説明

MTW構造型のゼオライトの調製方法

【課題】触媒、吸着剤または分離剤として有利に応用されるMTW構造型のゼオライトの新規調製方法を提供する。
【解決手段】MTW構造型を有するゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中、少なくとも1種の四価元素の少なくとも1種の供給源および下記式を有する少なくとも1種の窒素含有有機種を混合する工程と、
ii)前記MTW構造型を有するゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する工程と
を少なくとも包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有有機テンプレート種であって、2つのヘテロ環を含み、それぞれの環が第四級アンモニウム官能基を含有するものの存在下で実施されるMTW構造型のゼオライトの新規調製方法に関するものである。本発明の方法によって得られる前記MTW構造型のゼオライトは触媒、吸着剤または分離剤として有利に応用される。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト類、シリコアルミノリン酸塩類などの結晶性ミクロ孔材料は、石油産業において触媒、触媒担体、吸着剤あるいは分離剤として広く使用されている固体である。これまでに多くのミクロ孔性結晶構造が見出されているが、石油精製および石油化学産業は、気体の精製または分離、炭素含有種などの転化といった用途に適した特性を有する新規ゼオライト構造を常に探し求めている。
【0003】
MTW構造型のゼオライト類は、先行技術において記載されているものである(例えば、非特許文献1参照)。MTW構造型のゼオライト類には、とりわけ、ゼオライトZSM−12、CHZ−5、NU−13、シータ−3が包含される。MTW構造型のゼオライト類は、12個の四面体によって境界を規定された細孔からなる単次元系を呈し、5.6〜6オングストロームの細孔径を有する。これらのゼオライト類、とりわけゼオライトZSM−12を合成する多くの方法が知られている。テトラエチルアンモニウムカチオンが、ゼオライトZSM−12合成用のテンプレートとして広く用いられている。このゼオライトの調製のためのテンプレートとしては、ベンジルトリメチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウムまたはトリエチルメチルアンモニウムの各カチオンの使用も挙げることができる(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ch.ベルフォッハー(Baerlocher)、W.M.マイアー(Meier)、D.H.オルソン(Olson)著、「アトラス・オヴ・ゼオライト・フレームワーク・タイプス(Atlas of Zeolite Framework Types)」、第5版、2001年
【非特許文献2】R.ショスタク(Szostak)、「モレキュラーシーブズ(Molecular Sieves)」、第2版、トムソンサイエンス(Thomson Science)社(1998年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、触媒、吸着剤または分離剤として有利に応用されるMTW構造型のゼオライトの新規調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、MTW構造型を有するゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒質中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源と少なくとも1種の式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、nはメチレン単位(CH)の数を表わし、7、8、9または10に等しい);
を有する窒素含有有機種とを混合する工程と、
ii)前記MTW構造型のゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する工程と
を少なくとも包含する方法を対象とする。
【0009】
好ましくは、前記式(I)を有する窒素含有有機種は、1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン、1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナンおよび1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンから選択される。
【0010】
好ましくは、四価元素Xは、ケイ素、チタン、ゲルマニウムおよびこれら四価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれる。より好ましくは、元素Xは、ケイ素またはケイ素およびゲルマニウムの混合物である。
【0011】
好ましくは、少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の供給源が、前記工程i)を行うための混合物に加えられる。
【0012】
好ましくは、前記元素Yはアルミニウムである。
【0013】
好ましくは、少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mが、前記工程i)を行うための混合物に加えられる。
【0014】
好ましくは、前記金属Mはナトリウムである。
【0015】
好ましくは、フッ化物アニオンが、前記工程i)を行うための混合物に加えられる。
【0016】
好ましくは、工程i)で得られた反応混合物が式XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zRで表わされるモル組成を有し、式中、vは0〜0.5であり;wは0〜1であり;xは0〜1であり;yは1〜200であり;zは0.04〜2であり;bは1〜3であり(bは整数または有理数である);mは1または2に等しく;Rは式(I)を有するカチオン性の窒素含有有機種であり;v、w、x、yおよびzは、それぞれに、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を表わす。
【0017】
好ましくは、前記工程i)の間に反応混合物に種晶が加えられる。
【0018】
好ましくは、前記工程ii)による水熱処理は、80〜200℃の温度で実施される。
【0019】
好ましくは、MTW構造型を有するゼオライトによって形成された固体相をろ取し、洗浄し、乾燥させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、MTW構造型のゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒質中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源と少なくとも1種の式(I):
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、nはメチレン単位(CH)の数を表わし、7、8、9または10に等しい)
の窒素含有有機種とを混合する工程と、
ii)前記MTW構造型のゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する工程と
を少なくとも包含する方法を対象とする。
【0023】
式(I)を有する前記窒素含有有機テンプレート種であって、5つの炭素原子を含有する2つのアルキルヘテロ環によって構成され、それぞれの環が第四級アンモニウムカチオンを含み、−(CH)−単位によって形成された炭素原子数7〜10のアルキル鎖によって互いに隔てられたものが、少なくとも1種の四価元素の少なくとも1種の供給源および水と混合されると、結果として純度の高いMTW構造型のゼオライトが産生されることが見出された。通常、極めて好ましいことに、本発明の方法によって得られたMTW構造型のゼオライト系結晶性固体には、いかなる他の結晶化相または無定形相も存在しない。さらに、本発明方法により調製されたかかるMTW構造型のゼオライトは、極めて良好な結晶性で得られる。本発明方法によって得られたMTW構造型のゼオライトは、極めて種々のゲル組成物について優れた選択性のもとで得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によると、式(I)を有する前記窒素含有有機種は、本発明の方法を用いて調製されるMTW構造型のゼオライトのテンプレートとして作用する。それは、2つの5炭素原子アルキルヘテロ環から構成され、前記ヘテロ環のそれぞれは1つの第四級アンモニウムカチオンを含有し、−(CH)−単位により形成された炭素原子数7〜10のアルキル鎖によって互いに隔てられている。有利には、前記式(I)を有する窒素含有有機種は、1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン、1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナンおよび1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンから選択される。
【0025】
本発明方法の前記工程(i)の実施のために使用される式(I)を有する前記窒素含有有機種は、当業者に既知のいずれの方法を用いても合成される。一般に、N−メチルピペリジンおよび1,n−ジハロアルカンは、N−メチルピペリジン/1,n−ジハロアルカン化学量論比が少なくとも2に等しくなるように混合される。有利には、1モルの1,n−ジハロアルカン(nは上に定義した通りである)と少なくとも2モルのN−メチルピペリジンとが混合される。例えば、1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカンカチオンの合成には、1モルの1,10−ジブロモデカンと少なくとも2モルのN−メチルピペリジンとが混合される。一般的に、少なくとも前記窒素含有有機種および1,n−ジハロアルカンから形成された混合物は5〜15時間の期間にわたり還流下に加熱される。ろ過、ジエチルエーテルなどのエーテル溶媒を用いる沈澱、続いてのエタノール/エーテル混合物からの再結晶の後、式(I)を有する前記窒素含有有機種が純粋な状態で得られる。
【0026】
MTW構造型を有するゼオライトの合成のための窒素含有有機種テンプレートのヘテロ環の各々に存在する第四級アンモニウムカチオンと結合すべきアニオンは、アセタートアニオン、スルファートアニオン、カルボキシラートアニオン、テトラフルオロボラートアニオン、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド等のハリドアニオン、ヒドロキシアニオンあるいはそれらのいくつかの組合せから選ばれる。好ましくは、MTW構造型を有するゼオライトのための窒素含有有機テンプレート種のヘテロ環の各々に存在する第四級アンモニウムカチオンと結合するアニオンは、ヒドロキシアニオンまたはブロミドアニオンである。第四級のジアンモニウム塩のジヒドロキシドは、好ましくは、酸化銀を用いるジアンモニウム第四級塩のジブロミドの水溶液の室温での処理によって得られる。
【0027】
本発明によると、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源は、本調製法の前記工程(i)において組み込まれる。Xは、好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム、チタンおよび前記四価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、非常に好ましくは、Xはケイ素またはケイ素とゲルマニウムとの混合物である。前記四価元素X(単数または複数)の供給源は、活性な形態でこの元素を水溶液中に遊離し得るあらゆる元素X含有化合物であってよい。元素Xは、酸化された形態XOであるいは任意の他の形態で混合物中に組み込まれ得る。Xがチタンである場合には、有利にはTi(EtO)がチタン源として用いられる。Xがゲルマニウムの場合には、有利には無定形GeOがゲルマニウム源として用いられる。Xがケイ素であるという好ましい場合には、ケイ素源は、ゼオライト合成のために現在用いられている供給源のいずれか1つ、例えば、粉末状シリカ、ケイ酸、コロイドシリカ、溶解シリカまたはテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)であってよい。用いられ得る粉末状シリカの例は、沈降シリカ、特に、アルカリ金属ケイ酸塩の溶液からの沈殿によって得られたもの、発熱性シリカ、例えば「CAB-O-SIL(登録商標)」ならびにシリカゲルである。種々の粒子サイズを有するコロイドシリカが用いられ得るが、例えば10〜15nmまたは40〜50nmの平均等価直径(mean equivalent diameter)を有するコロイドシリカ、例えば「LUDOX」などの登録商標名で市販されているものである。好ましくは、ケイ素源はLUDOX(登録商標)であることが好ましい。
【0028】
本発明方法の第一の好ましい実施態様によると、少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の供給源が、本発明の調製方法の前記工程(i)を実施するための混合物に組み込まれる。前記三価金属Yは、好ましくは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウム、ガリウムおよびこれらの三価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれ、非常に好ましくはYはアルミニウムである。前記三価元素(単数種または複数種)Yの供給源(単数種または複数種)は、水溶液中に活性な形態で当該元素を遊離し得るいかなる元素Y含有化合物であってもよい。元素Yは、酸化された形態YO(1≦b≦3;bは整数または有理数である)の形態であるいは任意の他の形態で前記混合物中に組み込まれ得る。Yがアルミニウムである好ましい場合には、アルミニウム源は、好ましくは、アルミン酸ナトリウムまたはアルミニウム塩、例えばクロリド、ニトラート、ヒドロキシドまたはスルファート、アルミニウムアルコキシドあるいは適当なアルミナ、好ましくは水和されたまたは水和され得る形態のもの、例えばコロイドアルミナ、プソイドベーマイト、ガンマアルミナあるいはアルファまたはベータ三水和物である。上記に挙げた供給源の混合物を用いることも可能である。
【0029】
本発明方法の第二の好ましい実施態様によると、少なくとも1種のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属Mが、本発明の調製方法の前記工程(i)を実施するための混合物に組み込まれ、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびこれら金属の少なくとも2種の混合物から選ばれる。好ましくは、前記金属Mはアルカリ金属であり、非常に好ましくは、それはナトリウムである。
【0030】
本発明方法の第三の好ましい実施態様によると、フッ化物アニオンFが、本発明の調製方法の前記工程(i)を実施するための混合物に組み込まれ得る。用いられるフッ化物アニオン源は、NHF、NaF、KF、LiF等のフッ化物塩またはこれら塩の少なくとも2種の混合物、または、フッ化水素酸HFであり得る。好ましくは、フッ化物アニオン源は、水溶液中のフッ化水素酸HFである。
【0031】
上記した本発明方法を行うための好ましい実施態様は、同時にまたは互いに独立して実施され得る。特に、本発明方法の前記工程(i)は、三価元素、好ましくはアルミニウムの供給源およびアルカリおよび/またはアルカリ土類金属、好ましくはナトリウムの存在下に行われることが有利である。本発明方法の前記工程(i)がフッ化物アニオン源の存在下に行われることも有利である。
【0032】
本発明の調製方法によると、工程(i)において得られる反応混合物は下記の式で表わされるモル組成を有する:
XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zR
・ vは0〜0.5、好ましくは0.001〜0.3であり;
・ wは0〜1、好ましくは0.05〜0.5であり、
・ xは0〜1、好ましくは0.1〜0.8であり、
・ yは1〜200、好ましくは10〜100であり、
・ zは0.04〜2、好ましくは0.06〜1、非常に好ましくは0.1〜0.8であり、
・ bは1〜3であり、(bは整数または有理数である)
・ mは1または2に等しく、
ここでX、YおよびMは上記に与えられたのと同じ意味を有する;すなわち、Xは、次の元素からなる群から選ばれた1種以上の四価元素である:ケイ素、ゲルマニウム、チタン;非常に好ましくは、Xはケイ素またはケイ素とゲルマニウムとの混合物である;Yは、次の元素からなる群から選ばれた1種以上の三価元素である:アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウム;非常に好ましくは、Yはアルミニウムである;Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムから選ばれた1種以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属またはこれらの金属の少なくとも2種の混合物であり;非常に好ましくは、Mはナトリウムである;Rは式(I)を有するカチオン性の窒素含有有機種である;v、w、x、yおよびzは、それぞれに、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を表わしている。
【0033】
本発明方法の工程(i)は、ゲルと呼ばれる水性の反応混合物を調製することからなるが、この反応混合物は、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源、好ましくは酸化物XO、場合によっては少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の供給源、好ましくはYO、2つのアルキルヘテロ環によって構成され、各環は、第四級アンモニウムカチオンを含む式(I)を有する少なくとも1種の窒素含有有機種、場合によっては1種以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類金属の少なくとも1種の供給源および場合によっては少なくとも1種のフッ化物アニオン供給源を含有する。それら反応物の量は、このゲルにMTW構造型を有するゼオライトへの結晶化を可能にする組成を付与するように調整する。
【0034】
MTW構造型のゼオライトの結晶の形成に必要な時間および/または総結晶化時間を短縮するために、本発明方法の前記工程(i)の間に反応混合物に種晶を添加することが有利であり得る。前記種晶は、また、不純物の影響を減じて、前記MTW構造型を有するゼオライトの生成を助長する。かかる種晶は、結晶性固体、特に、MTW構造型を有するゼオライトの結晶を含む。結晶種は、通常、反応混合物中に用いられる元素Xの供給源、好ましくは酸化物XOの質量の0.01〜10%の割合で添加される。
【0035】
本発明方法の工程(ii)によると、前記ゲルは、MTW構造型を有する前記ゼオライトが形成されるまで水熱処理を経るが、この処理は好ましくは80〜200℃の温度で実施される。前記ゲルは、有利には、自発反応圧の下、場合により気体、例えば窒素を添加して、80〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で、MTW構造型を有するゼオライトの結晶が形成されるまで、水熱反応条件下に置かれる。結晶化達成に要する時間は、通常1〜50日間であり、好ましくは1〜21日間である。この反応は、一般的には攪拌下または攪拌せずに、好ましくは攪拌しながら、実施される。
【0036】
反応の終了時に、本発明の調製方法の前記工程ii)を行った後に前記MTW型を有するゼオライトが形成された場合、MTW構造型を有するゼオライトから形成された固相はろ過され、洗浄され、乾燥させられる。乾燥は、通常、20〜150℃、好ましくは70〜120℃の温度で、5〜20時間の期間にわたって実施される。乾燥したMTW構造型のゼオライトは、通常、X線回折によって分析されるが、この手法によれば、本発明方法によって得られた前記ゼオライトの純度を求めることもできる。非常に有利には、本発明の方法は、任意の他の結晶性または無定形の相が存在しない純粋なMTW構造型のゼオライトの形成をもたらす。乾燥工程後の前記ゼオライトは、引続き、焼成、イオン交換などの後続工程に付すことができる。これらの工程のために、当業者に知られている任意の従来法が用いられ得る。
【0037】
本発明方法を用いて得られたMTW構造型を有するゼオライトの焼成は、好ましくは、500〜700℃の温度で、5〜15時間の期間にわたって実施される。焼成期間の終了時に得られたMTW構造型を有するゼオライトは、すべての有機種、とりわけ式(I)を有する窒素含有有機種を含んでいない。
【0038】
一般に、本発明方法によって得られたMTW構造型を有するゼオライトのカチオンM(単数または複数)は、1種または複数種の任意の金属カチオン、とりわけ第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB(希土類を含む)、VIII(貴金属を含む)族からのものならびに鉛、スズおよびビスマスによって置換され得る。交換は、適切なカチオンを含有する任意の水溶性塩類を用いて行われる。
【0039】
本発明方法によって得られたMTW構造型を有するゼオライトの水素型を得ることも有利である。前記水素型は、酸、特に、強無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸または化合物、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムとのイオン交換を行うことによって得られ得る。イオン交換は、前記MTW構造型を有するゼオライトをイオン交換溶液に1回以上懸濁させることにより行われ得る。前記ゼオライトは、イオン交換の前または後、あるいは2回のイオン交換工程の合間に焼成され得る。好ましくは、ゼオライトが焼成されてからイオン交換がなされ、ゼオライトの細孔に含まれる任意の有機物質が除去され、イオン交換が促進される。
【0040】
本発明方法によって得られたゼオライトは、イオン交換の後、精製および石油化学の領域において触媒用の酸性固体として用いられ得る。それはまた、汚染制御のための吸着剤として、あるいは分離のためのモレキュラーシーブとしても用いられ得る。
【0041】
例えば、触媒として用いられる場合、本発明方法を用いて調製されたゼオライトは焼成され、イオン交換されて好ましくは水素型であり、不活性であっても触媒的に活性であってもよい無機マトリクスと、および金属相と、組み合わされ得る。無機マトリクスは、ゼオライトの小さい粒子を種々の既知の触媒形態(押出物状、ペレット状、小球状、粉末状)にまとめて保持するための単なるバインダーとして存在していてもよく、または、それは、そうしなければ過度に高い速度を起こし、大量のコークス形成の結果として触媒のコーキングに達するであろう方法における転化度を設定するための希釈剤として添加され得る。典型的な無機マトリクスは、シリカ、種々の形態のアルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、カオリン粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライト、アタパルジャイト、酸性白土(fuller’s earth)などの触媒用担持物質、SiO−Al、SiO−ZrO、SiO−ThO、SiO−BeO、SiO−TiOなどの合成多孔性材料、またはこれらの化合物のあらゆる組合せである。無機マトリクスは、種々の化合物、とりわけ不活性相と活性相との混合物であってもよい。
【0042】
本発明方法を用いて調製されたゼオライトは、少なくとも1種の他のゼオライトと組み合わされて、主活性相または添加剤として作用し得る。
【0043】
金属相は、ゼオライト単独、無機マトリクス単独または無機マトリクス−ゼオライト集合上に、下記元素のうちから選ばれたカチオンまたは酸化物を用いてのイオン交換または含浸によって導入される:Cu、Ag、Ga、Mg、Ca、Sr、Zn、Cd、B、Al、Sn、Pb、V、P、Sb、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irおよび元素周期律表からの任意の他の元素。
【0044】
金属は、全て同一の方法または異なる技術を用いるかのいずれかにより、調製の最中、成形の前後のあらゆるタイミングで、あらゆる順番に導入され得る。さらに、例えば焼成および/または還元などの中間処理が、種々の金属の堆積の合間に適用され得る。
【0045】
本発明方法を用いて調製されたMTW構造型を有するゼオライトを含有する触媒組成物は、一般に、主たる炭化水素変換法およびエーテル類などの有機化合物の合成反応を実施するのに適している。
【0046】
当業者に既知のあらゆる成形法が、前記MTW構造型を有するゼオライトを含有する触媒に適している。例えば、ペレット化、押出または小球体成形を実施することが可能である。本発明方法を用いて調製され、少なくとも一部が酸型であるゼオライトを含有する触媒は、一般的に、その目的とされる用途に応じて押出物状または小球状に成形される。
【0047】
本発明を下記の実施例によって説明するが、それらはいかなる場合にも限定的性格をもつものではない。
【0048】
(実施例1:1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン ジブロミド(テンプレートA1)の調製)
1,10−ジブロモデカン303g(1.0モル、99%、Aldrich)を、エタノール600mlとN−メチルピペリジン248g(2.5モル、99%、Aldrich)が入った3Lフラスコに加えた。反応系を12時間にわたり攪拌し、還流下に加熱した。続いて、混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液をジエチルエーテル900ml中へ注ぎ、生じた沈殿をろ取し、ジエチルエーテル300mlで洗浄した。得られた固体をエタノール/エーテル混合物から再結晶した。得られた固体を12時間にわたり真空乾燥した。白色固体297g(収率60%)が得られた。
【0049】
この生成物は予想通りのH−NMRスペクトルを有していた。
【0050】
1H-NMR (D2O, ppm/TMS): 1.17(12H, m); 1.46 (4H, quint), 1.55 (4H, m); 1.67 (8H, m); 2.83 (6H, s); 3.12 (4H, t); 3.15 (8H, t)
(実施例2:1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン ジヒドロキシド(テンプレートA2)の調製)
17gのAgO(0.07モル、99%、Aldrich)を、30gのテンプレートA1(0.06モル)および脱イオン水100mlの入ったテフロン(登録商標)製250mlビーカーに加えた。反応系を遮光下に12時間にわたって攪拌した。続いて、この混合物をろ過した。得られたろ液は、1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン ジヒドロキシドの水溶液からなっていた。この化学種は、ギ酸を標準として用いたプロトンNMRによって分析された。
【0051】
(実施例3:本発明に合致するMTW構造型を有するケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液19.91gを、1.77gの水酸化ナトリウム(Prolabo)、11.02gのテンプレートA1からなる脱イオン水67.30g中の溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.17NaO:0.17Al:33.33HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で1日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0052】
この乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0053】
(実施例4:本発明に合致するMTW構造型を有するケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液20.78gを、テンプレートA2の22.55重量%水溶液38.08gおよび脱イオン水41.14gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.17A2:33.33HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で7日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0054】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトである。
【0055】
(実施例5:本発明に合致したMTW構造型を有するアルミノケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液20.76gを、テンプレートA2の22.55重量%水溶液38.06g、水酸化アルミニウム(Aldrich)0.090gおよび脱イオン水41.09gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.0042Al;0.17A2:33.33HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で7日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0056】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0057】
(実施例6:本発明に合致したMTW構造型を有するゲルマノケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液12.184gを、無定形酸化ゲルマニウム(Aldrich)2.12g、テンプレートA2の24.55重量%水溶液76.92g、39.5重量%HF水溶液2.57gおよび脱イオン水6.20gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.25GeO:0.63A2:0.63HF:50HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で14日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0058】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0059】
(実施例7:本発明に合致するMTW構造型を有するケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液15.37gを、テンプレートA2の24.82重量%水溶液76.78g、39.5重量%HF水溶液2.59gおよび脱イオン水5.26gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.50A2:0.50HF:40HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で14日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0060】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0061】
(実施例8:1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナン ジブロミド(テンプレートB1)の調製)
1,9−ジブロモノナン286g(1.0モル、99%、Aldrich)を、エタノール600mlとN−メチルピペリジン248g(2.48モル、99%、Aldrich)の入った3Lフラスコに加えた。反応系を12時間にわたって攪拌し、還流下に加熱した。続いて、混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液をジエチルエーテル900ml中へ注ぎ、生じた沈殿をろ取し、ジエチルエーテル300mlで洗浄した。得られた固体をエタノール/エーテル混合物から再結晶した。得られた固体を12時間にわたって真空乾燥した。白色固体265g(収率55%)が得られた。
【0062】
この生成物は予想通りのH−NMRスペクトルを有していた。
【0063】
1H-NMR (D2O, ppm/TMS): 1.22 (10H, m); 1.50 (4H, quint), 1.60 (4H, m); 1.72 (8H, m); 2.87 (6H, s); 3.17 (4H, t); 3.18 (8H, t)
(実施例9:1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナン ジヒドロキシド(テンプレートB2)の調製)
17gのAgO(0.07モル、99%、Aldrich)を、30gのテンプレートB1(0.06モル)および脱イオン水100mlの入ったテフロン(登録商標)製250mlビーカーに加えた。反応系を遮光下に12時間にわたって攪拌した。続いて、この混合物をろ過した。得られたろ液は、1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナン ジヒドロキシドの水溶液からなっていた。この化学種は、ギ酸を標準として用いたプロトンNMRによって分析された。
【0064】
(実施例10:本発明に合致したMTW構造型を有するケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液19.97gを、1.78gの水酸化ナトリウム(Prolabo)、10.74gのテンプレートB1からなる脱イオン水67.51g中の溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.17NaO:0.17B1:33.33HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で3日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0065】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0066】
(実施例11:本発明に合致したMTW構造型を有するゲルマノケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液12.60gを、無定形酸化ゲルマニウム(Aldrich)0.98g、テンプレートB2の22.15重量%水溶液45.28gおよび脱イオン水41.19gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.11GeO:0.33B2:56HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で3日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0067】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0068】
(実施例12:1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタン ジブロミド(テンプレートC1)の調製)
1,7−ジブロモヘプタン100g(0.39モル、99%、Aldrich)を、エタノール200mlとN−メチルピペリジン96g(0.97モル、99%、Aldrich)の入った1Lフラスコに加えた。反応系を12時間にわたって攪拌し、還流下に加熱した。続いて、混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液をジエチルエーテル300ml中へ注ぎ、生じた沈殿をろ取し、ジエチルエーテル100mlで洗浄した。得られた固体をエタノール/エーテル混合物から再結晶した。得られた固体を12時間にわたって真空乾燥した。白色固体98g(収率45%)が得られた。
【0069】
この生成物は予想通りのH−NMRスペクトルを有していた。
【0070】
1H-NMR (D2O, ppm/TMS): 1.25 (6H, m); 1.48 (4H, quint), 1.60 (4H, m); 1.71 (8H, m); 2.86 (6H, s); 3.16 (4H, t); 3.17 (8H, t)
(実施例13:1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタン ジヒドロキシド(テンプレートC2)の調製)
18gのAgO(0.08モル、99%、Aldrich)を、30gのテンプレートC1(0.07モル)および脱イオン水100mlの入ったテフロン(登録商標)製250mlビーカーに加えた。反応系を遮光下に12時間にわたって攪拌した。続いて、この混合物をろ過する。得られたろ液は、1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタン ジヒドロキシドの水溶液からなっていた。この種は、ギ酸を標準として用いたプロトンNMRによって分析された。
【0071】
(実施例14:本発明に合致したMTW構造型を有するケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液17.34gを、テンプレートC2の24.53重量%水溶液77.76g、39.5重量%HF水溶液2.93gおよび脱イオン水1.97gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.50C2:0.50HF:35HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で3日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0072】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトである。
【0073】
(実施例15:本発明に合致したMTW構造型を有するゲルマノケイ酸系ゼオライトの調製)
Aldrichによって市販されているLudox(登録商標)AS−40なる商品名で知られているシリカのコロイド懸濁液15.53gを、無定形酸化ゲルマニウム(Aldrich)1.20g、テンプレートC2の24.43重量%水溶液77.36gおよび脱イオン水3.00gからなる溶液に加えた。混合物のモル組成は次の通りであった:SiO:0.11GeO:0.56C2:39HO。この混合物を半時間にわたって激しく攪拌した。続いて、混合物を、均質化の後、ステンレス鋼製の150mlオートクレーブへ移した。オートクレーブを攪拌(500rpm)下170℃で3日間にわたって加熱した。得られた結晶化生成物をろ取し、脱イオン水で洗浄し(中性pHになるまで)、100℃で終夜乾燥した。
【0074】
得られた乾燥固体生成物を、X線回折により分析した:得られた結晶固体は純粋なMTW構造型を有するゼオライトであった。
【0075】
(実施例16:アルミノケイ酸塩系で合成されたMTW構造型を有するゼオライトを含有する触媒の調製)
本実施例において用いられたゼオライトは、実施例5のSi/Al系で得られたMTW構造型を有する合成時の状態の(as-synthesized)ゼオライトであった。
【0076】
このMTW構造型を有するゼオライトをまず空気流下8時間にわたって550℃で乾式焼成に付して、窒素含有有機テンプレート種A2を除去した。得られた固体を次に、Z型アーム混練機中で、ベーマイト(Pural SB3、Sasol)とともに混練し、ピストン押出機を用いて得られたペースト状物を押し出して、押出物状に成形した。次に、マッフル炉中、押出物を空気下に120℃で12時間にわたって乾燥させ、空気流下550℃で2時間にわたって焼成した。それらは触媒担体を構成した。
【0077】
競合剤(塩酸)存在下でのヘキサクロロ白金酸とのアニオン交換によってこの担体のアルミナ上に白金が担持された。続いて、交換後の担体を空気下に120℃で12時間にわたって乾燥させ、乾燥空気流中で550℃で1時間にわたって焼成された。
【0078】
このようにして調製された触媒は、50重量%のMTW構造型を有する水素型ゼオライト、49.8重量%のアルミナおよび0.2重量%の白金からなっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MTW構造型を有するゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒質中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の供給源と少なくとも1種の式(I):
【化1】

(式中、nはメチレン単位(CH)の数を表わし、7、8、9または10に等しい);
を有する窒素含有有機種とを混合する工程と、
ii)前記MTW構造型のゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する工程と
を包含する、方法。
【請求項2】
前記式(I)を有する窒素含有有機種は、1,10−ビス(メチルピペリジニウム)デカン、1,9−ビス(メチルピペリジニウム)ノナンおよび1,7−ビス(メチルピペリジニウム)ヘプタンから選択される、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
四価元素Xは、ケイ素、チタン、ゲルマニウムおよびこれら四価元素の少なくとも2種の混合物から選ばれる、請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
元素Xは、ケイ素またはケイ素およびゲルマニウムの混合物である、請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の供給源が、前記工程i)を行うための混合物に加えられる、請求項1〜4のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項6】
前記元素Yはアルミニウムである、請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mが、前記工程i)を行うための混合物に加えられる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項8】
前記金属Mはナトリウムである、請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
フッ化物アニオンが、前記工程i)を行うための混合物に加えられる、請求項1〜8のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の調製方法であって、
工程i)で得られた反応混合物が式XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zRで表わされるモル組成を有し、
式中、vは0〜0.5であり;wは0〜1であり;xは0〜1であり;yは1〜200であり;zは0.04〜2であり;bは1〜3であり(bは整数または有理数である);mは1または2に等しく;Rは式(I)を有するカチオン性の窒素含有有機種であり;v、w、x、yおよびzは、それぞれに、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を表わす、調製方法。
【請求項11】
前記工程i)の間に反応混合物に種晶が加えられる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項12】
前記工程ii)による水熱処理は、80〜200℃の温度で実施される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項13】
MTW構造型を有するゼオライトによって形成された固体相をろ取し、洗浄し、乾燥させる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の調製方法。

【公開番号】特開2010−90025(P2010−90025A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233161(P2009−233161)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】