説明

POSレジスタ

【課題】複数の客の会計処理あるいは登録処理を並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、次に会計または登録処理を行う客の買上情報へ容易に表示を切替えることができるPOSレジスタを提供する。
【解決手段】POSレジスタは、登録された商品に関する買上情報を客毎に記憶する取引記憶手段と、買上情報に対応する客の順序を記憶する順序記憶手段と、客の買上情報を表示するとともに、買上情報を客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを選択可能に複数表示する取引表示手段と、現客の買上情報を表示しているときに、次に会計処理あるいは登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスと区別して表示させる表示切替手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPOSレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、現在対応している客(現客)に対する操作を一時保留し、次に対応する客(次客)が買い上げる商品の登録処理を行うことができるPOSレジスタがある。このようなPOSレジスタでは、例えば、現客が買い忘れた商品を買い足すために、現在の会計を一時保留にして買い忘れた商品を含めて後で会計をしたいと申し出た場合には、申し出を受けたオペレータ(店員)は、一時保留キー等を操作して現客の会計を一旦中断し、現客の買上情報をPOSレジスタの記憶エリアへ記憶させると共に、次客の会計あるいは登録処理を行う。そして、前記保留を申し出た客が戻って来た場合には、オペレータ(店員)は、前記一時保留とした客の買上情報を、呼出キー等を操作して記憶エリアより呼出して会計を行なっていた。
そのため、従来のPOSレジスタでは、オペレータ(店員)の操作が煩雑となってしまうため、一人のオペレータ(店員)が操作対象とする総客数は2客が限度であった。
そこで、特許文献1には、グループ構成の客から注文を受ける時に、その人数分の注文入力画面とインデックスを作成する注文データ管理システムが記載されている。
前記特許文献1の技術を用いれば、客毎の買上情報をインデックス表示させ、該インデックスをオペレータ(店員)に選択操作させることにより、複数客の買上情報を切替えて表示させることができるので、従来のPOSレジスタより客数を多く会計または登録処理を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−127110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載された技術を用いた場合、現客の会計完了、又は、現客が会計の保留を申し出た場合に、次に会計または登録処理を行なう次客のインデックスがどれであるかを瞬時に判断することが難しく、他の客のインデックスを間違って選択して会計あるいは登録処理を行なってしてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、複数の客の会計処理あるいは登録処理を並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、次に会計または登録処理を行う客の買上情報へ容易に表示を切替えることができるPOSレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、客が購入する商品の登録処理および前記登録された商品の会計処理を複数の客に対して並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、前記登録処理によって登録された商品に関する買上情報を客毎に記憶する取引記憶手段と、前記取引記憶手段が記憶する前記登録処理中あるいは前記会計処理中の客の買上情報を表示するとともに、買上情報を客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを選択可能に複数表示する取引表示手段と、前記取引表示手段が現客の買上情報を表示しているときに、次に前記会計処理または前記登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスと区別して前記取引表示手段に表示させる表示切替手段と、を備えたことを特徴とするPOSレジスタ。
【0007】
この発明によれば、現客の買上情報が表示されているときに、次に会計または登録処理を行う客のインデックスが他のインデックスと区別して表示されるため、オペレータは、次に会計または登録処理を行う客のインデックスを容易に判断することができる。このため、次に会計または登録処理を行う客の買上情報を間違えることなく速やかに選択し表示させることができる。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のPOSレジスタにおいて、前記取引表示手段は、前記インデックスに客の買上情報を特定する情報を表示することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、客の買上情報に対応するインデックスにその客の買上情報を特定する情報(例えば、買上点数、合計金額、高額商品など)を表示するので、オペレータは買物カゴの中身とインデックスに表示された客の買上情報を特定する情報により、次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスの選択を容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択することを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のPOSレジスタにおいて、前記取引表示手段は、次に前記会計処理または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスより際立たせて表示することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを際立たせて表示するため、オペレータは次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスの選択を容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択することを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記のPOSレジスタにおいて、前記取引記憶手段に記憶された買上情報に対応する客の順序を記憶する順序記憶手段と、客が入退出する会計動線方向を記憶する会計動線方向記憶手段とを備え、前記表示切替手段は、前記順序記憶手段が記憶する客の順序と、前記会計導線方向とに基づき、前記インデックスの表示順を変更することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、現客が買い忘れた商品を買い足すために、現在の会計を一時中断して買い忘れた商品を含めて後で会計をしたいと申し出た場合において、オペレータ(店員)が次客を示すインデックスを選択すると、次客が現客扱いとなりこの客の買上情報と対応するインデックスの表示が、客が退出する方向へ一つ前進し、買い忘れた商品を買い足すためにレジ前より退出した現客の買上情報に対応するインデックスが次客扱いとして客が退出する方向とは逆方向に後退して表示される。このため、オペレータは客が退出する会計動線方向の並び順に表示されたインデックスにより、次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスの選択を容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択することを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記のPOSレジスタにおいて、前記表示切替手段は、前記会計処理が完了した客の買上情報を表示しているときに、当該会計処理が完了した買上情報に対応するインデックス以外のインデックスが選択された場合に、当該選択されたインデックスに対応する買上情報を前記取引表示手段に表示させるとともに、前記会計処理が完了した客の買上情報を前記取引記憶手段から消去して当該買上情報の対応付けを前記インデックスから消去することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、会計処理が完了した客の買上情報に対応するインデックス以外のインデックスが選択された場合に、会計処理が完了したこの客の買上情報を取引記憶手段から消去するため、新たな客の買上情報を記憶するための記憶エリアの確保と表示情報の整理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現客の買上情報を表示しているときに、次に会計または登録処理を行う客のインデックスが他のインデックスと区別して表示するので、オペレータは、次に会計または登録処理を行う客のインデックスを容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択し会計または登録処理を行なってしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態におけるPOSレジスタの外観を示した概略図である。
【図2】本実施形態における端末装置の外観を表した斜視図である。
【図3】本実施形態における精算装置の外観を表した斜視図である。
【図4】本実施形態におけるPOSレジスタの電気的な構成を示したブロック図である。
【図5】本実施形態におけるRAMのメモリマップを示した図である。
【図6】本実施形態におけるタッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面を模式的に表した図である
【図7】本実施形態におけるタッチパネル付表示部が表示するGUI操作画面を模式的に表した図である。
【図8】本実施形態における会計の流れとインデックスの表示例を示した図である。
【図9】本実施形態における登録処理及び会計処理の手順を示したフローチャートである。
【図10】本実施形態におけるインデックスの表示例を示した図である。
【図11】インデックスの他の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態におけるPOSレジスタの外観を示した概略図である。図1(A)は、POS(Point Of Sales)レジスタ1の上面図である。図1(B)はPOSレジスタ1の正面図である。POSレジスタ1は、チェックアウトカウンタ60を備える。チェックアウトカウンタ60は、分離可能なテーブル60a,60b,60c,60dから構成される。なお、チェックアウトカウンタ60が1つのテーブルで構成されていてもよく、分離区分の形態は上記に限られない。
【0019】
テーブル60aは、商品登録前の商品を収納した籠が置かれるテーブルである。テーブル60dは、商品登録後の商品を収納した籠が置かれるテーブルである。テーブル60bには、手前側に籠を置くことのできる領域を確保して、スキャナ10とPOS端末2とが設置されている。また、テーブル60bの収納部には、釣銭機70及びドロア80が収納されている。テーブル60cには、手前側に籠を置くことのできる領域を確保して、精算装置3が、少なくとも図面において左右に移動可能に設置されている。そして、端末装置2には、スキャナ10と、釣銭機70と、ドロア80と、精算装置3とが接続されている。
【0020】
オペレータ(店員)Sは、テーブル60b及び60cの前側に、端末装置2及びスキャナ10の操作可能な位置に立つものとする。そして、客C1、C2、C3は、テーブル60b及び60cを挟んで、オペレータSと対向する側に立つものとする。会計処理待ちの列は、先頭が客C1で、以下、C2、C3の順に並んでいるものとする。
【0021】
商品の登録処理及び会計処理を行う端末装置2は、タッチパネル付表示部20と、キー操作部30と、第1客用表示部40と、印字部50とを備えている。図2は、端末装置2の外観を表した斜視図である。図2(A)は端末装置2をオペレータS側から斜視した図である。図2(B)は端末装置2を客C1側から斜視した図である。これら2つの図から明らかなように、端末装置2の各部は一体的に組み合わされて構成されている。
【0022】
客からの預かり金や釣銭の受け渡しを行う精算装置3は、第2客用表示部90と、金銭置台100と、電子マネーリーダ・ライタ110とを備えている。図3は、精算装置3の外観を表した斜視図である。この図は、精算装置3を客C1側から斜視した図である。この図に表されているように、精算装置3の第2客用表示部90と、金銭置台100と、電子マネーリーダ・ライタ110とは、支持台3aに取り付けられている。
【0023】
上述の例では、オペレータSが1人で操作する1人制で運用しているが、このPOSレジスタ1は、商品の登録処理と、会計処理とを別々のオペレータで行う2人制の運用にも対応している。
【0024】
図4は、POSレジスタ1の電気的な構成を示したブロック図である。
この図において、図1に示した構成に対応するブロックには同一の符号を付している。制御部410(表示切替手段)は、CPU(中央処理装置)を含み、同図に示した各部を制御するものである。ハードディスク430(会計動線方向記憶手段)は、制御部410において実行される制御プログラムや商品ファイル、会計時に客が入退出する方向を示す会計動線方向等を格納するものである。この商品ファイルは、商品名、販売価格等の商品情報を商品コードに関連付けてデータ構成したファイルである。RAM420(取引記憶手段、順序記憶手段)は、制御部410のCPUによりハードディスク430から読み出されて実行される制御プログラムやワークエリアが展開されるメモリである。このワークエリアについては、後に詳細を説明する。また、RAM420には、ハードディスク430に格納された商品ファイルのデータが、制御プログラムの実行によって読み出されて展開される。通信部440は、外部のコンピュータと接続されることにより通信を行うものである。
【0025】
スキャナ10は、商品に付されたバーコードが不図示のバーコード読取部にかざされると、バーコード読取部がバーコードをスキャンして商品コードを読み取り制御部410に送信するものである。キー操作部30は、オペレータSによって操作されるキーボードタイプの入力手段であり、テンキー、小計ボタン、現計ボタン等の商品登録作業及び会計処理作業において使用されるキーが設けられている。キー操作部30からは、キー操作に応じたキー操作信号が制御部410に送信される。タッチパネル付表示部20(取引表示手段)は、オペレータSに操作させるためのタッチパネルを備えた表示装置である。タッチパネル付表示部20からは、タッチ操作に応じたタッチパネル操作信号が制御部410に送信される。
【0026】
制御部410は、タッチパネル付表示部20に、オペレータSにタッチ操作をさせるためのGUI操作画面を表示させる。そして、制御部410は、スキャナ10から送信された商品コードを受信すると、その商品コードに基づいて商品ファイルから商品コードに関連付けられた商品情報を読出してRAM420のワークエリアに記憶させる。また、制御部410は、タッチパネル付表示部20から送信されたタッチパネル操作信号と、キー操作部30から送信されたキー操作信号とを受信し、これらの操作信号に基づく所定情報とワークエリアに記憶された買上情報とに基づいて、登録処理及び会計処理を選択的に実行する。これら登録処理及び会計処理の詳細については後述する。
【0027】
第1客用表示部40は、制御部410の制御により、商品ごとの商品別会計情報を表示するものである。具体的には、第1客用表示部40は、例えば、購入品目ごとの商品名、販売価格、個数を商品別会計情報として表示する。印字部50は、キー操作部30の現計ボタンが押下された場合に、レシートを印刷するものである。釣銭機70は、登録処理によって算出された、客に対する取引全体の買上合計金額と、客から預かった預金の金額とに基づき制御部410によって計算された金額の釣銭を排出するものである。ドロア80は、紙幣及び貨幣を収納する収納部である。
【0028】
第2客用表示部90は、制御部410の制御により、客に対する買上合計金額、客からの預かり金の金額、及び釣銭の金額を表示するものである。電子マネーリーダ・ライタ110は、客からの電子マネー対応カード又は電子マネー機能を備えた携帯端末(以下、電子マネー対応カード等と略記する。)による電子決済の要望により用いられるものである。電子マネーリーダ・ライタ110を用いる場合、キー操作部30の操作に基づいて、制御部410が電子マネーリーダ・ライタ110を、電子マネー対応カード等を受付可能な状態になるように制御する。そして、電子マネー対応カード等が使用されると、買上合計金額を支払い金額として決済処理が行われる。
【0029】
図5は、RAM420のメモリマップを示した図である。同図に示すように、RAM420にはメモリマップ600で示されるデータ構造を有したワークエリアが展開される。そして、このワークエリアには、第1客エリア610、第2客エリア620、第3客エリア630と、これら第1客エリア610、第2客エリア620、第3客エリア630のうちいずれかを選択するための呼出ポインタ640と、登録処理及び会計処理待ちの客の順序を把握するための順序エリア650とが含まれている。以下、第1客エリア610、第2客エリア620、第3客エリア630を総称して客エリア610、620、630とする。客エリア610、620、630には、客毎に、客の買い上る購入品目ごとの品名や単価、個数、買上合計金額と、置数等の買上情報が記憶されている。呼出ポインタ640には、各客エリア610、620、630の記憶位置を指し示すアドレスが記憶されている。また、順序エリア650には、客エリア610、620、630に記憶された買上情報に対応する客の順序、つまり各客エリア610、620、630に買上情報を書き込んだ順序が記憶されている。
【0030】
図6および図7は、タッチパネル付表示部20が表示するGUI操作画面500を模式的に表した図である。図6に示すように、GUI操作画面500は、客情報画面501aと、客情報画面501bと、客情報画面501cとを重ねたような構造となっており、図示する例では客情報画面501aが最上面に表示されている。客情報画面501a〜501cに表示される買上情報は、RAM420の客エリア610、620、630の情報に基づいている。各客情報画面501a〜501cの下部には、各客の買上情報を選択するためのインデックス540a〜540cが設けられている。
【0031】
図7(A)は、客情報画面501aを示した図である。また、図7(B)は、客情報画面501bを示した図である。また、図7(C)は、客情報画面501cを示した図である。図7(A)〜図7(C)に示すように、各客情報画面501a〜501cには、プリセットキーエリア510と、買上明細エリア520と、会計情報エリア530とが含まれている。会計情報エリア530には、買上明細登録された商品別買上情報のうち最新の商品別会計情報に含まれる商品名を表示するための品名エリア531と、その商品の販売価格を表示するための金額エリア532と、客の買上個数を表示するための個数エリア533と、客に対する取引全体の買上合計金額を表示するための合計金額エリア534と、キー操作部30のキー操作、又はプリセットキーエリア510のタッチ操作によって客の預かり金額が入力された場合に、その額を表示するための置数エリア535とが含まれている。
【0032】
次に、本実施形態における商品の登録処理及び会計処理について説明する。図1に示したように、客C1が会計処理待ちの列の先頭に並んでおり、以下、C2、C3の順に並んでいるものとする。
【0033】
客C1が精算を行う場合、客C1は、テーブル60aに購入する商品を収納した籠を置く。オペレータSは、客C1が購入する商品を籠から取り出し、商品に付されたバーコードをスキャナ10へかざして、商品の登録処理を行う。なお、商品の登録処理は、タッチパネルやキーボードを使う場合もある。商品の登録を行うと、第1客用表示部40には、購入品目ごとの商品名、販売価格、個数等の買上情報が表示される。そして、全ての商品の登録処理が完了すると、オペレータSは、キー操作部30の小計ボタンを押下する。小計ボタンを押下すると、登録した商品の合計金額が第1客用表示部40から第2客用表示部90に表示される。
【0034】
登録処理が完了すると、オペレータSは客C1の登録済みの商品を入れた籠をテーブル60dの上に置き、合計金額を客C1に提示して、客C1が現金を用意するのを待つ。客C1は提示された合計金額に応じて現金を用意する。客C1が現金を用意できれば、オペレータSは、客C1から現金を預かり、キー操作部30に預かり金を入力して、キー操作部30の現計ボタンを押下する。現計ボタンが押下されると、釣り銭が計算され、第2客用表示部90に釣り銭が表示される。また、釣銭機70から釣り銭が排出され、印字部50から、レシートが印刷される。オペレータSは、客C1から預かった現金をドロア80内に収納し、客C1に釣り銭とレシートを渡して、会計処理を終了する。
【0035】
上述の操作は、商品の登録処理及び会計処理がスムーズに行われている場合である。しかしながら、常に商品の登録処理及び会計処理がスムーズに行われるとは限らない。例えば、客C1が、買い忘れた商品に気づき、商品を売り場まで取りに行くような場合が想定される。また、例えば、客C1の会計処理を行う際に、客C1が財布から現金を探すのに手間取るような場合が想定される。このような場合には、オペレータSは、客C1の登録処理や会計処理を一時中断し、次の客C2(次に続く客)が購入する商品の登録処理に移行することができる。具体的には、制御部410は、タッチパネル付表示部20に表示されているGUI操作画面500におけるインデックス540bが押下されると、その後登録される商品を客C2の買上商品と判定し、空いている客エリア610〜630(例えば第2客エリア620)いずれかを客C2の買上情報を記憶するために確保する。そして、制御部410は、登録された商品の情報を確保した客エリア620に記憶する。
【0036】
図8は、会計の流れと、インデックス540a〜540cの表示例を示した図である。例えば、客C1、C2、C3の順に、会計処理待ちを行っているとする。図8(A)は、客C1は会計中であり、客C2が会計処理待ちであり、客C3が商品登録処理中の場合の例を示している。この場合、図8(C)に示すように、制御部410は、会計処理待ちの客C1、C2、C3に対応するインデックス540a、540b、540cをGUI操作画面500に表示する。
【0037】
ここで、客C1の会計処理が完了すると、図8(D)に示すように、GUI操作画面500は、会計処理が完了した客C1の買上情報の表示を維持したまま、次に会計処理待ち行列の先頭となる客C2の買上情報に対応するインデックス540bを他のインデックス540a、540cと区別して表示する。例えば、制御部410は、インデックス540bをタッチパネル付表示部20に点滅(プリング)表示することにより際立たせて表示する。或いは、制御部410は、他のインデックス540a、540cとは異なる色や模様でインデックス540bをタッチパネル付表示部20に表示することにより際立たせて表示する。或いは、制御部410は、所定の記号やキャラクタをインデックス540b上に表示させてもよい。また、制御部410は、これらを組合せてインデックス540bを強調表示してもよい。
【0038】
このように、図8(B)に示すように、客C1が会計処理待ちの列から退出し、客C2が会計処理待ちの列の先頭となった場合には、次に会計処理または登録処理を行う客C2の買上情報に対応するインデックス540bを他のインデックス540a、540cと区別して表示するので、オペレータSは、次に会計処理または登録処理を行う客C2のインデックス540bを容易に判断することができる。そのため、オペレータSが、他の客の買上情報を間違えて呼び出し、商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができる。
【0039】
次に、本実施形態における登録処理及び会計処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。図9は、登録処理及び会計処理の手順を示したフローチャートである。以下、客C1は会計処理が完了し、客C2が会計処理待ちであり、客C3が登録処理待ちの場合を例に説明する。ここで、客C1の買上情報は第1客エリア610、客C2の買上情報は第2客エリア620に記憶されているものとする。このとき、順序エリア650には、客C2の買上情報が記憶されている第2客エリア620の順序が1であることが記憶されている。また、タッチパネル付表示部20のGUI操作画面500には、第1客エリア610に記憶されている客C1の買上情報が表示されているものとする。
【0040】
まず、ステップS101において、制御部410は、タッチパネル付表示部20のGUI操作画面500において、インデックス540a〜540cのいずれかがオペレータSにより選択されたことを検知する。
次に、ステップS102において、制御部410は、会計処理が完了した客の買上情報がGUI操作画面500に表示されているか否かを判定する。会計処理が完了した客の買上情報が表示されている場合にはステップS103へ分岐し、表示されていない場合にはステップS104へ分岐する。本例では、客C1の買上情報が表示されているため、ステップS103へ進む。
【0041】
ステップS103において、制御部410は、RAM420の第1客エリア610から、会計処理が完了した客C1の買上情報を削除する。そして、制御部410は、会計処理が完了した客C1の買上情報の対応付けをインデックス540aから消去する。
次に、ステップS104において、制御部410は、ステップS101において選択されたインデックス540a〜540cが新規インデックス、つまり、客の買上情報が対応付けられていないインデックス540a〜540cであるか否かを判定する。選択されたインデックス540a〜540cが新規インデックスである場合にはステップS105に分岐し、選択されたインデックス540a〜540cが新規インデックスでない場合にはステップS107へ分岐する。
【0042】
ステップS105において、制御部410は、客C3の買上商品の登録処理を行う。具体的には、オペレータSは、客C3が購入しようとしている商品に付されたバーコードをスキャナ10で読み取る操作を行う。制御部410は、このバーコードで示される商品コードの読み込みを行う。商品コードが読み込まれると、制御部410は、ハードディスク430から、その商品コードに関連付けて格納された商品名や販売価格等の商品情報を検索し、検索した商品情報をRAM420の第3客エリア630に書き込むとともに、GUI操作画面500に表示する。このとき、制御部410は、RAM420の順序エリア650において、商品情報を書き込んだ第3客エリア630の順序を2とする。
次に、ステップS106において、制御部410は、商品の登録処理が終了したか否かを判定する。具体的には、制御部410は、キー操作部30中の小計ボタンが押下されたか否かを判定する。小計ボタンが押下された場合にはステップS108へ分岐し、小計ボタンが押下されていない場合にはステップS101へ戻る。
【0043】
以下、ステップS101において、客C2に対応するインデックス540bが選択された場合を例に説明する。
ステップS107において、制御部410は、ステップS101において選択されたインデックス540bに対応する買上情報を第2客エリア620から読み出し、読み出した買上情報をタッチパネル付表示部20のGUI操作画面500に表示させる。
次に、ステップS108において、制御部410は、買上総数及び合計金額をGUI操作画面500に表示させる。
【0044】
次に、ステップS109において、制御部410は、預かり金額の入力を受け付ける。オペレータSは、客C2から手渡された預かり金の金額を入力し、現計ボタンを押下する。
続いて、ステップS110において、制御部410は、印字部50にレシートを印字させると共に、客へ手渡す釣銭がある場合は、自動釣銭機より釣銭の払い出しを行なう。オペレータSは、客C2に払い出された釣り銭とレシートとを渡す。
そして、ステップS111において、制御部410は、第2客エリア620に記憶されている買上情報及び預かり金額等を含む会計実績情報をハードディスク430に書き込むことにより、販売実績を記憶する。
【0045】
ステップS112において、制御部410は、ステップS107からS111までに示す会計処理を完了した客C2の買上情報の表示を維持する。また、このとき、制御部410は、RAM420の順序エリア640において、客C2に対応する第2客エリア620の順序を削除し、第3客エリア630の順序を1繰上げて1とする。
そして、ステップS113において、制御部410は、次に登録処理または会計処理を行う客C3の買上情報に対応するインデックス540cを強調表示する(他のインデックス540a、540bと区別して表示する)。このとき、制御部410は、RAM420の順序エリア650において、順序が先頭である第3客エリア630に記憶されている買上情報を、次に登録処理又は会計処理を行う客C3の買上情報と判定する。
【0046】
図10は、本実施形態におけるインデックス540a〜540cの表示例を示した図である。図10では、客C1の買上情報とインデックス540aとが対応付けられており、客C2の買上情報とインデックス540bとが対応付けられており、客C3の買上情報とインデックス540cとが対応付けられている場合のインデックス540a〜540cの表示例を示している。ここで、客C1の買上情報は第1客エリア610、客C2の買上情報は第2客エリア620、客C3の買上情報は第3客エリア630に記憶されているものとする。制御部410は、各インデックス540a〜540cに、客の買上情報を特定する情報として合計金額を表示する。
【0047】
図10(A)は、第1客エリア610に記憶されている買上情報(客C1)の会計処理が完了した場合のGUI操作画面500の表示例を示している。制御部410は、客C1の会計処理が完了した場合であっても、第1客エリア610に記憶されている買上情報をタッチパネル付表示部20に表示し続ける。また、制御部410は、客C1の会計処理が完了すると、客C2に対応する第2客エリア620に記憶されている買上情報に対応するインデックス540bを強調表示する。図示する例では、インデックス540bを点滅表示している。また、このとき、制御部410は、インデックス540bに表示しているインデックス番号を2から1へ変更し、インデックス540cに表示しているインデックス番号を3から2へ変更する。そして、制御部410は、インデックス540aに表示しているインデックス番号を消す。
【0048】
図10(B)は、オペレータSがインデックス540bを選択した場合のGUI操作画面500の表示例を示している。制御部410は、インデックス540bが選択されると、客C2に対応する第2客エリア620に記憶されている買上情報をGUI操作画面500に表示する。このとき、制御部410は、会計処理が完了した客C1の買上情報をRAM420の第1客エリア610から削除する。
【0049】
図11は、インデックス540a〜540cの他の表示例を示した図である。図11では、図10と同様、客C1の買上情報とインデックス540aとが対応付けられており、客C2の買上情報とインデックス540bとが対応付けられており、客C3の買上情報とインデックス540cとが対応付けられている場合のインデックス540a〜540cの表示例を示している。ここで、客C1の買上情報は第1客エリア610、客C2の買上情報は第2客エリア620、客C3の買上情報は第3客エリア630に記憶されているものとする。制御部410は、各インデックス540a〜540cに、客の買上情報を特定する情報として合計金額を表示する。
【0050】
図11(A)は、第1客エリア610に記憶されている買上情報(客C1)の会計処理が完了した場合のGUI操作画面500の表示例を示している。制御部410は、客C1の会計処理が完了した場合であっても、第1客エリア610に記憶されている買上情報をタッチパネル付表示部20に表示し続ける。また、制御部410は、客C1の会計処理が完了すると、客C2に対応する第2客エリア620に記憶されている買上情報に対応するインデックス540bを強調表示する。図示する例では、インデックス540bの模様を他のインデックス540a及び540cの模様と異なる模様に変更する。また、このとき、制御部410は、客C1に対応するインデックス540aに表示しているインデックス番号を消去し、客C2に対応するインデックス540bに表示しているインデックス番号を2から1へ変更し、客C3に対応するインデックス540cに表示しているインデックス番号を3から2へ変更する。
【0051】
図11(B)は、オペレータSがインデックス540bを選択した場合のGUI操作画面500の表示例を示している。制御部410は、インデックス540bが選択されると、客C2に対応する第2客エリア620に記憶されている買上情報をGUI操作画面500に表示するとともに、インデックス540aをGUI操作画面500から消去する。また、このとき、制御部410は、会計処理が完了した客C1の買上情報をRAM420の第1客エリア610から削除する。
【0052】
このように、本実施形態によれば、会計処理が完了した客の買上情報を、他の客に対応するインデックス540a〜540cが選択されるまの間表示し続けるため、オペレータSは、直前に会計処理を完了した客からの問い合わせに対して直ぐに対応することができる。
また、会計処理が完了した客がPOSレジスタ1から離れ、会計処理待ちの客が順に前に移動しても、次に会計処理または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックス540a〜540cを強調表示するので、オペレータSは、次に会計処理を行う客のインデックス540a〜540cを容易に判断することができる。そのため、オペレータSが、他の客の買上情報を間違えて呼び出し、商品の追加登録処理や会計処理を行ってしまうことを防止することができる。
【0053】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0054】
また、本実施形態では、インデックスの表示順を変更しないで、次に会計処理または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスと区別して表示させているがこれに限らず、客が入退出する会計動線方向に合わせてインデックスの表示順を変更してもよい。例えば、現客が買い忘れた商品を買い足すために、現在の会計を一時中断して買い忘れた商品を含めて後で会計をしたいと申し出た場合において、オペレータ(店員)が次客を示すインデックスを選択すると、制御部410は、登録処理及び会計処理待ちの客の順序を把握するための順序エリア650の順序を変更する(現客の順序を1から最終の順へ変更し、次客の順序を2から1へ変更する)。これにより、次客が現客扱いとなる。そして、制御部410は、この客の買上情報に対応するインデックスを、客がPOSレジスタから退出する方向へ一つ前進させて表示させ、買い忘れた商品を買い足すためにPOSレジスタより退出した現客の買上情報に対応するインデックスを、POSレジスタから退出する方向とは逆の方向に後退させ最終インデックスとして表示する。このとき、制御部410は、ハードディスク430に記憶された会計動線方向に基づいてPOSレジスタから退出する方向を判定する。これにより、オペレータは、客がPOSレジスタより退出する会計動線方向の並び順に並べ替えられて表示されたインデックスにより、次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスの選択をインデックスの並び順で容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択することを防ぐことができる。
【0055】
また、本実施形態では、インデックスに対応する買上情報の合計金額を表示してるがこれに限らず、例えば、客の買上情報を特定する情報として、総買上点数、あるいは、形状や色などに特徴を有する商品名称やその特徴、高額商品の名称などを表示するようにしても良い。これにより、客の買上情報に対応するインデックスにその客の買上情報を特定する情報(例えば、合計金額、総買上点数、あるいは、形状又は色など特徴を有する商品の名称、高額商品の名称など)が表示されているので、オペレータは買物カゴの中身とインデックスに表示された客の買上情報を特定する情報とにより、次に会計または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスの選択を容易に判断することができ、間違えて他の客のインデックスを選択することを防ぐことができる。
【0056】
また、本実施形態では、順序エリア650には、客エリア610、620、630に記憶された買上情報に対応する客の順序、つまり各客エリア610、620、630に買上情報を書き込んだ順序が記憶されているがこれに限らず、現客と次客とをフラグで判断させるようにしてもよい。この場合、例えば、客C1、客C2、客C3がPOSレジスタに並んでいる場合、客C1が買い忘れた商品があるため会計中に列から退出した場合、オペレータ(店員)により次客である客C2が選択されると、順序エリア650に記憶される客C2に対応するフラグが次客から現客フラグとなり、客C3に対応するフラグが次客フラグとなる。そして、順序エリア650に記憶されている客C1に対応するフラグは現客フラグが消去され、前記客C2の会計が済むと順序エリア650に記憶されている客C1に対応するフラグが次客フラグとなる。このように現客と次客とを表すフラグを買上情報と対応させて記憶させる方式であってもよい。フラグとしては、数字や記号またはアルファベットなど、対象となる客の買上情報と対応させて現客と次客とを判断できるものであれば何れを用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1・・・POSレジスタ、2・・・端末装置、3・・・精算装置、10・・・スキャナ、20・・・タッチパネル付表示部、30・・・キー操作部、40・・・第1客用表示部、50・・・印字部、60・・・チェックアウトカウンタ、60a,60b,60c,60d・・・テーブル、70・・・釣銭機、80・・・ドロア、90・・・客用表示部、100・・・金銭置台、110・・・ライタ、410・・・制御部、430・・・ハードディスク、440・・・通信部、500・・・GUI操作画面、501a,501b,501c・・・客情報画面、510・・・プリセットキーエリア、520・・・買上明細エリア、530・・・会計情報エリア、531・・・品名エリア、532・・・金額エリア、533・・・個数エリア、534・・・合計金額エリア、535・・・置数エリア、540a,540b,540c・・・インデックス、600・・・メモリマップ、610・・・第1客エリア、620・・・第2客エリア、630・・・第3客エリア、640・・・呼出ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が購入する商品の登録処理および前記登録された商品の会計処理を複数の客に対して並行して行うことができるPOSレジスタにおいて、
前記登録処理によって登録された商品に関する買上情報を客毎に記憶する取引記憶手段と、
前記取引記憶手段が記憶する前記登録処理中あるいは前記会計処理中の客の買上情報を表示するとともに、買上情報を客毎に対応付けて切り替えて表示させるためのインデックスを選択可能に複数表示する取引表示手段と、
前記取引表示手段が現客の買上情報を表示しているときに、次に前記会計処理または前記登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスと区別して前記取引表示手段に表示させる表示切替手段と、
を備えたことを特徴とするPOSレジスタ。
【請求項2】
前記取引表示手段は、前記インデックスに客の買上情報を特定する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のPOSレジスタ。
【請求項3】
前記取引表示手段は、次に前記会計処理または登録処理を行う客の買上情報に対応するインデックスを他のインデックスより際立たせて表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のPOSレジスタ。
【請求項4】
前記取引記憶手段に記憶された買上情報に対応する客の順序を記憶する順序記憶手段と、
客が入退出する会計動線方向を記憶する会計動線方向記憶手段とを備え、
前記表示切替手段は、前記順序記憶手段が記憶する客の順序と、前記会計導線方向とに基づき、前記インデックスの表示順を変更することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のPOSレジスタ。
【請求項5】
前記表示切替手段は、前記会計処理が完了した客の買上情報を表示しているときに、当該会計処理が完了した買上情報に対応するインデックス以外のインデックスが選択された場合に、当該選択されたインデックスに対応する買上情報を前記取引表示手段に表示させるとともに、前記会計処理が完了した客の買上情報を前記取引記憶手段から消去して当該買上情報の対応付けを前記インデックスから消去することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載のPOSレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−53562(P2012−53562A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194164(P2010−194164)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】