説明

PTCの作動インジケータ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC作動をモニタしてインジケートするPTCの作動インジケータに関し、詳しくは、1個のLED(発光ダイオード)で複数のPTCの作動をインジケートするPTCの作動インジケータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】PTCは、正の温度抵抗係数を有する抵抗素子を含み、ある温度を越えると高抵抗となる電気機器であって、電気回路保護装置として広く使用されている。このPTCを複数個含む回路装置において、PTCに断線等の故障を起こした場合、どのPTCが故障したかを知るため、PTCの作動を常時モニタして作動をインジケートしている。
【0003】従来のこの種のPTCの作動インジケータとして、図4あるいは図5に示すような手段が用いられている。
【0004】図4は、負荷4a、4bに接続された各PTC1a、及び1bにLED2aと抵抗3aの直列回路およびLED2bと抵抗3bの直列回路を各々並列に接続し、PTC1aあるいはPTC1bが作動(例えば断線)すると、LED2a、2bに流れる電流が変化して輝度が変わることでインジケートしている。
【0005】図5は、PTC1aに並列にLED2、抵抗3、ダイオード5aの直列回路を接続し、抵抗3の下流をダイオード5bを介してPTC1bの負荷側に接続している。この回路では、PTC1a、1bのいずれかが作動するとLED2の輝度が変わることでPTC1aあるいは1bの作動をインジケートしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図4のPTCの作動インジケータは、各PTC1a、1bにLED2a 2bが必要であり、PTCの数が増えるとそれと同数のLEDが必要とされ、回路部品が多くなり、コストが高くなるという問題がある。
【0007】また、図5の回路は、1個のLED2で2個のPTC1a、1bをモニタできるが、どちらのPTC1aまたは1bが作動したか判別できないという問題がある。
【0008】本発明は、上述の点に着目してなされたもので、1個のLEDで複数のPTCの作動をモニタしてインジケートできるようにしたPTCの作動インジケータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、PTCの作動をLEDでモニタしてLEDの光でインジケートするPTCの作動インジケータであって、1つのPTCに、1個のLEDと制限抵抗とダイオードとの直列回路が並列接続されており、前記1つのPTCと並列接続される他の少なくとも1個のPTCの負荷側が、前記直列回路のLEDと制限抵抗との間に、他の制限抵抗と他のダイオードを介して接続されており、かつ前記直列回路の制限抵抗と前記他の制限抵抗とからなる複数の制限抵抗は、相互に異なる抵抗値になるように設定されていることを特徴とする。
【0010】このため、請求項1記載の発明では、1個のLEDで複数のPTCをモニタすると共に、LEDの輝度の変化でどのPTCが作動したかが判別できる。制限抵抗の抵抗値を変えることにより、作動したPTCにより輝度が変わり、個々のPTCの判別ができる。
【0011】また、請求項2記載の発明は、PTCの作動をLEDでモニタしてLEDの光でインジケートするPTCの作動インジケータであって、前記LEDは2色LEDであり、該2色LEDのR端子とG端子とが、並列接続される複数個のPTCの各々の負荷側に、それぞれ別個のダイオードと制限抵抗を介して同時に接続されており、かつ前記R端子とG端子にそれぞれ接続する制限抵抗の比が、各PTC毎に異なるように設定したことを特徴とする。
【0012】このため、請求項2記載の発明では、2色LEDにより、その色調の変化で多数のPTCをモニタして判別することが可能となる。R端子とG端子にそれぞれ接続する制限抵抗の比を、各PTC毎に異なるように設定したので、作動したPTCにより輝度が変わり、個々のPTCの判別ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図4および図5と同一部材または同一機能のものは同一符号で示している。
【0014】図1は、本発明の第1実施の形態であって、PTC1aに、LED2と、制限抵抗3aと、ダイオード5aとの直列回路が並列に接続されており、PTC1aと並列接続される他の少なくとも1個のPTC1bの負荷側が、前記直列回路のLED2と制限抵抗3aとの間に、他の制限抵抗3bと他のダイオード5bを介して接続されている。PTC1a、1bの各負荷側は、さらにそれぞれ負荷4a、4bに接続されている。
【0015】制限抵抗3aと3bとの抵抗値を変えることにより、PTC1aと1bの作動によりLED2の輝度が変わるため、1つのLED2でPTC1a、1bの各作動が判別できる。
【0016】LED2でPTC1aおよび1bの作動をモニタし、LED2の点灯でインジケートしている。この場合、PTC1aが断線した場合と、PTC1bが断線した場合とでは、LED2に流れる電流の変化が異なるので、LED2の輝度も変わり、この輝度の変化でどちらのPTC1aまたは1bが断線したかを判別できる。
【0017】具体的には、制限抵抗3aの抵抗値をR1 、制限抵抗3bの抵抗値をR2 とすると、R1 /R2 =1/2程度の比率にするとLED2の輝度の変化を判別しやすい。
【0018】この抵抗値は、LEDにより異なるが、一般的なLEDでは、R1 が200〜300Ω、R2 が200〜600Ω程度が好ましいが、勿論これに限定するものではない。なお、制限抵抗3a、3bの抵抗値R1 、R2 が小さすぎると、LED2の輝度が飽和し、輝度の変化が判別しにくくなり、逆に抵抗値R1 、R2 が大きすぎると、LED2の輝度が不足し、作動モニタができにくくなるので、LED2に合わせて適度のR1 、R2 を選択する必要がある。
【0019】以上のように、第1実施の形態では、1個のLED2で2個のPTC1a,1bをモニタすると共に、LED2の輝度の変化でどのPTC1a、1bが作動したかが判別できる。
【0020】上記第1実施の形態では、2個のPTC1a、1bの作動モニタの例を示しているが、図2の第2実施の形態では、2色LEDを使用することで任意の多数のPTCの作動モニタが可能となる。
【0021】図2において、2色LED2は、電流の変化により、光の3原色による複数色で発光するLEDであって、そのR端子6とG端子7とが、ダイオードと制限抵抗を介して各PTC1a、1b、1cの負荷側に接続されている。PTC1a、1b、1cの各負荷側は、さらにそれぞれ負荷4a、4b、4cに接続されている。
【0022】すなわち、R端子6は、ダイオード8a、制限抵抗9aを介して、G端子7はダイオード8b、制限抵抗9bを介して各々PTC1aの負荷側に接続され、また、R端子6は、ダイオード8c、制限抵抗9cを介して、G端子7はダイオード8d、制限抵抗9dを介して各々PTC1bの負荷側に接続され、また、R端子6は、ダイオード8e、制限抵抗9eを介して、G端子7はダイオード8f、制限抵抗9fを介して各々PTC1cの負荷側に接続されている。なお、R端子6とG端子7は逆でもよいことはいうまでもない。複数のPTC1a、1b、1cは、並列接続されている。
【0023】制限抵抗9aと9b、9cと9d、9eと9fの抵抗値の比率を変えることにより、PTC1a、1b、1cの各作動によりLED2の色調が変わるため、1つのLED2でPTC1a、1b、1cの各作動が判別できる。制限抵抗9a、9b、9c、9d、9e、9fの各抵抗値を各々R1 、R2 、R3 、R4 、R5、R6 とし、R1 :R2 、R3 :R4 、R5 :R6 の値によるLED2の色調の一例を図3の表に示している。すなわち、この例では、LED2の赤色でPTC1a、黄色でPTC1b、緑でPTC1cの作動がモニタされ、色調により多数のPTCの作動を1個のLED2で確認できる。
【0024】以上のように、第2実施の形態では、2色LED2を使用することで、その色調の変化により多数のPTCをモニタして判別することが可能となる。すなわち、R端子6とG端子7にそれぞれ接続する制限抵抗の比(R1/R2、R3/R4、R5/R6)を、各PTC毎に異なるように設定したので、作動したPTCにより輝度が変わり、個々のPTCの判別ができる。
【0025】
【発明の効果】以上、詳述したように、請求項1記載の発明によれば、1個のLEDで2個以上のPTCをモニタすると共に、各制限抵抗は、抵抗値が異なっているので、作動したPTCによりLEDの輝度が変わり、個々のPTCの作動が明確に判別でき、したがって、少ないLEDで複数のPTCの作動のインジケートが可能となる。
【0026】また、請求項2記載の発明によれば、LEDは2色LEDであり、そのR端子とG端子とがダイオードと制限抵抗を介して複数個のPTCの各々の負荷側に続されているので、2色LEDにより、その色調の変化で多数のPTCをモニタして判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施の形態を示す回路図である。
【図3】第2実施の形態における制限抵抗の比とLEDの色調の関係を示す表である。
【図4】従来のPTCの作動インジケータを示す回路図である。
【図5】他の従来例を示す回路図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c PTC
2 LED
3a、3b、9a〜9f 制限抵抗
5a、5b、8a〜8f ダイオード
6 R端子
7 G端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 PTCの作動をLEDでモニタしてLEDの光でインジケートするPTCの作動インジケータであって、1つのPTCに、1個のLEDと制限抵抗とダイオードとの直列回路が並列接続されており、前記1つのPTCと並列接続される他の少なくとも1個のPTCの負荷側が、前記直列回路のLEDと制限抵抗との間に、他の制限抵抗と他のダイオードを介して接続されており、かつ前記直列回路の制限抵抗と前記他の制限抵抗とからなる複数の制限抵抗は、相互に異なる抵抗値になるように設定されていることを特徴とするPTCの作動インジケータ。
【請求項2】 PTCの作動をLEDでモニタしてLEDの光でインジケートするPTCの作動インジケータであって、前記LEDは2色LEDであり、該2色LEDのR端子とG端子とが、並列接続される複数個のPTCの各々の負荷側に、それぞれ別個のダイオードと制限抵抗を介して同時に接続されており、かつ前記R端子とG端子にそれぞれ接続する制限抵抗の比が、各PTC毎に異なるように設定したことを特徴とするPTCの作動インジケータ。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3205517号(P3205517)
【登録日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【発行日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−341605
【出願日】平成8年12月20日(1996.12.20)
【公開番号】特開平10−185982
【公開日】平成10年7月14日(1998.7.14)
【審査請求日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【参考文献】
【文献】特開 平7−111732(JP,A)
【文献】特開 平8−19231(JP,A)