説明

RFタグを備えた封筒

【課題】 簡易な方法で金属とRFタグが重ならないようにして、金属による磁束減衰障害の影響を低減し、RFタグの情報を効率的に読み取ることが可能なRFタグ付の封筒を提供する。
【解決手段】 この封筒41は封筒41の開口側47の領域を上部領域43とし、この上部領域43の下側の領域を下部領域46とした場合、分離手段は上部領域43と下部領域46との境界に位置する仕切り45であり、上部領域43に物品を収納し、下部領域46にRFタグ200を取り付けるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納する物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒に関し、さらに詳しくは、リーダライタの読み取り方向に対してRFタグが封筒に収納した金属物品と重ならないように構成した封筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内にIC(Integrated Circuit)が組み込まれているものを総称した名称である。最近では、ICカードと同様の原理で物に取り付けるRFタグが、各種物品に付されて在庫管理等の効率化に貢献している。このようなICカードやRFタグは、リーダライタとの間でのデータの授受を電波にて行うため、定期券等のように1枚単位で処理されるICカードでは特に発生しない特有の問題を有している。
例えば、封筒にRFタグを貼付して仕分け等の管理をする際、封筒内に封入される物が紙類のみとは限らず、硬貨等の金属が含まれている場合も想定される。従って、RFタグと硬貨とが近接していたり、或いは少なくとも一部が重なった位置関係にある場合、リーダライタによりRFタグの記録情報を読み取ろうとすると、硬貨(金属)による磁束反射障害によりRFタグの情報が正しく読み取れないといった問題が発生する。
この問題を解決するために、図19のようにRFタグ200の片面に磁束70、73の磁路を形成する磁性シート72を配置することにより、RFタグ200の直下に金属(この場合は硬貨)75が存在していても、磁束70、73が磁性シート72を磁路としてRFタグ200の図示しないループアンテナを横切るため、図示しないリーダライタとの交信を行うことができる。尚、図で磁束74が金属(この場合は硬貨)75により減衰されるが、磁性シート72が磁束の通路となり金属の影響を無視することができる。
この磁性シートを備えた非接触型情報授受装置については、特開2001−331772公報に開示されている。
【特許文献1】特開2001−331772公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、図19の磁性シート72を有するRFタグ200を貼付した現金書留封筒を、1枚単位でリーダライタにより読み取るのであれば特に問題はないが、多数の封筒を仕分けするためには多大の時間を要し、非常に効率が悪い。
またRFタグに磁性シートを貼り付けなければならず、コスト的にRFタグが高くなるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、簡易な方法で金属とRFタグが重ならないようにして、金属による磁束減衰障害の影響を低減し、RFタグの情報を効率的に読み取ることが可能なRFタグ付の封筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、収納する金属性物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒であって、当該封筒に収納する金属性物品と前記RFタグとの位置関係が、前記関連情報を読み書きするリーダライタの読み取り方向から見て重畳しないように分離し、且つ相互移動を禁止する分離手段を備えたことを特徴とする。
本発明の基本的な考え方は、RFタグを取り付けた封筒において、封筒に収納する物品(特に金属性の物品)とRFタグが、リーダライタの読み取り方向から見て重ならないように分離することである。そのための分離手段を備えたことが大きな特徴である。なお、重畳とは、一部が重なる場合のみならず、近接しているために、リーダライタが誤動作する場合を含むものである。
請求項2は、前記封筒の開口側の領域を上部領域とし、該上部領域の下側の領域を下部領域とした場合、前記分離手段は前記上部領域と下部領域との境界に位置した仕切りであり、前記上部領域に収納した金属性物品が前記下部領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする。
本発明の分離手段は、封筒を上下に分離してその境界に仕切りを備えることである。例えば、封筒の開口側を上部領域とした場合、その下側は下部領域であり、上部領域に物品を収納し、下部領域にRFタグを取り付けるものである。仕切りとは、一方の領域から他方の領域への物品やタグの移動を阻止するに足る手段であり、例えば接着剤、両面シール、内袋等によって構成される。
請求項3は、前記分離手段は、前記封筒の開口部を除いた周縁領域と、該周縁領域の内側に位置して物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に収納した金属性物品が前記周縁領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする。
本発明の分離手段は、封筒の周辺領域(左右と底部の領域)と物品収納部を分離するためにその境界に配置される仕切である。例えば、封筒の開口部を除いた領域を周縁領域として、それ以外の領域に物品を収納し、周縁領域にRFタグを取り付けるものである。
【0005】
請求項4は、前記分離手段は、シールを貼付するシール貼付領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に収納した金属性物品が前記シール貼付領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする。
本発明の分離手段は、シールを貼る領域を所定の箇所に決めておき、その領域を分離するために仕切りを設け、その部分にRFタグを取り付けるものである。
請求項5は、前記分離手段は、前記金属性物品を収納する金属性物品収納領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に前記金属性物品以外の物品を収納し、且つ前記RFタグを取り付けることを特徴とする。
本発明の分離手段は、収納する物品の中から予め金属性の物品を金属性物品収納領域に分けて収納するものである。そしてその領域を避けてRFタグを取り付けるようにする。
請求項6は、前記分離手段は、前記封筒の外周部より突出した外部領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に物品を収納し、前記外部領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする。
封筒の内部に仕切りを設けると、内部に収納する物品の領域が狭くなる。そこで本発明では、封筒の大きさを変えないで、RFタグを封筒の外部に取り付けるための外部領域を設けるものである。
【0006】
請求項7は、前記封筒を収納する親封筒を更に備え、前記親封筒の開口側の領域を上部領域とし、該上部領域の下側の領域を下部領域とした場合、前記分離手段は前記上部領域と下部領域との境界に位置した仕切りであり、前記上部領域に前記封筒を収納し、前記下部領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする。
本発明は封筒に仕切りを設けない方法として、その封筒全体を更に大きい親封筒に収納するものである。そして親封筒を上下に分離して、上部に封筒を収納し、下部にRFタグを取り付けるものである。
請求項8は、前記封筒を収納する親封筒を更に備え、前記親封筒の開口部を除いた領域を周縁領域とし、前記封筒を収納する領域を封筒収納領域とした場合、前記分離手段は前記周縁領域と封筒収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記封筒収納領域に前記封筒を収納し、前記周縁領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする。
本発明は封筒に仕切りを設けない他の方法として、その封筒全体を更に大きい親封筒に収納するものである。そして親封筒の周辺を分離して、中心部に封筒を収納し、周辺にRFタグを取り付けるものである。
請求項9は、前記封筒に対して荷札状に外付けされる別体の札部材を更に備え、前記RFタグを前記札部材に取り付けたことを特徴とする。
本発明は封筒に仕切りを設けない替わりに、封筒とは別体の札部材を紐等で封筒に取り付け、その札部材にRFタグを取り付けるものである。札部材自体がRFタグを構成している場合を含むものである。
請求項10は、前記封筒の開口部側に前記RFタグを固定配置し、該RFタグに記録されている関連情報の読取り時には、前記RFタグから離間した位置に金属性物品を退避させた状態での読取を可能としたことを特徴とする。
封筒内の物品に硬貨等の金属性の物品が収納された場合、RFタグを読み取るときに封筒を立てると重力の関係で重たい硬貨は封筒の底部に集まる。本発明はこの原理を利用して、RFタグを封筒の上部(開口部側)に取り付け、RFタグの上方をリーダライタにより読み取るときは、封筒を立てるようにするものである。
【0007】
請求項11は、前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の外周全域に亘って固定配置したことを特徴とする。
本発明は封筒に分離手段を設けないで金属性の物品による影響を低減するものである。即ち、RFタグに備えられたアンテナは左程大きくないので、そのアンテナに金属が重なる(近接する場合を含む)状況が発生すると、磁束反射障害によりデータが正しく読み取れなくなる。そこで本発明では、アンテナを封筒の外周全域に亘って配置して、金属が重なっても磁束減衰障害による影響を低減するものである。
請求項12は、前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の周囲に巻き付け配置したことを特徴とする。
本発明はアンテナを封筒の周囲に巻きつけるように配置するものである。この場合は、リーダライタの読み取り方向が封筒の上下方向となり、側面からの読み取りは困難となるが、その分金属の影響が少なくなる。
請求項13は、前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナをリング状にして前記封筒の一部から突出して配置したことを特徴とする。
封筒内の金属の影響を受けにくくするには、アンテナを封筒の外部に設けることが最良である。本発明では、アンテナをリング状にして封筒の外部に突出させるものである。
【0008】
請求項14は、前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記アンテナと一体化すると共に、前記アンテナは前記封筒の開口部に着脱する止め具を兼ねることを特徴とする。
封筒の開口部は糊やクリップ等で固定される。本発明はアンテナをクリップ等の形状にして、そのアンテナに制御ICを一体化して備えるものである。
請求項15は、前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の四隅に固定配置して互いに接続したことを特徴とする。
封筒内の金属の影響が最も少ない場所は封筒の四隅である。そこで本発明ではアンテナを封筒の四隅に分散して配置し、各アンテナを並列に接続してデータ受信の感度を高めるものである。
請求項16は、物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒であって、前記RFタグを前記封筒の少なくとも2つの角隅部に配置したことを特徴とする。
封筒内の金属の影響が最も少ない場所は封筒の四隅である。そこで本発明ではRFタグを封筒の少なくとも2つの角隅部に配置し、各RFタグからのデータを並行して受信してデータの信頼性を高めるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、封筒に収納する金属性物品とRFタグの位置関係が、リーダライタの読み取り方向から見て重畳しないように分離するので、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項2では、封筒を上下に分離して上部領域に物品を収納し、下部領域にRFタグを取り付けるので、RFタグの位置を揃えることが容易となり、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項3では、周縁領域以外の領域に物品を収納し、周縁領域にRFタグを取り付けるので、RFタグの取り付ける位置が広がり、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項4では、切手を貼る部分にRFタグを取り付けるので、物品収納領域が広くなり、またRFタグの位置が限定的に決まるので読み取りが容易となり、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項5では、予め金属性の物品を金属性物品収納領域に分けて収納するので、RFタグの取り付け位置が広範囲となり、封筒取り扱いの利便性が高くなると共に、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項6では、RFタグを封筒の外部の外部領域に取り付けるので、封筒の収納部を仕切る必要がなくなり、汎用的な封筒を使用することができると共に、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項7では、封筒全体を収納する親封筒を備え、その親封筒を上下に分離して上部に封筒を収納し、下部にRFタグを取り付けるので、封筒を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、親封筒を再使用することができ、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項8では、親封筒の周辺を分離して中心部に封筒を収納し、周辺にRFタグを取り付けるので、封筒を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、親封筒を再使用することができ、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項9では、封筒とは別体の札部材を紐等で封筒に取り付け、その札部材にRFタグを取り付けるので、封筒を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、札部材を再使用することができ、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項10では、RFタグを封筒の上部(開口部側)に取り付け、RFタグの上方をリーダライタにより読み取るときは、封筒を立てるようにすることにより、金属が封筒の底部に集まるので、RFタグと金属を分離することができ、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
【0010】
また請求項11では、RFタグを構成するアンテナを封筒の外周全域に亘って配置するので、アンテナに金属が重なっても磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項12では、RFタグを構成するアンテナを封筒の周囲に巻きつけるように配置するので、アンテナに金属が重なる確率を減らし、磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項13では、RFタグを構成するアンテナをリング状にして封筒の外部に突出させて設けるので、アンテナがストラップとしての役割を兼ねると共に、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項14では、アンテナをクリップ等の形状にして、そのアンテナに制御ICを一体化して備えるので、アンテナを再使用することができ、且つ金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項15では、アンテナを封筒の四隅に分散して配置し、各アンテナを並列に接続するので、アンテナから受信するデータ受信の感度を高めることができると共に、金属による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
また請求項16では、RFタグを封筒の少なくとも2つの角隅部に配置し、各RFタグからのデータを並列に受信するので、各RFタグから受信したデータの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なRFタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。このRFタグ用リーダライタ(以下、単にリーダライタと呼ぶ)100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないRFタグとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、RFタグの構成を先に説明しておく。図2は、一般的なRFタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のRFタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするループアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、ループアンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0012】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、RFタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、RFタグ200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ20が搬送波から電力生成回路22により整流して直流電力に変換して、RFタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してRFタグ200が規格に合致したタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とRFタグ200の間でデータの授受が行われる。
図3は、本発明のRFタグの外形透視図であり、以下、この構成全体を指してRFタグと呼ぶ。図3(A)は上面図であり、図3(B)は側面図である。このRFタグ200は、図3(A)の上面図から明らかなように、ポリ塩化ビニル(PVC)シート等を溶着してループアンテナ20と制御IC201を保持するインレット31と、インレット31の外周に亘って形成されたループアンテナ20と、ループアンテナ20を介して所定の変調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を制御する制御IC201とを備えて構成される。
【0013】
図4は本発明の第1の実施形態に係る封筒の構成図である。この封筒41は封筒41の開口側47の領域を上部領域43とし、この上部領域43の下側の領域を下部領域46とした場合、上部領域43と下部領域46間を仕切る手段としての分離手段は上部領域43と下部領域46との境界に位置する仕切り45であり、上部領域43に物品を収納し、下部領域46にRFタグ200を取り付けるものである。このように封筒41を分離手段としての仕切45により上下に分離して上部領域43に物品を収納し、下部領域46にRFタグ200を取り付けるので、RFタグ200の位置を揃えることが容易となり、例えば、上部領域43に金属性物品(硬貨等)44が収納されても、図示しないリーダライタの読み取り方向から見てRFタグ200と重なることがなくなり、金属性物品44による磁束反射障害の影響を低減することができる。尚、仕切りとは、一方の領域から他方の領域への物品やタグの移動を阻止するに足る手段であり、例えば接着剤、両面シール、内袋等によって構成される。
図5は本発明の第2の実施形態に係る封筒の構成図である。この封筒51は分離手段として、封筒51の開口側56を除いた周縁領域53と物品を収納する物品収納領域52の境界に位置する仕切り54を設ける。そして物品収納領域52に物品を収納し、周縁領域53にRFタグ200を取り付けるものである。このように周縁領域53以外の領域(物品収納領域52)に物品を収納し、周縁領域53にRFタグ200を取り付けるので、RFタグ200の取り付ける位置が広がると共に、例えば物品収納領域52に金属性物品(硬貨等)55が収納されても、図示しないリーダライタの読み取り方向から見てRFタグ200と重なったり、近接することがなくなり、金属性物品55による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
【0014】
図6は本発明の第3の実施形態に係る封筒の構成図である。この封筒61は分離手段として、切手を貼付する切手貼付領域63と物品を収納する物品収納領域62との境界に位置する仕切り64を設ける。そして物品収納領域62に物品を収納し、切手貼付領域63にRFタグ200を取り付けるものである。このように切手を貼る部分(切手貼付領域63)にRFタグ200を取り付けるので、物品収納領域62が広くなり、またRFタグ200の位置が限定的に決まるので読み取りが容易となると共に、例えば物品収納領域62に金属性物品(硬貨等)66が収納されても、図示しないリーダライタの読み取り方向から見てRFタグ200と重なることがなくなり、金属性物品66による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
図7は本発明の第4の実施形態に係る封筒の構成図である。この封筒71は分離手段として、金属性物品(硬貨等)74を収納する金属性物品収納領域73とその他の物品を収納する物品収納領域72との境界に位置する仕切り75を設ける。そして物品収納領域72に金属性物品以外の物品を収納し、そこにRFタグ200を取り付けるものである。このように予め金属性物品74を金属性物品収納領域73に分けて収納するので、RFタグ200の取り付け位置が広範囲となり、封筒取り扱いの利便性が高くなると共に、図示しないリーダライタの読み取り方向から見て金属性物品74とRFタグ200とが重なることがなくなり、金属性物品74による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
【0015】
図8は本発明の第5の実施形態に係る封筒の構成図である。この封筒81は分離手段として、封筒81の外周部83より突出した外部領域85と物品を収納する物品収納領域82との境界に位置する仕切り86を設ける。そして物品収納領域82に物品を収納し、外部領域85にRFタグ200を取り付けるものである。このようにRFタグ200を封筒82の外周部83より突出して設けた外部領域85に取り付けるので、封筒82の収納部を仕切る必要がなくなり、汎用的な封筒を使用することができると共に、図示しないリーダライタの読み取り方向から見て金属性物品84とRFタグ200とが重なることがなくなり、金属性物品84による磁束減衰障害の影響を低減することができる。尚、外部領域自体がRFタグである場合を含む。
図9は本発明の第6の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は封筒91を収納する親封筒92を更に備え、親封筒92の開口側98の領域を上部領域94とし、この上部領域94の下側の領域を下部領域97とした場合、分離手段として上部領域94と下部領域97との境界に位置する仕切り96を設ける。そして上部領域94に封筒91を収納し、下部領域97にRFタグ200を取り付けるものである。このように封筒91全体を収納する親封筒92を備え、その親封筒92を上下に分離して上部領域94に封筒91を収納し、下部領域97にRFタグ200を取り付けるので、封筒91を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、親封筒92を再使用することができ、且つ図示しないリーダライタの読み取り方向から見て金属性物品95とRFタグ200とが重なることがなくなり、金属性物品95による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
【0016】
図10は本発明の第7の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は封筒101を収納する親封筒102を更に備え、親封筒102の開口側107を除いた領域を周縁領域105とし、封筒101を収納する領域を封筒収納領域103とした場合、分離手段として周縁領域105と封筒収納領域103との境界に位置する仕切り104を設ける。そして封筒収納領域103に封筒101を収納し、周縁領域105にRFタグ200を取り付けるものである。このように親封筒102の周辺を分離して中心部に封筒101を収納し、周縁領域105にRFタグ200を取り付けるので、封筒101を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、親封筒102を再使用することができ、且つ、図示しないリーダライタの読み取り方向から見て金属性物品106とRFタグ200とが重なることがなくなり、金属性物品106による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
図11は本発明の第8の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は封筒111とは別体の札114を更に備え、封筒111に収納する物品とRFタグ200を分離するために、札114を封筒111の外部に紐113などで取り付けると共に、この札114にRFタグ200を取り付けるものである。このように封筒111とは別体の札114を紐113で封筒111に取り付け、その札114にRFタグ200を取り付けるので、封筒111を加工する必要がなくなり汎用的な封筒を使用することができると共に、札114を再使用することができ、且つ、図示しないリーダライタの読み取り方向から見て金属性物品115とRFタグ200とが重なることがなくなり、金属性物品115による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
【0017】
図12は本発明の第9の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は封筒121の開口側124を上部領域125とし、且つ物品が金属性物品123の場合、上部領域125にRFタグ200を取り付けることにより、上部領域125を上(矢印の方向)にしてRFタグ200に記録されている関連情報を読み取ることにより、この封筒121に収納する物品とRFタグ200を分離可能としたものである。このようにRFタグ200を封筒121の上部領域125(開口側)に取り付け、RFタグ200の上方を図示しないリーダライタにより読み取るときは、封筒121を立てるようにすることにより、金属性物品123が重力により封筒121の底部に集まるので、RFタグ200と金属性物品123を分離することができ、金属性物品123による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
図13は本発明の第10の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は制御IC132を封筒133の所定の場所に配置すると共に、アンテナ131を封筒133の外周全域に亘って配置したものである。本実施形態は封筒133に仕切りを設けないで金属性の物品による影響を低減するものである。即ち、RFタグ200に備えられたアンテナ20は左程大きくないので、そのアンテナ20に金属が重なる状況が発生すると、磁束減衰障害によりデータが正しく読み取れなくなる。そこで本実施形態では、アンテナ131を封筒133の外周全域に亘って配置して、金属性物品135が重なっても磁束減衰障害による影響を低減するものである。
【0018】
図14は本発明の第11の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は、制御IC144を封筒141の所定の場所に配置すると共に、アンテナ143を封筒141の周囲に巻きつけるように配置したものである。このように本実施形態ではアンテナ143を封筒141の周囲に巻きつけるように配置するものである。この場合は、図示しないリーダライタの読み取り方向が封筒141の上下方向となり、側面からの読み取りは困難となるが、その分金属性物品145の影響が少なくなる。
図15は本発明の第12の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は、制御IC154を封筒151の所定の場所に配置すると共に、アンテナ153をリング状にして封筒151の一部から突出するように配置したものである。このように封筒内の金属の影響を受けにくくするには、アンテナ153を封筒151の外部に設けることが最良である。本実施形態では、アンテナ153をリング状にして封筒151の外部に突出させるものである。これによりアンテナ153がストラップとしての役割を兼ねると共に、金属性物品155による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
図16は本発明の第13の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は、制御IC165をアンテナ163と一体化して配置すると共に、アンテナ163は封筒161の開口側164に着脱する止め具を兼ねるものである。このように封筒161の開口側164は糊やクリップ等で固定される。本実施形態はアンテナ163をクリップ等の形状にして、そのアンテナ163に制御IC165を一体化して備えるものである。これによりアンテナ163を再使用することができ、且つ金属性物品166による磁束反射障害の影響を低減することができる。
【0019】
図17は本発明の第14の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は、制御IC173を封筒171の所定の場所に配置すると共に、アンテナ175(アンテナA〜D)を封筒171の四隅に配置して互いに接続したものである。このように封筒内の金属の影響が最も少ない場所は封筒171の四隅である。そこで本実施形態ではアンテナ75(アンテナA〜D)を封筒の四隅に分散して配置し、各アンテナを並列に接続してデータ受信の感度を高めるものである。これによりアンテナ75(アンテナA〜D)から受信するデータ受信の感度を高めることができると共に、金属性物品174による磁束減衰障害の影響を低減することができる。
図18は本発明の第15の実施形態に係る封筒の構成図である。本実施形態は、物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒であって、RFタグ200(RFタグA〜D)を封筒181の四隅に配置したものである。このように封筒内の金属の影響が最も少ない場所は封筒の四隅である。そこで本実施形態ではRFタグ200(RFタグA〜D)を封筒の四隅に配置し、各RFタグ200(RFタグA〜D)からのデータを並列に受信してデータの信頼性を高めるものである。
尚、以上の説明では封筒に限定して説明したが、封筒に限らずRFタグを取り付け可能で、且つ金属以外のものであればこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一般的なRFタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なRFタグの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のRFタグの外形透視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図11】本発明の第8の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図12】本発明の第9の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図13】本発明の第10の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図14】本発明の第11の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図15】本発明の第12の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図16】本発明の第13の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図17】本発明の第14の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図18】本発明の第15の実施形態に係る封筒の構成図である。
【図19】従来のICタグの片面に磁束の磁路を形成する磁性シートを形成した場合の磁束の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
41 封筒、43 上部領域、44 金属性物品(硬貨等)、45 仕切り、46 下部領域、47 開口側、200 RFタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納する金属性物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒であって、当該封筒に収納する金属性物品と前記RFタグとの位置関係が前記関連情報を読み書きするリーダライタの読み取り方向から見て重畳しないように分離し、且つ相互移動を禁止する分離手段を備えたことを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項2】
前記封筒の開口側の領域を上部領域とし、該上部領域の下側の領域を下部領域とした場合、前記分離手段は前記上部領域と下部領域との境界に位置した仕切りであり、前記上部領域に収納した金属性物品が前記下部領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項3】
前記分離手段は、前記封筒の開口部を除いた周縁領域と、該周縁領域の内側に位置して物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に収納した金属性物品が前記周縁領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項4】
前記分離手段は、シールを貼付するシール貼付領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に収納した金属性物品が前記シール貼付領域に配置した前記RFタグ側へ相対的に移動することを禁止することを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項5】
前記分離手段は、前記金属性物品を収納する金属性物品収納領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に前記金属性物品以外の物品を収納し、且つ前記RFタグを取り付けることを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項6】
前記分離手段は、前記封筒の外周部より突出した外部領域と前記物品を収納する物品収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記物品収納領域に物品を収納し、前記外部領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項7】
前記封筒を収納する親封筒を更に備え、前記親封筒の開口側の領域を上部領域とし、該上部領域の下側の領域を下部領域とした場合、前記分離手段は前記上部領域と下部領域との境界に位置した仕切りであり、前記上部領域に前記封筒を収納し、前記下部領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項8】
前記封筒を収納する親封筒を更に備え、前記親封筒の開口部を除いた領域を周縁領域とし、前記封筒を収納する領域を封筒収納領域とした場合、前記分離手段は前記周縁領域と封筒収納領域との境界に位置した仕切りであり、前記封筒収納領域に前記封筒を収納し、前記周縁領域に前記RFタグを取り付けることを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項9】
前記封筒に対して荷札状に外付けされる別体の札部材を更に備え、前記RFタグを前記札部材に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項10】
前記封筒の開口部側に前記RFタグを固定配置し、該RFタグに記録されている関連情報の読取り時には、前記RFタグから離間した位置に前記金属性物品を退避させた状態での読取を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のRFタグを備えた封筒。
【請求項11】
前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の外周全域に亘って固定配置したことを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項12】
前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の周囲に巻き付け配置したことを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項13】
前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナをリング状にして前記封筒の一部から突出して配置したことを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項14】
前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記アンテナと一体化すると共に、前記アンテナは前記封筒の開口部に着脱する止め具を兼ねることを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項15】
前記RFタグは制御ICとアンテナとを備え、前記制御ICを前記封筒の所定の場所に固定配置すると共に、前記アンテナを前記封筒の四隅に固定配置して互いに接続したことを特徴とするRFタグを備えた封筒。
【請求項16】
物品の関連情報を記録したRFタグを取り付けた封筒であって、前記RFタグを前記封筒の少なくとも2つの角隅部に配置したことを特徴とする請求項3、5、または8に記載のRFタグを備えた封筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−89115(P2006−89115A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280449(P2004−280449)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】