説明

Muファージトランスポゼースを用いた突然変異又は遺伝子多型の検出方法

【課題】突然変異又は遺伝子多型の検出方法の提供。
【解決手段】突然変異又は遺伝子多型の検出方法であって、(11)二重鎖核酸をMu末端核酸及びMuファージトランスポゼースに接触させる工程;及び(12)Mu末端核酸による二重鎖核酸の特定の部位への転移の検出により突然変異又は遺伝子多型を判断する工程を含む検出方法において、該二重鎖核酸がDNA:RNA二重鎖であることを特徴とする検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDNA:RNA二重鎖におけるミスマッチの検出方法に関し、より詳しくは該検出方法を用いた突然変異又は遺伝子多型の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子の塩基配列における変異を検出する方法としては、SSCP(single strand conformation polymorphism)法、又はDGGE法のようなゲル上で展開して移動度の違いにより変異検出を行う方法が広く用いられている。しかしこれらの方法では変異位置を特定することができず、また個々の実験で実験条件の最適化のための時間を要する。
検出対象として、RNA:DNA二重鎖を用いる方法も報告されており、例えば RnaseAによるRNA切断によりRNA変異を検出する方法が報告されている(Science, 230(4731):1242)。しかし、この方法では、検査するRNAの標識が必要であり、また、変異部位以外を切断することによるバックグラウンドが高いという問題点があった。
【0003】
トランスポゾンはゲノム上のある部位から他の部位へ転移する遺伝因子である。転移の際、トランスポゾンの3'末端部位の切断が起こり、この3'OH末端が標的DNAの特定の部位に挿入される。このような工程ではそれぞれの因子に特異的なトランスポゼースが酵素として関与している。MuファージはMuAトランスポゼースの働きによる転移の繰り返しで増殖する。生理学的にはこの工程にはさまざまな調節因子が共に作用しているが、DNA切断と挿入の反応は、Muゲノムの右末端配列を有するDNAフラグメントとトランスポゼースとを用いて、インビトロでも行うことができる( Embo. J., 14, 4893 (1995); Cell, 58, 399,(1989); Cell, 45, 793(1986))。Muは本質的にはどのようなDNA配列にも転移することができる。
【0004】
本発明者らは、核酸のミスマッチ部位にMuが特異的に挿入され易いことを発見し、Muのこの性質を用いた遺伝子変異の検出及び特定の方法をすでに報告している(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 11317-21;米国特許公開公報2004/01918821号)。これらの報告においては、DNA:DNA二重鎖を検出対象として用いた例によって、Muの性質を用いたこの方法が、上述の問題点を克服した方法であることを示している。
なお、従来、MuファージがRNAに転移することが示された報告はない。
【0005】
【特許文献1】米国特許公開公報 US2004/0191821 号
【非特許文献1】Science, 230(4731),1242 (1985)
【非特許文献2】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99, 11317-21(2002)
【非特許文献3】Embo. J., 14, 4893 (1995)
【非特許文献4】Cell, 58, 399(1989)
【非特許文献5】Cell, 45, 793(1986)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は突然変異又は遺伝子多型の検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、核酸のミスマッチ部位にMuが特異的に挿入され易いことを利用した上述の方法について検討する過程において、本方法が未だバックグラウンドが高いという問題点を有することを認識した。この新たな課題を解決すべく、本方法についてさらに検討を行った結果、RNA:DNA二重鎖をミスマッチ部位の判断の対象とした本方法がDNA:DNA二重鎖を対象とした本方法と比較してバックグラウンドが低いことを見いだした。本発明はこれらの知見を基に完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、二重鎖核酸におけるミスマッチの検出方法であって下記工程:
(1)二重鎖核酸をMu末端核酸及びMuファージトランスポゼースに接触させる工程;及び
(2)Mu末端核酸の二重鎖核酸への転移を検出し、Mu末端核酸が二重鎖核酸の特定の部位に転移した場合に、該部位がミスマッチ部位であると判断する工程
を含む検出方法において、該二重鎖核酸がDNA:RNA二重鎖であることを特徴とする検出方法を提供する。
本発明はまた突然変異又は遺伝子多型の検出方法であって、下記工程:
(11)二重鎖核酸をMu末端核酸及びMuファージトランスポゼースに接触させる工程;及び
(12)Mu末端核酸による二重鎖核酸の特定の部位への転移の検出により突然変異又は遺伝子多型を判断する工程
を含む検出方法において、該二重鎖核酸がDNA:RNA二重鎖であることを特徴とする検出方法を提供する。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、さらに下記工程:
(13)突然変異又は遺伝子多型の検出対象RNA及び対応する野生型RNAを調製する工程;
(14)(13)で得られたRNAからDNA:RNA二重鎖を調製する工程;及び
(15)(14)で得られたDNA:RNA二重鎖を変性及びアニーリングして工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を調製する工程
を含む上記の突然変異又は遺伝子多型の検出方法;工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を、検出対象mRNAと該mRNAに対応する野生型cDNAとのアニーリングにより調製する工程をさらに含む上記の突然変異又は遺伝子多型の検出方法;及び工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を検出対象RNAと該RNAに対応する野生型RNAに対して相補的な配列を有する合成DNAとのアニーリングにより調製する工程をさらに含む上記の突然変異又は遺伝子多型の検出方法が提供される。
【0010】
本発明のさらに好ましい態様によれば、Mu末端核酸が標識されている上記いずれかの検出方法;転移反応産物をMu末端核酸に特異的なプライマー及びDNA:RNA二重鎖の検出部分に特異的なプライマーを用いて増幅する工程をさらに含む上記いずれかの検出方法が提供される。
本発明の別の観点からは、RNAを検体とする突然変異又は遺伝子多型の検出用キットであって、
(i)Mu末端核酸;
(ii)Muファージトランスポゼース;及び
(iii)検体RNAに対応する野生型RNAと相補的な配列を有するDNAを含むキット;さらに変異を検出する部分を含む核酸フラグメントの増幅に適したオリゴヌクレオチドプライマーを含む該キットが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によりDNA:RNA二重鎖におけるミスマッチの検出方法が提供される。本検出方法はRNAを検体とする突然変異又は遺伝子多型の検出方法として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において、「ミスマッチ」との用語は、一本鎖核酸中のヌクレオチドが対応する相補的な核酸中のヌクレオチドと、ワトソン‐クリック型塩基対及びπスタッキング相互作用で対になってない又はなれないことを意味する。特に言及しないときはミスマッチとは、核酸中に1つ又は2つ以上の対になっていない又は対になれないヌクレオチドが存在している状態を含む。ミスマッチの核酸においては、例えばA-G、A-A、T-C、T-G、T-T、G-G又は、C-Cのような、A-T又はG-C以外のDNAヌクレオチドの対が1つ以上存在している。
【0013】
ミスマッチは、例えばDNA複製エラー、突然変異生成、5-メチルシトシンの脱アミノ化、DNA組換等から生じる突然変異の存在を反映するものであってもよい。本明細書において「突然変異」とは、核酸配列におけるヌクレオチド配列の変化(単一(点突然変異)又は複数のヌクレオチド置換、欠失、挿入又は転移)をいう。突然変異を有する核酸は、対応する野生型遺伝子の核酸配列とは異なる核酸配列を有する。本明細書において、「野生型」とは突然変異がないことを意味する。また、本発明方法においては、「野生型」のRNA、遺伝子、又はcDNAとして、ミスマッチとなるヌクレオチドを除いて検出対象物と同一又は相補的な配列を含む検出対象物の参照となる核酸を用いてもよい。
【0014】
本発明方法における検出対象である核酸は、細胞及び組織等に存在するRNA、ゲノムDNA又はクローンDNAなどのいずれに由来してもよい。核酸は、真核生物細胞、真正細菌、古細菌、又はウィルス等に由来していればよく、好ましくは、脊椎動物、より好ましくは、例えば家畜、家庭動物、又は研究動物などの哺乳動物に由来し、最も好ましくは、ヒトに由来する。
【0015】
本発明方法において、ミスマッチの検出対象となる二重鎖核酸は、DNA:RNA二重鎖であることを特徴とする。本明細書において、「DNA:RNA二重鎖」とはDNA 一本鎖とRNAとが、アニーリングされている二重鎖核酸を意味し、DNA 一本鎖とRNAとは例えばミスマッチ位置等を除いて相補的部位を有する。ここでDNA 一本鎖とRNAとは同一の長さ(ヌクレオチド数)であっても異なる長さであってもよい。
「相補的」との用語はDNAとRNAが二重鎖部位を形成できるワトソンクリック塩基対に合うヌクレオチドを互いに連続的に有することを意味する。従って、例えばDNA鎖のアデニンに対しては相補的RNA鎖にウラシルが存在し、DNA鎖のグアニンに対しては相補的RNA鎖にシトシンが存在する。DNA:RNA二重鎖は、MuAトランスポゼース用の基質として用いることができれば、どのような形態であってもよく、1つ又は両方の一本鎖核酸において、一部が、PNA(ペプチド核酸)、LNA(リンクした核酸)又はその修飾体になっていてもよい。例えば、DNA:RNA二重鎖は、エステル結合等によって連結されるヌクレオチドを1つ以上含んでもよい。この点については、例えば米国特許5,378,825号明細書を参照することができる。DNA:RNA二重鎖には例えば6-メルカプトグアニン、8-オキソーグアニン等のヌクレオチドアナローグが組込まれていてもよい。その他、種々の修飾をDNA:RNA二重鎖に加えてもよく、例えば検出マーカー(アビジン、ビオチン、放射性元素、蛍光性のタグ及び染料、エネルギー転移標識、エネルギー放出標識、結合パートナー等)又はハイブリダイゼーション、検出、及び/もしくは安定性を改善する部位をDNA:RNA二重鎖につけてもよい。
【0016】
本発明方法においては、単離された核酸をDNA:RNA二重鎖の作製に用いるのが好ましい。本明細書において「単離された」核酸とは、核酸が由来する有機体の天然ゲノムにおいては直結している両側の核酸に直結していない、すなわち、共有結合していない核酸セグメント又はフラグメントを意味する。単離された核酸としては、例えば、バクテリオファージ、ウィルス、自律複製できるプラスミドベクター等のベクターに組み込まれる核酸が挙げられる。また、単離された核酸としては、実質的に他の核酸が除かれる他の化学的手法、選択的増幅、又は制限エンドヌクレアーゼ処理によって得られる核酸が挙げられる。
【0017】
例えば、突然変異がゲノムDNAにある場合は、RNAはDNAを鋳型として調製することができる。DNAを鋳型としたRNAの調製は、例えば、SP6 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ等のRNAポリメラーゼを用いればよい。RNAの合成には、例えばCUGA in vitro transcription kit(ニッポンジーンテク)などの市販の転写キットを用いてもよい。
【0018】
RNA自体の突然変異を検出する場合、RNAは例えば、AGPC(Acid Guanidinium Phenol Chloroform)法などの当業者に慣用の技術によって細胞か組織から単離精製してもよい。例えば、RNAは、mRNAの調製のため、oligo-dTクロマトグラフィーによって任意に精製してもよい((例えばSambrook, et al. (1989), Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y及びAusubel et al. (1995). Current Protocols in Molecular Biology, N.Y., John Wiley & Sonsを参照)。リボソームRNAが分析の対象であるか、又は特定のmRNAが豊富にある場合は、oligo-dTクロマトグラフィーは通常不要である。また、本発明の検出方法は同時に1つ以上の核酸配列を分析できるため、単離精製は必ずしも必要ではない。
【0019】
DNA:RNA二重鎖は慣用の方法によって調製できる。例えば、精製されたRNA又はmRNAは、確実に完全な一本鎖になるように熱変性され、対応するcDNAとハイブリダイズさせてDNA: RNA二重鎖を作製することができる。DNA: RNA二重鎖の作製方法は当技術分野においてよく知られており、詳細に説明されている(例えばSambrook, et al. (1989), Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y及びAusubel et al. (1995)を参照できる)。DNA: RNA二重鎖の作製後、cDNAとRNAの間の誤対合によって生じたミスマッチを検出することができ、cDNAが野生型である場合、この検出により突然変異又は遺伝子多型を検出できる。cDNAは合成されたものでもよく、cDNAライブラリから取得、増幅されたものであってもよい。また、RNAから、慣用の逆転写法を用いてDNA: RNA二重鎖を生成することもできる。
【0020】
本発明の突然変異又は遺伝子多型の検出方法の一態様として、逆転写法を用いてDNA: RNA二重鎖を作製する工程を含む方法の概略を図1に示す。検出対象遺伝子(変異型)及び該遺伝子に対応する野生型遺伝子(野生型)からそれぞれ調製したRNA、又は、単離した変異型と野生型のRNAを用い、それぞれ逆転写等によりDNA:RNA二重鎖とし、両者を混合し変性及びアニーリングを行う。検出対象遺伝子が突然変異等を含む場合、ここでミスマッチを含むDNA:RNA二重鎖(及びミスマッチを含まないDNA:RNA二重鎖)が生じる。検出対象遺伝子が突然変異等を含まない場合、ここでミスマッチを含まないDNA:RNA二重鎖のみが生じる。Mu末端核酸及びMuファージトランスポゼースから形成されるMu転移複合体(図1では標識されている)により転移反応を行うことによりミスマッチ部位にMu末端核酸が転移する。
【0021】
必要に応じて、DNA: RNA二重鎖は検出できる部位で標識されてもよい。例えば、DNA一本鎖又はRNAのいずれか一方を、後述のMu末端核酸の標識と同様に標識してもよく、又は、例えば、バクテリオファージT4ポリヌクレオチドキナーゼ及び.γ-32P-ATPを用いた5'末標識等のエンド標識によって、又は選択した放射性のデオキシリボヌクレオチド3リン酸を用いた均一標識によって両方の鎖を標識してもよい。
【0022】
2以上のDNA一本鎖又はRNAを用いて、転移反応に供するDNA: RNA二重鎖を調製する場合は、2以上のDNA一本鎖又はRNAのそれぞれに異なる蛍光標識用いることにより、多数の突然変異を同時に検出することができる。標識二重鎖核酸を調製する典型的な方法については、例えば米国特許5,824,471号明細書及び5,958,692号明細書を参照することができる。
DNA: RNA二重鎖は標識されないことが好ましく、後述のように、Mu末端核酸が直接的又は間接的に検出されることが好ましい。
【0023】
DNA: RNA二重鎖の調製に用いる核酸は、任意の真核細胞、真正細菌、バクテリオファージ、DNAウィルス又はRNAウィルスに由来していればよい。必要に応じて、RNAは、DNAウィルス等のDNAから転写により調製してもよい。好ましいRNAウィルスとしては、特に制限されないが、ヒトT細胞白血球ウィルス及びヒト免疫不全ウィルス(例えばHTLV-I、 HTLV-II、 HIV-1、及びHIV-2型)が挙げられる。好ましいDNAウィルスとしては、アデノウイルス、パポバウイルス又はヘルペトウィルス等が挙げられる。好ましい真正細菌としては、放線菌、マイコバクテリウム、ヒト型結核菌、連鎖球菌等が挙げられる。
【0024】
DNA: RNA二重鎖の調製に用いる核酸はさらに例えば哺乳類(好ましくはヒト)の真核生物の細胞の腫瘍遺伝子又はがん抑制遺伝子を含んでいてもよい。好ましい哺乳類腫瘍遺伝子としては、abl、 akt、 crk、 erb-A、 erb-B、 ets、 fes/fps、fgr、 fms、 fos、 jun、 kit、 mil/raf、 mos、 myb、 myc、 H-ras、 K-ras、 rel、 ros、 sea、 sis、 ski、 src、 及び yes等が挙げられる。好ましいがん抑制遺伝子としてはp53、網膜芽細胞腫(好ましくはRB1)、大腸腺腫様ポリポーシス、NF-1、NF-2、MLH-1、MTS-1、MSH-2、BRCA-1、BRCA-2、ATM及びヒト非ポリポージス遺伝子が挙げられる。
【0025】
DNA: RNA二重鎖の調製に用いる核酸は、β-グロビンα-抗トリプシン、21−ヒドロキシラーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼE1αサブユニット、ジヒドロプテリジン還元酵素、ロドプシン、β-アミロイド、神経成長因子、スーパーオキシドジスムターゼ、ハンチントン舞踏病、嚢胞性繊維症、アデノシンデアミナーゼ、β-サラセミア、オルニチントランスカルバミラーゼ、コラーゲン、bcl-2、β-ヘキソサミニダーゼ、トポイソメラーゼII、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ、フェニルアラニン4-モノオキシゲナーゼ、抗血友病因子、第IX因子、ヌクレオシド・ホスホリラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ホスホリボシルトランスフェラーゼ、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、von Hippel Lindeau又はマウスまだらメンケスの遺伝子のうちのいずれか1つから単離すればよい。また、核酸は、好ましくはp21、p27、又はp16などの任意の細胞周期制御遺伝子に由来してもよい。
【0026】
DNA: RNA二重鎖の調製に用いる核酸としては、制限酵素フラグメント、PCR、NASBA、SDAあるいは他の増幅方法によって得られた配列又は、任意の真核細胞、バクテリオファージ、真正細菌、昆虫ウィルス(例えば、バキュロウイルス由来のベクターを用いる)又は動物ウィルス(例えば、SV-40かアデノウイルス由来のベクターを用いる)中で増幅した配列を含む核酸分子であってもよい。
DNA: RNA二重鎖の調製に用いる核酸は合成されたものでもよく、又は自然発生源からのものでもよい。自然発生源としては、培養細胞を含む細胞、組織、器官、腫瘍、又は体液が挙げられる。
【0027】
「Mu末端核酸」とはMuゲノムの右末端配列に対応する配列を有する核酸を意味する。Mu末端核酸は、慣用のいずれの方法で調製してもよいが、好ましくは2つの合成オリゴヌクレオチドのアニーリングにより調製することができる。Mu末端核酸は、DNA:DNAタイプの核酸又はDNA:RNAタイプの核酸であればよく、また、DNA:RNA二重鎖について上述した修飾を含むものでもよいが、DNA:DNAタイプの核酸を用いるのが好ましい。
【0028】
Mu末端核酸は、張出した5'一本鎖部位を含むのが好ましい。長いDNAフラグメントを初めに反応液の中に存在させることにより、この張り出し部分がトランスポゼースの切断による反応の間に生成するようにしてもよい。好ましくは、Mu末端核酸はインビトロ転移反応を行なうことができる短い分子であればよい。例えば、最も短い単位は51/56mer程度であるが、転移反応において十分な活性を有する限りこれより短い又は長いフラグメントを用いてもよい。例えば、転移していない鎖上の5'末端延長は不可欠ではなく、また、もう一方の末端は2又は3ヌクレオチド分短くてもよい。Mu末端核酸はさらに短くてもよいが、反応効率が悪くなる可能性がある。Mu末端配列の内部配列変化は多くの場合許容できるが、反応効率への影響はそれぞれの変化によって異なる。効率的なインビトロ転移反応を行うため、Mu末端配列における、RI及びRII MuA結合部位は不可欠である。より長いMu末端核酸フラグメントを用いてもよく、フラグメントのサイズの上限はないが、一般的に小さなMu末端フラグメントは、大きなフラグメントより、サイズによって分離しやすい転移産物を与えるので好ましい。
【0029】
必要に応じて、Mu末端DNAフラグメントには検出のための標識を付けてもよい。標識としては、従来から用いられている標識のうちいずれを用いてもよいが、例えば、直接又は間接的に可視化できる放射性標識、蛍光性標識、化学発光性標識、又は発色性標識等が挙げられる。標識としてはまた、それ自身が検出可能に標識されている抗体によって認識されるジゴキシゲニン等のハプテンも挙げられる。さらに、放射活性標識はDNA:RNA二重鎖の形成の後でもよく、標識の工程は、転移の直前、又は転移の後に行い、標識のために効率よく露出させた末端を用いるようにしてもよい。
【0030】
Muファージトランスポゼースは、どのような形態をとっていてもよく、例えば、トランスポゼースの全長を用いてもよい。Muファージトランスポゼースとしては市販品を用いてもよく、例えば、特定のMuトランスポゾンと組み合わせた、インビトロゲン・ライフ・テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies )の「遺伝子ジャンパー・キット(Gene Jumper Kit)」又は「遺伝子ジャンパーoriVトランスポゾン・キット(Gene Jumper oriV Transposon Kit)」等のキットを用いることもできる。また、Muファージトランスポゼースは、標準蛋白質精製カラムクロマトグラフィーを用いた公知の方法(Baker et al. (1993), Cell 74, 723-33)等で調製してもよい。
【0031】
トランスポゼースは、機能を有する部分を含む全長のMuファージトランスポゼースのフラグメントであってもよい。インビトロ転移反応を起こす機能に実質的に影響せずに除去できるMuファージトランスポゼースの部位としては、例えばN末端基のエンハンサー結合ドメイン、及び他の付属の蛋白質と接触するC末端ドメインなどが挙げられる。全長Muトランスポゼースは663のアミノ酸の蛋白質である。本発明の目的で必要最低限の触媒活性は、このアミノ酸配列の77位から604位を有する蛋白質で保持され、この蛋白質は一般にMuA77-604と呼ばれている。本発明方法で用いることが他のトランスポゼース分子としては、例えばMuA77-663(全長の最初の76のアミノ酸がないもの)、MuA77-615(N末端の76アミノ酸及びC末端の48アミノ酸がないもの)等が挙げられる。
【0032】
トランスポゼースはさらに野生型蛋白質に改変を加えたものであってもよく、インビトロ転移反応を行う機能を実質的に保持している限り、どのような改変体でもよい。改変としては、例えば、自然突然変異などによる自然発生的な改変、部位特異的突然変異誘発のような故意の改変のような非自然発生的な改変、並びに挿入、欠失、追加、及び/又は置換などの保存的な又は非保存的な改変等が挙げられる。
【0033】
「保存的置換」としては、GlyとAla; ValとIleとLeu;AspとGlu; AsnとGln; SerとThr; LysとArg;及び PheとTyrなどの間の置換が挙げられる。また、改変体としては、例えば、突然変異蛋白質、ホモログ蛋白質、ミメティック蛋白質などが挙げられ、翻訳後修飾を含む多くの蛋白質改変なども挙げられる。翻訳後修飾としては、自然発生的修飾、合成的修飾が挙げられ、グリコシル基、脂質、リン酸塩、アセチル基等の他の化学構造との共有結合又は集合による抱合体や、末端アミノ酸の切断などが挙げられ、例えば米国特許5,935,835号明細書に開示された修飾が参照できる。
他の活性型としては、適宜折り重ねられたペプチド配列(例えば蛋白質ドメイン)等が、Muトランスポゼースの活性な最小単位を含むMuトランスポゼースのN又はC末端に付加されたトランスポゼースが挙げられる。付加される配列は自然発生的なものでも、異種のものでもよく、また、例えばリーダー配列、シグナル配列、分泌配列、標的配列、酵素配列等の配列であってもよい。さらにエピトープ・タグ並びにGFP及びその改変タグを含む融合蛋白質が改変蛋白質の例として挙げられる。
【0034】
慣用の方法によりフラグメントあるいはトランスポゼースの改変体が本発明方法において活性を示すか否かを確認してから、これらを本発明に用いてもよい。Mu類似の他のファージからの他のトランスポゼースを、本発明方法に用いてもよい。例えば、ファージD 108は、Muと特に近い関係があり、また、そのエンド配列及びトランスポゼースは、両方ともMuのものに非常に類似している。従って、本発明方法にはD108トランスポゼースを用いることができると考えられる。
【0035】
トランスポゼースを媒介としたインビトロのMu末端核酸転移に適した条件は、当業者が経験的に最適化することができる。本明細書において、「転移」との用語はDNA:RNA二重鎖の一方の鎖のミスマッチ部位で切れ目を入れること及びMu末端核酸フラグメントの転移された鎖の3'末端との結合を含むMu DNA鎖転移反応をいう。本明細書において、「ミスマッチ部位で切れ目を入れる」とは、二重鎖の一方の鎖のミスマッチのヌクレオチド対(ミスマッチ位置)から2つヌクレオチド分5'側でターゲット鎖に切れ目を入れることをいう。また、本明細書において、「ミスマッチ部位」とはミスマッチのヌクレオチド対から2つヌクレオチド分5'側を示すときがある。
【0036】
転移反応の反応条件要因については、Savilahti et al (1995), EMBO Journal 14, 4893-4903等に記載があるが、反応のミスマッチ部位への特異性は、該文献に記載された反応条件より、わずかに高い塩類濃度、低いジメチルスルホキシド(DMSO)濃度、及び低い温度でより高くなる場合もある。
【0037】
Mu末端DNAフラグメントのDNA:RNA二重鎖への転移の検出には、慣用の方法を用いればよく、好ましくは、転移反応産物はサイズによって分離しその後可視化することができる。例えば、一本鎖DNAは、慣用の変性ゲル等を用いた電気泳動によって分離してもよい。変性ゲルとしては、例えば、分離されるフラグメントのサイズに従って、4-8Mの尿素あるいはホルムアミドのような変性剤の存在下で形成されたポリアクリルアミド又はアガロースゲル等が挙げられる。ゲルは、例えばスラブ・ゲルとして、又は毛細管中にキャストされてもよい。上述のように検出用の標識をした核酸フラグメントは、慣用手段で可視化することができる。DNA:RNA二重鎖又はMu末端DNAは上述のように検出のため標識をして、可視化を容易にすることができる。好ましくは、転移する5'末Mu末端DNAを標識するのがよい。転移反応産物のサイズは、通常、標準サイズマーカーとの比較によって決定すればよい。
【0038】
本発明方法は、自動化高速フォーマットに適用することができる。例えば、5'-末標識Mu末端DNAとの反応に続いて、転移反応産物は、例えばマイクロタイタープレートのウェル中、又は遺伝子チップ上にあるDNA:RNA二重鎖の長さに沿った連続する部位に特異的に調製されたプローブにハイブリダイズさせ、どのプローブに転移反応した標識DNAがハイブリダイズしたかを検出することによってDNA:RNA二重鎖のどの部位がMu末端DNAに結合したか容易に決定することができ、ミスマッチ部位を判定できる。
【0039】
転移反応は未標識のMu末端DNAフラグメントを用いて行ってもよく、転移反応後、Mu末端配列をプライマーとして、トランスポゾン化DNAのPCR増幅に使用してもよい。PCR増幅については、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, 1990, Academic Press, San Diego, Calif.等を参照して行うことができる。PCR増幅を行うことにより、大きな標的領域あるいは単一の転移反応から生じた多くの領域を分析に用いる等の様々な方法で用いることができる。拡張した標的領域の増幅を1,2回繰り返した後、再度、転移反応を行うこともでき、この転移産物は、1つのMu末端プライマー及びそれぞれのサブ領域に特異的なプライマーを用いる2回目の増幅に用いることができる。Mu末端プライマーによっては、反応生成物の配列決定が容易になるという利点もある。フラグメント・サイズから推定された突然変異の位置だけではなく、Mu末端プライマーを用いて配列決定することにより突然変異の種類等について迅速に同定することができる(Adachi et al. (1987), Nuc. Acids Res. 15, 771-84)。これらの特徴は、一塩基変異多型を大量に検出及び同定する際に特に有用である。また、突然変異を含んでいるDNAの大量の単離は、例えばビオチン標識したMu末端DNAの使用によって可能であり、自動シークエンサーを使用する高速方法を使用してもよい。
【0040】
DNA:RNA二重鎖が小さく、かつ特定のミスマッチを含む場合、ミスマッチがないDNA:RNA二重鎖のミスマッチではない部位への任意の転移のバックグラウンドと比較して、ミスマッチの部位の中への転移効率が大きいという点を利用することができる。このような場合、反応生成物をサイズによって分離しないで、転移反応を分析することができる。例えば、その反応液を用いて、Mu末端DNA 5'末端で標識し、DNA:RNA二重鎖を例えばビオチンによってアフィニティラベルし、アビジンへのアフィニティによって産物を分離しDNA:RNA二重鎖がミスマッチを含むか否かを決定することができる。
【0041】
本発明方法では、ミスマッチ等の検出の対象であるDNA: RNA二重鎖と同等の対照DNA: RNA二重鎖を同じように処理して対照反応としてもよい。「同等の対照DNA: RNA二重鎖」とは、検出対照と同じ一本鎖を含むがミスマッチがない二重鎖を意味する。すなわち、本発明方法は、Mu末端核酸によるDNA: RNA二重鎖の特定の部位への転移と、ミスマッチがない同等の対照二重鎖に行われた場合の該部位への転移とを比較する(すなわち、顕著な部位の中への転移の程度を比較する、転移産物の量及びサイズを比較する、又は転移部位の数を比較する)等の工程を含んでもよい。
【0042】
本発明方法は、例えば、様々な医学的処置又は研究、獣医学的処置又は研究、農業への適用、犯罪科学、又は親子鑑別等に用いることができる。また、本発明方法は、転移のメカニズムをさらに解明するために使用することもできる。ミスマッチは、コードされる配列中に検出され、例えば遺伝子中のフレームシフト突然変異、終止コドン又は非保存的なアミノ酸置換などを示すものである可能性がある。これらの変化はそれぞれ該遺伝子によりコードされる蛋白質を不活性化するか、又は異常亢進させるか調節不能にするなどの問題がある機能変化をもたらし得るものである。遺伝子変異には無害なものもあり、その場合、機能に検出できるような変化はない。このような突然変異を無害な「遺伝子多型」と呼ぶことがある。さらに、突然変異は遺伝因子外の配列に検出されることもあり、この場合は遺伝子機能又は発現に影響しいる場合もあり、影響していない場合もある。
【0043】
本発明方法は、遺伝病のような哺乳類の疾患に関連したDNA突然変異の検出にも有用である。突然変異は、様々な遺伝子、又はそれらの発現を調節する遺伝子セグメント(例えば腫瘍遺伝子、先天性疾患の原因である遺伝子、細胞周期調節因子である遺伝子、がん抑制遺伝子などの細胞増殖に影響する遺伝子)にあるものでもよい。例えば、反復性DNA中の1つ以上の突然変異はヒト脆弱X症候群、脊柱・延髄の筋ジストロフィー及び筋緊張性ジストロフィーに関係している。これらの遺伝子の各々の反復性DNAからRNAを調製することにより、本発明方法の対象として用いることができる。あるいは、本発明方法は、標準的検定がまだないか、又は決定的検定がない疾患(例えばマルファン症候群)に対応する突然変異を検出するために使用してもよい。検定できる遺伝子の中には、CFTR、APC、p53、Rb、BRCA1、HMSH1及びHMLH1遺伝子を含み、これらに限定されない、あらかじめ既知の疾患への関与が特定されている遺伝子なども含まれ、その他、当業者に明らかなその他の多くの同様の遺伝子も含まれる。
【0044】
不必要な細胞増殖により特徴づけられる病気などの障害の存否又は病状は、病変組織での特有のDNA損傷の存在と関連する。例えば癌からの組織の多くは、腫瘍遺伝子又はがん抑制遺伝子中の病変の存在によって特徴づけられることがある。本発明方法は、実験動物及びヒトのような対象物におけるそのような障害の存否又は段階を評価するために用いることができる。また、本発明方法はそのような病気の治療の効果を評価するために用いることができる。ここで、治療の効果は、対象物の組織中の病変の広がりと関連している。
【0045】
本発明は、例えば実験動物及びヒト等の対象物が過去に該対象物のDNA損傷につながる薬剤に汚染されていたかを評価するために用いることができる。例えば本発明方法はDNAの損傷につながる環境上もしくは職業上の薬剤又は治療剤に汚染されていたかを評価するために用いることができる。
汚染量は、例えば対象物からの組織試料などの被検体の1つ以上の病変(病変はミスマッチにつながる)の存在と関連している。
【0046】
本発明方法は、これまで同定されていない疾病状態に関連する突然変異を同定するために用いることができ、単一塩基突然変異のような突然変異を探すために大きな遺伝子を調べるために用いることもできる。同様に、本発明方法は遺伝子連鎖研究の中立多型検出に用いることもできる。
【0047】
フェノタイプに基づいて選択されている突然変異の位置特定にも、本発明方法は適用できる。多くの遺伝子系では、たくさんの突然変異体は研究に利用できるが、突然変異は正確に解読されていない。本発明方法によって、単一塩基置換として検出できる小さなDNAフラグメントへの多くの突然変異が迅速に位置解読できる。検出されるミスマッチのパーセンテージが多い場合は、本発明方法は、変性勾配ゲル電気泳動(Myers et al. (1985), Nuc. Acids Res 13, 3131)のような物理的な分析法とこの方法が容易に組み合わせることができる。これらの2つの方法は、ミスマッチの検出の仕組みが異なるので、お互いを補足し合うものである。
【0048】
本発明方法は、ヒト遺伝子が病変の原因となる遺伝子を有するか否かの迅速な判断に用いることができ、親になるヒトを調べて子供の中の先天性欠損症のリスクを決定する方法として用いることができる。インビトロで、周産期の検査、あるいは胚の検査も行なうことができる。本発明方法はRFLPマッピングと代わる又は補足することができるものとして犯罪科学及び親子鑑別に適用することもできる。さらに、本発明方法は、農業等の商業用種中の有用な形質の同定にも有用である。本発明方法は簡単迅速で感度が高く自動化が容易であるので、多くのサンプルの大規模検査又は多くの参照核酸からの特定のサンプルのスクリーニングに実際に用いることが可能である。
【0049】
さらに、本発明は、実験操作(例えば変換、突然変異生成、PCR増幅、あるいは長期保管又は凍結、解凍の繰り返し)に基づく突然変異の検出に有用である。従って本方法は、治療的蛋白質を発現する遺伝子構築物又は遺伝子治療のために患者へ導入される遺伝子構築物の試験に有用である。
【0050】
本方法は、バクテリア及びウィルス株を迅速に分類するために用いてもよい。「分類」とは、同一の又は関連するバクテリア又はウィルスの他の株からの特定の株と識別できる1つ以上の核酸突然変異の検出による同系のバクテリア又はウィルス株を特徴づけることを意味する。例として、ヒト免疫不全ウィルスの遺伝変異は、それぞれ明確な遺伝子突然変異を有する別個のHIVタイプの単離に結びついた(Lopez-Galindez et al.(1991), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 4280)。分類として特に興味深いDNAの他の例としては、例えばヒトTリンパ球ウィルス又はヒト免疫不全ウィルスのようなレトロウイルス(特に、HTLV-I、 HTLV-II、 HIV-1、 又はHIV-2)、アデノウイルス、パポバウイルス又はヘルペトウィルスのDNAウィルス、バクテリア、及び他の有機体(放線菌、ヒト型結核菌、連鎖球菌等)から単離されたDNAが挙げられる。
【0051】
本発明の構成はミスマッチの検出用又は突然変異又は遺伝子多型の検出用キットとして提供することもできる。該キットは、Mu末端核酸、 Muファージトランスポゼースを含む。好ましくは、キットは、Mu末端核酸(例えばDNA)及びMuファージトランスポゼースのあらかじめ組み合わされた混合物を含む。好ましくは、キットは凍結乾燥された又は適切な緩衝溶液としての精製されたMuファージトランスポゼース及び/又は凍結乾燥された又は適切な緩衝溶液として精製されたMu末端核酸を含む。
【0052】
また、RNAを検体とする突然変異又は遺伝子多型の検出用キットとして、キットはさらに検体RNAに対応する野生型RNAと相補的な配列を有するDNAを含むものであるのが好ましい。このDNAは合成DNAであってもよく、cDNAライブラリから取得、増幅されたものであってもよい。キットはさらに、Mu末端核酸を標識するための手段;転移産物を検出するための手段;本発明方法に適した1つ以上の反応混合物;及び/又は転移産物の分析に適した予めキャストされたゲルを含んでいてもよい。また、キットは、適当な緩衝液中でMuトランスポゼースと予め一緒にされた、予め標識された又は標識されていないMu末端DNAが反応チューブに小分けにされて、凍結されたものを含んでいてもよい。
【0053】
例えばキットが特定の突然変異の検出のために設計される場合は、キットはさらに、標識されていてもよい参照(対象、野生型)DNA及び/又は突然変異を含んでいると考えられる遺伝子の部分についての標識されていてもよいPCR増幅用プライマーを含んでいてもよい。また、キットは、さらに反応条件及び/又は適切な緩衝液(例えば酵素希釈緩衝液又は酵素反応緩衝液)を標準化するための対照DNA:RNA二重鎖を含んでいてもよい。
Mu末端核酸、Muファージトランスポゼース、及びミスマッチを含むDNA:RNA二重鎖を含むインビトロ反応液も本発明の別の態様である。
【実施例】
【0054】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。以下の実施例において、特に言及しない場合は、部分及びパーセンテージはすべて重量によるものである。
(例1)ミスマッチに依存したMuのDNA:RNA二重鎖への転移
用いたオリゴヌクレオチドの配列は以下の通りである。オリゴヌクレオチドはKeck oligonucleotide Synthesis Facility (USA)に合成を依頼し、ゲル精製して用いた。

MuのR末端配列 (5'-3')
MM1024 GGATGAAGCGGCGCACGAAAAACGCGAAAGCGTTTCACGATAAATGCGAAAAC(配列表の配列番号1)
MM1025 GTTTTCGCATTTATCGTGAAACGCTTTCGCGTTTTTCGTGCGCCGCTTCA(配列表の配列番号2)

未標識DNAオリゴヌクレオチド (5'-3')
MM1652 ACTTCTGATC TTATGTCATG CGGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG(配列表の配列番号3)
KY2036 ACTTCTGATC TTATGTCATG CCGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG(配列表の配列番号4)
KY2037 ACTTCTGATC TTATGTCATG CAGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG(配列表の配列番号5)
KY2039 ACTTCTGATC TTATGTCATG CTGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG(配列表の配列番号6)

未標識RNAオリゴヌクレオチド (5'-3')
MM1693 CUGAAGACUA GAAUAACAAC CGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU(配列表の配列番号7)
KY2034 CUGAAGACUA GAAUAACAAC AGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU(配列表の配列番号8)
KY2030 CUGAAGACUA GAAUAACAAC UGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU (配列表の配列番号9)
MM1692 CUGAAGACUA GAAUAACAAC GGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU(配列表の配列番号10)
【0055】
5'末端をHEXで標識したDNAオリゴヌクレオチド (5'-3')
KY2059 HEX-ACTTCTGATC TTATGTCATG CGGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG
KY2060 HEX-ACTTCTGATC TTATGTCATG CCGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG
KY2061 HEX-ACTTCTGATC TTATGTCATG CAGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG
KY2062 HEX-ACTTCTGATC TTATGTCATG CTGTTGTTAT TCTAGTCTTC AG

3'末端をFAMで標識したRNAオリゴヌクレオチド (5'-3')
KY2063 CUGAAGACUA GAAUAACAAC GGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU-FAM
KY2064 CUGAAGACUA GAAUAACAAC CGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU-FAM
KY2065 CUGAAGACUA GAAUAACAAC UGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU-FAM
KY2066 CUGAAGACUA GAAUAACAAC AGCAUGACAU AAGAUCAGAA GU-FAM

上記の合成オリゴヌクレオチドを終濃度2mMで、110mM NaCl存在下94℃で3分間加温後、ゆっくりと温度を下げることによりアニーリングさせ、転移検体であるDNA:RNA二重鎖を作製した。アニーリングの際のオリゴヌクレオチドの組み合わせは以下の通りである。
【0056】
Muの末端配列
MM1024/MM1025

DNA鎖をラベルした基質
塩基対 upper strand lower strand
G/C KY2059 MM1693
G/A KY2059 KY2034
G/U KY2059 KY2030
G/G KY2059 MM1692
C/C KY2060 MM1693
C/A KY2060 KY2034
C/U KY2060 KY2030
A/U KY2061 KY2030
A/A KY2061 KY2034
T/U KY2062 KY2030
【0057】
RNA 鎖をラベルした基質
基対 upper strand lower strand
G/C MM1652 KY2064
G/A MM1652 KY2066
G/U MM1652 KY2065
G/G MM1652 KY2063
C/C KY2036 KY2064
C/A KY2036 KY2066
C/U KY2036 KY2065
A/U KY2037 KY2065
A/A KY2037 KY2066
T/U KY2039 KY2065
【0058】
転移反応は以下のように行った。まずMuのR末端DNA 10 μMとMuA 3μMを25 mM HEPES (pH 7.6), 1mM DTT, 15% glycerol, 15% DMSO, 12mM CHAPS存在下、37℃で1時間保温した。その後にMu R末端DNAとMuAがそれぞれ200 nM, 0.6 μMとなるように希釈し、同時に500 mM NaClとなるようNaClを加え、これをMu転移複合体として用いた。転移反応は5μlの反応スケールで、転移標的DNA:RNA (100nM) 1 μl, Mu転移複合体1 μlを反応緩衝液(25 mM HEPES (pH 7.6), 1 mM DTT, 15% glycerol, 15% DMSO, 12 mM CHAPS)中、終濃度156 mMNaCl存在下で30℃ 10分間保温して行った。ここに終濃度1.2%となるようにSDSを加え、37℃で10分間保温し、基質からMu転移複合体を解離させた。これらを50μg/ml BSA, 50μg/ml Heparinを含む3.5%アガロースゲル(Nusieve3:1)(BMA, USA)で泳動し、蛍光をイメージアナライザー Typhoon (Amersham Biosciences, USA)で解析した。結果を図2に示す。図中AはDNA:RNA二重鎖のRNAを蛍光標識したものであり、BはDNA:RNA二重鎖のDNAを蛍光標識したものである。いずれのミスマッチにおいても転移産物が検出されていることがわかる。
【0059】
(例2)Muの転移反応による遺伝子変異の検出
(1)RNAの調製
プラスミドpMK591(MuA遺伝子野生型)、pMK609(MuA遺伝子C10L変異型)をそれぞれ1μgを制限酵素Pst Iで切断した。これらのプラスミドはKiyoshi Mizuuchi(NIH, USA)が作成したもので、下記文献に記述がある。これを鋳型にしてRNAをCUGA7 in vitro transcription kit (ニッポンジーンテク)を用いて合成した。合成方法は製造元のマニュアルに従い同様に製造元のマニュアルに従ってMegaclear(Ambion, USA)で精製した。合成されたRNAの長さは340 ntであった。
【0060】
(2)DNA:RNA二重鎖の調製
精製したRNA を鋳型にして逆転写を行なった。なお、KY2197は合成DNA(GCAAGTCTGCGCTGGGAATC:配列表の配列番号11)である。
下記(a)を混合し、65℃で5分間加熱した後、3分間氷の上に置いた。これに、下記(b)を加えて55℃で30分間、さらに70℃で15分間加熱した。

(a) MuA RNA (1.3μg/μl) 8 μl
KY2197 (50μM) 4 μl
10 mM dNTP 4 μl
H20 36 μl
(b) 5 x first strand buffer 16 μl
0.1M DTT 4 μl
H20 4 μl
SuperscriptIII 4 μl
(Invitrogen, USA)
【0061】
(3)DNA:RNA二重鎖の変性及びアニーリング
(2)で調製したpMK591由来のDNA:RNA二重鎖とpMK609由来のDNA:RNA二重鎖を20 μlずつ混合したもの(変異のある試料)、及びpMK591由来のDNA:RNA二重鎖を40 μl分注した(変異のない試料)ものそれぞれにエタノール120 μl及び3M酢酸ナトリウム4 μlを加え、エタノール沈殿を行なった。
沈殿物を50 μlのハイブリダイゼーションバッファー (80 % ホルムアミド, 40 mM PIPES (pH6.4), 1 mM EDTA, 400 mM NaCl)に溶解し、95℃に3分間加熱後45℃まで2時間かけて徐々に冷却した。これらにエタノール150 μl 及び3M酢酸ナトリウム5 μlを加え、エタノール沈殿を行なった。
沈殿物を20 μlの水に溶解し、転移反応に供するDNA:RNA二重鎖試料とした。
【0062】
(4)DNA:DNA二重鎖の調製
DNA:DNA 二重鎖はpMK591又はpMK591とpMK609を混合したものを鋳型として下記のようにPCR 法で作製した。

H2O 13μl
10×Pfu Turbo バッファー 2.5μl
2.5 mM dNTP 2.0μl
10 μM T7 pro プライマー 0.5μl
10 μM KY2197 プライマー 0.5μl
0.1 ng鋳型DNA(上記プラスミド) 1.0μl
Pfu Turbo (Invitrogen, USA) 0.5μl
【0063】
(5)転移反応
転移反応は各試薬の終濃度が以下のようになるようにして10℃で10分間行なった。

DMSO 10 %
NaCl 300 mM
MgCl2 4 mM
CHAPS 12 mM
Mu R末端DNA 40 nM
MuA 120 nM
試料(上記(3)又は(4)で調製したもの) 500 nM

Mu R末端DNAは以下の二本の合成DNAをアニーリング(それぞれ1μMを110 mM NaCl存在下で85℃から30℃まで1時間かけて冷却した)して調製した。

MM1138 (TCGGATGAAGCGGCGCACGAAAAACGCGAAAGCGTTTCACGATAAATGCGAAAACA: 配列表の配列番号12)
MM2046
(HEX-GTTTTCGCATTTATCGTGAAACGCTTTCGCGTTTTTCGTGCGCCGCTTCA: 配列表の配列番号13)
【0064】
反応産物をエタノール沈殿法によって精製後、8M尿素入り6%アクリルアミドゲル電気泳動法で解析し、Mu DNAに付加したHEXの蛍光をイメージアナライザー Typhoon (Amersham Biosciences, USA)で映像化した。
結果を図3に示す。
DNA:DNA二重鎖及びDNA:RNA二重鎖で転移産物が検出されているが、DNA:RNA二重鎖を用いた結果においてDNA:DNA二重鎖を用いた結果よりもバックグラウンドが低いことがわかる。
【0065】
(例3)Mu転移を利用した変異部位の単離法
例2の(1)〜(3)と同様の工程で転移反応に供するDNA:RNA試料を調製した。
転移反応は各試薬の終濃度が以下のようになるようにして10℃、10分間行なった。

DMSO 10 %
NaCl 300 mM
MgCl2 4 mM
CHAPS 12 mM
Mu R末端DNA 40 nM
MuA 120 nM
試料(上記で調製したもの) 500 nM

Mu R末端DNAは以下の二本の合成DNAをアニール(それぞれ1μMを110 mM NaCl存在下で85℃から30℃まで1時間かけて冷却した)させて調製した。
MM1138 (TCGGATGAAGCGGCGCACGAAAAACGCGAAAGCGTTTCACGATAAATGCGAAAACA: 配列表の配列番号14)
MM1144 (TGTTTTCGCATTTATCGTGAAACGCTTTCGCGTTTTTCGTGCGCCGCTTCA: 配列表の配列番号15)
【0066】
転移反応後のPCR法による変異DNAの増幅は以下の材料を用いて、94℃ 3分、25 サイクル (94℃ 30秒, 55℃ 1分, 72℃ 30 秒)、72℃ 5分で行なった。

10倍希釈した転移反応液 0.5 μl
10 x Ex Taq 2.0μl
2.5 mM dNTP 1.6μl
12.5 μM KY2200(プライマー) 0.8μl (ATGGAACTTTGGGTATCACC: 配列表の配列番号16)
12.5 μM KY2204(プライマー) 0.8μl(CGCATTTATCGTGAAACGCTTTC: 配列表の配列番号17)
ExTaq 0.2μl
H20 14.1μl

PCR産物を3.5%アガロースゲルを用いた電気泳動法で解析し、臭化エチジウムでDNAを染色した。Mu転移を利用した変異部位の単離法の概略(A)及び結果(B)を図4に示す。変異部位を含むDNAが検出されている。
【0067】
(例4)Muの転移反応によるRNA変異の多部位同時検出
(1)RNAの調製
プラスミドpHIT94(線虫の遺伝子F46H5.3の発現プラスミド)、をそれぞれ1μgを制限酵素Xba Iで切断した。このプラスミドは田原浩昭博士(京都大学)が作製したものであり、pCITE-46(+)(Novagen, USA)のEcoRV切断部位にF46H5.3遺伝子の全長をクローニングしたものである。これを鋳型にしてRNAをCUGA7 in vitro transcription kit (ニッポンジーンテク)を用いて合成した。合成方法は製造元のマニュアルに従った。合成されたRNAの長さは1560 ntで、さらにMegaclear(Ambion, USA)で精製した。精製方法は製造元のマニュアルに従った。
【0068】
(2)DNA:RNAの調製
(1)で調製したRNAに対し、相補的だが、1ヶ所ミスマッチのある以下の合成DNAを調製した。精製したRNAにこれらの合成DNAをアニールリング(110 mM NaCl 存在下で95℃3分、45℃まで1時間かけて冷却)してDNA:RNA二重鎖を作製した(RNA及び DNAの終濃度はそれぞれ、2.5 μM, 10 μM)。

I: KY2131 (CCTTGATGAGTTGATCGTGGATTTCCTTGGTC: 配列表の配列番号18)
II: KY2133 (GACTCCCTTGATGAGAGGCTCCAAGACTTGTC: 配列表の配列番号19)
III: KY2135 (GACTCGGAGTGTTCTCGGTGGATACCACGGAT: 配列表の配列番号21)
【0069】
(3)転移反応
転移反応は各試薬の終濃度が以下のようになるようにして50℃、10分間行なった。

DMSO 15 %
NaCl 100 mM
MgCl2 4 mM
CHAPS 12 mM
Mu R末端DNA 40 nM
MuA 120 nM
試料((2)で調製したDNA:RNA のRNAの濃度) 500 nM

Mu R末端DNAは以下の二本の合成DNAをアニーリング(それぞれ1μMを110 mM NaCl存在下で85℃から30℃まで1時間かけて冷却した)して調製した。
MM1024 (GGATGAAGCGGCGCACGAAAAACGCGAAAGCGTTTCACGATAAATGCGAAAAC:配列表の配列番号21)
MM2046 (HEX-GTTTTCGCATTTATCGTGAAACGCTTTCGCGTTTTTCGTGCGCCGCTTCA:配列表の配列番号22)
【0070】
反応産物をエタノール沈殿法によって精製後、RNAの電気泳動に常用されるホルムアミド入りアガロースゲルで電気泳動を行ない、Mu DNAに付加したHEXの蛍光をイメージアナライザー Typhoon (Amersham Biosciences, USA)で映像化した。結果を図5に示す。
図5Cにおいてレーン1,2,3はそれぞれRNAをDNAI、DNAII、及びDNAIIIとアニーリングした試料の転移産物であり、レーン4はRNAをDNAI及びDNAIIIと同時にアニーリングした試料の転移産物であり、レーン5はRNAをDNAI、DNAII、及びDNAIIIと同時にアニーリングした試料の転移産物である。レーン5が示す結果から、複数変異を同時に検出できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の突然変異又は遺伝子多型の検出方法の1態様の概略を示す図である。
【図2】ミスマッチ塩基対に依存したMuのDNA:RNA二重鎖への転移を検出した結果を示す図である。
【図3】DNA:DNA二重鎖又はDNA:RNA二重鎖を対象とした遺伝子変異の検出の結果を示す図である。
【図4】Mu転移を利用した変異部位の単離法の概略(A)及びPCR増幅されたDNAのアガロース電気泳動法での解析結果(B)を示す図である。
【図5】Muの転移反応によるRNA変異の多部位同時検出の概略(A及びB)と結果(C)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重鎖核酸におけるミスマッチの検出方法であって下記工程:
(1)二重鎖核酸をMu末端核酸及びMuファージトランスポゼースに接触させる工程;及び
(2)Mu末端核酸の二重鎖核酸への転移を検出し、Mu末端核酸が二重鎖核酸の特定の部位に転移した場合に該部位がミスマッチ部位であると判断する工程
を含む検出方法において、該二重鎖核酸がDNA:RNA二重鎖であることを特徴とする検出方法。
【請求項2】
突然変異又は遺伝子多型の検出方法であって、下記工程:
(11)二重鎖核酸をMu末端核酸及びMuファージトランスポゼースに接触させる工程;及び
(12)Mu末端核酸による二重鎖核酸の特定の部位への転移の検出により突然変異又は遺伝子多型を判断する工程
を含む検出方法において、該二重鎖核酸がDNA:RNA二重鎖であることを特徴とする検出方法。
【請求項3】
さらに下記工程:
(13)突然変異又は遺伝子多型の検出対象RNA及び対応する野生型RNAを調製する工程:
(14)(13)で得られたRNAからDNA:RNA二重鎖を調製する工程;及び
(15)(14)で得られたDNA:RNA二重鎖を変性及びアニーリングして工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を調製する工程
を含む請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を、検出対象mRNAと該mRNAに対応する野生型cDNAとのアニーリングにより調製する工程をさらに含む請求項2に記載の検出方法。
【請求項5】
工程(11)に用いるDNA:RNA二重鎖を検出対象RNAと該RNAに対応する野生型RNAに対して相補的な配列を有する合成DNAとのアニーリングにより調製する工程をさらに含む請求項2に記載の検出方法。
【請求項6】
Mu末端核酸が標識されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項7】
転移反応産物をMu末端核酸に特異的なプライマー及びDNA:DNA二重鎖の検出部分に特異的なプライマーを用いて増幅する工程をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項8】
RNAを検体とする突然変異又は遺伝子多型の検出用キットであって、
(i)Mu末端核酸;
(ii)Muファージトランスポゼース;及び
(iii)検体RNAに対応する野生型RNAと相補的な配列を有するDNAを含むキット。
【請求項9】
さらに変異を検出する部分を含む核酸フラグメントの増幅に適したオリゴヌクレオチドプライマーを含む請求項8に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−238782(P2006−238782A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58584(P2005−58584)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】