説明

PTPシート

【課題】PTPシートや薬剤に関する情報がPTPシート個々で確認でき、かつ、不用意な蓋シートの裂けを防止して、包装コストを安価にして、且つ、薬剤の取り扱いが安全に行なえるようにする。
【解決手段】複数の収納凹部6に薬剤を配したシート本体2の片面に蓋シート3を取着して封止し、蓋シート3の収納凹部対応部8を薬剤取り出し部分とし、蓋シート3に情報記載シート4を重ね合わせて各収納凹部対応部8を覆い、透明フィルムからなる固定手段5を情報記載シート4の上から蓋シート3側に重ね付けて、情報記載シート4を取り外し可能にして蓋シート3側に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は錠剤やカプセル剤を収納凹部に一個ずつ収納したPTP(プレススルーパッケージ)シートに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来から、一般医薬品としての薬剤、特に錠剤やカプセル剤などの粒状の薬剤において、一回の服用時に飲む数が多いものや服用の度合いが多い薬剤では、これを瓶に収納してから薬剤情報などを記載したシートとともに外箱に収納した製品として提供されている。また、服用の度合いが少ない薬剤においてはPTPシートも用いられている。前記PTPシートは、塩化ビニルなどのプラスチックシートからなるシート本体に薬剤の形状に応じ複数の収納凹部をシート本体の片面から凹陥して形成して、その収納凹部それぞれに薬剤を配し、その片面に硬質アルミニウムシートからなる蓋シートを取着して前記収納凹部それぞれを封止しているものであり、このPTPシートでは蓋シートにおける収納凹部対応部を薬剤取り出し部分としており、収納凹部の凸となっている側から押すことで薬剤が収納凹部対応部の蓋シートを破って取り出すことができるようにしている。そして、PTPシートに収納した薬剤においても、上述の瓶を用いたものと同様に薬剤情報などを記載したシートとともに外箱に収納した製品として提供されている。
【0003】一方、医薬業務で用いられる薬剤中、上記PTPシートに収納した薬剤にあっては、例えば医薬品ごとに多くの数量を扱う病院の薬剤局などでは、複数のPTPシートをまとめた状態で取り扱われることが多い。このため、医薬品製造メーカーから病院の薬剤局などへの流通時の形態は、複数シートを商品情報や取り扱い説明などを記載した化粧箱に入れた包装体としている。
【0004】しかしながら、上記包装形態において、化粧箱を不要品として破棄した場合、PTPシートの取り扱いや薬剤に関する情報を確認することができなくなるという問題があり、よって、化粧箱を開封したのちにも、この化粧箱を用いた状態でPTPシートを保管しなければならなず、一シートごとに小分けできないという問題があった。さらに、PTPシート個々に取り扱う時点では不用意に蓋シートの収納凹部を押したり他物がぶつかることもあり、収納凹部対応部の蓋シートが裂けて封止が破れると可能性があった。他方、一般消費者向けのPTPシート収納薬剤については、その収容量が10錠前後と少ないにも拘わらず、外装体としての化粧箱に収納され販売されている。この形態では収容物に対する包装コストが大きく不経済であった。そこで本発明は上記事情に鑑み、PTPシートや薬剤に関する情報がPTPシート個々で確認でき、かつ、不用意な蓋シートの裂けを防止するようにすることを課題とし、包装コストを安価にして、且つ、薬剤の取り扱いが安全に行なえるようにする包装形態を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮してなされたもので、シート本体の片面に凹陥された複数の収納凹部それぞれに薬剤を配して、該シート本体の片面に蓋シートを取着して前記収納凹部それぞれを封止し、蓋シートにおける収納凹部対応部を薬剤取り出し部分としたPTPシートにおいて、前記蓋シートに薬剤情報やPTPシート取り扱いに関する情報などを記載した情報記載シートを重ね合わせて各収納凹部対応部を覆い、透明フィルムからなる固定手段を情報記載シートの上から蓋シート側に重ね付けて、情報記載シートを取り外し可能にして蓋シート側に取り付けたことを特徴とするPTPシートを提供して、上記課題を解消するものである。そして、本発明において、上記固定手段は、蓋シートの周辺に対応する辺部を該蓋シートにヒートシールしたシートであり、また、シート本体の端縁に対応した辺部が該シート本体に係脱可能に係止した蓋であるものとすることが可能である。
【0006】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中1はPTPシートで、該PTPシート1は図1に示されているように、シート本体2と、蓋シート3と、情報記載シート4と、固定手段5とからなるものである。前記シート本体2は塩化ビニルなどのプラスチックシートからなり、このシート本体2に薬剤に形状に応じ複数の収納凹部6をシート本体2の片面から凹陥して形成して、その収納凹部6それぞれに薬剤7を配している。そして、シート本体2の前記片面に硬質アルミニウムシートからなる前記蓋シート3を取着して収納凹部6それぞれを封止し、蓋シート3における収納凹部対応部8を、収納凹部6の凸となっている側からの押し込みによる錠剤7の押し出しにより破り、これによって錠剤7を取り出すことができるようにしている。この点は従来のPTPシートと同じ構成である。
【0007】本発明のPTPシート1では、PTPシートや錠剤に関する情報を記載した上記情報記載シート4が、シート本体1の平面形状より小さくなるように折り畳まれていて、この折り畳み状態で情報記載シート4が蓋シート3に重ね合わされて各収納凹部対応部8を覆っている。そして、透明フィルムからなる固定手段5を情報記載シート4の上から蓋シート側に重ね付けて、情報記載シート4を取り外し可能にして蓋シート3側に取り付けている。図1から図3に示されている実施の例における上記固定手段5は、辺部が蓋シート3の周辺に対応するようにシート本体2の平面形状と同じにしたシートである。そして、シートよりなる固定手段5の辺部50を蓋シート3の辺部にヒートシールすることによりこの固定手段5が情報記載シート4の上から蓋シート3側に重ね付けており、この固定手段5によって情報記載シート4を蓋シート3に取り付けている。このように蓋シート3の収納凹部対応部8を覆う情報記載シート4をこの蓋シート3に重ねた状態としているため、不用意な取り扱いや他物のぶつかりにより情報記載シート4が押されたとしても蓋シート3の収納凹部対応部8が裂けることはなく、よって、薬剤を確実に保護できるものとなっている。そして、薬剤を取り出す場合や情報記載シート4を取り出す場合には、上記固定手段5を剥離乃至切断すれば簡単に情報記載シート4を外すことができ、薬剤や情報記載シートの取り外し作業が手間なく行なえる。
【0008】図4と図5とは第二の例を示している。この実施の例においては固定手段5を透明フィルムから成形されて上記シート本体2に係脱可能に係止する蓋としたものでり、この蓋とした固定手段5にあっては、枠状とした辺部50がシート本体2の端縁に係脱可能に係止する。これによって、蓋とした固定手段5を情報記載シート4の上から蓋シート3側に重ねて前記辺部50をシート本体2の端縁に係止させることで、情報記載シート4が蓋シート3に重ね付けられることになり、上述した例と同じように、蓋シート3の収納凹部対応部8を保護する。そして、情報記載シート4や薬剤7を取り出す場合には蓋とした固定手段5を取り外せばよく、その後、再びこの固定手段5を蓋シート3側に取り付けることも可能であり、未開封の収納凹部対応部8を保護できる。
【0009】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、シート本体の片面に凹陥された複数の収納凹部それぞれに薬剤を配して、該シート本体の片面に蓋シートを取着して前記収納凹部それぞれを封止し、蓋シートにおける収納凹部対応部を薬剤取り出し部分としたPTPシートにおいて、前記蓋シートに薬剤情報やPTPシート取り扱いに関する情報などを記載した情報記載シートを重ね合わせて各収納凹部対応部を覆い、透明フィルムからなる固定手段を情報記載シートの上から蓋シート側に重ね付けて、情報記載シートを取り外し可能にして蓋シート側に取り付けたことを特徴とするものである。このようにPTPシートが情報記載シートを一体的に所持した形態となっているため、直接、薬剤を目視確認できるとともに、一体となった情報記載シートから各種の情報を得ることができ、従来の複数のPTPシートをまとめて化粧箱などに収め入れた形態とは異なる一シートごとに流通及び取り扱いが行なえ、包装コストを削減し、一シートごとの管理が行なえるようになる。また、情報記載シートが蓋シートに重ね合わされているため、蓋シートにおける収納凹部対応部を確実に保護でき、よってPTPシートの取り扱いが容易になるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPTPシートの一例を分解した状態で示す説明図である。
【図2】一例を固定手段側から見た状態で示す説明図である。
【図3】一例を断面で示す説明図である。
【図4】他の例における固定手段を示す説明図である。
【図5】同じく他の例を断面で示す説明図である。
【符号の説明】
1…PTPシート
2…シート本体
3…蓋シート
4…情報記載シート
5…固定手段
6…収納凹部
7…薬剤
8…収納凹部対応部

【特許請求の範囲】
【請求項1】シート本体の片面に凹陥された複数の収納凹部それぞれに薬剤を配して、該シート本体の片面に蓋シートを取着して前記収納凹部それぞれを封止し、蓋シートにおける収納凹部対応部を薬剤取り出し部分としたPTPシートにおいて、前記蓋シートに薬剤情報やPTPシート取り扱いに関する情報などを記載した情報記載シートを重ね合わせて各収納凹部対応部を覆い、透明フィルムからなる固定手段を情報記載シートの上から蓋シート側に重ね付けて、情報記載シートを取り外し可能にして蓋シート側に取り付けたことを特徴とするPTPシート。
【請求項2】上記固定手段は、蓋シートの周辺に対応する辺部を該蓋シートにヒートシールしたシートである請求項1に記載のPTPシート。
【請求項3】上記固定手段は、シート本体の端縁に対応した辺部が該シート本体に係脱可能に係止した蓋である請求項1に記載のPTPシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−12051(P2003−12051A)
【公開日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−193585(P2001−193585)
【出願日】平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】