説明

RFIDタグ、リーダライタ、及びRFIDタグシステム

【課題】安価な既存のRFIDチップを採用しつつ、報知手段を制御して報知を実行させることが可能なRFIDタグ、当該RFIDタグを制御して報知を実行させることが可能なリーダライタ、及び、当該RFIDタグと当該リーダライタとを含むRFIDタグシステムを提供する。
【解決手段】RFIDタグ1は、RFIDチップ40と報知制御用通信部41とを備えている。そして、リーダライタより、探索するRFIDタグ1のRFIDチップ40が有する固有IDを指定した固有ID指定信号が送信される。次いで、当該RFIDタグ1の報知制御用通信部41が有する識別IDを指定した識別ID指定信号が送信される。RFIDタグ1では、RFIDチップ40にて固有ID指定信号を受信し、次いで、報知制御用通信部41が識別ID指定信号を受信した場合に、報知制御用通信部41がLED17を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ、リーダライタ、及びRFIDタグシステムに関する。そしてより詳細には、既存のRFIDチップを使用しつつ、RFIDタグが備える報知手段からの報知をリーダライタより制御することが可能なRFIDタグ、当該RFIDタグを制御して報知を実行させることが可能なリーダライタ、及び、当該RFIDタグ及び当該リーダライタを含むRFIDタグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグを物品に貼り付け、これをリーダライタにて読み取ることにより、物品の流通管理が行われている。また、RFIDタグにLEDやブザーなどの報知手段を付加し、リーダライタにて特定のRFIDタグの報知手段を反応させて報知を実行させることにより、複数のRFIDタグの中から所望のRFIDタグを見つけ出すことが可能なRFIDタグ及び当該RFIDタグを使用した物品検索システム、物品収納システムが提案されている。
【特許文献1】特開2006−24018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、RFIDタグの制御デバイスとして一般的に用いられるRFIDチップには、小型化、低消費電力化、及び低価格化の要請により、付加される報知手段を制御する制御ポートが設けられていない。従って、報知手段をRFIDタグに付加して報知を制御するためには、報知手段の制御用の制御ポートを備えた特別なRFIDチップを別途作成する必要があり、RFIDチップ、RFIDタグのコストが高価となってしまうという問題点があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、安価な既存のRFIDチップを採用しつつ、報知手段を制御して報知を実行させることが可能なRFIDタグ、当該RFIDタグを制御して報知を実行させることが可能なリーダライタ、及び、当該RFIDタグと当該リーダライタとを含むRFIDタグシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のRFIDタグは、RFIDチップと、前記RFIDチップに接続されるアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一アンテナと、前記第一アンテナとは異なるアンテナである第二アンテナと、リーダライタより送信された信号電波が前記第二アンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調して受信するタグ受信手段と、報知を行うタグ報知手段と、前記タグ受信手段にて受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一つにリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段とを備えている。
【0006】
また、請求項2に係る発明のRFIDタグは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナとは異なるアンテナである第三アンテナをさらに備え、前記タグ電力供給手段は、前記第三アンテナに対してリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明のRFIDタグは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段をさらに備え、前記RFIDチップは、当該RFIDチップに固有のIDである固有IDを記憶するチップ記憶手段と、前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、前記第一アンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一アンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、前記チップ受信手段は、前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、固有IDを指定した信号である固有ID指定信号であり、且つ、当該固有IDと、前記チップ記憶手段に記憶されている固有IDとが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段は、返答信号を変調して送信し、前記チップ送信手段にて返答信号が変調され送信された後、前記タグ受信手段が前記第二アンテナにて発生した電気信号を復調し受信した場合において、前記タグ制御手段は、前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明のリーダライタは、請求項3に記載のRFIDタグを制御するためのリーダライタであって、前記RFIDタグを識別するための識別IDと、当該RFIDタグに内蔵されているRFIDチップに固有の固有IDとを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップの固有IDを指定した信号である固有ID指定信号を、前記第一アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第一R/W送信手段と、前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID指定信号に応じて、所望のRFIDタグより返信される返答信号を受信し復調する第一R/W受信手段と、前記第一R/W受信手段にて前記返答信号を受信し復調した場合に、当該返答信号を返信したRFIDタグが有する識別IDを、前記R/W記憶手段に記憶されている識別IDを参照して抽出する識別ID抽出手段と、前記識別ID抽出手段にて抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を、前記第二アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第二R/W送信手段とを備えている。
【0009】
また、請求項5に係る発明のRFIDタグシステムは、リーダライタを使用して所望のRFIDタグを探索するRFIDタグシステムであって、RFIDタグは、RFIDチップと、前記RFIDチップに接続されたアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一アンテナと、前記第一アンテナとは異なるアンテナである第二アンテナと、前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段と、リーダライタより送信された信号電波が前記第二アンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調し受信するタグ受信手段と、報知を行うタグ報知手段と、前記タグ受信手段にて復調され受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一つにリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段とを備え、前記RFIDチップは、固有のIDである固有IDを記憶するチップ記憶手段と、前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、前記第一アンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一アンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、前記チップ受信手段は、前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、固有IDを指定した信号である固有ID指定信号であり、且つ、当該固有IDと、前記チップ記憶手段に記憶されている固有IDとが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段は、返答信号を変調して送信し、前記チップ送信手段にて返答信号が変調され送信された後、前記タグ受信手段が前記第二アンテナにて発生した電気信号を復調し受信した場合において、前記タグ制御手段は、前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させ、リーダライタは、前記RFIDタグを識別するための識別IDと、当該RFIDタグに内蔵されているRFIDチップに固有の固有IDとを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップの固有IDを指定した信号である固有ID指定信号を、前記第一アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第一R/W送信手段と、前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID指定信号に応じて、所望のRFIDタグより返信される返答信号を復調し受信する第一R/W受信手段と、前記第一R/W受信手段にて前記返答信号を復調し受信した場合に、当該返答信号を返信したRFIDタグが有する識別IDを、R/W記憶手段に記憶されている識別IDを参照して抽出する識別ID抽出手段と、前記識別ID抽出手段にて抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を、前記第二アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第二R/W送信手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明のRFIDタグでは、RFIDチップ及びRFIDチップに接続される第一アンテナとは別に、第二アンテナと、当該第二アンテナにて受信した信号を復調して受信するタグ受信手段と、外部に報知を行うためのタグ報知手段と、タグ受信手段にて復調され受信された信号に基づいて当該報知手段を制御するタグ制御手段とを備えている。従って、報知手段の制御ポートがない既存の安価なRFIDチップを使用しつつ、報知手段による報知をリーダライタより制御することが可能となる。これにより、所望とするRFIDタグに報知を実行させることが可能となるので、当該RFIDタグを探索することが容易に可能となる。
【0011】
また、請求項2に係る発明のRFIDタグでは、タグ受信手段、タグ報知手段、及びタグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段は、第三アンテナに対してリーダライタからの信号電波が照射された場合に発生する電気信号より電力を生成する。通常、リーダライタから照射される信号電波の強度は弱いため、この信号電波に基づいて消費電力の大きいタグ報知手段を駆動するための電力を生成することは難しい。しかしながら上述の構成とすることにより、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第三アンテナに強い電波を照射して、タグ電力供給手段にて報知手段を駆動するために必要な電力を生成させることが可能となる。第三アンテナに照射する電波は、変調信号電波であってもよいし無変調信号電波であってもかまわないため、リーダライタから放射される電波に限定されず他の方法により放射された電波からも電力を生成することが可能となる。そして生成された電力が報知手段を駆動し、報知を行うことが可能となるので、所望とするRFIDタグを探索することが容易に可能となる。
【0012】
また、請求項3に係る発明のRFIDタグでは、まず、第一アンテナにて受信した信号電波(第一信号電波)が自身宛てである場合に返答信号を第一アンテナを介して返信する。次いで、第二アンテナにて受信した信号電波(第二信号電波)が自分宛てである場合に、報知手段を制御して報知を実行させる。これにより、リーダライタ側では、まず所望とするRFIDタグに対して第一信号電波を送信し、所望とするRFIDタグが存在するか否かを確認する。そして、返答信号を受信した場合に、所望とするRFIDタグが存在すると判断し、当該RFIDタグの報知手段より報知を実行させるために、第二信号電波を送信する。これにより、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、ユーザは、所望とするRFIDタグがリーダライタより放射される電波の放射圏内に存在することをあらかじめ確認し、当該RFIDタグに報知を実行させることが可能となる。従って、RFIDタグが報知手段より報知を行っているにもかかわらず、ユーザが当該RFIDタグを見落としてしまっているような状態が発生しても、ユーザは近傍に所望のRFIDタグが存在していることを確認できるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に係る発明のリーダライタは、はじめに、探索するRFIDタグが内蔵するRFIDチップの固有IDを指定した固有ID指定信号を送信することにより、所望のRFIDタグが存在するか否かを確認する。そして、所望のRFIDタグより返答信号が返信された場合に、所望のRFIDタグが存在していると判断して、当該RFIDタグの報知手段より報知を実行させるために、RFIDタグを識別するための識別IDを指定した識別ID指定信号を送信する。これにより、ユーザは、所望とするRFIDタグがリーダライタより放射される電波の放射圏内に存在することをあらかじめ確認し、当該RFIDタグに報知を実行させることが可能となる。従って、RFIDタグが報知手段より報知を行っているにもかかわらず、ユーザが当該RFIDタグを見落としてしまっているような状態が発生しても、ユーザは近傍に所望のRFIDタグが存在していることを確認できるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。
【0014】
また、請求項5に係る発明のRFIDタグシステムでは、RFIDタグは、報知手段の制御ポートがない既存の安価なRFIDチップを採用しつつ、報知手段による報知をリーダライタより制御することが可能となる。これにより、所望とするRFIDタグに報知を実行させることが可能となるので、当該RFIDタグを探索することが容易に可能となる。また、ユーザは、所望とするRFIDタグがリーダライタより放射される電波の放射圏内に存在することをあらかじめ確認し、当該RFIDタグに報知を実行させることが可能となる。従って、RFIDタグが報知手段より報知を行っているにもかかわらず、ユーザが当該RFIDタグを見落としてしまっているような状態が発生しても、ユーザは近傍に所望のRFIDタグが存在していることを確認できるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化したRFIDタグ1、リーダライタ21、及びRFIDタグシステム50の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
はじめに、図1を参照して、RFIDタグ1及びリーダライタ21を使用したRFIDタグシステム50の一例である、書籍探索システムの概要について説明する。図1は、書籍探索システムを示した模式図である。
【0017】
図1に示すように、背表紙にRFIDタグ1が貼付された状態の書籍100が、書棚に複数陳列されている。RFIDタグ1にはLED17が設けられている。そしてユーザは、リーダライタ21を使用することによって、これらの書籍の中から所望の書籍に貼付されたRFIDタグ1のLED17を点灯させ、当該書籍を探索する。
【0018】
書籍探索方法の概要について説明する。ユーザははじめに、探索したい書籍の情報(表題「○○○○」、図書番号等、以下「書籍関連情報」という。)をリーダライタ21のR/W入力部27より入力する。そしてユーザは、リーダライタ21における電波が放射する放射面(図1中リーダライタ21の紙面手奥行き側)を書棚側に向けた状態として探索を開始する。
【0019】
探索が開始されると、リーダライタ21に付属するアンテナのうち第一R/Wアンテナ25(図4参照)より、探索したい書籍(以下「探索書籍」という。)に貼付されているRFIDタグ(以下「探索RFIDタグ」という。)を指定した信号電波が放射される。この状態でユーザは、リーダライタ21より放射される信号電波の向きを徐々に変えながら、陳列されている状態の書籍に対して順番に信号電波を照射させる。そして、書棚に陳列された書籍のうち、探索書籍の背表紙に貼付された探索RFIDタグに信号電波が照射される。
【0020】
信号電波が照射された探索RFIDタグは、信号電波を復調した信号から、自身がリーダライタ21より指定されているか否かを判断する。そして、指定されていると判断した場合、探索RFIDタグはLED17を点灯させる。これによりユーザは、複数の書籍のうち、LED17が点灯したRFIDタグ1が貼付された書籍(表題:「○○○○」)を探索書籍として認識することが可能となる。
【0021】
次に、RFIDタグ1及びリーダライタ21の電気的構成について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、RFIDタグ1の電気的構成を示す模式図であり、図3は、RFIDタグ1の電源構成を示す模式図であり、図4は、リーダライタ21の電気的構成を示す模式図である。
【0022】
はじめに、図2を参照し、RFIDタグ1の電気的構成について説明する。図2に示すように、RFIDタグ1は、RFIDチップ40と、報知制御用通信部41と、RFIDチップ40に接続された第一アンテナ5と、報知制御用通信部41に接続された第二アンテナ15とを備えている。
【0023】
これらのうち、第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、所謂ループアンテナにて構成されている。そして電波が照射された場合に、電磁誘導により電流を生じさせることが可能であるとともに、各々のアンテナに電気信号を送信することにより、所定の周波数の電波を放射させることが可能となっている。
【0024】
なお第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、所定の周波数にて共振現象が発生するように双方のアンテナのループ径及び巻数が調整されている。これにより、リーダライタ21より放射された信号電波が第一アンテナ5及び第二アンテナ15に対して照射された場合に、効率よく電気信号を取り出すことが可能となっている。また、チップ変調部3(後述)より電気信号が送信された場合に、信号電波を効率よく放射させることが可能となっている。
【0025】
なお、上述の第一アンテナ5及び第二アンテナ15は、同一の径及び同一の巻数にて構成されていてもかまわないし、異なる径及び異なる巻数にて構成されていてもかまわない。また、第一アンテナ5及び第二アンテナ15にて送受信可能な電波の周波数としては、リーダライタ21と通信を行うことが可能であれば、特定の周波数に限定されず、さまざまな周波数が使用可能であることは勿論である。例えば、13.56MHzや2.4GHzの周波数が使用される。
【0026】
次に、RFIDチップ40の電気的構成について説明する。RFIDチップ40は、通信処理や判断処理、表示処理等の制御を司るチップ制御部2と、第一アンテナ5より送信可能な変調信号を生成するチップ変調部3と、第一アンテナ5より受信した電気信号を復調するチップ復調部4と、不揮発性記憶素子であるチップ記憶部8と、チップ電源供給部6とから構成されている。
【0027】
これらのうち、チップ復調部4は、第一アンテナ5に信号電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられており、第一アンテナ5と電気的に接続している。また、復調した電気信号をチップ制御部2に対して送信することが可能なように、チップ復調部4はチップ制御部2と電気的に接続している。またチップ変調部3は、チップ制御部2より送信された電気信号を第一アンテナ5を介して送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられており、チップ制御部2及び第一アンテナ5と電気的に接続している。
【0028】
なお、チップ変調部3における変調方式、及びチップ復調部4における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0029】
またチップ記憶部8には、固有ID記憶領域9が設けられており、固有IDが記憶されている。固有IDは、RFIDチップ40を特定するために使用される固有のIDであり、RFIDチップ同士を識別するために使用される。そして、チップ制御部2よりチップ記憶部8に記憶されている情報を参照することが可能なように、チップ記憶部8はチップ制御部2と電気的に接続している。
【0030】
またチップ電源供給部6は、第一アンテナ5に信号電波が照射されることにより発生した電流を蓄電する。蓄電された電力は、チップ制御部2、チップ変調部3、チップ復調部4、及びチップ記憶部8を駆動させる電力として使用される。
【0031】
なお、上述のRFIDチップ40としては、従来公知のRFIDチップが使用される。
【0032】
次に、報知制御用通信部41について説明する。報知制御用通信部41は、通信処理や判断処理、表示処理等の制御を司る報知制御部12と、第二アンテナ15より受信した電気信号を復調する報知復調部14と、不揮発性記憶素子である報知記憶部18と、LED17と、報知電源供給部16とから構成されている。
【0033】
これらのうち、報知復調部14は、第二アンテナ15に信号電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられており、第二アンテナ15と電気的に接続している。また、復調した電気信号を報知制御部12に対して送信することが可能なように、報知復調部14は報知制御部12と電気的に接続している。
【0034】
なお、報知復調部14における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0035】
また報知記憶部18には、識別ID記憶領域19が設けられており、識別IDが記憶されている。識別IDは、RFIDタグ1同士を識別し、RFIDタグ1を特定するために使用される。そして、報知制御部12より報知記憶部18に記憶されている情報を参照することが可能なように、報知記憶部18は報知制御部12と電気的に接続している。
【0036】
またLED17は、報知制御部12からの制御信号に基づいて点灯/消灯を切り替えることが可能なように、報知制御部12と電気的に接続している。また報知電源供給部16は、第二アンテナ15に信号電波が照射されることにより発生した電流を蓄電する。そして蓄電された電力は、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させる電力として使用される。
【0037】
次に、図3を参照し、RFIDタグ1の電源構成について説明する。図3に示すように、RFIDチップ40のチップ電源供給部6は、第一アンテナ5にて発生した電流を蓄電し、チップ制御部2、チップ変調部3、チップ復調部4、及びチップ記憶部8を駆動させるために、これらの機能ブロックに電力を供給する。これによりRFIDチップ40は駆動し、各種処理を実行する。また、報知制御用通信部41の報知電源供給部16は、第二アンテナ15にて発生した電流を蓄電する。そして、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させるために、これらのデバイスに電力を供給する。これにより報知制御用通信部41を構成する各デバイスは駆動し、各種処理を実行する。
【0038】
次に、図4を参照して、リーダライタ21の電気的構成について説明する。図4に示すように、リーダライタ21は、通信処理や判断処理等、リーダライタ21の全体の制御を司るR/W制御部22と、ループ形状を有するアンテナより構成される第一R/Wアンテナ25と第二R/Wアンテナ31と、第一R/Wアンテナ25より送信可能な変調信号を生成する第一R/W変調部23と、第一R/Wアンテナ25より受信した信号を復調する第一R/W復調部24と、第二R/Wアンテナ31より送信可能な変調信号を生成する第二R/W変調部30と、R/W入力部27と、不揮発性記憶素子であるR/W記憶部28とから構成されている。
【0039】
第一R/Wアンテナ25及び第二R/Wアンテナ31は、所謂ループアンテナにて構成されている。そして電波が照射された場合に、電磁誘導により各々のアンテナに電流を生じさせることが可能であるとともに、各々のアンテナに電気信号を送信することにより、所望の信号電波を放射させることが可能となっている。
【0040】
なお第一R/Wアンテナ25及び第二R/Wアンテナ31は、所定の周波数にて共振現象が発生するように双方のアンテナのループ径及び巻数が調整されている。これにより、RFIDタグ1より放射された信号電波が照射された場合に、効率よく電気信号を取り出すことが可能となっている。また、第一R/W変調部23及び第二R/W変調部30より電気信号が送信された場合に、信号電波を効率よく放射させることが可能となっている。
【0041】
なお、上述の第一R/Wアンテナ25は、RFIDタグ1が備える第一アンテナ5と信号電波の送受信が可能なように、ループアンテナの径や巻数が調整されている。これにより、リーダライタ21のR/W制御部22は、RFIDタグ1が備えるRFIDチップ40のチップ制御部2と通信を行うことが可能となっている。
【0042】
また、上述の第二R/Wアンテナ31は、RFIDタグ1が備える第二アンテナ15と信号電波の送受信が可能なように、ループアンテナの径や巻数が調整されている。これにより、リーダライタ21のR/W制御部22は、RFIDタグ1が備える報知制御用通信部41の報知制御部12と通信を行うことが可能となっている。
【0043】
なお、第一R/Wアンテナ25にて送受信可能な電波の周波数としては、第一R/Wアンテナ25と第一アンテナ5とが通信可能であれば、特定の周波数に限定されず、さまざまな周波数が使用可能である。また、第二R/Wアンテナ31にて送受信可能な電波の周波数としては、第二R/Wアンテナ31と第二アンテナ15とが通信可能であれば、特定の周波数に限定されず、さまざまな周波数が使用可能である。例えば、13.56MHzや2.4GHzの周波数が使用される。
【0044】
また第一R/W復調部24は、第一R/Wアンテナ25に電波が照射されることにより発生した電気信号を復調するために設けられており、第一R/Wアンテナ25と電気的に接続している。また、復調した電気信号をR/W制御部22に対して送信することが可能なように、第一R/W復調部24はR/W制御部22と電気的に接続している。
【0045】
また第一R/W変調部23は、R/W制御部22より送信された電気信号を第一R/Wアンテナ25より送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられている。そして第一R/W変調部23は、R/W制御部22及び第一R/Wアンテナ25と電気的に接続している。また第二R/W変調部30は、R/W制御部22より送信された電気信号を第二R/Wアンテナ31より送信させることが可能な変調信号に変調するために設けられており、R/W制御部22及び第二R/Wアンテナ31と電気的に接続している。
【0046】
なお、第一R/W変調部23、及び第二R/W変調部30における変調方式、及び第一R/W復調部24における復調方式は、特定の方式に限定されず、さまざまな従来公知の変復調方式が採用される。例えば、振幅変調(AM)方式、周波数変調(FM)方式、位相変調(PM)方式等が挙げられる。
【0047】
またR/W入力部27は、ユーザが探索する書籍の書籍関連情報を入力するために設けられており、押ボタンやタッチセンサ等により構成されている。
【0048】
またR/W記憶部28には、固有ID割当情報記憶領域29が設けられている。固有ID割当情報記憶領域29には、RFIDタグ1のチップ記憶部8(図2参照)に記憶されている固有IDと、当該RFIDタグ1が貼付されている書籍の書籍関連情報とが対応付けられた情報である固有ID割当情報が記憶される。またR/W記憶部28には、照合情報記憶領域32が設けられている。照合情報記憶領域32には、RFIDチップ40のチップ記憶部8(図2参照)に記憶されている固有IDと、当該RFIDチップ40が内蔵されたRFIDタグ1の報知制御用通信部41中報知記憶部18に記憶されている識別IDとが対応付けられた情報である固有ID−識別ID照合情報が記憶される。
【0049】
固有ID割当情報は、R/W入力部27を介してユーザにより探索書籍の書籍関連情報が入力された場合において、該当する書籍に貼付されているRFIDタグ1に内蔵されたRFIDチップ40の固有IDを検索するために、R/W制御部22より参照される。また、固有ID−識別ID照合情報は、所定の固有IDを有するRFIDチップ40が内蔵されたRFIDタグ1の識別IDを検索し、当該RFIDタグ1が備えるLED17を点灯させるために、R/W制御部22より参照される。そして、R/W制御部22よりR/W記憶部28に記憶されている各情報を参照することが可能なように、R/W記憶部28はR/W制御部22と電気的に接続している。
【0050】
次に、RFIDタグ1中RFIDチップ40のチップ制御部2、報知制御用通信部41の報知制御部12、及びリーダライタ21のR/W制御部22により実行される処理について、図5〜図7を参照して説明する。図5は、リーダライタ21のR/W制御部22にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートであり、図6は、RFIDタグ1のチップ制御部2にて実行される報知処理のフローチャートであり、図7は、RFIDタグ1の報知制御部12にて実行される報知処理のフローチャートである。
【0051】
なお、リーダライタ21のR/W制御部22は、電源投入により図5に示す処理を繰り返し実行する。また、RFIDタグ1中RFIDチップ40のチップ制御部2は、リーダライタ21より放射された信号電波が第一アンテナ5に照射され、チップ電源供給部6(図3参照)にて駆動電力が生成され、チップ制御部2に電力が供給された場合に、図6に示す処理を実行する。また、RFIDタグ1中報知制御用通信部41の報知制御部12は、リーダライタ21より放射された信号電波が第二アンテナ15に照射され、報知電源供給部16(図3参照)にて駆動電力が生成され、報知制御部12に電力が供給された場合に、図7に示す処理を実行する。
【0052】
図5に示すように、リーダライタ21のR/W制御部22は、電源が投入された状態で、R/W入力部27を監視し、ユーザによりR/W入力部27を介して入力操作がなされるまで待機している(S11:NO)。
【0053】
そして、R/W入力部27を介してユーザにより探索書籍に関連する書籍関連情報の入力操作がなされ、これをR/W制御部22が検出した場合(S11:YES)、R/W制御部22は、R/W記憶部28の固有ID割当情報記憶領域29に記憶されている固有ID割当情報を参照し、入力された書籍関連情報に相当する書籍に貼付されているRFIDタグ1の固有IDを特定する(S12)。
【0054】
次いでユーザにより、リーダライタ21のアンテナ(第一R/Wアンテナ25及び第二R/Wアンテナ31)が配置され信号電波が放射される放射面が、書棚側に向けられる。そしてこの状態で、R/W制御部22は、S12にて特定した固有IDを指定した固有ID指定信号を第一R/Wアンテナ25より送信させるために、第一R/W変調部23に対して固有ID指定信号を送信する(S13)。
【0055】
R/W制御部22より送信された固有ID指定信号は、第一R/W変調部23において、第一R/Wアンテナ25より放射させることが可能な周波数に変調される。そして変調された固有ID指定信号が、第一R/Wアンテナ25より信号電波として放射される。
【0056】
一方、RFIDタグ1のRFIDチップ40では、リーダライタ21の第一R/Wアンテナ25より放射された信号電波が第一アンテナ5に照射された場合、チップ電源供給部6がチップ制御部2等の駆動のために必要な電力を生成する。これによりチップ制御部2が起動し、図6における処理を開始する。
【0057】
図6に示すように、起動したチップ制御部2は、第一アンテナ5により受信し、チップ復調部4にて復調された結果の復調信号を受信するまで待機している。そして復調信号を受信し、受信した信号が、S13(図5参照)の処理に基づいてリーダライタ21より送信された固有ID指定信号であると判断した場合には(S31:YES)、次いで、受信した固有ID指定信号にて指定されている固有IDと、チップ記憶部8の固有ID記憶領域9に記憶されている固有IDとを比較する。
【0058】
そして、受信した固有ID指定信号にて指定された固有IDと、読みだした固有IDとが一致する場合には(S33:YES)、チップ制御部2は、リーダライタ21に対して返答信号を返信し、リーダライタ21に対して固有ID指定信号を受信した旨を通知する必要がある。そこでチップ制御部2は、読みだした固有IDの情報を含む固有ID返答信号をチップ変調部3に対して送信する(S35)。そしてチップ制御部2は報知処理を終了する。
【0059】
チップ制御部2より送信された固有ID返答信号は、チップ変調部3において、第一アンテナ5より放射させることが可能な周波数に変調される。そして、変調された固有ID返答信号が、第一アンテナ5より信号電波として放射される。
【0060】
一方チップ制御部2は、復調信号がリーダライタ21より送信された固有ID指定信号でない場合には(S31:NO)、S31に戻って引き続き継続して固有ID指定信号を受信するまで待機する。また、復調信号が固有ID指定信号である場合であっても(S31:YES)、受信した固有ID指定信号にて指定された固有IDと、チップ記憶部8の固有ID記憶領域9に記憶されている固有IDとが一致しない場合には(S33:NO)、報知処理を終了する。
【0061】
なお、上述の処理においては、受信した固有ID指定信号にて指定された固有IDと、チップ記憶部8の固有ID記憶領域9に記憶されている固有IDとが一致するか否かを判断しているが、判断方法はこの方法に限定されない。従ってRFIDチップ40のチップ制御部2は、受信した固有IDと読みだした固有IDとの関係が所定の規則に則っている場合に、リーダライタ21に対して固有ID指定信号を受信した旨を通知する必要があると判断し、固有ID返答信号をチップ変調部3に対して送信してもかまわない。
【0062】
図5に示すように、固有ID指定信号を送信した(S13参照)後のリーダライタ21のR/W制御部22は、RFIDタグ1より固有ID返答信号を受信するまで継続して固有ID指定信号の送信処理を繰り返す(S15:NO→S13)。そして、RFIDタグ1からの信号電波を第一R/Wアンテナ25が受け、第一R/W復調部24にて復調され、復調された結果の復調信号が、S35(図6参照)の処理に基づいてRFIDタグ1より送信された固有ID返答信号である場合には(S15:YES)、次いでR/W制御部22は、受信した固有ID返答信号に含まれている固有IDと、S12において特定した固有IDとを比較する(S17)。そして双方が一致する場合には(S17:YES)、リーダライタ21の第一R/Wアンテナ25より放射された固有ID指定信号の電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグが存在していると判断する。
【0063】
一方、復調された結果の復調信号が固有ID返答信号であっても(S15:YES)、含まれている固有IDが、S12において特定した固有IDと一致しない場合には(S17:NO)、リーダライタ21の第一R/Wアンテナ25より放射されている信号電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグが存在しておらず、探索対象外の書籍に貼付されているRFIDタグより返信された固有ID返信信号であると判断する。このような場合には、ユーザによりリーダライタ21の向きが調整され、電波の放射方向が変更される。そして、S13に戻り、信号電波の放射圏内に探索書籍及び探索RFIDタグが存在する状態となるまで、上述の処理が繰り返し実行される。
【0064】
なお、上述の処理においては、受信した固有IDと、S12において特定した固有IDとが同一であるか否かを判断しているが、判断方法はこの方法に限定されない。従ってR/W制御部22は、受信した固有IDとS12にて特定した固有IDとの関係が所定の規則に則っている場合に、リーダライタ21より放射されている信号電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグが存在していると判断してもかまわない。
【0065】
S17において、リーダライタ21より放射されている電波の放射圏内に、探索書籍及び探索RFIDタグが存在していると判断された場合(S17:YES)、次いでR/W制御部22は、S12にて特定した固有IDがチップ記憶部8に記憶された状態のRFIDチップ40が内蔵されたRFIDタグ(探索RFIDタグ)の識別IDを検索し特定する。具体的には、R/W記憶部28の照合情報記憶領域32に記憶されている固有ID−識別ID照合情報を参照し、S12にて特定した固有IDに対応付けられている識別IDを探索RFIDの固有IDとして特定する(S19)。
【0066】
次いでR/W制御部22は、探索RFIDタグが備えるLED17を点灯させるために、探索RFIDタグの識別IDを指定した識別ID指定信号を第二R/W変調部30に対して送信する(S21)。送信された識別ID指定信号は、第二R/W変調部30において、第二R/Wアンテナ31より放射させることが可能な周波数に変調される。そして、変調された識別ID指定信号が、第二R/Wアンテナ31より信号電波として放射される。その後R/W制御部22は、S11に戻って上述の処理を繰り返し実行する。
【0067】
一方、RFIDタグ1の報知制御用通信部41では、リーダライタ21の第二R/Wアンテナ31より放射された信号電波が第二アンテナ15に照射された場合、報知電源供給部16が報知制御部12等の駆動のために必要な電力を生成する。これにより報知制御部12が起動し、図7における処理を開始する。
【0068】
図7に示すように、起動した報知制御用通信部41の報知制御部12は、はじめに、第二アンテナ15により受信し、報知復調部14にて復調された結果の復調信号を受信するまで待機している(S41:NO)。そして復調信号を受信し、受信した信号がリーダライタ21より送信された識別ID指定信号であると判断した場合には(S41:YES)、次いで、報知記憶部18の識別ID記憶領域19に記憶されている識別IDを読み出す。そして、受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDと、読みだした識別IDとが一致するか否かを判断する。
【0069】
受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDと、読みだした識別IDとが一致する場合には(S43:YES)、報知制御部12は、リーダライタ21よりLED17を点灯させる旨の指示(S21、図5参照)がなされたと判断し、LED17を点灯させる(S45)。そして報知制御部12はRFIDタグ検索処理を終了する。
【0070】
一方、報知制御部12は、受信した識別ID指定信号にて指定された識別IDと、報知記憶部18の識別ID記憶領域19より読みだした識別IDとが一致しない場合には(S43:NO)、自身がリーダライタ21より探索されているRFIDタグではないものと判断する。この場合、LED17を点灯させる必要はないので、以降特段の処理を行うことなく報知処理を終了する。
【0071】
以上説明したように、上記実施の形態では、RFIDタグ1がRFIDチップ40とともに報知制御用通信部41を備えることによって、報知手段(LED等)の制御ポートを有しないRFIDチップ40を使用した構成のRFIDタグ1であっても、報知手段を制御することが可能となる。これにより、リーダライタ21を使用して容易に探索RFIDタグを探索することが可能となる。
【0072】
また、リーダライタ21は、探索RFIDタグを探索する場合において、はじめに、RFIDチップ40の固有IDを指定した固有ID指定信号を送信する。そして、探索RFIDタグより固有ID返答信号が送信され、これをリーダライタ21にて受信した場合に、リーダライタ21は、放射した固有ID指定信号の電波の放射圏内に探索RFIDタグが存在しているものと判断する。そして、当該探索RFIDタグが備えるLED17を点灯させるための信号である識別ID指定信号を送信する。これによりリーダライタ21は、あらかじめ信号電波の放射圏内に探索RFIDが存在しているか否かを確認することができるので、確実にRFIDタグを探索することが可能となる。また、不要な信号電波送信を抑制して、電波のトラフィックを抑制することが可能となる。
<変形例>
【0073】
以下、本発明の変形例について、図8及び図9を参照して説明する。図8は、変形例におけるRFIDタグ1の電気的構成を示す模式図である。また図9は、変形例におけるRFIDタグ1の電源構成を示す模式図である。
【0074】
はじめに、図8を参照して、変形例におけるRFIDタグ1の電気的構成について説明する。変形例におけるRFIDタグ1では、第二アンテナ15とは別に第三アンテナ35を備えている。また、第三アンテナ35は、報知制御用通信部41の各機能ブロックが駆動するための電力を供給する報知電源供給部16と電気的に接続している。そして、第三アンテナ35に信号電波が照射されることにより発生した電流を蓄電し、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させる電力を生成する。なお、その他の構成については既述の実施の形態におけるRFIDタグ1の電気的構成と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
次に、図9を参照して、変形例におけるRFIDタグ1の電源構成について説明する。図7に示すように、報知制御用通信部41の報知電源供給部16は、第三アンテナ35にて発生した電流を蓄電し、報知制御部12、報知復調部14、LED17、及び報知記憶部18を駆動させるために、これらのデバイスに電力を供給する。これにより報知制御用通信部41を構成する各デバイスは駆動し、各種処理を実行する。
【0076】
上記構成とすることにより、第三アンテナ35に強い信号電波を照射すれば、報知電源供給部16は大きな電力を生成することが可能となる。これにより、LED17を点灯させる場合に消費される大きな電力を報知電源供給部16にて生成することが可能となる。リーダライタ21より照射される信号電波の強度は一般的に小さいが、上述の構成とすることにより、第三アンテナ35に別途強い電波を照射することによって、確実にLED17を点灯させることが可能となる。
【0077】
なお、図7のS41において、報知制御用通信部41にて復調された結果の信号を受信する処理を行う報知制御部12が、本発明の「タグ受信手段」に相当し、図2に示すLED17が、本発明の「タグ報知手段」に相当し、図7のS45において、LED17を制御して点灯させる制御を行う報知制御部12が、本発明の「タグ制御手段」に相当し、図2に示す報知電源供給部16が、本発明の「タグ電力供給手段」に相当し、図2に示す報知記憶部18が、本発明の「タグ記憶手段」に相当する。
【0078】
また、図2に示すチップ記憶部8が、本発明の「チップ記憶手段」に相当し、図6のS31において、チップ復調部4にて復調された結果の信号を受信する処理を行うチップ制御部2が、本発明の「チップ受信手段」に相当し、図6のS35において、チップ変調部3に対して信号を送信し、第一アンテナ5より変調信号を送信させる処理を行うチップ制御部2が、本発明の「チップ送信手段」に相当する。
【0079】
また、図4に示すR/W記憶部28が、本発明の「R/W記憶手段」に相当し、図5のS13にて、第一R/W変調部23に対して信号を送信し、第一R/Wアンテナ25より変調信号を送信させる処理を行うR/W制御部22が、本発明の「第一R/W送信手段」に相当し、図5のS15にて、第一R/W復調部24にて復調された結果の信号を受信する処理を行うR/W制御部22が、本発明の「第一R/W受信手段」に相当し、図5のS19にて、識別IDを特定する処理を行うR/W制御部22が、本発明の「識別ID抽出手段」に相当し、図5のS21にて、第二R/W変調部30に対して信号を送信し、第二R/Wアンテナ31より変調信号を送信させる処理を行うR/W制御部22が、本発明の「第二R/W送信手段」に相当する。
【0080】
なお、本発明は上記実施の形態及び上記変形例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0081】
上述の実施の形態では、RFIDタグ1は報知手段としてLED17を備えていたが、報知手段はLEDに限定されない。従って、他の報知手段を実現するためのデバイス(ブザー等)を備えた構成であってもよい。
【0082】
また上述の実施の形態では、報知電源供給部16は第二アンテナ15に信号電波が照射されたことに基づき発生する電流を蓄電しているが、この構成に限定されず、第一アンテナ5に信号電波が照射されたことに基づき発生する電流を蓄電する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】書籍探索システムの模式図である。
【図2】RFIDタグ1の電気的構成を示す模式図である。
【図3】RFIDタグ1の電源構成を示す模式図である。
【図4】リーダライタ21の電気的構成を示す模式図である。
【図5】リーダライタ21のR/W制御部22にて実行されるRFIDタグ探索処理のフローチャートである。
【図6】RFIDタグ1のチップ制御部2にて実行される報知処理のフローチャートである。
【図7】RFIDタグ1の報知制御部12にて実行される報知処理のフローチャートである。
【図8】変形例におけるRFIDタグ1の電気的構成を示す模式図である。
【図9】変形例におけるRFIDタグ1の電源構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0084】
1 RFIDタグ
2 チップ制御部
3 チップ変調部
4 チップ復調部
5 第一アンテナ
6 チップ電源供給部
8 チップ記憶部
12 報知制御部
14 報知復調部
15 第二アンテナ
16 報知電源供給部
17 LED
18 報知記憶部
21 リーダライタ
22 R/W制御部
23 第一R/W変調部
24 第一R/W復調部
25 第一R/Wアンテナ
27 R/W入力部
28 R/W記憶部
30 第二R/W変調部
31 第二R/Wアンテナ
35 第三アンテナ
40 RFIDチップ
41 報知制御用通信部
50 RFIDタグシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDチップと、
前記RFIDチップに接続されるアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一アンテナと、
前記第一アンテナとは異なるアンテナである第二アンテナと、
リーダライタより送信された信号電波が前記第二アンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調して受信するタグ受信手段と、
報知を行うタグ報知手段と、
前記タグ受信手段にて受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、
前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一つにリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段と
を備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナとは異なるアンテナである第三アンテナをさらに備え、
前記タグ電力供給手段は、
前記第三アンテナに対してリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成することを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段をさらに備え、
前記RFIDチップは、
当該RFIDチップに固有のIDである固有IDを記憶するチップ記憶手段と、
前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、
前記第一アンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一アンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、
前記チップ受信手段は、
前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、
前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、固有IDを指定した信号である固有ID指定信号であり、且つ、当該固有IDと、前記チップ記憶手段に記憶されている固有IDとが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段は、返答信号を変調して送信し、
前記チップ送信手段にて返答信号が変調され送信された後、前記タグ受信手段が前記第二アンテナにて発生した電気信号を復調し受信した場合において、
前記タグ制御手段は、
前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させることを特徴とする請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
請求項3に記載のRFIDタグを制御するためのリーダライタであって、
前記RFIDタグを識別するための識別IDと、当該RFIDタグに内蔵されているRFIDチップに固有の固有IDとを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、
所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップの固有IDを指定した信号である固有ID指定信号を、前記第一アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第一R/W送信手段と、
前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID指定信号に応じて、所望のRFIDタグより返信される返答信号を受信し復調する第一R/W受信手段と、
前記第一R/W受信手段にて前記返答信号を受信し復調した場合に、当該返答信号を返信したRFIDタグが有する識別IDを、前記R/W記憶手段に記憶されている識別IDを参照して抽出する識別ID抽出手段と、
前記識別ID抽出手段にて抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を、前記第二アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第二R/W送信手段と
を備えたことを特徴とするリーダライタ。
【請求項5】
リーダライタを使用して所望のRFIDタグを探索するRFIDタグシステムであって、
RFIDタグは、
RFIDチップと、
前記RFIDチップに接続されたアンテナであって、リーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号を当該RFIDチップに供給するとともに、当該RFIDチップより送信される電気信号を信号電波として送信するアンテナである第一アンテナと、
前記第一アンテナとは異なるアンテナである第二アンテナと、
前記RFIDタグを識別するためのIDである識別IDを記憶するタグ記憶手段と、
リーダライタより送信された信号電波が前記第二アンテナに対して照射された場合に発生する電気信号を復調し受信するタグ受信手段と、
報知を行うタグ報知手段と、
前記タグ受信手段にて復調され受信された信号に基づき、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させるタグ制御手段と、
前記タグ受信手段、前記タグ報知手段、及び前記タグ制御手段を駆動させるための電力を供給するタグ電力供給手段であって、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一つにリーダライタより送信された信号電波が照射された場合に発生する電気信号から電力を生成するタグ電力供給手段とを備え、
前記RFIDチップは、
固有のIDである固有IDを記憶するチップ記憶手段と、
前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調し受信するチップ受信手段と、
前記第一アンテナに対して変調した電気信号を送信し、当該第一アンテナより信号電波を送信させるチップ送信手段とを備え、
前記チップ受信手段は、
前記第一アンテナにて発生した電気信号を復調して受信し、
前記チップ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、固有IDを指定した信号である固有ID指定信号であり、且つ、当該固有IDと、前記チップ記憶手段に記憶されている固有IDとが所定の関係を満たす場合に、前記チップ送信手段は、返答信号を変調して送信し、
前記チップ送信手段にて返答信号が変調され送信された後、前記タグ受信手段が前記第二アンテナにて発生した電気信号を復調し受信した場合において、
前記タグ制御手段は、
前記タグ受信手段にて復調され受信された結果の信号が、識別IDを指定した信号である識別ID指定信号であり、且つ、当該識別IDと、前記タグ記憶手段に記憶されている識別IDとが所定の関係を満たす場合に、前記タグ報知手段を制御して報知を実行させ、
リーダライタは、
前記RFIDタグを識別するための識別IDと、当該RFIDタグに内蔵されているRFIDチップに固有の固有IDとを対応付けて記憶するR/W記憶手段と、
所望のRFIDタグに内蔵されている前記RFIDチップの固有IDを指定した信号である固有ID指定信号を、前記第一アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第一R/W送信手段と、
前記第一R/W送信手段にて送信された固有ID指定信号に応じて、所望のRFIDタグより返信される返答信号を復調し受信する第一R/W受信手段と、
前記第一R/W受信手段にて前記返答信号を復調し受信した場合に、当該返答信号を返信したRFIDタグが有する識別IDを、R/W記憶手段に記憶されている識別IDを参照して抽出する識別ID抽出手段と、
前記識別ID抽出手段にて抽出した識別IDを指定した信号である識別ID指定信号を、前記第二アンテナにて受信可能な周波数を用いて変調し送信する第二R/W送信手段と
を備えたことを特徴とするRFIDタグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−301373(P2009−301373A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156157(P2008−156157)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】