェ素子を用いた場合には、それだけ機構が複雑化すると共にその制御回路なども必要であり、部品も比較的に高価であるため、照明装置全体としての価格が高騰するおそれがある。
【0007】
一般的に、LEDからの発熱量は、消費電力のおよそ70%にも達するが、単体でも定格1W〜5WのパワーLEDでは、駆動時に約100℃を超えることになり、周囲への温度の影響が無視できないものとなる。さらに、このパワーLEDからの発熱によりLED自体の寿命が極端に低下する傾向があり、寿命が電球に比べて長いという特徴を十分に生かすことができない。
【0008】
このようなパワーLEDに対して放熱器を用いることで、寿命を長くすることも可能であるが、放熱板のような装置では自然放熱によることから放熱器自体が大型化してしまい、既存のフィラメント式バルブのソケットにそのまま差し込んで使用する用途においては眼限界がある。例えば、約40℃以下にLEDの温度を保とうとする場合、自然冷却型の放熱器を用いるときでは汎用アルミ板で約30cm/Wにも達し、ランプ製品化の際には小型化やデザイン性を阻害し、実用性に優れた照明装置を得ることが困難となる。また、比較的に大型の放熱板や放熱フィンなどを形成した場合では、屋外で使用する場合においては大型の放熱板や放熱フィンを具備しながら防水する技術も考慮する必要が生ずる。
【0009】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、小型で既存の照明設備に容易に適用でき、発熱の問題を解決しながら長寿命化を実現するようなLED照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明のLED照明装置は、所要のソケットに装着可能な口金部と、発光ダイオードを配してなる発光部と、前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、前記ケース内で前記発光部の発光面の裏面側に配設された空冷ファンと、前記ケースに開口され前記空冷ファンとの間で空気を導入若しくは導出する開口部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の好適な実施の形態によれば、発光ダイオードの一例としては、定格1W〜5W或いはそれ以上の高電力なパワーLEDを用いることができ、その形状は発光部を構成して前記ケースに搭載できる形状であれば如何なるものでも良い。発光部がケースに搭載される状態は、発光部の全体が内部に位置するようなものに限定されず、ケースの照射面側に直接若しくは間接に取り付けられるようなものも含む。所要のソケットは、
一例として既存のフィラメント式バルブのソケットが挙げられるが、これに限定されず種々の汎用のソケットや個別の仕様のソケットなど種々のソケットを含むものである。また、空冷ファンは放熱部を介して前記発光部の発光面の裏面側に配設される構造であっても良い。また、発光部の近傍には温度センサーが配設され、その温度センサーからの信号に基づき前記空冷ファンが制御されるようにしても良い。さらに、空冷ファンを制御するための回路部は、前記ケースの内側であって前記口金部と前記発光部の間に搭載されるように構成することもできる。
【0012】
また、本発明の他のLED照明装置は、所要のソケットに装着可能な口金部と、発光ダイオードを配してなる発光部と、前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、前記ケース内に配されたセンサーと、前記ケース内に配され前記センサーからの信号に応じた制御を行う制御部とを有することを特徴とする。
本発明の好適な実施の形態によれば、前記センサーは、人などの接近を感知する人センサー、明るさを検知する明暗センサー、振動を感知する振動センサー、リモートコントローラーからの信号を感知するリモコンセンサーのうち選ばれた1つまたは複数のセンサーとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のLED照明装置によれば、ケースに開口され前記空冷ファンとの間で空気を導入若しくは導出する開口部を有し、前記空冷ファンを作動させた際には、空気が開口部を通過して流れるようにすることができ、ケース内で発光部の近傍における放熱を図ることができる。また、本発明のLED照明装置によれば、所要のソケットに装着可能な口金を用いて電力供給を受けるため、既存の照明設備をそのまま使用する形式で、既存の電灯をLED照明装置に置き換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる好適な実施形態であるLED照明装置について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本実施形態のLED照明装置の斜視図であり、図2はその実施形態のLED照明装置の断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態のLED照明装置10は、一端側に既存のフィラメント式バルブのソケットなどに螺合する口金部11を有しており、口金部11の先端には接点部13が設けられ、口金部11の略円筒状の周面には、ソケットの螺旋状の溝に螺合するための螺旋部12が形成されている。LED照明装置10の他端側は、LED20の光照射側となる。
口金部11の軸方向、接点部13の反対側には略円筒状でフェノール樹脂などの耐熱性合成樹脂からなるケース部14が接続され、さらにそのケース部14の外側には水滴、雨水などの浸入を未然に防止するためのアルミニウム或いはその他の金属製、もしくは樹脂製の円筒状のフード部15が形成されている。ケース部14とフード部15は共に円筒状であり、ケース部14の外周面とフード部15の内周面は所定の間隔で離間し、ケース部14とフード部15は同軸に配設される。
【0016】
本実施形態のLED照明装置10では、後述するように、光源としてフィラメント式電球に比較して容積が小さくて済む発光ダイオードを用いることから、ケース部14の内部には制御回路などの電子回路部17を配置することができ、さらにケース部14の内部は中空にされる。ケース部14の周面には、ケース部14の内部に空気を導入若しくはケース部14の内部から空気を導出する複数の開口部16が開口されている。各開口部16は略矩形状の長孔であり、ケース部14の周面を貫通するように設けられている。開口部16はケース部14の周面に一列分、略等間隔で設けられており、開口部16の内側ではケース部14が中空とされ十分に空気が流通する空間が確保されている。開口部16の外側には、フード部15が離間して覆うように配設されており、フード部15とケース部14の周面の狭い隙間を空気が流通するために空気の流速を高めて放熱効率を上げることも可能である。
【0017】
ケース部14の内部で、前述した口金部11と反対側の端部には小型の空冷ファン18が取り付けられており、この空冷ファン18に電流を与えることでローターが回転して、周囲に放熱のための空気の流れを作ることができる。この空冷ファン18は、ファンの軸がケース部14の中心と同軸となるように設けられており、ファンの回転時に作られた空気はケース部14の周面に設けられた複数の開口部16を通過するように流れることになる。
【0018】
空冷ファン18の光照射側には、アルミニウムなどの金属板からなる放熱器19が該空冷ファン18に接するように設けられている。放熱器19は、熱を伝導する板部材を組み合わせて複数の空気の通路を備えた構造を有し、該板部材の表面を空冷ファン18の作動に応じて空気が流れ、放熱部19の表面から熱を奪うことになる。この放熱器19は次に説明するLED20の裏面側に接しており、LED20で発生した熱は容易に放熱器19に到達し、該放熱器19で空冷される。
【0019】
LED20は3つ並列して直線状に設けられており、それぞれ高出力のパワーLEDからなる。各LED20の基端側には、平板状の台座部21が設けられており、放熱器19には台座部21を介して接続する。放熱器19の光照射側は矩形状の空気の導入若しくは導出口となっており、空冷ファン18の作動に応じて流れる空気はLED20の近傍を通過する。また、LED20の側方には、センサー22が設けられており、このセンサー22は人センサーとして機能すると共に日没センサーや明るさセンサーとしても機能することが可能である。また、温度センサーとしても機能させることも可能である。センサー22は口金部12に隣接する電子回路部17に接続され、該電子回路部17各種回路に信号を送るように構成されている。
【0020】
これらLED20はケース部14と同径でケース部14を延長させた形状の照射側ケース部23の内部に納められており、照射側ケース部23の端部は円形状の開口部25を有しており、その開口部25からLED20で発生した光が射出される。照射側ケース部23とケース部14は螺合若しくは接続片が嵌合するような構造で接続する構成とすることができ、内部の部品を交換する場合は照射側ケース部23とケース部14を分けて交換作業することが可能である。
【0021】
概ね以上のような構造を有する本実施形態のLED照明装置は、口金部11を既存のフィラメント式バルブのソケットなどに螺合させることで、通常のフィラメント式の電球と同様に使用することができ、螺旋部12を有する口金部11と接点部13との間に電流を流すことで各LED20を点灯させることができる。螺旋部12と接点部13との間に印加される電圧は、例えば交流の100Vであるが、前記電子回路部17で直流の10〜12V程度の電圧に変換してLED20を点灯させる。また、供給される電力の一部は制御回路や空冷ファン18を作動させるのに使用される。
【0022】
図3乃至図5は、空冷ファン18を作動させた場合の空気の流れを説明するものであり、図3、図4がフード部なしの場合、図5がフード部ありの場合の例示である。図3の例では、LED20側が吸気側となり、ケース部14の開口部16が排気側となる空気の流れパターンを示している。図4で逆にケース部14の開口部16が吸気側となり、LED20側が排気側となる空気の流れパターンを示している。図5は図4の空気の流れと同様に、LED20側が排気側となる空気の流れパターンを示しており、さらに開口部16の外側にはフード部15が取り付けられており、当該LEDE照明装置の外部からの吸気はフード部15とケース部14の間にリング状の隙間を介して行われることを示している。また、図示を省略しているが、図5の例で吸気側と排気側を反対にすることも可能である。
【0023】
これらの空気の流れは空冷ファン18の作動により発生し、通常はLED20の点灯時には、例えば図5に示すような空気の流れを発生させて、LED20で発生した熱を放出するようにすることができる。空冷ファン18の回転数などは常に一定とすることも可能であり、温度センサーなどに応じて回転数を制御したり、回転そのものを断続的に制御するようにしても良い。
【0024】
図6乃至図8は、それぞれ本実施形態のLED照明装置の回路構成例のブロック図である。図6に示すLED照明装置の回路構成例は交流を直流に変換するコンバーターを有する例である。図1に示した口金部11の部材で電極31が構成され、この電極31には通常の家庭での電灯線の電圧である交流の例えば100Vが供給される。この電極31からの100Vは、次にAC/DCコンバーター32に供給され、例えば直流の12Vに変換される。このAC/DCコンバーター32の出力電流は、制御回路33、電流制御部34、及び図1の空冷ファン18に該当するDCファン38に供給される。
【0025】
制御回路33はセンサー35からの信号を受けて、電流制御部34にLED36を点滅制御するための信号を出す回路である。例えばセンサー35が人センサーである場合には、当該LED照明装置に人が近づいたところで、センサー35から制御回路33に検知信号が出され、その検知信号に応じてスイッチとして機能する電流制御部34がONとなり、AC/DCコンバーター32からの直流電流がLED36を流れるように構成される。LED36の部分はLEDの動作電流が確保できるものであれば、直列でも良く、並列或いはその組み合わせで複数の発光素子を点灯させるものであっても良い。
【0026】
このLED36には、図1の放熱器19に該当する放熱器37を介してDCファン38が対面する。DCファン38にはAC/DCコンバーター32からの直流電流が供給されており、常に放熱器37に対して吸気若しくは排気する方向の送風を行っている。従って、LED36の点灯時間が長くなり、LED36の発熱が問題になる場合でも放熱器37を介して効率の良い放熱が実現され、熱による寿命の劣化などを未然に防止することができる。
【0027】
センサー35は、例えば人などの接近を感知する人センサーが用いられるが、センサー35は、明るさを検知する明暗センサー、振動を感知する振動センサー、リモートコントローラーからの信号を感知するリモコンセンサーのうち選ばれた1つまたは複数のセンサーを用いることもできる。また、センサー35からの信号に応じてONとOFFの切り替えを行うのではなく、電流量を調整して明るく光る状態と暗く光る状態を制御するようにしても良く、電流量の制御により発光波長を制御するようにすることも可能である。
【0028】
図7は電極41に直流の12V若しくは24Vが与えられる例であり、この直流電圧が電極41から制御回路43、電流制御部44、及びDCファン48に供給される。DCファン48は、常に放熱器47に対して吸気若しくは排気する方向の送風を行っており、放熱器47を介して流れる空気によりLED46を冷却する。制御回路43は、センサー45からの信号に応じて、LED46に供給される電流を制御するための電流制御部44を制御する。センサー45は、例えば人センサーが用いられるが、他のセンサーでも良い。
【0029】
図8は更に他の例であり、電極51には通常の家庭での電灯線の電圧である交流の例えば100Vが供給され、電極51からの100Vは、次にAC/DCコンバーター52に供給されて例えば直流の12Vに変換される。AC/DCコンバーター52の出力は制御回路53と電流制御部54に出力される。電流制御部54の出力は、LED56に供給される。センサー55は例えば温度センサーであり、LED56の周囲の温度を検知して制御回路53に信号を送る。LED56は放熱器57に機械的に接続しており、その放熱器57に接続するように空冷用のDCファン58が設けられている。従って、LED56を点灯状態にした場合に、温度センサーであるセンサー55が温度を検知し、制御回路53によりLED56の周囲の温度が高いと判断された場合には電流制御部54の出力を熱の放出の小さな電流値の電流に切り替えたり、DCファン48を作動させて放熱器57を介して放熱を行ったりすることができる。DCファン48を常に動作させなくとも良いため、電力消費を更に抑えることも可能である。
【0030】
図9は本発明のLED照明装置の他の実施形態を一部破断して示す斜視図であり、図10はその実施形態にかかるLED照明装置の断面図である。本実施形態のLED照明装置60は、一端側に既存のフィラメント式バルブのソケットなどに螺合する口金部61を有しており、口金部11の先端には接点部63が設けられ、口金部11の略円筒状の周面には、ソケットの螺旋状の溝に螺合するための螺旋部62が形成されている。LED照明装置10の他端側は、LED70の光照射側となる。
【0031】
このような口金部61からLED70側に向かってやや径大となるような釣鐘状のケース部65が装置の外周部を覆うように設けられている。図2に示すように、ケース部65の内部には、口金部61側から供給された交流電流を直流電流に変換するAC/DCスイッチング電源67が板状の内部シャーシ77に止め具78を介して取り付けられており、その内部シャーシ77の光照射側には、空冷ファン68と放熱部69が一体のブロックとして取り付けられている。
【0032】
ケース部65の周面には、ケース部65の軸方向を延長方向とする複数の短冊状のスリットからなる開口部66が設けられている。これら開口部66の位置は、釣鐘状のケース部65のLED70側端部に近い領域であり、周面の一部に集中的に設けられており、そのケース部65の中心を挟んで反対側にも集中的に設けられている。開口部66の位置は、後述するように、本実施形態では空冷の空気の流れがケース部65の軸方向とは垂直の方向となるため、空冷ファン68と放熱部68のブロックの空気の出入り口となる周面の一部にそれぞれ集中的に設けられる。
【0033】
空冷ファン68は略矩形状のプラスチック製のフレーム内に、回転するファンを備えた構造を有しており、この空冷ファン68に電流を与えることでローターが回転して、周囲に放熱のための空気の流れを作ることができる。この空冷ファン68は、ファンの軸がケース部65の軸方向とは垂直となるように設けられており、ファンの回転時に作られた空気はケース部65の周面に設けられた複数の開口部66を通過するように流れることになる。放熱部69は、略矩形状の構造を有し、複数の板を離間して重ねた構造を有しており、板の間の複数の空隙部69sが空気の通路として機能し、放熱部69の熱がその空気の通路を介して当該装置の外部に導出されていくことになる。放熱部69は、その口金部側で内部シャーシ77に接続され、LED側では照射側シャーシ72に止め具79により接続されている。照射側シャーシ72は止め具76を介して釣鐘状のケース部65の内側の係止部75にも固定されている。放熱部69がこれら照射側シャーシ72や内部シャーシ77に対して固定されることで、その部分からの放熱も可能であり、その放熱効果を高いものにすることができる。
【0034】
釣鐘状のケース部65の内側で、空冷ファン68と放熱部68のブロックの側部には、定電流をLED70に供給するための基板73が取り付けらており、その基板73上には定電流用のICチップ74が搭載される。この定電流用の基板73は、内部シャーシ77のAC/DCスイッチング電源67側に配置することも可能であるが、このように配置することでICチップ74を放熱部69に近接させて放熱を促進させることができ、回路上の安定性が増すことになる。
【0035】
LED70は3つ並列して直線状に設けられており、それぞれ高出力のパワーLEDからなる。各LED70の基端側には、平板状の台座部71が設けられており、放熱部69の側面には台座部71を介して接続する。また、LED70の光照射側には、透明樹脂カバー64が釣鐘状のケース部65の端部に取り付けられている。
【0036】
LED70で発生した熱は、放熱部69を介し、放熱部69の通路となる空隙69sを介して当該装置の外部に導出されていくことになる。放熱部69が固定される照射側シャーシ72は、例えば放熱部69やケース部65と同じアルミニウムなどの金属材料であり、LED70の射出方向から外れた光も反射させる反射鏡として機能し、特に透明樹脂カバー64に代えて光拡散用のデフューザーを設けた場合に有効である。
【0037】
このような構造を有するLED照明装置は、口金部61を既存のフィラメント式バルブのソケットなどに螺合させることで、通常のフィラメント式の電球と同様に使用することができ、螺旋部62と接点部63との間に電流を流すことで各LED20を点灯させることができる。螺旋部62と接点部13との間に印加される電圧は、例えば交流の100Vであるが、前述のAC/DCスイッチング電源67で直流の10〜12V程度の電圧に変換してLED70を点灯させる。また、供給される電力の一部は制御回路や空冷ファン68を作動させるのに使用される。
【0038】
さらに本実施形態では、空冷のための空気の流れが、空冷ファン68から放熱部69に送風する場合に、開口部66、空冷ファン68、放熱部69、反対側の開口部66の順に空気が流れ、逆に放熱部69から空冷ファン68に空気を吸引する場合にも、開口部66、放熱部69、空冷ファン68、反対側の開口部66の順に空気が流れ、それぞれ直線状に空気が流れることから、その放熱効率を十分に高めることができる。
【0039】
また、図示を省略しているが、開口部66の近傍には、脱臭剤や芳香剤などを配置することができ、トイレなどで使用する場合には、その空冷ファン68による空気の流れを当該LED照明装置の設置場所での臭気の制御に利用できるという利点も得られる。
【0040】
図11はパワーLEDの温度と寿命の関係を示した図である。図11に示すように、LEDの温度を低く保つ方が、その寿命を長くすることができ、例えば、2.5wのパワーLEDを用いた場合で、要求される寿命が5万時間とした場合では、そのLEDの温度を摂氏47度以下に保つことが必要である。このような観点から、目標となる寿命とLEDのパワーが決まれば、この図11より、設定すべきLEDの温度が決まり、その目標温度に応じた放熱機構を設計してLEDの長寿命化を図ることができる。
【0041】
次に、図12乃至図20を参照しながら、空冷ファン、放熱部及びLEDからなる本発明の要部のレイアウトパターンを示す。先ず、図12及び図13に示すレイアウトは、矩形状の空冷ファン81の軸上に3つのLED83が配置されており、そのLED83と空冷ファン81の間に矩形状の放熱部82が配設されている。図13に示すように、放熱部82には、空冷ファン81の軸方向に空気を流すための6つの開口部84が形成されており、空冷ファン81の作動時にはこの部分を通過するように空気が流れて所望の空冷が実現される。
【0042】
図14は図12、13に示した装置レイアウトの変形例であり、円板上の台座上に3つのLED85が配置され、その軸方向に隣接して放熱部87と図示しない空冷ファンが取り付けられる。空冷ファンの軸方向に空気を流すために4つ開口した開口部86が設けられ、所望の空冷が実現される。
【0043】
また、図15及び図16に示すレイアウトは、矩形状の空冷ファン91の軸上ではなく、矩形状の放熱部92の側壁に3つずつのLED93が2組配置されている例である。図16に示すように、放熱部92には、空冷ファン91の軸方向に空気を流すための6つの開口部94が形成されており、空冷ファン91の作動時にはこの部分を通過するように空気が流れて所望の空冷が実現される。なお、矩形状の放熱部92の側壁に設けられるLEDは1組でも良く、この場合には図9、図10に示したLED照明装置の構造となる。
【0044】
図17は図15、16に示した装置レイアウトの変形例であり、円筒状の放熱部97の周面上に6つのLED95が配置され、円筒状の放熱部97の軸方向に隣接して図示しない空冷ファンが取り付けられる。空冷ファンの軸方向に空気を流すために4つ開口した開口部96が設けられ、所望の空冷が実現される。
は1組でも良く、この場合には図9、図10に示したLED照明装置の構造となる。
【0045】
図18及び図19に示すレイアウトは、一対の矩形状の空冷ファン101、102に挟まれる位置に放熱部103が設けられる例であり、矩形状の放熱部103の4つの側壁に3つずつのLED104が4組、合計12個配置されている例である。図19に示すように、放熱部103には、空冷ファン101、102の軸方向に空気を流すための6つの開口部105が形成されており、空冷ファン101、102の作動時にはこの部分を通過するように空気が流れて所望の空冷が実現される。空冷ファン101、102は同じ方向に空気を流すように回転されるものであり、一方が放熱部103に対して送風し、他方が放熱部103からの空気を外部に導く。
【0046】
図20は図18、19に示した装置レイアウトの変形例であり、円筒状の放熱部106の周面上に10個のLED107が配置され、円筒状の放熱部106の軸方向には隣接して図示しない一対の空冷ファンが取り付けられる。空冷ファンの軸方向に空気を流すために4つ開口した開口部108が設けられ、所望の空冷が実現される。
【0047】
上述のような構造を有する本実施形態のLED照明装置は、発光時に熱の発生を伴うLEDが放熱器に接続する構造とされ、空冷ファンによってLEDで発生した熱を放熱器を介して放出することができる。このため熱によって素子の寿命が短くなることを未然に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態のLED照明装置によれば、ケース部の外側にはフード部を設けることができ、該フード部により雨水の浸入などを防止することができる。また、フード部とケース部の間の空隙を狭くすることで、流れる空気の速度を高めることができ、放熱作用を良好にすることができる。
【0049】
本実施形態のLED照明装置の他の例によれば、そのレイアウトからそれぞれ直線状に空冷用の空気を流すことができ、その放熱効率を十分に高めることができる。また、開口部の近傍に脱臭剤や芳香剤などを配置することができ、空冷ファンによる空気の流れを当該LED照明装置の設置場所での臭気の制御に利用できるという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態にかかるLED照明装置を一部切り欠いて示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の断面構造図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の断面構造図であって、空冷時の空気の流れの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の断面構造図であって、空冷時の空気の流れの他の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の断面構造図であって、空冷時の空気の流れのさらの他の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の制御系統の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の制御系統の他の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるLED照明装置の制御系統のさらに他の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる他のLED照明装置を一部切り欠いて示す斜視図である。
【図10】図9に示すLED照明装置の断面構造図である。
【図11】パワーLEDの温度と寿命の関係を示す特性図である。
【図12】空冷ファン、放熱部及びLEDからなる本発明の要部のレイアウトパターンの一例を示す図である。
【図13】図12の装置レイアウトをファンの軸方向から見たレイアウト図である。
【図14】図12の装置レイアウトの変形例を示す図である。
【図15】空冷ファン、放熱部及びLEDからなる本発明の要部のレイアウトパターンの他の一例を示す図である。
【図16】図15の装置レイアウトをファンの軸方向から見たレイアウト図である。
【図17】図15の装置レイアウトの変形例を示す図である。
【図18】空冷ファン、放熱部及びLEDからなる本発明の要部のレイアウトパターンのさらに他の一例を示す図である。
【図19】図18の装置レイアウトをファンの軸方向から見たレイアウト図である。
【図20】図18の装置レイアウトの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 LED照明装置
11 口金部
12 螺旋部
13 接点部
14 ケース部
15 フード部
16 開口部
17 電子回路部
18 空冷ファン
19 放熱器
20 LED
21 台座部
22 センサー
23 照射側ケース部
25 開口部
31 電極
32 AC/DCコンバーター
33 制御回路
34 電流制御部
35 センサー
36 LED
37 放熱器
38 DCファン
41 電極
43 制御回路
44 電流制御部
45 センサー
46 LED
47 放熱器
48 DCファン
51 電極
52 AC/DCコンバーター
53 制御回路
54 電流制御部
55 センサー
56 LED
57 放熱器
58 DCファン
60 LED照明装置
61 口金部
62 螺旋部
63 接点部
65 ケース部
66 開口部
67 AC/DCスイッチング電源
68 空冷ファン
69 放熱器
70 LED
71 台座部
72 照射側シャーシ
73 基板
74 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要のソケットに装着可能な口金部と、
発光ダイオードを配してなる発光部と、
前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、
前記ケース内で前記発光部の発光面の裏面側に配設された空冷ファンと、
前記ケースに開口され前記空冷ファンとの間で空気を導入若しくは導出する開口部とを有することを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記発光ダイオードはパワーLEDであることを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記空冷ファンは放熱部を介して前記発光部の発光面の裏面側に配設されることを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記発光部の近傍にはセンサーが配設され、そのセンサーからの信号に基づき前記空冷ファンが制御されることを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記空冷ファンを制御するための回路部は、前記ケースの内側であって前記口金部と前記発光部の間に搭載されることを特徴とする請求項4記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記ケースの外側に空隙を以って前記開口部を覆うように配されるフードが設けられることを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項7】
所要のソケットに装着可能な口金部と、
発光ダイオードを配してなる発光部と、
前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、
前記ケース内で前記発光部の発光面の裏面側に配設された放熱部と、
前記放熱部にケース内で接続する空冷ファンと、
前記ケースに開口され前記空冷ファンとの間で空気を導入若しくは導出する開口部とを有することを特徴とするLED照明装置。
【請求項8】
前記放熱部には、前記空冷ファンの作動によって導入される空気の通路が形成されていることを特徴とする請求項7記載のLED照明装置。
【請求項9】
前記空冷ファンは前記放熱部と密着して固定され、前記放熱部を通過する空気の通路の延長方向は、前記空冷ファンの回転軸の延長方向と実質的に同じ方向とされることを特徴とする請求項8記載のLED照明装置。
【請求項10】
所要のソケットに装着可能な口金部と、
発光ダイオードを配してなる発光部と、
前記発光部を搭載させると共に前記口金部を外部に突出させるように設けられ前記発光部及び前記口金部を一体とするケースと、
前記ケース内に配されたセンサーと、
前記ケース内に配され前記センサーからの信号に応じた制御を行う制御部とを有することを特徴とするLED照明装置。
【請求項11】
前記センサーは、人などの接近を感知する人センサー、明るさを検知する明暗センサー、振動を感知する振動センサー、リモートコントローラーからの信号を感知するリモコンセンサーのうち選ばれた1つまたは複数のセンサーであることを特徴とする請求項10記載のLED照明装置。
【請求項12】
前記開口部の近傍に脱臭剤若しくは芳香剤が装着されることを特徴とする請求項1、7、もしくは12記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−198478(P2008−198478A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32204(P2007−32204)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(505001982)株式会社大和ライト工業 (3)
【Fターム(参考)】