説明

N−アリール−ヒドロキシアルキリデン−カルボキサミド化合物およびそれらの使用

本発明は一般に、感覚過程に影響を与える化学物質に関する。より具体的には、本発明は、感覚的爽快、かゆみおよび痛みの知覚の妨害、ならびに皮膚刺激、かゆみ、および痛みの緩和に有用である末梢感覚に作用する化合物(例えば、2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸 [2'-ヒドロキシ-2'-(3"-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-N-メチル-アミドを含む)に関する。これらの組成物は、薬理作用の持続時間を延長し得る驚くべき薬物動態学的特性を有し、局所的または全身的に投与することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、感覚過程に影響を与える化学物質に関する。より具体的には、本発明は、感覚的爽快、かゆみおよび痛みの知覚の阻害、ならびに皮膚刺激、かゆみ、および痛みの緩和に有用である、ある種の末梢感覚に作用する化合物(例えば、2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-ヒドロキシ-2'-(3"-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-N-メチル-アミドを含む)に関する。これらの組成物は、薬理作用の持続時間を延長し得る驚くべき薬物動態学的特性を有し、また局所的にまたは全身的に投与することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明および本発明に関係する技術の状況をより完全に説明および開示するために、本明細書に多くの特許および出版物を引用する。個々の引用の際には特に参照により組み入れる旨を記載しないが、これらの参照文献のすべてを全体として参照により本明細書の開示に組み入れる。
【0003】
この明細書および特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他に理解される場合を除いて、「含む」という用語およびその変化形は、記載された整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を含むことを意味するが、他の整数もしくは段階または整数もしくは段階の群を除外することを意味しない。
【0004】
明細書および特許請求の範囲において、文脈上明白に異なる場合を除いて、記載される名詞は、単数および複数の両方の場合を含む。したがって、例えば、「医薬担体」という表現は、1種の担体のみでなく、2種以上の担体の混合物を含む。
【0005】
範囲はしばしば、「『約』ある特定の値から」、および/または「『約』別の特定の値まで」という形で表現される。このような範囲が表現された場合、「前記のある特定の値から」、および/または「前記の別の特定の値まで」を含む別の実施形態が存在する。同様に、値が「約」を用いて近似により表現される場合には、その特定の値は別の実施形態を形成すると理解される。
【0006】
本開示は本発明の理解に有用であり得る情報を含む。これは、本明細書に提供される情報が先行技術であることまたは本発明に関連することを認めるものではなく、また具体的にまたは暗黙的に参照される出版物が先行技術であることを認めるものでもない。
【0007】
約20〜30年前に、科学者のグループが皮膚に対して生理的な冷却作用を有する新規化合物を発見した。これらは、米国特許第4,193,936号(Watsonら、1980年3月18日)、米国特許第4,248,859号(Rowsellら、1981年2月3日)、米国特許第4,318,900号(Rowsell、1982年3月9日)、およびWatson et al., 1978, “New compounds with the menthol cooling effect”, J. Soc. Cosmet. Chem., Vol. 29. pp. 185-200に記載されている。
【0008】
現在、末梢に作用して中枢神経系における侵害信号の知覚を減少させる、2種の主要なクラスの薬物が存在する。侵害信号は、刺激、かゆみおよび痛みを引き起こす刺激である。1つのクラスは、侵害信号の中枢神経系への末梢神経伝導を阻害する、プロカインおよびリドカインなどの局所麻酔薬である。別のクラスは、特定のプロスタグランジンの合成を阻害する、アスピリンおよびイブプロフェンなどの薬剤である。これらのプロスタグランジンは、損傷または炎症時に組織により放出されると、侵害刺激に応答する知覚神経線維の興奮閾値を低下させる。「末梢」は、薬物作用の標的が中枢神経系の外側、すなわち脳および脊髄の外側に位置することを意味する。「抗侵害受容」は、薬剤が、侵害刺激の精神的および生理学的知覚を抑制すること意味する。
【0009】
温度感覚、刺激、かゆみおよび痛みをコードする感覚線維は、Aδおよび無髄C線維と呼ばれる小径の感覚線維である。それらはポリモーダルとも呼ばれる。組織が刺激され、損傷を受けまたは炎症を起こすと、C線維は特に活性化する。本発明の化合物を使用した場合、冷却および冷たさの感覚はおそらくAδ求心性神経により活性化される。これらの感覚は、C線維により活性化された侵害信号の知覚を減少させるネット効果を有する。
【0010】
米国特許第6,919,348号(Weiら、2005年7月19日)には、かゆみに有用な1,2,3,6-テトラヒドロピリミジン-2-オン化合物が記載されている。
【0011】
Weiにより研究された他の分子は以下に記載されている:US 2005/0059639(2005年3月17日)、Ophthalmic Compositions and Methods for Treating Eye Discomfort and Pain;US 2005/0159394(2005年7月21日)、Aryl-Substituted Derivatives of Cycloalkyl and Branched Chain Alkyl Carboxamides and Carboxylic Acids Useful as Antinociceptive Drugs For Peripheral Targets;US 2005/0187211(2005年8月25日)、N-Aryls-Carboxamide Compositions and Methods;およびWO 2006/103401(2006年10月5日)、N-Alkylcarbonyl-Amino Acid Ester and N-Alkylcarbonyl-Amino Lactone Compounds and Their Use。
【0012】
WO 2005/020897には、明らかにTrp-p8モジュレータとして作用し、また明らかにアポトーシスおよび/または壊死を刺激する方法ならびに癌および関連の疾患を治療する方法において有用である多くの化合物が記載されている。以下の2つの化合物は、その58ページにTrp-p8作動薬の実施例として記載されている。
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,193,936号
【特許文献2】米国特許第4,248,859号
【特許文献3】米国特許第4,318,900号
【特許文献4】米国特許第6,919,348号
【特許文献5】US 2005/0059639
【特許文献6】US 2005/0159394
【特許文献7】US 2005/0187211
【特許文献8】WO 2006/103401
【特許文献9】WO 2005/020897
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Watson et al., 1978, “New compounds with the menthol cooling effect”, J. Soc. Cosmet. Chem., Vol. 29. pp. 185-200
【発明の概要】
【0015】
本発明の一態様は、感覚的不快;咳;かゆみ;痛み;急性または慢性の痛み;上気道または口腔における炎症および痛み;または上気道または口腔における炎症および痛みの治療方法に使用するための化合物に関し、上記化合物は本明細書に記載される式1の化合物である。
【0016】
本発明の一態様は、感覚的不快;咳;かゆみ;痛み;急性または慢性の痛み;上気道または口腔における炎症および痛み;または上気道または口腔における炎症および痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用に関し、上記化合物は本明細書に記載される式1の化合物である。
【0017】
本発明の一態様は、感覚的不快;咳;かゆみ;痛み;急性または慢性の痛み;上気道または口腔における炎症および痛み;または上気道または口腔における炎症および痛みの治療方法に関し、上記方法は、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、上記化合物は本明細書に記載される式1の化合物である。
【0018】
特に好ましい実施形態において、上記化合物は:
【化2】

【0019】
である。
【0020】
本発明の他の態様は、以下の発明の詳細な説明および特許請求の範囲を読むことにより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施例2に記載される4種の化合物、CPS-192(0.5%)、CPS-195(1.0%)、CPS-179(0.5%)、およびCPS-190(1.0%)の、適用後の時間の関数としての冷却強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
理論により拘束されることなく、本発明の組成物中の化合物は、末梢ニューロンにおける感覚過程に作用して皮膚刺激、かゆみ、および痛みの知覚を抑制すると考えられる。正常な皮膚において、これらの化合物は、冷却、爽快の感覚を与える。
【0023】
上記化合物は式1の化合物:
【化3】

【0024】
[式中:
Rは(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシルであり;
R"は水素、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルであり;
R'は二価のC2〜C4 ヒドロキシアルキリデニル基であり;
Yは置換アリールまたは置換ヘテロシクリルである;
(ここで、アリールまたはヘテロシクリルは、フェニル、1-ナフチル、インデニル、アズレニル、ヘプタレニル、インダセニル、ピリジニル、ジヒドロピリジニル、ピリダジニル、ピペラジニル、ピリミジニル(pyrmidinyl)、ピラジニル、インドリル、プリニル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはフェナスリジニル(phenathridinyl)であり;
アリールまたはヘテロシクリル上の1〜5個の置換基は、1個以上のハロゲン、C1〜C8アルキル、アルケニル、ヒドロキシル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C10ヒドロキシアルキルまたはポリヒドロキシアルキル、C2〜C10アルキルカルボニルオキシ、C2〜C10カルボキシアルキルまたはアルキルカルボキシアルキル、C3〜C10アルキルカルボニルオキシアルキル、C2〜C8アシル、アミノ、C1〜C8アルキルアミノ、C2〜C10アシルアミノ、スルホンアミドまたはC1〜C8アルキルスルホニルアミノ(alkylsufonylamino)、N-アリールスルホンアミドまたはN-ヘテロシクリルスルホンアミドである(ここで、アリールまたはヘテロシクリルは、フェニル、ベンジル、オキサゾリル(oxazoyl)、チアゾリル(thiazoyl)、ピリミジニル、ピリダジニル、または1,2,4-トリアジニルであり、アリールまたはヘテロシクリル部分は、a)3個以下のC1〜C3アルキル基、b)3個以下のC1〜C3アルコキシ基、c)C1〜C8アミノアルキルもしくはジアミノアルキル、d)C2〜C10アルキルアミノアルキル、e)C2〜C10アシルアミノアルキル、f)カルボキシ、またはg)C2〜C10アルキルカルボキシで場合により置換されている))]
である。
【0025】
用語「アルキリデン」は、示された炭素原子数を有する直鎖状又は分岐状の飽和、脂肪族の二価基を意味する。
【0026】
カルボキサミド基は、シクロアルキル環の平面に対してエクアトリアル位にあることが好ましい。
【0027】
アリール環またはヘテロシクリル環には複数の基が挿入されていてもよく、これにより受容体に対するリガンドの多様性が増加する。
【0028】
多くの適用には、式1化合物の製薬上許容される塩の形態が有用であり、そのような塩としては、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、アルキル置換アンモニウム塩、または四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0029】
本明細書に記載される構造の新規な特徴は、式1のR'がC2〜C4 ヒドロキシアルキリデンであることである。「ヒドロキシアルキリデン」は、2〜4個の炭素原子を有し、分子式-CnH2nO-(nは2、3、または4である)の、二価の、ヒドロキシル置換の、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素鎖を意味する。この特徴により、局所作用の持続時間はより長くなる。
【0030】
Watsonらにより記載されている組成物(上記参照)は、単回投与量で皮膚に直接適用した場合、一般に1時間未満で作用する。これに対し、本明細書に記載される化学物質は、局所的に一度適用した場合、作用が3〜6時間またはそれ以上持続し得る。
【0031】
式1の化合物のいくつかの例は、以下の化合物である:
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-CH2OHである化合物(CPS-177);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3",4"-OHである化合物(CPS-190);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-CH2OHおよび4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-178);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-CH2-CH2OHおよび4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-191);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-179);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-192);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OCH3および4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-193);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHおよび4"-OCH3である化合物(CPS-194);または
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-195)。
【0032】
式1の化合物のいくつかの好ましい例は、以下の化合物である:
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3",4"-OHである化合物(CPS-190);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-179);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-192);または
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-195)。
【0033】
式1の化合物のいくつかの好ましい例は:
2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-ヒドロキシ-2'-(3"-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-N-メチル-アミド;および
2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-(4"-アセチル-2"-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチル]-アミド
である。
【0034】
式1の化合物のいくつかの特に好ましい例を以下の表に挙げる。
【表1】

【0035】
上記化合物の他の例は、p-メントイル成分が、α-アドレナリン受容体血管収縮性作動薬あるいは神経終末から間接的にノルエピネフリンを放出し、血管収縮効果を示すフェニルエタノールアミンまたはフェニルプロパノールアミン誘導体に結合された化合物である。これらのα-アドレナリン性血管収縮物質には、エフェドリン、エピネフリン、フェニレフリン、メトキサミン、メタラミノール、α-メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、オクトパミン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、偽エフェドリン、およびシネフリン(表1参照)が含まれる。
【0036】
感覚的不快の爽快および緩和の仮説ならびに新規性
本発明者らは、N-(置換アリールヒドロキシアルキリデン)-シクロアルキルカルボキサミド)、(本明細書においては「N-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミド」と省略し、また別名は「シクロアルキルカルボン酸-アリール-R'-置換アミド」(R'はヒドロキシアルキルである)であり、対応する用語はフェニル-アルコールまたはフェニルヒドロキシエチルアミド、フェニルヒドロキシプロピルアミドである)がイオンチャネル受容体に作用して末梢性感覚ニューロンの放電を刺激すると考える。イオンチャネル受容体のクラスは、感覚ニューロン上の冷却効果を仲介するタンパク質(TRP-M8、TRP-A1)のTRP(transient receptor potential)ファミリーに属する。しかしこのような受容体の正確な属性は、まだ確立されていない。神経線維(主にAδ冷線維)が信号を脊髄および脳へ中継すると、これらの信号は清涼感および爽快感の感覚を与える。病的状態が存在する場合、これらの信号は、組織刺激、掻痒、ならびに急性および慢性の痛みの信号の知覚の抑制もする。
【0037】
理論により拘束されることなく、作用は、各々異なるダイヤル機構およびケーブル伝導システムを有する3本の電話線が組織中に存在するかのように例えられる。1本は触覚および圧覚に関し、速く伝導する。1本は清涼感および冷たさに関し、やや遅い(Aδは約2〜6メートル/秒で伝導する)。1本は刺激、かゆみおよび痛みに関し、遅く伝導する(<2メートル/秒、主にC-線維)。鍼治療および掻くことは、それぞれ振動および圧力により痛みおよび痒みを緩和することができ、またこの過程は脊髄のレベルで起こる(いわゆる「痛みのゲートコントロール説」)ことが知られている。例えると、2本の電話線の1本は他方のシグナル伝達を妨害するが、これは中央電話局において行われる。本発明の例えを続けると、本発明者らは、清涼感および冷たさの信号に関与する電話線を刺激するダイヤル機構として本発明の化合物を使用することを提案する。この新しい電話線を使用することにより、爽快感および冷却の信号が発生し、炎症および損傷の存在下、感覚的な利益を有する抗侵害受容効果が達成されることが期待される。
【0038】
本発明の化合物は、体の表面に局所的に適用した場合にμg〜mg/mL(ナノ〜マイクロM)濃度で活性を有する。「局所的」は、皮膚、眼の表面、上気道および下気道、ならびに消化管の入口および出口(すなわち、口腔、および肛門直腸)を含む、空気と接触している体の表面上に適用することを意味する。
【0039】
これらの化合物の第2の特徴は、1時間未満の活性を有する(-)-メントールおよびWS-5などの化合物に対する、数時間のオーダーの長い作用持続時間である。この長い作用持続時間は、清涼感の味覚閾値やin vitro受容体アッセイを用いることなく、バイオアッセイ(特に、試験化合物の被験者の皮膚への適用)を用いることにより発見された。
【0040】
新しい化合物の活性に対する試験
痛みはSir Charles Sherringtonにより「必須の防御反射の精神的付属物(the psychic adjunct of an imperative protective reflex)」として定義された。動物は、冷却、刺激、かゆみ、および痛みなどの精神的事象を表現することができない(動物は「痛い」または「痒い」と言えない)ので、化学物質の感覚的効果は間接的に推測される。TRP-M8またはTRP-A1の遺伝子を導入した細胞に基づく受容体アッセイを感覚過程のモデルとして使用することができる。EC50(半最大応答を示す半有効濃度)などのこれらのデータは正確である。しかしながら、後述するように、これらのアッセイは、ヒト被験者に発生している感覚の質およびその期間に関する情報を与えない。したがって、これらの化学物質の薬理学的特性についての最良の情報は人体実験から得るべきである。
【0041】
ヒトにおいて、Rowsellらは、被験者の舌の背面上に既知の量の化合物を染みこませた濾紙(1 x 1 cm)を置くことにより、N-アリールS-cカルボキサミドの特性を試験した。30秒後に、被験者に冷却効果の有無を報告することのみを求めた。これらのデータは試験物質の閾値(μg)として報告された。
【0042】
本発明者らは、本発明のN-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミドを含む所定の化合物の冷却および感覚の特性は、試験物質を軟膏(通常、41%ワセリン、および他に鉱油、セレシンおよびラノリンアルコールからなるAquaphor(登録商標)軟膏)に懸濁または溶解し、エマルジョン(例えば、0.2〜0.5 cm3)を皮膚の表面に適用することにより得るのが一番良いことを見出した。信頼できる局所適用のための場所は上唇の上、唇の唇紅の上、人中、人中の側面から鼻唇溝まで、および鼻孔下部である。顔のこの部分は冷感受容体を有する神経が密に分布していることが知られており、これよりも多いのは眼球の表面のみである。ヒリヒリする感じ、清涼感および冷たさの感覚を経験することができ、強度を評価することができる。この試験は候補N-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミド薬剤の冷却活性を予測するのに非常に正確であるが、最も重要なことは、この試験が感覚受容体への薬物作用の持続時間も測定することである。作用持続時間は受容体アッセイにおいては測定されず、また口腔内の液体の動的な状態ならびに温度感覚に影響を与える味の因子の存在のために、作用持続時間を舌の上で定量することは困難である。
【0043】
清涼感および冷たさの強度の質的側面
皮膚およびその周囲の温度は質的に異なる感覚を与える。つまり、正常な皮膚温度は93°F(33.9℃)であって、水を皮膚に接触させた場合、80°F〜93°F(26.7℃〜33.9℃)では「ぬるい」;65°F〜80°F(18.3℃〜26.7℃)では「清涼な」、55°F〜65°F(12.8℃〜18.3℃)では「冷たい」、55°F(12.8℃)未満では「非常に冷たい」と言われる。(例えば、Bierman, 1955. “Therapeutic Uses of Cold”, J. Amer. Med. Assoc., Vol. 157, pp. 1189-1192参照)。皮膚温度の低下は行動的および感情的な反応を伴う。つまり、65°F未満の室温において、個体はしばしばサーモスタットの電源を入れようとする。55°F以下の周囲皮膚温度においては、感覚は嫌悪となり、強い感情を伴う。すなわち、その人はこれらの寒い感覚を不快であると見なし、その環境から逃れようと努め、逃れることができない場合には、怒り、敵意、またはいらいらを感じる。感情的反応は、環境およびさらされている部位の影響も受ける。例えば、口の中のアイスクリームは短期間であれば嫌ではないが、数分以上アイスが皮膚上に置かれると不快である。一方、65°F〜80°Fの冷たい空気を吸い込むことは、特に上気道に炎症があるまたは皮膚温度が通常よりも高い場合には、爽快であり、覚醒を促す。
【0044】
構造活性相関
本発明者らは、フェニル環上に4-メトキシ-置換基を有するN-アリールS-cカルボキサミド、CPS-112(WS-12としても知られる)が、TRP-M8受容体アッセイにおいてマイクロモル濃度以下で活性を有することを見出した。この化合物は、人中およびその周囲に1〜2%で適用した場合に、強い冷たさの感覚を引き出す。この感覚は清涼感よりもむしろ冷たさであり、高濃度のメントールの刺すような痛みおよび不快さを有する。2%調合物の作用持続時間は30分においてピークに達し、1時間の終わりにおいて低減した。したがって、CPS-112は、受容体アッセイにおいて高い有効性を有するにもかかわらず、期待はずれである。
【0045】
化粧用または治療用としての局所使用について、冷たさよりも清涼感、強い冷たさよりも冷たさを有すること、および実際に適用することを可能にする作用持続時間を有することが望ましい。例えば、化粧用途において、添加化合物をレチノイドまたはαもしくはω-脂肪酸により生じる刺激を低減するために使用する場合には、作用持続時間は少なくとも3時間であるべきである。感覚は、冷たさではなく、清涼感であるべきである。これらの感覚の質的側面はCPS-116およびCPS-125により満たされるが、冷たさの感覚を与え、持続時間が短いCPS-112によっては満たされない。軟膏が、高齢者の乾皮症により引き起こされる掻痒、アトピー性湿疹、または肛門周囲の炎症において治療的価値を有することが意図される場合、作用持続時間は6時間を超えることが好ましい。さらに、人中での試験により、舌における閾値またはin vitro受容体アッセイでは得られない、作用持続時間および感覚の質に対する答えが得られる。
【0046】
薬物設計の方法
本発明の実施において薬物作用の持続時間をさらに改善するために、2つの設計上の特徴を考慮し実施した。1つは、ファーマコフォア(薬物作用に関与する分子の機能単位と定義される)を血管収縮を引き起こす部分に結合して、分子の冷却部分がその作用部位から離れて拡散することを減らすことであった。第2の設計上の特徴は、コンピュータデータベースソフトウェアを使用して、構造を変更した後の分子の分布および安全性を予測することであった。これらの考えを満たすことにより、N-アリールSアルキル-cカルボキサミドにおけるアルキリデン基をヒドロキシアルキリデン基で置換することで、作用持続時間が顕著に改善し、脳への浸透性が減少するということが見出された。
【0047】
第1の概念として、一連の本発明の実施形態において、本発明者らは、分子の冷却部分(p-メンタンカルボニル基中に存在する)を血管に作用するフェニルヒドロキシアルキルアミン単位に結合した。置換フェニルアルキルアミンおよび置換フェニルヒドロキシアルキルアミンは血管の直径を制御する物質であり、ノルエピネフリン、エピネフリン、エフェドリン、イソプロテレノール、メタラミノール、メトキサミン、およびフェニレフリンなどの分子が含まれる。これらの化合物には、α-アドレナリン受容体作動薬、および神経終末からノルエピネフリンを放出し、交感神経系の刺激に類似した作用を有するために交感神経様作用薬と総称される物質が含まれる。これらの化合物は、例えば「Goodman and Gilman, Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Edition, Brunson et al., editors, in Table 10-1, “Chemical structures and main clinical uses of important sympathomimetic drugs”, pp. 240-241」などの標準的な教科書に記載されている。
【0048】
表1に、N-アシル化により2-イソプロピル5-メチルシクロヘキサンカルボン酸などの冷却部分と連結または結合して非常に長い作用持続時間を有する冷却剤を生成する、いくつかの好適なα-アドレナリン受容体作動薬を示す。
【表2】

【0049】
* は間接作用型交感神経様作用薬である。
【0050】
**はα-およびβ-アドレナリン受容体作動薬である。
【0051】
分布を限定し、感覚線維に対する局所麻酔薬の作用を制限するために血管収縮を使用することは、薬理学的な慣行において知られている。つまり、局所麻酔薬で神経ブロックを得るためには、歯科で使用するように、エピネフリンをプロカインと共に注射してプロカインの血流への拡散を制限する。コカインは、鼻粘膜の手術においてプロカインよりも好ましい場合があるが、これは、コカインはノルエピネフリンのニューロンによる再取り込みも阻害し、よってコカインは局所的な血管収縮および麻酔の二重作用を有し、その結果手術中の血液の損失が少ないためである。コカインの場合、血管収縮および局所麻酔の特性は同一分子中に存在する。しかしながら、この二重活性の概念は、冷却部分および血管収縮特性の両方を有する分子の設計および製造にこれまで適用されてこなかった。
【0052】
したがって、塩化p-メントイルがL-フェニレフリンに結合して2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(2'-ヒドロキシ-2'-[3"-ヒドロキシ-フェニル]-エチル)-N-メチル-アミドを形成しているCPS-195の場合、(a)親化合物が生物活性を有し、(b)代謝産物も生物活性を有することから、長時間の冷却/抗侵害受容作用を有する化合物を得ることが目的であった。代謝産物2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(WS-1)は穏やかな冷却活性を有することが知られており、第2の代謝産物、L-フェニレフリンは強力な血管収縮剤である。その結果、驚くほど長い作用持続時間(舌の表面または人中に2 mgの単回投与量を適用後約4時間)を有する化合物が得られた。
【0053】
毒物学的見地からのCPS-195のその他の利点は、ヒトにおけるフェニレフリン(別名:m-シネフリン)代謝の経路が知られていることである。つまり、フェニレフリンは、m-ヒドロキシマンデル酸、m-ヒドロキシフェニルグリコール、硫酸フェニレフリン、およびフェニレフリングルクロニドに変換される。これは、潜在的な代謝産物がすでに特徴づけられているため、分子の安全性についての知見を高めるものである。
【0054】
第2の概念において、標的部位におけるアゴニスト分子の接近および滞留に対するヒドロキシアルキリデン基の重要性を分析した。薬物の皮膚への分布および送達の重要な薬物動態学的決定因は、オクタノール/水分配係数である。つまり、2.0〜4.0の範囲のオクタノール/水分配係数の対数(log P)が、皮膚および粘膜の冷感受容体の活性化に理想的であると考えられる。全身性の抗侵害受容剤については、薬物が血液脳関門(BBB)通過することは望ましくないため、範囲はより制限的であり、2.5〜3.5の範囲である。Simulation-Plus(Lancaster, California)から入手可能であるような高性能のADMET分析プログラムは、「Crivori et al., 2000, “Predicting blood-brain barrier penetration from molecular structure”, J. Med. Chem., Vol. 43, pp. 2204-2216」に記載されているパラメーターに基づき、薬物のBBB通過を予測することができる。実施例において、化合物はBBB通過の可能性の低さに基づき選択される。
【0055】
本研究による構造活性相関の分析は、N-置換-p-メンタン-カルボキサミド上のヒドロキシアルキリデン基、好ましくはヒドロキシメチリデンまたはヒドロキシエチリデンの存在により、BBB透過性が低くありながら冷却活性が維持されるという望ましい性質が得られることを示している。ヒドロキシアルキリデン基(例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシルまたはスルホンアミド)に加えて分子上に極性基が存在することにより、全身作用薬としての使用を可能にしながらもBBB透過の危険性を減少させる望ましいADME(吸収、分布、代謝、排泄)特性がもたらされる。このADME特性の分析は本発明の態様の実施において好ましい方法であり、これらのADME特性は理想的な薬剤候補の薬物動態学的パラメーターのシミュレーションおよびモデリングを行うために設計されたプログラムにより決定した。
【0056】
N-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミドの送達および治療的な使用
本発明の実施において、N-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミド化合物は、局所適用に好適な製剤に配合され、炎症を起こした皮膚および粘膜に局所的に適用され、かゆみ、刺激および痛みを局所的に緩和する。「局所的」とは、皮膚、眼の表面、唇、上気道および下気道、ならびに消化管の入口および出口、すなわち口腔および肛門直腸を含む、空気と接触している体の表面への適用を意味する。好適な局所用製剤には、例えば、粉末、ペースト、ローション、塗布薬、クリームおよび軟膏などの組成物、ならびに化粧品が含まれる。
【0057】
本発明を実施するための局所組成物の製剤化において、N-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミド化合物を、それ自体は不活性である、または他の活性成分(例えば、香味料またはグルココルチコステロイド)を含有してもよい媒体中に配合することができる。関係する特定の製品に応じて、固体、液体、噴射剤、エマルジョン、泡およびゲルなどの非常にさまざまな媒体が好適である。典型的な媒体には、炭化水素油などの油および脂肪、脂肪酸エステル、長鎖アルコール、およびシリコーン油;デンプンまたはタルクなどの微細に粉砕された固体;低沸点炭化水素;ガムおよび天然または合成樹脂が含まれる。眼の表面または上気道への適用には、化合物を単位用量ディスペンサにパッケージすることができる。下気道には、圧力作動式の定量吸入器またはネブライザーを使用することができる。
【0058】
局所用製剤が有利であり得る治療適応症には、種々の形態の皮膚炎(アトピー性、接触、および刺激性)による刺激、かゆみおよび痛み;熱傷、外傷、または刺激を受けた皮膚、および傷の創面切除に関連する処置の痛み;皮膚の感染、虫さされ、日焼け、光線角化症、基底細胞癌、乾皮症による掻痒によるかゆみおよび不快;ヘルペスによる口唇炎または唇のかゆみ;肛門掻痒、痔の不快、裂肛による痛み、痔瘻の痛みまたはかゆみ、痔核切除の痛み、会陰炎症、肛門性器皮膚炎および失禁、おむつかぶれ、会陰炎症などの種々の局所的原因による不快;外陰部の掻痒および痛み(例えば、外陰前庭炎および外陰部痛(vulvodynia)などのカンジダ症または突発性疾患)、性交疼痛症、疣および性感染症を含む肛門性器感染症、皮膚のウイルス感染(特に免疫不全の患者における);呼吸に対する閉塞、例えば、鼻炎、喘息、気管支炎、気腫および慢性閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸ならびにいびきによる鼻孔および鼻または上気道の不快;ならびに結膜炎、角膜の擦過傷による痛み、および眼の手術による痛みが含まれる。
【0059】
喘息における初期の発病過程である気道の過剰反応性は、感覚過程に作用する薬物の影響を受けやすいため、喘息薬における本発明の実施形態の使用は特に興味深い。つまり、CPS-195などの薬剤は、吸入薬物に配合して加圧式定量吸入器(喘息薬を送達する標準的な形態)により送達することができる。本発明の実施形態は単一の活性成分であるか、または抗炎症性コルチコステロイド、気管支平滑筋弛緩薬および/または抗ムスカリン剤と組み合わせて配合することができる。
【0060】
血流を介して標的に到達させる場合、経口製剤は消化管から最適に吸収され、一定の血中濃度または血漿濃度に達するように設計される。ここで、所与のpHにおける最適な溶解性のために設計された単純なゼラチンカプセルまたは腸溶性錠剤もしくはカプセルは、当業者によく知られた製剤である。腸溶コーティング用に広範に用いられる化学物質は、酢酸フタル酸セルロース、酸性のイオン化可能な基とのメタクリル酸エステルメタクリル酸共重合体、およびポリ酢酸フタル酸ビニルである。標準的なコーティング材料は、Eudragit(登録商標)(Degussa Chemicals, Inc.)の商標の下で広く市販されている。メタクリル酸重合体でコーティングされた剤形は、回腸において約pH 6.8で、回腸末端および盲腸において約pH 7.2で溶解する。一般に、1平方センチメートル当たり約3〜25 mg、好ましくは8〜15 mgの酸性のコーティング材を使用するには、約25〜200 μm、特に75〜150 μmのコーティングの厚さが好ましい。しかしながら、正確なコーティングの厚さは、使用する材料および処理すべき部位の溶解度特性に依存する。
【0061】
全身性の製剤が有利であろう治療適応症には、種々の形態の病状による刺激、かゆみおよび痛みが含まれる。例えば、全身性の掻痒は、腎臓透析を受けている患者およびある種の肝不全を有する患者において頻繁に生じる。腎臓または肝機能障害時にはある種の内因性物質(例えば、エンケファリンペプチド、胆汁酸)が適切に除去または放出されず、よってこれらの物質が神経終末に作用して全身のかゆみを生じさせると考えられている。ナルトレキソンなどのオピオイド拮抗薬、ナルフラフィンなどの末梢のカッパオピオイド受容体作動薬、odsanteronなどのサブスタンスP拮抗薬、カンナビノイド受容体作動薬、抗ヒスタミン剤および他の化学物質を用いた現在の薬物療法の、治療における有効性は限定的である。これらを適用する根拠は、不快な感覚的知覚を減少させるために、冷却特性を有する化合物を使用し、これらの薬剤を血流に送達し、また感覚神経および上皮上の受容体を標的とすることである。
【0062】
その他の適用
本明細書に記載されるN-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミド組成物は、非刺激性、安全性および長い作用持続時間という所望の特性を有する。本発明の実施形態を含む製剤の使用には、熱中症および疲労、鼻および目の刺激、閉塞性呼吸障害、下部尿路疾患、胸焼け、過敏性大腸疾患または過敏性大腸症候群、全身性の掻痒、および全身性の痛みなどの症状が含まれる。かゆみおよび痛みは種々の疾患に伴う共通の感覚的不快であり、上記活性薬剤が治療の対象とする疾患のリストは以下を含み、また以下からなる群から選択される:接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、手および足の慢性皮膚炎、剥脱性皮膚炎、鬱滞性皮膚炎;慢性単純性苔癬;おむつかぶれ;丹毒、皮膚の膿瘍、壊死性皮下感染、毛嚢炎、フルンケル、汗腺膿瘍、癰、爪囲感染症、紅色陰癬を含む細菌感染;皮膚糸状菌感染症、イースト菌感染症を含む真菌感染症;寄生虫感染症;ウイルス感染、毛包および皮脂腺の疾患、にきび、酒さ、口囲皮膚炎;落屑(scaling papular diseases)、乾癬、バラ色粃糠疹、扁平苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、良性腫瘍、ほくろ(moles)、脂漏性角化症、ケロイド;悪性腫瘍、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、カポジ肉腫;日光に対する反応、日焼け、光線過敏症;天疱瘡、白斑、白皮症、薬物誘発性の過色素沈着症、魚鱗癬、うおのめ(corns)、光線性角化症;褥瘡、多形性紅斑、結節性紅斑。活性薬剤の局所/経皮/経口送達に反応する皮膚病でない疾患が含まれ、例えば、局所的な痛み、全身性の痛み、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、関節痛、筋肉痛、背痛、心臓痛、リウマチ痛、関節炎、骨関節炎(ostheoarthritis)、急性軟部組織損傷およびスポーツ損傷、骨盤痛、月経前症候群(PMS)、月経困難症、子宮内膜症、および外陰部痛(vulvodynia)、カンジダ膣炎、単純ヘルペス、生殖器潰瘍および疣贅、性交疼痛症および膣痙、肛門膿瘍/肛門瘻、肛門疣贅、炎症性腸疾患、クローン病、痔、肛門周囲カンジダ症、裂肛、性感染症および非性感染性の膣および生殖器の感染症が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は単に本発明を説明する目的で提供されるものであり、本明細書に記載される本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0064】
実施例1
N-アシル化カルボキサミドは、カルボン酸を塩化チオニルと反応させ、次いで酸塩化物を好適なアミンと結合することにより合成することができる。これは、当業者によく知られている化学的手法であり、必要以上の実験を行うことなく達成することができるものである。式1により示される本発明の結合体の調製において、選択されるカルボン酸は、例えば、(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸(好ましいエナンチオマー)であり得る。この化学物質はWS-1としても知られており、l-メントールから合成することも商社から購入することもできる。WS-1を塩化チオニルと反応させて試薬塩化p-メントイルを形成するか、またはWS-1を所望のアミン結合体(すなわち、血管収縮剤)と直接in situで反応させることができる。式1により示される得られる結合生成物は、通常白色結晶性固体であるが、次いでカラムクロマトグラフィーにより精製し、溶媒を蒸発させることにより単離することができる。これらは有機化学研究室における標準的な手法である。
【0065】
多くの置換アリールヒドロキシアルキルアミンは、Sigma-Aldrich Corp., St. Louis, MOなどの販売元から入手できる。例えば、フェニレフリンHCl、メタネフリンHCl、イソプロテレノールHCl、ノルエピネフリンHCl、およびオクトパミンHClは、2005-2006 Aldrich Catalogに記載されている。酸塩化物は、適切なアリールヒドロキシアルキルアミンと反応して所望のN-アリールSヒドロキシアルキリデン-cカルボキサミドを形成する。
【0066】
実施例2
2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-ヒドロキシ-2'-(3"-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-N-メチル-アミドの合成
L-フェニレフリンHCl((R)-(-)-3-(1-ヒドロキシ-2-メチルアミノ-エチル)-フェノール塩酸塩)は、Aldrich Chemicals, Co., Milwaukee, Wisonsinから購入した。1.0 gを28 mLジエチルエーテルおよび1 mL再蒸留水に溶解し、0℃に冷却した。少量の触媒、ジアミノピリミジンを加えた。次に、1.90 mLの塩化p-メントイル、次いで2 mLのトリエチルアミンを滴下して加えた。混合物中に白色沈殿の塊が現れた。この混合物を一晩室温で撹拌した。沈殿を酢酸エチルに溶解し、再蒸留水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。次に、有機相を減圧下で蒸発させて最終生成物(1.8 g)を得た。これを室温で結晶化した。次に質量分析により予想した分子量を確認し、核磁気共鳴により吸収スペクトルを得た。この化合物にCPS-195のコードを与えた。
【0067】
バイオアッセイ法
皮膚上でのCPS-195のバイオアッセイのために、CPS-195を温めた液体Aquaphor(登録商標)軟膏中で撹拌して溶解し、0.25、0.5、1、および2% wt/volの濃度の軟膏を得た。冷却した後、50〜80 mgの固体の軟膏をプラスチック棒の先に載せ、被験者の上唇の上、人中、および人中側面から鼻唇溝までの皮膚に適用し、冷却感の発現および持続時間を記録した。同様に、CPS-179、CPS-190、およびCPS-192を製剤化し、試験した。結果を図1に示す。各化合物は、1時間よりも長い作用持続時間で上唇の皮膚に冷却を与えた。
【0068】
主観的な皮膚感覚の強さは、0、1、2または3により、0は変化なし、1はわずかな清涼感、冷たさ、またはヒリヒリする感じ、2は清涼感、冷たさ、またはヒリヒリする感じの明確な信号、および3は強い清涼感または冷たさとして評価した。感覚を記録する間隔は5分間隔で、0が2回連続して得られるまで続けた。結果は、同じ個体で行った、4〜6回の別の試験の平均値である。データはSigmaPlot(Systat Software, Point Richmond CA)を用いてプロットし、負の指数を有する平滑化関数を結果の分析および統計的フィットに使用した。
【0069】
薬物作用の発現は、段階2の冷却強度に達する時間として測定し、薬物作用の消失は冷却強度が一旦段階2を超えた後に1.5よりも下に下がった時間であった。冷却作用の持続時間は消失時間から発現時間を引いたものとして定義され、この場合平均2分であった。感覚の質も、例えば、爽快な清涼感および冷たさとして、または感覚が刺激(ヒリヒリと刺すような、または焼けるような)を伴っているかを記録する。感覚の質は強度として評価しなかった。
【0070】
CPS-195は、試験した4種の濃度(0.25、0.5、1および2%)に対して1.2、1.8、2.4、および5.2時間の作用持続時間で、上唇の皮膚上に清涼感および冷たさの感覚を与えた。CPS-179、CPS-190、およびCPS-192と比較して、CPS-195が最も強力であった。
【0071】
2 mgのCPS-195を舌の背面の上に置くと、口腔内に、4時間を超える驚くほど長期間持続する心地良い冷却感が生じた。冷却の発現は3〜5分であるが、一度効果が確立すると、口腔および咽頭の表面全体(口、喉頭および鼻の咽頭)が冷却を感じた。苦味または塩味などの顕著な味はCPS-195に伴わず、また清涼感/冷たさの感覚は心地良く、嫌悪的ではなかった。
【0072】
CPS-195をLudipress(登録商標)(BASF Corp製造の迅速に崩壊する直接打錠用賦形剤)中に3% wt/wt錠剤として製剤化した。錠剤の大きさは60 mgであり、各ユニットは1.8 mgのCPS-195を含んでいた。正常な個体においては、この錠剤は、舌の表面に置いた場合、粉末について上記段落に記載したような効果を与える。喉刺激および咳を有する個体においては、CPS-195錠剤は喉刺激を軽減し、24時間持続する抗咳効果を有した。CPS-195錠剤の長時間の作用は異例であり、治療において多様な用途を有することを示した。例えば、口腔の粘膜上に適用すると、CPS-195錠剤は、咽頭炎/喉頭炎、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、および特発性顔面痛の不快を鎮静化することができる。咽頭および上気道において、CPS-195は、咳、喘息、および慢性閉塞性肺疾患を軽減するまたは治療するために使用することができる。皮膚上において、CPS-195は、重度のにきび、湿疹、糖尿病性潰瘍等の不快を治療するために使用することができる。
【0073】
CPS-195のADMEパラメーターを算出した。その結果はCPS-195が局所用または全身用の抗侵害受容薬の好適な候補であることを示した。フェニレフリン(結合体の部分)が、眼の表面用の血管収縮剤および鼻粘膜上の充血除去剤として使用される公知の市販の薬物であるので、毒性はないと予想される。CPS-195の合成では、原料に応じて、アルキリデン基(-R'-)中の不斉炭素に関する2つのエナンチオマーが生成し得る。本明細書に記載される薬物は、適用可能なありとあらゆるエナンチオマー、ラセミ混合物を含むエナンチオマーの混合物、溶媒和物、異なる物理的形態(例えば、結晶性固体、無定形固体)、代謝産物等を含む薬物を意味する。
【0074】
光学的に純粋なα-アドレナリン作動薬および他の交感神経様作用薬は当技術分野において公知であり、記載されている;例えば、Patil et al., 1975, “Molecular geometry of adrenergic drug activity”, Pharmacological Reviews, Vol. 26, pp. 326-392および米国特許第6,664,424号(Boothら、2003年12月16日)を参照。
【0075】
塩化p-メントイルとの結合に考えられる他の化合物には、オクトパミン、メトキサミン、メタネフリン、偽エフェドリン、ならびにt-ブチル-4-アミノ安息香酸、(R)-(-)-t-ブチルアミノ-1-フェニルエタノール、および(S)-(+)-t-ブチルアミノ-1-フェニルエタノールなどの化合物が含まれ、これらのすべてはAldrich Chemical Coから入手可能である。
【0076】
実施例3
ヒドロキシルアルキリデン基を薬物動態学的パラメーターに付加する重要性を確認するために、多くの化合物を合成するか、またはシミュレーションを行った。カリフォルニア大学バークレー校化学部用に設計されたlog Pプログラムを含む、数種類のプログラムをシミュレーションに使用した。表2および3におけるデータは、Simulation-Plus(Lancaster, California)からのADME分析プログラムに基づくものである。このプログラムは、薬物のBBB通過を見積もるのに、「Crivori et al., 2000, “Predicting blood-brain barrier penetration from molecular structure”, J. Med. Chem., Vol. 43, pp. 2204-2216」に記載されているパラメーターを使用する。
【0077】
実施例4
フェニル基の存在により、log Pが増加し、水溶解度が減少し、ほとんどの化合物が容易にBBBを通過する(表2参照)。スルホン酸またはサリチル酸などの酸性官能基の存在により、タンパク質結合が増加し、脳への侵入が減少する。しかしながら、このような酸性官能基は生物活性を低減する。CPS-125、スルホンアミドは、良好な生物活性がありBBB透過性がないという所望の特性を有する。アセチルまたはヒドロキシルなどの別の極性官能基と共にフェニル上のヒドロキシアルキル基が存在することにより、BBB通過が減少する。一方、メトキシ基は、通過を防ぐのに十分な極性を有しない。
【表3】

【0078】
上記表において、BBBは血液脳関門を意味し;水溶解度mol/Lの単位で見積もり;log Pはlog オクタノール/水 分配係数を示す。これらのパラメーターは、ADMET予測用の市販のコンピュータ分析プログラムを用いて得た。
【0079】
実施例5
表3に示すように、-R'-上のヒドロキシアルキリデン基の存在およびアリール環上の1以上の極性基(ヒドロキシアルキル、ヒドロキシルまたはアセチル)の存在により、BBBを通過する可能性が減少する。図1により説明されるように、CPS-179、CPS-190、CPS-192およびCPS-195は、上唇の皮膚に、0.5%軟膏の濃度で1時間を超える作用持続時間にわたり冷却を与える。これらの化学物質のADMEパラメーター(表3)、および算出した3.5未満のlog P値は、組織標的への局所的な浸透に好都合である。タンパク質結合はこれらの化合物の分布に影響を与える重要な因子ではない。したがって、CPS-179、CPS-190、CPS-192およびCPS-195は、抗侵害受容剤としての開発に候補として好適であることがわかった。
【表4】

【0080】
*1列目のアスタリスクが付いた化合物は、N-メチル化されている(すなわち、R"= -CH3)。
【0081】
上記表において、BBBは血液脳関門を意味し;水溶解度はmol/Lの単位で見積もり;log Pはlog オクタノール/水分配係数を示す。これらのパラメーターは、ADMET予測用の市販のコンピュータ分析プログラムを用いて得た。
【0082】
要約すれば、本発明者らは、p-メンタンカルボニルなどの冷却ファーマコフォアによる直接および間接作用型交感神経様作用薬のN-アシル化は、薬物作用の持続時間を増加させることを見出した。ヒドロキシアルキリデン基(例えば、ヒドロキシメチリデンまたはヒドロキシエチリデン)の冷却剤の分子ファーマコフォアへの導入は、この分子が血液脳関門を通過する可能性を減少させる有利な効果を有することも見出された。極性を高める他の官能基は、ヒドロキシルおよびアセチルであり、アルコキシではない。このように、ヒドロキシアルキリデン基の挿入により薬物を局所適用のための親水性媒体に加えることが可能になり、臨床適用の多様性が高まる。上気道の内膜への局所送達は特に重要である。薬物動態学の分子パラメーターに対する洞察は、理想的な抗侵害受容薬候補の選択に利用される。
【0083】
以上において、本発明の原理、好ましい実施形態、および実施の方式を説明した。しかしながら、本発明は論じられた特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。上記の実施形態は限定的ではなく説明的であると見なされるべきであり、当業者が本発明の範囲から離れることなく前記実施形態を変更することができると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感覚的不快の治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が式1の化合物:
【化1】

[式中:
Rは(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシルであり;
R"は水素、メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルであり;
R'は二価のC2〜C4 ヒドロキシアルキリデニル基であり;
Yは置換アリールまたは置換ヘテロシクリルである;
(ここで、アリールまたはヘテロシクリルは、フェニル、1-ナフチル、インデニル、アズレニル、ヘプタレニル、インダセニル、ピリジニル、ジヒドロピリジニル、ピリダジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、プリニル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾチオフェニル、またはフェナスリジニルであり;
アリールまたはヘテロシクリル上の1〜5個の置換基は、1個以上のハロゲン、C1〜C8アルキル、アルケニル、ヒドロキシル、C1〜C8ヒドロキシアルキル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C10ヒドロキシアルキルまたはポリヒドロキシアルキル、C2〜C10アルキルカルボニルオキシ、C2〜C10カルボキシアルキルまたはアルキルカルボキシアルキル、C3〜C10アルキルカルボニルオキシアルキル、C2〜C8アシル、アミノ、C1〜C8アルキルアミノ、C2〜C10アシルアミノ、スルホンアミドまたはC1〜C8アルキルスルホニルアミノ、N-アリールスルホンアミドまたはN-ヘテロシクリルスルホンアミドである(ここで、アリールまたはヘテロシクリルは、フェニル、ベンジル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、または1,2,4-トリアジニルであり、アリールまたはヘテロシクリル部分は、a)3個以下のC1〜C3アルキル基、b)3個以下のC1〜C3アルコキシ基、c)C1〜C8アミノアルキルもしくはジアミノアルキル、d)C2〜C10アルキルアミノアルキル、e)C2〜C10アシルアミノアルキル、f)カルボキシ、またはg)C2〜C10アルキルカルボキシで場合により置換されている))]
である、上記化合物。
【請求項2】
以下の化合物:
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-CH2OHである化合物(CPS-177);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3",4"-OHである化合物(CPS-190);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-CH2OHおよび4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-178);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-CH2-CH2OHおよび4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-191);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-179);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-192);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OCH3および4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-193);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHおよび4"-OCH3である化合物(CPS-194);または
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-195)
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の化合物:
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3",4"-OHである化合物(CPS-190);
R'は-CH2-CH(CH2OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は4"-C(=O)-CH3である化合物(CPS-179);
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-Hであり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-192);または
R'は-CH2-CH(OH)-であり;R"は-CH3であり;Yはフェニルであり;Y上の置換基は3"-OHである化合物(CPS-195)である]
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が:
2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-ヒドロキシ-2'-(3"-ヒドロキシ-フェニル)-エチル]-N-メチル-アミド;または
2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボン酸[2'-(4"-アセチル-2"-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチル]-アミド
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が:
【化2】

である、上記化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が:
【化3】

である、上記化合物。
【請求項7】
咳の治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項8】
咳の治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化4】

である、上記化合物。
【請求項9】
かゆみの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項10】
かゆみの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化5】

である、上記化合物。
【請求項11】
痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項12】
痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化6】

である、上記化合物。
【請求項13】
急性または慢性の痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項14】
急性または慢性の痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化7】

である、上記化合物。
【請求項15】
上気道または口腔における炎症および痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項16】
上気道または口腔における炎症および痛みの治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化8】

である、上記化合物。
【請求項17】
腎不全または胆汁鬱滞性黄疸により引き起こされる掻痒の治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記化合物。
【請求項18】
腎不全または胆汁鬱滞性黄疸により引き起こされる掻痒の治療方法に使用するための化合物であって、該化合物が:
【化9】

である、上記化合物。
【請求項19】
感覚的不快を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項20】
感覚的不快を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化10】

である、上記使用。
【請求項21】
咳を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項22】
咳を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化11】

である、上記使用。
【請求項23】
かゆみを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項24】
かゆみを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化12】

である、上記使用。
【請求項25】
痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項26】
痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化13】

である、上記使用。
【請求項27】
急性または慢性の痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項28】
急性または慢性の痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化14】

である、上記使用。
【請求項29】
上気道または口腔における炎症および痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項30】
上気道または口腔における炎症および痛みを治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化15】

である、上記使用。
【請求項31】
腎不全または胆汁鬱滞性黄疸により引き起こされる掻痒を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記使用。
【請求項32】
腎不全または胆汁鬱滞性黄疸により引き起こされる掻痒を治療するための医薬品の製造における化合物の使用であって、該化合物が:
【化16】

である、上記使用。
【請求項33】
前記医薬品が送達媒体により運ばれる前記化合物を含む、請求項19〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
前記化合物が前記送達媒体の0.1重量%〜2重量%の量で存在する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
送達媒体が前記化合物を消化管に送達するのに適合された腸溶性カプセルである、請求項19〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
前記医薬品が局所投与用の医薬品である、請求項19〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
前記医薬品が経口投与用の医薬品である、請求項19〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
前記医薬品が加圧式定量装置を用いる吸入投与用の医薬品である、請求項19〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
感覚的不快の治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項40】
咳の治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項41】
かゆみの治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項42】
痛みの治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項43】
急性または慢性の痛みの治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項44】
上気道または口腔における炎症および痛みの治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項45】
腎不全または胆汁鬱滞性黄疸により引き起こされる掻痒の治療方法であって、送達媒体により運ばれる化合物を有する組成物を投与することを含み、該化合物が請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物である、上記方法。
【請求項46】
局所投与する、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
0.1〜2重量%の前記化合物を局所投与する、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
加圧式定量装置を用いて吸入投与する、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
経口投与する、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
経口投与し、経口投与量が投与当たり0.001〜0.2グラムの前記化合物を供給する、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記送達媒体が前記化合物を消化管に送達するのに適合された腸溶性カプセルである、請求項39〜45のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−509298(P2010−509298A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535785(P2009−535785)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004212
【国際公開番号】WO2008/056118
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(507324072)
【Fターム(参考)】