説明

POSレジスタ

【課題】オペレータが、他の顧客の登録データに対して商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができる。
【解決手段】RAM420は、登録処理によって登録された顧客の商品に関する買上情報を顧客毎に記憶する。タッチパネル付表示部20は、RAM420が記憶した買上情報のうち、登録処理あるいは会計処理を行う顧客の買上情報を表示する。制御部410は、タッチパネル付表示部20が表示している顧客の買上情報の会計処理が完了したときに、RAM420が記憶する登録処理あるいは会計処理が完了していない顧客の買上情報をタッチパネル付表示部20に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPOSレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
POSレジスタは、スーパーマーケットあるいはコンビニエンスストア等にて広く利用されている。特許文献1では、現在対応している客(現客)に対する操作を一時保留し、次に対応する客(次客)が買い上げる商品の割り込み登録処理を行うことができるPOSレジスタにおいて、保留状態にあった現客の支払いを処理すると同時に、次客が買い上げる商品の割り込み登録処理を継続できるようにする方法が提案されている。
【0003】
特許文献1のPOSレジスタにおいては、現客の商品登録処理あるいは登録された商品の会計処理を一時保留にし、次客が購入する商品の登録処理あるいは会計処理を行う場合、一時保留とした現客の処理に番号を付し、その後、一時保留とした現客の処理を再度行う場合、一時保留時に付した番号あるいはこの番号と対応した保留キーをオペレータが操作することにより、一時保留とした現客の処理途中の登録データを読み出し、追加商品の登録あるいは会計を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−54258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるものでは、オペレータが現客と一時保留とした現客の処理に付された番号とを関連付けて記憶しており、一時保留とした現客の処理を再度実行する場合、オペレータは現客を確認し、現客に関連付けて記憶している番号を入力指定あるいは選択操作し、一時保留とした現客の処理途中の登録データの呼び出しを行っている。そのため、オペレータが、他の顧客の買上情報を間違えて呼び出し、他の顧客の登録データに対して商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうという問題がある。また、オペレータがそのような操作間違え等を発生させた場合には、商品の登録の訂正を行う必要があるため、会計がスムーズに行うことができず、レジ前が会計処理待ちの顧客で混雑してしまう問題も発生する。
【0006】
また、上述の特許文献1に示されるものでは、現客と一時保留とした現客の処理時に付された番号との関連付けに基づいて、オペレータが顧客と保留キーとの対応付けを全て記憶しなければならないため、3人以上の顧客が購入する商品の登録処理を行うPOSレジスタに適応させることはできない。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明は、オペレータが、他の顧客の登録データに対して商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができるPOSレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顧客が購入する商品の登録から会計完了していない複数の顧客の取引情報を記憶して、登録処理あるいは会計処理を並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、前記登録処理によって登録された顧客の商品に関する買上情報を前記顧客毎に記憶する取引記憶手段と、前記登録処理中あるいは会計処理中の顧客の買上情報を表示する兼用の取引表示手段と、前記取引表示手段が表示している顧客の前記買上情報の会計処理が完了したときに、前記取引記憶手段が記憶する前記登録処理あるいは会計処理が完了していない顧客の買上情報を前記取引表示手段に表示させる表示切替手段と、を備えた事を特徴とするPOSレジスタである。
【0009】
この構成によれば、顧客が購入する商品の登録から会計完了していない複数の顧客の取引情報を記憶して、登録処理あるいは会計処理を並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、取引記憶手段は、登録処理によって登録された顧客の商品に関する買上情報を顧客毎に記憶する。また、取引表示手段は、登録処理中あるいは会計処理中の顧客の買上情報を表示する。また、表示切替手段は、取引表示手段が表示している顧客の買上情報の会計処理が完了したときに、取引記憶手段が記憶する登録処理あるいは会計処理が完了していない顧客の買上情報を取引表示手段に表示させる。
【0010】
これにより、オペレータは、次に登録処理あるいは会計処理を行う顧客の買上情報を取引表示装置に表示させるための操作(手動操作)を行う必要がなくなるため、他の顧客の買上情報を間違えて呼び出して会計処理を行ったり、他の顧客の買上情報に間違えて商品の追加登録を行ってしまうということを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明のPOSレジスタにおいて、前記取引表示手段は、前記買上情報を顧客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを複数表示し、前記表示切替手段は、前記取引表示手段が表示している顧客の前記買上情報の会計処理が完了したときに、当該顧客の買上情報の対応付けを前記インデックスから消去し、前記顧客が会計を済ませた後当該POSレジスタから離脱する方向に基づいて、前記対応付けを消去したインデックスより前記POSレジスタから離脱する方向上流側の前記インデックスと、該インデックスに対応付けられた顧客毎の前記買上情報とを、前記対応付けを消去したインデックスより順次表示させることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、取引表示手段は、買上情報を顧客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを複数表示する。表示切替手段は、取引表示手段が表示している顧客の買上情報の会計処理が完了したときに、当該顧客の買上情報の対応付けをインデックスから消去し、顧客が会計を済ませた後当該POSレジスタから離脱する方向に基づいて、対応付けを消去したインデックスよりPOSレジスタから離脱する方向上流側のインデックスと、該インデックスに対応付けられた顧客毎の買上情報とを、対応付けを消去したインデックスより順次表示させる。
【0013】
これにより、会計処理を完了した顧客がPOSレジスタより離脱し、会計処理を待っている他の顧客が会計処理のために空いた領域に順に移動しても、インデックスに表示される内容が、移動した顧客と同じ方向に移動するため、顧客の並びとインデックスの表示順とが常に対応する。よって、他の顧客の買上情報を間違えて呼び出して会計処理を行ったり、他の顧客の買上情報に間違えて商品の追加登録を行ってしまうということを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明のPOSレジスタにおいて、前記表示切替手段は、前記買上情報を特定する情報を前記インデックスに対応付ける際に、前記買上情報の数より前記インデックスの数が多い場合、前記買上情報を対応付けることができないインデックスを空の状態で表示させることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、表示切替手段は、買上情報を特定する情報をインデックスに対応付ける際に、買上情報の数よりインデックスの数が多い場合、買上情報を対応付けることができないインデックスを空の状態で表示させる。
【0016】
これにより、オペレータは、会計の列に入って来た新しい顧客と空のインデックスとを対応付けることが容易となるので、空の状態で表示されているインデックスを選択し登録処理を行い、次に登録処理あるいは会計処理を行う顧客が購入しようとする商品の登録処理あるいは会計処理をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現客の会計が完了すると、買上情報を順次切り替えて表示させるので、オペレータが、他の顧客の登録データに対して商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態におけるPOSレジスタの外観を示した概略図である。
【図2】本実施形態における端末装置の外観を表した斜視図である。
【図3】本実施形態における精算装置の外観を表した斜視図である。
【図4】本実施形態におけるPOSレジスタの電気的な構成を示したブロック図である。
【図5】本実施形態におけるRAMのメモリマップを示した図である。
【図6】本実施形態におけるタッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面を模式的に表した図である。
【図7】本実施形態におけるタッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面を模式的に表した図である。
【図8】本実施形態におけるタッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面の表示例を示した図である。
【図9】本実施形態における会計の流れとインデックスの配列との関係を示した図である。
【図10】本実施形態における商品登録処理及び会計処理の手順を示したフローチャートである。
【図11】本実施形態におけるインデックスの表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態におけるPOSレジスタの外観を示した概略図である。図1(A)は、POS(Point Of Sales)レジスタ1の上面図である。図1(B)はPOSレジスタ1の正面図である。POSレジスタ1は、チェックアウトカウンタ60を備える。チェックアウトカウンタ60は、分離可能なテーブル60a,60b,60c,60dから構成される。なお、チェックアウトカウンタ60が1つのテーブルで構成されていてもよく、分離区分の形態は上記に限られない。
【0020】
テーブル60aは、商品登録前の商品を収納した籠が置かれるテーブルである。テーブル60dは、商品登録後の商品を収納した籠が置かれるテーブルである。テーブル60bには、手前側に籠を置くことのできる領域を確保して、スキャナ10とPOS端末2とが設置されている。また、テーブル60bの収納部には、釣銭機70及びドロア80が収納されている。テーブル60cには、手前側に籠を置くことのできる領域を確保して、精算装置3が、少なくとも図面において左右に移動可能に設置されている。そして、端末装置2には、スキャナ10と、釣銭機70と、ドロア80と、精算装置3とが接続されている。
【0021】
オペレータ(店員)Sは、テーブル60b及び60cの前側に、端末装置2及びスキャナ10の操作可能な位置に立つものとする。そして、顧客C1、C2、C3は、テーブル60b及び60cを挟んで、オペレータSと対向する側に立つものとする。会計処理待ちの列は、先頭が顧客C1で、以下、C2、C3の順に並んでいるものとする。
【0022】
端末装置2は、タッチパネル付表示部20と、キー操作部30と、第1顧客用表示部40と、印字部50とを備えている。図2は、端末装置2の外観を表した斜視図である。図2(A)は端末装置2をオペレータS側から斜視した図である。図2(B)は端末装置2を顧客C1側から斜視した図である。これら2つの図から明らかなように、端末装置2の各部は一体的に組み合わされて構成されている。
【0023】
精算装置3は、第2顧客用表示部90と、金銭置台100と、電子マネーリーダ・ライタ110とを備えている。図3は、精算装置3の外観を表した斜視図である。この図は、精算装置3を顧客C1側から斜視した図である。この図に表されているように、精算装置3の第2顧客用表示部90と、金銭置台100と、電子マネーリーダ・ライタ110とは、支持台3aに取り付けられている。
【0024】
上述の例では、オペレータSが1人で操作する1人制で運用しているが、このPOSレジスタ1は、商品の登録処理と、会計処理とを別々のオペレータで行う2人制の運用にも対応している。
【0025】
図4は、POSレジスタ1の電気的な構成を示したブロック図である。この図において、図1に示した構成に対応するブロックには同一の符号を付している。制御部410(表示切替手段)は、CPU(中央処理装置)を含み、同図に示した各部を制御するものである。ハードディスク430は、制御部410において実行される制御プログラムや商品ファイル等を格納するものである。この商品ファイルは、商品名、販売価格等の商品情報を商品コードに関連付けてデータ構成したファイルである。RAM420(取引記憶手段)は、制御部410のCPUによりハードディスク430から読み出されて実行される制御プログラムやワークエリアが展開されるメモリである。このワークエリアについては、後に詳細を説明する。また、RAM420には、ハードディスク430に格納された商品ファイルのデータが、制御プログラムの実行によって読み出されて展開される。通信部440は、外部のコンピュータと接続されることにより通信を行うものである。
【0026】
スキャナ10は、商品に付されたバーコードが不図示のバーコード読取部にかざされると、バーコード読取部がバーコードをスキャンして商品コードを読み取り制御部410に送信するものである。キー操作部30は、オペレータSによって操作されるキーボードタイプの入力手段であり、テンキー、小計ボタン、現計ボタン等の商品登録作業及び会計処理作業において使用されるキーが設けられている。キー操作部30からは、キー操作に応じたキー操作信号が制御部410に送信される。タッチパネル付表示部20(取引表示手段)は、オペレータSに操作させるためのタッチパネルを備えた表示装置である。タッチパネル付表示部20からは、タッチ操作に応じたタッチパネル操作信号が制御部410に送信される。
【0027】
制御部410は、タッチパネル付表示部20に、オペレータSにタッチ操作をさせるためのGUI操作画面を表示させる。そして、制御部410は、スキャナ10から送信された商品コードを受信すると、その商品コードに基づいて商品ファイルから商品コードに関連付けられた商品情報を読出してRAM420のワークエリアに記憶させる。また、制御部410は、タッチパネル付表示部20から送信されたタッチパネル操作信号と、キー操作部30から送信されたキー操作信号とを受信し、これらの操作信号に基づく所定情報とワークエリアに記憶された買上明細情報とに基づいて、商品登録処理及び会計処理を選択的に実行する。これら商品登録処理及び会計処理の詳細については後述する。
【0028】
第1顧客用表示部40は、制御部410の制御により、商品ごとの商品別会計情報を表示するものである。具体的には、第1顧客用表示部40は、例えば、商品ごとの商品名、販売価格、個数を商品別会計情報として表示する。印字部50は、キー操作部30の現計ボタンが押下された場合に、レシートを印刷するものである。釣銭機70は、商品登録処理によって算出された、顧客に対する取引全体の買上合計金額と、顧客から預かった預金の金額とに基づき制御部410によって計算された金額の釣銭を排出するものである。ドロア80は、紙幣及び貨幣を収納する収納部である。
【0029】
第2顧客用表示部90は、制御部410の制御により、顧客に対する買上合計金額、顧客からの預かり金の金額、及び釣銭の金額を表示するものである。電子マネーリーダ・ライタ110は、顧客からの電子マネー対応カード又は電子マネー機能を備えた携帯端末(以下、電子マネー対応カード等と略記する。)による電子決済の要望により用いられるものである。電子マネーリーダ・ライタ110を用いる場合、キー操作部30の操作に基づいて、制御部410が電子マネーリーダ・ライタ110を、電子マネー対応カード等を受付可能な状態になるように制御する。そして、電子マネー対応カード等が使用されると、買上合計金額を支払い金額として決済処理が行われる。
【0030】
図5は、RAM420のメモリマップを示した図である。同図に示すように、RAM420にはメモリマップ600で示されるデータ構造を有したワークエリアが展開される。そして、このワークエリアには、顧客エリア610、620、630と、これら顧客エリア610、620、630のうちいずれかを選択するための呼出ポインタ640とが含まれている。顧客エリア610、620、630には、顧客毎に、顧客の買い上げた品名や個数、買上合計金額と、置数等の情報が記憶されている。呼出ポインタ640には、各顧客エリア610、620、630の記憶位置を指し示すアドレスが記憶されている。
【0031】
図6および図7は、タッチパネル付表示部20が表示するGUI操作画面500を模式的に表した図である。図6に示すように、GUI操作画面500は、顧客情報画面501aと、顧客情報画面501bと、顧客情報画面501cとを重ねたような構造となっており、図示する例では顧客情報画面501aが最上面に表示されている。顧客情報画面501a〜501cに表示される買上情報は、RAM420の顧客エリア610、620、630の情報に基づいている。各顧客情報画面501a〜501cの下部には、各顧客の買上情報を選択するためのインデックス540a〜540cが設けられている。
【0032】
図7(A)は、顧客情報画面501aを示した図である。また、図7(B)は、顧客情報画面501bを示した図である。また、図7(C)は、顧客情報画面501cを示した図である。図7(A)〜図7(C)に示すように、各顧客情報画面501a〜501cには、プリセットキーエリア510と、買上明細エリア520と、会計情報エリア530とが含まれている。会計情報エリア530には、買上明細登録された商品別買上情報のうち最新の商品別会計情報に含まれる商品名を表示するための品名エリア531と、その商品の販売価格を表示するための金額エリア532と、顧客の買上個数を表示するための個数エリア533と、顧客に対する取引全体の買上合計金額を表示するための合計金額エリア534と、キー操作部30のキー操作、又はプリセットキーエリア510のタッチ操作によって顧客の預かり金額が入力された場合に、その額を表示するための置数エリア535とが含まれている。
【0033】
次に、本実施形態における商品登録処理及び会計処理について説明する。図1に示したように、顧客C1が会計処理待ちの列の先頭に並んでおり、以下、C2、C3の順に並んでいるものとする。
【0034】
顧客C1が精算を行う場合、顧客C1は、テーブル60aに購入した商品を収納した籠を置く。オペレータSは、顧客C1が購入したい商品を籠から取り出し、商品に付されたバーコードにスキャナ10をかざして、商品の登録処理を行う。なお、商品の登録処理は、タッチパネルやキーボードを使う場合もある。商品登録を行うと、第1顧客用表示部40には、商品ごとの商品名、販売価格、個数等の買上情報が表示される。そして、全ての商品の登録処理が完了すると、オペレータSは、キー操作部30の小計ボタンを押下する。小計ボタンを押下すると、登録した商品の合計金額が第1顧客用表示部40から第2顧客用表示部90に表示される。
【0035】
登録処理が完了すると、オペレータSは顧客C1の登録済みの商品を入れた籠をテーブル60dの上に置き、合計金額を顧客C1に提示して、顧客C1が現金を用意するのを待つ。顧客C1は提示された合計金額に応じて現金を用意する。顧客C1が現金を用意できれば、オペレータSは、顧客C1から現金を預かり、キー操作部30に預かり金を入力して、キー操作部30の現計ボタンを押下する。現計ボタンが押下されると、釣り銭が計算され、第2顧客用表示部90に釣り銭が表示される。また、釣銭機70から釣り銭が排出され、印字部50から、レシートが印刷される。オペレータSは、顧客C1から預かった現金をドロア80内に収納し、顧客C1に釣り銭とレシートを渡して、会計処理を終了する。
【0036】
上述の操作は、登録処理及び会計処理がスムーズに行われている場合である。しかしながら、常に登録処理及び会計処理がスムーズに行われるとは限らない。例えば、顧客C1が、買い忘れた商品に気づき、商品を売り場まで取りに行くような場合が想定される。また、例えば、顧客C1の会計処理を行う際に、顧客C1が財布から現金を探すのに手間取るような場合が想定される。このような場合に、顧客C1の登録処理や会計処理を、次の顧客C2(次に続く顧客)が購入しようとする商品の登録処理に切り替えることができれば、効率的に登録処理及び会計処理を行うことができる。
【0037】
本実施形態では、このような場合、RAM420に一時記憶する顧客C1の買上情報から、顧客C2の登録処理に移る。そして、顧客C2の登録処理及び会計処理が終了した場合、顧客C1の登録処理及び会計処理を再開するために、自動的に一時記憶した顧客C1の買上情報がGUI操作画面500に表示される。
【0038】
なお、買上情報は、図5に示したように、RAM420の顧客エリア610、620、630に記憶される。そして、次の顧客C2の会計処理が完了したときに、登録処理や会計処理が完了していない顧客(この場合顧客C1)の買上情報がRAM420にある場合には、この登録処理や会計処理が完了していない顧客の買上情報をタッチパネル付表示部20が表示するGUI操作画面500に表示させる。
【0039】
図8は、タッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面500の表示例を示した図である。例えば、顧客C1の会計処理を行う際には、図8(A)に示すように、インデックス540aと対応付けられた顧客C1の買上情報がGUI操作画面500に表示される。また、顧客C1の会計処理中から次の顧客C2の登録処理を行うときには、図8(B)に示すように、インデックス540bと対応付けられた顧客C2の買上情報をGUI操作画面500に表示させる。そして、顧客C2の登録処理を終了すると、図8(C)に示すように、自動的に、インデックス540aと対応付けられた会計処理待ちとなっている顧客C1の買上情報の表示に切り替えられる。なお、顧客C2の登録処理及び会計処理は終了しているため、インデックス540b(顧客情報画面501b)には顧客C3の登録情報が表示され、インデックス540c(顧客情報画面501c)には何も表示されない。また、制御部410の制御により、タッチパネル付表示部20は買上情報やインデックス540a〜540cの表示を行う。
【0040】
このように、本実施形態では、ある顧客が購入する商品の会計処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理および会計処理に切り替え、次に続く顧客の会計処理を完了した場合、オペレータSが特別な操作を行うことなく、会計処理を切り替えた顧客の買上情報が自動的に表示される。そのため、オペレータSは、次に会計処理を行う顧客の買上情報を取引表示装置に表示させるための操作(手動操作)を行う必要がなくなるため、他の顧客の買上情報を間違えて呼び出して会計処理を行ったり、他の顧客の買上情報に間違えて商品の追加登録を行ってしまうということを防ぐことができる。
【0041】
さらに、会計途中で切り替えた会計処理の買上情報を優先的に取引表示手段に表示させるため、会計処理を待っている顧客に対して優先的に対応を行うことができるため、会計処理をスムーズに行うことができ、レジの前に並んでいる会計処理待ちの顧客の混雑を緩和させることができる。
【0042】
また、図6に示したように、本発明の第1の実施形態では、タッチパネル付表示部20に表示されるGUI操作画面500は、顧客情報画面501aと、顧客情報画面501bと、顧客情報画面501cとを重ねたような構造となっており、各顧客情報画面501a〜501cの下部には、各顧客の買上情報を選択するためのインデックス540a〜540cが設けられている。このインデックス540a〜540cの配列順は、会計処理待ちの顧客の先頭から順に、退出方向に対応付けられる。このインデックス540a、540b、540cの方向は、退出方向を示す退出方向フラグにより設定できる。また、前記退出方向フラグに限らず、プログラムに顧客がPOSレジスタより離脱する方向を持つようにしてもよい。
【0043】
図9は、会計の流れと、インデックス540a〜540cの配列との関係を示した図である。例えば、顧客C1、C2、C3の順に、会計処理待ちを行っているとする。図9(A)は、顧客C1は会計中であり、顧客C2が会計処理待ちであり、顧客C3が商品登録処理中の場合の例を示している。この場合、図9(C)に示すように、会計処理待ちの顧客C1、C2、C3の順とインデックス540a、540b、540cの順とが対応付けられるように、GUI操作画面500はインデックス540a〜540cを表示する。
【0044】
ここで、顧客C1の会計処理が終了すると、図9(B)に示すように、顧客C1は会計処理待ちの列から退出し、顧客C2が会計処理待ちの列の先頭となる。これに対応して、図9(D)に示すように、GUI操作画面500は、次に会計処理待ち行列の先頭となる顧客C2の買上情報がインデックス540aに表示されるようにインデックス540aを表示し、顧客C3の買上情報がインデックス540bに表示されるようにインデックス540bを表示する。すなわち、商品の会計が完了した顧客があった場合には、退出方向フラグの示す方向A1に基づき、商品の会計が完了した顧客に対応付けたインデックスを次の順番の顧客に対応付け、これに続く順番の顧客に対応付けるインデックスを順にシフトさせる。顧客C4の会計は未だに行われておらず、インデックス540cと対応つける情報はないので、インデックス540cは空となる。
【0045】
このように、会計処理が完了した顧客C1がPOSレジスタ1から離れ、会計処理待ちの顧客C2,C3が順に前に移動しても、移動した顧客と同じ方向にインデックス540a〜540cに対応づけた顧客の並びが変化するので、オペレータSは、顧客と顧客の情報を表示するインデックス540a〜540c(顧客情報画面501a〜501c)との関連を間違えることが無くなる。そのため、オペレータSが、他の顧客の買上情報を間違えて呼び出し、商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができる。
【0046】
次に、本実施形態における商品登録処理及び会計処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。図10は、商品登録処理及び会計処理の手順を示したフローチャートである。
【0047】
最初に、タッチパネル付表示部20のGUI操作画面500には、初期画面が表示される(ステップS301)。商品登録処理では、オペレータSは、顧客が購入しようとしている商品に付されたバーコードをスキャナ10で読み取る操作を行う。制御部410は、このバーコードで示される商品コードの読み込みを行う(ステップS302)。商品コードが読み込まれると、制御部410は、ハードディスク430から、その商品コードに関連付けて格納された商品名や販売価格等の商品情報を検索してGUI操作画面500に表示する(ステップS303)。そして、制御部410は、買上商品の登録を行う(ステップS304)。ステップS304で、買上商品が登録されたら、制御部410は、キー操作部30中の小計ボタンが押下されたかどうかを判定する(ステップS305)。
【0048】
顧客が購入したい商品の登録が完了すると、オペレータSは、小計ボタンを押下することになる。そして、預かり金額を入力して、現計ボタンを押下して、会計処理を行うことになる。
【0049】
ステップS305で、小計ボタンが押下されたと判定されると(ステップS305のYes)、制御部410は、買上合計金額を第1顧客用表示部40及び第2顧客用表示部90に表示させる(ステップS306)。そして、制御部410は、預かり金額を登録する(ステップS307)。その後、制御部410は、現計ボタンが押下されたかどうかを判定する(ステップS308)。
【0050】
顧客が購入代金を用意できれば、オペレータSは、現計ボタンを押下することになる。ステップS308で、現計ボタンが押下されたと判定されると(ステップS308のYes)、制御部410は印字部50にレシートを印字させる(ステップS309)。そして、オペレータSは、代金を受け取り、釣り銭を処理し、顧客に釣り銭とレシートを渡す。このようにして会計処理が終了すると、制御部410は、会計済み情報を記憶させ(ステップS310)、ステップS314に進む。
【0051】
通常の商品の登録処理及び会計処理は、上述のように、商品コードの読み込みを行って登録処理を行い(ステップS302〜S304)、登録処理が完了すると、小計ボタンを押下して顧客に金額を提示し(ステップS305〜S307)、現計ボタンを押下し、代金を受け取り、釣り銭を処理し、レシートを顧客に渡すことで(ステップS308〜S309)、会計処理を完了する。
【0052】
ところが、商品の登録処理を行っている際に、例えば顧客が買い忘れの商品を売り場に取りに行くような場合がある。このような場合には、オペレータSは、商品を売り場に取りに行った顧客の商品の登録処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替えて処理を行う。
【0053】
以下、ある顧客が購入する商品の登録処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替える場合の手順について説明する。商品の登録処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替える場合には、オペレータSはステップS305で小計ボタンを押下しない。制御部410は、ステップS305で小計ボタンが押されていないと判定すると、ステップS311で、買上商品の追加、訂正を行うかどうかを判定する。買上商品の追加、訂正があれば(ステップS311のYes)、追加、訂正の処理を行って(ステップS312)、ステップS302に戻る。ステップS311で、買上商品の追加、訂正がなければ(ステップS311のNo)、買上情報の切替を行い(ステップS313)、ステップS314に進む。
【0054】
また、会計処理を行う際に、例えば顧客が財布から代金を出すのに手間取っているような場合がある。このような場合にも、オペレータSは、代金を出すのに手間取っている顧客の会計処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替える。
【0055】
以下、ある顧客の会計処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替える場合の手順について説明する。ある顧客の会計処理中から、次に続く顧客が購入する商品の登録処理に切り替える場合には、オペレータSはステップS308で現計ボタンを押下しない。制御部410は、ステップS308で現計ボタンが押下されていないと判定すると(ステップS308のNo)、ステップS311で、買上商品の追加、訂正を行うかどうかを判定する。そして、買上商品の追加、訂正を行わないと判定した場合には(ステップS311のNo)、ステップS313で買上情報の切替を行い、ステップS314に進む。なお、買上情報の切替は、オペレータSが、その顧客に対応するインデックス540a〜540cの部分をタッチすることで行える。
【0056】
ステップS314において、制御部410は、会計が済んでいない顧客の買上情報がRAM420にあるかどうかを判定する。会計処理が済んでいない顧客の買上情報があると判定されると(ステップS314のYes)、制御部410は、図9で説明したように、インデックス540a〜540cの再編を行う(ステップS315)。そして、制御部410は、GUI操作画面500にインデックス540a〜540cを再表示させる(ステップS316)。そして、制御部410は、会計処理待ちの顧客があるかどうかを判定する(ステップS317)。
【0057】
ステップS317で、会計処理待ちの顧客がある場合には(ステップS317のYes)、会計処理待ちの顧客の買上情報を表示して(ステップS318)、ステップS306に戻る。
【0058】
ステップS317で、会計処理待ちの顧客がない場合には(ステップS317のNo)、登録処理中の顧客の買上商品の情報を表示して(ステップS319)、ステップS302に戻る。
【0059】
ステップS314において、会計処理が済んでいない顧客の買上情報がないと判定されると(ステップS314のNo)、業務終了かどうかを判定する(ステップS320)。業務終了でなければ(ステップS320のNo)、ステップS301に戻る。業務終了なら(ステップS320のYes)、終了となる。
【0060】
なお、上述の実施形態では、インデックス540a〜540cに対応付ける買上情報が存在しない場合、対応付ける買上情報が存在しないインデックス540a〜540cを空にしているが、これに限らず、図11(B)に示すように、対応付ける買上情報が存在しないインデックス540cを非可視状態(GUI操作画面500に表示されない状態)にしても良い。
【0061】
図11は、インデックス540a〜540cの表示例を示した図である。図11(A)は、顧客C1の買上情報とインデックス540aとが対応付けられており、顧客C2の買上情報とインデックス540bとが対応付けられており、顧客C3の買上情報とインデックス540cとが対応付けられている場合のインデックス540a〜540cの表示例を示している。
【0062】
図11(B)は、顧客C1の登録処理及び会計処理が完了した場合のインデックス540a〜540cの表示例を示している。この場合、顧客C2の買上情報とインデックス540aとが対応付けられており、顧客C3の買上情報とインデックス540bとが対応付けられている。なお、インデックス540cに対応付けられている買上情報が存在しないため、インデックス540cは非可視状態である。
【0063】
なお、インデックス540cは、ただ単に見えなくなっているだけであり、オペレータSが非可視状態のインデックス540cの位置を指で触れることで、図11(C)に示すように可視状態となる。図11(B)は、オペレータSが非可視状態のインデックス540cの位置を指で触れた場合のインデックス540a〜540cの表示例を示している。この場合、顧客C2の買上情報とインデックス540aとが対応付けられており、顧客C3の買上情報とインデックス540bとが対応付けられている。なお、インデックス540cに対応付けられている買上情報が存在しないため、インデックス540cは空の状態として表示されている。
【0064】
これにより、登録・操作あるいは会計と関係がないインデックス540a〜540cはGUI操作画面500に表示されないため、オペレータSは間違えて選択することが無くなり、オペレータSの誤操作を削減することが可能となる。
【0065】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・POSレジスタ、2・・・端末装置、3・・・精算装置、10・・・スキャナ、20・・・タッチパネル付表示部、30・・・キー操作部、40・・・第1顧客用表示部、50・・・印字部、60・・・チェックアウトカウンタ、60a,60b,60c,60d・・・テーブル、70・・・釣銭機、80・・・ドロア、90・・・顧客用表示部、100・・・金銭置台、110・・・ライタ、410・・・制御部、430・・・ハードディスク、440・・・通信部、500・・・GUI操作画面、501a,501b,501c・・・顧客情報画面、510・・・プリセットキーエリア、520・・・買上明細エリア、530・・・会計情報エリア、531・・・品名エリア、532・・・金額エリア、533・・・個数エリア、534・・・合計金額エリア、535・・・置数エリア、540a,540b,540c・・・インデックス、600・・・メモリマップ、610,620,630・・・顧客エリア、640・・・呼出ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が購入する商品の登録から会計完了していない複数の顧客の取引情報を記憶して、登録処理あるいは会計処理を並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、
前記登録処理によって登録された顧客の商品に関する買上情報を前記顧客毎に記憶する取引記憶手段と、
前記登録処理中あるいは会計処理中の顧客の買上情報を表示する兼用の取引表示手段と、
前記取引表示手段が表示している顧客の前記買上情報の会計処理が完了したときに、前記取引記憶手段が記憶する前記登録処理あるいは会計処理が完了していない顧客の買上情報を前記取引表示手段に表示させる表示切替手段と、
を備えた事を特徴とするPOSレジスタ。
【請求項2】
前記取引表示手段は、前記買上情報を顧客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを複数表示し、
前記表示切替手段は、前記取引表示手段が表示している顧客の前記買上情報の会計処理が完了したときに、当該顧客の買上情報の対応付けを前記インデックスから消去し、前記顧客が会計を済ませた後当該POSレジスタから離脱する方向に基づいて、前記対応付けを消去したインデックスより前記POSレジスタから離脱する方向上流側の前記インデックスと、該インデックスに対応付けられた顧客毎の前記買上情報とを、前記対応付けを消去したインデックスより順次表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載のPOSレジスタ。
【請求項3】
前記表示切替手段は、前記買上情報を特定する情報を前記インデックスに対応付ける際に、前記買上情報の数より前記インデックスの数が多い場合、前記買上情報を対応付けることができないインデックスを空の状態で表示させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のPOSレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−286967(P2010−286967A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139096(P2009−139096)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】