説明

NMR装置用の最適化されたチャネルコントローラ

【課題】デバイス指示が処理される最大持続速度を、外部デバイスへの最大書き込み速度へ近づける。
【解決手段】極めて長いイベント・ストリームに応じて正確に同期化された状態列を前提とする装置用のコントローラ。このコントローラは、バスからイベント記述子及びパラメータを受け取るための複数個のラッチレジスタを具備するレジスタレイヤと、前記パラメータのあるものに対して又はそれらのパラメータ間で処理を行い、外部動作デバイスに渡すための演算/論理レイヤとを備えた構造において実現される。周波数、パルス幅、及び振幅を磁場共鳴用途のために正確なタイミングで制御するRFコントローラがその一例であり、別の例としてベクトルの大きさ及び方向を制御するための磁場勾配コントローラがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として磁場(磁気)共鳴装置の分野に在り、特にこの様な磁場共鳴装置の時間に敏感な機能の効率的制御に関する。
【背景技術】
【0002】
タイミングを正確に調整したイベント・ストリームを生成し、維持することを必要とする機器用途は多い。例えば、周波数アジャイル型レーダ、任意高周波(RF)発生、パルス磁場源、NMRスペクトロメータやMRI撮像装置等のタイムドメイン(時間領域)機器等である。この様な装置は即時的な意味合いで、明確に定義された「状態」にあると言える。一方、状態は、この様な装置の独立変数それぞれの量的状態によって記述される。単純な例として、N個の周波数成分から所期の波形を生成するよう動作しているRFシンセサイザは、振幅、位相、状態持続期間、及びおそらく(3N+2)個の変数のための波形繰り返し率のそれぞれ対応する値を用いてその周波数成分を特定し、それによって状態を特定することができる。RF波形はまた、形状または時間依存性について制御可能であるが、それによって更なる演算負荷が生じる。これらのパラメータは反復されて、その結果、一部が変化するか、循環的に反復されるかなどして、所望の処理動作を実現する。状態のシリアルストリームをアセンブルし、そのストリームを装置内の数個の下位デバイスに供給するモジュールを、ここではコントローラと言う。
【0003】
NMRデバイスにおいてコントローラの処理動作対象となる別の時間に敏感な機能は磁場勾配の管理である。k個の空間座標それぞれにおいて、磁場勾配は∂Bz/∂X(k)(t) (つまり、時間プロファイルまたは形状)、この量をゲート「オン」する時期及び持続期間によって特定される。この場合にも、即時の縦軸値を配列することによってベクトル勾配パルスの時間依存性を選択可能としてもよく、その結果得られるベクトルの方向はその成分のベクトル和から定まるが、そのいずれもが対応するコントローラによって生成される。
【0004】
ごく初期の頃、コントロール機能はデジタルプロセッサで割り込み起動に基づき実施されていた。プロセッサでは、装置の処理動作に必要な複数個のタスクに、レベルの異なる優先順位が割り当てられていた。プロセッサは、比較的優先順位の低いタスクを実行している間でも、より優先順位の高いタスク、例えばNMR機器等の装置を具備するモジュールの状態制御等のタスクを起動するための割り込みを受けつけた。NMR機器の場合、様々な性質の多重RFパルスの形態を取るRF励起、磁場勾配、データ収集、様々な状態と他の動作パラメータとの間の正確な遅延、及び論理値が全て、メモリから呼び込まれ、適当なコマンドバッファに提示すべき即時の状態を定義する。この一般的な従来技術構造におけるプロセッサは、割り込み構成により、これら比較的優先順位の高い機能の間により優先順位の低いタスクを挿入することが可能である。これはソフト側にとってはかなり複雑で扱いにくい処理となる。このような従来構造の代表的具体例として、バリアン社が「Unity」という商標名で製造しているNMR機器がある。
【0005】
従来技術が更に発展すると、別のホストプロセッサと交信するコントローラプロセッサは、装置の状態を配列(シーケンス)する際、はるかに優れた同期性を示すようになった。ホストプロセッサは高度な動作処理を行うが、その中には、NMRパルス列を連続的時間増分において定義するパラメータ値によってそのパルス列を記述すること(及びその後に収集処理動作を行うこと)等が含まれる。ホストは現在の処理動作に関する情報を、RF電力及び磁場勾配の物理的状態列を設定するよう動作している(出力)コントローラプロセッサと交信中のバスに与える。このリソース分割によってRF電源、送信/受信スイッチ、及び傾斜磁場電源の同期処理動作と、ホストの時間が重要(タイムクリティカル)でない処理動作とが分けられる。
【0006】
図2aに示す従来技術によるコントローラは基本的な命令を、ホストコンピュータ34からバスインターフェース92を通じてコントローラメモリ94に得る。状態機械(ステートマシーン;スタッファ)96は選択制御されているデバイス101、102と対応付けられたパラメータ値と、装置の状態に影響を与える全ての制御可能なデバイスのパラメータ値によって定義される装置のマクロ状態と対応づけるべき持続期間とをアセンブルする。この三種類のデータ(デバイス、パラメータ値、期間)が、上記様々な制御可能デバイスに連続的に与えられる(詰め込まれる)。
【0007】
図2aの従来技術によるコントローラ機能は、デバイス選択、持続期間、及びパラメータ値を、装置の状態を決定する制御可能デバイスと共有されている出力バス100に与える。その結果、多重パラメータ変化によって対応する多重デバイス選択命令が必要となるため、システムの状態が変更される速度は、はっきりと制限される。デバイス101、102等が以前に設定された個々のパラメータ値を保持する場合(つまり、NRZ型デバイス)、これらの値の変更だけバスを通過させればよいということになり、よってこのタイプのコンロトローラは究極的にメモリ効率の基準と見なされる。
【0008】
図2bは従来技術による進歩したコントローラ装置を示し、その構造は、制御されているデバイスが全て、非同期/同期バッファ98の出力からの独立制御信号によって、並列にアドレス指定されている点以外は図2aに示されている構造と同様である。バッファ98は好ましくはFIFOデバイスであり、バッファのコンテントの(内部)クロック制御はバッファワードのフィールドに由来し、この時間データが状態の持続期間を決定する。このFIFO98または同等のデバイスは、非同期イベント・ストリームから物理的状態の同期列への変換実行に対応している。このFIFOはシステム状態を即時に定義するに足る幅(FIFOワード)を有する。FIFOはまた深さ、すなわち対応する状態の持続期間を含む、連続した状態の前方向の記憶を有する。FIFOにアンダーフロー状態、及び同様にオーバーフロー状態が起こるのを防ぐような速度で、状態をFIFOに書き込むことも、プロセッサ96の主要な機能の一つである。FIFOステータスはFIFOワード内で特定された状態持続期間に依存し、この様にしてプロセッサ96の活動から独立を保っている。この様な、セルフクロック式FIFOバッファは下記特許文献1及び下記特許文献2の主題であり、どちらの特許も共通の譲受人に譲渡されている。その結果、制御されているデバイスのアドレス指定をそれぞれ個別に行うことにより速度が制限される局面は解消される。こうしてバッファ98は、各デバイスにそのパラメータ値を伝達するため実質的により幅の広いバッファワードを収容しなければならなくなったにもかかわらず、状態持続期間の方はバッファ出力から直接制御されている。メモリ94には、もっと微妙な制約が課される。制御されているデバイスが全て所期のパラメータ値に設定されるため、メモリ94は装置の連続する状態それぞれの全定義を収容しなければならない。磁場共鳴システムでは、測定用のイベント・ストリームのため、約108ワードもバッファ98から書き込む必要がある。このワード・ストリームはメモリ94を通過するため、メモリのサイズ及び速度に多大な要求が課される。メモリにこの様な制約が課されているにもかかわらず、このタイプの従来技術が速度の基準となっている。
【0009】
従来技術の更なる進歩により、図2cに示すような高機能(インテリジェント)プロセッサ97がステートマシーンスタッファ96に取って代わった。記憶されたデータから必要な状態定義のストリームを生成するためのデータ、演算、またはそれらを組み合わせたものがプロセッサ97によって処理され、完全にアセンブルされた状態記述がFIFO98に与えられる。プロセッサ97が数個の機能、つまりバスからバッファされたデータをアンロードする機能、必要とされる可能性のある演算により(状態変化のみがバスで伝えらる、状態のマスキング及びアップデーティングや、次の状態生成時の参照用に現在アップデートされた状態を記憶すること等を含む)状態を再アセンブルする機能、並びにFIFO98への出力を管理して動作処理が早すぎたり遅すぎたりするのを防ぐ機能を果たしていることを認識することは重要である。演算負荷やデータ管理負荷はそれぞれ、従来技術によるシステムが遭遇してきた、メモリ容量及び転送速度の両方に過大な負担を与える極限状況を引き起こす。従来技術の一例は、Chemagnetics社が「Infinity」の商標名で製造しているNMR機器である。
【0010】
現代のフーリエ変換NMR機器は、磁場中の感応容積の即時のRF属性及び磁気属性に影響を与える複雑な指令群を実行する。感応容積は分析調調査用に検査される物質または物体を含んでいてもよく、その内容積は磁場共鳴現象を利用することによって撮像される。例えば、種々の測定技法でRF位相、RFパルス波形、及びRF振幅の正確な制御や、機器の感応容積の内容物に適用されるような、異なる位相角度での正確な位相サイクリングが必要とされている。磁場勾配パルスを感応容積に適用することを必要とする測定技術は数多く、また位相、形状、方向、及び振幅にも同様の要求が課されている。勾配は、独立した制御装置群を必要とする磁気成分及び空間依存性において独立していてもよい。これらのパラメータの即時の明細がコントローラの出力状態を表している。状態列によって磁場共鳴測定の調整法が規定される。分光データの収集は、正確な相対的タイミングで始まる、機器の別の状態を示している。
【0011】
今日のNMR機器の機能的要求の現実的な明細には、状態を記述するパラメータに必要とされる精度、必要とされるゲーティング指示、並びに関連する時間間隔及びデータ速度等が含まれる。表1はRFコントローラに求められる好ましい精度をまとめたものであり、表2は一般的なNMR装置に用いられるベクトルコントローラに求められる精度を同様にまとめたものである。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】
極めて高速なクロック制御を特徴とする任意のコントローラが、正確な時間尺度上で機器の状態を配列する(並べる)要求を満たすことができることがわかる。装置の実質的な限界は、達成される可能性のあるものの限界ではなく、むしろ機器の機能に対する要求である。観察対象としての物理的現象(NMRスペクトルまたは画像)は第一に、線幅、化学シフト、J結合等として明らかになり、通常約5MHzのバンド幅で表される。MRIは空間分解能及びダイナミックレンジを重視した空間分布を伝え、通常2乃至5MHzのバンド幅を消費する。20MHzのバンド幅が要求されると仮定して、装置の機器状態のタイムアラインメントの基本単位として、例えば50nsを提示する。表1が示す通り、状態記述に70ビットが必要となる。基本状態持続期間が50nsであるとすると、システムは1400Mbits/secの転送速度で状態供給を行わねばならない。現代のプロセッサはこの程度のクロック制御周波数で動作するものの、この仮定的な1400Mbits/secは「転送」速度であることを認識する必要がある。NMR装置の連続する状態は、生成され(演算処理されるかメモリから呼び込まれ)、更新(スケーリング、位相サイクリング、ベクトル回転等)されなければならず、これらの生成及び更新処理は、機器面及び/又は演算面においても集中的なものであり、その結果、装置を制御する物理的状態の漸進的変化速度が制限を受ける。
【0015】
現在市販されているNMRシステムの代表は、バリアン社製INOVA(商標)で、これは最小時間分解状態持続期間が100nsであることを特徴とする。このシステムのために、2個の同期RFモジュールが合計60ビットを転送する。これは転送速度が約600MHzであることを示しているが、一方制御プロセッサの動作速度は160MHzである。この速度の落差またはギャップが極めて大規模のバッファ(やはりこの様な用途には制限がある)によって吸収される。
【0016】
他の従来技術例は、下記特許文献3に開示されている波形コントローラ/シンセサイザである。
【特許文献1】米国特許第4,191,919号明細書
【特許文献2】米国特許第4,375,676号明細書
【特許文献3】米国特許第4,707,797号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記説明において指摘した様に、中程度に複雑なNMR測定でも、数十億もの明確に定義された機器の状態が推移することが必要とされる。持続状態漸進的変化速度と制御プロセッサの転送速度との大きなギャップという制約の元で、このギャップを縮めるには、極めて大量のバッファリングは経済的に非実用的である。
設計原理の問題点は、高速プロセッサで駆動される機器システムはいずれも、有限の書き込み速度Ωと有限の読み出し(または漸進的変化)速度ρとを有するという観察に集約される。NMR利用の最初期の従来技術では、機器の処理速度に課せられる要求は最小限であった。より高い共鳴周波数及び即時の状態を、より複雑に記述することが求められるようになるに従い、状態漸進的変化速度が状態データをハードウェアに与える速度を上回る超過分を減少させるために、様々な方式が実施されてきた。状態列を生成し、これらの状態を出力装置に対してフォーマットするということは、相当な演算負荷が課せられることを意味しており、この負荷を軽減する方策を採ることが望ましい。この様に認識可能な演算負荷に加えて、演算されたパラメータを状態記述子の要素に還元するために、時間のかかるフォーマットタスクが必要とされることを認識する必要がある。読み出し速度の書き込み速度を上回る超過分は、バッファステージで吸収してもよいが、前述したギャップが大きくなるに従い、課される要求も面倒になる。本発明のRF及びベクトルコントローラを、状態列生成プロセッサと状態が書き込まれる出力機器との間に所々配置される特定の手段と見なしてもよい。上述の速度ギャップを縮めることは、デバイス指示が処理される最大持続速度を、外部デバイスへの最大(ハードウェア規定)書き込み速度へ近づけることを可能にすることを認識する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のコントローラは2つの主要な方策を実施して、上記のギャップを縮めるものである。コントローラ構造は第一に、現在のコンテント(内容)が違うコンテントに書き換えられるまでそのまま保持するラッチレジスタに状態の要素を保持する。これによって状態列の形態を、現在の状態における前の状態からの変化の明細に還元する際の多大な転送速度負担を軽減する。第2に、状態記述を規定する他のラッチレジスタをアップデートするトランザクションと同時に、コントローラの演算レイヤは状態ビットの対応するフィールドに特化された共通の演算処理を並列して行う。これらの演算は特定用途向け集積回路を用いて実現され、クロックサイクル中に並行して実行されるため、速度を制限するステップが導入されることはない。この方策はさらに、広範なデータパッキングの必要性をなくす。その結果、上記のギャップは適度な比率の高速FIFOバッファリングによって解消されるか、または縮められて処理がしやすくなる。
【0019】
本発明は、NMR機器制御用の新規なコントローラ構造であって、所定の演算活動を長い状態列中で割り当てて、演算レイヤ及びラッチレジスタレイヤの両方を処理するコントローラ内で行われるようにする構造に関する。これらのレイヤはデータバスから情報を受け取る。ラッチレジスタは現在のコンテントを書き換えられない限り、又は書き換えられるまで保持し、これによって、対応するレジスタ用の先行するデータは、変更されない限り保存されている。これらのレジスタのコンテントは、状態持続期間を含む状態記述に不可欠なパラメータ全てを備えている。その結果、状態持続期間を含むステータス要素における変化のみをバスで伝送すればよい。状態記述の要素の中には、演算により状態記述のパラメータから取得されるものもある。これらのオペランドは連続する状態間で変化してもよく、変化しなくてもよい。演算処理は通常、加算(例えば、RF位相の調整)、乗算(例えば、標準パルス形状の縦座標のスケーリング)、及びマトリックス乗算(NMR測定用に磁場勾配ベクトルの所期の回転を実現するため)である。同時にアクティブな状態にある独立RFチャネルは本発明のそれぞれのコントローラを具現し、磁場勾配処理は別の勾配コントローラを介して指示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は様々な変更及び他の形態を許容することが可能であり、上述の図面は例として及び/又は構造若しくは現象を理解する一助となるよう示されている。しかしながら、ここで説明される特定の実施形態は、本発明を、開示される個々の形態に限定するものではなく、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の精神及び範囲内で、全ての修正、同等物、及び代替案を包含することを意図するものである。
【0021】
本発明の代表的な物理的構成は、同期制御すべき数多くのデバイスを含むNMR装置である。図1はその観念図である。ボア(孔)部11を有する磁石10はボアの軸に沿った主磁場を提供する。この磁場を磁場勾配を必要とする選択された測定のため、時間的にも方向的にも正確に制御するため、磁場勾配コイル(図示せず)が設けられている。これらは傾斜磁場電源16、18、及び20によってそれぞれ駆動される。更に、他のシミングコイル(図示せず)及び電源(図示せず)が、基本磁場に残る不要な空間的不均一部を補正するために必要となる場合もある。分析の対象(以下「試料」と言う)をボア部11の磁場中に置き、試料をRF電力(出力)により照射してRF磁場の向きをそろえて、ボア部11中の磁場と所期の直交状態となるようにする。これは、ボア部11内部の1個以上の送信側コイル12を用いて達成される。共鳴信号がボア部11中の試料近傍にある受信側コイル中で誘発される。送信側コイル及び受信側コイルの構成は同一であっても、別々であってもよい。
【0022】
図1に示す様に、RF電力は第1の送信機24aからモジュレータ26aを通じて供給されて増幅器31aによって増幅され、その後、送信/受信(T/R)アイソレータ27を介してボア部11中に位置し、第1のRF送信側コイル12’を含むプローブ12に与えられる。送信機24aは、RF電力の発生時において、またはモジュレータ26aによって、振幅、周波数、位相、またはそれらの組み合わせにおいて変調されてもよい。送信機24a、モジュレータ26a、増幅器31a、T/Rアイソレータ27、及び受信機の概念的なグループを、従来から「観測チャネル」と呼ぶ。「デカップラチャネル」を構成する付加的構成要素(送信機24b/モジュレータ26b/増幅器31b)は、調査対象としての化学種、例えば13Cまたは1Hに結合された様々な磁気回転共鳴器をそれぞれ独立して操作するために使用されることが多い。従来、これらの独立した回転操作は多重コイルまたは多重共鳴コイルによって適宜支援される。観測チャネルにおいて、送信及び受信機能は明らかに、同時にアクティブ状態ではない。必要に応じ、プローブ中の同一の観測コイル12を励起及び取得の両方の目的で使用してもよい。この様に、T/Rアイソレータ27は受信機を送信機24aから分離するために設けられる。送信側コイルと受信側コイルとが別体の場合は、要素27が受信機の動作を制御するために同様の分離機能を果たす。
【0023】
モジュレータ26a、b(又は同等物)は、パルスプログラマ29を含むコントローラ38a、bに応答して、RFキャリアに対し所期の周波数、振幅、持続期間、及び位相のRFパルスを正確に所定の時間間隔をおいて供給し、対応するチャネルに印加されるようにする。パルスプログラマはハードウェア及び/又はソフトウェア的属性を有していてもよい。パルスプログラマはまた、勾配が必要な場合には、傾斜磁場電源16、18、及び20を制御する。この様な傾斜磁場電源は必要に応じて、勾配パルスを印加するか、または勾配コイルにおいて選択された静磁場勾配を維持する。この様な勾配はそれぞれ勾配振幅、例えば+/−∂BZ/∂y、持続期間、及び開始時間によって特定される。
【0024】
受信機28によって処理される核共鳴過渡波形は一般に、位相検出器30によって直角位相に分解される。位相検出器30からの位相分解時間ドメイン信号がフーリエ変換機32に与えられて、特定の処理要求に応じて周波数ドメインに変換される。位相分解信号には一般に、便宜上位相検出器30の構成要素と見なされるアナログ/デジタル変換器(ADC)によって、アナログ共鳴信号からデジタル信号への変換が行われる。
【0025】
フーリエ変換機32は実際には、位相分解データが(プロセッサ34の記憶装置に)記憶されたものに作用すると理解される。これは時間ドメイン位相分解波形の数を平均してSN(信号/ノイズ)比を高くする常法を反映している。変換機能は次いで、結果的に得られる平均化された波形に適用される。ディスプレイデバイス36は収集したデータに作用して検査用の分布を示す。NMR装置において、マスターコントローラ38は、大抵1個以上のデジタルプロセッサを備え、観測チャネル、デカプラチャネル、及び幾つかの磁場勾配でのパルス列の動作等の時間が重要な動作を制御し、互いに関連付ける。マスタコントローラ38を複数個の別々の機能コントローラ(例えばRF観測チャネル、RFデカプラチャネル、及び磁場勾配)として見なしてもよく、そのいずれもが通常はスピン共鳴システムとの同期を維持する為の共通時間ベースと同期した状態を生成するように動作する。ホストプロセッサ34内での装置全体の全動作には、操作者による入力37、時間が重要でない演算、及び更なる処理または表示のための出力等が含まれる。
【0026】
ここで図3を参照すると、本発明によるコントローラの好ましい実施形態を表すブロック図が示されている。コントローラの主要な特徴は、レジスタレイヤ100及び演算/論理レイヤ104において明白である。レジスタレイヤは複数個のラッチレジスタ102a、102b、...102kを備えている。これらのレジスタは、いずれもコントローラの出力状態に影響を与えるデジタル(または論理)パラメータを保持している。レジスタレイヤ100の各ラッチレジスタのコンテント(内容)は、プロセッサ96によって書き換えられるまで各々のレジスタに保持されている。レジスタレイヤは更に、レジスタのコンテントの転送先に応じた2種類のラッチレジスタを備えていることを特徴とする。図3の記号表現において、レジスタ102i...102kは非同期バッファ98へ直接転送される数値を収納している。レジスタ102a...102dは、演算レイヤ106を表す106s及び106a等の、対応する演算セルと交信する。代表的な演算処理には、正規化パルス形状を所期のスケールに変更することを目的とした、即時の振幅のスケーリング(整数倍)や位相毎に増分を累積する場合の様な加算等が含まれる。演算セル106s及び106aは、フィールドプログラマブルアレイ(FPGAs)等の特殊化高速論理回路において周知の方法で実現される。この様なセルはいずれも、演算結果を保持するためのラッチ結果レジスタを有している。この様なラッチ演算結果レジスタは、関連するラッチレジスタ102a、...等から示される演算の引数に対応している。
【0027】
ここで注意すべきは、プロセッサ96が出力速度ρをレジスタレイヤ100に示し、レジスタレイヤは所定の理論上最大書き込み速度Ωを非同期バッファ98に示すことである。理論上最大書き込み速度Ωは、(部分的に)介在する演算レイヤ104の存在によって制限される可能性がある。非演算レジスタ102j、102kからのデータ並びにレジスタ106s及び106aからの演算結果は、最低速演算から導出された共通信号、またはレジスタレイヤ104のレジスタ及び演算レイヤ106の演算セルから得られるデータレディ(DATA READY)レベルの論理積(logical AND)から導出された共通信号によりゲーティングされて、非同期バッファ98に書き込まれる。この様なゲーティング機構は当業者に周知である。
【0028】
同時並行してアクティブな異なるRFチャネルを必要とする数個の装置に、それらのチャネルが独立しているかしていないかに関らず、複数個のRFコントローラが共存している。この様な必要性は例えば、種々の実験において一般に行われているように、陽子スピンとC13スピンとを別々かつ同時に操作する場合等に見受けられる。
上記した様に、状態列中に起こり、制御されている出力に現れる変化のみを用いて状態列を記述し、それによってシステムバス上のトラフィックを軽減させることが従来技術において定法であった。この様な従来技術による構造において先行状態は、記憶された画像、及び既に起こり、再記憶されると同時に非同期バッファに転送された変化から、コントローラにおいて再構築されていた。本発明では、先行状態が対応するラッチレジスタ群102a...102kに保存されているため、コントローラプロセッサにおけるこの様な動作は回避される。この様にして、状態の差分列の記述によってなされる圧縮が本発明において完成される。
【0029】
図3のコントローラの構成によって、プロセッサ96にかかる負荷が、バスインターフェースからのデータ(連続する状態ペアの変化したパラメータを含む)の流入及びアップデートされた状態パラメータの非同期バッファへの流出を管理する機能に低減される。この機能は、これらの操作を速過ぎず(非同期バッファ98をオーバーランさせず)、遅過ぎない(非同期バッファ98をアンダーフローさせてしまわない)動作速度の範囲内で行う必要があるため、時間に敏感である。
【0030】
コントローラの動作処理の説明は従来のRFコントローラの説明と同様である。この様なコントローラプロセッサはプログラムのダウンロードを受け、このプログラムを(NMR)実験の間中実行する。特定のRFチャネルで実行されるコントローラプログラムは、選択された形状及び周波数コンテントを持ち、所定の位相特性、振幅、パルス幅、パルス間遅延、及び受信機ゲーティング(ゲートをオンまたはオフにする)機能を有するパルス列を有している。ここで、位相が選択された方法でサイクリングされ、受信機のゲート・オンから受信機のゲート・オフまでの期間の長さが設定され、反復回数が設定される位相サイクリング方法を想定する。位相サイクリングは位相増分を例えば、位相加数レジスタで初期化することを必要とし、サイクリングは対応するルーピング方式をコントローラ中に生成することに相当する。適切なコントローラプログラムがホストプロセッサで作成され、プロセッサ96本来のプログラムローディング機能によって初期化されるよう、バスインターフェース92を介して配信される。ここで本発明を考察すると、ラッチレジスタ102a...のおかげで、変化の無い状態変数が、状態記述子ワードのマスキングが行われる同等の従来技術によるソフトウェアループから除去され、結果的に本発明では転送速度、演算負荷等いずれにおいても無駄が省かれ、有利である。インターフェースのコア部(バスとFIFOとの間)では、演算レイヤ104が演算負荷をプロセッサから全て排除し、一方これらの動作をFIFOに応答する動作と隣り合った時点で行っている。
【0031】
図4は他の実施形態として、概略的なコントローラを示す。本実施形態は図3の実施形態とは演算レイヤが設けられていない点で異なっており、よって本実施形態において得られる利点はラッチレジスタレイヤによってのみもたらされる。これは、NMR用途向けには好ましい構成ではない。なぜなら、状態変数に対する演算処理は動作処理効率を向上させる上で有利であるためである。ただし、極めて長い同期状態列を必要とする用途でも、ラッチレジスタ構成によってのみもたらされる利点で充分なものは広範にわたる。
【0032】
別の実施形態において、インクリメンタルレジスタレイヤ106は、バス92によって伝達されるデータ・ストリームにおける1個のデータから所定の連続方式で演算レイヤ104に与えられる引数を変形することが可能である。この機能によりデータ・ストリーム中における更に大きな圧縮が可能となり、それによってホスト・コンピュータ側が達成できる書き込み速度と、NMR現象を実現し、記憶する種々の出力デバイスが必要とする読み込み速度との間のギャップが更に狭まることが容易に理解されよう。図5はインクリメンタルレジスタレイヤ106の論理模式図である。代表レジスタ106i’は演算レイヤ104に渡される引数に対応するサブフィールド140を収容し、別のサブフィールド142は引数140の増分(減分)として扱われ、一方残りのサブフィールド144は引数を調整するための反復カウント数を示す。レイヤ106’内では、引数値140及び増分142が加算器302に供給され、調整済みの引数値がラッチレジスタ106i’に再記憶されると共に、ラッチ301の制御下で演算レイヤにも与えられる。ラッチ301はデータレディ・ゲートと共に、レジスタレイヤ106全体を演算レイヤ104に渡す。本実施形態によると、コントローラに単一の指示を与えることによって、反復フィールド144のコンテントに応じた多数の状態からなる状態列を生成することが可能となる。
【0033】
本発明によるコントローラ構造の他の適用例を、ベクトル操作においても見出すことができる。高速処理におけるベクトル制御は、大きさの制御(スケーリング)、回転の制御、及び時間依存性の制御を要する。磁場共鳴装置にとって、磁場勾配ベクトルの操作は多くの磁場共鳴撮像法(及び、それよりも低い程度で、ある種の顕微鏡測定法)の基礎となる。例えば3D画像で得られる磁場勾配ベクトルは、時点が異なればその方向が異なる可能性がある。勾配ベクトルGの成分は一般に∂Bz/∂Bx, ∂Bz/∂By,及び∂Bz/∂Bzであり、これらは室温コイル巻線によって提供され、ここでzは局性磁場の方向を示す。得られる勾配ベクトルのアラインメント(調整)は、勾配磁場形成の機能的局面に対応して回転される。3Dイメージングシーケンスの一つの代表的なクラスは、RF励起パルスが所期の方向を有する平面を形成する試料の選択2D厚における核スピンの励起を引き起こす間、スライス選択勾配を課す。全成分に対応する大きさでエネルギーを与えて所期の方向を与えてもよい。互いに直交する位相エンコード及び読み出し勾配磁場は、それぞれ必要な時点で同様にエネルギーを与えられて、画像のピクセルまたはラインの共鳴応答を識別する。この過程は、スライス選択、位相エンコード、及び読み出し勾配のそれぞれの値をサイクル・スルーして自由誘導減衰勾配波形を、勾配方向及び勾配強度のかような三重項毎に生成することにより、画像を漸増形成する際に反復される。得られた磁場勾配はこの様に、かようなイメージング用の個々の回転増分の三重サイクリックプログラムに供される。得られた勾配の(三次元)空間回転は回転マトリクスRによって数値的に規定される。ここで、Rは3×3アレイであって、勾配コントローラはマトリクスの操作者からの回転ベクトルG’
G’=G(R)
を実行する。ベクトル回転(及びスケーリング)には、例えば以下の様なマトリクス操作のための処理が必要である。
【0034】
【数1】

【0035】
図6は演算レイヤ204が上記処理の回転局面を実行するのに必要な機能的処理の構成を示している。簡略化のため、ベクトルX、Y、及びZをGの非回転成分と見なしてもよい。入力α1、α2、及びα3は、回転マトリクスの3列それぞれの三組の係数を表す。「スケール1」、「スケール2」、「スケール3」の各量は、ベクトルの大きさを定めるために3個の回転成分のそれぞれに適用される倍率である。各ベクトル成分が演算レイヤにおける4回の乗算および2回の加算の実施を必要とすることは明らかである。図3を、その中で図6がこの様な演算レイヤ204(RFコントローラの演算レイヤ104と類似)を用いてベクトル制御のための操作を行う枠組みと見なす必要がある。
【0036】
マトリクス操作はラッチレジスタレイヤ(RFコントローラのレジスタレイヤ102と類似)に存在するベクトル成分及びアレイ要素から、演算レイヤ204において実行される。ここで、これらの量全てが状態移行を通じて変化するわけではないことを再認しておく。3次元空間における勾配ベクトルは回転およびスケーリングを受けるため、3個の勾配ベースのベクトルそれぞれを制御する必要があり、3個の勾配ベースのベクトル全てが互いに同期性を保って、得られる所期の即時のベクトルを生成しなければならない。
【0037】
装置を稼動するためのソフトウェア/ハードウェアを誘導する構成は次の3つの所見に基づく。第一に、個別の状態からなる、非常に長い状態列を実行するための中心的な条件を考慮すること。各状態は多数のパラメータによって規定され、大抵の用途では隣り合う状態間で1個または2個、おそらく3個、稀に3個を超えるパラメータに差異が見出される。全状態列は最初またはデフォルトの状態から始まる変化の連続として表される。従って、必要とされるのは状態持続期間を含む、隣り合う状態間の差異によって状態列を記述することだけであり、このような手順は状態パラメータを前述したようにコントローラのラッチレジスタ内に保持することにより、先行する状態全体を再構成することなく遂行される。この様にしてメモリ及び各状態を構成するための工程の両方において大いに無駄が省かれる。
【0038】
これらのコントローラが主に必要とするのは、正確な同期性の維持である。このためには、駆動されるハードウェアの高速性、効率的なデータ構造、及び効率的に状態記述を物理的な状態に変換するための手段がいずれも必要とされる。ここで説明したコントローラは非同期的装置を有している。より詳細には、コントローラは非同期/同期変換を実現し、一方セルフクロックFIFO構造は規定されたデジタル状態の列から同期イベント列をハードウェア的に実現する。ただし、ソフトウェアを用いた非同期的ローディング/アップデーティング処理によって、FIFO出力の速度がオーバーラン/アンダーランすることはないと保証する上で、中間的な問題が残っている。このタスクは、コントローラプロセッサのここでのより大きな焦点であり、他の演算負荷をコントローラの演算レイヤを用いて軽減し、データ転送は、不変データをコントローラのラッチレジスタに保持することによって減らされる。
【0039】
この様なコントローラの実際の持続速度性能の漸近特性を、ハードウェアによって規定される、FIFOが入力データを受け取る最大速度が存在することを認識することによって理解してもよい。ここで、L個の状態列を収容するFIFOがあり、このFIFOの最大読み出し速度がFIFOの最大出力又は書き込み速度と同じであると仮定する。状態記述子がこの様なL個の状態の深さのFIFOに、FIFOの最大読み出し速度で供給されたとすると、同期状態記述がFIFO入力でなされ、持続速度は不特定の数のn×L個の状態に対するFIFO最大読み出し速度と等しくなる。実際問題として、状態記述子を供給する行為はここで述べた極めて重要な演算、データ転送、及びコントローラ動作を伴う(またそれとは別に、FIFOは個々の状態をかなり長い期間クロック・アウトする)。説明のため、各状態の処理が各L個の状態組ごとにクロックタイム(平均して)の追加の単位λを必要とし、FIFOの「上位の」システム及びコントローラが、増分量または速度ギャップ分だけFIFOの読み出し速度(特性最大速度と見なしてもよい)より遅れると仮定する。しかしながら、この様な仮定に基づくと、同時に収容される理論上最大の状態数は単にL(L−λ)となる。本発明はFIFOより上位で必要とされる処理数を低減する役割を果たし、その結果、構成によって指定されたλは大幅に減少し、また、所定の長さの状態列に対する、FIFOに渡される状態の持続(非同期)速度とハードウェアによって規定される状態受け取り最大速度との間のギャップも大幅に減少する。別の観点として、非常に長い状態列における各状態の平均持続期間Td及び各状態の平均処理時間Tp(関連する全ての演算、データ転送、及びコントローラ処理を含む)を考察する。FIFOがアンダーフローする前に収容されていた状態数Nは、
N=L(1+Tp/(Tp−Td))
となる。
【0040】
時間差(Tp−Td)が減少するにつれて(本発明の目的)、N/L量が増加し、増加したFIFO深さは、長い同期状態列を保存するためにそれほど厳密に必要とされる条件ではなくなる。
本発明によって構築されるハードウェアの量的評価は、状態列を形成する状態の変化の性質に大いに依存していることが理解されよう。以上の様に、位相及びスケール操作を伴う、比較的単純なNMR状態列に対し、本発明によるRFコントローラは、従来技術と比べて状態列付与の持続される速度を二倍も増加させた。(ベクトル)磁場勾配コントローラは、同等の状態列に対し、従来技術に比べてこの様な持続速度を一桁増加させる能力を示している。
【0041】
以上、本発明を特定の実施形態及び実施例について説明してきたが、当業者は上記教示に鑑みて、他にも変更及び変形を行うことができる。本発明は添付の特許請求の範囲内で、詳述した通り以外にも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るコントローラを組み込んだ磁気共鳴装置を示している。
【図2a】従来技術によるコントローラ装置を示している。
【図2b】従来技術による他の構成を示している。
【図2c】従来技術による更に他の構成を示している。
【図3】本発明のデュアルレベルレジスタ搭載コントローラを示している。
【図4】本発明の他のレジスタ搭載コントローラを示している。
【図5】レジスタレイヤに追加機能を備えた別の実施形態を示している。
【図6】本発明のベクトル制御用コントローラの他の実施形態を模式的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力バスから得られる状態列を生成するためのコントローラであって、前記状態はそれぞれがデジタル値として実現される複数個の独立変数を含み、前記変数はそれぞれが対応するデジタルの精度で表されており、前記状態は持続することを更に特徴とし、
(a)対応するデータを前記入力バスから受け取って保持するための複数個のラッチレジスタと、
(b)前記入力バスから対応するデータを受け取って保持するための少なくとも1個の演算ラッチレジスタアセンブリであって、前記データを演算則に従って組み合わせ、演算結果データを生成する演算モジュールと、前記演算結果データを保持する対応するラッチ結果レジスタとを備えている演算ラッチレジスタアセンブリと、
(c)複数個のFIFO部であって、そのそれぞれが前記ラッチレジスタの1個及び前記ラッチ結果レジスタの1個と対応し、前記ラッチレジスタ及び前記ラッチ結果レジスタは前記FIFO部の1個と対応関係にあり、それによって前記FIFO部を備えたFIFOアセンブリが前記状態列を収容するFIFO部と
を備えていることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
前記FIFOアセンブリは出力レジスタを備えており、持続期間が前記状態のそれぞれから得られ、前記状態はそれぞれ前記持続期間の間、前記出力レジスタにおいて持続することを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記状態はベクトルのフィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記ベクトルは磁場勾配であることを特徴とする請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記状態はRFフィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
入力バスから得られる状態列を生成するためのコントローラであって、前記状態はそれぞれがデジタル値として実現される複数個の独立変数を含み、前記変数はそれぞれが対応するデジタルの精度で表されており、前記状態は持続することを更に特徴とし、
(a)対応するデータを前記入力バスから受け取って保持するための複数個のラッチレジスタであって、この複数個のラッチレジスタの少なくとも1個が、前記データの引数部と、前記データの増分部と、前記増分部を加算することによって前記引数を変更するための加算器とを備え、その結果を対応する演算レジスタに伝達し、それによって前記少なくとも1個のラッチレジスタの前記引数部に保持された値を更新するラッチレジスタと、
(b)前記対応するラッチレジスタから対応するデータを受け取って保持するための少なくとも1個の演算ラッチレジスタアレイであって、前記データを演算則に従って組み合わせ、演算結果データを生成する演算モジュールと、前記演算結果データを保持するようにされた対応する演算ラッチレジスタとを備えている演算ラッチレジスタアレイと、
(c)複数個のFIFO部であって、この複数個のFIFO部のそれぞれが前記ラッチレジスタの1個及び前記演算ラッチレジスタの1個と対応し、前記ラッチレジスタ及び前記演算ラッチレジスタは前記FIFO部の1個と対応関係にあり、それによって前記FIFO部を備えたFIFOアセンブリが前記状態列を収容するFIFO部と
を備えていることを特徴とするコントローラ。
【請求項7】
前記FIFOアセンブリは出力レジスタを備え、持続期間が前記状態のそれぞれから得られ、前記状態はそれぞれ前記持続期間の間、前記出力レジスタにおいて持続することを特徴とする請求項6に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記状態はベクトルのフィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記ベクトルは磁場勾配であることを特徴とする請求項3に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記状態はRFフィールドを含むことを特徴とする請求項1に記載のコントローラ。
【請求項11】
複数個のパラメータにより即時に特定されるシステムを制御するための方法であって、前記システムは同期的動作のためのクロックデバイスを有し、
各状態を定義するための前記複数個のパラメータをデフォルト値に初期化する工程と、
前後に隣接する個々の時点における状態の経過推移を規定する工程であって、持続期間を各状態に割り当てる工程を含む工程と、
前記パラメータの1個以上の先行する状態からの値の変化によって、各状態を特徴づける工程と、
前記変化した値だけを対応する複数個のラッチデータレジスタに転送する工程であって、前記ラッチレジスタがオペランドパラメータに対応し、かつ前記ラッチレジスタのコンテントをそれぞれの演算セルに転送して、前記オペランドパラメータの結果に対し演算を行ってラッチ結果レジスタに保持する工程と、
前記ラッチレジスタ及び前記結果レジスタのそれぞれに保持されたパラメータ並びに対応する持続期間を、非同期/同期バッファに伝達する工程と、
前記パラメータ及び前記結果を、前記クロックデバイスに同期して出力に与える工程と、
前記出力を前記対応する持続期間の間、維持する工程とを備えていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記ラッチレジスタに転送された前記オペランドパラメータは、少なくとも、RF位相、RF振幅、及びRF周波数に比例する値を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ラッチレジスタに転送された前記オペランドパラメータは、少なくとも、磁場勾配ベクトルの大きさと磁場勾配ベクトルの方向とを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
試料容積のコンテントを調査するためのNMR装置であって、
核スピンのために好ましい方向を設定するための偏光磁石と、
選択された位相、振幅、及び周波数を得るために制御可能なRFエネルギー源と、
同期的動作のためのクロックデバイスを備えたRFコントローラとを備え、
このRFコントローラが、
各状態を定義するためにRF動作パラメータをそのデフォルト値に初期化し、
前後に隣り合う個々の時点における状態の経過推移を規定することであって、この経過推移を規定することが、各状態に持続期間を割り当てることと、前記パラメータの1個以上の先行する状態からの値の変化によって前記各状態を特徴づけることと、前記RFパラメータの内、前記変化した値だけを対応する複数個のラッチデータレジスタに転送し、前記ラッチレジスタはオペランドパラメータに対応しており、かつ前記ラッチレジスタのコンテントをそれぞれの演算セルに転送して前記オペランドパラメータの結果に対し演算を行い、ラッチ結果レジスタに保持することと、前記ラッチレジスタ及び前記結果レジスタのそれぞれに保持されたパラメータ並びに対応する持続期間を、非同期/同期バッファに伝達することと、前記パラメータ及び前記結果を前記クロック装置に同期して出力に与えることと、前記出力を前記対応する持続期間の間、保持することとを含むように規定し、
前記出力を、それに応じて前記RFエネルギー源を動作させる
ためのものであることを特徴とするNMR装置。
【請求項15】
前記演算セルは、前記RF位相を加算処理によって変化させ、前記加算結果を前記ラッチレジスタ及び前記演算セルの両方に返送することを特徴とする請求項14に記載のNMR装置。
【請求項16】
磁場勾配ベクトルフィールドを前記試料容積にかけるための磁場勾配装置と、
磁場ベクトルコントローラであって、前記クロックと同期して前記磁場ベクトル装置を制御し、前記磁場勾配ベクトルの方向及び大きさを設定し、選択された勾配ベクトルの持続期間の間、前記ベクトルを持続させる別のプロセッサを備えた磁場ベクトルコントローラとを更に備えていることを特徴とする請求項14に記載のNMR装置。
【請求項17】
入力バスから得られる状態の列を生成するためのコントローラであって、前記状態はそれぞれがデジタル値として実現される複数個の独立変数を含み、前記変数はそれぞれが対応するデジタルの精度で表されており、前記状態は更に持続することを特徴とし、
対応するデータを前記入力バスから受け取って保持するための複数個のラッチレジスタを備え、前記ラッチレジスタは複数個のFIFO部と交信し、前記FIFO部は、状態持続期間を有し、それぞれが前記ラッチレジスタの1個と対応関係にあり、前記ラッチレジスタはそれぞれ前記FIFO部の1個と対応関係にあり、状態持続ロジックによって前記状態はそれぞれ所定の期間、前記FIFOの出力に生成されることを特徴とするコントローラ。
【請求項18】
増分状態生成器であって、前記ラッチレジスタの少なくとも1個が、前記データの引数部と、前記データの増分部と、前記増分部を加算することによって前記引数を変更するための加算器とを備え、その結果を対応する前記演算レジスタに伝達して前記ラッチレジスタの前記引数部に保持された値を更新する増分状態生成器を更に備えたことを特徴とする請求項17に記載のコントローラ。
【請求項19】
前記FIFO部の選択されたものがRF電源と交信してRF位相、RF振幅、及びRF周波数のいずれか一つまたは全てを制御することを特徴とする請求項17に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記FIFO部の選択されたものがRF電源と交信してRF位相、RF振幅、及びRF周波数の内のいずれか一つまたは全てを制御することを特徴とする請求項18に記載のコントローラ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−532194(P2007−532194A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507438(P2007−507438)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/011509
【国際公開番号】WO2005/101049
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】