説明

NFA回路

【課題】検索パターン長・検索ルール数が増加しても、高速かつ低消費電力にてパケット中の文字列を検索可能なNFA回路を実現する。
【解決手段】NFA回路は、文字列比較器102〜104、フリップフロップ105〜108、論理積回路109〜111、ゲーテッドバッファ112〜114を含み、入力データ端子101に正規表現/abc/で表される文字列が含まれているかを検出する。文字「a」がマッチした場合、フリップフロップ106は比較結果「1」を保持する。フリップフロップ106の出力が「1」の場合にのみ、入力データが2段目の文字列比較器103に入力される。次のクロックタイミングで、入力データが「b」にマッチした場合、「1」がフリップフロップ107に保持される。前段と同様に、フリップフロップ107の出力が「1」の場合にのみ、ゲーテッドバッファ114がON状態となり、文字列比較器104が動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された文字列に対してパターンマッチングを行うハードウェアエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
負荷分散、QoS(Quality of Service)制御、セキュリティといったサービスの高度化に伴い、ネットワーク上のパケットを高速に制御する技術が求められている。このような高速パケット制御を実現するためのキー技術の一つに、パケットのヘッダ部分だけでなく、ペイロード部分の情報を高速に検索するDeep Packet Inspection (DPI)技術がある。DPIを実現するために、これまでは検索ルールをメモリ上に配置し、汎用CPUを用いて検索を行う方式を用いていたが、メモリへのアクセス性能がボトルネックとなり、高速な検索を行うことができなかった。
【0003】
この問題を解決する技術として、非決定性有限オートマトン(NFA:Nondeterministic Finite Automaton)をハードウェアに実装することで高速な文字列検索を実現するNFA型ハードウェアエンジン回路(以下、NFA回路と呼ぶ)がある。NFA回路はステートマシンの各ステートが文字比較回路を備えた構成となっており、各ステート間を適切に接続することで期待する文字列検索が実現される。
【0004】
図6にNFA回路の一例を示す。このNFA回路は入力データ端子601、文字列比較器602〜604、フリップフロップ605〜608、論理積(AND)回路609〜611、検索結果出力端子612で構成される。
【0005】
ここでは、入力データ端子601に正規表現/abc/で表される文字列、すなわち連続した文字列「abc」が存在するか否かを検出するものとする。入力された8bitのデータが文字列比較器602において文字「a」にマッチした場合、フリップフロップ606は文字列比較器602の比較結果「1」(HIGH:ハイレベル)を保持する。次のタイミングで入力されたデータが文字列比較器603において文字「b」にマッチした場合は、文字列比較器603の出力「1」と前段の文字「a」に対する比較結果「1」との論理和「1」がフリップフロップ607に保持される。さらに次のタイミングで入力されたデータが文字列比較器604において文字「c」にマッチすると、文字列比較器604の出力「1」と前段からの入力「1」との論理和「1」がフリップフロップ608に保持され、検索結果出力端子612に検索結果が得られる。
【0006】
このような仕組みにより、連続した文字列「abc」という信号が入力された場合にのみ検索結果出力端子612の検索結果が「1」となるため、目的とする文字列の検索が実現できる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−142767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ネットワークノードの増加やサービスの高度化に伴って検索パターン長・検索ルール数が増えると、それに伴ってNFAの回路規模が増加し、消費電力の増大や動作速度の劣化が問題となる。
【0009】
本発明は、検索パターン長・検索ルール数が増加しても、高速かつ低消費電力にてパケット中の文字列を検索可能なNFA回路を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様によるNFA回路は、NFA型ハードウェアエンジン回路として実現され、論理積で互いに縦列接続される複数の回路ブロックのうち一部の回路ブロックを、該当回路ブロックより前の段の回路ブロックの状態に応じて選択的に停止させる構成を持つことを特徴とする。
【0011】
本発明の態様によるNFA型ハードウェアエンジン回路の好ましい例を挙げると以下の通りである。
【0012】
回路ブロックの停止が該当回路ブロックに含まれる文字列比較器への入力信号の入力を制御することで行われるNFA型ハードウェアエンジン回路。
【0013】
回路ブロックの停止が該当回路ブロックに含まれるフリップフロップにクロック信号を供給するクロックバッファを制御することで行われるNFA型ハードウェアエンジン回路。
【0014】
回路ブロックの停止が該当回路ブロックに電源を供給する電源スイッチを制御することで行われることを特徴とするNFA型ハードウェアエンジン回路。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるNFA回路は、論理積で互いに縦列接続される複数の回路ブロックのうち一部の回路ブロックを、該当回路ブロックより前の段の回路ブロックの状態に応じて選択的に停止させることで、検索パターン長・検索ルール数が増加しても、高速かつ低消費電力でパケット中の文字列を検索可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例によるNFA回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例によるNFA回路を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施例によるNFA回路を示すブロック図である。
【図4】図3に示したNFA回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第4の実施例によるNFA回路を示すブロック図である。
【図6】これまでのNFA回路の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例]
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施例によるNFA回路を示すブロック図である。第1の実施例にかかるNFA回路は入力データ端子101、文字列比較器102〜104、フリップフロップ105〜108、論理積(AND)回路109〜111、ゲーテッドバッファ112〜114、検索結果出力端子115で構成される。図1のNFA回路は、説明を簡単にするために、最小限の段数の文字列比較器による構成を示しているにすぎず、これは以降で説明される第2の実施例以降も同様である。
【0019】
ここでは、入力データ端子101からの入力データに正規表現/abc/で表される文字列が含まれているかを検出するものとする。
【0020】
ここで、文字「c」に着目すると、入力データが文字列「ab」にマッチするまで、入力データと文字「c」を比較する回路動作は不要である。また文字「b」に着目すると、文字「a」にマッチするまで、入力データと文字「b」を比較する回路動作は不要である。つまり、論理積(AND)で接続される前段の回路ブロックの状態に応じて回路動作を制御することで、不要な回路動作を停止し、回路の消費電力を低減することが可能になる。
【0021】
このような回路動作を実現するために、第1の実施例にかかるNFA回路は、縦列接続された第1〜第3の文字列検出回路(回路ブロック)100−1〜100−3を備え、第2、第3の文字列検出回路100−2、100−3の回路動作をそれぞれ第1、第2の文字列検出回路100−1、100−2の検出結果に応じて制御するようにしている。第1の文字列検出回路100−1について言えば、入力データが入力されるゲーテッドバッファ112、その出力を入力とする「a」用の文字列比較器102、文字列比較器102の比較結果とフリップフロップ105の出力をAND入力とする論理積回路109、その出力を保持するフリップフロップ106から成る。ゲーテッドバッファ112は、その制御端子に接続された前段の出力、ここではフリップフロップ105の出力レベルが「1」の時にON状態となり、入力データを文字列比較器102に与える。
【0022】
第2の文字列検出回路100−2は、ゲーテッドバッファ113の制御端子に前段の出力として第1の文字列検出回路100−1の出力が入力される点を除いて第1の文字列検出回路100−1と同様の構成を持つ。すなわち、入力データが入力されるゲーテッドバッファ113、その出力を入力とする「b」用の文字列比較器103、文字列比較器103の比較結果と前段のフリップフロップ106の出力をAND入力とする論理積回路110、その出力を保持するフリップフロップ107から成る。ゲーテッドバッファ113は、その制御端子に接続された前段の出力、ここではフリップフロップ106の出力レベルが「1」の時にON状態となり、入力データを文字列比較器103に与える。
【0023】
第3の文字列検出回路100−3は、ゲーテッドバッファ114の制御端子に前段の出力として第2の文字列検出回路100−2の出力が入力される点を除いて第1の文字列検出回路100−1と同様の構成を持つ。
【0024】
なお、図1の回路では、各フリップフロップのクロック端子に与えられるクロックの配線は図示を省略している。これは、後述される図2、図5の回路でも同様である。
【0025】
第1の実施例にかかるNFA回路では、フリップフロップ105から論理積回路109の一方の入力及びゲーテッドバッファ112の制御端子に出力レベル「1」が与えられており、まず、入力された8bitデータが文字列比較器102において文字「a」としてマッチした場合、文字列比較器102は出力レベル「1」を出力することにより、フリップフロップ106は比較結果「1」(HIGH)を保持する。
【0026】
フリップフロップ106の出力は第2の文字列検出回路100−2におけるゲーテッドバッファ113の制御端子に入力される。フリップフロップ106の出力がHIGHの場合にのみ、ゲーテッドバッファ113はON状態となり、入力データ101が文字列比較器103に入力される。次のクロックタイミングで、文字列比較器103で入力データが「b」にマッチした場合、文字列比較器103の出力とフリップフロップ106の出力との論理積である「1」(HIGH)がフリップフロップ107に保持される。
【0027】
第3の文字列検出回路100−3においては、第2の文字列検出回路100−2と同様に、フリップフロップ107の出力がHIGHの場合にのみ、ゲーテッドバッファ114がON状態となり、文字列比較器104が動作する。このような仕組みにより、フリップフロップ106/107の出力がHIGHの時にのみ文字列比較器103/104は動作可能となる。
【0028】
例えば、「an apple」といった文字が順番に入力された場合は、下線で示すタイミングでのみ文字列比較器103は動作し、文字列比較器104は全く動作しない。仮に、入力される文字を「a」、「b」、「c」に限定し、3文字のうちいずれかがランダムに入力される場合(例:acbbcacacabcccabca…)を想定すると、「a」、「b」、「c」3つの文字列比較器の動作率は、第1の実施例の制御を行わない場合と比較して、全体で約1/2に低減される。
【0029】
図2は本発明の第2の実施例を示すブロック図である。第2の実施例にかかるNFA回路は入力データ端子201、文字列比較器202〜204、フリップフロップ205〜208、論理積(AND)回路209〜211、論理和(OR)回路212、ゲーテッドバッファ213、214、検索結果出力端子215で構成されている。ここでは、入力データ端子201からの入力データに、正規表現/a(b|c)/で表される文字列が含まれているかを検出するものとする。
【0030】
このために、第2の実施例によるNFA回路は、第1の実施例における第2、第3の文字列検出回路が1つの文字列検出ブロック200−2にまとめられてなる。フリップフロップ205と文字列検出回路200−1は、第1の実施例におけるフリップフロップ105と文字列検出回路100−1と同じである。
【0031】
一方、文字列検出ブロック200−2においては、前段の出力、すなわち第1の文字列検出回路200−1におけるフリップフロップ206の出力がゲーテッドバッファ214の制御端子に与えられ、ゲーテッドバッファ214の出力が「b」用(第2)の文字列比較器203、「c」用(第3)の文字列比較器204のそれぞれに与えられるように接続構成されている。加えて、「b」用の文字列検出回路における論理積回路210には、第1の実施例と同様、第1の文字列検出回路200−1におけるフリップフロップ206の出力と「b」用の文字列比較器203の出力が入力されるが、以下の接続構成が異なる。すなわち、「b」用の文字列検出回路におけるフリップフロップ207の出力を次段の「c」用の文字列検出回路における論理積回路211の一方の入力ではなく、「c」用の文字列検出回路におけるフリップフロップ208の出力を一方の入力とする2入力論理和回路212の他方の入力に与えるように接続構成されている。代わりに、「c」用の文字列検出回路における論理積回路211の一方の入力には、論理積回路210と同様に、第1の文字列検出回路200−1の出力を与えるように接続構成されている。論理積回路211の他方の入力は「c」用の文字列比較器204の出力である。また、論理和回路212の出力は検索結果出力端子215に接続されている。
【0032】
以上のような構成による第2の実施例では、入力された8bitデータが文字列比較器202において文字「a」とマッチした場合、フリップフロップ206は比較結果「1」(HIGH)を保持する。フリップフロップ206の出力はゲーテッドバッファ214の制御端子に入力されているので、フリップフロップ206の出力がHIGHの場合にのみ、ゲーテッドバッファ214はON状態となり、文字列入力データが文字列比較器203及び文字列比較器204に入力される。このような仕組みにより、入力データが文字「a」とマッチして、フリップフロップ206の出力がHIGHになった時にのみ、文字列比較器203及び文字列比較器204は動作可能となる。これにより、文字列比較器203、204の動作率は、第2の実施例の制御を行わない場合と比較して低減される。
【0033】
図3は本発明の第3の実施例を示すブロック図である。第3の実施例にかかるNFA回路は、入力データ端子301、文字列比較器302〜304、フリップフロップ305〜308、論理積(AND)回路309〜311、論理和(OR)回路312、クロック入力端子313、ゲーテッドバッファ314、315、クロック制御回路316、検索結果出力端子317で構成されている。ここでも、入力データ端子301からの入力データに、正規表現/a(b|c)/で表される文字列が含まれているかを検出するものとする。
【0034】
図3では、第1、第2の実施例では簡便のため図示を省略したクロック配線及びクロックバッファの一部が明示されている。
【0035】
第3の実施例によるNFA回路は、第2の実施例と同様に、第1の実施例における第2、第3の文字列検出回路が1つの文字列検出ブロック300−2にまとめられてなる。フリップフロップ305は、第1の実施例におけるフリップフロップ105と同じであるが、文字列検出回路300−1においては、入力データ端子301からの入力データが直接、文字列比較器302に入力される。また、ゲーテッドバッファ314は、クロック入力端子313とフリップフロップ306のクロック端子の間に接続され、フリップフロップ305の出力が制御端子に与えられることにより、フリップフロップ306に対するクロック入力端子313からのクロックをON,OFFする手段として作用する。
【0036】
クロック入力端子313はまた、共通のゲーテッドバッファ315を経由して第2の文字列検出回路におけるフリップフロップ307、第3の文字列検出回路におけるフリップフロップ307に接続されている。ゲーテッドバッファ315は、その制御端子に、クロック制御回路316を介して第1の文字列検出回路300−1におけるフリップフロップ306の出力が入力される。このことから、ゲーテッドバッファ314、315は、クロックバッファと呼ばれても良い。
【0037】
第2の文字列検出回路における「b」用(第2)の文字列比較器303、第3の文字列検出回路における「c」用(第3)の文字列比較器304にはそれぞれ、入力データ端子301からの入力データが直接、入力される。「b」用の文字列検出回路における論理積回路310には、第2の実施例と同様、第1の文字列検出回路300−1におけるフリップフロップ306の出力と「b」用の文字列比較器303の出力が入力される。また、「b」用の文字列検出回路におけるフリップフロップ307の出力が、「c」用の文字列検出回路におけるフリップフロップ308の出力を一方の入力とする2入力論理和回路312の他方の入力に与えるように接続構成されている。「c」用の文字列検出回路における論理積回路311の一方の入力には、論理積回路310と同様に、第1の文字列検出回路300−1の出力を与えるように接続構成されている。論理積回路311の他方の入力は「c」用の文字列比較器204の出力である。また、論理和回路312の出力は検索結果出力端子317に接続されている。
【0038】
このような接続構成による第3の実施例のNFA回路のタイミングチャートを図4に示す。入力された8bitデータが文字列比較器314において文字「a」がマッチした場合、ゲーテッドバッファ314がフリップフロップ305の出力でON状態にあるので、フリップフロップ306はクロック入力端子313からのクロックの立ち上がりタイミングで比較結果「1」(HIGH)を保持する。フリップフロップ306の出力はゲーテッドバッファ315の動作を制御するクロック制御回路316に入力される。クロック制御回路316はフリップフロップ306の出力がHIGH状態にある時クロック入力端子313からのクロックの立下りタイミングで動作し、フリップフロップ306の出力がHIGHに変化した後クロック制御回路316の出力HIGHでゲーテッドバッファ315が導通状態になってフリップフロップ307、308にクロックを入力させる。一方、フリップフロップ306が2クロック区間連続してLOW(「0」)を出力した場合、クロック制御回路316はゲーテッドバッファ315の動作を停止する。
【0039】
このような仕組みにより、入力データ端子301からの入力データが文字「a」とマッチして、文字「b|c」検出回路ブロック300−2の動作が必要な場合にのみ、クロック入力端子313からのクロックがフリップフロップ307及びフリップフロップ308に供給される。一方、回路動作が不要なタイミングでは、フリップフロップ307、308及びゲーテッドバッファ315が動作を停止する。
【0040】
図5は本発明の第4の実施例を示すブロック図である。第4の実施例にかかるNFA回路は、入力データ端子501、文字列比較器502〜504、フリップフロップ505〜508、論理積(AND)回路509〜511、電源スイッチ制御回路512、電源スイッチ513、検索結果出力端子514で構成されている。ここでは、入力データ端子501からの入力データに正規表現/abc/で表される文字列が含まれているかを検出するものとする。
【0041】
第4の実施例によるNFA回路は、第1(「a」用)、第2(「b」用)、第3(「c」用)の文字列検出回路500−1、500−2、500−3を備え、それぞれの文字列比較器502、503、504に直接、入力データ端子501が接続されている。第1、第2の実施例と同様、クロック系統の配線については図示を省略している。
【0042】
フリップフロップ505は、第1の実施例におけるフリップフロップ105と同じであるが、文字列検出回路500−1においては、入力データ端子501からの入力データが直接、文字列比較器502に入力される。フリップフロップ505の出力と文字列比較器502の出力が論理積回路509に入力され、論理積回路509の出力はフリップフロップ506で保持される。同様にして、文字列検出回路500−2においては、入力データ端子501からの入力データが直接、文字列比較器503に入力され、フリップフロップ506の出力と文字列比較器503の出力が論理積回路510に入力され、論理積回路510の出力はフリップフロップ507で保持される。文字列検出回路500−3においても、入力データ端子501からの入力データが直接、文字列比較器504に入力され、フリップフロップ507の出力と文字列比較器504の出力が論理積回路511に入力され、論理積回路511の出力はフリップフロップ508で保持される。フリップフロップ508の出力は検索結果出力端子514に接続されている。
【0043】
第4の実施例においては、第3(「c」用)の文字列検出回路500−3と電源Vddの間に文字列検出回路500−3の動作を規定する電源スイッチ513が設けられ、この電源スイッチ513のON、OFF制御を、第1(「a」用)の文字列検出回路500−1におけるフリップフロップ506の出力を入力とする電源スイッチ制御回路512で行なうように接続構成されている。なお、図示は省略しているが、第1、第2の文字列検出回路にも電源Vddが接続されていることは言うまでも無い。これは、前述した第1〜第3の実施例でも同様である。
【0044】
第4の実施例では、入力された8bitデータが文字列比較器502において文字「a」がマッチした場合、フリップフロップ505の出力がHIGH状態にあるので、論理積回路509の2つの入力がHIGH状態になり、フリップフロップ506は比較結果「1」(HIGH)を保持する。フリップフロップ506の出力は第2の文字列検出回路500−2に加えて、電源スイッチ513のON/OFFを制御する電源スイッチ制御回路512に入力されている。それゆえ、フリップフロップ506の出力がHIGHに変化すると、電源スイッチ制御回路512は電源スイッチ513をONにし、第3(「c」用)の文字列検出回路500−3に電源を供給する。一方、フリップフロップ506が2クロック区間連続してLOW(「0」)を出力した場合、電源スイッチ制御回路512は電源スイッチ513をOFFにして第3の文字列検出回路500−3の動作を停止する。
【0045】
このような仕組みにより、回路動作が不要なタイミングで、第3の文字列検出回路500−3は動作を停止する。
【0046】
第3の文字列検出回路500−3に対する制御を第2の文字列検出回路500−2におけるフリップフロップ507の出力を基に行うことも可能であるが、一般に電源スイッチによる電源の制御はON/OFFを完了するまでに比較的長い時間を要するため、動作タイミングの検出は直前のデータではなく、それ以前のデータを用いて十分な余裕を持って行うことが好ましい。
【0047】
以上説明した、本発明の実施例によれば、論理積で互いに縦列接続される複数の回路ブロック(あるいは回路)のうち一部の回路ブロックを、該当回路ブロックの前段の回路ブロックの状態に応じて選択的に停止させることで、検索パターン長・検索ルール数が増加しても、高速かつ低消費電力でパケット中の文字列を検索可能であるという効果が得られる。
【0048】
なお、前にも説明した通り、第1〜第4の実施例のいずれも、説明を簡単にするために3つの文字列について例示したが、文字列の文字数に応じて文字数に対応した文字列検出回路が縦列接続される構成となることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0049】
101、201、301、501 入力データ端子
102〜104、202〜204、302〜304、502〜504 文字列比較器
105〜108、205〜208、305〜308、505〜508 フリップフロップ
109〜111、209〜211、309〜311、509〜511 論理積回路
112〜114、213、214、314、315 ゲーテッドバッファ
115、215、317、514 検索結果出力端子
212、312 論理和回路
313 クロック入力端子
316 クロック制御回路
512 電源スイッチ制御回路
513 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理積で互いに縦列接続される複数の回路ブロックのうち一部の回路ブロックを、該当回路ブロックより前の段の回路ブロックの状態に応じて選択的に停止させる構成を持つことを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項2】
請求項1に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、回路ブロックの停止が該当回路ブロックに含まれる文字列比較器への入力信号の入力を制御することで行われることを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項3】
請求項2に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、複数の回路ブロックはそれぞれ文字列比較器とその比較結果を保持するフリップフロップを含み、文字列比較器にはゲーテッドバッファを介して入力信号を入力するようにし、該当ゲーテッドバッファを該当回路ブロックの前段のフリップフロップの出力で制御する構成としたことを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項4】
請求項2に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、複数の回路ブロックはそれぞれ文字列比較器とその比較結果を保持するフリップフロップを含み、2段目以降の連続する複数段の文字列比較器に、共通のゲーテッドバッファを介して入力信号を入力するようにし、該共通のゲーテッドバッファのON、OFFを、前記連続する複数段の最初の段の前段のフリップフロップの出力で制御する構成としたことを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項5】
請求項1に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、回路ブロックの停止が該当回路ブロックに含まれるフリップフロップにクロック信号を供給するクロックバッファを制御することで行われることを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項6】
請求項5に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、複数の回路ブロックはそれぞれ文字列比較器とその比較結果を保持するフリップフロップを含み、2段目以降の連続する複数段のフリップフロップのクロック端子に、共通のクロックバッファを介してクロックを入力するようにし、該共通のクロックバッファのON、OFFを、前記連続する複数段の最初の段の前段のフリップフロップの出力で制御する構成としたことを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項7】
請求項1に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、回路ブロックの停止が該当回路ブロックに電源を供給する電源スイッチを制御することで行われることを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。
【請求項8】
請求項7に記載の非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路において、複数の回路ブロックはそれぞれ文字列比較器とその比較結果を保持するフリップフロップを含み、3段目以降の少なくとも1つの回路ブロックについては前記電源スイッチを介して動作用の電源を接続し、該当電源スイッチのON、OFFを、前記少なくとも1つの回路ブロックの最初の段の前々段あるいは前段のフリップフロップの出力で制御する構成としたことを特徴とする非決定性有限オートマトン型ハードウェアエンジン回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−96075(P2011−96075A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250625(P2009−250625)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】