説明

LPガス供給機におけるタービン流量計

【課題】簡単な構成で、設置スペースの小型化を可能にしたLPガス供給機を提供するためのタービン流量計を得る。
【解決手段】貯留タンクにLPガスを所定量計量しながら供給するLPガス供給機において、タービン流量計Aを液体が通過すると回転するロータ3と、これを回転自在に内蔵するハウジング1とから構成し、ロータ3の羽根4の回転軌跡円上に接近したハウジング1内に羽根4の回転を検出する流量検出部11を設け、一方、計量室2の内壁面との間に薄肉部22を有する第2有底取付穴23を開け、この第2有底取付穴23に薄肉部22を介して液体の温度を測定可能な温度測定器21を内蔵したタービン流量計であるので、車両にLPガスを充填する場合において、供給機自体を小さくすることができ、設置スペースが減少する。また、温度測定器が液体に直接触れることがないので乱流が発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらかじめ設定された貯留タンクにLPガス(液化石油ガス)を所定量充填
供給するLPガス供給機において、これに使用されるとともに計量される液体の温度を測
定する温度測定装置を組み込んだ流量測定用のタービン流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にLPガス等の液体を所定の貯留タンクに供給する場合、その液体がどれだけ供給
されたかを知るために供給時のその流量を計量する必要があり、通常、この流量を計量す
るためには図3に示すようなタービン流量計Aが採用されている(例えば、特許文献1参
照)。これは、流量計Aの入口側105から出口側106に供給される液体をハウジング
101内で回転可能な羽根車としてのロータ103が回転することで、液体の流量を計量
するようにしたものである。そして、このようなタービン流量計を用いてLPガスの流量
を計量する場合、法令に定められた基準温度に合わせて換算しなければならず、この基準
温度は15℃と定められている。そのため、流量計の計量室の出口側に流量計を通過した
液体の温度を測定するための温度測定部を配置し温度計の検出部を直接液体に接液させね
ばならない。しかも、タービン流量計の場合、計量室の出口から口径の5倍以上離れた位
置に設置することが特定計量器検定検査規則第416条第4項に定められており、そのた
めの配管スペースが必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭62−2493号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、限られたスペースに配管を有する供給機即ち、タクシー、一部のトラッ
ク等のLPガスを燃料とする車両にLPガスを充填する場合においては、その充填機自体
を小さくする必要から前記温度測定部を基準通りの位置に設置しようとすると、充填機全
体が大きくなり、充填機の設置スペースが必要以上に広くなっている。また、これを解消
しようとして流量計のハウジングに直接取り付けるようにして温度測定部の先端が計量室
内の液体に直接接触するようにすると、液体がこれにより乱流となることから液体の計量
が不安定になっていた。このため、供給される液体を正確に計量することができないとと
もに、この乱流により機械や配管に振動が発生し、これが長く繰り返されると、機械や配
管等に損傷を生じる恐れがある等の課題が生じている。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解消するとともに簡単な構成で、設置スペースの小
型化を可能にしたLPガス供給機を提供するためのタービン流量計を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、あらかじめ設けられている貯留タンクにLPガスを配管中に設置され
ているタービン流量計Aにより所定量計量しながら供給するLPガス供給機において、配
管が接続された前記タービン流量計Aを液体が通過すると回転するロータ3と、このロー
タ3を回転自在に計量室2内に内蔵するハウジング1とから構成し、このロータ3と一体
となっている羽根4の回転軌跡円上に接近したハウジング1内に前記ロータ3の羽根4の
回転を検出する流量検出部11を設け、一方、前記ハウジング1に前記計量室2の内壁面
との間に薄肉部22を有する第2有底取付穴23を開け、この第2有底取付穴23に前記
薄肉部22を介して計量室2内を流れる液体の温度を測定可能な温度測定器21を内蔵し
たタービン流量計とすることで達成される。
【0007】
また、この目的は、前記構成における第2有底取付穴はロータ3を挟んで前記流量検出
部11に対向する位置に開けられていることで、流量検出時の液体温度の測定が正確にな
り、更に、前記構成における温度測定器は薄肉部22との間に熱伝導性の高い充填剤24
を介在させた構成とすることで、より迅速な液体温度の測定が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、限られたスペースに配管を有するLPガス供給機即ち、タクシー、一
部のトラック等のLPガスを燃料とする車両にLPガスを充填する場合において、その供
給機自体を小さくすることが可能になる。また、このように供給機が小さくなるので、こ
れの設置スペースが減少するから例えば、LPガス充填スタンドにおいて、車両の横付け
スペースが十分に確保でき、安全な充填作業が可能になる。更に、温度測定器が液体に直
接触れることなく正確且つ迅速に液体温度の測定が可能になるので、従来のように乱流が
発生する恐れもない。しかも、この乱流が解消されることで、機械や配管等の破損も解消
され寿命の長い供給機を提供できる等の特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の要部を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に係るタービン流量計の外観正面図である。
【図3】本発明の従来例としてのタービン流量計を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について最良の実施の形態を図1及び図2に基づき説明する。図2におい
て、1はタービン流量計Aの本体を構成するハウジングであり、このハウジング1にはこ
の中を流れる液体の流量を計量する流量検出部からの信号を増幅して取り出す増幅器(図
示せず)を内蔵したアンプケース10が固定されている。また、前記ハウジング1を挟ん
でアンプケース10の反対側にも外観形状が同じ温度測定ケース20が固定してあり、こ
の温度測定ケース20はハウジング1内に固定されている温度測定器からの信号を取り出
す構成となっている。
【0011】
このタービン流量計AはLPガスを燃料とする車両の貯留タンク(図示せず)にこのL
Pガスを所定量計量しながら充填供給するLPガス供給機(図示せず)に使用されており
、この流量計Aは図1に示すように、液体がハウジング1内の計量室2を通過すると回転
するロータ3と、このロータ3を計量室2に回転自在に内蔵するハウジング1とから構成
されている。このハウジング1の両端には液体が供給される入口5と液体が排出される出
口6を有しており、この入口5と出口6との間にはこの間を通過する液体の流れにより回
転するように作用する構成の羽根4を一体固定した前記ロータ3が配置されている。
【0012】
このロータ3と一体となっている羽根4の回転軌跡円上、詳しくは羽根4の外方端に接
近した計量室2の内壁面を有するハウジング1には前記ロータ3の羽根4の回転を検出す
る流量検出部11が設けてあり、具体的には、ロータ3が回転する計量室2の内壁面に近
い部分に薄肉部12を残して開けられた第1有底取付穴13に前記流量検出部11は貫挿
固定されている。そして、前記ロータ3と一体の羽根4の回転により流量検出部11から
電気信号が発信されるようになっており、この電気信号は前記アンプケース10から信号
が増幅されて取り出されるようになっている。
【0013】
一方、前記流量検出部11の前記ロータ3を挟んで対向する位置にあるハウジング1に
は前記流量検出部11の第1有底取付穴13と同様に計量室2の内壁面との間に薄肉部2
2を有する第2有底取付穴23が開口されている。この第2有底取付穴23には前記薄肉
部22を介して計量室2内を流れる液体の温度を測定可能な温度測定器21を内蔵してお
り、しかも、温度測定器21の先端にはシリコングリス等の充填剤24が塗布されて挿入
固定されている。即ち、薄肉部22と温度測定器21の先端との間に前記シリコングリス
のように熱伝導性の高い充填剤24を介在させた構成となっている。また、この充填剤2
4は熱伝導性の高いものであれば、シリコングリスでなくてもよい。このようにすること
で、流量検出時の液体温度の測定が正確になり且つより迅速な液体温度の測定を可能にし
ている。
【0014】
このような構成において、LPガスが入口5から計量室2に供給されると、図1に示す
タービン流量計Aのロータ3が羽根4と一体となって回転する。これにより流量検出部1
1の先端に羽根4が近づくと、電気信号が入り、液体が流れている間、ロータ3が回転す
るからこの信号が積算されて計量されることになる。一方、この流量検出部11の反対側
に設けられている温度測定器21によりハウジング1の計量室2内を流れる液体の温度が
測定されているので、前記流量検出部11での計測流量と温度測定器21での計測温度デ
ータが制御部(図示せず)に電気信号として送られるので、前記基準温度に対する液体の
流量は換算されて表示パネル(図示せず)に表示されることになる。
【0015】
このようにして計量された流量は従来のように温度測定器21が供給される液体に直接
接触することのない構成となっているので、液体の流れが乱れる、所謂乱流となることが
ないので、安定した液体の計量が可能になっている。また、計量室2内の液体温度が測定
されるので、従来のように計量位置と温度測定位置との差により生じる僅かな温度変化も
ないので、正確な換算流量が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、LPガスのように大気中に放出されると気化する液体の他に温度により体積
が変化する液体の計量においても当然に使用することができ、また、温度による換算が必
要な液体の計量に好適なタービン流量計以外であっても用いることができ、このような流
量計のコンパクト化への適用が可能となる。
【符号の説明】
【0017】
A タービン流量計
1 ハウジング
2 計量室
3 ロータ
4 羽根
5 入口
6 出口
10 アンプケース
11 流量検出部
12 薄肉部
13 第1有底取付穴
20 温度測定ケース
21 温度測定器
22 薄肉部
23 第2有底取付穴
24 充填剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ設けられているタンクにLPガスを配管中に設置されているタービン流量計
(A)により所定量計量しながら供給するLPガス供給機において、
配管が接続された前記タービン流量計を液体が通過すると回転するロータ(3)と、こ
のロータを回転自在に計量室(2)内に内蔵するハウジング(1)とから構成し、このロ
ータと一体となっている羽根(4)の回転軌跡円上に接近したハウジング内に前記ロータ
の羽根の回転を検出する流量検出部(11)を設け、一方、前記ハウジングに前記計量室
の内壁面との間に薄肉部(22)を有する第2有底取付穴(23)を開け、この第2有底
取付穴に前記薄肉部を介して計量室内を流れる液体の温度を測定可能な温度測定器(21
)を内蔵したことを特徴とするタービン流量計。
【請求項2】
第2有底取付穴はロータを挟んで前記流量検出部に対向する位置に開けられていること
を特徴とする請求項1記載のタービン流量計。
【請求項3】
温度測定器は薄肉部との間に熱伝導性の高い充填剤(24)を介在させた構成であるこ
とを特徴とする請求項1又は2記載のタービン流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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