説明

RF−IDメディアホルダー

【課題】リーダ/ライタからの電波に共振して情報の書き込みや読み出しが行われるRF−IDメディアを収納した場合にRF−IDメディアの通信特性が低下することを回避する。
【解決手段】重ね合わされた2枚のシート基材10a,10b間に、長方形のRF−IDメディアが収納されるメディア収納領域15が形成された構成において、2枚のシート基材10a,10bの、メディア収納領域15にRF−IDメディアが収納された場合にそのRF−IDメディアの長辺方向両端部に対向する領域に、長手方向が当該両端部に沿うような長孔11a,11bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なRF−IDメディアが収納されるRF−IDメディアホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、このようなカードは、情報管理や決済等の他にも、イベント等の来場者に配布して来場者管理を行ったり、従業員に配布して管理区域への入場制限を行ったりするためにも用いられている。また、近年においては、このようなカードとして、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICカードがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
このようにカードを用いて来場者管理を行う場合や管理区域への入場制限を行う場合等においては、来場者や従業員等がカードを持ち歩くことになるため、カードを収納可能なホルダーにカードを収納し、このホルダーを首から吊り下げることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−11881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような非接触型ICカード等のRF−IDメディアは、外部に設けられたリーダ/ライタからのUHF帯やマイクロ波帯等の周波数を有する電波にアンテナが共振することによって情報が書き込まれたり読み出されたりするものであるため、そのアンテナの形状が、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数に応じて設計されている。
【0006】
ところが、上述したようにRF−IDメディアをホルダーに収納して用いる場合、ホルダーが樹脂等の誘電体で構成されていると、RF−IDメディアのアンテナの周波数特性が低い周波数方向にシフトすることになる。そのため、アンテナの共振周波数が、リーダ/ライタにてRF−IDメディアに対して情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対してずれてしまい、情報の書き込みや読み出しが可能な距離が短くなってしまう等、通信特性が低下してしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、リーダ/ライタからの電波に共振して情報の書き込みや読み出しが行われるRF−IDメディアを収納した場合にRF−IDメディアの通信特性が低下することを回避できるRF−IDメディアホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
長方形の形状からなり、該長方形を構成する4辺のうち互いに対向する2辺に沿う領域に両端部を具備するアンテナが形成されたRF−IDメディアが収納されるRF−IDメディアホルダーであって、
重ね合わされた2枚のシート基材間に前記RF−IDメディアが収納されるメディア収納領域が形成され、
前記2枚のシート基材のうち少なくとも一方のシート基材は、前記メディア収納領域に前記RF−IDメディアが収納された場合に当該RF−IDメディアの前記2辺に沿う領域に対向する領域に、長手方向が当該2辺に沿うような長孔を有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、長方形のRF−IDメディアをメディア収納領域に収納すると、このRF−IDメディアの長方形を構成する4辺のうち、RF−IDメディアに形成されたアンテナの両端部が沿う2辺に沿う領域に長孔が対向することになる。ここで、上述したようなRF−IDメディアの共振周波数のずれによる通信特性の低下は、アンテナの端部が誘電体に対向していなければそれ以外の領域が誘電体に対向していたとしてもほとんど生じない。そのため、アンテナの端部が長孔によって2枚のシート基材のうち少なくとも一方のシート基材に対向していないことにより、RF−IDメディアを収納した場合であってもRF−IDメディアの通信特性の低下が回避されることになる。そして、長孔が、その長手方向がメディア収納領域に収納されるRF−IDメディアの長方形を構成する4辺のうち、RF−IDメディアに形成されたアンテナの両端部が沿う2辺に沿うような形状であることにより、アンテナが形成される領域が、RF−IDメディアの種類によってRF−IDメディアのその2辺に沿う方向にずれていても、アンテナの端部を長孔に対向させることができる。
【0010】
また、長孔の長手方向の長さが、メディア収納領域に収納されるRF−IDメディアのその2辺の長さと同等であるようにすれば、RF−IDメディアのその2辺以外の2辺のうち一方の辺に沿うようにアンテナが形成されたものと、RF−IDメディアの他方の辺に沿うようにアンテナが形成されたもののいずれにおいても、アンテナの端部を長孔に対向させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、長方形のRF−IDメディアが収納される収納領域を形成する2枚のシート基材のうち少なくとも一方のシート基材が、メディア収納領域にRF−IDメディアが収納された場合にそのRF−IDメディアの長方形を構成する4辺のうち、RF−IDメディアに形成されたアンテナの両端部が沿う2辺に沿う領域に対向する領域に、長手方向がその2辺に沿うような長孔を有する構成としたため、RF−IDメディアをメディア収納領域に収納した場合、アンテナの端部が長孔に対向することとなる。そして、RF−IDメディアの共振周波数のずれによる通信特性の低下が、アンテナの端部が誘電体に対向していなければそれ以外の領域が誘電体に対向していたとしてもほとんど生じないものであることから、アンテナの端部が長孔によって2枚のシート基材のうち少なくとも一方のシート基材に対向していないことにより、RF−IDメディアの通信特性が低下することを回避でき、また、長孔が、その長手方向がメディア収納領域に収納されるRF−IDメディアの長方形を構成する4辺のうち、RF−IDメディアに形成されたアンテナの両端部が沿う2辺に沿うような形状であることにより、アンテナが形成される領域が、RF−IDメディアの種類によってRF−IDメディアのその2辺に沿う方向にずれていても、アンテナの端部を長孔に対向させることができる。
【0012】
また、長孔の長手方向の長さが、メディア収納領域に収納されるRF−IDメディアのその2辺の長さと同等であるものにおいては、RF−IDメディアのその2辺以外の2辺のうち一方の辺に沿うようにアンテナが形成されたものと、RF−IDメディアの他方の辺に沿うようにアンテナが形成されたもののいずれにおいても、アンテナの端部を長孔に対向させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のRF−IDメディアホルダーに収納されるRF−IDメディアの一例を示す図であり、(a)は表面から見た内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【図2】図1に示したアンテナ部が誘電体に対向した場合における周波数特性を説明するための図であり、(a)はアンテナ部が誘電体に対向していない状態を示す図、(b)は(a)に示した状態におけるアンテナ部の周波数特性を示す図、(c)はアンテナ部の中央部分が誘電体に対向している状態を示す図、(d)は(c)に示した状態におけるアンテナ部の周波数特性を示す図、(e)はアンテナ部の端部が誘電体に対向している状態を示す図、(f)は(e)に示した状態におけるアンテナ部の周波数特性を示す図、(g)はアンテナ部の端部が誘電体に対向している状態を示す図、(h)は(g)に示した状態におけるアンテナ部の周波数特性を示す図、(i)はアンテナ部の両端部が誘電体に対向している状態を示す図、(j)は(i)に示した状態におけるアンテナ部の周波数特性を示す図である。
【図3】本発明のRF−IDメディアホルダーの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は裏面図である。
【図4】図3に示したRF−IDカードホルダーに図1に示した非接触型ICカードが収納された状態を示す図である。
【図5】図3に示したRF−IDメディアホルダーに収納された非接触型ICカードの取り出し方を説明するための図である。
【図6】シート基材に形成された長孔が、その長手方向がメディア収納領域に収納されるRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状であることによる効果を説明するための図である。
【図7】本発明のRF−IDメディアホルダーの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は裏面図である。
【図8】図7に示したRF−IDメディアホルダーにRF−IDメディアが収納された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明のRF−IDメディアホルダーに収納されるRF−IDメディアについて説明する。
【0016】
図1は、本発明のRF−IDメディアホルダーに収納されるRF−IDメディアの一例を示す図であり、(a)は表面から見た内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【0017】
本例は図1に示すように、長方形の樹脂シート4上に、2つのメアンダパターン2a,2b及び導電領域2c,2d、並びに短絡部2eが形成されるとともに、ICチップ3が搭載されてなるインレット5が、2枚のカード基材6a,6bに挟み込まれて構成された非接触型ICカード100である。ICチップ3は、樹脂シート4の長辺方向中央部分において、樹脂シート4上に塗布されたACP等の導電性の接着剤(不図示)によって樹脂シート4に接着されており、裏面に設けられた外部接続端子(不図示)がメアンダパターン2a,2bの端部とそれぞれ接触することにより、メアンダパターン2a,2bと電気的に接続されている。メアンダパターン2a,2bは、一端がICチップ3に接続され、このICチップ3が搭載された樹脂シート4の長辺方向中央部分から両端部に向かってジグザグ状に延びている。導電領域2c,2dは、樹脂シート4の長辺方向両端部に形成され、樹脂シート4の長辺方向中央部分からジグザグ状に延びたメアンダパターン2a,2bの他端に接続されている。短絡部2eは、メアンダパターン2a,2bのICチップ3が接続された領域の近傍において、メアンダパターン2a,2bの一部とICチップ3とからなる導通経路と並列に接続されている。そして、これら2つのメアンダパターン2a,2bと2つの導電領域2c,2dと短絡部2eとからアンテナ部2が構成されている。すなわち、アンテナ部2は、樹脂シート4の長方形の4辺のうち互いに対向する2辺に沿う領域に両端部を具備するように形成されている。
【0018】
上記のように構成された非接触型ICカード100は、外部に設けられたリーダ/ライタ(不図示)に近接させることにより、リーダ/ライタからの電波にアンテナ部2が共振して電流が流れ、この電流がICチップ3に供給され、それにより、非接触状態において、リーダ/ライタからICチップ3に情報が書き込まれたり、ICチップ3に書き込まれた情報がアンテナ部2を介してリーダ/ライタにて読み出されたりする。そのため、2つのメアンダパターン2a,2b及び導電領域2c,2d、並びに短絡部2eの形状が、インレット5がカード基材6a,6bに挟み込まれた状態でリーダ/ライタからの電波に共振する周波数に応じて設計されている。
【0019】
図2は、図1に示したアンテナ部2が誘電体に対向した場合における周波数特性を説明するための図であり、(a)はアンテナ部2が誘電体に対向していない状態を示す図、(b)は(a)に示した状態におけるアンテナ部2の周波数特性を示す図、(c)はアンテナ部2の中央部分が誘電体に対向している状態を示す図、(d)は(c)に示した状態におけるアンテナ部2の周波数特性を示す図、(e)はアンテナ部2の端部が誘電体に対向している状態を示す図、(f)は(e)に示した状態におけるアンテナ部2の周波数特性を示す図、(g)はアンテナ部2の端部が誘電体に対向している状態を示す図、(h)は(g)に示した状態におけるアンテナ部2の周波数特性を示す図、(i)はアンテナ部2の両端部が誘電体に対向している状態を示す図、(j)は(i)に示した状態におけるアンテナ部2の周波数特性を示す図である。
【0020】
図1に示した非接触型ICカード100においては、上述したように、2つのメアンダパターン2a,2b及び導電領域2c,2d、並びに短絡部2eの形状が、インレット5がカード基材6a,6bに挟み込まれた状態でリーダ/ライタからの電波に共振する周波数に応じて設計されている。そのため、図2(a)に示すようにアンテナ部2が誘電体に対向していない状態においては、図2(b)に示すように、その共振周波数が、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数f0となっている。
【0021】
これに対して、アンテナ部2が誘電体に対向している状態における周波数特性を測定した。
【0022】
その結果、図2(c)に示すようにアンテナ部2の中央部分、すなわち、アンテナ部2の端部を含まない領域が誘電体7に対向している場合は、アンテナ部2が誘電体に対向していない状態に対してその共振周波数がずれることなく、図2(d)に示すように、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数f0となっている。
【0023】
そして、誘電体7をアンテナ部2の端部側にずらしていき、図2(e)に示すように誘電体7が導電領域2cにかかると、その共振周波数がずれ、図2(f)に示すように、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数f0とは異なるf1となる。これは、導電領域2cがICチップ3側に折り返していることにより、折り返した端部がアンテナ部2の端部となるためである。
【0024】
そして、誘電体7をアンテナ部2の端部側にさらにずらしていき、図2(g)に示すようにアンテナ部2の端部となる導電領域2cが全て誘電体7に対向している場合においても、図2(h)に示すように、その共振周波数はリーダ/ライタからの電波に共振する周波数f0とは異なるf1となる。
【0025】
また、図2(i)に示すように、アンテナ部2の両端部に誘電体7を対向させた場合は、図2(j)に示すように、その共振周波数がさらに大きくずれ、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数f0とは異なるf2となる。
【0026】
このように、アンテナ部2が誘電体7に対向することにより共振周波数がずれて非接触型ICカード100の通信特性が低下する現象は、アンテナ部2の端部が誘電体7に対向していなければそれ以外の領域が誘電体7に対向していたとしてもほとんど生じないことがわかった。そこで、本願出願人は、このような現象を鑑みて、図1に示した非接触型ICカード100のようなRF−IDメディアをその通信特性を低下させることなく収納するRF−IDメディアホルダーの形状を鋭意研究した。
【0027】
図3は、本発明のRF−IDメディアホルダーの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は裏面図である。
【0028】
本形態は図3に示すように、透明な樹脂等からなる長方形の2枚のシート基材10a,10bが重ね合わされてその3辺が貼り合わせ部12となって貼り合わされることにより、残りの1辺が開口部14として開口したものであって、この開口部14から2枚のシート基材10a,10b間に、図1に示した非接触型ICカード100のような長方形のRF−IDメディアが収納されるメディア収納領域15が形成されている。また、このRF−IDメディアホルダーを首等から吊り下げるための吊り下げ部13が設けられている。なお、貼り合わせ部12における2枚のシート基材10a,10bの貼り合わせは、粘着剤等の接着手段を用いてもよいし、シート基材10a,10bどうしを熱等によって溶着してもよい。
【0029】
2枚のシート基材10a,10bは、メディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアよりも一回り大きな形状を有しており、それにより、貼り合わせ部12を設けた状態においては、メディア収納領域15の形状がこのメディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアと略同一の形状となっている。なお、この略同一の形状とは、メディア収納領域15に開口部14からRF−IDメディアが収納可能な程度のものを言う。すなわち、メディア収納領域15の形状も長方形となっている。また、シート基材10a,10bのそれぞれには、メディア収納領域15の短辺に沿って、その長手方向が短辺方向の全幅に渡るような長孔11a,11bが形成されている。すなわち、この長孔11a,11bは、メディア収納領域15に図1に示した非接触型ICカード100のようなアンテナ部2が形成された長方形のRF−IDメディアが収納された場合に、そのRF−IDメディアの長方形の4辺のうちアンテナ部の両端部が沿う2辺に沿う領域に対向する領域において、その長手方向がRF−IDメディアのその2辺に沿うような形状、具体的にはRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状となって形成されていることになる。また、シート基材10a,10bは、湾曲可能な柔らかい材質のものであってもよいし、硬質プラスチック等からなる硬い材質のものであってもよい。
【0030】
以下に、上記のように構成されたRF−IDメディアホルダー1にRF−IDメディアを収納した場合の作用について、図1に示した非接触型ICカード100を収納した場合を例に挙げて説明する。
【0031】
図4は、図3に示したRF−IDカードホルダー1に図1に示した非接触型ICカード100が収納された状態を示す図である。
【0032】
図3に示したRF−IDカードホルダー1に図1に示した非接触型ICカード100を収納する場合は、2枚のシート基材10a,10bが貼り合わされていない開口部14から非接触型ICカード100を2枚のシート基材10a,10b間に挿入していき、メディア収納領域15に収納する。メディア収納領域15は、非接触型ICカード100と略同一の形状となっていることから、非接触型ICカード100は、メディア収納領域15に収納された状態で固定される。
【0033】
非接触型ICカード100がメディア収納領域15に収納された状態においては、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bが、メディア収納領域15の短辺に沿って、その長手方向が短辺方向の全幅に渡るように形成されているため、図4に示すように、メディア収納領域15に収納された非接触型ICカード100のアンテナ部2の端部となる導電領域2c,2dに長孔11a,11bが対向することになる。
【0034】
そのため、メディア収納領域15に収納された非接触型ICカード100に形成されたアンテナ部2においては、端部以外の領域がシート基材10a,10bに対向しているものの、その端部はシート基材10a,10bに対向していない状態となる。
【0035】
ここで、非接触型ICカード100に形成されたアンテナ部2においては、図2に示したように、共振周波数のずれによる通信特性の低下が、アンテナ部2の端部が誘電体に対向していなければそれ以外の領域が誘電体に対向していたとしてもほとんど生じないものであることから、図4に示したように、メディア収納領域15に収納された非接触型ICカード100に形成されたアンテナ部2の端部がシート基材10a,10bに対向していない状態においては、共振周波数のずれが生じることがなくなり、通信特性の低下を回避することができる。
【0036】
このように、本形態のRF−IDメディアホルダー1に図1に示した非接触型ICカード100を収納した状態においては、非接触型ICカード100がRF−IDメディアホルダー1に収納されていない状態に対して、その共振周波数がずれることはなく、通信特性が低下することを回避できることになる。
【0037】
また、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bは、その後、RF−IDメディアホルダー1に収納された非接触型ICカード100を取る出す際に利用することができる。
【0038】
図5は、図3に示したRF−IDメディアホルダー1に収納された非接触型ICカード100の取り出し方を説明するための図である。
【0039】
図3に示したRF−IDメディアホルダー1に収納された非接触型ICカード100は、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bによってその一部が表出している。そのため、図5に示すように、その表出した部分を指で触れて開口部14側に非接触型ICカード100をずらすことにより、非接触型ICカード100をRF−IDメディアホルダー1から取り出すことができる。
【0040】
以下に、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bが、その長手方向がメディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状であることによる効果について説明する。
【0041】
図6は、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bが、その長手方向がメディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状であることによる効果を説明するための図である。
【0042】
本形態におけるRF−IDメディアホルダー1においては、上述したように、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bが、その長手方向がメディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状となっている。
【0043】
そのため、図6に示すように、図1に示した非接触型ICカード100に対してアンテナ部2の形成領域が非接触型ICカード1の短辺方向にずれた非接触型ICカード200をRF−IDメディアホルダー1のメディア収納領域15に収納した場合においても、メディア収納領域15に収納された非接触型ICカード200のアンテナ部2の端部となる導電領域2c,2dが長孔11a,11bに対向することになる。
【0044】
このように、シート基材10a,10bに形成された長孔11a,11bが、その長手方向がメディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿うような形状であることにより、アンテナ部2が形成される領域が、メディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの種類によってRF−IDメディアの長辺方向両端部に沿う方向にずれていても、アンテナ部2の端部を長孔11a,11bに対向させることができる。
【0045】
さらに、本形態のRF−IDメディアホルダー1のように、シート基材10a,10bの長孔11a,11bが、メディア収納領域15の短辺に沿って、その長手方向が短辺方向の全幅に渡るように形成されており、それにより、長孔11a,11bの長手方向の長さが、メディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアの短辺の長さと同等であれば、RF−IDメディアの一方の長辺に沿うようにアンテナが形成されたものと、RF−IDメディアの他方の長辺に沿うようにアンテナが形成されたもののいずれにおいても、アンテナの端部を長孔11a,11bに対向させることができるようになる。
【0046】
(他の実施の形態)
図7は、本発明のRF−IDメディアホルダーの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は裏面図である。
【0047】
本形態は図7に示すように、図3に示したものに対して、長孔111a,111bが、メディア収納領域15の長辺に沿って、その長手方向が長辺方向の全幅に渡るように形成されている点のみが異なるものである。
【0048】
図8は、図7に示したRF−IDメディアホルダー101にRF−IDメディアが収納された状態を示す図である。
【0049】
図7に示したRF−IDメディアホルダー101には、図8に示すように、図1に示した非接触型ICカード1に対してアンテナ部2の向きが90度回転した非接触型ICカード300が収納される。すなわち、図7に示したRF−IDメディアホルダー101においても、長孔111a,111bが、メディア収納領域15に非接触型ICカード300が収納された場合に、非接触型ICカード300の長方形の4辺のうちアンテナ部2の両端部が沿う2辺に沿う領域に対向する領域において、その長手方向がRF−IDメディアのその2辺に沿うような形状となって形成されていることになる。
【0050】
すると、長孔111a,111bが、メディア収納領域15の長辺に沿って、その長手方向が長辺方向の全幅に渡るように形成されていることにより、非接触型ICカード300のアンテナ部2の端部がこの長孔111a,111bに対向することとなり、上記同様の作用が生じることになる。
【0051】
また、図8に示したように、図1に示した非接触型ICカード1に対してアンテナ部2の向きが90度回転した非接触型ICカード300においては、アンテナ部2が、非接触型ICカード300の短辺に沿う領域に形成されていれば、図3に示したRF−IDメディアホルダー1に収納された場合にアンテナ部2の全体が長孔11a,11bに対向することとなり、上記同様の作用が生じることになる。
【0052】
なお、上述した実施の形態においては、2枚のシート基材10a,10bのそれぞれに長孔11a,11b,111a,111bが形成されたものを例に挙げて説明したが、本発明のRF−IDメディアホルダーとしては、収納されるRF−IDメディアの一方の面からアンテナまでの厚さによっては、2枚のシート基材のうち、アンテナまでの厚さが薄い側の面に対向するシート基材に長孔が形成されていればよい。そのため、様々な構成のRF−IDメディアに対応するためには、2枚のシート基材のそれぞれに長孔が形成されていることが好ましい。
【0053】
また、上述した実施の形態においては、メディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアとして、非接触型ICカード100,200,300を例に挙げて説明したが、メディア収納領域15に収納されるRF−IDメディアはこれに限らず、非接触型ICタグであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,101 RF−IDメディアホルダー
2 アンテナ部
2a,2b メアンダパターン
2c,2d 導電領域
2e 短絡部
3 ICチップ
4 樹脂シート
5 インレット
6a,6b カード基材
10a,10b シート基材
11a,11b,111a,111b 長孔
12 貼り合わせ部
13 吊り下げ部
14 開口部
15 メディア収納領域
100,200,300 非接触型ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の形状からなり、該長方形を構成する4辺のうち互いに対向する2辺に沿う領域に両端部を具備するアンテナが形成されたRF−IDメディアが収納されるRF−IDメディアホルダーであって、
重ね合わされた2枚のシート基材間に前記RF−IDメディアが収納されるメディア収納領域が形成され、
前記2枚のシート基材のうち少なくとも一方のシート基材は、前記メディア収納領域に前記RF−IDメディアが収納された場合に当該RF−IDメディアの前記2辺に沿う領域に対向する領域に、長手方向が当該2辺に沿うような長孔を有するRF−IDメディアホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載のRF−IDメディアホルダーにおいて、
前記長孔は、前記長手方向の長さが、前記メディア収納領域に収納されるRF−IDメディアの前記2辺の長さと同等であるRF−IDメディアホルダー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−33016(P2012−33016A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172323(P2010−172323)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】