説明

ORC熱回収ボイラー用の不活性ガスパージシステム

【課題】熱回収ボイラー用に不活性ガスパージシステムを利用する廃熱回収システムを提供すること。
【解決手段】1つの実施形態において、システムは、エンジン(12)の排気セクション(28)の内部容積(60)を通って流入する排気ガス(38)を配向するよう構成された廃熱回収位置と、流入排気ガス(38)をバイパスダクト(46)に配向して内部容積(60)内に配置された熱回収ボイラー(40)をバイパスするよう構成されたバイパス位置との間で切り替え可能なバルブシステム(66)を含む。本システムはまた、不活性ガスを内部容積(60)内に注入して該内部容積(60)から残留排気ガス(38)を移動させるように構成された不活性ガスパージシステム(72)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、ボイラーを利用した廃熱回収システムに関し、より具体的には、熱回収ボイラー用の不活性ガスパージシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃熱回収システムは、商工業用プロセス及び運転によりほぼ500℃を下回る温度の熱など、低温熱を回収するのに利用することができる。例えば、廃熱回収システムは、ガスタービンにより生成された高温排出ガスからの低温熱を回収するのに利用することができる。有機作動流体を循環させることにより有機ランキンサイクル(ORC)を実施する廃熱回収システムは、有機作動流体の相変化エンタルピーが比較的低いことに起因して低温熱を回収する際に特に効率的にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,174,716号公報
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態において、システムは、エンジンの排気セクションの内部容積を通って流入する排気ガスを配向するよう構成された廃熱回収位置と、流入排気ガスをバイパスダクトに配向して内部容積内に配置された熱回収ボイラーをバイパスするよう構成されたバイパス位置との間で切り替え可能なバルブシステムを含む。本システムはまた、不活性ガスを内部容積内に注入して内部容積から残留排気ガスを移動させるように構成された不活性ガスパージシステムを含む。
【0005】
第2の実施形態において、システムは、エンジンの排気セクション内で排気ガスから直接熱を吸収し、有機作動流体を内部で加熱するよう構成された熱回収ボイラーと、有機作動流体を膨張するよう構成された膨張器と、膨張した有機作動流体を凝縮するよう構成された凝縮器と、凝縮された有機作動流体を熱回収ボイラーに配向するよう構成されたポンプと、熱回収ボイラーからの有機作動流体の漏出を検出するよう構成されたセンサと、漏出の検出に応答して、不活性ガスを排気ガスに注入するよう構成された不活性ガスパージシステムとを含む。
【0006】
第3の実施形態において、方法は、熱回収ボイラーからエンジンの排気セクションの内部容積への有機作動流体の漏出を検出する段階と、漏出の検出に応答して、バルブをバイパス位置に設定し排気セクションの内部容積をバイパスするよう流入する排気ガスを配向させる段階と、漏出の検出に応答して、不活性ガスを内部容積に注入し、残留排気ガスを内部容積から移動させる段階と、を含む。
【0007】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】廃熱回収システム内で不活性ガスパージシステムを利用できる発電システムの1つの実施形態の概略流れ図。
【図2】不活性ガスパージシステムの1つの実施形態を描いた、図1の廃熱回収システムの概略流れ図。
【図3】バイパスモードで作動している、図2の廃熱回収システムの概略流れ図。
【図4】熱回収ボイラーから排気ガスをパージする方法の1つの実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1つ又はそれ以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実装毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0010】
本発明の種々の実施形態の要素を導入するときに、数詞がないことは、要素の1つ又はそれ以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0011】
本開示は、熱回収ボイラー用に不活性ガスパージシステムを利用する廃熱回収システムに関する。廃熱回収システムは、炭化水素流体又は冷媒など、有機作動流体を用いた有利ランキンサイクル(ORC)を実装することによって、ガスタービンなどのシステムから低温熱を回収することができる。オイルなどの中間流体を通じて有機作動流体に熱を伝達するのではなく、本システムは、ガスタービンの排気ガスから作動流体に直接熱を伝達する「直接式」熱回収ボイラーを利用することができる。幾つかの実施形態によれば、作動流体を循環する熱回収ボイラーは、ガスタービンの排気セクション内の排気ガスの経路に直接配置することができる。排気ガスと廃熱回収システムとの間で熱を伝達するために2次ループを用いるのではなく、排気ガスの経路内に直接熱回収ボイラーを配置することによって、廃熱回収システムの全体効率を高めると同時に、資本コスト及び/又は運用コストを低減することができる。
【0012】
熱回収ボイラーの漏出が生じた場合にガスタービン排気セクション及び廃熱回収システムを保護するために、発電システムは、熱回収ボイラー用にパージシステムを利用することができる。幾つかの実施形態によれば、パージシステムは、熱回収ボイラーの漏出を検出したときに有効にすることができる。パージシステムは、排気ガスが熱回収ボイラーをバイパスするように排気ガスの流れを再配向することができる。更に、パージシステムは、不活性ガスを排気ガスダクトに注入し、残留排気ガスを排気ダクトからパージすることができる。不活性ガスはまた、熱回収ボイラーを冷却して何らかの漏出流体を希釈し、これにより排気ダクト内の火炎を消失及び/又は抑制することができる。
【0013】
図1は、熱回収ボイラーパージシステムを利用できる発電システム10の1つの実施形態を描いている。発電システム10は、廃熱を発生するガスタービンエンジン12のようなエンジンを含み、該廃熱は、廃熱回収システム16により回収することができる。理解できるように、限定を意図するものではないが、廃熱を生成するエンジンの1つの実施例としてガスタービンエンジン12が提供される。他の実施形態では、本明細書で説明される廃熱回収システムは、廃熱を発生する他のタイプのエンジンから熱を回収するのに利用することができる。例えば、他の実施形態では、廃熱回収システム16は、往復式エンジン、又は廃熱を生成する他の好適なエンジンから熱を回収することができる。
【0014】
図1に示すように、ガスタービンエンジン12は、燃料(例えば、液体又はガス燃料)を燃焼させて第1の負荷14を駆動する。発電システム10はまた、ガスタービンから低温熱を回収して第2の負荷18を駆動する廃熱回収システム16を含む。幾つかの実施形態によれば、第1及び第2の負荷14及び18は、電力を発生するための発電機とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、発電システム10により駆動される負荷のタイプは様々とすることができる。
【0015】
ガスタービンエンジン12は、吸気セクション20、圧縮機22、燃焼器セクション24、タービン26、及び排気セクション28を含む。タービン26は、シャフト30を介して圧縮機22に結合される。空気32は、吸気セクション20を通ってガスタービンエンジン12に入り、圧縮機22に流入することができ、ここで空気が加圧されて、燃焼器セクション24に加圧空気34を提供することができる。燃焼器セクション24内では、加圧空気34は、燃料の燃焼を向上させる燃空比で燃料と混合し、燃焼ガス36を生成することができる。幾つかの実施形態によれば、燃焼器セクション24は、シャフト30の周りを環状に配置された複数の燃焼器を含むことができる。
【0016】
燃焼器セクション24から、高温燃焼ガス36は、タービン26を通って流れ、圧縮機22を駆動し、及び/又はシャフト30を介して第1の負荷14を駆動することができる。例えば、燃焼ガス36は、タービン26内のタービンロータブレードに駆動力を加え、シャフト30を回転させることができる。タービン26を通って流れた後、高温燃焼ガスは、ガスタービンエンジン12から排気ガス38として流出し、該排気ガスは、排気セクション28を通って流れ、ガスタービンエンジン12から流出する。
【0017】
排気ガス38が排気セクション28を通って流れると、排気ガス38は、熱回収ボイラー40を通って流れることができ、該熱回収ボイラーは、排気ガス38から熱を吸収し、冷却された排気ガス42を生成することができる。熱回収ボイラー40は、排気ガス38の流路に直接位置付けられ、該排気ガス38が熱回収ボイラー40を通って流れる作動流体に熱を直接伝達できるようにする。次いで、冷却された排気ガス42は、排気セクション28から流出し、配管43を通ってスタック44に配向することができ、ここでガスを大気に放出することができる。
【0018】
図2に関して更に説明するように、排気セクション28はまた、熱回収ボイラー40を通過させることなく、排気ガス38を排気セクション28に流出させることを可能にするバイパスダクト46を含むことができる。熱回収ボイラー40からの可燃性有機作動流体を排気ガス38に曝す可能性がある漏出を該熱回収ボイラー40が生じた場合、バイパスダクト46を利用して、排気ガス38を排気セクション28から除去することができる。バイパスモードが有効にされたときに、バイパスダクト46を介して排気ガス38を配向し、熱回収ボイラー40をバイパスしたバイパス排気ガス48として排気セクション28から流出させることができる。図示のように、バイパス排気ガス48及び冷却排気ガス42の両方が同じスタック44に配向することができる。しかしながら、バイパス排気ガス48及び冷却排気ガス42は、別個のスタックに配向されてもよい。
【0019】
排気ガス38が排気セクション28の排気ガス経路内に配置された熱回収ボイラー40を通って流れるときに、高温排出ガス38は、作動流体ループ50内で熱回収ボイラー40を通って流れる作動流体に熱を伝達することができる。幾つかの実施形態によれば、熱回収ボイラー40は、排気ガス38の経路において直接的に作動流体ループ50内で作動流体を循環させることを可能にするフィン及び管型熱交換器とすることができる。その結果、排気ガス38は、オイルループなどの中間ループを介した熱伝達ではなく、廃熱回収システム16内で循環する作動流体に直接熱を伝達することができる。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、廃熱回収システム16は、作動流体ループ50内で誘起作動流体を循環させ、排気ガス38から排熱を回収することができる。炭化水素流体及び冷媒などの何れかの好適な有機作動流体を利用することができる。有機作動流体を利用することは、該有機作動流体の相変化エンタルピーが比較的低いことに起因して廃熱回収ループ50に特に好適とすることができる。幾つかの実施形態によれば、有機作動流体は、水よりも高い蒸気圧及び低い臨界温度を有する高分子量の有機流体とすることができる。
【0021】
作動流体が熱回収ボイラー40を通って流れるときに、作動流体は、排気ガス38から熱を吸収し、流体の全て又は相当な部分を液相から蒸気相に変化させるようにすることができる。次いで、加熱された作動流体は膨張器・発電機セット52に流れることができ、ここで作動流体が膨張され、第2の負荷18を駆動することができる。例えば、膨張器・発電機セット52は、発電機に結合され、加熱作動流体の膨張により電気を生成することができる膨張器を含むことができる。膨張器・発電機セット52から、作動流体は凝縮器54に流れることができ、ここで作動流体を凝縮することができる。幾つかの実施形態によれば、凝縮器54は、空冷式熱交換器とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、あらゆるタイプの凝縮器を利用することができる。
【0022】
次いで、凝縮された作動流体はポンプ58に流れることができ、ポンプ58は、作動流体を熱回収ボイラー40に戻してここでプロセスを再度始めることができる。他の実施形態では、バルブ、温度及び/又は圧力センサもしくはトランスデューサ、受信器、及び同様のものなどの追加機器を廃熱回収システム16に含めることができる。例えば、幾つかの実施形態において、復熱装置又は予熱器を熱回収ボイラー40から上流側に含め、作動流体が熱回収ボイラー40に入る前に予熱することができる。更に、廃熱回収システム16は、新規の発電システム10の一部として導入することができ、及び/又は既存の発電システム10に後付けすることができる。例えば、幾つかの実施形態において、熱回収ボイラー40を排気セクション28内に配置した熱回収ボイラー40を既存のガスタービン12に後付けすることができる。
【0023】
図1に示すように、熱回収ボイラー40は、高温排気ガス38の流路において直接排気セクション28内に位置付けられる。排気ガスから廃熱回収システム16に熱が直接的に伝達されることにより、中間ループを用いて排気ガスから廃熱回収システムに熱を間接的に伝達するシステムと比べると、廃熱回収システム16の全体効率を向上させることができる。更に、2次ループが排除されることで、資本コスト及び/又は運用コストを低減することができる。しかしながら、有機作動流体が潜在的に可燃性であるため、システムの停止中、及び/又は作動流体が熱回収ボイラー40から排気セクション28に漏出可能になる場合がある熱回収ボイラー40の漏出が生じたときに、排気ガス38を排気セクション28から取り除くことが望ましい場合がある。これに応じて、図2及び3は、排気セクション28からの排気ガス38を除去及び/又は希釈するのに利用できる不活性ガスパージシステムを描いている。
【0024】
図2に示すように、排気ガス38は、矢印61で全体的に示されるように、開口58を通過し、排気セクション28の内部容積60に流入することができる。熱回収ボイラー40は、排気ガス38の流路の内部容積60内に位置付けることができる。熱回収ボイラー40は、作動流体を循環させるフィン付き管体62を含む。幾つかの実施形態によれば、フィン付き管体62は、内部容積60を通る排気ガス38の流れにほぼ垂直に配置され、排気ガス38からフィン付き管体62内で循環する作動流体に熱を良好に伝達可能にすることができる。
【0025】
排気ガス38が熱回収ボイラー40を通って流れた後、冷却排気ガス42は、排気セクション28から出て、入口63を通ってスタック44に流入することができる。上記で検討したように、フィン付き管体62内で循環する作動流体は潜在的に可燃性であるため、フィン付き管体62で漏出が生じたときには排気ガス38を内部容積60から取り除くことが望ましい場合がある。これに応じて、漏出発生時には、排気ガス38を開口58を通って内部容積60に配向するのではなく、図3の矢印65で全体的に示されるように、排気ガス38は、開口64を通ってバイパスダクト46に流すように配向することができる。
【0026】
バイパスダクト46を通る排気ガス38の流れを再配向するために、1つ又はそれ以上のバルブ66のシステムを利用することができ、これらのバルブは、図2に示す廃熱回収位置と、図3に示すバイパス位置との間で切り替えることができる。バルブ66は、一方の位置で流れを可能にし、他方の位置で流れを制限する2つの位置間で切り替えることが可能なあらゆるタイプの流れ配向、切り替え、及び/又は流量調整装置を含むことができる。幾つかの実施形態によれば、バルブ66は、バッフル又はダンパーを含むことができるが、他の実施形態では、あらゆる好適なタイプのバルブを利用することができる。
【0027】
廃熱回収位置では、バルブ66は、図2に示すように、内部容積60を通って排気ガス38を配向するよう位置付けることができる。バイパス位置において、バルブ66は、図3に示すように、バイパスダクトを通って排気ガス38を配向するよう位置付けることができる。バルブ66は図2及び3では単一バッフルとして示されているが、他の実施形態では、2つ又はそれ以上のバッフル及び/又はダンパーのシステムを利用して、内部容積60とバイパスダクト46との間で排気ガスの流れを切り替えることができる。
【0028】
図2に示す廃熱回収モードでは、バルブ66は、開口64を覆って位置付けられて、排気ガス38が開口58を通って内部容積60に流入可能にし、ここで排気ガス38は、熱回収ボイラー40を流れることができる。フラップ69は、入口63内で開放され、排気ガスが内部容積60から入口63を通じてスタック44内に流入できるようにすることができる。更に、フラップ71は、バイパスダクト46内で閉鎖され、スタック44からバイパスダクト46への排気ガスの流れを妨げることができる。フラップ69及び71は、配管43内、又はスタック入口63及び67内、或いはバイパスダクト46及び排気セクション28内に位置付けることができる。更に、幾つかの実施形態において、フラップ69及び71は省略することもできる。
【0029】
図3に示すようなバイパスモードが有効にされるとバルブ66は、開口58を覆って位置付けられて、排気ガス38が開口64を通ってバイパスダクト64に流入可能することができる。これに応じて、バイパスモードでは、排気ガス38は、バイパスダクト64を通り、入口67を介してスタック44内に流入することにより、熱回収ボイラー40をバイパスすることができる。バイパスモードでは、フラップ71が開放され、排気ガスがバイパスダクト64から入口67を介してスタック44に流入できるようにすることができる。更に、フラップ69は閉鎖され、スタック44から入口63を通って内部容積60への排気ガスの流れを妨げることができる。
【0030】
バイパスダクト46は、熱回収ボイラー40のフィン付き管体62において漏出が検出されたときに利用することができる。これに応じて、1つ又はそれ以上のセンサ68を利用して、フィン付き管体62における漏出を検出することができる。例えば、作動流体が炭化水素流体である実施形態において、センサ68は、内部容積60から出る排気ガス中の炭化水素のレベルを測定することができる。炭化水素の増大レベルは、フィン付き管体62内での漏出を示すことができる。別の実施例において、センサ68は、紫外光を測定することなど、熱回収ボイラー40内又はその周辺での火炎の存在を検出するよう設計することができる。火炎の存在は、フィン付き管体62内での漏出を示すことができる。更に別の実施例において、複数の炭化水素センサ、複数の火炎検出センサ、又はこれらの組み合わせなどの複数のセンサ68を利用することができる。更に、他の実施形態において、センサ68は、排気ガス38の組成を示す他のパラメータを測定するよう設計することができる。幾つかの実施形態によれば、センサ68は、スタック44への入口63内に配置することができる。しかしながら、他の実施形態では、センサ68は、内部容積60内に位置付けてもよい。
【0031】
センサ68は、コントローラ70に通信可能に結合することができ、該コントローラ70を用いて、バルブ66の位置を変えることができる。例えば、コントローラ70は、フィン付き管体62内に漏出が存在することを示すセンサ68からの炭化水素レベルなどの入力を受けることができる。入力の受け取りに応じて、コントローラ70は、バルブ66に制御信号を送信し、図3に示すようにバルブを移動させて開口58を閉鎖し、これにより排気ガス38を開口64に通してバイパスダクト46に配向することができる。幾つかの実施形態によれば、コントローラ70は、構成部品のなかでも特に、アナログ−デジタル(A/D)コンバータ、マイクロプロセッサ、不揮発性メモリ、及びインタフェースを含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、コントローラ70によって電気的に制御されるのではなく、バルブ66は、機械的及び/又は手動的に制御することができる。例えば、幾つかの実施形態において、コントローラ70は、開口58を閉鎖するために、例えばオペレータによってバルブ66を移動させたことを示す、アラームのような出力を生成することができる。
【0032】
コントローラ70はまた、不活性ガス注入システム72の動作を管理することができ、該システムを用いて、バルブ66がバイパス位置に移動した後に、残留排気ガス38を内部容積60からパージすることができる。不活性ガス注入システム72は、1つ又はそれ以上の高圧ガスシリンダのような、不活性ガスを不活性ガス注入システム72に供給する不活性ガス供給源74を含むことができる。本明細書で使用される用語「不活性ガス」は、主として、排気ガス中の酸素を希釈及び/又は移動させることによって、燃焼の抑制、爆発の阻止、又は火炎の消失に好適な何らかのガス又はガスの混合物を指すものとする。幾つかの実施形態によれば、不活性ガスは、窒素及び/又は二酸化炭素を含むことができる。
【0033】
配管76を用いて、不活性ガス供給源74から内部容積60に不活性ガスを配向することができる。バルブ78は、タンク74から内部容積60への不活性ガスの流れを調節するため配管76内に含めることができる。例えば、バルブ78は、システムが廃熱回収モードで作動しているときに閉鎖され、不活性ガスが内部容積60に流入するのを阻止することができ、システムがバイパスモードで作動しているときには、開放されて不活性ガスが内部容積60に流入可能にすることができる。更に、幾つかの実施形態において、バルブ78を利用して、内部容積60に流入する不活性ガスの流量を増減することができる。1つのバルブ78だけが図2及び3において示されているが、他の実施形態では、複数のバルブ78のシステムを配管76内に含めることができる。
【0034】
コントローラ70は、バルブ78を通って不活性ガス注入システム72の作動を管理することができる。幾つかの実施形態によれば、コントローラ70は、漏出の検出に応答してバルブ78を開放し、不活性ガスを内部容積60に流入可能にすることができる。不活性ガスは、1つ又はそれ以上のノズル79を通って内部容積に流入することができ、該ノズルは、不活性ガスを配管76から内部容積60内に注入することができる。幾つかの実施形態によれば、ノズル79は、不活性ガスを比較的高い流量で内部容積60に注入可能にすることができる。更に、ノズル79は、内部容積60の上部、下部、及び/又は側部に沿って、並びに排気ガス入口区域の周りに配置することができる。
【0035】
不活性ガスが内部容積60に入ると、不活性ガスは内部容積60内の残留排気ガス38を移動させ、該残留排気ガスが内部容積60から流出して入口63を通ってスタック44に流入するようになる。従って、バイパスモードが有効にされると、フラップ69は、一定の時間期間の間開放されたままになり、残留排気ガスが入口63を通って内部容積60から流出可能にすることができる。残留排気ガスが内部容積60から流出した後、フラップ69は、図3に示すように閉鎖され、スタック44から入口63を通って内部容積60に流れる排気ガスの流れを阻止することができる。不活性ガスはまた、フィン付き管体62及び内部容積60を冷却し、これにより内部容積60内の圧力及び温度を下げることができる。更に、不活性ガスは、内部容積60内で酸素及び炭化水素蒸気を希釈し、これにより内部容積60内に存在する何らかの火炎を消失させ、及び/又は排気セクション28内の火炎及び/又は爆発を阻止することができる。
【0036】
バルブ78が開き、不活性ガスが内部容積60に流入可能になった後、コントローラ70は、熱回収ボイラー40を通って作動流体を循環させるポンプ58の作動を停止することができる。ポンプ58が停止すると、作動流体は熱回収ボイラー40から蒸発し、作動流体ループ50内で収集することができる。これに応じて、追加の作動流体が熱回収ボイラー40を通って内部容積60に漏出するのを阻止することができる。
【0037】
図3は、システムが排気ガス38をバイパスダクト46に通して配向するバイパスモードにあるときの排出セクションを描いている。図3に示すように、バルブ66は、開口58を覆って位置付けられて開口58を閉鎖し、排気ガス38が開口64を通ってバイパスダクト46に流入可能にする。これに応じて、流入する排気ガス38は、熱回収ボイラー40を収容する内部容積60にではなく、バイパスダクト46に配向されることになる。図2に示すように、単一のバルブ66を移動させて開口58を閉鎖し、開口64を通って流すことを可能にすることができる。しかしながら、他の実施形態では、とりわけ、複数のバッフル又はダンパーなどの複数のバルブ66のシステムを利用して、排気ガスが内部容積60に流入する廃熱回収モードと、排気ガスがバイパスダクト46に流入するバイパスモードとの間でシステムを切り換えることができる。
【0038】
図4は、排気ガス38の内部容積60をパージするのに用いることができる方法82を示すフローチャートである。方法82は、熱回収ボイラー40の漏出を検出する段階(ブロック84)から始めることができる。例えば、図2に示すように、センサ68は、炭化水素のレベルの増大及び/又は火炎の存在を検出することができる。センサ68は、炭化水素のレベルを示す信号をコントローラ70(図2)に提供することができる。次いで、コントローラ70は、該レベルを予め定められた閾値又は変化率と比較して、漏出が存在するかどうかを判定することができる。他の実施形態では、センサ68は、漏出が存在するかどうかを判定することができ、漏出を示す制御入力をコントローラ70に提供することができる。
【0039】
漏出の検出に応答して、コントローラ70は、バルブをバイパス位置に設定することができる(ブロック86)。例えば、図3に示すように、コントローラ70は、バルブを切り換えて開口58を閉鎖し、排気ガス38を開口54に通してバイパスダクト46に配向することができる。別の実施形態では、2つ又はそれ以上のバッフルを用いることができ、これらの実施形態では、コントローラ70は、1つのバッフルを移動させて開口58を閉鎖することができ、別のバッフルを移動させて開口64を開放させることができる。
【0040】
バルブ66をバイパス位置に設定した後、コントローラ70は、パージガスを内部容積60に注入することができる(ブロック88)。例えば、コントローラ70は、例えば、コントローラ70は、バルブ78を開放し、不活性ガスがノズル79を通って内部容積60に流入できるようにすることによって、不活性ガスパージシステムを起動することができる。次いで、不活性ガスは、残留排気ガス38を内部容積60から入口63を通じてスタック44に移動させることによって、残留排気ガス38を内部容積60からパージすることができる。図2に関して上述したように、不活性ガスはまた、内部容積60内の温度を低下させ、これにより内部容積60内に存在する可能性があるあらゆる火炎の発生を低減及び/又は消失させることができる。コントローラ70はまた、熱回収ボイラー40を通って作動流体を循環させるポンプ56(図1)の作動を停止させる(ブロック90)ことができる。ポンプを停止させることにより、更なる作動流体が熱回収ボイラー40を通じて内部容積60に流入するのを阻止することができる。
【0041】
内部容積60が排気ガス38をパージした後、熱回収ボイラー40内の何らかの漏出を修復する補修を行うことができる。例えば、フィン付き管体62を補修又は交換することができる。補修が完了した後、図2に示すように、バルブ66を廃熱回収位置にリセットすることができ、これにより流入排気ガス38が再び内部容積60に入ることが可能になる。
【0042】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0043】
10:システム
12:ガスタービンエンジン
14:第1の負荷
16:廃熱回収システム
18:第2の負荷
20:空気吸入セクション
22:圧縮機
24:燃焼器セクション
26:タービン
28:排気セクション
30:シャフト
32:空気
34:加圧空気
36:燃焼ガス
38:排気ガス
40:熱回収ボイラー
42:冷却排気ガス
43:配管
44:スタック
46:バイパスダクト
48:バイパス 排気ガス
50:作動流体ループ
52:膨張器・発電機セット
54:凝縮器
56:ポンプ
58:開口
60:内部容積
61:矢印
62:フィン付き管体
63:入口
64:開口
65:矢印
66:バルブ
67:入口
68:センサ
69:フラップ
70:コントローラ
72:入口ガス抽注入/パージシステム
74:不活性ガス供給源
76:パイプ
78:バルブ
79:ノズル
80:噴射器
82:方法
84:ブロック
86:ブロック
88:ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(12)の排気セクション(28)の内部容積(60)を通って流入する排気ガス(38)を配向するよう構成された廃熱回収位置と、前記流入排気ガス(38)をバイパスダクト(46)に配向して前記内部容積(60)内に配置された熱回収ボイラー(40)をバイパスするよう構成されたバイパス位置との間で切り替え可能なバルブシステム(66)と、
不活性ガスを前記内部容積(60)内に注入して前記内部容積(60)から残留排気ガス(38)を移動させるように構成された不活性ガスパージシステム(72)と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記不活性ガスパージシステム(72)が、不活性ガス供給源(74)から前記内部容積(60)への不活性ガスの流れを選択的に有効及び無効にするよう構成された不活性ガスバルブシステム(78)を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記不活性ガスパージシステム(72)が、前記内部容積(60)内に装着されて前記不活性ガスを前記内部容積(60)内に注入するよう構成された流れノズル(79)を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱回収ボイラー(40)内の漏出の検出に応答して、前記バルブシステム(66)をバイパス位置に移動させ、前記不活性ガスパージシステム(72)を起動するよう構成されたコントローラ(70)を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱回収ボイラー(40)内の漏出を検出するために、前記内部容積(60)内のある量の有機作動流体を検出するよう構成されたセンサ(68)を備える、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記熱回収ボイラー(40)が、廃熱回収システム(16)から有機作動流体を循環させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
熱回収ボイラー(40)からエンジン(12)の排気セクション(28)の内部容積(60)への有機作動流体の漏出を検出する段階と、
前記漏出の検出に応答して、バルブ(60)をバイパス位置に設定し、前記排気セクション(28)の内部容積(60)をバイパスするよう流入する排気ガス(38)を配向させる段階と、
前記漏出の検出に応答して、不活性ガスを前記内部容積(60)に注入し、残留排気ガス(38)を前記内部容積(60)から移動させる段階と、
を含む方法(82)。
【請求項8】
前記漏出の検出段階が、前記内部容積(60)から出る炭化水素のレベルの増大を検出する段階を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記バルブ(60)をバイパス位置に設定する段階が、前記バルブ(60)を移動させてバイパスダクト(46)に対する入口(64)を開放し、前記内部容積(60)に対する入口(58)を閉鎖する段階を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記漏出の検出に応答して、前記有機作動流体を熱回収ボイラー(40)に通して循環させるポンプを停止させる段階(90)を含む、
請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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