説明

N−置換サリチルアミドの製造法

本発明は、N−置換サリチルアミドまたはその誘導体、およびその塩、水和物および溶媒和物の製造法に関する。特に、本発明はN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)およびその対応する二ナトリウム一水和物の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−置換サリチルアミドまたはその誘導体、およびその塩、水和物および溶媒和物の製造法に関する。特に、本発明は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)およびその対応する二ナトリウム一水和物の製造法に関する。
【0002】
本発明の方法により製造されるN−置換サリチルアミドは、哺乳動物への経口または他経路での投与を介した活性剤の送達用組成物における使用に適する。
【背景技術】
【0003】
N−置換サリチルアミドの製造法は、例えば、WO00/59863、WO01/92206およびWO01/70219に記載され、当分野で既知の5−CNAC(N−置換サリチルアミド)の製造法の例をスキーム1に示す。
【化1】

【0004】
加えて、NaOHおよびアセトン存在下での5−CNAC塩の一般的製造法はスキーム2に示す通りである。
【化2】

【0005】
本発明は、高品質の生成物のバルク量の製造に適した、確固とした高い収率の方法を達成することを目的として先行技術の方法を改善するために試験した。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
広い意味で、本発明はN−置換サリチルアミドまたはその誘導体およびその塩の製造法に関する。該方法は、式(III)のクロロ−置換化合物(下記に定義)と、カルサラム(6−クロロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4(3H)−ジオン)または必要であればその誘導体を、ブロマイドイオン源、例えばアルカリ金属臭素塩、例えばNaBrの存在下で反応させることを含む。
【0007】
【化3】

〔式中、nは1から8の整数であり、Qは、容易にカルボン酸部分に変換され得る基であり、そしてRおよびRは独立して水素、−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択され、ここで、RおよびRは各々独立して水素、−OH、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択される〕。
【0008】
好ましい式(III)の化合物のクラスは、下記の式(III.II)に示す通りである:
【化4】

【0009】
アルカリ金属臭素塩(好ましくはNaBr)の存在は、式(IIIb)
【化5】

のブロモ−置換化合物の製造を可能にすると考える。
【0010】
さらに、前記の本発明の方法は、式(IV)のN−置換サリチルアミドおよび、例えば、酸後処理を用いて、その対応する遊離カルボン酸(IV.II)の製造法を提供する。
【化6】

〔式中、tは0、1、2、3、4、5または6であり、mは1、2、3または4であり、そしてRは、またはm>1であるとき、各Rは、独立して−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択され、そして、RおよびRは各々独立して水素、−OH、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択される〕。
【0011】
本発明の他の局面において、N−置換サリチルアミドのアルカリ金属塩(V)は、アセトン/水混合物中、アルカリ金属カチオン、M、例えばNaの存在下で製造する。他の適当な混合物は、アセトン/水、エタノール/水またはアセトニトリル/水のような任意の水混和性溶媒である。
【化7】

【0012】
より具体的に、本発明の方法は、クロロ置換された式(III.II)の化合物(下記に定義)、とりわけクロロ−置換エステルを用いる。特に、本発明は、(N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)およびその対応する塩、とりわけ二ナトリウム一水和物の製造法に関する。好ましい態様において、本方法は、クロロオクタン酸アルキル、とりわけクロロオクタン酸エチル(ECO)と、6−クロロ−カラサラムをNaBrで反応させて、5−CNACを得る方法を含む。二ナトリウム一水和物塩を、続いて5−CNACとNaOHのアセトン/水混合物中での反応により形成させる。
【0013】
本発明の方法により製造されるN−置換サリチルアミド、とりわけ5−CNACは、哺乳動物への経口または他経路での投与を介した活性剤の送達用組成物における使用に適する。特に、本発明で製造する化合物は、薬学的、生理学的、薬理学的、放射線学的または他の活性剤を温血動物体内の標的に送達させるために使用できる。
【0014】
発明の詳細な記載
本発明の一般的な一連の反応をスキーム3に示す。スキーム3において、対応するサリチルアミド(I)から、クロロ−置換化合物(III)の存在下対応するカルサラム誘導体(II)を介してN−置換サリチルアミドまたはその誘導体(IV)およびその塩(V)を製造する方法を示す:
【化8】

【0015】
反応スキーム3中:
tは0、1、2、3、4、5または6であり、好ましくはtは0であり;pは好ましくは0、1、2、3、4、5、または6であり、好ましくはpは1である。スキーム3に示す水和物tHOおよびpHOは、代替的に溶媒和物、水和物と溶媒和物の混合物または溶媒和物の混合物であり得る。
nは1から8の整数であり、好ましくはnは6であり;mは1、2、3または4であり、好ましくはmは1である。
【0016】
Mはアルカリ金属であり、好ましくはMはNaまたはKである。最も好ましくは、アルカリ金属MはNa(故にMはNa)である。MはMY(式中、Yは塩基性対イオン、例えば炭酸塩または水酸化物である)の形で存在できる。特に好ましくはMYはNaOHである。
【0017】
Qは、式(IV.II)のカルボン酸部分に容易に変換され得る基である。例えば、Qは保護されたカルボン酸基であり得、該保護基は、好ましくは工程Bにおける最終後処理工程において除去可能である。故に、Qは、工程Bにおける式(III)の化合物との反応には参加しないが、その後、例えば酸後処理条件において、容易に遊離カルボン酸に変換され得る部分である。
【0018】
、またはm>1であるとき、各Rは、独立して−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択され得る。
【0019】
およびRは、各々独立して水素、−OH、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択される。
【0020】
各RおよびR部分は、独立して水素、−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択される。各R部分は同じでも異なってもよく、同様に各R部分は同じでも異なってもよい。同様に、各RおよびR部分は同じでも異なってもよい。好ましい態様において全Rおよび全Rが水素である。
【0021】
ハロゲンはクロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードから選択され得る。最も好ましいのはクロロである。
【0022】
mが1であり、Rがハロであるのが最も好ましい。好ましくはRがクロロである。mが1であるとき、Rが5位に存在するのがさらになお好ましい。
【0023】
工程Bは、中間体化合物が形成されるが、最も好ましくは単離しない1個以上の副工程を含み得る。このような中間体は、式(IV.I)の化合物および(VI)として下記に同定するものを含み得る。
【化9】

【化10】

【0024】
本発明は、従って、式(VI)を有する中間体をさらに反応させて標的分子を形成させるための、(IV)を含む反応混合物を鹸化する付加的工程を提供し得る。この工程は式(IV)または(VI)の化合物のいずれかの単離を必要とせずに行い得る。
【0025】
最も好ましくは式(III)の化合物は下記式(III.II)の化合物を含む:
【化11】

【0026】
式(III.II)において、一般的な用語では、Rは、カルボキシ部分の保護基、とりわけ実質的に本工程中は−NH基との反応に実質的に不活性であるが、その後カルボン酸(−COOH)基に変換し得る基であり得る。Rが1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子、好ましくは1個、2個、3個または4個の炭素原子および特に1個または2個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基から選択され、その結果式(III.II)がエステルであるのがとりわけ好ましい。特に好ましい態様において、Rはエチル(C)である。故に、式(III.II)の化合物は最も好ましくはエステルである。
【0027】
好ましい式(III)および(III.II)の化合物は、nが6であり、そして各CRがCHである、故に、直線状ヘキシル鎖であるときである。一つの好ましい化合物は、8−クロロオクタン酸エチル(III.III):
【化12】

を含む。
【0028】
一般式(IV)を有する、本発明の方法により形成される化合物の好ましいクラスは、下記式(IV.I)により例示できる:
【化13】

〔式中、R1はカルボキシ部分の保護基である。〕。このような化合物は、好ましくは単離しない中間体である。
【0029】
ここに示すフェノール性ヒドロキシ基を含む、式(I)および(IV)のような化合物において、該基は塩、例えばナトリウム塩の形であり得る。
該フェノール性ヒドロキシ基は、塩基の存在を必要とする、反応工程AおよびBの間は脱保護された形で存在できる。
【0030】
試薬
下記は、好ましくは本発明において使用する試薬に関する。特定の反応条件は後の章に記載する。
【0031】
工程A
工程Aにおいて、サリチルアミド(I)を、過剰のクロロギ酸エステル、例えばクロロギ酸エチル、クロロギ酸n−プロピル、クロロギ酸i−プロピル、クロロギ酸n−ブチルまたはクロロギ酸t−ブチルとの反応により、対応するカルサラム誘導体(II)に変換する。本反応は、好ましくは酢酸アルキル/穏やかな有機塩基/水の2相系で行う。好ましくは、該穏やかな有機塩基は実質的に水不溶性である。
【0032】
酢酸アルキルの例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸t−ブチルである。最も好ましくは本反応を酢酸n−ブチル中で行う。
【0033】
穏やかな有機塩基の例は、ピリジンおよびピリジン誘導体、特にアルキル置換ピリジン、例えばジアルキル置換ピリジン、およびとりわけ実質的に水不溶性であるピリジン誘導体の化合物である。好ましいピリジン誘導体の例は5−エチル−2−メチル−ピリジンである。
【0034】
特に好ましくは、本反応は、過剰(例えば20%過剰)のクロロギ酸エチル中に酢酸n−ブチル/5−エチル−2−メチル−ピリジン/水を含む2相系で行う。最も好ましくは、酢酸エステル:水比は約1:1である。
【0035】
工程B
工程Bは好ましくは一連の副工程を含む:
工程B1
工程B1は式(II)のカルサラムまたはカルサラム誘導体をクロロ−置換化合物(III)と反応させる最初の反応工程である。好ましくは本クロロ−置換化合物(III)はエステルであり、本反応は塩基、例えば炭酸ナトリウム、および非プロトン性溶媒、例えばジアルキルアミド、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドの存在下で行う。ジメチルホルムアミド存在下の反応が好ましい。加えて、ブロマイドイオン源、例えば触媒量のアルカリ金属−ブロマイドMBr、例えばKBrまたはNaBr、とりわけNaBrが存在する。
【0036】
本発明において使用するために適した非プロトン性溶媒は、下記を含むが、これらに限定されない:ニトリル化合物(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン)、アミドおよび環状アミド化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン,−−hide)、エステル、環状エステル、およびエーテル化合物(例えば、テトラヒドロフラン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ガンマ−ブチロラクトン、酢酸エチル、ジメチルエーテル)、オキシドおよびスルホ化合物(例えば、ジメチルスルホキシド、アセトン、スルホラン、ジメチルスルホン)。
【0037】
好ましくは、本非プロトン性溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドから選択されるアミドである。最も好ましくは、本溶媒はN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0038】
工程B2
工程Bの第二の部分において、アルカリ金属塩、例えば水酸化ナトリウムを水と共に反応混合物に添加する。
【0039】
工程B3
工程Bの第三の部分において、酸、例えば硫酸を、酢酸アルキル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸t−ブチルと共に添加する。最も好ましくは工程Bのこの第三の部分は酢酸エチル存在下で行う。工程B3は式(IV.II)の遊離酸を形成させる。
【0040】
工程B4
工程Bの好ましい第四の部分において、N−置換サリチルアミド(IV.II)をアルコール中、例えばエタノール/水中で結晶化させるが、他の溶媒、とりわけ酢酸エチル、エタノール、水、またはアセトン/水の混合物も適しているはずである。
【0041】
工程C
工程Cにおいて、式(IV.II)のN−置換サリチルアミドを強塩基、例えば水酸化ナトリウムと、アセトンおよび水の存在下で反応させる。
【0042】
本発明の方法は、強塩基、例えば、MYの存在下で行うとき、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、水素化物、アミド、アルカノラート、フェノラート、酢酸塩、炭酸塩、ジアルキルアミドまたはアルキルシリル−アミド;アルキルアミン、アルキレンジアミン、所望によりN−アルキル化された、所望により不飽和の、シクロ−アルキルアミン、塩基性ヘテロ環、水酸化アンモニウム、ならびに炭素環式アミンの存在下で行い得る。
【0043】
アルキル−アルカリ金属は、例えば、所望によりテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)で活性化されたメチルリチウム、n−ブチルリチウム、またはtert−ブチルリチウムから選択できる。
【0044】
アルカリ金属水素化物は、例えば、水素化ナトリウムおよび水素化カルシウムから選択できる。
【0045】
アルカリ金属アミドは、例えば、リチウムアミドまたはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムジエチルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドから選択できる。
【0046】
アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートは、例えば、1個から10個の炭素原子を含む一級、二級または三級脂肪族アルコール、例えばナトリウム、カリウムもしくはリチウムメチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムエチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムn−プロピラート、ナトリウムカリウムもしくはリチウムイソプロピラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムn−ブチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムsec−ブチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウムtert−ブチラート、ナトリウムカリウムもしくはリチウム2−メチル−2−ブチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウム2−メチル−2−ペンチラート、ナトリウム、カリウムもしくはリチウム3−メチル−3−ペンチラート、またはナトリウム、カリウムもしくはリチウム3−エチル−3−ペンチラートから選択できる。
【0047】
アルカリ金属フェノラートは、例えば、アルカリ金属o−アルキル置換フェノラート、アルカリ金属フェノラートまたはアルカリ金属o−アルキル置換フェノラート、例えばナトリウムまたはカリウムo−クレゾラートから選択できる。
【0048】
アミン含有有機塩基をまた使用でき、例えば、2,4,6−トリメチルピリジン;2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチル−グアニジン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU);2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミドル[1,2−a]アゼピン;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN);ジアザビシクロオクタン(DABCO);1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(TED);N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン;N,N−ジエチルアニリン;N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン;N,N−ジイソプロピルメチルアミン;N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン;N,N−ジメチルアニリン;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン;N,N−ジイソプロピルエチルアミン;2,6−ジメチルピリジン;7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デク−5−エン(MTBD);3,3,6,9,9−ペンタメチル−2,10−ジアザビシクロ−(4.4.0)デク−1−エン(PMDBD);1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(PMP);トリエチルアミン;1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG);N,N,N',N'−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP);1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デク−5−エン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(TBD);トリブチルアミン;2,4,6−トリ−tert−ブチルピリジン;トリス(トリメチルシリル)アミン;およびアルキル−水酸化アンモニウムから選択できる。
【0049】
しかしながら、上記塩基の混合物も使用できる。
例示として特記し得るのは、ナトリウムの水酸化物、水素化物、アミド、メタノラート、酢酸塩、炭酸塩、カリウムのtert.−ブタノラート、水酸化物、炭酸塩、水素化物、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムビス(トリメチルシリル)−アミド、水素化カルシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、シクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシル−N,N−ジメチル−アミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、キヌクリジン、N−メチル−モルホリン、ベンジルトリメチルアンモニウムならびに1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−5−エン(DBU)である。
【0050】
本発明の方法において、好ましい塩基はアルカリ金属水酸化物および炭酸塩、例えば水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムである。
【0051】
工程Cの好ましい反応条件において、アセトン:水比は約3:1であり、これは反応中に反応混合物にさらにアセトンを添加することにより、4:1まで、または約5:1から約15:1の最高レベルにさえ増加できる。
【0052】
試薬の添加中、および特に工程A、BまたはCの間に、または実際工程Bの種々の部分の間に、蒸発、濾過、抽出および他の最終および/または調製用(preparatory)工程を、次工程の開始前に行い得ることは当然である。
【0053】
条件
逆の記載がない限り、本発明の反応工程は、最も好ましくは不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行う。
【0054】
工程A
工程Aにおいて、クロロギ酸エステルの添加中、反応混合物を0−5℃に冷却し、次いで、混合物をゆっくり還流温度に加熱し、反応が十分に完了するまで還流させる。典型的に反応混合物を約3〜7時間、およびとりわけ約5時間還流させる。還流温度は、存在する酢酸アルキル溶媒に依存する。典型的還流温度は80〜120℃の範囲である。
【0055】
工程B
工程B1において、炭酸ナトリウム以外の反応混合物の全成分の添加後、反応混合物を約100℃に加熱する。次いで、炭酸ナトリウムの添加を、好ましくは約2時間にわたり行う。
【0056】
工程B2において、本反応混合物を約100℃に加熱する。
工程B3において、本反応混合物を、酸添加前に約60℃に冷却する。好ましくは約60℃の温度を、反応を通して維持し、この温度を好ましくは何らかのその後の精製工程、例えば抽出を通して維持する。
【0057】
工程B4において、アルコール(好ましくはエタノール)を約50−60℃で添加し、次いで溶液を約40−50℃に冷却する。最後に、本溶液を約0−5℃に冷却する。
【0058】
好ましい態様において、本発明は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)およびその対応する塩、特にその二ナトリウム一水和物の製造法に関する。一つの特に好ましい態様において、5−CNACを、下記スキーム4に示す通り、8−クロロオクタン酸エチル(ECO)の存在下、5−クロロカルサラムを介して5−クロロサリチル酸から製造する:
【化14】

【0059】
工程A、BおよびCに関する試薬は、スキーム3において上記の通りである。
【0060】
本発明で記載の方法のために、特にスキーム4の方法のために、最も好ましい試薬は下記の通りである:
工程Aにおいて、5−クロロ−サリチルアミドを、酢酸n−ブチル/水混合物中、必要な有機塩基として働く5−エチル−2−メチル−ピリジンと共に、クロロギ酸エチル(過剰)と反応させる。
【0061】
工程B1において、5−クロロ−カルサラムを、ジメチルホルムアミド中、炭酸ナトリウムおよびNaBr(ブロマイドイオン源)の存在下でクロロオクタン酸エチルと反応させる。NaBrは触媒的に作用すると考えられる。工程B2において、得られる生成物を、例えば水性水酸化ナトリウムで処理する。次いで、酸、好ましくは硫酸のような鉱酸、続いて酢酸エチルを添加する。粗生成物をエタノール中再結晶させる。
【0062】
工程Cにおいて、5−CNACを、好ましくは3:1のアセトン:水比のアセトン/水混合物中、水酸化ナトリウムで処理する。
【0063】
本発明の第二の局面は、本発明の方法で製造したときの、N−置換サリチルアミドおよびその誘導体、特に5−CNAC、およびそれらの対応する塩、特にそれらの二ナトリウム一水和物塩の、活性剤、例えば生物学的または化学的活性剤の標的への送達のための使用に関する。
【0064】
本発明の第三の局面は、本発明の方法で製造したときの、N−置換サリチルアミドおよびその誘導体ならびにそれらの塩の医薬組成物に関する。特に本発明は、5−CNACを本発明の方法で製造したときの、5−CNACを含む医薬組成物に関する。
【0065】
以下の記載は、主に5−CNACの合成の観点から本発明の利点を開示する。しかしながら、これらの観点での本発明の開示は、本発明の範囲を限定する意図はなく、それは一般式(IV)のN−置換サリチルアミドにまで広がることは当然である。故に、下記の5−CNACの観点の合成の開示は、本発明の好ましい態様を単に代表するだけであり、これは本発明と先行技術の間の比較を便利に可能にする。当業者は、本発明の方法が5−CNACの合成のみに限定されないことは認識するであろう。
【0066】
本発明の好ましい合成は、先行技術と比較して、5−CNACを得るための改善された方法を提供する。スキーム1に記載の通り、先行技術は、5−CNACの形成を、炭酸ナトリウムおよびジメチルアセトアミドの存在下、8−ブロモオクタン酸エチルとの反応により達成する方法であることを思い出すべきである。
【0067】
本発明の5−CNACの方法は、先行技術の5−クロロサリチル酸の代わりに、新規の利用可能な出発物質として5−クロロサリチルアミドを使用し、故に、先行技術で現在存在するものを避ける。
【0068】
本発明はまた、2相混合物(例えば酢酸n−ブチル/水)と塩基としてのアルキル置換ピリジン、例えば5−エチル−2−メチル−ピリジンのようなジアルキル置換ピリジンを使用する、5−CNACの製造法のための重要な中間体である、6−クロロカルサラムの新規合成法も提供する。穏やかな有機塩基としてのピリジンの使用は、本発明から除外はされないが、好ましくない。ある種のピリジン誘導体、例えば5−エチル−2−メチル−ピリジンを、先行技術におけるピリジンの代わりに使用する一つの具体的利点は、前者がこれらの条件下で回収可能であることである。対照的に、アセトニトリル中のクロロギ酸エチルと、塩基としてのピリジンを含む反応混合物を使用する先行技術の方法は、回収可能であるとは報告されていない。
【0069】
本発明の方法はまた2相系使用により、先行技術を超える大きな利点を達成する。本系は、副反応による望まない中間体の加水分解を可能にし、これは次に反応混合物からのそれらの除去を可能にし、結果としてより純粋な最終生成物を提供する。
【0070】
本発明の方法により、先に合成した6−クロロカルサラムからの5−CNACの好ましい合成において、ジメチルホルムアミドおよび炭酸ナトリウム(塩基として作用)と、一定量の臭化ナトリウムの存在下、8−クロロオクタン酸エチル(ECO)を6−クロロ−カルサラムと反応させる。本発明者らは、これらの条件がより反応性の8−ブロモオクタン酸エチル(EBO)のその場での形成を可能にすると考える。臭化ナトリウムを反応の最後に回収でき、少なくともこの意味で、臭化ナトリウムは触媒的に作用すると考えられる。従って本発明の方法は、直接出発物質として8−ブロモオクタン酸エチル(EBO)を使用する必要性を除く。EBOは、その非常に反応性の特性から、健康上および環境上の懸念があることが知られている。さらに、ECOはEBOよりも安価であり、より容易に入手できる。
【0071】
前記反応により形成された中間体エステル(または複数のエステル)は、最も好ましくは単離はしないが、最終反応混合物の濃縮直後に鹸化する。この鹸化は、本生成物の単離の必要性を無くす利点があり、それ故、より高い収率で得られる可能性を高める。これは、8−[6−クロロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4(3H)ジオニル]オクタノエートの単離を必要とする、先行技術の対応する段階と対照的であり得る。高い純度の遊離酸を、次いで、抽出および結晶化により得る。
【0072】
最後に、二ナトリウム一水和物を、有利には均質溶液から結晶化を可能にする、アセトン/水混合物中の水酸化ナトリウムの添加により形成し(工程C)、水酸化ナトリウムを純粋アセトンに添加する先行技術のエマルジョンと対照的である。本均質溶液は大きな結晶を得ることを可能にし、それは標準ロータリーパドルで乾燥すべきである。
【0073】
本発明により実行される変化の結果(上記の5−CNACの合成法について例示の通り)、式(IV)のN−置換サリチルアミド、とりわけ5−CNAC(IVA)を、費用効果がよいおよび高純度の両方の方法で提供する新規工程が開発された。
【0074】
例として5−CNACの合成を使用して、本発明の方法を、下記スキーム5および6を特に参照してさらに詳細に記載する:
工程A
スキーム5に記載の温度Tは、好ましくは80−120℃の範囲である。最も好ましくは温度Tは85−95℃である。特に好ましくは、温度Tは90℃である。
【化15】

【0075】
先行文献法の著しい弱点は、それが主に10%までの出発アミド(IA)を含む生成物を酸性することである。第二の弱点は、該方法をアセトニトリルおよびピリジン中で行い(スキーム1から見られる通り)、ここでアセトニトリルおよびピリジンはリサイクルに適していないことである。これは商業的により費用がかかり、環境的にあまり望ましくない両用である。
【0076】
先行技術の対応する工程は2つの部分を有する:
(i) 0℃でのクロロギ酸エチルのアシル化および
(ii) 還流(90℃)での閉環。
【0077】
先行技術法の生成物のHPLC分析は、アシル化中に主に1個の中間体が形成され、その間に出発物質が完全に消失することを示す。加熱により、しかしながら、第二の、新規の中間体が急速に形成され、これは幾分かの出発物質と共に、望む6−Cl−カルサラムを超えて増える。該第一の中間体はN−アシル化サリチルアミド(X)であり、該第二の中間体はO−アシル化誘導体(XX)(フェノール性OHを介する)である。
【0078】
先行技術法に関連する環境問題を解決するために、本発明の発明者らは、最初にピリジンの代わりに水酸化ナトリウムのような塩基を使用する水性系を探した。しかしながら、反応を、ピリジンの代わりの、例えば、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いて水性媒体中で行ったとき、閉環および化合物(IIA)の形成後、反応が完了まで進行して以内か、分解が起こっていることを示唆する、先行技術法より多くの(IA)が存在することを発見した。
【0079】
さらなる中間体生成物が従って形成され、それが加熱により出発物質に逆戻りし得るとの仮説が立てられた。これはHPLCにより分離されないO−アシル化アミドによるものであろう。これは、O−アシル化に有利な強塩基の場合に通常起こる通り、アミド−酸素原子の増加した反応性と一致し得る。
【0080】
他の説明は、工程B(高温でジメチルホルムアミド中、炭酸ナトリウムでの開環)において起こるのと同じ方法での、塩基性条件下、6−クロロカルサラムの分解である。しかしながらこの説明はピリジンには当てはまらない。従って、穏やかな有機塩基がさらに好ましいことが明らかとなった。
【0081】
前記の“不完全”反応問題を解決するために、本発明は2相系を提供する。好ましい系は過剰のクロロギ酸エチルを含む、酢酸アルキル/有機塩基/水、例えば酢酸ブチル/置換−ピリジン/水である。最も好ましいのは酢酸n−ブチル/5−エチル−2−メチルピリジン/水である。
【0082】
水の存在下、十分なクロロギ酸エステルが存在する限り、何らかの望まない中間体(例えばO−アシル化中間体)の加水分解が急速に起こり、望むN原子(アミド窒素)でのアシル化を可能にするとの仮説が立てられた。これらの条件下(20%過剰クロロギ酸エチルおよび30%アルキル−置換ピリジン)、わずか1−2%の出発物質しか閉環後に見られない。
【0083】
ピリジンが水性母液から容易に回収されないため、好ましくは、感受性を損なうことなく、非水溶性ピリジン誘導体、とりわけアルキルピリジン、例えば非水溶性5−エチル−2−メチル−ピリジンに置き換える。非水溶性アルキル−ピリジンは塩基の回収を可能にし、故に好ましい。
【0084】
有機酢酸エステル溶媒は酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピルまたは酢酸n−ブチルから選択できる。好ましい溶媒は、酢酸n−ブチルであり、その共沸騰混合物を約90℃で沸騰させる。これにより、典型的に還流で約4−5時間の速い反応が可能になる。酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルのような他の溶媒中の反応も成功するが、これらの溶媒の沸点が低いため、より長い時間を必要とする。
【0085】
酢酸ブチルは、その低水溶性特性のためにさらに好ましい。酢酸ブチルが水に実質的に不溶性であるため、それは(IA)を溶液中に維持し、故に、非常に純粋(98%より高い)な生成物を産生する。これは、(IA)/(IIA)の混合物の低い純度の生成物が得られる先行技術法より純粋である。本反応の収率は90%を超え、先行技術法と同程度であるが、本方法の高い純度が、生成物(IIA)の全体的収率が本発明のほうが高いことを意味する。
【0086】
閉環中、本混合物は好ましくはゆっくり(2時間以内に)0℃から約90℃まで加熱し、還流させる。
【0087】
本発明の方法において、過アルキル化カルサラム((IIA)がクロロギ酸エチルと反応するとき形成され得る)が観察されず、故に、過剰の試薬が閉環が起こる前に分解されることを示し、これは有利であることに注意すべきである。
【0088】
(IIA)は、10%までの出発物質の除去を可能にする酢酸エチル/水中の還流により容易に精製され、これは必要であるであろう。
【0089】
工程Aの副生成物
3,5−ジクロロ−異性体副産物に至る、対応する3,5−ジクロロ−異性体が出発物質(IA)に存在し得る。好ましくは1%未満および特に0.5%未満の、より好ましくは0.07%未満3,5−ジクロロ−異性体が、出発物質または最終生成物に存在する。
【0090】
工程B
特に下記スキーム6を引用する:
先行技術法において使用する化合物8−ブロモ−オクタン酸エチル(EBO)は、それが相対的に高価であるだけでなく、その高い反応性のために変異誘発性アルキル化剤の可能性があり、故にその使用および廃棄の両方について重大な安全性問題の原因となるため、高い費用がかかる。他方、クロロ等価物、ECは安価であり、その低い反応性のために環境問題および健康被害が少ない。ECOの健康上の、経済的なおよび環境上の利点が、従って本発明の方法の利点を高める。
【0091】
本発明の方法の開発において、EBOからECOへの変化が、最初は遊離酸(IV.II)または(IVA)をもたらすこのアルキル化/脱保護の間の顕著な問題を起こした。これらの問題は、しかしながら本発明の方法を確立するために、下記の通り、同定および解決された。
【化16】

【0092】
先行技術と比較して、存在するECO単独でのアルキル化は、おそらく塩素試薬の低反応性のため80℃でゆっくりであることが判明した。さらに、(消費を確実にするのに必要な)反応時間の延長に伴い、より多くの生成物が形成された。例えば、同じ条件下で、0.1%二酸副産物がEBOで形成され、7%がECOで形成された。
【0093】
温度を100℃まで上げると、反応速度は増加したが、また“カルサラム”塩の分解速度も増加した。実際、湿気の存在下、炭酸ナトリウムは綺麗にカルサラム−ナトリウム塩を提供せず、それはまた環を一部開き、OおよびNの両方の一で反応する対応するアミド(IA)を形成する。これにより形成されたジアルキル化副産物は、最終工程から容易に除去されず、従って最終生成物を汚染する。ジアルキル化生成物の形成は、従って望ましくない。
【0094】
実験から、80℃で1当量NaBrではわずか2.2%の二酸副生成物しか生成されず、NaBrなしでの7%とは対照的であることが示された。
【0095】
1当量ECO、0.2当量臭化ナトリウム、0.55当量炭酸ナトリウム、100℃の好ましい、最適条件下、本アルキル化は、わずかに約2%のジアルキル化、1%未満O−アルキル化とECOの完全な消費を伴い、95%の選択性で進行する。
【0096】
最後に(IIA)の分解を防止するために、実験室規模の合成において、塩基(典型的に炭酸ナトリウム)および(IIA)を、好ましくは最初に非プロトン性溶媒(好ましくはジメチルホルムアミド)中で混合し、100℃に加熱して、その後(III.III)をゆっくり添加する。0.98当量の(III.III)、0.6当量塩基(典型的に炭酸ナトリウム)および0.1当量の臭化ナトリウムの量の例で、本発明は、約95%の所望の生成物(閉環したおよび開環したエステルの混合物)、約2%ジアルキル化エステルおよび約3%の残渣(IIA)のアルキル化を、再現性よく、提供する。
【0097】
炭酸ナトリウムを塩基として使用したとき、全出発物質を室温で混合し、その後一定速度で加熱すると、スラリーの一過性の濃化(thickness)を伴ったCOの制御できない放出に至り、これは簡便ではないことが判明した。
【0098】
従って、向上した合成において、炭酸ナトリウム以外の全ての出発物質を一緒に混合する。次いで、得られる混合物を100℃まで加熱し、その後にのみ炭酸ナトリウムをゆっくり、好ましくは少しずつ、または連続的に固体形態で添加する。炭酸ナトリウムなしでは反応は起こらない。制御すべき唯一のパラメータは塩基(炭酸ナトリウム)添加の量および速度である。
【0099】
本発明のこの別法について、わずかに過剰の炭酸ナトリウムが好ましく(0.55当量が1.05−1.1当量塩基に対応する)、好ましくは本炭酸ナトリウムを約2時間にわたり添加する。これにより、わずかしか副反応がない(1%未満のジアルキル化)反応がもたらされる。95%を超える選択性(すなわち95%の所望の変換)を得るために、(0.98当量の代わりに)1当量の(III.III)および(0.1当量の代わりに)0.2当量の臭化ナトリウムを有利には使用する。
【0100】
開環は工程B1の反応の最後に起こるが、これは完了する傾向になく、使用する過剰の炭酸ナトリウムの量に依存すると考えられる。典型的に少なくとも30−50%開環が本反応工程の最後に起こり、純粋中間体(VIA)の単離を望まないものとする。有利には、しかしながら、鹸化および開環の完了を、次いで、鹸化の後、中間体(VIAおよびVIIA)の両方が望む生成物、(IVA)をもたらすため、同じ容器内ですぐに行う。それにより、一つの単独生成物(IVA)(5−CNAC遊離酸)が得られ、これを酸性化後に単離できる。
【0101】
鹸化を最適化するため、すなわち中間体の単離を避けるため、好ましくは溶媒を蒸留により完全に除去すべきである。これを行うために、ジメチルアセトアミドの代わりにジメチルホルムアミドを使用するのが、DMFが低い沸点を有するため、好ましい。
【0102】
溶媒を、真空下100℃で蒸留により除去し、油状均一残渣が残る。後者を水と混合し、80−100℃で過剰の水酸化ナトリウムで処理した。開環および鹸化は非常に急速である。鹸化後、溶液を60℃に冷却し、硫酸でpH8−9に中和し、その後酢酸エチルで希釈した。
【0103】
その後、pHを2−3まで下げ、生成物を有機相に移動させた。水相を廃棄し、有機相を水で洗浄する。新鮮な水を添加し、酢酸エチルを常圧で留去し、(IVA)を水中の懸濁液として残した。この段階で、またはこれより前でさえ、粗生成物の単離は可能である。
【0104】
水性懸濁液をエタノールで希釈し、これにより酸(IVA)を約60℃で溶解させた。この溶液に溶液中に二酸副産物を維持する(故に、結晶化工程を汚染しない)ために必要であることが確認された量の水酸化ナトリウムを添加した。冷却により、純粋(IVA)が溶液から晶出する。これを0℃での遠心分離により回収し、60℃で真空下乾燥させる。好ましくは、存在する二酸は0.6%より少ない。
【0105】
上記の(IVA)の結晶化は、副産物(主に残っている出発物質、二酸およびある場合二量体)を除去するような方法で最適化する。好ましくは最終生成物、(IVA)は、99%を超える純度であり、存在する二量体は0.2%未満である。
【0106】
工程Bの副生成物
(III.III)(8−クロロオクタン酸エチル)。
好ましくは、8−クロロオクタン酸エチルはジクロロヘキサンを何ら含まない。1%までのジクロロヘキサンと他の副産物を含むサンプルにおいて、ジクロロヘキサンは(IIA)と反応して、二量体副産物を形成し、これが、上記の通り、最終酸生成物(IVA)から分離することが非常に困難であることが示されている。特に好ましくは、0.1%未満ジクロロヘキサンを含む>99%純度の8−クロロオクタン酸エチルを使用する。
【0107】
炭酸ナトリウムを使用するとき、それは、不純化合物が不完全な反応、増加した開環および過剰のジアルキル化副産物形成をもたらし得るため、非常に純粋でなければならない。
【0108】
可能性のある副産物は5−CNACエチルエステルであり、これは不完全な鹸化により形成され得るか、またはエタノール/水からの最終結晶化の間の遊離酸のエステル化により形成され得る。
【0109】
さらに、先に示した通り、0.1%を超えるジクロロヘキサンが(III.III)中に存在するとき、残留(IA)、対応する5−クロロサリチル酸およびいわゆる“二量体”が存在し得る。
【0110】
(III.III)中0.1%ジクロロヘキサンで、二量体汚染は(IVA)では約0.3%であり、(VA)では0.1%より少ないと予測される。
【0111】
必要であれば、さらに(IVA)を生成するために、鹸化および部分的中和後に酢酸ブチルでの抽出を行い得る。この段階で、pH8−9で、(IVA)はまた水溶性であるが(その一ナトリウム塩として)、このpHでは塩を形成できない二量体(カルボン酸なし)を抽出し得る。この変法の大きな欠点は、相分離を得るために大量の酢酸ブチルが必要であることである。
【0112】
芳香環ならびに同族アルキル鎖C7、C8における塩素異性体のような他の可能性のある不純物が、理論的には小量(0.05%未満)で存在し得るが、好ましくは出発物質におけるそれらの制御により既に除去されている。
【0113】
副産物を最小に維持するために、特に、下記パラメータを上記の通りに制御することが好ましい:
・ 出発物質:(IIA)、(III.III)、塩基(例えば炭酸ナトリウム)、臭素塩(例えば臭化ナトリウム)の質および量。
・ 反応混合物の温度および炭酸ナトリウム添加速度。
・ 非プロトン性溶媒(例えばDMF)の蒸留、および強塩基(例えば水酸化ナトリウム)の量(鹸化)。
・ 結晶化中のエタノール/水比および水酸化ナトリウムの量。
【0114】
さらに、出発物質の質および相対的量は、(IVA)の質に重要である。多すぎる(III.III)および炭酸ナトリウム(または少なすぎる(IIA))は、ある程度結晶化および再加工により除去される形成されるジアルキル化副産物の量に直接影響を有する可能性がある。しかしながら収率の低下は、また副産物の形成に役割を有し得て、例えば収率が約20%少ないと、10%強のアルキル化が観察される。
【0115】
本発明は、従って先行技術の修正および改善された方法であり、同等またはより良い純度で20%(約84%対64%)ほど多い収率の増加を可能にする“ワン・ポット”法を提供する。
【0116】
工程C
【化17】

先行技術の結晶化技術は、下記の欠点を有する:結晶化が、種晶添加なしでエマルジョンの還流により起こる(アセトン中の5−CNAC遊離酸に濃水酸化ナトリウムを添加後)。従って、結晶化の制御が不可能であったが、ある種の熱力学的平衡がこれらの結晶化条件下で得られ、このような制御を妨げるはずである。
【0117】
本発明は、N−置換サリチルアミド(IV、IV.IIおよびIVA)がアルカリ金属塩基、とりわけ水酸化ナトリウムの存在下、アセトン/水混合物中で結晶化する結晶化技術を提供している。反応条件と無関係に、(IV)、(IV.II)または(IVA)の多水和物、例えば六水和物が、最初にアセトン/水混合物中で結晶化し、それが次いで、乾燥により水和物(V)または(VA)を形成する。通常、湿ケーキは約12%水を含み、これは5−CNAC分子あたり2−3分子の水と一致する。
【0118】
一当量の水のみとの結晶化を、ナトリウムメチラートを使用して達成できる。これは、異なる結晶多形に対応する溶媒和物をもたらし得る。
【0119】
工程Cはそれ自体進歩性を有する。好ましい方法工程において、化合物(IV.IIまたはIVA)、アセトンおよび水を合わせる。アセトン:水比は約5:1v/vから約15:1v/v、例えば約10:1から11:1であり得る。塩基を、混合物に、適当にはわずかに高い温度で、例えば約40℃〜60℃で、例えば45℃〜55℃で添加する。さらにアセトンを、例えばアセトン/水混合物(例えば2:1v/vから4:1v/v、例えば3:1v/v)として、適当には温度を適度に上昇させたレベル(例えば45℃−55℃)に維持しながら添加し得る。本塩を次いで単離する。一つの方法は下記の通りである:温度が50℃を超えたとき、それは50℃またはそれ未満(例えば40℃から50℃、例えば45℃から48℃)に下げ、種晶結晶を添加して結晶化を誘発させ、その後さらに温度を下げ(例えば0℃から5℃)、結晶化工程を完了させて、その後結晶を単離する。撹拌を適当にはずっと続ける。本結晶は、50−60mbarの真空下、50−55℃で少なくとも24時間乾燥させ得る。
【0120】
高い温度(40−50℃)で行う結晶化および撹拌が、大きな結晶(500ミクロンまで)を可能にすることが観察された。さらに、約0℃での結晶化は、高い温度のものと異なるタイプの結晶を提供する。
【0121】
別の結晶化法で、結晶化を2−ペンタノンから80℃で行う。
【0122】
好ましくは、結晶化は、種晶添加により45−50℃で起こり、さらなるアセトンを同じ温度で添加し、次いで0℃に冷却することにより、所望の多形が得られる。特に好ましい多形は、0℃で24時間を超える長い撹拌により得られる。
【0123】
得られる塩、(V)または(VA)は、好ましくは>99%純粋であり、0.1%を超える副産物は何ら観察されない。
【0124】
(VA)中の理論量の水は、一水和物について4.8%であるべきと計算される。実際、水含量は、乾燥の条件および期間に依存する。80−100mbarの圧力および40−55℃で、過剰な乾燥は起こらない。しかしながら何らかの危険性を避けるために、乾燥工程中の水含量の確認が推奨される。さらに、ある場合、乾燥後のアセトンの残存量が、確立された限度である0.5%を超えたことが明らかであった。
【0125】
副産物を最小に維持するために、特に、特に、下記パラメータを上記の通りに制御することが好ましい:
・ アルカリ金属塩基(水酸化ナトリウム)の量および質
・ 種晶添加および結晶化の温度
・ 飽和の速度
・ 冷却の速度
・ 0℃で撹拌する時間
・ 乾燥工程。
【0126】
明細書および特許請求の範囲の開示を通して、用語“含む”および“含有する”およびその用語の変形、例えば“含み”および“含んで”は、“含むがこれに限定されない”ことを意味し、他の部分、添加剤、成分、整数または工程を除外することを意図しない(そして除外されない)。
【0127】
本発明の方法において、必要であるとき、特定の反応または反応工程もしくは複数の工程に関与しない、または、反応を妨害しない、1個以上の官能基に関して、1個以上の保護基が存在し得ることが意図される。
【0128】
このような保護基による官能基の保護、それらの挿入のための適当な試薬、適当な保護基およびそれらの除去のための反応は、当業者には既知である。適当な保護基の例は、標準文献、例えば、J. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999、“The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie”, Houben-Weyl, 4th edition, Vol. 15/l, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosauren, Peptide, Proteine”, Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982および/またはJochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide and Derivate”, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に見ることができる。
【0129】
適当なヒドロキシ保護基は、とりわけアクリルまたはエステル型の保護基、例えば低級アルカノイル、例えばホルミル、アセチルまたはイソブチロイル、ベンゾイルホルミル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、フェニルアセチル、p−フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセチル、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセチル、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセチル、クロロジフェニル−アセチル、3−フェニルプロピオニル、4−アジドブチロイル、4−メチルチオメトキシブチロイル、(E)−2−メチル−2−ブテノイル、4−ニトロ−4−メチルペンタノイル、4−ペンテノイル、4−オキソペンタノイル、4,4−(エチレンジチオ)−ペンタノイル、5−[3−ビス(4−メトキシフェニル)−ヒドロキシメチルフェノキシ)レブリニル(laevulinyl)、ピバロイル、クロトノイル、モノスクシノイル、ベンゾイル、p−フェニルベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイル、2−(メチルチオメトキシ−メチル)ベンゾイル、2−(クロロアセトキシメチル)ベンゾイル、2−[(2−クロロアセトキシ)エチル]ベンゾイル、2−[(2−ベンジルオキシ)エチル]ベンゾイル、2−[2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル]ベンゾ−イル、2−ヨードベンゾイル、o−(ジ−ブロモメチル)ベンゾイル、o−(メトキシカルボニル)ベンゾイル、2−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル、アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル−2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2−(フェニルスルホニル)−エトキシカルボニル、2−(トリフェニルホスホノ)エトキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、p−ニトロフェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシ−ベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、ダンシルエトキシ−カルボニル、2−(4−ニトロフェニル)エトキシカルボニル、2−(2,4ジニトロフェニル)エトキシカルボニル、2−シアノ−1−フェニルエトキシカルボニル、S−ベンジルチオカルボニル、4−エトキシ−1−ナフチルオキシカルボニル、3',5'−ジ−メトキシベンゾイニルオキシカルボニル、2−メチルチオメトキシエトキシカルボニル、N−フェニルカルバモイル、ジメチルエチルホスフィノチオリル、メチルジチオカルボニル;N,N,N',N'−テトラメチルホスホロ−ジアミドイル、スルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、2−[(4ニトロフェニル)−エチル]スルホニル、アリルスルホニル、2−ホルミルベンゼンスルホニル、ニトロキシ、
【0130】
またはエーテルタイプの保護基、例えばメチル、置換メチル、好ましくは低級アルコキシメチル、とりわけメトキシメチル(MOM)、メチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、ベンジルオキシ−メチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、p−ニトロベンジルオキシメチル、グアイアコールメチル、tert−ブトキシ−メチル、4−ペンテニルオキシメチル、シリルオキシメチル、低級アルコキシ−低級アルコキシメチル、とりわけ2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)−エトキシメチルまたはメトキシメチル、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、S,S−ジオキシ−4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオ−フラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル;置換エチル、例えば1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル−1−メチル−1−メチル−i−ベンジルオキシエチル、1−メチル−i−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、1−メチル−1−フェノキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1,1−ジアニシル−2,2,2−トリクロロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル、2−トリメチルシリルエチル、2−(ベンジルチオ)エチル、2−(フェニレニル)エチル、tert−ブチル;アリルまたはプロパルギル、置換フェニルエーテル、例えばp−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニルまたは2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−フェニル、ベンジル、置換ベンジル、例えばp−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、例えばp−ブロモベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノ−ベンジル、p−フェニルベンジル、2,6−ジフルオロベンジル、p−アジドベンジル、4−アジド−3−クロロベンジル、2−トリ−フルオロメチルベンジルまたはp−(メチルスルフィニル)ベンジル、2−または4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリル、2−キノリニルメチル、1−ピレニルメチル、ジフェニルメチル、p,p'−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、a−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシ−フェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4'−ブロモフェナシルオキシ)フェニル−ジフェニルメチル、4,4',4'−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル)、4,4',4'−トリス(レブリノイル−オキシフェニル)メチル、4,4',4'−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、4,4'−ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリル−メチル)]トリチル、4,4'ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチル、1,1−ビス(4−メトキシ−フェニル)−1'−ピレニルメチル、4−(17−テトラヒドロベンゾ[a,c,g,f−ルオレニルメチル)−4',4”−ジメトキシトリチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、シリルエーテル型のS,S−ジオキソ、例えばトリ−低級アルキルシリル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはジ−tert−ブチルメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチル−シリル、(2−ヒドロキシスチリル)−ジイソプロピルシリル、tert−ブチルメトキシフェニルシリルまたはtert−ブトキシジフェニルシリルから選択される。
【0131】
カルボキシ保護基は、とりわけエステル形成性、酵素的および/または化学的除去可能保護基、好ましくは酵素的および/または化学的除去可能保護基、例えばヘプチル、2−N−(モルホリノ)エチル、コリニル、メトキシエトキシエチルまたはメトキシエチル;または主に化学的に除去可能な基、例えばアルキル、例えば低級アルキル、とりわけメチル、エチル、置換低級アルキル(ベンジルおよび置換ベンジル以外)、例えば置換メチル、とりわけ9−フルオレニルメチル、メトキシメチル、メトキシ−エトキシメチル、メチルチオメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、ピバロイルオキシ−メチル、フェニルアセトキシメチル、トリイソプロピルシリルメチル、1,3−ジチアニル−2−メチル、ジシクロプロピル−メチル、アセトニル、フェニル、p−ブロモフェナシル、a−メチルフェナシル、p−メトキシフェナシル、デシル、カルバミドメチル、p−アゾベンゼンカルボキサミドメチル、N−フタルイミドメチルまたは4−ピコリル、2−置換エチル、とりわけ2−ヨード−、2−ブロモ−または2−クロロ−エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−メチルチオエチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(p−トルエンスルホニル)−エチル、2−(2'−ピリジル)エチル、2−(p−メトキシフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、2−(4−アセチル−2−ニトロフェニル)エチルまたは2−シアノエチル、tert−ブチル、3−メチル−3−ペンチル、2,4−ジメチル−3−または.オメガ.−クロロ−低級アルキル、とりわけ4−クロロブチルまたは5−クロロペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、低級アルケニル、とりわけアリル、メタリル、2−メチルブト−3−エン−2−イル、3−メチルブト−2−エニルまたは3−ブテン−1−イル、置換低級アルケニル、とりわけ4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イル、シンナミルまたはa−メチルシンナミル、低級アルキニル、例えばプロプ−2−イニル、フェニル、置換フェニル、とりわけ2,6−ジアルキルフェニル、例えば2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピル−フェニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル、p−(メチルチオ)−フェニルまたはペンタフルオロフェニル、ベンジル、置換ベンジル、とりわけトリフェニルメチル、ジフェニル−メチル、ビス(o−ニトロフェニル)メチル、9−アントリルメチル、2−(9,10−ジオキソ)アントリルメチル、5−ジベンゾ−スベリル、1−ピレニルメチル、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−ブロモベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、2,6−ジメトキシベンジル、4−(メチルスルフィニル)ベンジル、4−スルホベンジル、4−アジドメトキシベンジル、4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジル、ピペロニルまたはp−ポリマー−ベンジル、テトラヒドロ−ピラニル、テトラヒドロフラニル、またはシリルラジカル、例えばトリ−低級アルキルシリル、とりわけトリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリルまたはジ−tert−ブチルメチルシリル、またはフェニル−ジ−低級アルキルシリル、例えばフェニルジメチルシリルである;あるいはカルボキシ基はまたオキサゾリル、2−アルキル−1,3−オキサゾイルイニル、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジニルまたは2,2−ビストリフルオ(bistrifluo)4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジニルラジカルで保護できる。
【0132】
アミド保護基は、とりわけアリル、tert−ブチル、N−メトキシ、N−ベンゾイルオキシ、N−メチル−チオ、トリフェニルメチルチオ、tert−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、4−(メトキシメトキシ)フェニル、2−メトキシ−1−ナフチル、9−フルオレニル、tert−ブトキシカルボニル、N−ベンジルオキシカルボニル、N−メトキシ−またはN−エトキシ−カルボニル、トルエンスルホニル、N−ブテン−1−イル、2−メトキシカルボニルビニル、またはとりわけアルキル、例えば低級アルキル、または特に置換アルキル、とりわけベンジル、ならびに低級アルコキシ、例えばメトキシ、低級アルカノイルオキシ、例えばアセトキシ、低級アルキルスルフィニル、例えばメチルスルフィニル、ジシクロプロピルメチル、メトキシメチル、メチルチオメチルおよびN−ベンゾイルオキシメチルから選択される1個以上のラジカルで置換されたベンジル置換;またはビス(トリメチルシリル)メチル、トリクロロエトキシメチル、tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、シアノメチル、ベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2−アセトキシ−4−メトキシ−ベンジル、o−ニトロベンジル、ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメチル、ビス(4−メチルスルフィニルフェニル)メチル、ピロリジノメチル、ジエトキシメチル、1−メトキシ−2,2−ジメチルプロピルまたは2−(4−メチルスルホニル)エチルである。
【0133】
例えば加溶媒分解、還元、光分解あるいは、生理学的条件に類似した条件下、例えば酵素的に除去するのが単純(すなわち、望まない二次反応が起こらずに)であるのが、保護基の特徴である。典型的に、保護および活性過工程は同時に行う。
【0134】
本発明の方法を、5−CNACについて下記実施例にさらに記載する:
【実施例】
【0135】
実施例1:6−クロロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4(3H)−ジオンの製造
【化18】

5−クロロサリチルアミド(300g、1.75mol)および水(900ml)を3リットル、4首丸底フラスコに、窒素雰囲気下入れ、撹拌した。5−エチル−2−メチル−ピリジン(284g、2.27mol)および酢酸n−ブチル(900ml)を混合物に添加した。混合物を0−5℃(ジャケット10℃)に冷却し、クロロギ酸エチル(233g、2.10mol)の滴下を開始した。この添加を、約1時間にわたり続けた。添加が完了したとき、反応混合物をゆっくり(約2時間)で還流まで加熱し、還流下にさらに約5時間(ジャケット110℃、内部温度(IT)90℃)維持した。得られるスラリーを室温に冷却し、塩酸(28ml、37%m/m、0.34mol)を添加し、混合物を約30分撹拌した。得られるスラリーを吸引濾過し、濾過ケーキを酢酸n−ブチル、続いて水(600ml)で洗浄し、一晩、真空で60℃で乾燥させた。321g(93%)の6−クロロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4(3H)−ジオン(6−クロロカルサラム)が乾燥後に単離された。
【0136】
実施例2:N−5−(クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)の製造
【化19】

6−クロロ−2H−1,3−ベンゾオキサジン−2,4(3H)−ジオン(180.5g、0.91mol)、臭化ナトリウム(18.7g、0.18mol)およびジメチルホルムアミド(840ml)を3リットル、4首丸底フラスコに窒素雰囲気下入れ、撹拌した。8−クロロ−オクタン酸エチル(188.3g、0.911mol)を一度に入れ、ジメチルホルムアミド(60ml)で濯いだ。混合物を100−105℃(ジャケット120℃)まで加熱し、無水炭酸ナトリウム(51.7g、0.47mol)を2時間にわたり少しずつ添加した。反応完了後、溶媒を減圧下(60−20mbar、内部温度75−120℃、ジャケット100−130℃)で留去して、油状残渣を残した。水(700ml)を85−95℃で10−20分にわたり添加し、その後水酸化ナトリウム(380ml、30%w/w)を添加し、その後20mlの水で濯いだ。混合物を2時間、85−100℃で撹拌し、次いで硫酸(60ml 50%w/w)を60−65℃で混合物のpHが8から9になるまで添加し、次いで酢酸エチル(700ml)を60−65℃で30から60分にわたり添加した。次いで、さらに硫酸(221ml、50%w/w)を60−65℃で1時間にわたり、混合物のpHが2から3.5になるまで添加した。その後2相を分離させた。水性相を廃棄し、残った有機相を水(300−360ml)で60−65℃で洗浄した。次いで次いで20mlの水で濯いだ後、水(600ml)および水酸化ナトリウム(10.8g、30%w/wおよび40mlの水)を添加し(小量のN,O−5−(クロロサリチロイル)−ジ−オクタン酸副産物を除去するため)、有機溶媒を大気圧下で留去した(ジャケット110−120℃、IT:80−100℃)。得られる懸濁液に、エタノール(1500ml)を50−65℃で添加した。透明溶液を40−45℃に冷却し、種晶(0.12g)を添加し、溶液を20から30分、結晶化が開始するまで撹拌した。冷却を、1−2時間の間0−5℃まで続けた。固体を吸引濾過により回収し、エタノール/水7:3(540ml)で洗浄し、真空下(10−50mbar)、60℃で一晩乾燥させて、237gのN−5−(クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(84%)を得た。
【0137】
実施例3:N−5−(クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の二ナトリウム塩、一水和物の製造
N−5−(クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(3.5kg、11.15mol)、アセトン(9450ml)および水(875ml、精製)を50リットル容器に窒素雰囲気下入れ、45−55℃(ジャケット60℃)で透明溶液が形成されるまで撹拌した(20から30分)。水酸化ナトリウム(297g、30%w/w、22.3mol)を、温度が45−55℃に維持されるような方法で添加し、その後アセトン/水3:1v/v(1050ml)溶液を添加した。熱(50℃)溶液をポリッシング(polishing)フィルターを通し、濾液を別の綺麗な容器に移し、45℃から55℃に加熱した。移動ラインを熱(45−55℃)アセトン/水3:1v/v(1050ml)で洗浄し、次いでアセトン(約10.5リットル)を温度を約45−55℃(ジャケット55℃)に維持する方法で添加した。次いで、温度を45−48℃に下げ、種晶(4g)を添加した。混合物を約20−30分撹拌して細かい懸濁液を得て、結晶化を誘発させ、次いでさらにアセトン(28l)を45−50℃(ジャケット55℃)の温度を維持する方法で1時間にわたり添加した。その後、ゆっくりした撹拌を1時間、45−50℃で続け、次いで温度を0−5℃に2時間にわたりゆっくり低下させた。撹拌を0−5℃で1時間続け、次いで結晶を遠心分離により回収し、冷アセトン/水95:5v/v(7l)で洗浄し、50−60mbarの真空下、50−55℃で少なくとも24時間乾燥させて、4.19kgの5−CNACジ−ナトリウム一水和物(収率95%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−置換サリチルアミドの製造法であって、カルサラム誘導体と式(III)
【化1】

〔式中、nは1から8の整数であり、Qは、容易にカルボン酸部分に変換され得る基であり、そしてRおよびRは独立して水素、−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択され、ここでRおよびRは各々独立して水素、−OH、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルである。〕
のクロロ−置換化合物をブロマイドイオン源の存在下で反応させることを含む、方法。
【請求項2】
ブロマイドイオン源が式(IIIb)
【化2】

の化合物のその場での形成を可能にする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式(III)の化合物が式(III.II):
【化3】

〔式中、Rはカルボン酸部分の保護基である。〕
の化合物である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
が1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
がエチルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
nが6である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
各RおよびRがHである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
nが6であり、各CRがCHである、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
一般式IV:
【化4】

〔式中、R、R、Qおよびnは請求項1で定義の通りであり、tは0、1、2、3、4、5または6であり、mは1、2、3または4であり、そしてRは、またはm>1であるときは各Rは独立して、−OH、NR、ハロゲン、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択され、そしてRおよびRは各々独立して水素、−OH、C、C、CまたはCアルキル、C、C、CまたはCハロアルキル、C、C、CまたはCアルコキシ、C、CまたはCアルケニルから選択される。〕
の化合物の製造法であって:
(i)式(I)
【化5】

の化合物と、クロロギ酸エステルを弱有機塩基存在下で反応させて、式(II)
【化6】

の化合物を形成させ、そして
(ii)式(II)の化合物と式(III)
【化7】

の化合物を、ブロマイドイオン源および弱有機塩基の存在下で反応させて、式(IV)の化合物を得る、方法。
【請求項10】
式(IV)の化合物を、続く鹸化工程に付す、請求項9記載の方法。
【請求項11】
鹸化工程を式(IV)の化合物の前もっての単離なしに行う、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式(IV)の化合物を式(VI)
【請求項13】
【化8】

〔式中、R、m、t、nおよびQは請求項9で定義の通りである。〕
の化合物との混合物として形成する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
式(IV)および(VI)の化合物を続く鹸化工程に付す、請求項12記載の方法。
【請求項15】
鹸化工程を式(IV)および(VI)の化合物の前もっての単離なしに行う、請求項13記載の方法。
【請求項16】
化合物(III)が式(III.II)
【化9】

〔式中、Rはカルボキシ部分の保護基である〕
の化合物であり、式(IV)の化合物が式(IV.I):
【化10】

の化合物である、請求項9記載の方法。
【請求項17】
基を除去して式(IV.II):
【化11】

の化合物を形成する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
式(IV.I)の化合物が式(VI.I)
【化12】

〔式中、R、m、t、nおよびQは請求項9で定義の通りである。〕
の化合物との混合物で形成される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
式(IV.I)および(VI.I)の化合物を各々反応させて、式(IV.II)の化合物を得る工程をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
さらなる工程を式(IV.I)および(VI.I)の化合物の前もっての単離なしに行う、請求項18記載の方法。
【請求項21】
さらなる工程が鹸化工程を含む、請求項18または19記載の方法。
【請求項22】
が1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキルである、請求項15から20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
がエチルである、請求項21記載の方法。
【請求項24】
式(IV.II)の化合物とMYを反応させて、式(V):
【化13】

〔式中、Mはアルカリ金属であり、そしてYは塩基性対イオンである。〕
の化合物を形成させる付加的工程をさらに含む、請求項16または18から22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
金属MがNaである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
YがOHである、請求項23または24記載の方法。
【請求項27】
化合物(V)が水和物である、請求項23から25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
YがNaOHである、請求項23から26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
mが1である、請求項9から27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
がクロロである、請求項9から28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
が5位にある、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
全Rおよび全Rが水素である、請求項9から30のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
nが6である、請求項9から31のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
nが6であり、そして各CRがCHである、請求項9から30のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
式(IV.II)の化合物がN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸である、請求項16または18から33のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
ブロマイドイオン源がアルカリ金属臭素塩、MBrである、請求項1から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
アルカリ金属MがNaである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
弱有機塩基が実質的に水不溶性である、請求項9から36のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
弱有機塩基がアルキル−置換ピリジンである、請求項9から37のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
弱有機塩基が5−エチル−2−メチル−ピリジンである、請求項38記載の方法。
【請求項41】
クロロギ酸エステルがクロロギ酸エチルである、請求項9から39のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
工程(i)を酢酸アルキルの存在下で行う、請求項9から40のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
工程(i)を2相系で行い、該相が各々水および有機溶媒を含む、請求項9から41のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
有機溶媒が酢酸アルキルである、請求項42記載の方法。
【請求項45】
酢酸アルキルが酢酸ブチルである、請求項43記載の方法。
【請求項46】
付加的工程をアセトン/水混合物中で行う、請求項23または請求項23に従属しているとき24から44のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
アセトン:水比が約3:1である、請求項45記載の方法。
【請求項48】
式(IV)の化合物が2.2%未満の二酸副産物を含む、請求項9から46のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
式(IV.II)の化合物が2.2%未満の二酸副産物を含む、請求項16、18またはそれらに従属しているときの請求項1から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
式(V)の化合物が2.2%未満の二酸副産物を含む、請求項23または請求項23に従属しているとき24から46のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
式(IV.II)の化合物が化合物:
【化14】

である、請求項16、18またはそれらに従属しているときの請求項1から48のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
式(V)の化合物が化合物:
【化15】

である、請求項23または請求項23に従属しているとき24から49のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
式(IV.II)の化合物を医薬製剤に製剤する工程をさらに含み、該医薬製剤がさらに少なくとも1種の活性成分を含む、請求項16または18またはそれらに従属しているときの請求項1から48のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
式(IVA)の化合物を医薬製剤に製剤する工程をさらに含み、該医薬製剤がさらに少なくとも1種の活性成分を有する、請求項50記載の方法。
【請求項55】
式(V)の化合物の化合物を医薬製剤に製剤する工程をさらに含み、該医薬製剤がさらに少なくとも1種の活性成分を有する、請求項23またはそれに従属しているいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項56】
式(VA)の化合物を医薬製剤に製剤する工程をさらに含み、該医薬製剤がさらに少なくとも1種の活性成分を有する、請求項51記載の方法。
【請求項57】
微量のNaBrおよび/またはECOを含む、式(IV)、(IV.II)、(IVA)、(V)または(VA)の化合物。
【請求項58】
NaBrおよび/またはECOを不純物として含む、化合物N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)。
【請求項59】
NaBrおよび/またはECOを不純物として含む、化合物N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)二ナトリウム一水和物。
【請求項60】
薬学的、生理学的、薬理学的または放射線学的活性剤を温血動物体内の標的に送達するための、請求項1から54のいずれかに記載の方法で得られる式(IV)、(IV.II)、(IVA)、(VA)または(V)の化合物の使用。
【請求項61】
請求項1から54のいずれかの方法により得られる式(IV)、(IVA)、(V)または(VA)の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項62】
実施例に実質的に記載の通りの方法。

【公表番号】特表2008−524142(P2008−524142A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545942(P2007−545942)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013454
【国際公開番号】WO2006/063821
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】