説明

QRコード及びQRコードを用いた栞又は辞書

【課題】省スペースでありながら比較的情報量の多いQRコードの有効利用を実現することができるQRコード及びQRコードを用いた栞又は辞書並びにこの辞書を利用した読取装置を提供する。
【解決手段】単語又は語彙とこの単語又は語彙に対応した訳又は意味とが対応付けされて記録されているQRコード。前記単語又は語彙が英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であり、前記訳又は意味が前記単語又は語彙に用いられた言語と異なる又は同一の英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であるQRコード。このようなQRコードが印刷されている栞。複数のQRコードが該各QRコードに対応した前記単語又は語彙の言語文字を添え書きした状態で印刷されている辞書。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、QRコードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、直線状に延びる太さの異なる多数の線を平行に配列したバーコードに変えて、情報量の多い2次元コードが普及している。
【0003】
また、2次元コードには、バーコードを積み重ねたスタックバーコードと、このスタックバーコードよりもさらに情報密度を高めたQRコードとが知られている。
【0004】
このQRコードは、例えば、図3に示すように、情報が2次元的な広がりを持ち、バーコード方式に比べて格段に大量の情報を記録することができる一方、構造は複雑なものとなっている。
【0005】
図3に示したQRコード1は、その存在位置を特定するための、特定寸法比率の正方形を組み合わせた位置決め用シンボル1a,1b,1cや、これら3個の位置決め用シンボル1a,1b,1c相互間に設けられて白と黒とが交互に組み合わせられた各データセル位置の指標となる基準パターンであるタイミングセル(図示せず)とを備えている。
【0006】
また、QRコード1の内部は、n×nの正方形の升目(これが「セル」に相当する)に区切られており、QRコード1の有する位置決め用シンボル1a,1b,1cは、例えば、一辺の長さが7セルに相当する黒い正方形2a,2b,2c、一辺の長さが5セルに相当する白い正方形3a,3b,3c、一辺の長さが3セルに相当する黒い正方形4a,4b,4cを同心状に重ね合わせた時にできる図形である。
【0007】
そのため、この位置決め用シンボル1a,1b,1cの中心付近を直線的に横切ると、黒、白、黒、白、黒のパターンが1:1:3:1:1の比率で検出される。したがって、この性質を利用して、上述した比率で黒と白が交互に検出された場合、そのパターンを位置決め用シンボル1a,1b,1cの有力な候補と判断し、QRコード1の存在位置を確定するために優先的に検査する。
【0008】
そして、QRコード1の形状は、3個の位置決め用シンボル1a,1b,1cで一義的に決まる平行四辺形の範囲であると推定できる。なお、データは、位置決め用シンボルや基準パターンなどを除外した情報記録領域中のセル(データセル)で表され、各データセルを白(明)あるいは黒(暗)に色分けすることにより、各データセルを1ビットのデータに対応させている。尚、図3ではデータセルの白黒のパターンは判り易くするために省略されている。各データセルの位置は、3個の位置決め用シンボル1a,1b,1cの中心と2つのタイミングセルを、それぞれ縦方向と横方向の座標の指標として、簡単な計算により求めることができる。このように位置が決定した、各データセルの中心付近が黒であるか白であるかを判定して、黒を例えば1,白を例えば0に対応させることにより、2値データとして認識でき、解読することができる。
【特許文献1】特開2001−167222号公報
【0009】
また、QRコード1は、数字、英字、漢字、カナ、ひらがな、記号、バイナリ、制御コードなどのあらゆるデータを扱うことが可能である。また、QRコード1は、数字のみで7089文字、英数字で4296文字、漢字・全角カナで1817文字に相当するデータ量を置き換えることができる。
【0010】
このようなQRコード1は、大容量、省スペース、高速読み取りであり、AIM International(国際自動認識工業会、ISS-QR Code)、JIS(JIS X 0510)、ISO(ISO/IEC18004)などで規格化されている。
【0011】
そして、QRコード1は、英数字800文字ならば約2cm×2cmのサイズでコード化することが可能であり、バーコードと同じ情報量であれば、10分の1程度の大きさで表現することができる。
【0012】
この際、QRコード1の大きさはセルのサイズとバージョンとで決まる。このバージョンとは、データの量によって決まるもので、例えば、バージョン1のQRコードは、1辺が21個のセルで構成されている。このバージョンが1つ上がるたびに、QRコードを構成する1辺のセルが4つ増え、バージョン40まである。即ち、バージョン2のQRコードであれば、25×25セル構成されるので、1つのセルを0.5mmとすると、12.5mm角(実際の使用時にはこの周りに4セル分の空白が必要となる)のQRコードとなる。
【0013】
このようなQRコード1は、市販若しくはインターネット上で公開された(例えば、http://qr.from.jp/)QRコード生成ソフトを利用して作成することができ、各種プリンタにより紙又はプラスチック等のシートに印刷することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来のバーコードが自社製品若しくは店舗内での商品を特定し、読取装置で読み取ることにより特定された商品の商品名や定価等の必要最小限の情報を読取装置内もしくは読取装置とネットワーク接続されたサーバーから呼び出すものであったのに対し、QRコードでは産地や製造者等を含めた多岐情報を読取装置から直接読み取って表示することができるようになっているが、その利用範囲は商品情報の域をでないものであった。
【0015】
そこで、近年のインターネットの普及に伴い、その読取機能と文字表示が可能な表示機能とがあれば簡易に利用することができることに着目し、上述した商品情報の他、コマーシャル情報やインターネット接続のためのURL情報等をコード化して商品パッケージ等に印刷するといった新たな利用も普及しつつある。
【0016】
一方、各種の電子化が進む中で、特に携帯性に優れた媒体の一つに電子辞書が周知である。この電子辞書は、内蔵メモリに大量の情報を記憶することができ、操作部を操作することによって表示部必要な情報を表示するものであり、従来の紙に印刷された辞書に比べて、情報量の多さと携帯性に格段の利便性が向上されたものである。
【0017】
しかしながら、このような電子辞書は、例えば、一つの英単語に対応した日本語の意味や使用例(定型句などを含む)を調べたい場合、その操作が比較的面倒で、紙に印刷された英和辞書から調べたい英単語を探し出す作業に比べて時間を要するといった問題を有している。
【0018】
本発明は、上記問題を解決するため、省スペースでありながら比較的情報量の多いQRコードの有効利用を実現することができるQRコード及びQRコードを用いた栞又は辞書を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
その目的を達成するため、請求項1に記載のQRコードは、単語又は語彙とこの単語又は語彙に対応した訳又は意味とが対応付けされて記録されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項2に記載のQRコードは、前記単語又は語彙が英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であり、前記訳又は意味が前記単語又は語彙に用いられた言語と異なる又は同一の英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であること特徴とする。
【0021】
請求項3に記載の栞は、請求項1又は請求項2に記載のQRコードが一つ以上印刷されていることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の栞は、前記QRコードに対応した前記単語又は語彙の言語文字が添え書き印刷されていることを特徴とする。
【0023】
尚、上述した栞には、実際に本の間に挟んで再び利用する際の位置を留めておくための栞そのものに限定されるものではなく、機能的に栞として利用可能な枚用式のもの、例えば、プリペイドカードやプラスチックカードキー、或いは所謂単語帳の各用紙等を含むものとする。
【0024】
請求項5に記載の辞書は、請求項1又は請求項2に記載の複数のQRコードが該各QRコードに対応した前記単語又は語彙の言語文字を添え書きした状態で印刷されていることを特徴とする。
【0025】
尚、ここでの辞書には、国語辞典・漢和辞典・英和辞典・和英辞典といった専用の辞書の他、例えば、トラベル英会話のような主として辞書機能を具備したものや、観光ガイドブックやカタログ・パンフレットといった付加的に辞書機能を具備したものを含む。
【0026】
請求項6に記載の読取装置は、請求項5に記載の辞書からQRコードを読み取って表示可能なことを特徴とする。
【0027】
請求項7に記載の読取装置は、読み取り後の情報を記憶するメモリを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明のQRコードによれば、比較的情報量の多いQRコードの有効利用を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明のQRコードを図面に基づいて説明する。
【0030】
図1において、10は栞である。この栞10には、QRコード11が印刷されている。このQRコード11は、単語又は語彙とこの単語又は語彙に対応した訳又は意味とが対応付けされて記録されている。ここで、単語又は語彙とは英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であり、訳又は意味とはその単語又は語彙に用いられた言語と異なる又は同一の英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語である。
【0031】
これにより、栞10に印刷されたQRコード11によって、国語辞典・漢和辞典といった同一言語の辞書機能のほか、英和辞典や和英辞典といった異なる言語の辞書機能を具備させることができる。
【0032】
また、栞10には、QRコード11の単語又は語彙と同一の単語又は語彙が、その言語文字12として添え書き印刷されている。これにより、複数の栞10に印刷されたQRコード11の種類の混同が無くなる。
【0033】
尚、この栞10は、実際に本の間に挟んで再び利用する際の位置を留めておくための栞そのものに限定されるものではなく、機能的に栞として利用可能な枚葉式のもの、例えば、ホテル等のルームキーとして利用されているプラスチックカードキーにQRコード11を複数印刷しておくことも可能である。
【0034】
これにより、例えば、言語文字12として「ホテルに帰る」と添え書きしたQRコード11に“○○ホテルまでお願いします”との会話文を対応付けして英語等の言語でコード化しておくことも可能である。
【0035】
また、このような枚葉式のほか、辞書等の本式やパンフレット等の折り畳み式などにも印刷することが可能である。
【0036】
この際、辞書としてQRコード11と言語文字12、例えば、「簡易英単語辞書」とを対応付けしておけば、実際の辞書、例えば、英和辞書であれば単語とその単語の意味や使用例・慣用句といった多くの関連情報を実際の英和辞書よりも小さいスペースで表示することができ、本としての厚さの薄型化に貢献して携帯性を向上させることができるうえ、専用の電子辞書を用いての検索時間よりも早く所望の単語を探し出すことができる。
【0037】
また、パンフレット等にQRコード11を印刷しておけば、風景写真の説明文とは異なった言語の説明文をコード化するといったことも可能である。
【0038】
そして、このようなQRコード11は、例えば、図2に示したような読取部21と表示部22並びに操作部23とを備えた携帯電話装置20、或いは、読み取り専用機によって読み取れば、その意味等を表示部22に瞬時に表示することができる。
【0039】
また、このような読み取り後の情報は、内蔵メモリに記憶することができ、必要に応じて呼び出すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のQRコードを印刷した栞の正面図である。
【図2】本発明のQRコードの読み取り可能な読取装置としての携帯電話の斜視図である。
【図3】QRコードの説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10…栞
11…QRコード
12…言語文字
20…携帯電話装置(読取装置)
21…読取部
22…表示部
23…操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単語又は語彙とこの単語又は語彙に対応した訳又は意味とが対応付けされて記録されていることを特徴とするQRコード。
【請求項2】
前記単語又は語彙が英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であり、前記訳又は意味が前記単語又は語彙に用いられた言語と異なる又は同一の英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・中国語・日本語の少なくとも何れか一つの言語であること特徴とする請求項1に記載のQRコード。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のQRコードが一つ以上印刷されていることを特徴とする栞。
【請求項4】
前記QRコードに対応した前記単語又は語彙の言語文字が添え書き印刷されていることを特徴とする請求項3に記載の栞。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の複数のQRコードが該各QRコードに対応した前記単語又は語彙の言語文字を添え書きした状態で印刷されていることを特徴とする辞書。
【請求項6】
請求項5に記載の辞書からQRコードを読み取って表示可能なことを特徴とする読取装置。
【請求項7】
読み取り後の情報を記憶するメモリを備えていることを特徴とする請求項6に記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−318114(P2006−318114A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138657(P2005−138657)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】