説明

RF−IDメディア

【課題】周囲温度が所定の温度に達したことを簡易な構成で検出する。
【解決手段】非接触状態にて通信を行うための導電回路の一部を構成する導通パターン12が形成された表面シート10と、導通パターン12と接触することにより導電回路を構成するアンテナパターン32が形成された裏面シート30とを有し、表面シート10と裏面シート30とは、導通パターン12とアンテナパターン32とが対向接触することによって導電回路が構成されるように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる感圧接着剤20貼着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアに関し、特に、通信状態を変化させることによって、RF−IDメディアの周囲温度が所定の温度に達したことを検出可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いて商品等の管理が行われている。このようなラベルやタグを用いた情報管理においては、ラベルやタグに対して非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICラベルや非接触型ICタグ等のRF−IDメディアがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
このようなRF−IDメディアは、ベース基材上に導電性のアンテナが形成されるとともにこのアンテナに接続されるようにICチップが搭載され、これらアンテナとICチップとから導電回路が形成され、この導電回路によって非接触状態にて通信が可能となっている。
【0004】
ここで、従来より、食料品等、その品質が保管環境の影響を受ける物品においては、保管温度の厳重な管理が要求される。例えば、酒類や生鮮食料品等においては、決められた温度範囲での管理が必要とされ、そのための様々な工夫がなされている。そこで、上述したようなRF−IDメディアに温度センサを備え、生鮮食料品を梱包する梱包体にこのRF−IDメディアを同梱し、温度センサにて測定された温度データをRF−IDメディア内のメモリに記録しておき、その後、その温度データを収集することにより、生鮮食料品の流通経路での環境温度を検出する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−358591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、温度を管理する物品に添付するRF−IDメディアに温度センサにて測定された温度データを記録しておき、その温度データを収集することにより、物品の流通経路での環境温度を検出するものにおいては、物品の周囲温度を測定するための温度センサをRF−IDメディアに設ける必要があるため、温度センサの分のコストアップが生じてしまい、また、その温度センサによって計測された温度データを収集して解析する必要があるため、そのためのシステム構成が複雑になってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、周囲温度が所定の温度に達したことを簡易な構成で検出することができるRF−IDメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記導電回路の一部を構成する第1の導電パターンが形成された第1の基材と、
前記第1の導電パターンと接触することにより前記導電回路を構成する第2の導電パターンが形成された第2の基材とを有し、
前記第1の基材と前記第2の基材とは、前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンとが対向接触することによって前記導電回路が構成されるように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、第1の基材と第2の基材とが接着手段によって貼着されている状態においては、第1の基材と第2の基材とが、第1の導電パターンと第2の導電パターンとが対向接触することによって導電回路が構成されるように重ね合わされているので、第1の導電パターンと第2の導電パターンとで構成される導電回路によって非接触状態にて通信が可能となっているが、第1の基材と第2の基材とが所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されているため、その温度に達すると、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、それに伴って第1の導電パターンと第2の導電パターンとが非接触状態となって導電回路による通信が不可能となる。そのため、導電回路による通信が不可能となることによって、周囲温度が所定の温度に達したことが通知される。
【0010】
また、導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記導電回路が形成された第1の基材と、
前記導電回路の少なくとも一部に対向することにより当該導電回路による非接触状態の通信を妨害する通信妨害層が積層された第2の基材とを有し、
前記第1の基材と前記第2の基材とは、前記導電回路の少なくとも一部が前記通信妨害層に対向するように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とする。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、第1の基材と第2の基材とが接着手段によって貼着されている状態においては、第1の基材と第2の基材とが、導電回路の少なくとも一部が通信妨害層に対向するように重ね合わされているので、通信妨害層によって導電回路による通信が不可能となっているが、第1の基材と第2の基材とが、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されているため、その温度に達すると、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、それにより、導電回路による通信が可能な状態となる。そのため、導電回路による通信が可能となることによって、周囲温度が所定の温度に達したことが通知される。
【0012】
また、基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記基材は、前記導電回路が通信不可能となるように折り畳まれた状態で、該折り畳み状態にて対向する領域どうしが所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とする。
【0013】
上記のように構成された本発明においては、基材が折り畳まれて折り畳み状態にて対向する領域どうしが貼着されている状態においては、基材が、導電回路が通信不可能となるように折り畳まれていることから、導電回路による通信が不可能となっているが、基材の折り畳み状態にて対向する領域どうしが、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されているため、その温度に達すると、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、それに伴って基材が見開かれ、導電回路による通信が可能な状態となる。そのため、導電回路による通信が可能となることによって、周囲温度が所定の温度に達したことが通知される。
【0014】
また、第1及び第2の基材のうち一方に、加熱によって収縮する熱収縮機能を付与しておくことにより、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となると、第1及び第2の基材のうち、熱収縮機能が付与された基材が捲れ上がり、第1の導電パターンと第2の導電パターンとが確実に非接触状態となる。
【0015】
また、基材のうち、基材を折り畳み状態とするための折り部を介して一方の側に、熱収縮部材を積層しておくことにより、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となると、熱収縮部材が積層された側が捲れ上がり、導電回路による通信が不可能となる折り畳み状態が確実に解消される。
【0016】
また、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となった場合に第1の基材と第2の基材とを離間させる離間手段を設けておくことにより、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となると、第1の基材と第2の基材とが剥離して離間し、第1の導電パターンと第2の導電パターンとが確実に非接触状態となる。
【0017】
また、基材の折り畳み状態にて対向する領域が非貼着状態となった場合、非貼着状態となった領域どうしを離間させる離間手段を設けておくことにより、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となると、互いに貼着されていた領域どうしが剥離して離間し、導電回路による通信が不可能となる折り畳み状態が確実に解消される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明においては、非接触状態にて通信を行うための導電回路の一部を構成する第1の導電パターンが形成された第1の基材と、第1の導電パターンと接触することにより導電回路を構成する第2の導電パターンが形成された第2の基材とを有し、第1の基材と第2の基材とが、第1の導電パターンと第2の導電パターンとが対向接触することによって導電回路が構成されるように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されている構成としたため、第1の基材と第2の基材とが接着手段によって貼着されている状態においては、導電回路によって非接触状態にて通信が可能となっているものの、所定の温度に達すると、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、それに伴って第1の導電パターンと第2の導電パターンとが非接触状態となって導電回路による通信が不可能となり、それにより、周囲温度が所定の温度に達したことが通知されることとなり、周囲温度が所定の温度に達したことを簡易な構成で検出することができる。
【0019】
また、導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、導電回路が形成された第1の基材と、導電回路の少なくとも一部に対向することにより導電回路による非接触状態の通信を妨害する通信妨害層が積層された第2の基材とを有し、第1の基材と第2の基材とが、導電回路の少なくとも一部が通信妨害層に対向するように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されている構成としたため、第1の基材と第2の基材とが接着手段によって貼着されている状態においては、通信妨害層によって導電回路による通信が不可能となっているものの、所定の温度に達すると、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、導電回路による通信が可能な状態となり、それにより、周囲温度が所定の温度に達したことが通知されることとなり、周囲温度が所定の温度に達したことを簡易な構成で検出することができる。
【0020】
また、基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、基材が、導電回路が通信不可能となるように折り畳まれた状態で、折り畳み状態にて対向する領域どうしが所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されている構成としたため、基材が折り畳まれて折り畳み状態にて対向する領域どうしが貼着されている状態においては、導電回路による通信が不可能となっているものの、所定の温度に達すると、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となり、例えば重力等によって剥離し、それに伴って基材が見開かれ、導電回路による通信が可能な状態となり、それにより、周囲温度が所定の温度に達したことが通知されることとなり、周囲温度が所定の温度に達したことを簡易な構成で検出することができる。
【0021】
また、第1及び第2の基材のうち一方に、加熱によって収縮する熱収縮機能が付与されているものにおいては、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となると、第1及び第2の基材のうち、熱収縮機能が付与された基材が捲れ上がり、第1の導電パターンと第2の導電パターンとを確実に非接触状態とすることができる。
【0022】
また、基材のうち、基材を折り畳み状態とするための折り部を介して一方の側に、熱収縮部材が積層されているものにおいては、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となると、熱収縮部材が積層された側が捲れ上がり、導電回路による通信が不可能となる折り畳み状態を確実に解消することができる。
【0023】
また、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となった場合に第1の基材と第2の基材とを離間させる離間手段を有するものにおいては、第1の基材と第2の基材とが非貼着状態となると、第1の基材と第2の基材とが剥離して離間し、第1の導電パターンと第2の導電パターンとを確実に非接触状態とすることができる。
【0024】
また、基材の折り畳み状態にて対向する領域が非貼着状態となった場合、非貼着状態となった領域どうしを離間させる離間手段を有するものにおいては、互いに貼着されていた領域が非貼着状態となると、互いに貼着されていた領域どうしが剥離して離間し、導電回路による通信が不可能となる折り畳み状態を確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)は(a)に示した裏面シートの構成を示す図、(c)は(a)に示した表面シートの構成を示す図である。
【図2】図1に示した非接触型ICラベルの使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合の外観斜視図、(b)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(c)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合における非接触型ICラベルの等価回路図、(d)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の外観斜視図、(e)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図、(f)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合における非接触型ICラベルの等価回路図である。
【図3】本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA―A’断面図、(c)はシート基材を見開いた状態を示す図である。
【図4】図3に示した非接触型ICタグの使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICタグが取り付けられた被検知体が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICタグが取り付けられた被検知体が所定温度以上の場所に放置され始めた状態を側面方向から見た図、(c)は非接触型ICタグが取り付けられた被検知体が所定温度以上の場所に一定時間放置された場合の側面方向から見た図である。
【図5】本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)は(a)に示した裏面シートの構成を示す図、(c)は(a)に示した表面シートの構成を示す図である。
【図6】図5に示した非接触型ICラベルの使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【図7】本発明のRF−IDメディアの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)はシート基材を見開いた状態を示す図である。
【図8】図7に示した非接触型ICラベルの使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【図9】本発明のRF−IDメディアの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)はシート基材を見開いた状態を示す図である。
【図10】図9に示した非接触型ICラベルの使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベルが貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のRF−IDメディアの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)は(a)に示した裏面シート30の構成を示す図、(c)は(a)に示した表面シート10の構成を示す図である。
【0028】
本形態は図1に示すように、第1の基材である表面シート10と第2の基材である裏面シート30とが接着手段である感圧接着剤20によって剥離可能に貼着され、また、裏面シート30の表面シート10との貼着面とは反対側の面に粘着剤40が塗布され、この粘着剤40によって剥離紙50が剥離可能に貼着されて構成されている。
【0029】
裏面シート30は、例えば上質紙からなるベース基材上に、第1の導電パターンであるループ状のアンテナパターン32が形成されるとともに、このアンテナパターン32に接続されるようにICチップ31が搭載されている。ICチップ31は、アンテナパターン32に流れる電流が供給されることにより、非接触状態における通信、すなわち情報の書き込みや読み出しが可能なものであるが、アンテナパターン32の一部が断線していることにより、裏面シート30単体では、ICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっている。なお、アンテナパターン32は、説明を簡単にするために一重のループとして図示しているが、実際には複数重のループとなっている。
【0030】
表面シート10は、例えば上質紙からなるベース基材上に第2の導電パターンである導通パターン12が形成されるとともに、穴部11が形成されて構成されている。導通パターン12は、この表面シート10が裏面シート30と感圧接着剤20によって貼着された場合に、アンテナパターン32の断線部分の両端部に対向接触する領域に形成されており、また、穴部11は、この表面シート10が裏面シート30と感圧接着剤20によって貼着された場合に、ICチップ31に対向する領域に形成されている。
【0031】
上記のように構成された表面シート10と裏面シート30とが感圧接着剤20によって貼着されると、表面シート10に形成された導通パターン12が裏面シート30に形成されたアンテナパターン32の断線部分の両端部に対向接触し、それにより、アンテナパターン32の断線部分が導通し、アンテナパターン32、導通パターン12及びICチップ31からなる導電回路が構成されることになる。また、ICチップ31が、表面シート10に形成された穴部11に入り込むことにより、表面シート10のICチップ31に対向する領域が盛り上がってしまうことが回避される。なお、表面シート10に穴部11を設けるのではなく、表面シート10のICチップ31と対向しない領域や、裏面シート30のICチップ31以外の領域に、ICチップ31と同等の高さを有する部材を積層することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0032】
感圧接着剤20は、表面シート10と裏面シート30のそれぞれにおいて互いの貼着面の全面に塗布されており、加圧することにより貼着され、その後、人手によって剥離が可能であって、また、周囲温度が所定の温度以上となった場合に非貼着状態となるものである。なお、非貼着状態とは、貼着されていた表面シート10と裏面シート30とが、重力や風力、圧力等の外力によって剥離して離間する状態を言う。このような感圧接着剤20としては、例えば以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではなく、加圧することにより貼着され、所定の温度以上となると非貼着状態となるものであれば、公知のものを用いることができる。天然ゴム接着剤;スチレン/ブタジエンラテックスベース接着剤;ABAブロック共重合体型の熱可塑性ゴム(Aは熱可塑性ポリスチレン末端ブロックを示し、Bはポリイソプレン、ポリブタジエンまたはポリ(エチレン/ブチレン)のゴム中間ブロックを示す);ブチルゴム;ポリイソブチレン;ポリアクリレート;および酢酸ビニル/アクリルエステル共重合体のようなアクリル接着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、およびポリビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルの共重合体。特に、アクリル系感圧性接着剤を使用することにより、ポリマーとの相互作用をもつため、所定温度ではポリマーが良好に分散して粘着性を発揮すると共に、所定温度以上の加熱によりポリマーが剥離性を良好に発揮する。好ましいアクリル系感圧性接着剤は、エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等からなるものであり、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート80〜95重量部と2−ヒドロキシエチルアクリレート5〜20重量部との共重合体が挙げられる。
【0033】
以下に、上記のように構成された非接触型ICラベル1の使用方法について説明する。
【0034】
図2は、図1に示した非接触型ICラベル1の使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が常温に放置されている場合の外観斜視図、(b)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(c)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が常温に放置されている場合における非接触型ICラベル1の等価回路図、(d)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の外観斜視図、(e)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図、(f)は非接触型ICラベル1が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合における非接触型ICラベル1の等価回路図である。
【0035】
図1に示した非接触型ICラベル1は、剥離紙50が剥離され、図2(a)に示すように、食料品が段ボール箱に収納された配送物2に粘着剤40によって貼着されて使用される。この際、表面シート10及び裏面シート30は、互いに対向する面に感圧接着剤20が塗布され、加圧されることによってこの感圧接着剤20により互いに剥離可能に貼着されている。
【0036】
また、感圧接着剤20は、上述したように所定の温度以上となると非貼着状態となるものであるが、非貼着状態となる温度は、この非接触型ICラベル1が貼着される配送物2の放置が許される温度に応じて、その組成や塗布厚、あるいは表面シート10と裏面シート30とを貼着する際の加圧力、さらには、表面シート10と裏面シート30とに感圧接着剤20を塗布する際に感圧接着剤20の硬化成分を硬化させるためのUV硬化条件(塗布速度、UVの照射量等)等によって設定されることになる。例えば、配送物2が高温放置を避ける必要があるものの場合は、周囲温度が40℃以上となった場合に非貼着状態となるような構成とすることが考えられる。また、表面シート10と裏面シート30とが非貼着状態となる温度は、表面シート10や裏面シート30の種類や大きさによっても異なるため、これらの種類や大きさを考慮して設定する必要がある。
【0037】
本形態においては、非接触型ICラベル1が貼着される配送物2の放置が許される温度が40℃未満である場合を例に挙げて説明する。
【0038】
非接触型ICラベル1が貼着される配送物2の放置が許される温度が40℃未満であることから、感圧接着剤20は、その周囲温度が40℃以上となった場合に非貼着状態となるような構成となっている。
【0039】
そのため、非接触型ICラベル1が貼着された配送物2や配送物2の周囲温度が40℃未満であると、図2(a),(b)に示すように、表面シート10と裏面シート30とが感圧接着剤20によって貼着された状態となっている。
【0040】
このように表面シート10と裏面シート30とが感圧接着剤20によって貼着された状態においては、上述したように、表面シート10に形成された導通パターン12が裏面シート30に形成されたアンテナパターン32の断線部分の両端部に対向接触することにより、アンテナパターン32の断線部分が導通し、それにより、図2(c)に示すように、アンテナパターン32によるアンテナ部32aと導通パターン12による導通部12aとICチップ31とからなる導電回路が構成されており、ICチップ31に対する非接触状態での情報の書き込みや読み出しが可能な状態となっている。
【0041】
そのため、非接触型ICラベル1が貼着された配送物2の配送過程において、ICチップ31に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)に非接触型ICラベル1を近接させると、リーダ/ライタからの電磁誘導によってアンテナパターン32に電流が流れてこの電流がICチップ31に供給され、配送過程において、ICチップ31に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ31に情報が書き込まれたりすることにより、配送物2の配送管理が行われることになる。
【0042】
非接触型ICラベル1が貼着された配送物2や配送物2の周囲温度が40℃以上となると、表面シート10と裏面シート30とを貼着している感圧接着剤20が40℃以上となると非貼着状態となるものであることから、表面シート10と裏面シート30とが非貼着状態となり、図2(d),(e)に示すように、裏面シート30は配送物2に貼着されたまま、表面シート10のみが重力によって配送物2から剥離する。すると、裏面シート30に形成されていたアンテナパターン32の断線部分を導通させていた導通パターン12がアンテナパターン32に対して非接触状態となることにより、図2(f)に示すように、アンテナパターン32が断線状態となり、それにより、ICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となる。
【0043】
非接触型ICラベル1が貼着された配送物2の配送過程においては、配送物2の周囲温度は、本来、40℃未満に保たれた状態となるため、表面シート10と裏面シート30とは剥離せず、ICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しは可能な状態となっている。ところが、配送物2の配送過程において、誤って配送物2が40℃以上の場所に放置された場合、上述したように表面シート10と裏面シート30とが剥離し、ICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となる。そのため、上述したように配送物2の配送過程において、配送物2の配送管理を行うために、ICチップ31に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ31に情報が書き込まれたりする際に、ICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となった場合に、配送物2の放置が許される温度となる40℃未満の範囲を超えてしまったと判断することになる。
【0044】
このように、非接触型ICラベル1のICチップ31に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっているかどうかによって、非接触型ICラベル1が貼着された配送物2や配送物2の周囲温度が所定の温度以上になったかどうかを検出することができるため、配送物2や配送物2の周囲温度が所定の温度に達したことを、配送物2に配送管理を行うために貼着された非接触型ICラベル1を用いて簡易な構成で検出することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明のRF−IDメディアの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA―A’断面図、(c)はシート基材103を見開いた状態を示す図である。
【0046】
本形態は図3に示すように、第1の基材となる表面シート部110と第2の基材となる裏面シート部130とが折り部104を介して連接してなるシート基材103が折り部104にて折り畳まれ、表面シート部110と裏面シート部130とが接着手段である感圧接着剤120によって剥離可能に貼着されて構成されている。また、表面シート部110と裏面シート部130の連接方向の長さが、表面シート部110よりも裏面シート部130の方が長くなっている。
【0047】
シート基材103には、表面シート部110と裏面シート部130とに跨ってループ状のアンテナ132が形成されるとともに、裏面シート130となる領域においてアンテナ132に接続されるようにICチップ131が搭載されている。また、表面シート部110のうち、シート基材103が折り部104にて折り畳まれた状態にて裏面シート部130と対向しない面には、加熱により収縮する熱収縮性樹脂160が積層されており、それにより、表面シート部110に熱収縮機能が付与されている。そして、シート基材103上に形成されたアンテナ132は、シート基材103を見開いた状態にて、予め決められた周波数にて通信が可能となるようにその形状によってインダクタ成分や容量成分が設定されている。
【0048】
以下に、上記のように構成された非接触型ICタグ101の使用方法について説明する。
【0049】
図4は、図3に示した非接触型ICタグ101の使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体が所定温度以上の場所に放置され始めた状態を側面方向から見た図、(c)は非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体が所定温度以上の場所に一定時間放置された場合の側面方向から見た図である。
【0050】
図3に示した非接触型ICタグ101は、例えば、裏面シート部130に設けられた穴部(不図示)によって、温度が管理される被検知体に取り付けて使用される。この際、シート基材103が折り畳まれ、表面シート部110と裏面シート部130とが、互いに対向する面に塗布された感圧接着剤120によって互いに剥離可能に貼着されている。なお、本形態においても、感圧接着剤120は、40℃以上となった場合に非貼着状態となるものとする。
【0051】
非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体やその周囲温度が40℃未満であると、図4(a)に示すように、表面シート部110と裏面シート部130とが感圧接着剤120によって貼着された状態となっている。
【0052】
シート基材103が折り部104にて折り畳まれて表面シート部110と裏面シート部130とが感圧接着剤120によって貼着された状態においては、上述したように、シート基材103に形成されたアンテナ132が表面シート部110と裏面シート部130とに跨って形成されていることにより、アンテナ132の見かけ上の形状が、シート基材103を見開いた状態とは異なることとなる。また、アンテナ132の表面シート部110に形成された部分の一部と裏面シート部130に形成された部分の一部とが重なり合い、その領域にて容量成分が発生する。そして、アンテナ132は、上述したように、シート基材103を見開いた状態にて、予め決められた周波数にて通信が可能となるようにその形状によってインダクタ成分や容量成分が設定されているため、シート基材103が折り部104にて折り畳まれて表面シート部110と裏面シート部130とが感圧接着剤120によって貼着された状態においては、その形状や容量成分が、予め決められた周波数にて通信が可能となるものとは異なり、そのために、ICチップ131に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)に非接触型ICタグ101を近接させても、ICチップ131に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっている。
【0053】
非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体やその周囲温度が40℃以上となると、表面シート部110と裏面シート部130とを貼着している感圧接着剤120が40℃以上となると非貼着状態となるものであることから、表面シート部110と裏面シート部130とが非貼着状態となる。
【0054】
そして、表面シート部110上に積層された熱収縮性樹脂160が収縮することにより、図4(b),(c)に示すように、表面シート部110と裏面シート部130とが非貼着状態となると、表面シート部110が捲れ上がり、シート基材103が見開いた状態となる。シート基材103が見開いた状態においては、上述したように、アンテナ132の形状が、シート基材103を見開いた状態にて、予め決められた周波数にて通信が可能となるようなものとなっているため、ICチップ131に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)に非接触型ICタグ101を近接させると、リーダ/ライタからの電磁誘導によってアンテナ132に電流が流れてこの電流がICチップ131に供給され、それにより、ICチップ131に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ131に情報が書き込まれたりすることになる。
【0055】
このように、非接触型ICタグ101のICチップ131に対する情報の書き込みや読み出しが可能な状態となっているかどうかによって、非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体やその周囲温度が所定の温度以上になったかどうかを検出することができる。
【0056】
また、シート基材103の表面シート部110となる領域に、熱収縮性樹脂160が積層されていることにより、表面シート部110と裏面シート部130とが非貼着状態となると、熱収縮性樹脂160が積層された表面シート部110が捲れ上がり、それにより、ICチップ131に対する情報の書き込みや読み出しが不可能となる折り畳み状態を確実に解消することができる。
【0057】
なお、上述した第1の実施の形態に示したものにおいても、本形態と同様に、表面シート10上に熱収縮性樹脂160を積層することが考えられ、また、表面シート10自体を、熱によって収縮するフィルム等から構成することによって表面シート10に熱収縮機能を付与することも考えられる。
【0058】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明のRF−IDメディアの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)は(a)に示した裏面シート230の構成を示す図、(c)は(a)に示した表面シート210の構成を示す図である。
【0059】
本形態は図5に示すように、第1の基材である裏面シート230と第2の基材である表面シート210とが接着手段である感圧接着剤220によって剥離可能に貼着され、また、裏面シート230の表面シート210との貼着面とは反対側の面に粘着剤240が塗布され、この粘着剤240によって剥離紙250が剥離可能に貼着されて構成されている。
【0060】
裏面シート230は、例えば上質紙からなるベース基材上に、ループ状のアンテナパターン232が形成されるとともに、このアンテナパターン232に接続されるようにICチップ231が搭載されている。ICチップ231は、アンテナパターン232に流れる電流が供給されることにより、非接触状態における通信、すなわち情報の書き込みや読み出しが可能なものであり、ICチップ231とアンテナパターン232とによって導電回路を構成している。
【0061】
表面シート210は、例えば上質紙からなるベース基材の裏面シート230と対向する面の全面に、導電ペーストによって印刷が施されることにより、通信妨害層となる導電印刷層212が積層されるとともに、穴部211が形成されて構成されている。穴部211は、この表面シート210が裏面シート230と感圧接着剤220によって貼着された場合に、ICチップ231に対向する領域に形成されている。
【0062】
上記のように構成された表面シート210と裏面シート230とが感圧接着剤220によって貼着されると、ICチップ231が、表面シート210に形成された穴部211に入り込むことにより、表面シート210のICチップ231に対向する領域が盛り上がってしまうことが回避される。なお、表面シート210に穴部211を設けるのではなく、表面シート210のICチップ231と対向しない領域や、裏面シート230のICチップ231以外の領域に、ICチップ231と同等の高さを有する部材を積層することによっても、同様の効果を得ることができる。
【0063】
以下に、上記のように構成された非接触型ICラベル201の使用方法について説明する。
【0064】
図6は、図5に示した非接触型ICラベル201の使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベル201が貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベル201が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【0065】
図5に示した非接触型ICラベル201は、剥離紙250が剥離され、図6(a)に示すように、食料品が段ボール箱に収納された被着物202に粘着剤240によって貼着されて使用される。その際、表面シート部210と裏面シート部230とは、感圧接着剤220によって互いに剥離可能に貼着されている。なお、本形態においても、感圧接着剤220は、40℃以上となった場合に非貼着状態となるものとする。
【0066】
非接触型ICラベル201が貼着された被着物202やその周囲温度が40℃未満であると、図6(a)に示すように、表面シート部210と裏面シート部230とが感圧接着剤220によって貼着された状態となっている。
【0067】
このように表面シート部210と裏面シート部230とが感圧接着剤220によって貼着された状態においては、裏面シート230に形成されたアンテナパターン232とICチップ231とからなる導電回路が、表面シート210に積層された導電印刷層212と対向していることにより、ICチップ231に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)を非接触型ICラベル201に近接させても、リーダ/ライタからの電磁波が遮断されてしまい、それにより、ICチップ231に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっている。
【0068】
非接触型ICラベル201が貼着された被着物202やその周囲温度が40℃以上となると、表面シート210と裏面シート230とを貼着している感圧接着剤220が40℃以上となると非貼着状態となるものであることから、表面シート210と裏面シート230とが非貼着状態となって重力によって剥離する。すると、表面シート210が裏面シート230から剥離することにより、裏面シート230に形成されたアンテナパターン232とICチップ231とからなる導電回路が、表面シート210に積層された導電印刷層212と対向しなくなり、それにより、ICチップ231に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)を非接触型ICラベル201に近接させると、リーダ/ライタからの電磁誘導によってアンテナ232に電流が流れてこの電流がICチップ231に供給され、それにより、ICチップ231に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ231に情報が書き込まれたりすることになる。
【0069】
このように、非接触型ICラベル201のICチップ231に対する情報の書き込みや読み出しが可能な状態となっているかどうかによって、非接触型ICラベル201が貼着された被着物202やその周囲温度が所定の温度以上になったかどうかを検出することができる。
【0070】
なお、本形態においては、表面シート210上に導電ペーストによって印刷を施すことにより導電印刷層212を通信妨害層として積層し、リーダ/ライタからの電磁波をこの導電印刷層212によって遮断することにより、ICチップ231に対する情報の書き込みや読み出しができない状態としているが、本発明の通信妨害層は、裏面シート230に形成されたアンテナパターン232とICチップ231とからなる導電回路の少なくとも一部に対向することにより、導電回路による非接触状態の通信を妨害するものであればよい。
【0071】
(第4の実施の形態)
図7は、本発明のRF−IDメディアの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)はシート基材303を見開いた状態を示す図である。
【0072】
本形態は図7に示すように、第1の実施の形態に示したものに対して、表面シート部310と裏面シート部330とが、折り部304を介して連接して1枚のシート基材303となっており、また、裏面シート部330に、表面シート部310側に突出した離間手段となる凸部305が設けられ、表面シート部310と裏面シート部330とを貼着するための感圧接着剤320が、裏面シート部330については凸部305に対して折り部304とは反対側に塗布され、表面シート部310についてはシート基材303が折り部304にて折り畳まれた場合に裏面シート部330に塗布された感圧接着剤320に対向する領域に塗布されている点が異なるものである。なお、本形態においては、表面シート部310が第1の基材となり、裏面シート部330が第2の基材となる。
【0073】
以下に、上記のように構成された非接触型ICラベル301の使用方法について説明する。
【0074】
図8は、図7に示した非接触型ICラベル301の使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベル301が貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベル301が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【0075】
図7に示した非接触型ICラベル301は、剥離紙350が剥離され、図8(a)に示すように、食料品が段ボール箱に収納された被着物302に粘着剤340によって貼着されて使用される。その際、表面シート部310と裏面シート部330とは、感圧接着剤320によって互いに剥離可能に貼着されている。なお、本形態においても、感圧接着剤320は、40℃以上となった場合に非貼着状態となるものとする。
【0076】
非接触型ICラベル301が貼着された被着物302やその周囲温度が40℃未満であると、図8(a)に示すように、表面シート部310と裏面シート部330とが感圧接着剤320によって貼着された状態となっている。
【0077】
このように表面シート部310と裏面シート部330とが感圧接着剤320によって貼着された状態においては、表面シート部310に形成された導通パターン312が裏面シート部330に形成されたアンテナパターン332の断線部分の両端部に対向接触することにより、アンテナパターン332の断線部分が導通し、ICチップ331に対する非接触状態での情報の書き込みや読み出しが可能な状態となっている。
【0078】
そのため、非接触型ICラベル301が貼着された被着物302の配送過程において、ICチップ331に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)に非接触型ICラベル301を近接させると、リーダ/ライタからの電磁誘導によってアンテナパターン332に電流が流れてこの電流がICチップ331に供給され、配送過程において、ICチップ331に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ331に情報が書き込まれたりすることにより、被着物302の配送管理が行われることになる。
【0079】
非接触型ICラベル301が貼着された被着物302やその周囲温度が40℃以上となると、表面シート部310と裏面シート部330とを貼着している感圧接着剤320が40℃以上となると非貼着状態となるものであることから、表面シート部310と裏面シート部330とが非貼着状態となって重力によって剥離する。すると、裏面シート部330に形成されていたアンテナパターン332の断線部分を導通させていた導通パターン312がアンテナパターン332に対して非接触状態となることにより、アンテナパターン332が断線状態となり、それにより、ICチップ331に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となる。そして、裏面シート部330に設けられた凸部305が表面シート部310側に突出するものであることから、表面シート部310には、裏面シート部330から離れる方向に力が加わっており、表面シート部310と裏面シート部330とが非貼着状態となると、図8(b)に示すように、表面シート部310がこの凸部305に押されるように作用し、裏面シート部330から剥離して大きく離間する。
【0080】
このように、非接触型ICラベル301のICチップ331に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっているかどうかによって、非接触型ICラベル301が貼着された被着物302やその周囲温度が所定の温度以上になったかどうかを検出することができるため、被着物302やその周囲温度が所定の温度に達したことを、被着物302に配送管理を行うために貼着された非接触型ICラベル301を用いて簡易な構成で検出することができる。
【0081】
また、表面シート部310と裏面シート部330とが非貼着状態となると、裏面シート部330に設けられた凸部305によって表面シート部310が裏面シート部330から離れる方向に押されて剥離して離間するので、非接触型ICラベル301が貼着された被着物302やその周囲温度が所定の温度以上となり、表面シート部310と裏面シート部330とが非貼着状態となった場合に、表面シート部310に形成された導通パターン312と裏面シート部330に形成されたアンテナパターン332とが確実に非接触状態となり、確実に、ICチップ331に対する情報の書き込みや読み出しができない状態とすることができる。
【0082】
(第5の実施の形態)
図9は、本発明のRF−IDメディアの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は積層状態を示す図、(b)はシート基材403を見開いた状態を示す図である。
【0083】
本形態は図9に示すように、第4の実施の形態に示したものに対して、裏面シート部430には凸部が設けられておらず、その代わりに裏面シート部430と表面シート部410との間に離間手段として弾性部材となるスポンジ405が配置されている点が異なるものである。このスポンジ405は、その高さが、表面シート部410における感圧接着剤420の塗布厚と、裏面シート部430における感圧接着剤420の塗布厚とを加えたものよりも高いものとなっている。
【0084】
以下に、上記のように構成された非接触型ICラベル401の使用方法について説明する。
【0085】
図10は、図9に示した非接触型ICラベル401の使用方法を説明するための図であり、(a)は非接触型ICラベル401が貼着された被着物が常温に放置されている場合の側面方向から見た図、(b)は非接触型ICラベル401が貼着された被着物が所定温度以上の場所に放置された場合の側面方向から見た図である。
【0086】
図9に示した非接触型ICラベル401は、剥離紙450が剥離され、図10(a)に示すように、食料品が段ボール箱に収納された被着物402に粘着剤440によって貼着されて使用される。その際、表面シート部410と裏面シート部430とは、感圧接着剤420によって互いに剥離可能に貼着されている。なお、本形態においても、感圧接着剤420は、40℃以上となった場合に非貼着状態となるものとする。
【0087】
非接触型ICラベル401が貼着された被着物402やその周囲温度が40℃未満であると、図10(a)に示すように、表面シート部410と裏面シート部430とが感圧接着剤420によって貼着された状態となっている。
【0088】
このように表面シート部410と裏面シート部430とが感圧接着剤420によって貼着された状態においては、表面シート部410に形成された導通パターン部412が裏面シート部430に形成されたアンテナパターン432の断線部分の両端部に対向接触することにより、アンテナパターン432の断線部分が導通し、ICチップ431に対する非接触状態での情報の書き込みや読み出しが可能な状態となっている。
【0089】
そのため、非接触型ICラベル401が貼着された被着物402の配送過程において、ICチップ431に対して情報の書き込みや読み出しが可能なリーダ/ライタ(不図示)に非接触型ICラベル401を近接させると、リーダ/ライタからの電磁誘導によってアンテナパターン432に電流が流れてこの電流がICチップ431に供給され、配送過程において、ICチップ431に書き込まれた情報が読み出されたり、ICチップ431に情報が書き込まれたりすることにより、被着物402の配送管理が行われることになる。
【0090】
非接触型ICラベル401が貼着された被着物402やその周囲温度が40℃以上となると、表面シート部410と裏面シート部430とを貼着している感圧接着剤420が40℃以上となると非貼着状態となるものであることから、表面シート部410と裏面シート部430とが非貼着状態となって重力によって剥離する。すると、裏面シート部430に形成されていたアンテナパターン432の断線部分を導通させていた導通パターン412がアンテナパターン432に対して非接触状態となることにより、アンテナパターン432が断線状態となり、それにより、ICチップ431に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となる。そして、表面シート部410と裏面シート部430との間に配置されたスポンジ405の高さが、表面シート部410における感圧接着剤420の塗布厚と、裏面シート部430における感圧接着剤420の塗布厚とを加えたものよりも高いものであることから、表面シート部410には、裏面シート部430から離れる方向に力が加わっており、表面シート部410と裏面シート部430とが非貼着状態となると、図10(b)に示すように、表面シート部410がこのスポンジ405に押されるように作用し、裏面シート部430から剥離して大きく離間する。
【0091】
このように、非接触型ICラベル401のICチップ431に対する情報の書き込みや読み出しができない状態となっているかどうかによって、非接触型ICラベル401が貼着された被着物402やその周囲温度が所定の温度以上になったかどうかを検出することができるため、被着物402やその周囲温度が所定の温度に達したことを、被着物402に配送管理を行うために貼着された非接触型ICラベル401を用いて簡易な構成で検出することができる。
【0092】
また、表面シート部410と裏面シート部430とが非貼着状態となると、表面シート部410と裏面シート部430との間に配置されたスポンジ405によって表面シート部410が裏面シート部430から離れる方向に押されて剥離して離間するので、非接触型ICラベル401が貼着された被着物402やその周囲温度が所定の温度以上となり、表面シート部410と裏面シート部430とが非貼着状態となった場合に、表面シート部410に形成された導通パターン412と裏面シート部430に形成されたアンテナパターン432とが確実に非接触状態となり、確実に、ICチップ431に対する情報の書き込みや読み出しができない状態とすることができる。
【0093】
なお、本形態においては、スポンジ405の高さが、表面シート部410における感圧接着剤420の塗布厚と、裏面シート部430における感圧接着剤420の塗布厚とを加えたものよりも高いものとなっている。これは、表面シート部410と裏面シート部430との間隔が、スポンジ405が配置された領域が他の領域よりも広くなるためであり、そのため、感圧接着剤420が塗布された領域上にスポンジ405を配置するのであれば、スポンジ405の高さはこれに限定されない。
【0094】
なお、上述した第4及び第5の実施の形態にて示した凸部305やスポンジ405を、第2の実施の形態に示したものに適用することも考えられる。その場合、表面シート部110と裏面シート部130とが非貼着状態となると、凸部305やスポンジ405によって表面シート部110が裏面シート部130から離れる方向に押されて剥離して離間することとなるので、非接触型ICタグ101が取り付けられた被検知体やその周囲温度が所定の温度以上となり、表面シート部110と裏面シート部130とが非貼着状態となった場合に、互いに貼着されていた表面シート部110と裏面シート部130とが剥離して離間し、ICチップ131に対する情報の書き込みや読み出しが不可能となるシート基材103の折り畳み状態を確実に解消することができる。
【0095】
また、本発明の離間手段として、第4及び第5の実施の形態のそれぞれにおいて、凸部305やスポンジ405を例に挙げて説明したが、本発明の離間手段は、これらに限らず、感圧接着剤によって貼着された2枚のシート部が非貼着状態となった場合にこれら2枚のシート部が互いに離れる方向に離間させるものであればよい。
【0096】
また、上述した5つの実施の形態においては、ICチップ31,131,231,331,431を有する導電回路を用いたものを例に挙げて説明したが、導電回路がアンテナのみからなる共振タグにおいても本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
1,201,301,401 非接触型ICラベル
2 配送物
10,210 表面シート
11,211,311,411 穴部
12,212,312 導通パターン
12a 導通部
20,120,220,320,420 感圧接着剤
30,230 裏面シート
31,131,231,331,431 ICチップ
32,132,232,332,432 アンテナパターン
32a アンテナ部
40,240,340,440 粘着剤
50,250,350,450 剥離紙
101 非接触型ICタグ
103,303,403 シート基材
104,304,404 折り部
110,310,410 表面シート部
130,330,430 裏面シート部
160 熱収縮性樹脂
202,302,402 被着物
212 導電印刷層
305 凸部
405 スポンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記導電回路の一部を構成する第1の導電パターンが形成された第1の基材と、
前記第1の導電パターンと接触することにより前記導電回路を構成する第2の導電パターンが形成された第2の基材とを有し、
前記第1の基材と前記第2の基材とは、前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンとが対向接触することによって前記導電回路が構成されるように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とするRF−IDメディア。
【請求項2】
導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記導電回路が形成された第1の基材と、
前記導電回路の少なくとも一部に対向することにより当該導電回路による非接触状態の通信を妨害する通信妨害層が積層された第2の基材とを有し、
前記第1の基材と前記第2の基材とは、前記導電回路の少なくとも一部が前記通信妨害層に対向するように重ね合わされた状態で、所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とするRF−IDメディア。
【請求項3】
基材上に形成された導電回路によって非接触状態にて通信を行うRF−IDメディアにおいて、
前記基材は、前記導電回路が通信不可能となるように折り畳まれた状態で、該折り畳み状態にて対向する領域どうしが所定の温度以上にて非貼着状態となる接着手段によって貼着されていることを特徴とするRF−IDメディア。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記第1及び第2の基材のうち一方は、加熱によって収縮する熱収縮機能が付与されているRF−IDメディア。
【請求項5】
請求項3に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記基材のうち、該基材を前記折り畳み状態とするための折り部を介して一方の側に、熱収縮部材が積層されているRF−IDメディア。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記第1の基材と前記第2の基材とが非貼着状態となった場合、前記第1の基材と前記第2の基材とを離間させる離間手段を有するRF−IDメディア。
【請求項7】
請求項3に記載のRF−IDメディアにおいて、
前記基材の折り畳み状態にて対向する領域が非貼着状態となった場合、当該非貼着状態となった領域どうしを離間させる離間手段を有するRF−IDメディア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−113465(P2011−113465A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271634(P2009−271634)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】