説明

PTC面状発熱体成形用組成物、PTC面状発熱体の製造方法及びPTC面状発熱体

【課題】低い電力エネルギーで発熱が可能で、しかも、耐熱性があり、さらに強度も有するPTC面状発熱体成形用組成物及びPTC面状発熱体を提供することにある。
【解決手段】PTC面状発熱体成形用組成物は、黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水とを主成分として含み、或いはこれらにポリアミド系樹脂を更に含み、また、PTC面状発熱体の製造方法は、PCT面状発熱体成形用組成物を外枠容器4内に一部流し込み、一部流し込んだ部分の上に電極線3を配線した後に残りを流し込み、その後にこれを乾燥し、また、PTC面状発熱体1は、上記の製造方法で製造され、電極線3に接続する通電用端子部2を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発熱体が自己温度に反応して通電量を制御し、発熱量をコントロールする性質を備えたPTC面状発熱体成形用組成物、PTC面状発熱体の製造方法及びPTC面状発熱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱体が自己温度に反応して通電量を制御し、発熱量をコントロールする性質を備えたPTC面状発熱体が知られている。PTC面状発熱体は、発熱体の温度上昇に伴い、電気抵抗が増し電気が流れにくくなる性質を有している。このPTC面状発熱体を例えば床暖房に利用した場合、床の日照部分による温度上昇箇所や人が座って熱がこもりやすい箇所の温度上昇に反応し、その箇所だけ電力を通さなく、低温やけどや省エネには有効である。このような優れた特性を備えたPTC面状発熱体成形用組成物及びその組成物を用いたPTC面状発熱体として、古紙細断パルプ材を原料に含むものが知られている(例えば特開2009−99329)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−99329
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の特開2009−99329にあっては、古紙細断パルプ材を原料に含むため、通電によって発熱体の温度を高くすると、原料中の古紙細断パルプ材が発火するおそれがあり、余り高い温度に上げて使用することができない。また、原料中の古紙細断パルプ材は強度がないため、発熱体全体の強度をあげるための特殊な硬化剤を使用する必要がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、低い電力エネルギーで発熱が可能で、しかも、耐熱性があり、さらに強度も有するPTC面状発熱体成形用組成物、PTC面状発熱体の製造方法及びPTC面状発熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を達成するために、請求項1のPTC面状発熱体成形用組成物の発明は、黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水とを主成分として含む手段よりなる。
【0007】
また、請求項2のPTC面状発熱体成形用組成物の発明は、黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水とを主成分として含み、その配合組成が重量比で、黒鉛が1の割合に対して、グラスウール又は/及びロックウールが5%〜25%、水が50%〜100%、からなる手段よりなる。
【0008】
また、請求項3のPTC面状発熱体成形用組成物の発明は、黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水と、ポリアミド系樹脂とを主成分として含む手段よりなる。
【0009】
また、請求項4のPTC面状発熱体成形用組成物の発明は、黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水と、ポリアミド系樹脂とを主成分として含み、その配合組成が重量比で、黒鉛が1の割合に対して、グラスウール又は/及びロックウールが5%〜25%、水が50%〜100%、ポリアミド系樹脂が5〜40%、からなる手段よりなる。
【0010】
また、請求項1〜請求項4の好ましい態様として、請求項5の発明は、黒鉛は平均粒径が1μm〜30μmであり、請求項6の発明は、グラスウールは廃棄物が使用され、請求項7の発明は、ロックウールは廃棄物が使用される。
【0011】
また、請求項8のPTC面状発熱体の製造方法の発明は、請求項1〜請求項7の何れかに記載のPCT面状発熱体成形用組成物を側周面及び底面が囲まれ上面が開放された外枠容器内に一部流し込み、一部流し込んだ部分の上に電極線を配線した後に残りを流し込み、その後にこれを乾燥する手段よりなる。
【0012】
また、請求項9のPTC面状発熱体の発明は、請求項8の製造方法で製造され、電極線に接続する通電用端子部を備えている手段よりなる。
【発明の効果】
【0013】
課題を解決するための手段よりなるこの発明によれば、次のような極めて新規的有益なる効果を奏するものである。
(1)100V〜200Vの電力を必要とせず、これよりも低い例えば5V〜12Vのような低電圧で発熱させることができる。
(2)古紙細断パルプ材の繊維に比べてグラスウールはガラス繊維であり耐熱性が高く、古紙細断パルプ材よりも耐熱性の高いグラスウールを原料として使用するので、発熱体の温度を高く設定することが可能となる。
(3)古紙細断パルプ材の繊維に比べてロックウールは人造鉱物繊維であり耐熱性が高く、古紙細断パルプ材よりも耐熱性の高いロックウールを原料として使用するので、発熱体の温度を高く設定することが可能となる。
(4)外枠容器を使用することにより、強度を高めるための特別な硬化剤の使用を省略でき、硬化剤を使用することなく発熱体の強度を高めることが可能となる。
(5)これまで処分が大変であったグラスウールやロックウールの廃棄物を原料として使用することができ、廃棄物の有効利用を図ることができると共に、原料コストを下げることもできる。
(6)また、ポリアミド系樹脂を含む場合には、PTC効果をより一層有効に発生させることができる。つまり、高い電圧を加えても一定の温度より上がらないようにする効果をさらに高めることができる。この場合において、ポリアミド系樹脂がポリアミド系樹脂保護材であるときには、発熱体の強度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明を実施するための形態を示す外枠容器がない状態の直方体に成形されたPTC面状発熱体の外観斜視図である。
【図2】この発明を実施するための形態を示す外枠容器がない状態の円柱体に成形されたPTC面状発熱体の外観斜視図である。
【図3】この発明を実施するための形態を示す外枠容器がない状態のPTC面状発熱体の平断面図である。
【図4】この発明を実施するための形態を示す外枠容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明をより具体的に説明する。
この発明のPTC面状発熱体成形用の組成物は、次のとおりである。
(イ)黒鉛。
(ロ)グラスウール又は/及びロックウール。
つまり、グラスウール単独を使用する場合、ロックウール単独を使用する場合、そしてグラスウールとロックウールを混合したものを使用する場合、の3通りの組合せがある。
(ハ)水。
(ニ)ポリアミド系樹脂。
これらの(イ)〜(ハ)を主成分として含有している。或いは、これらに加えて(ニ)を含む(イ)〜(ニ)を主成分として含有している。主成分とは、これを必須の成分として含んでおり、また、重量比で全体量の90%以上を含んでいることである。
【0016】
黒鉛については各種製法によるものでよいが、その平均粒径については1μm〜30μmの範囲であり、最も好ましいのは粒径が8μm〜9μmである。平均粒径が1μm未満、あるいは30μm超の場合には、黒鉛の分散の均一化と、導電性発熱が面状発熱体としては均一なものとなりにくい。また、ここで黒鉛には天然黒鉛の他に人造黒鉛も含まれる。人造黒鉛は天然黒鉛に比べて電気抵抗が小さく、叉強度も高い性質を有しているので、黒鉛として人造黒鉛を使用する場合には、PTC面状発熱体の電力エネルギーコストを安価でき、叉PTC面状発熱体の強度を高めることができる。
【0017】
グラスウールは、短いガラス繊維でできた綿状の素材で、建築物の断熱材として用いられる他に、吸音材としても用いられ、耐火性にも優れているので、これを原料に含ませることで、PTC面状発熱体の耐熱性を高めることができ、PTC面状発熱体の設定温度を高めることができる。また、断熱性があるので、これを含むPTC面状発熱体も断熱性があり、省エネに優れている。
【0018】
ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解し生成される人造鉱物繊維で、グラスウールと同様に建築物の断熱材として用いられる他に、吸音材としても用いられ、耐火性にも優れているので、これを原料に含ませることで、PTC面状発熱体の耐熱性を高めることができ、PTC面状発熱体の設定温度を高めることができる。また、断熱性があるので、これを含むPTC面状発熱体も断熱性があり、省エネに優れている。
【0019】
この発明におけるPTC面状発熱体が成形用組成物において、その配合組成が重量比で、黒鉛が1の割合に対して、次の(ロ)及び(ハ)の場合と、(ロ)〜(ニ)の場合がある。
(ロ)グラスウール又は/及びロックウールが5%〜25%、つまり、グラスウールが5%〜25%の場合、ロックウールが5%〜25%の場合、グラスウールとロックウールを混合したものが5%〜25%の場合、の3通りで、このうち、好ましい割合としては、グラスウール又は/及びロックウールが10%、つまり、グラスウールが10%の場合、ロックウールが10%の場合、グラスウールとロックウールを混合したものが10%の場合である。
(ハ)水が50%〜100%、このうち、好ましい割合としては水が90%である。
(ニ)ポリアミド系樹脂は、5〜40%である。発熱体の温度を低く保つ場合、例えば30℃に維持したい場合には使用量は例えば40%位となって多くなる。逆に発熱体の温度を高く保つ場合、例えば70℃に維持したい場合には使用量は例えば5%位となって少なくなる。ポリアミド系樹脂の使用量は発熱体の維持したい温度の高さに逆比例する。つまり、発熱体の維持したい温度が高くなると使用量が減り、温度が低くなると使用量が増える。
このポリアミド系樹脂としては、例えばポリエチレンビーズが使用され、或いは、特に発熱体の強度を高める必要がある場合にはポリアミド系樹脂保護材が使用される。
ポリアミド系樹脂保護材の成分割合は例えば次の通りである。
ポリアミド 15%
エタノール 41%
メタノール 15%
nプロパノール 20.5%
水 8%
その他 0.5%
上記のような配合割合とすることで、強度、耐熱性に優れ、より低い電力エネルギーでの発熱特性の優れたPTC面状発熱体を確実にしかも安定して得ることが可能になる。
【0020】
この発明のPTC面状発熱体の成形のための組成物には、前記成分以外にも許容される範囲での着色剤、分散剤、粘結材、あるいは型枠からの離型を容易にする離型剤等が必要に応じて適宜配合される。PTC面状発熱体は黒鉛により、一般的に黒色になるが、着色剤を入れることにより、種々の色をしたPTC面状発熱体を得ることができる。
【0021】
次に、上記発明のPTC面状発熱体の成形について以下説明する。
図1〜図4はこの発明を実施するための形態に係り、図1は直方体に成形されたPTC面状発熱体の外観斜視図、図2は円柱体に成形されたPTC面状発熱体の外観斜視図、図3はPTC面状発熱体の平断面図、図4は外枠容器の斜視図である。
【0022】
グラスウール又は/及びロックウールと使用する水の一部とを攪拌機に入れて攪拌し、その後に黒鉛、残りの水を攪拌機内に加えて攪拌する(実施例−1の場合)。また、ポリアミド系樹脂を含有する場合には、グラスウール又は/及びロックウールと使用する水の一部と、ポリアミド系樹脂とを攪拌機に入れて攪拌し、その後に黒鉛、残りの水を攪拌機内に加えて攪拌する(実施例−2の場合)。必要に応じて、着色剤、分散剤、粘結材、離型剤等を適宜加える。攪拌を行うことにより、各材料は均一に混ざり合い、発熱効果の偏りと強度のむらを防止できる。攪拌後のPTC面状発熱体の成形用組成物は粘土状になる。
【0023】
粘土状となったPTC面状発熱体の成形用組成物を外枠容器4に流し込む。なお、使用される外枠容器4は側周面の例えば四側面と底面が金属製薄板で構成され上面が開放された例えば箱形の弁当型の形状をしている。外枠容器4の側面の一部には電極線3の挿通孔41が形成されている。流し込む場合、弁当型の外枠容器4に半分程流し込み、プラス極とマイナス極を構成する2本の電極線3を入れると共に外枠容器4の挿通孔41から外部に突出させて通電用端子部2とし、残りを流し込み、PTC面状発熱体1の成形用組成物と一体化させる。外枠容器4のサイズが大きい場合には、プラス極とマイナス極を構成する電極線3及び通電用端子部2は複数本使用される。
【0024】
この後、一定時間、乾燥させることにより、PTC面状発熱体の成形用組成物は外枠容器4内で固まる。例えば電気炉などを使用する強制乾燥では12時間程度の乾燥時間となる。また、自然乾燥では10日〜14日間程度の乾燥時間となる。強制乾燥より自然乾燥の方が強度のあるPTC面状発熱体1が得られる。固まった後は、外枠容器4と一体となった強度、耐熱性に優れたPTC面状発熱体1が得られる。
【0025】
このようにして、造られるPTC面状発熱体1の使用例としては、建物の床暖房としては床下に配置され、結露防止としては壁に配置され、また、ビニールハウスの暖房に利用され、水槽内に入れて水槽の保温に利用され、さらに、浴槽内に入れて風呂湯の保温に利用される。

【実施例1】
【0026】
グラスウール:1kgと水:1リットルを攪拌機に入れて攪拌し、その後に平均粒径8.32μmの黒鉛:10kg、残りの水:9リットルを攪拌機内に加えて30分程度攪拌を行った。なお、黒鉛としては、次の表1に示すものを使用した。
【0027】
【表1】

【0028】
攪拌後のPTC面状発熱体の成形用組成物をサイズが例えば250mm×300mm×12mmの型枠内に半分程流し込み、プラス極とマイナス極を構成する2本の電極線を入れると共に成形用組成物の端部から外部に突出させて通電用端子部とし、残りを流し込んだ。電極線には直径2.5mmの銅線を使用した。
【0029】
この後、これを電気炉に入れ70度程度の温度で12時間位、強制乾燥させて固まらせた。型枠から取り出したPTC面状発熱体の表面温度(温度計1〜温度計5)について通電テストを行った。通電テストの結果を表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
上記の〔0026〕の方法で造られた組成物と2本の電極線を直径20mm×600mmの円筒形のステンレスパイプに充填しこのパイプを電気炉に入れ、70度程度の温度で20時間位強制乾燥して造られたPTC面状発熱体を内装したパイプ温度について通電テストを行った。電極線には直径2.5mmの銅線を使用した。通電テストの結果を表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
上記の〔0026〕の方法で造られた組成物と2本の電極線を直径20mm×600mmの円筒形のステンレスパイプに充填しこのパイプを電気炉に入れ、70度程度の温度で20時間位強制乾燥して造られたPTC面状発熱体を、内装したパイプを水2リットルが入った直径40mmの筒内に挿入して、パイプ温度及び水温度について通電テストを行った。電極線には直径2.5mmの銅線を使用した。通電テストの結果を表4に示す。
【0034】
【表4】

【0035】
上記の〔0026〕の方法で造られた組成物で、電気炉で70度程度の温度で12時間位強制乾燥して造られた角柱型試料(10mm×12mm×100mm)を作製し、曲げ強さについて測定した。試験方法はJIS規格の7721に基づき、株式会社島津製作所(型式AG−2000D)の機械を用いて行った。その結果、以下の結果を得た。試験日:平成21年7月1日。試験場所:長崎県窯業技術センター(窯技第 平成21−66−2号)。
【0036】
試料名−1=1.64MPa
試料名−2=1.35MPa
試料名−3=1.55MPa
試料名−4=1.29MPa
試料名−5=1.13MPa
(平均)=1.39MPa
【0037】
上記の〔0026〕の方法で造られた組成物で、電気炉で70度程度の温度で12時間位強制乾燥して造られた短円柱型試料(直径20mm×10mm)を作製し、遠赤外線放射率について測定した。試験方法は日本電子(株)製遠赤外線分光放射計(JIR−E500)を使用し、ヒーター温度60℃にて測定を行った。測定には申請者が持ち込んだ試料の片面のみを研磨し平滑化したものを使用した。また、未研磨面を測定面とした。積分放射率は、波長範囲3.33〜25.42μmにて算出した。その結果、以下の結果を得た。試験日:平成21年6月3日。試験場所:長崎県窯業技術センター(窯技第 平成21−66−3号)。
【0038】
表面温度=48.8℃ 積分放射率=88.4%

【実施例2】
【0039】
グラスウール:1kgと水:1リットル、及びポリアミド系樹脂保護材18kg(ポリアミドは2.7kg(=18kg×15%)含有)を攪拌機に入れて攪拌し、その後に平均粒径8.32μmの黒鉛:10kg、残りの水:9リットルを攪拌機内に加えて30分程度攪拌を行った。なお、黒鉛は前記の表1に示すものを使用した。また、ポリアミド系樹脂保護材は前記の(0019)に示す成分割合を有するものを使用した。
【0040】
攪拌後のPTC面状発熱体の成形用組成物をサイズが例えば250mm×300mm×12mmの型枠内に半分程流し込み、プラス極とマイナス極を構成する2本の電極線を入れると共に成形用組成物の端部から外部に突出させて通電用端子部とし、残りを流し込んだ。電極線には直径2.5mmの銅線を使用した。
【0041】
この後、これを電気炉に入れ70度程度の温度で12時間位、強制乾燥させて固まらせた。型枠から取り出したPTC面状発熱体の表面温度(温度計1:測定箇所は1箇所としたのは殆ど温度差がなかったため)について通電テストを行った。通電テストの結果を表5に示す。
【0042】
【表5】

【0043】
上記の〔0039〕の方法で造られた組成物で、電気炉で70度程度の温度で12時間位強制乾燥して造られた角柱型試料(10mm×12mm×100mm)を作製し、曲げ強さについて測定した。試験方法はJIS規格の7721に基づき、株式会社島津製作所(型式AG−2000D)の機械を用いて行った。その結果、以下の結果を得た。試験日:平成22年4月8日。試験場所:長崎県窯業技術センター。
【0044】
試料名−1=1.9MPa
試料名−2=1.2MPa
試料名−3=1.8MPa
試料名−4=1.6MPa
試料名−5=1.4MPa
試料名−6=1.7MPa
試料名−7=1.6MPa
試料名−8=1.6MPa
試料名−9=1.6MPa
試料名−10=1.5MPa
(平均)=1.6MPa
【0045】
上記の〔0039〕の方法で造られた組成物で、電気炉で70度程度の温度で12時間位強制乾燥して造られた短円柱型試料(直径20mm×10mm)を作製し、遠赤外線放射率について測定した。試験方法は日本電子(株)製遠赤外線分光放射計(JIR−E500)を使用し、ヒーター温度100℃にて測定を行った。測定には申請者が持ち込んだ試料の片面のみを研磨し平滑化したものを使用した。また、未研磨面を測定面とした。積分放射率は、波長範囲3.33〜25.42μmにて算出した。その結果、以下の結果を得た。試験日:平成22年4月8日。試験場所:長崎県窯業技術センター。
【0046】
表面温度=87.9℃ 積分放射率=77.9%

【符号の説明】
【0047】
1 PTC面状発熱体
2 通電用端子部
3 電極線
4 外枠容器
41 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水とを主成分として含むことを特徴とするPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項2】
黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水とを主成分として含み、その配合組成が重量比で、黒鉛が1の割合に対して、グラスウール又は/及びロックウールが5%〜25%、水が50%〜100%、からなることを特徴とするPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項3】
黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水と、ポリアミド系樹脂とを主成分として含むことを特徴とするPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項4】
黒鉛と、グラスウール又は/及びロックウールと、水と、ポリアミド系樹脂とを主成分として含み、その配合組成が重量比で、黒鉛が1の割合に対して、グラスウール又は/及びロックウールが5%〜25%、水が50%〜100%、ポリアミド系樹脂が5〜40%、からなることを特徴とするPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項5】
黒鉛は、平均粒径が1μm〜30μmである請求項1〜請求項4の何れかに記載のPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項6】
グラスウールは、廃棄物が使用される請求項1〜請求項4の何れかに記載のPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項7】
ロックウールは、廃棄物が使用される請求項1〜請求項4の何れかに記載のPTC面状発熱体成形用組成物。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載のPCT面状発熱体成形用組成物を側周面及び底面が囲まれ上面が開放された外枠容器内に一部流し込み、一部流し込んだ部分の上に電極線を配線した後に残りを流し込み、その後にこれを乾燥することを特徴とするPTC面状発熱体の製造方法。
【請求項9】
請求項8の製造方法で製造され、電極線に接続する通電用端子部を備えていることを特徴とするPTC面状発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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