RFIDシステム
【課題】交信領域内のRFIDタグの状態やこのタグに対する処理内容を容易に判別して、安定した読み書き処理を効率良く実行する。
【解決手段】移動する物体(コンベア5)の一側面に、表面にミラーMが設けられたRFIDタグ4を取り付けると共に、コンベア5が移動する間にRFIDタグ4に対向する位置にリーダライタ1のアンテナ部10および反射式の光電センサ2を配備する。RFIDタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったときに、ミラーMが光電センサ2の検知領域に入り、光電センサ2の受光量が上昇する。光電センサ2の出力信号を入力した上位制御装置では、入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、リーダライタ1による読み書き処理を制御する。
【解決手段】移動する物体(コンベア5)の一側面に、表面にミラーMが設けられたRFIDタグ4を取り付けると共に、コンベア5が移動する間にRFIDタグ4に対向する位置にリーダライタ1のアンテナ部10および反射式の光電センサ2を配備する。RFIDタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったときに、ミラーMが光電センサ2の検知領域に入り、光電センサ2の受光量が上昇する。光電センサ2の出力信号を入力した上位制御装置では、入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、リーダライタ1による読み書き処理を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する物品に取り付けられたRFIDタグ(以下、単に「タグ」という場合もある。)と非接触の交信を行って、物品に関連する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なRFIDシステムには、アンテナ部を具備するリーダライタ(アンテナ部と制御回路部とが一体になったタイプのものと両者が分離したタイプのものとがある。)と、パーソナルコンピュータやPLCなどによる上位制御装置とが含まれており、上位制御装置から出力された読み書きコマンドがリーダライタを介してRFIDタグに送信される。RFIDタグからの応答信号も、同様にリーダライタで受け付けられた後に上位制御装置に伝送される。
【0003】
また、物品とともに移動するRFIDタグと交信を行うタイプのシステムでは、タグの移動経路の所定位置に対向するようにアンテナ部を配備する。また、タグとの交信を安定して実行するために、アンテナ部とタグとの電磁結合状態の変化(インピーダンスや振幅波形など)により交信領域内にタグが入ったことを検出して、交信を開始するようにしている。または、アンテナ部からタグの識別用のコマンドを出力し、このコマンドに対するタグからの応答を受信する方法により、交信領域に入ったタグを検出する場合もある(特許文献1参照。)。
【0004】
また携帯型のリーダライタを人が手持ちしてRFIDタグに対する読み書き処理を行う場合について、リーダライタからガイド用の光を出射して、この光がタグに照射されるようにリーダライタを位置合わせする方法が提案されている(特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−187196号公報
【特許文献2】特開2005−242396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、種々の用途にRFIDシステムが使用されるようになったことに伴い、読み書き処理の対象となるタグを選別したり、タグが取り付けられた物品の種類によって読み書き処理の内容を変更するなど、複雑な処理を実行するケースが増えている。
【0007】
しかし、読み書き処理の対象となるタグを選別するには、交信領域に入った全てのタグと交信して、読み書きを行う必要があるか否かを判別する必要があるため、処理時間を短縮するのが困難である。また、取り付けられている物品によって内容の異なる読み書き処理を行う場合にも、タグとの交信によって処理内容を特定してから、特定した処理のための交信を実施するため、1つのタグに対する交信時間が長くなる。
【0008】
またいずれの場合にも、タグ側に、読み書きの必要の有無や処理内容などを示す定義情報を書き込む必要があるため、使用済のタグを別の目的で再利用する場合には定義情報の書き換えが必要になり、ユーザの負担が増大する。
【0009】
また、アンテナ部とタグとの電磁結合状態の変化を利用すれば、タグが交信領域に入ったことを検出することはできるが、タグの移動方向を判別するのは困難である。また1つの物品に複数のRFIDタグが取り付けられる場合には、前出の識別コマンドを用いてタグの数を検出する方法が適用されると考えられるが、一部のタグが交信領域に含まれていない状態で識別コマンドが送信されると、交信領域外のタグを認識できない状態のまま、物品を通過させてしまうおそれがある。
【0010】
本発明は上記の各問題点に着目し、光学的な手段により交信領域内のRFIDタグの状態やこのタグに対する処理内容を容易に判別して、安定した読み書き処理を効率良く行うことを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるRFIDシステムは、移動する物品に取り付けられたRFIDタグと非接触の交信を行って、物品に関する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるためのもので、RFIDタグと交信するためのアンテナ部と、物品の外周の所定位置に取り付けられたミラーと、物品に取り付けられたRFIDタグが前記アンテナ部の交信領域内に含まれたときにミラーを検知領域に含む位置に配備された反射型の光電センサと、この光電センサの出力信号を入力し、その入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、前記RFIDタグに対する読み書き処理を制御する制御部とを、具備する。
【0012】
上記のシステムによれば、物品が移動してRFIDタグがアンテナ部の交信領域に含まれたときに、光電センサからの光がミラーで反射して光電センサに入射する状態になり、光電センサから制御部に入力される受光量を増加させることができる。さらに、ミラーの形状、面積、数などを調整することによって、物品の移動に応じて光電センサの受光量を変化させたり、物品の種類や処理内容によって光電センサが得る受光量の強度を変更することが可能になる。よって、光電センサからの入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさから物品の移動方向や処理の内容などを判別して、その判別結果に応じた読み書き処理を実行することができる。
【0013】
また、1つの物品に複数のRFIDタグが取り付けられる可能性があり、物品によって取り付けられるタグの数が異なる場合に、タグの数と同数のミラーを設けたり、タグの数によってミラーの面積を変更するようにすれば、光電センサによる受光量の大きさに基づいて交信対象のタグの数を特定し、特定した数分のタグと漏れなく交信して、必要な読み書き処理を行うことができる。
【0014】
以下、上記のRFIDシステムに関して、5つの実施態様を説明する。
まず第1の実施態様では、制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量が所定の基準値を超えたことに応じてアンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる。
【0015】
上記の態様によれば、たとえば、RFIDタグがアンテナ部の交信領域に入ったときにミラーから光電センサに入射する反射光の光量に基づき基準値を定めることによって、タグが確実に交信領域に含まれている状態下で読み書き処理を開始することができる。また、RFIDタグとアンテナ部との距離を調整する必要がある場合には、両者の距離が交信に適した状態になったときの光電センサの受光量に基づいて基準値を定めることによって、タグとアンテナ部との距離を交信に適した状態に調整してから読み書き処理を開始することができる。
【0016】
また、読み書き処理を行う必要がある物品と、読み書き処理の必要がない物品とが搬送される場合には、前者にミラーを取り付け、後者にミラーを取り付けないようにすれば、読み書き処理が必要な物品に取り付けられているタグのみと交信することができる。
【0017】
第2の実施態様では、物品の移動方向に沿ってミラーの形状が変化し、この変化によって、光電センサからの光に対してミラーから光電センサに入射する反射光の強度が当該ミラーが光電センサの検知エリアを通過する間に一定の傾向をもって変化する状態が発生する。また制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量が減少または増加の方向に所定値以上変化したことに応じてアンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる。
【0018】
上記の態様によれば、物品の移動に伴い、アンテナ部の交信領域に入ったタグが交信領域内を移動する間に得られる受光量の変化に応じて、RFIDタグに対する読み書き処理を安定して実行することができる。
【0019】
第3の実施態様では、第2の実施態様による制御を実行することを前提として、さらに制御部において、光電センサからの入力信号が示す受光量が減少方向に変化したときと増加方向に変化したときとで、それぞれ内容の異なる読み書き処理をアンテナ部に実行させる。この態様によれば、たとえば、所定の場所に対して搬送される物品およびこの場所から搬出される物品の双方を対象に、物品の移動方向によって内容が異なる読み書き処理を行う場合に、各物品の移動方向を容易に判別して適切な読み書き処理を行うことが可能になる。
【0020】
つぎに第4の実施態様では、物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、上記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と読み書き処理の内容とを対応づけて登録した登録手段が制御部内に設けられる。また制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量を登録手段と照合することによって当該受光量に対応する処理内容を特定し、特定した内容の読み書き処理をアンテナ部に実行させる。
【0021】
上記の態様によれば、ミラーの大きさまたは数によって光電センサの受光量を変動させ、その受光量の強度によって、実行すべき読み書き処理の内容を認識することができる。よって、読み書き処理の内容が異なる複数の物品をランダムな順序で搬送する場合にも、タグとの交信を行うことなく読み書き処理の内容を判別して、迅速な対応をとることができる。
【0022】
第5の実施態様でも、物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定される。また制御部には、上記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と、アンテナ部の交信面とタグとの間の距離の調整用データとを対応づけて登録した登録手段が設けられる。さらに制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量を登録手段の各数値範囲と照合することによって、当該受光量に対応する調整用データを特定し、このデータに基づき物品またはアンテナ部の位置調整機構を制御した後に、RFIDタグに対する読み書き処理をアンテナ部に実行させる。
【0023】
上記の態様によれば、たとえば金属製の物品と非金属製の物品など、RFIDタグとアンテナ部との交信に適した距離が異なる状態になる複数種の物品が搬送される場合にも、それぞれの物品に応じてタグとアンテナ部との間の距離を調整してから、読み書き処理を実行することができる。
【0024】
さらに上記の各態様を含むRFIDシステムでは、ミラーをRFIDタグの表面に一体に設けて、物品の外周に、このミラーが外側を向くように配備することができる。この場合、アンテナ部および光電センサは、ともに物品が移動する間にRFIDタグに対向する関係になるように、横並びに近い状態で配備される。または、アンテナ部と光電センサとを1つの筐体内に収容することもできる。
【発明の効果】
【0025】
上記のRFIDシステムによれば、反射型の光電センサにより得た受光量の変化または受光量の大きさに基づいて、読み書き処理を実行するタイミングや読み書き処理の内容などを判別して、その判別に応じた処理を行うことができる。よって、これらの判別処理のためにRFIDタグとの交信を行う必要がなくなり、交信に要する処理時間を短縮することができる。また、RFIDタグを再利用する場合にも、ミラーの取り付けや変更などによって処理内容の変更に容易に対応することができ、ユーザの負担を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】RFIDシステムの設置例を示す図である。
【図2】RFIDシステムの電気構成を示すブロック図である。
【図3】ミラー付きタグの第1の構成例を示す正面図である。
【図4】ミラー付きタグの第2の構成例を示す上面図および断面図である。
【図5】第1、第2の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図6】ミラー付きタグの第3の構成例を示す正面図、およびこのタグによる受光量とコンテナとの距離の関係を示すグラフである。
【図7】第3の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図8】第4の構成例によるミラー付きタグとスポット光との関係を示す拡大正面図である。
【図9】第4の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図10】ミラー付きタグの第5の構成例を示す正面図である。
【図11】第5の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図12】RFIDタグとミラーとを別体にしたRFIDシステムの設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明が適用されたRFIDシステムの設置例を、図2はシステムの電気構成を、それぞれ示す。
このRFIDシステムは、工場内で取り扱われる部品収納用のコンテナ5の搬出入に使用されるもので、コンテナ5の側面に取り付けられたRFIDタグ4、リーダライタ1、反射型の光電センサ2、およびパーソナルコンピュータなどによる上位制御装置3(図2にのみ示す。)により構成される。なおコンテナ5は、図示しないコンベアやロボットなどの機械(以下、「移動機構」という。)により搬送される。
【0028】
リーダライタ1は、アンテナ部10と、送受信回路12および制御部13を含む交信制御装置11とにより構成され、上位制御装置3から供給された読み書き処理用のコマンドをRFIDタグ4に送信する。またこのコマンドに対するRFIDタグ4からの応答信号を受け付けると、その信号の内容を復号して上位制御装置3に出力する。なお、送受信回路12はアンテナ部10に含めることもできる。
【0029】
光電センサ2には、投光部21およびその駆動回路22、受光部23、アンプ24、信号処理回路25などが設けられる。信号処理回路25は、投光部21の投光動作を制御しながら、受光部23より出力され、アンプ24により増幅された受光量信号を取り込んでディジタル変換し、変換後の受光量信号を上位制御装置3に出力する。
【0030】
RFIDタグ4には、交信用の回路やメモリを含む制御部41が含まれるほか、そのケースの本体40(以下、「ケース本体40」という。)の前面にミラーMが設けられている。このミラーMは、タグ4の成形時にケース本体40に一体化されたものである。
【0031】
図1に示すように、アンテナ部10およびリーダライタ1は、コンテナ5のRFIDタグ4が取り付けられている面に対向する状態になるように配備される。またRFIDタグ4がコンテナ5とともに移動する間に、アンテナ部10の交信領域内にRFIDタグ4が入り、またそのときタグ4のミラーMに光電センサ2からの光が照射されるように、コンテナ5におけるRFIDタグ4の取り付け位置が調整されている。また、コンテナ5やタグ4のケース本体40は、塗料や粗面加工などによって表面の反射性が低く抑えられている。よって、光電センサ2からの光がミラーMに照射されたときとミラーM以外の場所に照射されたときとでは、光電センサ2に入射する光に大きな差異が生じるから、光電センサ2の受光量によって、タグ4がアンテナ部10の交信領域内に含まれているか否かを判別することができる。
【0032】
上位制御装置3は、光電センサ2から入力される受光量信号により、受光量の変化または受光量の大きさを検出し、その検出結果に応じてRFIDタグ4に対する交信開始のタイミングや処理内容を判断し、リーダライタ1の制御部13を介してリーダライタ1の動作を制御する。さらにこの上位制御装置3により、コンテナ5の移動機構の動作が制御される場合もある。
【0033】
以下、上記システムにおけるミラー付きのRFIDタグ4(以下、「ミラー付きタグ4」又は単に「タグ4」という。)の具体的な構成例をあげるとともに、各構成例のタグ4を用いた交信処理(上位制御装置3およびリーダライタ1により実行されるもの)について、具体例をあげて説明する。なお、タグ4の構成や移動方向に関する説明では、各図の紙面に向かって左手方向を「左」、紙面に向かって右手方向を「右」と表現する。
【0034】
<ミラー付きタグの構成例1>
図3は、ミラー付きタグ4の前面を拡大して示す。
この実施例のミラーMの表面は、ケース本体40の前面と一連に連なる平坦面として形成される。またミラーMの縦幅は、左から右に向かう方向に沿ってしだいに小さくなる。
【0035】
図中のPは、光電センサ2からのスポット光である。図3(1)に示すように、タグ4の右端部にスポット光Pが照射されているときは、スポット光Pのうちの半分程度がミラーMに照射された状態となる。スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合は、照射位置が左に移動するにつれて増加し、図3(2)に示すように、スポット光Pの照射範囲全体がミラーMに対応する状態になる。
【0036】
ここで、図3のミラー付きタグ4が紙面に向かって左から右に向かって移動する場合を想定して説明すると、まずタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ると、スポット光Pの照射範囲の一部にミラーMが照射される状態になる。これにより、光電センサ2の受光量は、それまでのスポット光PがミラーMに照射されていない状態より高くなる。さらにタグ4が右に移動すると、スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合がしだいに増加し、これに伴って光電センサ2の受光量も徐々に増加する。そしてスポット光Pの全照射範囲がミラーMに対応する状態になったとき、受光量が最大になる。
【0037】
一方、ミラー付きタグ4が右から左に向かって移動した場合には、上記とは逆に、スポット光Pの全照射範囲がミラーMに対応する状態になった後に、スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合が徐々に小さくなる。これにより、受光量も、最大値まで上昇した後に減少方向に向かって変化する。
【0038】
したがって、たとえば図3(1)の状態にあるときの光電センサ2の受光量を基準値に設定すれば、受光量がこの基準値を下回る状態から基準値を上回る状態に変化したことをもってタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったと判断することができる。また、受光量が基準値に達した後に少しずつ増加した場合には、タグ4が左から右に移動していると判断することができる。また、受光量が基準値を大幅に上回る値から基準値付近まで徐々に減少した場合には、タグ4が右から左に移動していると判断することができる。
【0039】
<ミラー付きタグの構成例2>
図4では、上記図3と同様の作用を奏するミラー付きタグ4を上から見た状態(図4の(1))を示すと共に、この上面図の矢印L1,L2で示す各位置における縦断面図(図4(2)(3))により、これらの位置に光電センサ2からのスポット光Pが照射されたときの反射状態を示す。
【0040】
この実施例のミラーMは、RFIDタグ4の前面の所定位置から右端に至るまでの範囲の全体にわたって設けられる。ミラーMの縦幅はケース本体40に合わせて一定の長さに維持されるが、縦幅方向に沿う傾斜角度は徐々に変化する。具体的には、ミラーMの左端部はケース本体40の前面に連なる平坦面であるが、右に向かうにつれて傾斜面に変化し、また傾斜が徐々に急になる。このため、スポット光PがミラーMの左端部(矢印L1の位置)に照射されたときは、スポット光Pに対する正反射光の殆どが光電センサ2に入射する状態となる(図4(3)参照。)が、スポット光Pの照射位置がミラーMの右端部(矢印L2の位置)に近づくにつれて、光電センサ2に入射しない方向に反射する光が多くなる(図4(2))。
【0041】
よって、図4の例においても、ミラー付きタグ4が左から右に移動する場合には光電センサ2の受光量が徐々に増加し、ミラー付きタグ4が右から左に移動する場合には、光電センサ2の受光量が徐々に減少する状態となる。
【0042】
<例1,2のミラー付きタグを用いた交信処理例>
図5は、図3または図4のミラー付きタグ4を用いてコンテナ5の入出庫を管理する場合に、上位制御装置3およびリーダライタ1により実行される交信処理の手順を示す。なお、この例では、図3,4中の左から右に向かう方向を入庫の方向とし、右から左に向かう方向を出庫の方向とする。
【0043】
この手順に沿って説明すると、まずタグ4のミラーMが光電センサ2に対向する状態になるまでは、光電センサ2から入力した受光量を基準値と照合する処理を繰り返す(ST11)。
ここで受光量が基準値を超えると、アンテナ部10の発振を開始し(ST12)、さらに受光量の変化の方向を検出する(ST13)。
【0044】
受光量が増加方向に変化している場合には、タグ4に入庫時刻を書き込む処理を実行する(ST14)。これに対し、受光量が減少方向に変化している場合には、タグ4に出庫時刻を書き込む処理を実行する(ST15)。
【0045】
なお、ST14,15の書き込み処理には、タグ4へのコマンドの送信とタグ4からの応答信号の受信とが含まれる(後記する各実施例の読み書き処理についても同様である。)。この書き込み処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了する(ST16)。
【0046】
タグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったことを検出することのみを目的とする場合には、アンテナ部10のインピーダンスや発振振幅の変化を用いた検出を行うことも可能であるが、タグ4の移動方向まで判別するのは困難である。これに対し、図3,4に示した構成のRFIDタグ4によれば、光電センサ2の受光量が増加、減少のいずれの方向に変化するかを検出することによって、タグ4の移動方向を容易に特定することができる。よって、アンテナ部10の交信領域に入ったタグ4に素早く反応して、そのタグ4に送信すべきコマンドを的確に送信することができる。
【0047】
なお、図4の構成のミラー付きタグ4に関しては、コンテナ5の移動方向を特に識別する必要がなく、受光量の変化に基づいて交信領域に対するタグ4の入出を判別するだけで良い場合には、中央部を平坦にして、左右の両端部に向かってそれぞれ徐々に傾斜が急になるような形状のミラーMを設けてもよい。この場合に、光電センサ2の受光量が最大になったときにタグ4との交信を行うようにすれば、安定した読み書き処理を行うことができる。
【0048】
<ミラー付きタグの構成例3>
図6(1)は、第3の例のミラー付きタグ4の前面を、図3と同様のサイズで示したものである。
この実施例のタグ4には、光電センサ2がタグ4の中央部に対向する状態になったときにスポット光Pが照射される場所に横長矩形状のミラーMが配備されている。なお、この実施例および以後の各実施例では、ミラーMの表面は平坦面に設定されている。
【0049】
図6(1)の構成によれば、タグ4がアンテナ部10の交信領域の中央部に位置する状態になったとき、光電センサ2からのスポット光PがミラーMに照射され、これにより生じたミラーMからの反射光が光電センサ2に入射して、受光量が上昇する。よって、受光量が所定の基準値に達したことを条件として、タグ4との交信を安定して行うことが可能になる。
【0050】
さらに、この実施例によれば、スポット光PがミラーMに位置合わせされた状態を維持して、コンテナ5およびタグ4を前方に移動させることにより、ミラーMに照射されるスポット光Pの強度を高めて、これに対する反射光により光電センサ2の受光量を増加させることができる。よって、図6(2)に示すように、コンテナ5に対する距離が短かくなるほど光電センサ2の受光量が増加することになるので、この特性を利用してアンテナ部10とタグ4との距離を調整することができる。
【0051】
<例3のミラー付きタグを用いた交信処理例>
一般に、RFIDタグ4への情報の書き込みを行うには、タグ4からの読み出しが可能になる範囲の境界位置よりもアンテナ部10から見て前方にタグ4を配置する必要がある。そこでこの実施例では、図6(1)の構成のタグ4が取り付けられたコンテナ5について、あらかじめ、タグ4からの読み出し処理に適した位置と書き込み処理に適した位置とを特定するとともに、コンテナ5がこれらの位置にあるときの光電センサ2の受光量T1,T2を計測する(図6(2))。そしてこれらの受光量T1,T2をそれぞれ基準値として光電センサ2の受光量をチェックしながらコンテナ5の移動機構を制御することによって、タグ4を読み出し処理に適した位置および書き込み処理に適した位置に順に配置して、対応する処理を実行する。
【0052】
図7は、上記の処理の具体的な手順を示す。この処理では、タグ4のミラーMが光電センサ2の正面に対応づけられていることを前提に、まずコンテナ5を前方に移動させながら光電センサ2の受光量がT1になるまで待機する(ST21,22)。受光量がT1を超えると、アンテナ部10の発振を開始して(ST23)、RFIDタグ4からの情報の読み出し処理を実行する(ST24)。
【0053】
この後も、コンテナ5の前方移動を継続し、受光量がT2を超えたときにコンテナ5を停止して、RFIDタグ4へのデータの書き込み処理を実行する(ST25〜27)。書き込み処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了する(ST28)。
【0054】
上記の手順によれば、光電センサ2の受光量に基づいて、RFIDタグ4に対する読み出し処理と書き込み処理とをそれぞれの処理に適した位置で行うことが可能になる。
【0055】
このほか、上記構成例1〜3のミラー付きタグ4は、交信対象を選別する目的に使用することもできる。たとえば、2つの現場に搬送されるコンテナ5のうち、一方の現場へのコンテナ5のタグ4には情報を書き込む必要があるが、他方の現場へのコンテナ5のタグ4には情報を書き込む必要がない場合には、前者のコンテナ5にミラー付きタグ4を取り付け、後者のコンテナ5にミラーMが付いていないタグ4を取り付ける。そして、コンテナ5の搬送路の近傍位置にアンテナ部10および光電センサ2を配備して、光電センサ2の受光量が所定の基準値に達したとき、または受光量が増加方向もしくは減少方向に変化したときにアンテナ部10を発振させて書き込み処理を実行する。
【0056】
上記の方法によれば、光電センサ2の受光量に基づきミラー付きのタグ4を検出したときのみ、データの書き込みを行うことができるので、交信対象のタグ4を容易に見分けて迅速な交信処理を行うことができる。また交信対象外のタグ4とは、交信を行わずに交信領域を単に通過させれば良いので、アンテナ部10を無駄に動かすことがなくなり、コストを削減することができる。
【0057】
<ミラー付きタグの構成例4>
図8に示す実施例は、これまでの実施例より小型のミラー付きタグ4Sを、複数個、スポット光P(図3,6の例と同じサイズであるが、図8では拡大して示す。)が照射される範囲内に含まれるように配置したものである。各タグ4Sには、それぞれ前面全体に表面が平坦なミラーMが形成されている。また、各タグ4Sは、図示しない支持具により位置関係を固定した状態で支持されており、また、スポット光Pが照射される範囲内に最大4個までのタグ4Sを取り付けることができる。
【0058】
上記構成のRFIDタグ4によれば、コンテナ5に取り付けられている全てのタグ4Sにスポット光Pが照射される状態になったときに最大の受光量を得ることができるが、この最大受光量はタグ4Sの設置数によって異なるものとなる。したがって、あらかじめタグ4Sの設置数毎に、最大受光量に相当する値を基準値に設定しておけば、各タグ4Sがアンテナ部10の交信領域を横切る間に得られる最大受光量を各基準値と照合することによって、コンテナ5に取り付けられているタグ4の数を判別することができる。また、各タグ4Sとアンテナ部10との間に、読み出し処理および書き込み処理の双方に適した距離が確保されるように、アンテナ部10の位置を調整して、最大の受光量が得られた直後に各タグ4Sとの交信を行えば、安定した交信を行うことが可能である。
【0059】
<例4のミラー付きタグを用いた交信処理>
図9は、図8に示したミラー付きタグ4Sを用いた交信処理の手順を示す。
この手順では、各タグ4Sがアンテナ部10の交信領域を横切る方向に移動することを前提として、光電センサ2の受光量が所定のしきい値(タグ4Sが1個の場合の基準値より低い値が設定される。)を超えるまで待機し(ST31)、受光量がしきい値を超えると、アンテナ部10の発振を開始する(ST32)。
【0060】
この後は、タグ4Sの移動に伴う受光量の変化を追跡し、最大受光量を検出する(ST33)。たとえば、各タグ4Sが左から右に向かって移動する場合を例に説明すると、各タグ4Sによる配列の左側にスポット光Pが照射される状態からすべてのタグ4Sにスポット光Pが照射される状態(図8参照)になるまでは、受光量が増加する。この後は、スポット光の照射位置が右側に移動して、左側のタグ4Sにスポット光Pが照射されない状態に移行するため、受光量はしだいに減少する。よって、ST33では、毎時の受光量の変化に基づき、受光量が増加方向に変化する状態から減少方向に変化する状態に移行したときを特定し、その一段階前の受光量を最大受光量として検出すればよい。
【0061】
つぎにこの検出に応じてコンテナ5を一時停止し(ST34)、検出した最大受光量を各基準値と照合することによって、交信領域内のタグ4Sの数を判別し(ST35)、判別した数のタグ4に対する処理が終了するまで、各タグ4Sに対する読み書き処理を順に実行する(ST36,37)。さらに全てのタグ4Sに対する処理が終了したことに応じてアンテナ部10の発振を停止し(ST38)、コンテナ5の移動を再開する(ST39)。
【0062】
上記のようにコンテナ5に任意の数のタグ4が取り付けられている場合、従来は、交信対象を限定しないコマンドを定期的に送信して、交信領域内の全てのタグ4に自装置の識別情報を送信させ、このコマンドに応答したタグ4を交信対象に設定していた。しかし、コンテナ5に取り付けられた全てのタグ4が交信領域に含まれる前に上記の識別処理が行われると、識別されなかったタグ4が交信対象から除外されるおそれがある。
【0063】
これに対し、上記の実施例では、光電センサ2から取得した最大受光量によってタグ4Sの設置数を容易かつ正確に認識し、これらのタグ4Sを交信に適した位置に停止させて各タグ4Sに対する読み書き処理を順に実行するので、読み書き処理から漏れるタグ4Sが生じるのを防止することができる。よって、各タグ4Sに対する読み書き処理を安定して実行することができる。
【0064】
<ミラー付きタグの構成例5>
図10は、図3や図6の例と同じサイズのミラー付きタグ4を、前方から見た状態を示す。この実施例のタグ4の前面には、所定の高さ位置に、帯状のミラーM1がケース本体40の横幅の全体にわたって配備される。このミラーM1は、タグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったことを検出するためのもので、以下、「存在検知用ミラーM1」という。
【0065】
さらに存在検知用ミラーM1の中央部より少し上方には、矩形状のミラーM2が配備される。これらのミラーM2は、タグ4が取り付けられるコンテナ5の種別、またはタグ4に対する読み書き処理の内容を識別するために用いられる。よって以下では、これらのミラーM2を「識別用ミラーM2」という。図10(1)に示すタグ4Aでは、識別用ミラーM2が2個設けられているが、図10(2)に示すタグ4Bでは、識別用ミラーM2は1個のみとなる。
【0066】
存在確認用ミラーM1および識別用ミラーM2は、いずれも光電センサ2のスポット光Pが照射され得る範囲に配備される。また、スポット光Pの照射範囲に対して存在確認用ミラーM1が占める割合は、照射位置に関わらず、ほぼ一定である。また光電センサ2がタグ4の中央部に対向する状態になったときに、このタグ4に配備されるすべての識別用ミラーM2と存在確認用ミラーM1の一部がスポット光Pの照射範囲に含まれる状態となり、このときの光電センサ2の受光量が最大になる。
【0067】
<例5のミラー付きタグを用いた交信処理例>
この実施例では、図10に示した2種類のミラー付きタグ4A,4Bにより樹脂製のコンテナ5と金属製のコンテナ5とを見分けて、コンテナ5とアンテナ部10との距離を調整する。
具体的にこの実施例では、2個の識別用ミラーM2が配備されたタグ4Aを金属製のコンテナ5に取り付け、識別用ミラーM2が1個のみのタグ4Bを樹脂製のコンテナ5に取り付け、各コンテナ5を左から右に向かって移動させる。またタグ4がアンテナ部10および光電センサ2に対向する状態になった後は、コンテナ5の移動方向をアンテナ部10に近づく方向に変更し、タグ4とアンテナ部10との距離が交信に適した状態になったところでコンテナ5を停止し、タグ4に対する読み書き処理を実行する。
【0068】
上記の処理のためにこの実施例では、あらかじめタグ4Aを取り付けた金属製のコンテナ5、およびタグ4Bを取り付けた樹脂製のコンテナ5を用いて、各タグ4A,4Bにつき、それぞれ読出処理、書込処理の双方に適したコンテナ5の位置を特定し、タグ4の種毎に特定された位置を登録する。金属製のコンテナ5に取り付けられたタグ4Aと交信する場合には、コンテナ5に生じた渦電流により交信しにくい状態となるので、樹脂製のコンテナ5に取り付けられたタグ4Bとの交信時よりコンベアをアンテナ部10に近づける必要がある。
【0069】
また、2種類のタグ4A,4Bについて、それぞれ上記の移動方向を変更する直前に得られる受光量(各タグ4とスポット光との関係が図10(1)(2)に示す状態になったときの受光量)を計測して、それぞれを基準値TA,TBとして登録する。さらにスポット光が識別用ミラーMのみに照射されているときの受光量を計測して、これを基準値T0として登録する。図10の例によれば、スポット光Pの照射範囲に含まれるミラーMの面積が大きくなるほど、光電センサ2の受光量も増加すると考えられるから、T0<TA<TBの関係が成立する。
【0070】
図11は、上記の各設定が完了し、コンテナ5が交信領域の横手方向から交信領域に向かって進行していることを前提に、実行される交信処理の手順を示す。
【0071】
この処理では、まず光電センサ2の受光量が基準値T0に達するまで待機(ST41)した後に、アンテナ部10の発振を開始し(ST42)。さらに最大受光量を検出する(ST43)。この場合にも、先の図9の実施例と同様に、受光量が増加方向に変化する状態から減少方向に変化する状態に転じたときに、一段階前の受光量を最大受光量として特定する。
【0072】
最大受光量が特定されると、コンテナ5を一時停止し、検出された最大受光量を基準値TA,TBと照合する(ST44,45)。ここで、最大受光量がTB以上の場合には、ST45,46がともに「YES」となり、処理対象のコンテナ5を金属製のコンテナ5の交信最適位置まで移動させた後に、読み書き処理を実行する(ST47,49)。一方、最大受光量がTA以上でTBより小さい場合には、ST45が「YES」、ST46が「NO」となり、処理対象のコンテナ5を樹脂製のコンテナ5の交信最適位置まで移動させた後に、読み書き処理を実行する(ST48,49)。
【0073】
読み書き処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了し(ST50)、コンテナ5を元の経路に戻して移動を再開させる(ST51)。なお、最大受光量がTAより小さかった場合(ST45が「NO」)には、エラー処理(ST52)が実行される。
【0074】
<その他の実施例>
【0075】
図10に示した構成のタグ4A,4Bは、図11の例に限らず、コンテナ5の種や搬送場所によって内容の異なる読み書き処理を実行する必要がある場合にも、使用することができる。
【0076】
また上記の各構成例では、RFIDタグ4の前面にミラーMを一体に設けたが、RFIDタグ4ではなく、移動体であるコンテナ5にミラーMを取り付けてもよい。この場合には、たとえば図12に示すように、コンテナ5のRFIDタグ4が取り付けられる面とは反対側の面にミラーMを取り付けて、コンテナ5が移動する間にアンテナ部10がRFIDタグ4に対向し、光電センサ2がミラーMに対向するように、アンテナ部10および光電センサ2の配置位置を調整することができる。
【0077】
また、ミラーMとRFIDタグ4とを別体にすると、タグ4の構成を何ら変更することなく、ミラーMの有無、数、面積などによって、交信対象のタグ4を選別したり、読み書き処理の内容を変更することが可能になる。
【0078】
また、図7や図9の実施例では、コンテナ5をアンテナ部10に近づけることによりタグ4とアンテナ部10との距離を調整しているが、これに代えて、コンテナ5を停止した状態にして、アンテナ部10をコンテナ5に近づけるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 リーダライタ
2 光電センサ
3 上位制御装置
4 RFIDタグ
5 コンテナ
10 アンテナ部
M ミラー
P スポット光
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する物品に取り付けられたRFIDタグ(以下、単に「タグ」という場合もある。)と非接触の交信を行って、物品に関連する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なRFIDシステムには、アンテナ部を具備するリーダライタ(アンテナ部と制御回路部とが一体になったタイプのものと両者が分離したタイプのものとがある。)と、パーソナルコンピュータやPLCなどによる上位制御装置とが含まれており、上位制御装置から出力された読み書きコマンドがリーダライタを介してRFIDタグに送信される。RFIDタグからの応答信号も、同様にリーダライタで受け付けられた後に上位制御装置に伝送される。
【0003】
また、物品とともに移動するRFIDタグと交信を行うタイプのシステムでは、タグの移動経路の所定位置に対向するようにアンテナ部を配備する。また、タグとの交信を安定して実行するために、アンテナ部とタグとの電磁結合状態の変化(インピーダンスや振幅波形など)により交信領域内にタグが入ったことを検出して、交信を開始するようにしている。または、アンテナ部からタグの識別用のコマンドを出力し、このコマンドに対するタグからの応答を受信する方法により、交信領域に入ったタグを検出する場合もある(特許文献1参照。)。
【0004】
また携帯型のリーダライタを人が手持ちしてRFIDタグに対する読み書き処理を行う場合について、リーダライタからガイド用の光を出射して、この光がタグに照射されるようにリーダライタを位置合わせする方法が提案されている(特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−187196号公報
【特許文献2】特開2005−242396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、種々の用途にRFIDシステムが使用されるようになったことに伴い、読み書き処理の対象となるタグを選別したり、タグが取り付けられた物品の種類によって読み書き処理の内容を変更するなど、複雑な処理を実行するケースが増えている。
【0007】
しかし、読み書き処理の対象となるタグを選別するには、交信領域に入った全てのタグと交信して、読み書きを行う必要があるか否かを判別する必要があるため、処理時間を短縮するのが困難である。また、取り付けられている物品によって内容の異なる読み書き処理を行う場合にも、タグとの交信によって処理内容を特定してから、特定した処理のための交信を実施するため、1つのタグに対する交信時間が長くなる。
【0008】
またいずれの場合にも、タグ側に、読み書きの必要の有無や処理内容などを示す定義情報を書き込む必要があるため、使用済のタグを別の目的で再利用する場合には定義情報の書き換えが必要になり、ユーザの負担が増大する。
【0009】
また、アンテナ部とタグとの電磁結合状態の変化を利用すれば、タグが交信領域に入ったことを検出することはできるが、タグの移動方向を判別するのは困難である。また1つの物品に複数のRFIDタグが取り付けられる場合には、前出の識別コマンドを用いてタグの数を検出する方法が適用されると考えられるが、一部のタグが交信領域に含まれていない状態で識別コマンドが送信されると、交信領域外のタグを認識できない状態のまま、物品を通過させてしまうおそれがある。
【0010】
本発明は上記の各問題点に着目し、光学的な手段により交信領域内のRFIDタグの状態やこのタグに対する処理内容を容易に判別して、安定した読み書き処理を効率良く行うことを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるRFIDシステムは、移動する物品に取り付けられたRFIDタグと非接触の交信を行って、物品に関する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるためのもので、RFIDタグと交信するためのアンテナ部と、物品の外周の所定位置に取り付けられたミラーと、物品に取り付けられたRFIDタグが前記アンテナ部の交信領域内に含まれたときにミラーを検知領域に含む位置に配備された反射型の光電センサと、この光電センサの出力信号を入力し、その入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、前記RFIDタグに対する読み書き処理を制御する制御部とを、具備する。
【0012】
上記のシステムによれば、物品が移動してRFIDタグがアンテナ部の交信領域に含まれたときに、光電センサからの光がミラーで反射して光電センサに入射する状態になり、光電センサから制御部に入力される受光量を増加させることができる。さらに、ミラーの形状、面積、数などを調整することによって、物品の移動に応じて光電センサの受光量を変化させたり、物品の種類や処理内容によって光電センサが得る受光量の強度を変更することが可能になる。よって、光電センサからの入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさから物品の移動方向や処理の内容などを判別して、その判別結果に応じた読み書き処理を実行することができる。
【0013】
また、1つの物品に複数のRFIDタグが取り付けられる可能性があり、物品によって取り付けられるタグの数が異なる場合に、タグの数と同数のミラーを設けたり、タグの数によってミラーの面積を変更するようにすれば、光電センサによる受光量の大きさに基づいて交信対象のタグの数を特定し、特定した数分のタグと漏れなく交信して、必要な読み書き処理を行うことができる。
【0014】
以下、上記のRFIDシステムに関して、5つの実施態様を説明する。
まず第1の実施態様では、制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量が所定の基準値を超えたことに応じてアンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる。
【0015】
上記の態様によれば、たとえば、RFIDタグがアンテナ部の交信領域に入ったときにミラーから光電センサに入射する反射光の光量に基づき基準値を定めることによって、タグが確実に交信領域に含まれている状態下で読み書き処理を開始することができる。また、RFIDタグとアンテナ部との距離を調整する必要がある場合には、両者の距離が交信に適した状態になったときの光電センサの受光量に基づいて基準値を定めることによって、タグとアンテナ部との距離を交信に適した状態に調整してから読み書き処理を開始することができる。
【0016】
また、読み書き処理を行う必要がある物品と、読み書き処理の必要がない物品とが搬送される場合には、前者にミラーを取り付け、後者にミラーを取り付けないようにすれば、読み書き処理が必要な物品に取り付けられているタグのみと交信することができる。
【0017】
第2の実施態様では、物品の移動方向に沿ってミラーの形状が変化し、この変化によって、光電センサからの光に対してミラーから光電センサに入射する反射光の強度が当該ミラーが光電センサの検知エリアを通過する間に一定の傾向をもって変化する状態が発生する。また制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量が減少または増加の方向に所定値以上変化したことに応じてアンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる。
【0018】
上記の態様によれば、物品の移動に伴い、アンテナ部の交信領域に入ったタグが交信領域内を移動する間に得られる受光量の変化に応じて、RFIDタグに対する読み書き処理を安定して実行することができる。
【0019】
第3の実施態様では、第2の実施態様による制御を実行することを前提として、さらに制御部において、光電センサからの入力信号が示す受光量が減少方向に変化したときと増加方向に変化したときとで、それぞれ内容の異なる読み書き処理をアンテナ部に実行させる。この態様によれば、たとえば、所定の場所に対して搬送される物品およびこの場所から搬出される物品の双方を対象に、物品の移動方向によって内容が異なる読み書き処理を行う場合に、各物品の移動方向を容易に判別して適切な読み書き処理を行うことが可能になる。
【0020】
つぎに第4の実施態様では、物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、上記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と読み書き処理の内容とを対応づけて登録した登録手段が制御部内に設けられる。また制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量を登録手段と照合することによって当該受光量に対応する処理内容を特定し、特定した内容の読み書き処理をアンテナ部に実行させる。
【0021】
上記の態様によれば、ミラーの大きさまたは数によって光電センサの受光量を変動させ、その受光量の強度によって、実行すべき読み書き処理の内容を認識することができる。よって、読み書き処理の内容が異なる複数の物品をランダムな順序で搬送する場合にも、タグとの交信を行うことなく読み書き処理の内容を判別して、迅速な対応をとることができる。
【0022】
第5の実施態様でも、物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定される。また制御部には、上記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と、アンテナ部の交信面とタグとの間の距離の調整用データとを対応づけて登録した登録手段が設けられる。さらに制御部は、光電センサからの入力信号が示す受光量を登録手段の各数値範囲と照合することによって、当該受光量に対応する調整用データを特定し、このデータに基づき物品またはアンテナ部の位置調整機構を制御した後に、RFIDタグに対する読み書き処理をアンテナ部に実行させる。
【0023】
上記の態様によれば、たとえば金属製の物品と非金属製の物品など、RFIDタグとアンテナ部との交信に適した距離が異なる状態になる複数種の物品が搬送される場合にも、それぞれの物品に応じてタグとアンテナ部との間の距離を調整してから、読み書き処理を実行することができる。
【0024】
さらに上記の各態様を含むRFIDシステムでは、ミラーをRFIDタグの表面に一体に設けて、物品の外周に、このミラーが外側を向くように配備することができる。この場合、アンテナ部および光電センサは、ともに物品が移動する間にRFIDタグに対向する関係になるように、横並びに近い状態で配備される。または、アンテナ部と光電センサとを1つの筐体内に収容することもできる。
【発明の効果】
【0025】
上記のRFIDシステムによれば、反射型の光電センサにより得た受光量の変化または受光量の大きさに基づいて、読み書き処理を実行するタイミングや読み書き処理の内容などを判別して、その判別に応じた処理を行うことができる。よって、これらの判別処理のためにRFIDタグとの交信を行う必要がなくなり、交信に要する処理時間を短縮することができる。また、RFIDタグを再利用する場合にも、ミラーの取り付けや変更などによって処理内容の変更に容易に対応することができ、ユーザの負担を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】RFIDシステムの設置例を示す図である。
【図2】RFIDシステムの電気構成を示すブロック図である。
【図3】ミラー付きタグの第1の構成例を示す正面図である。
【図4】ミラー付きタグの第2の構成例を示す上面図および断面図である。
【図5】第1、第2の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図6】ミラー付きタグの第3の構成例を示す正面図、およびこのタグによる受光量とコンテナとの距離の関係を示すグラフである。
【図7】第3の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図8】第4の構成例によるミラー付きタグとスポット光との関係を示す拡大正面図である。
【図9】第4の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図10】ミラー付きタグの第5の構成例を示す正面図である。
【図11】第5の構成のミラー付きタグを用いた交信処理の例を示すフローチャートである。
【図12】RFIDタグとミラーとを別体にしたRFIDシステムの設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明が適用されたRFIDシステムの設置例を、図2はシステムの電気構成を、それぞれ示す。
このRFIDシステムは、工場内で取り扱われる部品収納用のコンテナ5の搬出入に使用されるもので、コンテナ5の側面に取り付けられたRFIDタグ4、リーダライタ1、反射型の光電センサ2、およびパーソナルコンピュータなどによる上位制御装置3(図2にのみ示す。)により構成される。なおコンテナ5は、図示しないコンベアやロボットなどの機械(以下、「移動機構」という。)により搬送される。
【0028】
リーダライタ1は、アンテナ部10と、送受信回路12および制御部13を含む交信制御装置11とにより構成され、上位制御装置3から供給された読み書き処理用のコマンドをRFIDタグ4に送信する。またこのコマンドに対するRFIDタグ4からの応答信号を受け付けると、その信号の内容を復号して上位制御装置3に出力する。なお、送受信回路12はアンテナ部10に含めることもできる。
【0029】
光電センサ2には、投光部21およびその駆動回路22、受光部23、アンプ24、信号処理回路25などが設けられる。信号処理回路25は、投光部21の投光動作を制御しながら、受光部23より出力され、アンプ24により増幅された受光量信号を取り込んでディジタル変換し、変換後の受光量信号を上位制御装置3に出力する。
【0030】
RFIDタグ4には、交信用の回路やメモリを含む制御部41が含まれるほか、そのケースの本体40(以下、「ケース本体40」という。)の前面にミラーMが設けられている。このミラーMは、タグ4の成形時にケース本体40に一体化されたものである。
【0031】
図1に示すように、アンテナ部10およびリーダライタ1は、コンテナ5のRFIDタグ4が取り付けられている面に対向する状態になるように配備される。またRFIDタグ4がコンテナ5とともに移動する間に、アンテナ部10の交信領域内にRFIDタグ4が入り、またそのときタグ4のミラーMに光電センサ2からの光が照射されるように、コンテナ5におけるRFIDタグ4の取り付け位置が調整されている。また、コンテナ5やタグ4のケース本体40は、塗料や粗面加工などによって表面の反射性が低く抑えられている。よって、光電センサ2からの光がミラーMに照射されたときとミラーM以外の場所に照射されたときとでは、光電センサ2に入射する光に大きな差異が生じるから、光電センサ2の受光量によって、タグ4がアンテナ部10の交信領域内に含まれているか否かを判別することができる。
【0032】
上位制御装置3は、光電センサ2から入力される受光量信号により、受光量の変化または受光量の大きさを検出し、その検出結果に応じてRFIDタグ4に対する交信開始のタイミングや処理内容を判断し、リーダライタ1の制御部13を介してリーダライタ1の動作を制御する。さらにこの上位制御装置3により、コンテナ5の移動機構の動作が制御される場合もある。
【0033】
以下、上記システムにおけるミラー付きのRFIDタグ4(以下、「ミラー付きタグ4」又は単に「タグ4」という。)の具体的な構成例をあげるとともに、各構成例のタグ4を用いた交信処理(上位制御装置3およびリーダライタ1により実行されるもの)について、具体例をあげて説明する。なお、タグ4の構成や移動方向に関する説明では、各図の紙面に向かって左手方向を「左」、紙面に向かって右手方向を「右」と表現する。
【0034】
<ミラー付きタグの構成例1>
図3は、ミラー付きタグ4の前面を拡大して示す。
この実施例のミラーMの表面は、ケース本体40の前面と一連に連なる平坦面として形成される。またミラーMの縦幅は、左から右に向かう方向に沿ってしだいに小さくなる。
【0035】
図中のPは、光電センサ2からのスポット光である。図3(1)に示すように、タグ4の右端部にスポット光Pが照射されているときは、スポット光Pのうちの半分程度がミラーMに照射された状態となる。スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合は、照射位置が左に移動するにつれて増加し、図3(2)に示すように、スポット光Pの照射範囲全体がミラーMに対応する状態になる。
【0036】
ここで、図3のミラー付きタグ4が紙面に向かって左から右に向かって移動する場合を想定して説明すると、まずタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ると、スポット光Pの照射範囲の一部にミラーMが照射される状態になる。これにより、光電センサ2の受光量は、それまでのスポット光PがミラーMに照射されていない状態より高くなる。さらにタグ4が右に移動すると、スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合がしだいに増加し、これに伴って光電センサ2の受光量も徐々に増加する。そしてスポット光Pの全照射範囲がミラーMに対応する状態になったとき、受光量が最大になる。
【0037】
一方、ミラー付きタグ4が右から左に向かって移動した場合には、上記とは逆に、スポット光Pの全照射範囲がミラーMに対応する状態になった後に、スポット光Pの照射範囲に占めるミラーMの割合が徐々に小さくなる。これにより、受光量も、最大値まで上昇した後に減少方向に向かって変化する。
【0038】
したがって、たとえば図3(1)の状態にあるときの光電センサ2の受光量を基準値に設定すれば、受光量がこの基準値を下回る状態から基準値を上回る状態に変化したことをもってタグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったと判断することができる。また、受光量が基準値に達した後に少しずつ増加した場合には、タグ4が左から右に移動していると判断することができる。また、受光量が基準値を大幅に上回る値から基準値付近まで徐々に減少した場合には、タグ4が右から左に移動していると判断することができる。
【0039】
<ミラー付きタグの構成例2>
図4では、上記図3と同様の作用を奏するミラー付きタグ4を上から見た状態(図4の(1))を示すと共に、この上面図の矢印L1,L2で示す各位置における縦断面図(図4(2)(3))により、これらの位置に光電センサ2からのスポット光Pが照射されたときの反射状態を示す。
【0040】
この実施例のミラーMは、RFIDタグ4の前面の所定位置から右端に至るまでの範囲の全体にわたって設けられる。ミラーMの縦幅はケース本体40に合わせて一定の長さに維持されるが、縦幅方向に沿う傾斜角度は徐々に変化する。具体的には、ミラーMの左端部はケース本体40の前面に連なる平坦面であるが、右に向かうにつれて傾斜面に変化し、また傾斜が徐々に急になる。このため、スポット光PがミラーMの左端部(矢印L1の位置)に照射されたときは、スポット光Pに対する正反射光の殆どが光電センサ2に入射する状態となる(図4(3)参照。)が、スポット光Pの照射位置がミラーMの右端部(矢印L2の位置)に近づくにつれて、光電センサ2に入射しない方向に反射する光が多くなる(図4(2))。
【0041】
よって、図4の例においても、ミラー付きタグ4が左から右に移動する場合には光電センサ2の受光量が徐々に増加し、ミラー付きタグ4が右から左に移動する場合には、光電センサ2の受光量が徐々に減少する状態となる。
【0042】
<例1,2のミラー付きタグを用いた交信処理例>
図5は、図3または図4のミラー付きタグ4を用いてコンテナ5の入出庫を管理する場合に、上位制御装置3およびリーダライタ1により実行される交信処理の手順を示す。なお、この例では、図3,4中の左から右に向かう方向を入庫の方向とし、右から左に向かう方向を出庫の方向とする。
【0043】
この手順に沿って説明すると、まずタグ4のミラーMが光電センサ2に対向する状態になるまでは、光電センサ2から入力した受光量を基準値と照合する処理を繰り返す(ST11)。
ここで受光量が基準値を超えると、アンテナ部10の発振を開始し(ST12)、さらに受光量の変化の方向を検出する(ST13)。
【0044】
受光量が増加方向に変化している場合には、タグ4に入庫時刻を書き込む処理を実行する(ST14)。これに対し、受光量が減少方向に変化している場合には、タグ4に出庫時刻を書き込む処理を実行する(ST15)。
【0045】
なお、ST14,15の書き込み処理には、タグ4へのコマンドの送信とタグ4からの応答信号の受信とが含まれる(後記する各実施例の読み書き処理についても同様である。)。この書き込み処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了する(ST16)。
【0046】
タグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったことを検出することのみを目的とする場合には、アンテナ部10のインピーダンスや発振振幅の変化を用いた検出を行うことも可能であるが、タグ4の移動方向まで判別するのは困難である。これに対し、図3,4に示した構成のRFIDタグ4によれば、光電センサ2の受光量が増加、減少のいずれの方向に変化するかを検出することによって、タグ4の移動方向を容易に特定することができる。よって、アンテナ部10の交信領域に入ったタグ4に素早く反応して、そのタグ4に送信すべきコマンドを的確に送信することができる。
【0047】
なお、図4の構成のミラー付きタグ4に関しては、コンテナ5の移動方向を特に識別する必要がなく、受光量の変化に基づいて交信領域に対するタグ4の入出を判別するだけで良い場合には、中央部を平坦にして、左右の両端部に向かってそれぞれ徐々に傾斜が急になるような形状のミラーMを設けてもよい。この場合に、光電センサ2の受光量が最大になったときにタグ4との交信を行うようにすれば、安定した読み書き処理を行うことができる。
【0048】
<ミラー付きタグの構成例3>
図6(1)は、第3の例のミラー付きタグ4の前面を、図3と同様のサイズで示したものである。
この実施例のタグ4には、光電センサ2がタグ4の中央部に対向する状態になったときにスポット光Pが照射される場所に横長矩形状のミラーMが配備されている。なお、この実施例および以後の各実施例では、ミラーMの表面は平坦面に設定されている。
【0049】
図6(1)の構成によれば、タグ4がアンテナ部10の交信領域の中央部に位置する状態になったとき、光電センサ2からのスポット光PがミラーMに照射され、これにより生じたミラーMからの反射光が光電センサ2に入射して、受光量が上昇する。よって、受光量が所定の基準値に達したことを条件として、タグ4との交信を安定して行うことが可能になる。
【0050】
さらに、この実施例によれば、スポット光PがミラーMに位置合わせされた状態を維持して、コンテナ5およびタグ4を前方に移動させることにより、ミラーMに照射されるスポット光Pの強度を高めて、これに対する反射光により光電センサ2の受光量を増加させることができる。よって、図6(2)に示すように、コンテナ5に対する距離が短かくなるほど光電センサ2の受光量が増加することになるので、この特性を利用してアンテナ部10とタグ4との距離を調整することができる。
【0051】
<例3のミラー付きタグを用いた交信処理例>
一般に、RFIDタグ4への情報の書き込みを行うには、タグ4からの読み出しが可能になる範囲の境界位置よりもアンテナ部10から見て前方にタグ4を配置する必要がある。そこでこの実施例では、図6(1)の構成のタグ4が取り付けられたコンテナ5について、あらかじめ、タグ4からの読み出し処理に適した位置と書き込み処理に適した位置とを特定するとともに、コンテナ5がこれらの位置にあるときの光電センサ2の受光量T1,T2を計測する(図6(2))。そしてこれらの受光量T1,T2をそれぞれ基準値として光電センサ2の受光量をチェックしながらコンテナ5の移動機構を制御することによって、タグ4を読み出し処理に適した位置および書き込み処理に適した位置に順に配置して、対応する処理を実行する。
【0052】
図7は、上記の処理の具体的な手順を示す。この処理では、タグ4のミラーMが光電センサ2の正面に対応づけられていることを前提に、まずコンテナ5を前方に移動させながら光電センサ2の受光量がT1になるまで待機する(ST21,22)。受光量がT1を超えると、アンテナ部10の発振を開始して(ST23)、RFIDタグ4からの情報の読み出し処理を実行する(ST24)。
【0053】
この後も、コンテナ5の前方移動を継続し、受光量がT2を超えたときにコンテナ5を停止して、RFIDタグ4へのデータの書き込み処理を実行する(ST25〜27)。書き込み処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了する(ST28)。
【0054】
上記の手順によれば、光電センサ2の受光量に基づいて、RFIDタグ4に対する読み出し処理と書き込み処理とをそれぞれの処理に適した位置で行うことが可能になる。
【0055】
このほか、上記構成例1〜3のミラー付きタグ4は、交信対象を選別する目的に使用することもできる。たとえば、2つの現場に搬送されるコンテナ5のうち、一方の現場へのコンテナ5のタグ4には情報を書き込む必要があるが、他方の現場へのコンテナ5のタグ4には情報を書き込む必要がない場合には、前者のコンテナ5にミラー付きタグ4を取り付け、後者のコンテナ5にミラーMが付いていないタグ4を取り付ける。そして、コンテナ5の搬送路の近傍位置にアンテナ部10および光電センサ2を配備して、光電センサ2の受光量が所定の基準値に達したとき、または受光量が増加方向もしくは減少方向に変化したときにアンテナ部10を発振させて書き込み処理を実行する。
【0056】
上記の方法によれば、光電センサ2の受光量に基づきミラー付きのタグ4を検出したときのみ、データの書き込みを行うことができるので、交信対象のタグ4を容易に見分けて迅速な交信処理を行うことができる。また交信対象外のタグ4とは、交信を行わずに交信領域を単に通過させれば良いので、アンテナ部10を無駄に動かすことがなくなり、コストを削減することができる。
【0057】
<ミラー付きタグの構成例4>
図8に示す実施例は、これまでの実施例より小型のミラー付きタグ4Sを、複数個、スポット光P(図3,6の例と同じサイズであるが、図8では拡大して示す。)が照射される範囲内に含まれるように配置したものである。各タグ4Sには、それぞれ前面全体に表面が平坦なミラーMが形成されている。また、各タグ4Sは、図示しない支持具により位置関係を固定した状態で支持されており、また、スポット光Pが照射される範囲内に最大4個までのタグ4Sを取り付けることができる。
【0058】
上記構成のRFIDタグ4によれば、コンテナ5に取り付けられている全てのタグ4Sにスポット光Pが照射される状態になったときに最大の受光量を得ることができるが、この最大受光量はタグ4Sの設置数によって異なるものとなる。したがって、あらかじめタグ4Sの設置数毎に、最大受光量に相当する値を基準値に設定しておけば、各タグ4Sがアンテナ部10の交信領域を横切る間に得られる最大受光量を各基準値と照合することによって、コンテナ5に取り付けられているタグ4の数を判別することができる。また、各タグ4Sとアンテナ部10との間に、読み出し処理および書き込み処理の双方に適した距離が確保されるように、アンテナ部10の位置を調整して、最大の受光量が得られた直後に各タグ4Sとの交信を行えば、安定した交信を行うことが可能である。
【0059】
<例4のミラー付きタグを用いた交信処理>
図9は、図8に示したミラー付きタグ4Sを用いた交信処理の手順を示す。
この手順では、各タグ4Sがアンテナ部10の交信領域を横切る方向に移動することを前提として、光電センサ2の受光量が所定のしきい値(タグ4Sが1個の場合の基準値より低い値が設定される。)を超えるまで待機し(ST31)、受光量がしきい値を超えると、アンテナ部10の発振を開始する(ST32)。
【0060】
この後は、タグ4Sの移動に伴う受光量の変化を追跡し、最大受光量を検出する(ST33)。たとえば、各タグ4Sが左から右に向かって移動する場合を例に説明すると、各タグ4Sによる配列の左側にスポット光Pが照射される状態からすべてのタグ4Sにスポット光Pが照射される状態(図8参照)になるまでは、受光量が増加する。この後は、スポット光の照射位置が右側に移動して、左側のタグ4Sにスポット光Pが照射されない状態に移行するため、受光量はしだいに減少する。よって、ST33では、毎時の受光量の変化に基づき、受光量が増加方向に変化する状態から減少方向に変化する状態に移行したときを特定し、その一段階前の受光量を最大受光量として検出すればよい。
【0061】
つぎにこの検出に応じてコンテナ5を一時停止し(ST34)、検出した最大受光量を各基準値と照合することによって、交信領域内のタグ4Sの数を判別し(ST35)、判別した数のタグ4に対する処理が終了するまで、各タグ4Sに対する読み書き処理を順に実行する(ST36,37)。さらに全てのタグ4Sに対する処理が終了したことに応じてアンテナ部10の発振を停止し(ST38)、コンテナ5の移動を再開する(ST39)。
【0062】
上記のようにコンテナ5に任意の数のタグ4が取り付けられている場合、従来は、交信対象を限定しないコマンドを定期的に送信して、交信領域内の全てのタグ4に自装置の識別情報を送信させ、このコマンドに応答したタグ4を交信対象に設定していた。しかし、コンテナ5に取り付けられた全てのタグ4が交信領域に含まれる前に上記の識別処理が行われると、識別されなかったタグ4が交信対象から除外されるおそれがある。
【0063】
これに対し、上記の実施例では、光電センサ2から取得した最大受光量によってタグ4Sの設置数を容易かつ正確に認識し、これらのタグ4Sを交信に適した位置に停止させて各タグ4Sに対する読み書き処理を順に実行するので、読み書き処理から漏れるタグ4Sが生じるのを防止することができる。よって、各タグ4Sに対する読み書き処理を安定して実行することができる。
【0064】
<ミラー付きタグの構成例5>
図10は、図3や図6の例と同じサイズのミラー付きタグ4を、前方から見た状態を示す。この実施例のタグ4の前面には、所定の高さ位置に、帯状のミラーM1がケース本体40の横幅の全体にわたって配備される。このミラーM1は、タグ4がアンテナ部10の交信領域に入ったことを検出するためのもので、以下、「存在検知用ミラーM1」という。
【0065】
さらに存在検知用ミラーM1の中央部より少し上方には、矩形状のミラーM2が配備される。これらのミラーM2は、タグ4が取り付けられるコンテナ5の種別、またはタグ4に対する読み書き処理の内容を識別するために用いられる。よって以下では、これらのミラーM2を「識別用ミラーM2」という。図10(1)に示すタグ4Aでは、識別用ミラーM2が2個設けられているが、図10(2)に示すタグ4Bでは、識別用ミラーM2は1個のみとなる。
【0066】
存在確認用ミラーM1および識別用ミラーM2は、いずれも光電センサ2のスポット光Pが照射され得る範囲に配備される。また、スポット光Pの照射範囲に対して存在確認用ミラーM1が占める割合は、照射位置に関わらず、ほぼ一定である。また光電センサ2がタグ4の中央部に対向する状態になったときに、このタグ4に配備されるすべての識別用ミラーM2と存在確認用ミラーM1の一部がスポット光Pの照射範囲に含まれる状態となり、このときの光電センサ2の受光量が最大になる。
【0067】
<例5のミラー付きタグを用いた交信処理例>
この実施例では、図10に示した2種類のミラー付きタグ4A,4Bにより樹脂製のコンテナ5と金属製のコンテナ5とを見分けて、コンテナ5とアンテナ部10との距離を調整する。
具体的にこの実施例では、2個の識別用ミラーM2が配備されたタグ4Aを金属製のコンテナ5に取り付け、識別用ミラーM2が1個のみのタグ4Bを樹脂製のコンテナ5に取り付け、各コンテナ5を左から右に向かって移動させる。またタグ4がアンテナ部10および光電センサ2に対向する状態になった後は、コンテナ5の移動方向をアンテナ部10に近づく方向に変更し、タグ4とアンテナ部10との距離が交信に適した状態になったところでコンテナ5を停止し、タグ4に対する読み書き処理を実行する。
【0068】
上記の処理のためにこの実施例では、あらかじめタグ4Aを取り付けた金属製のコンテナ5、およびタグ4Bを取り付けた樹脂製のコンテナ5を用いて、各タグ4A,4Bにつき、それぞれ読出処理、書込処理の双方に適したコンテナ5の位置を特定し、タグ4の種毎に特定された位置を登録する。金属製のコンテナ5に取り付けられたタグ4Aと交信する場合には、コンテナ5に生じた渦電流により交信しにくい状態となるので、樹脂製のコンテナ5に取り付けられたタグ4Bとの交信時よりコンベアをアンテナ部10に近づける必要がある。
【0069】
また、2種類のタグ4A,4Bについて、それぞれ上記の移動方向を変更する直前に得られる受光量(各タグ4とスポット光との関係が図10(1)(2)に示す状態になったときの受光量)を計測して、それぞれを基準値TA,TBとして登録する。さらにスポット光が識別用ミラーMのみに照射されているときの受光量を計測して、これを基準値T0として登録する。図10の例によれば、スポット光Pの照射範囲に含まれるミラーMの面積が大きくなるほど、光電センサ2の受光量も増加すると考えられるから、T0<TA<TBの関係が成立する。
【0070】
図11は、上記の各設定が完了し、コンテナ5が交信領域の横手方向から交信領域に向かって進行していることを前提に、実行される交信処理の手順を示す。
【0071】
この処理では、まず光電センサ2の受光量が基準値T0に達するまで待機(ST41)した後に、アンテナ部10の発振を開始し(ST42)。さらに最大受光量を検出する(ST43)。この場合にも、先の図9の実施例と同様に、受光量が増加方向に変化する状態から減少方向に変化する状態に転じたときに、一段階前の受光量を最大受光量として特定する。
【0072】
最大受光量が特定されると、コンテナ5を一時停止し、検出された最大受光量を基準値TA,TBと照合する(ST44,45)。ここで、最大受光量がTB以上の場合には、ST45,46がともに「YES」となり、処理対象のコンテナ5を金属製のコンテナ5の交信最適位置まで移動させた後に、読み書き処理を実行する(ST47,49)。一方、最大受光量がTA以上でTBより小さい場合には、ST45が「YES」、ST46が「NO」となり、処理対象のコンテナ5を樹脂製のコンテナ5の交信最適位置まで移動させた後に、読み書き処理を実行する(ST48,49)。
【0073】
読み書き処理が終了すると、アンテナ部10の発振を終了し(ST50)、コンテナ5を元の経路に戻して移動を再開させる(ST51)。なお、最大受光量がTAより小さかった場合(ST45が「NO」)には、エラー処理(ST52)が実行される。
【0074】
<その他の実施例>
【0075】
図10に示した構成のタグ4A,4Bは、図11の例に限らず、コンテナ5の種や搬送場所によって内容の異なる読み書き処理を実行する必要がある場合にも、使用することができる。
【0076】
また上記の各構成例では、RFIDタグ4の前面にミラーMを一体に設けたが、RFIDタグ4ではなく、移動体であるコンテナ5にミラーMを取り付けてもよい。この場合には、たとえば図12に示すように、コンテナ5のRFIDタグ4が取り付けられる面とは反対側の面にミラーMを取り付けて、コンテナ5が移動する間にアンテナ部10がRFIDタグ4に対向し、光電センサ2がミラーMに対向するように、アンテナ部10および光電センサ2の配置位置を調整することができる。
【0077】
また、ミラーMとRFIDタグ4とを別体にすると、タグ4の構成を何ら変更することなく、ミラーMの有無、数、面積などによって、交信対象のタグ4を選別したり、読み書き処理の内容を変更することが可能になる。
【0078】
また、図7や図9の実施例では、コンテナ5をアンテナ部10に近づけることによりタグ4とアンテナ部10との距離を調整しているが、これに代えて、コンテナ5を停止した状態にして、アンテナ部10をコンテナ5に近づけるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 リーダライタ
2 光電センサ
3 上位制御装置
4 RFIDタグ
5 コンテナ
10 アンテナ部
M ミラー
P スポット光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する物品に取り付けられたRFIDタグと非接触の交信を行って、前記物品に関連する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるシステムであって、
前記RFIDタグと交信するためのアンテナ部と、前記物品の外周の所定位置に取り付けられたミラーと、前記物品に取り付けられたRFIDタグが前記アンテナ部の交信領域内に含まれたときに前記ミラーを検知領域に含む位置に配備された反射型の光電センサと、前記光電センサの出力信号を入力し、その入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、前記RFIDタグに対する読み書き処理を制御する制御部とを具備するRFIDシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が所定の基準値を超えたことに応じて前記アンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項3】
前記ミラーは、前記物品の移動方向に沿って形状が変化し、この変化によって、前記光電センサからの光に対してミラーから光電センサに入射する反射光の強度が当該ミラーが前記光電センサの検知エリアを通過する間に一定の傾向をもって変化する状態が発生し、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が減少または増加の方向に所定値以上変化したことに応じて前記アンテナ部に前記RFIDタグに対する読み書き処理を実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が減少方向に変化したときと増加方向に変化したときとで、それぞれ内容の異なる読み書き処理を前記アンテナ部に実行させる、請求項2に記載されたRFIDシステム。
【請求項5】
前記物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、前記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と読み書き処理の内容とを対応づけて登録した登録手段が前記制御部内に設けられ、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量を前記登録手段と照合することによって当該受光量に対応する処理内容を特定し、特定した内容の読み書き処理を前記アンテナ部に実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項6】
前記物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、前記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と、前記アンテナ部の交信面とRFIDタグとの間の距離の調整用データとを対応づけて登録した登録手段が前記制御部内に設けられ、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量を前記登録手段の各数値範囲と照合することによって、当該受光量に対応する調整用データを特定し、このデータに基づき前記物品またはアンテナ部の位置調整機構を制御した後に、前記RFIDタグに対する読み書き処理をアンテナ部に実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項1】
移動する物品に取り付けられたRFIDタグと非接触の交信を行って、前記物品に関連する所定の情報をRFIDタグに読み書きさせるシステムであって、
前記RFIDタグと交信するためのアンテナ部と、前記物品の外周の所定位置に取り付けられたミラーと、前記物品に取り付けられたRFIDタグが前記アンテナ部の交信領域内に含まれたときに前記ミラーを検知領域に含む位置に配備された反射型の光電センサと、前記光電センサの出力信号を入力し、その入力信号が示す受光量の変化または受光量の大きさに基づき、前記RFIDタグに対する読み書き処理を制御する制御部とを具備するRFIDシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が所定の基準値を超えたことに応じて前記アンテナ部にRFIDタグに対する読み書き処理を実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項3】
前記ミラーは、前記物品の移動方向に沿って形状が変化し、この変化によって、前記光電センサからの光に対してミラーから光電センサに入射する反射光の強度が当該ミラーが前記光電センサの検知エリアを通過する間に一定の傾向をもって変化する状態が発生し、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が減少または増加の方向に所定値以上変化したことに応じて前記アンテナ部に前記RFIDタグに対する読み書き処理を実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量が減少方向に変化したときと増加方向に変化したときとで、それぞれ内容の異なる読み書き処理を前記アンテナ部に実行させる、請求項2に記載されたRFIDシステム。
【請求項5】
前記物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、前記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と読み書き処理の内容とを対応づけて登録した登録手段が前記制御部内に設けられ、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量を前記登録手段と照合することによって当該受光量に対応する処理内容を特定し、特定した内容の読み書き処理を前記アンテナ部に実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【請求項6】
前記物品に取り付けられるミラーの大きさまたは数に複数の態様が設定されると共に、前記複数の態様にそれぞれ異なる数値範囲の受光量と、前記アンテナ部の交信面とRFIDタグとの間の距離の調整用データとを対応づけて登録した登録手段が前記制御部内に設けられ、
前記制御部は、前記光電センサからの入力信号が示す受光量を前記登録手段の各数値範囲と照合することによって、当該受光量に対応する調整用データを特定し、このデータに基づき前記物品またはアンテナ部の位置調整機構を制御した後に、前記RFIDタグに対する読み書き処理をアンテナ部に実行させる、請求項1に記載されたRFIDシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−211350(P2010−211350A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54495(P2009−54495)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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