説明

POD画面生成装置、そのプログラム

【課題】複数ユーザの各POD画面の変更を容易に確実に行えるようにする。
【解決手段】PC6は、プログラマブル表示器用作画ソフト4とプログラマブル表示器用グループ編集ツール5を有する。開発者等は作画ソフト4によって様々な画面データを作成する。編集ツール5はこれら各画面データを管理するテーブルを用いて、開発者等に各画面データがどのグループ(ユーザ等)に属するかを指定させる。1つの画面データが複数のグループに属していてもよい。そして、開発者等が所望のユーザ(グループ)を指定すると、このグループに属する画面データが抽出されて、抽出された画面データに基づいて当該ユーザ向けのPOD画面ファイルが作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器の画面を生成する装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル・コントローラ(PLC)システムにおいて、プログラマブル表示器は、コントローラ本体(PLC本体)と接続して、コントローラ本体に接続されている各種制御対象デバイスの稼動状況を表示する画面や、あるいは各デバイスへの制御指示を与えるための入力操作画面を表示して入力を受付ける機能等を備えた操作型表示器として知られている。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有しており、スイッチ、グラフ、メータ等のグラフィカル表示を行い、またタッチパネル等による入力操作を受け付けている。
【0003】
図8に、従来のPLCシステム全体の概略構成図を示す。
図示のシステムにおいて、プログラマブル表示器51は、図示の外部機器53(例えば印刷機等)や不図示のPLC本体と、通信ライン56によって接続しており、データ等の送受信を行う。
【0004】
また、図示のPC(パソコン)55は、例えば開発者や保守員等のPLCメーカ側のユーザが使用する汎用コンピュータであり、例えば、ユーザにプログラマブル表示器の画面作成を行わせる為のアプリケーションプログラム(図示のプログラマブル表示器用作画ソフト54)が備えられている。
【0005】
上記ユーザは、PC(パソコン)55のプログラマブル表示器用作画ソフト54の機能により、所望のプログラマブル表示器用の画面(以下、POD画面という)を作成して、このPOD画面のデータをPC(パソコン)55内の記憶装置に格納させる。その後、この作成したPOD画面に対応するプログラマブル表示器51にPC(パソコン)55を接続して(図示の通信ライン52により接続する)、このプログラマブル表示器51にPOD画面データをダウンロードする。
【0006】
ここで、近年、プログラマブル表示器用の画面(POD画面)は、多岐、多品種に利用されている。これは、同じ製品(プログラマブル表示器)であっても、例えば、A社、B社、C社、・・・等といった各ユーザ毎に、その会社向けのPOD画面が開発されるものである。しかしながら、各社毎のPOD画面を逐一作成するのは手間が掛かる。そこで、ある会社向けに作成したPOD画面を、他の会社向けPOD画面生成に利用することが行われている。例えばA社向けの装置で使われているプログラマブル表示器のPOD画面を、B社向けの装置用のPOD画面生成に利用する場合、当該A社向けのPOD画面ファイルを複製して必要な箇所を変更する方法が採られていた。
【0007】
上記プログラマブル表示器のPOD画面データは、一般的に、複数の画面が1つのファイルに含まれる構成となっている。この複数の画面は、様々な画面があるが、通常、メニュー選択用の画面(メニュー選択画面)は必ず存在し、最初はこのメニュー画面が表示される。そして、このメニュー画面上でユーザが所望の画面を選択することで、選択された画面が表示されることになる。
【0008】
例えば、図9(a)に示す例では、A社向け、B社向けの各プログラマブル表示器のPOD画面ファイルは、何れも、メニュー選択画面、機械操作画面、及び操作ログ表示画面の複数の画面(そのデータ)で構成される。プログラマブル表示器において、まず最初に
メニュー選択画面が表示され、この画面上で例えば機械操作画面が選択されると、機械操作画面が表示されることになる。
【0009】
尚、図9(b)に示すように、上記メニュー選択画面、機械操作画面、操作ログ表示画面等の各画面を、予め決められている画面No.に割り当てて管理している。ここでは、POD画面は、画面No.=‘0’、‘1’、‘2’の3種類の画面から構成されるものと決められているものとする。
【0010】
ここで、メニュー選択画面には、社名や装置名等の固有名称を載せてあるものが多く、顧客毎に社名や装置名を変更する必要がある。一方、メニュー選択画面以外の画面は、各社共通で使用できる場合も少なくなく、図示の例では、機械操作画面と操作ログ表示画面は、A社とB社で同じものを使用している。
【0011】
また、特許文献1に記載の従来技術では、プログラマブル表示器に表示される画面上でキーワードが指定されると、そのキーワードに基づいてレシピ出力指示データからレシピデータの組み合わせを特定し、その組み合わせに基づいて各フォルダからレシピデータを読み出して、1つのまとまったレシピデータとして出力する。
【0012】
また、特許文献2に記載の従来技術では、プログラマブル表示器に表示される画面のデータ(画面ファイル)を複数含むプロジェクトファイルを複数、プログラマブル表示器の外部に設けられたプロジェクトファイル格納部やプログラマブル表示器内のFEPROMに分散して格納しておく。プロジェクト設定処理部は、プロジェクト登録データに基づいてプロジェクトファイルの格納先をリスト表示し、ユーザによってリストからプロジェクトファイルが1つ選択されると、使用するプロジェクトファイルをそのプロジェクトファイルに切り替えて、格納先からプログラマブル表示器のメモリに読み込む。
【特許文献1】特開2006−331272号公報
【特許文献2】特開2006−134097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記図9(a)に示す例において、例えば、A社、B社に同じ印刷機とプログラマブル表示器とで構成される装置を納品しており(これが図9(a)に示す状態である)、例えば数年後に印刷機を後継の印刷機2に変更することになった場合、A社向けのPOD画面ファイル、B社向けのPOD画面ファイルの両方を、印刷機2用に変更する必要があった。すなわち、図9(a)に示す状態から図10(a)に示す状態へ変更する必要があった。
【0014】
図10(a)に示すように、A社向けに納品されているプログラマブル表示器のPOD画面ファイル内の各画面データのうち、図9(a)に示す機械操作画面、操作ログ表示画面を、図10(a)に示す印刷機2用の画面(機械操作画面2、操作ログ表示画面2)に変更している。
【0015】
B社においても同様にして、機械操作画面2、操作ログ表示画面2への変更を行う必要がある。
これより、A社、B社何れの場合でも、上記POD画面の画面No.=‘0’、‘1’、‘2’に対して、新たに、メニュー選択画面、機械操作画面2、操作ログ表示画面2が対応付けられて管理される。
【0016】
上記の例は一例であり、この例に限らないが、納品後のメンテナンス作業として、納品されているプログラマブル表示器のPOD画面ファイル内の各画面データのうち、任意の
画面データを変更する必要がある場合であって、特に複数のユーザにおいて同じ画面データを変更する場合において、各ユーザ毎に逐一画面データを変更する作業を行う必要があり、手間が掛かっていた。
【0017】
あるいは、任意のユーザ向けのPOD画面ファイル内の上記変更対象の画面データを変更する作業を行った後、この変更後の画面データを他のユーザ向けのPOD画面変更に利用することも考えられる。しかしながら、保守員等がこの作業を行う場合、すなわち保守員等が他のユーザのところに行き、当該他のユーザに納品されているプログラマブル表示器における既存のPOD画面ファイルにおいて、変更対象の画面データを確認して、この画面データを上記変更後の画面データに入れ替える等の作業を行う場合、手間が掛かるうえに間違えて別の画面データを変えてしまう等のミスが生じる可能性がある。
【0018】
換言すれば、画面データが多岐、多品種に利用されている場合、その管理が複雑になり、特に多数のユーザ向けに共通で利用される画面データの変更等を行う場合には、膨大な手間が掛かることになり、またミスが生じ易くなる。
【0019】
本発明の課題は、POD画面の変更/更新等が必要になった場合であって特にPOD画面を構成する複数の画面のうち複数のユーザのプログラマブル表示器において共通で使用している画面を変更/更新/再利用等する場合に、手間が掛かることなく容易に且つミスが生じることなく、各ユーザそれぞれのプログラマブル表示器用のPOD画面の変更等を行えるPOD画面生成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のPOD画面生成装置は、複数の画面データより成るプログラマブル表示器用の画面ファイルを生成するPOD画面生成装置であって、任意の前記画面データを作成させる作画手段と、該作画手段により作成された各画面データを記憶する画面データ記憶手段と、前記画面データ記憶手段に記憶される各画面データに関して、その画面データが属する1又は複数のグループを指定させて記憶するグループ指定・記憶手段と、任意のグループの前記画面ファイル作成が要求されると、前記グループ指定・記憶手段を参照して、該作成対象のグループに属する全ての前記画面データを抽出して、該抽出した画面データに基づいて前記画面ファイルを生成する画面ファイル生成手段とを有する。
【0021】
例えば、前記各グループは各ユーザ会社に対応するものであり、前記画面ファイル生成手段は任意のユーザ会社向けのプログラマブル表示器用の画面ファイルを生成するものである。
【0022】
上記POD画面生成装置では、各画面データ毎にグループ指定を行うだけで、例えば各ユーザ会社毎のプログラマブル表示器用の画面ファイルが自動的に生成される。任意の画面データを変更する場合には、この変更版の画面データへグループ指定を行うだけで済む。特に、複数のユーザ会社向け画面ファイルで共通に使用される画面データを変更する場合には、この変更版の画面データへ各グループ指定(各ユーザ会社の指定)を行うだけで済む。従って、手間が掛かることなく容易に各ユーザそれぞれのプログラマブル表示器用のPOD画面の変更等を行える。また、ミスが生じ難くなる。
【0023】
また、例えば、前記プログラマブル表示器用の画面ファイルは予め決められている複数の画面種類の前記画面データより成り、前記画面データ記憶手段には、各画面種類毎に1又は複数の前記画面データが格納され、前記グループ指定・記憶手段において、前記各画面種類毎に1つの画面データのみが前記グループ指定の対象となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のPOD画面生成装置などによれば、POD画面の変更/更新等が必要になった場合であって特にPOD画面を構成する複数の画面のうち複数のユーザのプログラマブル表示器において共通で使用している画面を変更/更新/再利用等する場合に、手間が掛かることなく容易に且つミスが生じることなく、各ユーザそれぞれのプログラマブル表示器用のPOD画面の変更等を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に、本手法に係るPLCシステム全体の概略構成図を示す。
図1に示すPLC(プログラマブル・コントローラ)システムは、プログラマブル表示器1、PC(パソコン)6、外部機器3等から成る。プログラマブル表示器1は任意の通信ライン2によってPC6と接続しており、また任意の通信ライン7によって外部機器3と接続している。この外部機器3は、例えばコントローラ本体(PLC本体)等であり、また、外部機器3には例えば不図示の印刷機等が接続されている。
【0026】
PC6には、プログラマブル表示器用作画ソフト4とプログラマブル表示器用グループ編集ツール(ソフトウェア)5とが格納されている。
本手法は、主に、プログラマブル表示器用グループ編集ツール5に係るものであり、これは以下、グループ編集ツール5と記すものとする。
【0027】
従って、以下の説明は、主にグループ編集ツール5の処理機能を説明するものであり、当然、この処理機能は、PC(パソコン)6が実現する。すなわちPC(パソコン)6が有する不図示のCPUが、不図示の記憶装置(ハードディスク等)に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読み出し・実行することにより実現される。
【0028】
また、PC(パソコン)6は、プログラム開発者用のパソコンであってもよいし、メンテナンス(ここでは画面更新等)の為に各ユーザのところに行く保守員等が所持するパソコンであってもよい。保守員である場合、PC(パソコン)6を図1に示すように通信ライン2を介してプログラマブル表示器1に接続して、後述するように生成したPOD画面ファイルを、プログラマブル表示器1にダウンロードする。あるいは、プログラム開発者用のパソコンである場合は、PC(パソコン)6において後述するように生成したPOD画面ファイルを、保守員等が所持するパソコン又は例えばCFカード等の可搬型の記憶媒体に転送して記憶させて、保守員等が各ユーザ先でこれらパソコン又は可搬型記憶媒体をプログラマブル表示器1に接続して、上記POD画面ファイルをプログラマブル表示器1に格納させる。
【0029】
グループ編集ツール5は、複数種類のPOD画面(ここでは上記従来の例に応じて、A社向けPOD画面、B社向けPOD画面の2種類のPOD画面があるものとする)の編集・管理を行うものである。従来で説明したように、各POD画面は、複数の画面(スクリーン)より構成される。ここでは、上記従来の例と同様、メニュー画面、機械操作画面、及び操作ログ表示画面の3種類のスクリーンから構成されるものとする。
【0030】
そして、本手法では、図2(a)に示す画面構成テーブル10によって各画面(スクリーン)が管理されている。図示の例の画面構成テーブル10は、画面No.11、グループ12、画面内容13の各データ項目より成る。画面内容13は、ここでは上記POD画面を構成する各画面(スクリーン)のファイル名であると見做してよい。
【0031】
そして、画面内容13が示す各画面(スクリーン)毎に、それが属するグループ12と画面No.11が格納されている。グループ12は、上記A社向け、B社向けを意味し、図示のグループ12=‘A’がA社向け、グループ12=‘B’がB社向けを意味する。
【0032】
画面No.11は、画面内容13が示す各画面(スクリーン)毎に割り当てられる番号という意味ではなく、POD画面を構成するスクリーンの種類毎(上記例では3種類)に割り当てられる識別番号である。従って、例えば図示の例ではメニュー画面はA社メニュー画面、B社メニュー画面の2つが存在するが、両方とも画面No.11は‘0’である。
【0033】
また、機械操作画面、及び操作ログ表示画面は、A社,B社共通で使用しており、よって図示の通り、グループ12=‘A,B’となっている。また、画面No.11はそれぞれ図示の通り‘1’、‘2’となっている。
【0034】
図示の画面内容13が示す各画面(スクリーン)のデータ、すなわちA社メニュー画面、B社メニュー画面、機械操作画面、及び操作ログ表示画面の各画面データは、不図示の記憶装置(ハードディスク等)に格納されている。また、新たな画面データ(後述する機械操作画面2、操作ログ表示画面2等)が作成されると、この新たな画面データも不図示の記憶装置に格納される。画面データの作成は、開発者等がプログラマブル表示器用作画ソフト4の機能を利用して行う。
【0035】
これら記憶装置に記憶される各画面データは、各社毎に分類されて格納されているわけではなく、混在して格納されている。そして、グループ編集ツール5によって、任意の会社向けのPOD画面ファイル生成に必要な画面データが抽出されて編集されることになる。
【0036】
すなわち、本例では、A社向け、B社向けそれぞれのPOD画面を作成する際には、画面構成テーブル10を参照することで、各社それぞれに該当する各画面(スクリーン)のデータを抽出して、これに基づいて各社向けのPOD画面ファイルを作成する。
【0037】
これは図2(b)に示すように、例えばA社向けのPOD画面を作成する場合には、不図示の記憶装置(ハードディスク等)に格納されている各画面データのなかでグループAに属している画面データのみを抽出して、これらに基づいてA社向けのPOD画面を作成する。
【0038】
具体的には、画面構成テーブル10を参照することで、グループ12が‘A’となっているレコード(上記グループ12=‘A,B’のレコードも該当する)を全て抽出して、この抽出した各レコードの画面内容13が示す各画面(スクリーン)データを取得する。本例では、A社メニュー画面、機械操作画面、及び操作ログ表示画面の各画面データが抽出され、これらに基づいてA社向けのPOD画面ファイルが作成されることになる。
【0039】
B社向けのPOD画面を作成する場合も同様に、グループBに属している画面データのみを抽出してA社向けのPOD画面ファイルを作成する。
ここで、その後、上述した課題で説明した状況に応じて、A社、B社の両方で後継の印刷機2に対応するPOD画面へと変更する必要が生じた場合、本手法では、まず、機械操作画面2、操作ログ表示画面2の各画面データを新規作成し、これら新規作成した画面データに関する情報を、上記画面構成テーブル10に追加登録する。
【0040】
尚、新規画面データ作成の際に、ユーザ(開発者等)が、新規作成する画面データの名称と対応する画面No.を入力しており、これらに基づいて画面構成テーブル10の新規レコードが作成されることになる。
【0041】
尚、上記POD画面の変更の場合に限らず、特定の画面データ(特に複数のユーザ会社向け装置で共通に使用される画面データ)のみを更新する場合や、既存の画面データを再
利用する場合(任意の1つのユーザ会社の装置向けに作成した画面データを他のユーザ会社の装置向けのPOD画面作成に流用する等)にも、本手法は有効に適用できる。
【0042】
このときの画面構成テーブル10の状態は図示しないが、後述する図4(a)に示す状態を用いて説明するならば、図4(a)に示す状態との違いは、機械操作画面2、及び操作ログ表示画面2に対応するレコードのグループ12には何も格納されていない(空白の)状態となっている一方で、機械操作画面、及び操作ログ表示画面に対応するレコードは、図2(a)の状態のままであり、すなわちこれらレコードのグループ12には、‘A,B’が格納されている。
【0043】
この状態で、ユーザが所定の指示操作を行うと、各グループの選択画面が表示され、ユーザはこの選択画面上で所望の画面を選択する。例えば、ユーザがグループAの選択指示操作を行うと、図3に示すグループAの選択画面20が表示される。
【0044】
図示の選択画面20は、グループA選択21、画面No.22、名称23、更新日24、備考25等から成る。画面No.22、名称23、更新日24、備考25には、基本的に、画面構成テーブル10の内容が表示される。尚、図2(a)には示していないが、更新日24、備考25に相当するデータも、画面構成テーブル10に格納されているものとする。また、尚、名称23には画面内容13のデータが表示される。
【0045】
グループA選択21は、ユーザが所望の画面を選択する為の入力欄であり、図示の丸印が選択されたことを示す。従って、図示の例では、A社メニュー画面、機械操作画面2、及び操作ログ表示画面2が選択されている。
【0046】
グループBについても、同様にして、不図示のグループBの選択画面を表示させて、所望の画面をユーザが選択・入力する。ここでは、B社メニュー画面、機械操作画面2、及び操作ログ表示画面2が選択されるものとする。
【0047】
以上述べた選択処理を実行することで、画面構成テーブル10の内容は図4(a)に示す状態となる。図示の通り、機械操作画面2及び操作ログ表示画面2に対応するレコードのグループ12には‘A,B’が格納されることになる。一方、機械操作画面及び操作ログ表示画面に対応するレコードのグループ12は空白となっている。
【0048】
従って、この状態の画面構成テーブル10を参照して図2(b)で説明した画面抽出処理を実行することで、図4(b)に示すように、例えばA社向けであれば、A社メニュー画面、機械操作画面2、及び操作ログ表示画面2が抽出されることになり、これによりA社向けであって且つ後継の印刷機2に対応するPOD画面ファイルが作成されることになる。B社向けのPOD画面ファイル作成に関しても同様である。
【0049】
その後は、作成された各POD画面ファイルを、それぞれ、A社、B社それぞれに設置されているプログラマブル表示器1にダウンロードするだけなので、従来のように手間が掛かることなく且つミスが生じることもなく、POD画面の変更が行えることになる。
【0050】
図5に、上記A社向けのPOD画面ファイル作成処理のフローチャート図を示す。
図示の処理では、A社向けのPOD画面ファイルである画面ファイルAの新規作成がユーザ等によって指示されると(ステップS1)、まず所定の変数Nに初期値‘1’を代入し(ステップS2)、その後、画面構成テーブル10の各レコードを順次参照して、ステップS3〜S6の処理を繰り返し実行する。尚、画面ファイルAは初期状態ではデータは何も無い。
【0051】
すなわち、画面構成テーブル10の処理対象レコードのグループ12を参照して、‘A’が格納されているか否かをチェックする。つまり、処理対象の画面がグループAに属しているか否かをチェックする(ステップS3)。もし、グループAに属しているならば(ステップS3,YES)、この処理対象レコードの画面内容13が示す画面(スクリーン)データを取得して、これを画面ファイルAに結合する(ステップS4)。尚、“結合する”とは、例えば画面データを画面ファイルA内に所定の形式で格納することを意味する。画面ファイル内での各画面データの格納形式は、従来通りであり、特に説明しない。
【0052】
そして、Nが登録画面数以上であるか否かをチェックする(ステップS5)。つまり、Nが画面構成テーブル10のレコード数以上であるか否か、換言すれば画面構成テーブル10の全レコードについて処理を実行したか否かをチェックする。
【0053】
Nが登録画面数未満であれば(ステップS5,NO)、「N=N+1」として(ステップS6)、ステップS3に戻る。尚、ステップS3がNOの場合も、ステップS6を実行してステップS3に戻る。
【0054】
尚、上述した説明は、一例の説明であり、これに限るものではない。本手法は、基本的には、POD画面を構成するスクリーンの種類毎(上記例では3種類)に、それぞれ、複数のスクリーンを用意することを可能とし、これらスクリーンに関する情報を画面構成テーブル10に登録しておき、各種類毎に所望のスクリーンをユーザに選択させることで、手間が掛かることなく容易に所望のPOD画面ファイルを生成することができるものである。
【0055】
例えば、図6に示すように、任意のスクリーン種類(図示の例ではスクリーン0について示すが、他のスクリーン1等に関しても同様。尚、スクリーン0,1の‘0’や‘1’は上記画面No.11に相当する)毎に複数のスクリーンを用意する。
【0056】
図6に示す例では、スクリーン0に関して、図示の4色用、8色用、16色用の3種類のスクリーンが作成されている。特に図示しないが、これらは画面構成テーブル10に登録されている。そして、ユーザは、スクリーン0に関して、4色用、8色用、16色用の3種類のスクリーンの中から所望のスクリーンを選択する。特に図示しないが、他のスクリーン1等に関しても同様にして選択を行う。これによって、容易に、所望のPOD画面を生成することができる。
【0057】
また、上記説明にはないが、図3に示す設定画面において、例えば同じ画面No.のレコードが複数選択された場合には、エラー表示したり、選択入力を受付けないようにしてもよい。この様にすることでミスが生じ難くなる。
【0058】
あるいは、例えば画面内容13に格納される画面名称に“メニュー”が含まれている場合には、その画面データは各ユーザ会社毎に個別の画面データであり共通して利用されるものではないと判定するようにしてもよい。そして、もし、この様な画面データに対して、複数グループ(例えば上記AとB)を設定しようとした場合にも、エラー表示したり、選択入力を受付けないようにしてもよい。この様にすることで、ミスが生じ難くなる。すなわち、各画面データ毎に、それが各ユーザ会社毎に個別のものか、あるいは共通で使用できるものかを判別できるような情報もテーブル10に格納しておくことで、ミスが生じ難くなる。
【0059】
尚、図6に示す共通設定、ライブラリは、例えばスクリーン上に配置されるスイッチ、メータ等の所謂“部品”のデータ等であり、ここでは特に関係ないものである。
図7に、上記PC6(コンピュータ)のハードウェア構成を示す。
【0060】
図7に示すコンピュータ30は、CPU31、メモリ32、入力部33、出力部34、記憶部35、記録媒体駆動部36、及びネットワーク接続部37を有し、これらがバス38に接続された構成となっている。
【0061】
CPU31は、当該コンピュータ30全体を制御する中央処理装置である。
メモリ32は、任意の処理実行の際に、記憶部35(あるいは可搬型記録媒体39)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRAM等のメモリである。CPU31は、メモリ32に読み出したプログラム/データを用いて、各種処理を実行する。
【0062】
出力部34は、例えばディスプレイ等であり、入力部33は、例えば、キーボード、マウス等である。
ネットワーク接続部37は、例えば不図示のネットワークに接続して、他の情報処理装置との通信(コマンド/データ送受信等)を行う為の構成である。
【0063】
記憶部35は、例えばハードディスク等であり、上述したグループ編集ツール5の処理機能(上述した各種処理(図5のフローチャートの処理も含む))をCPU31により実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。また、上記画面構成テーブル10等のデータも格納されている。
【0064】
CPU31は、上記記憶部35に格納されている各種プログラムを読み出し・実行することにより、上述したグループ編集ツール5の各種機能・処理を実現する。
あるいは、上記記憶部35に格納される各種プログラム/データは、可搬型記録媒体39に記憶されているものであってもよい。この場合、可搬型記録媒体39に記憶されているプログラム/データは、記録媒体駆動部36によって読み出される。可搬型記録媒体39とは、例えば、FD(フレキシブル・ディスク)39a、CD−ROM39b、その他、DVD、光磁気ディスク等である。
【0065】
あるいは、また、上記プログラム/データは、ネットワーク接続部37により接続しているネットワークを介して、他の装置内に記憶されているものをダウンロードするものであってもよい。あるいは、更に、インターネットを介して、外部の他の装置内に記憶されているものをダウンロードするものであってもよい。
【0066】
また、本発明は、上記本発明の各種処理をコンピュータ上で実現するプログラムを記録した可搬型記憶媒体として構成できるだけでなく、当該プログラム自体として構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本手法に係るPLCシステム全体の概略構成図である。
【図2】(a)は画面構成テーブル(更新前)、(b)はPOD画面生成処理を説明する為の図である。
【図3】選択画面の一例である。
【図4】(a)は画面構成テーブル(更新後)、(b)はPOD画面生成処理を説明する為の図である。
【図5】POD画面生成の為の画面抽出処理のフローチャート図である。
【図6】本手法の他の適用例を説明する為の図である。
【図7】コンピュータ・ハードウェア構成図である。
【図8】従来のPLCシステム全体の概略構成図である。
【図9】(a)、(b)は従来のPOD画面の構成を説明する為の図である。
【図10】(a)、(b)は図9に示すPOD画面の変更を説明する為の図である。
【符号の説明】
【0068】
1 プログラマブル表示器
2,7 通信ライン
3 外部機器
4 プログラマブル表示器用作画ソフト
5 プログラマブル表示器用グループ編集ツール
6 PC(パソコン)
10 画面構成テーブル
11 画面No.
12 グループ
13 画面内容
20 選択画面
21 グループA選択
22 画面No.
23 名称
24 更新日
25 備考
30 コンピュータ
31 CPU
32 メモリ
33 入力部
34 出力部
35 記憶部
36 記録媒体駆動部
37 ネットワーク接続部
38 バス
39 可搬型記録媒体
39a FD(フレキシブル・ディスク)
39b CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画面データより成るプログラマブル表示器用の画面ファイルを生成するPOD画面生成装置であって、
任意の前記画面データを作成させる作画手段と、
該作画手段により作成された各画面データを記憶する画面データ記憶手段と、
前記画面データ記憶手段に記憶される各画面データに関して、その画面データが属する1又は複数のグループを指定させて記憶するグループ指定・記憶手段と、
任意のグループの前記画面ファイル作成が要求されると、前記グループ指定・記憶手段を参照して、該作成対象のグループに属する全ての前記画面データを抽出して、該抽出した画面データに基づいて前記画面ファイルを生成する画面ファイル生成手段と、
を有することを特徴とするPOD画面生成装置。
【請求項2】
前記各グループは各ユーザ会社に対応するものであり、前記画面ファイル生成手段は任意のユーザ会社向けのプログラマブル表示器用の画面ファイルを生成するものであることを特徴とする請求項1記載のPOD画面生成装置。
【請求項3】
前記プログラマブル表示器用の画面ファイルは予め決められている複数の画面種類の前記画面データより成り、
前記画面データ記憶手段には、各画面種類毎に1又は複数の前記画面データが格納され、
前記グループ指定・記憶手段において、前記各画面種類毎に1つの画面データのみが前記グループ指定の対象となることを特徴とする請求項1又は2記載のPOD画面生成装置。
【請求項4】
複数の画面データより成るプログラマブル表示器用の画面ファイルを生成するコンピュータを、
任意の前記画面データを作成させる作画手段と、
該作画手段により作成された各画面データを記憶する画面データ記憶手段と、
前記画面データ記憶手段に記憶される各画面データに関して、その画面データが属する1又は複数のグループを指定させて記憶するグループ指定・記憶手段と、
任意のグループの前記画面ファイル作成が要求されると、前記グループ指定・記憶手段を参照して、該作成対象のグループに属する全ての前記画面データを抽出して、該抽出した画面データに基づいて前記画面ファイルを生成する画面ファイル生成手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−59212(P2009−59212A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226674(P2007−226674)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(591016253)発紘電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】