説明

RF−IDメディア検査装置

【課題】搬送手段の搬送面上にRF−IDメディアを搭載して搬送し、検査を行う場合に、搬送面が誘電体からなるものであってもRF−IDメディアの検査を正確に行う。
【解決手段】非接触型ICカード1が搭載される搬送面を具備し、この搬送面に非接触型ICカード1を搭載して搬送する搬送ベルト10a,10bと、搬送ベルト10a,10bにおける非接触型ICカード1の搬送経路上にて非接触型ICカード1に対して非接触通信を行うことにより検査を行うリーダ/ライタ20と、リーダ/ライタ20にて非接触型ICカード1の検査が行われる際に、非接触型ICカード1を搬送ベルト10a,10bから浮かせるエアー吹付器30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なRF−IDメディアに対して検査を行うRF−IDメディア検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いての商品等の管理も行われている。
【0003】
このようなRF−IDメディアにおいては、製品としこのようなカードやラベル、あるいはタグを用いた情報管理においては、カードやラベル、あるいはタグに対して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICカードや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICタグ等のRF−IDメディアがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。て出荷される前に検査手段となるリーダ/ライタによって検査用の情報の書き込み及び読み出しを行うことにより、良品/不良品の検査が行われている。このような良品/不良品の検査は、複数のRF−IDメディアが連続的に搬送されてきて、リーダ/ライタによって複数のRF−IDメディアに対して1つずつ検査が行われることになる(例えば、特許文献1参照。)。複数のRF−IDメディアを連続的に搬送する手段としては、様々なものが考えられるが、個片化されたRF−IDメディアにおいては、搬送ベルト上に複数のRF−IDメディアを一定間隔で搭載して搬送することが考えられる。そして、この搬送ベルトによるRF−IDメディアの搬送経路上において、RF−IDメディアに対して上記検査を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−25762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなRF−IDメディアは、リーダ/ライタからのUHF帯やマイクロ波帯等の周波数を有する電波にアンテナが共振することによって情報が書き込まれたり読み出されたりするものにおいては、そのアンテナの形状が、リーダ/ライタからの電波に共振する周波数に応じて設計されている。
【0006】
ところが、上述したようにRF−IDメディアを搬送ベルト上に搭載して搬送している状態にて検査を行う場合、搬送ベルトが誘電体で構成されていると、RF−IDメディアのアンテナの周波数特性が低い周波数方向にシフトすることになる。そのため、アンテナの共振点が、検査を行うリーダ/ライタにてRF−IDメディアに対して検査用の情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対してずれてしまい、RF−IDメディアが実際には良品であるにも関わらず所定の距離にて情報の書き込み及び読み出しができずに不良品と判定されてしまったり、RF−IDメディアが実際には不良品であるにも関わらず所定の距離にて情報の書き込み及び読み出しができて良品と判定されてしまったりすることとなり、正確な検査を行うことができなくなってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、搬送手段の搬送面上にRF−IDメディアを搭載して搬送し、検査を行う場合に、搬送面が誘電体からなるものであってもRF−IDメディアの検査を正確に行うことができるRF−IDメディア検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
RF−IDメディアの検査を行うRF−IDメディア検査装置であって、
前記RF−IDメディアが搭載される搬送面を具備し、該搬送面に前記RF−IDメディアを搭載して搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送されてくるRF−IDメディアに対して平行に配置された通信用アンテナを具備し、前記搬送手段における前記RF−IDメディアの搬送経路上にて前記RF−IDメディアに対して前記通信用アンテナを用いて非接触通信を行うことにより検査を行う検査手段と、
前記検査手段にて前記RF−IDメディアの検査が行われる際に、当該RF−IDメディアを前記搬送面から浮かせる浮上手段とを有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、搬送手段の搬送面にRF−IDメディアが搭載されて搬送されてくる。そして、この搬送手段における搬送経路上において、検査手段によってRF−IDメディアに対して非接触通信が行われることにより、RF−IDメディアの検査が行われる。ここで、検査が行われるRF−IDメディアは、搬送手段の搬送面に搭載されて搬送されてきた状態となっているため、このままでは、搬送面が誘電体から構成されていると、RF−IDメディアのアンテナの共振点が、検査手段にて非接触通信を行うための周波数に対してずれてしまい、正確な検査を行うことができない。そこで、浮上手段によってRF−IDメディアを搬送面から浮かせ、その状態で検査手段によってRF−IDメディアの検査を行うことにより、搬送面が誘電体からなるものであっても搬送面の影響を受けずにRF−IDメディアの検査を正確に行うことができるようになる。
【0010】
また、浮上手段によって搬送面から浮き上がったRF−IDメディアの上面のうち、少なくとも互いに対向する端部に当接することにより、RF−IDメディアを検査手段の通信用アンテナと平行な状態に保持する平行保持手段を設ければ、浮上手段によるRF−IDメディアを浮かせる力によらずに、RF−IDメディアが検査手段の通信用アンテナと平行な状態に保持されることとなり、それにより、浮上手段によるRF−IDメディアを浮かせる力の精細な制御が不要となる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、搬送手段の搬送面に搭載されて搬送されてくるRF−IDメディアに対して検査手段によって非接触通信を行うことにより検査を行う際に、浮上手段によってRF−IDメディアを搬送手段の搬送面から浮かせる構成としたため、RF−IDメディアは検査が行われる状態においては搬送手段の搬送面から浮いた状態となることとなり、それにより、搬送手段の搬送面上にRF−IDメディアを搭載して搬送し、検査を行う場合に、搬送面が誘電体からなるものであってもRF−IDメディアの検査を正確に行うことができる。
【0012】
また、浮上手段によって搬送面から浮き上がったRF−IDメディアの上面のうち、少なくとも互いに対向する端部に当接することにより、RF−IDメディアを検査手段の通信用アンテナと平行な状態に保持する平行保持手段を有するものにおいては、浮上手段によるRF−IDメディアを浮かせる力によらずに、RF−IDメディアが検査手段の通信用アンテナと平行な状態に保持されることとなり、それにより、浮上手段においてRF−IDメディアを浮かせる力についての精細な制御を行うことなく、RF−IDメディアを検査手段の通信用アンテナと平行な状態に保持することができ、正確な検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のRF−IDメディア検査装置にて検査が行われるRF−IDメディアの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【図2】本発明のRF−IDメディア検査装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)に示した構成からリーダ/ライタを取り除いた構成を上方から見た図である。
【図3】図2に示したRF−IDメディア検査装置の動作を説明するための図であり、(a)は非接触型ICカードが検査領域に搬送されていない状態における非接触型ICカードの搬送方向上流側から見た図、(b)は非接触型ICカードが検査領域に搬送された状態における非接触型ICカードの搬送方向上流側から見た図、(c)は(b)に示した状態における上方から見た図である。
【図4】図2に示したRF−IDメディア検査装置において不良品と判定された非接触型ICカードを排出する際の動作を説明するための図である。
【図5】本発明のRF−IDメディア検査装置の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)に示した構成からリーダ/ライタを取り除いた構成を上方から見た図である。
【図6】図5に示したRF−IDメディア検査装置の動作を説明するための図であり、(a)は非接触型ICカードが検査領域に搬送されていない状態における非接触型ICカードの搬送方向上流側から見た図、(b)は非接触型ICカードが検査領域に搬送された状態における非接触型ICカードの搬送方向上流側から見た図、(c)は(b)に示した状態における上方から見た図である。
【図7】図5に示したRF−IDメディア検査装置において不良品と判定された非接触型ICカードを排出する際の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明のRF−IDメディア検査装置にて検査が行われるRF−IDメディアについて説明する。
【0016】
図1は、本発明のRF−IDメディア検査装置にて検査が行われるRF−IDメディアの一例を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA―A’断面図である。
【0017】
本例は図1に示すように、樹脂シート4上に2つのアンテナパターン2a,2bが形成されるとともにICチップ3が搭載されてなるインレット5が、2枚のカード基材6a,6bに挟み込まれて構成された非接触型ICカード1である。アンテナパターン2a,2bは、それぞれ二等辺三角形の形状を有し、樹脂シート4の一方の面上において、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺のそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置されて形成され、これらによってアンテナ部2を構成している。ICチップ3は、樹脂シート4上に塗布されたACP等の導電性の接着剤(不図示)によって樹脂シート4に接着されており、裏面に設けられた外部接続端子(不図示)がアンテナパターン2a,2bの頂点とそれぞれ接触することにより、アンテナ部2と電気的に接続されている。
【0018】
上記のように構成された非接触型ICカード1は、外部に設けられたリーダ/ライタ(不図示)に近接させることにより、リーダ/ライタからの電波にアンテナ部2が共振して電流が流れ、この電流がICチップ3に供給され、それにより、非接触状態において、リーダ/ライタからICチップ3に情報が書き込まれたり、ICチップ3に書き込まれた情報がアンテナ部2を介してリーダ/ライタにて読み出されたりする。そのため、アンテナパターン2a,2bの大きさが、インレット5がカード基材6a,6bに挟み込まれた状態でリーダ/ライタからの電波に共振する周波数に応じて設計されている。
【0019】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明のRF−IDメディア検査装置の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)に示した構成からリーダ/ライタ20を取り除いた構成を上方から見た図である。
【0020】
本形態は、図1に示した非接触型ICカード1の検査を行うものであって、図2に示すように、搬送手段となる2つの搬送ベルト10a,10bと、検査手段となるリーダ/ライタ20と、2つのエアー吹付器30,31と、2枚の側板40a,40bとから構成されている。
【0021】
2つの搬送ベルト10a,10bは、樹脂からなるものであって、所定の間隔を介して互いに平行となるように配置されている。そして、ベルト表面を検査対象となる非接触型ICカード1が搭載される搬送面とし、このベルト表面上に非接触型ICカード1を搭載して搬送する。ベルト表面には、非接触型ICカード1が搭載される領域に、非接触型ICカード1の搬送方向前後に爪11が設けられており、非接触型ICカード1はこの爪11で挟まれる領域に2つの搬送ベルト10a,10bに跨って搭載される。また、搬送ベルト10a,10bのそれぞれの幅と互いの間隔は、2本の搬送ベルト10a,10bが所定の間隔を介して配置された場合に、全体の幅が非接触型ICカード1の幅よりも狭くなるようなものとなっている。
【0022】
リーダ/ライタ20は、通信用アンテナ(不図示)を具備し、搬送ベルト10a,10bによる非接触型ICカード1の搬送経路の上方にて搬送ベルト10a,10bに対向するように設けられており、搬送ベルト10a,10bによって搬送されてきた非接触型ICカード1に対して通信用アンテナを用いて非接触通信となる検査用の情報の書き込み及び読み出しを行うことにより非接触型ICカード1の検査を行う。なお、リーダ/ライタ20は、非接触型ICカード1が近接した場合に通信用アンテナを用いて非接触型ICカード1に対して情報の書き込みや読み出しを行うことができるが、本発明のようにリーダ/ライタ20を用いて非接触型ICカード1の検査を行う場合は、その通信距離を正確に認識するために、通信用アンテナは、搬送ベルト10a,10bによって搬送されてくる非接触型ICカード1に対して平行に配置されている。
【0023】
エアー吹付器30は、本発明の浮上手段となるものであって、リーダ/ライタ20と対向するように搬送ベルト10a,10bの下方に、2本の搬送ベルト10a,10bの間に配置されている。そして、搬送ベルト10a,10bに搭載されて搬送されてきた非接触型ICカード1に対して下方から空気を吹き付ける。
【0024】
エアー吹付器31は、搬送ベルト10a,10bの下方に搬送ベルト10bを介してエアー吹付器30と並ぶように配置されている。すなわち、エアー吹付部31は、搬送ベルト10bの外側に配置されている。そして、搬送ベルト10a,10bに搭載されて搬送されてきた非接触型ICカード1に対して下方から空気を吹き付ける。
【0025】
側板40a,40bは、搬送ベルト10a,10bによって搬送されてきた非接触型ICカード1に対してリーダ/ライタ20によって検査が行われる領域において、搬送ベルト10a,10bによる非接触型ICカード1の搬送経路の両側に沿うように配置されており、上端部には、平行保持手段となる2つずつの高さ規制板41が取り付けられている。この高さ規制板41は、搬送ベルト10a,10bのベルト表面、すなわち非接触型ICカード1が搭載される搬送面に対して20mm程度上方において、検査が行われる領域に搬送されてきた非接触型ICカード1が、搬送ベルト10a,10bから上方に浮き上がった場合にその端部となる4隅に当接することにより、非接触型ICカード1がそれ以上上方に浮くことを規制する。すなわち、この4つの高さ規制板41は、搬送ベルト10a,10bに対する高さが互いに等しくなっている。
【0026】
以下に、上記のように構成されたRF−IDメディア検査装置の動作について説明する。
【0027】
図3は、図2に示したRF−IDメディア検査装置の動作を説明するための図であり、(a)は非接触型ICカード1が検査領域に搬送されていない状態における非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た図、(b)は非接触型ICカード1が検査領域に搬送された状態における非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た図、(c)は(b)に示した状態における上方から見た図である。
【0028】
検査が行われる非接触型ICカード1は図3(a)に示すように、2本の搬送ベルト10a,10bに跨るようにそのベルト表面に搭載されて搬送されていく。なお、搬送ベルト10a,10bは、間欠動作を行っており、それにより、非接触型ICカード1を間欠搬送する。また、搬送ベルト10a,10bのそれぞれの幅と互いの間隔が、2本の搬送ベルト10a,10bが所定の間隔を介して配置された場合に、全体の幅が非接触型ICカード1の幅よりも狭くなるようなものとなっていることにより、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bの両側から突出した状態となる。
【0029】
搬送ベルト10a,10bによって非接触型ICカード1が検査領域となるリーダ/ライタ20に対向する領域に搬送されてくると、エアー吹付器30から上方に向かって空気が吹き付けられる。エアー吹付器30は、搬送ベルト10a,10bの下方に、2本の搬送ベルト10a,10bの間に配置されており、また、エアー吹付器30に対向する領域には非接触型ICカード1が搬送されてきているため、検査領域に搬送されてきた非接触型ICカード1に対して搬送ベルト10a,10bの搬送面側から空気が吹き付けられ、それにより、図3(b)に示すように、非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮くことになる。そして、搬送ベルト10a,10bから浮き上がった非接触型ICカード1は、図3(c)に示すように、その4隅が側板40a,40bの高さ規制板41に当接し、それ以上上方に浮くことが規制される。この際、4つの高さ規制板41の搬送ベルト10a,10bに対する高さが互いに等しくなっているため、非接触型ICカード1の4隅がこの4つの高さ規制板41にそれぞれ当接した状態においては、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10b上に搭載されて搬送されている状態に対してその傾きが変わることがなく、それにより、リーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して平行な状態となる。
【0030】
この状態において、リーダ/ライタ20から非接触型ICカード1に対して検査用の情報の書き込み及び読み出しが行われる。この際、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bから20mm程度浮き上がった状態となっているため、非接触型ICカード1の上面及び下面が何にも接していない状態となり、それにより、搬送ベルト10a,10bのベルト表面が誘電体からなるものであっても、この誘電体によって共振周波数がずれることがなくなり、リーダ/ライタ20による非接触型ICカード1の検査を正確に行うことができる。
【0031】
なお、エアー吹付器30から吹き付ける空気の吹き付け強さを、非接触型ICカード1がリーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して平行となるように制御すれば、高さ規制板41は不要となるが、高さ規制板41を設けることにより、エアー吹付器30から吹き付ける空気の吹き付け強さを、非接触型ICカード1が高さ規制板41に当接するようなものとするだけで、リーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して非接触型ICカード1を平行な状態とすることができる。
【0032】
また、高さ規制板41は、上述したように、非接触型ICカード1の4隅に当接するように4つ設けられているが、エアー吹付器30から吹き付けられる空気によって搬送ベルト10a,10bから浮き上がった非接触型ICカード1の上面のうち、少なくとも互いに対向する端部に当接するものであれば、リーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して非接触型ICカード1を平行な状態とすることができる。
【0033】
以下に、上記のようにして検査が行われた結果、不良品と判定された非接触型ICカード1を排出する際の動作について説明する。
【0034】
図4は、図2に示したRF−IDメディア検査装置において不良品と判定された非接触型ICカード1を排出する際の動作を説明するための図であり、非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た状態を示す。
【0035】
図4(a)に示すように、エアー吹付器30から吹き付けられた空気によって非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮き上がった状態で検査が行われた後、図4(b)に示すように、エアー吹付器30からの空気の吹き付けが停止するとともに、その非接触型ICカード1が不良品と判定された場合は、図4(c)に示すように、エアー吹付器31から上方に向かって空気が吹き付けられる。
【0036】
すると、非接触型ICカード1が重力によって下降しながら、エアー吹付器31が、搬送ベルト10bの外側に配置されているものであることから、図4(c)に示すように、非接触型ICカード1のうち搬送ベルト10bの外側に配置された端部が、エアー吹付器31から吹き付けられる空気によって上方に持ち上げられる状態となる。
【0037】
そして、搬送ベルト10bの外側に配置された端部が持ち上げられた非接触型ICカード1は、図4(d)に示すように、搬送ベルト10aの外側から重力によって搬送ベルト10a,10bの下方に落下していく。
【0038】
このようにして、リーダ/ライタ20による検査において不良品と判定された非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bの下方に落下し、また、良品と判定された非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10b上に再度搭載され、搬送されていく。
【0039】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明のRF−IDメディア検査装置の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)に示した構成からリーダ/ライタ20を取り除いた構成を上方から見た図である。
【0040】
本形態は図5に示すように、第1の実施の形態に示したものに対して、エアー吹付器30,31の代わりに上下機構130,131が設けられている点のみが異なるものである。
【0041】
以下に、上記のように構成されたRF−IDメディア検査装置の動作について説明する。
【0042】
図6は、図5に示したRF−IDメディア検査装置の動作を説明するための図であり、(a)は非接触型ICカード1が検査領域に搬送されていない状態における非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た図、(b)は非接触型ICカード1が検査領域に搬送された状態における非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た図、(c)は(b)に示した状態における上方から見た図である。
【0043】
検査が行われる非接触型ICカード1は図6(a)に示すように、2本の搬送ベルト10a,10bに跨るようにそのベルト表面に搭載されて搬送されていく。なお、搬送ベルト10a,10bは、間欠動作を行っており、それにより、非接触型ICカード1を間欠搬送する。また、搬送ベルト10a,10bのそれぞれの幅と互いの間隔が、2本の搬送ベルト10a,10bが所定の間隔を介して配置された場合に、全体の幅が非接触型ICカード1の幅よりも狭くなるようなものとなっていることにより、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bの両側から突出した状態となる。
【0044】
搬送ベルト10a,10bによって非接触型ICカード1が検査領域となるリーダ/ライタ20に対向する領域に搬送されてくると、上下機構130のシリンダ内のピストン130aが上方に向かって伸びる。上下機構130は、搬送ベルト10a,10bの下方に、2本の搬送ベルト10a,10bの間に配置されており、また、上下機構130に対向する領域には非接触型ICカード1が搬送されてきているため、上方に伸びたピストン130aは非接触型ICカード1の中央部分に当接し、それにより、図6(b)に示すように、非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮くことになる。この際、ピストン130aの先端が吸着機能を有しているため、ピストン130aの先端に当接した非接触型ICカード1は、ピストン130aの先端にその中央部分が吸着された状態で、非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮く。そして、搬送ベルト10a,10bから浮き上がった非接触型ICカード1は、図6(c)に示すように、その4隅が側板40a,40bの高さ規制板41に当接し、それ以上上方に浮くことが規制される。この際、4つの高さ規制板41の搬送ベルト10a,10bに対する高さが互いに等しくなっているため、非接触型ICカード1の4隅がこの4つの高さ規制板41にそれぞれ当接した状態においては、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10b上に搭載されて搬送されている状態に対してその傾きが変わることがなく、それにより、リーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して平行な状態となる。
【0045】
この状態において、リーダ/ライタ20から非接触型ICカード1に対して検査用の情報の書き込み及び読み出しが行われる。この際、非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bから20mm程度浮き上がった状態となっているため、搬送ベルト10a,10bのベルト表面が誘電体からなるものであっても、この誘電体によって共振周波数がずれることがなくなり、リーダ/ライタ20による非接触型ICカード1の検査を正確に行うことができる。また、図1に示したような構成の非接触型ICカード1においては、その中央部分に物体が接触した状態においては、アンテナパターン2a,2bの端部に物体が接触した状態と比べて、上述した共振周波数のずれが少ない。そのため、上下機構130のシリンダ内から伸びたピストン130aが非接触型ICカード1に当接することによる影響が少ないものとなる。また、ピストン130aとしては、発泡スチロールや発泡ウレタンのような周波数特性に影響を与えないものから構成することが好ましい。
【0046】
なお、上下機構130からピストン130aが伸びる長さを、非接触型ICカード1がリーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して平行となるように制御すれば、高さ規制板41は不要となるが、高さ規制板41を設けることにより、上下機構130からピストン130aが伸びる長さを、非接触型ICカード1が高さ規制板41に当接するようなものとするだけで、リーダ/ライタ20の通信用アンテナに対して非接触型ICカード1を平行な状態とすることができる。
【0047】
以下に、上記のようにして検査が行われた結果、不良品と判定された非接触型ICカード1を排出する際の動作について説明する。
【0048】
図7は、図5に示したRF−IDメディア検査装置において不良品と判定された非接触型ICカード1を排出する際の動作を説明するための図であり、非接触型ICカード1の搬送方向上流側から見た状態を示す。
【0049】
図7(a)に示すように、上下機構130のシリンダ内から伸びたピストン130aに押し上げられることよって非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮き上がった状態で検査が行われた後、図4(b)に示すように、上下機構130のシリンダ内から伸びたピストン130aがシリンダ内に収納されていくとともに、その非接触型ICカード1が不良品と判定された場合は、上下機構131のシリンダ内からピストン131aが上方に向かって伸びていく。なおこの際、ピストン130aによる非接触型ICカード1の吸着も停止する。
【0050】
すると、非接触型ICカード1が重力によって下降しながら、上下機構131が、搬送ベルト10bの外側に配置されているものであることから、図4(c)に示すように、非接触型ICカード1のうち搬送ベルト10bの外側に配置された端部が、上下機構131のシリンダ内から伸びたピストン131aに当接して上方に持ち上げられる状態となる。
【0051】
そして、搬送ベルト10bの外側に配置された端部が持ち上げられた非接触型ICカード1は、図4(d)に示すように、搬送ベルト10aの外側から重力によって搬送ベルト10a,10bの下方に落下していく。
【0052】
このようにして、リーダ/ライタ20による検査において不良品と判定された非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10bの下方に落下し、また、良品と判定された非接触型ICカード1は、搬送ベルト10a,10b上に再度搭載され、搬送されていく。
【0053】
なお、本形態においては、ピストン130aの先端が吸着機能を有していることにより、ピストン130aの先端に当接した非接触型ICカード1が、ピストン130aの先端にその中央部分が吸着された状態で、非接触型ICカード1が搬送ベルト10a,10bから浮くものを例に挙げて説明したが、ピストン130aの先端が吸着機能を有さないものであってもよい。
【0054】
また、上述した2つの実施の形態において、搬送ベルト10aと側板40aとの間に、搬送ベルト10aの外側から搬送ベルト10a,10bの下方に落下していく非接触型ICカード1を検出するためのセンサや弁を設けておき、リーダ/ライタ20による検査において非接触型ICカード1が不良品と判定され、エアー吹付器31や上下機構131が駆動した場合において、そのセンサや弁にて非接触型ICカード1が検出されなかった場合に搬送ベルト10a,10bによる搬送を停止することが考えられる。
【0055】
また、第1の実施の形態にて示したようにエアー吹付器30,31による非接触型ICカード1に対する空気の吹き付けと、第2の実施の形態にて示したように上下機構130,131による非接触型ICカード1の上方への持ち上げとを組み合わせることも考えられる。その場合、例えば、検査を行う非接触型ICカード1を搬送ベルト10a,10bから浮かせる手段として上下機構130を用い、その後、上下機構130のピストンを下降させる際にシリンダ内から排出される空気を、不良品と判定された非接触型ICカード1に対してエアー吹付器31から吹き付ける構成とすることが考えられる。
【0056】
また、上述した2つの実施の形態においては、リーダ/ライタ20による検査が行われる領域に、搬送ベルト10a,10bによる非接触型ICカード1の搬送経路の両側に沿うように側板40a,40bが配置されているが、リーダ/ライタ20による検査が行われる領域に、その領域に搬送されてきた非接触型ICカード1の4隅を固定するようなL字形状の治具を配置すれば、非接触型ICカード1を搬送ベルト10a,10bから浮かせた際に非接触型ICカード1が搬送方向にずれてしまうことがなく好ましい。
【0057】
また、上述した2つの実施の形態においては、検査対象となるRF−IDメディアとして、非接触型ICカード1を例に挙げて説明したが、本発明のRF−IDメディア検査装置における検査対象となるRF−IDメディアはこれに限らず、搬送ベルト10a,10b上を個片状となって搬送されるものであれば非接触型ICタグや非接触型ICラベル等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 非接触型ICカード
2 アンテナ部
2a,2b アンテナパターン
3 ICチップ
4 樹脂シート
5 インレット
6a,6b カード基材
10a,10b 搬送ベルト
11 爪
20 リーダ/ライタ
30,31 エアー吹付器
40a,40b 側板
41 高さ規制板
130,131 上下機構
130a,131a ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF−IDメディアの検査を行うRF−IDメディア検査装置であって、
前記RF−IDメディアが搭載される搬送面を具備し、該搬送面に前記RF−IDメディアを搭載して搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送されてくるRF−IDメディアに対して平行に配置された通信用アンテナを具備し、前記搬送手段における前記RF−IDメディアの搬送経路上にて前記RF−IDメディアに対して前記通信用アンテナを用いて非接触通信を行うことにより検査を行う検査手段と、
前記検査手段にて前記RF−IDメディアの検査が行われる際に、当該RF−IDメディアを前記搬送面から浮かせる浮上手段とを有するRF−IDメディア検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のRF−IDメディア検査装置において、
前記浮上手段によって前記搬送面から浮き上がったRF−IDメディアの上面のうち、少なくとも互いに対向する端部に当接することにより、当該RF−IDメディアを前記通信用アンテナと平行な状態に保持する平行保持手段を有するRF−IDメディア検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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