説明

RFIDタグ読取装置及びその調整方法

【課題】設置作業性が良好で且つインピーダンス整合が良好なRFIDタグの読取装置を提供する。
【解決手段】 読取装置の制御ユニット100は、高周波回路からアンテナユニット200に出力する高周波信号に、インピーダンス調整用の制御信号を重畳する。アンテナユニット200は、該重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離する分離手段203と、分離手段により分離された高周波信号をインピーダンス整合させてアンテナに入力する整合回路204と、分離手段により分離された制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御する調整手段205とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流などの分野で流通物に貼付されるRFIDタグから該RFIDタグに設定された固有番号を非接触で読み取るRFIDタグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のRFIDタグ読取装置(以下単に「読取装置」と言う。)は、RFIDタグとの通信用のアンテナと、該アンテナに接続した高周波回路とが必須の構成要素である。これらの構成要素は、読取装置の使用用途等に応じて種々の実装形態が採用される。例えば、店舗の棚に陳列されている商品に貼付されているRFIDタグを読み取る事を目的とした場合には、棚板の上面又は底面に該棚板とほぼ同面積の薄型のアンテナユニットを付設する。高周波回路は棚の適当な箇所に付設した筐体に収容される。高周波回路とアンテナユニットとは所定の特性インピーダンスを有する同軸ケーブルで接続される。アンテナユニットは、フェライトシートなど高透磁率且つ薄型の磁性体と、該磁性体がコアとなるように巻回したループアンテナと、インピーダンス整合を図る整合回路とを備えている。このような読取装置では、棚に陳列されている多数の商品についてRFIDタグを順次読み取り、読み取ったデータをコンピュータなどの機器に送信する。
【0003】
ところで、この種の読取装置ではアンテナと高周波回路とのインピーダンス整合が適正でないと読み取り範囲が狭くなるなどの問題が生じる。特に、上述したように棚に陳列されている商品のRFIDタグを読み取る場合には、棚の材質や棚に陳列されている商品の材質・数量・向きなどにより共振周波数やアンテナのインピーダンスが変動し、インピーダンス整合が取れなくなる場合がある。
【0004】
このような問題を解決するために、整合回路の定数を可変とする技術が特許文献1に開示されている。この特許文献1に示す技術では、同文献の図1〜4に示すように、高周波回路の送信部側で定在波比や送信パワーなどを検出し、該検出値に基づきアンテナ部に設けた整合回路の定数を可変制御している。なお、特許文献1に示すものは、非接触型のICカードに関するものであるが基礎的な技術はRFIDタグと同様であるので、RFIDタグの読取装置にも適用できる。
【特許文献1】特開2004−355212
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示すものは、高周波回路である送信部とアンテナを接続する高周波用信号線とは別に整合回路の定数可変制御用の制御用信号線を設けた構成となっている。このため、上述したようにアンテナと高周波回路とが大きく離れた場所に設置するような場合には、設置作業が煩雑となるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、設置作業性が良好で且つインピーダンス整合が良好なRFIDタグの読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願では、RFIDタグとの通信用のアンテナと、RFIDタグとの通信用信号を処理する高周波回路と、アンテナ及び高周波回路とを接続する信号線とを備えたRFIDタグの読取装置において、高周波回路からアンテナに出力する高周波信号にインピーダンス調整用の制御信号を重畳する重畳手段と、信号線を介して重畳手段から入力された重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離する分離手段と、分離手段により分離された高周波信号をインピーダンス整合させてアンテナに入力する整合回路と、分離手段により分離された制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御する調整手段とを備えたことを特徴とするものを提案する。
【0008】
本発明によれば、インピーダンス調整用の制御信号が高周波信号を伝搬する信号線上に重畳されるので、制御信号伝送用の信号線を設ける必要がない。すなわち高周波回路側とアンテナ側との間の配線を増やす必要がない。これにより、良好な設置作業性とインピーダンス調整機能とを両立することができる。
【0009】
高周波信号に制御信号を重畳させる方法、換言すれば、高周波信号を伝送する信号線を多重化させる方法としては種々のものを利用できる。
【0010】
重畳方法の一例として本願では、前記重畳手段は制御信号に対応した電圧値の直流信号を高周波信号に重畳し、前記分離手段はフィルタ回路により高周波信号と制御信号を分離することを特徴とするものを提案する。この方法では、高周波回路から出力される高周波信号全体に直流バイアスをかけ、アンテナ側のフィルタ回路で直流成分と交流成分を分離する。そして分離した直流成分の電圧値、すなわちバイアス電圧値を制御信号として用いて整合回路の定数を調整制御する。
【0011】
また、重畳方法の他の例として本願では、前記重畳手段は高周波信号の出力を所定時間停止させるとともに該停止時間内にデジタル化した制御信号を出力し、前記分離手段はフィルタ回路により高周波信号と制御信号を分離し、前記調整手段は分離手段により分離された制御信号を保持する保持手段を備えるとともに、該保持手段により保持された制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御することを特徴とするものを提案する。この方法は一種の時分割多重方式であり、高周波信号を停止している時間帯に制御信号をデジタル信号として伝送する。高周波信号と制御信号とでは通常異なる周波数帯域となるので、アンテナ側のフィルタ回路で高周波信号と制御信号が分離可能である。そして分離した制御信号に基づき整合回路の定数を調整制御する。なお、この方法では制御信号の伝送は間欠的となるので、アンテナ側に制御信号の保持手段を設け、保持した制御信号に基づき整合回路の定数を調整制御している。また、この方法では、アンテナ側には制御信号の保持手段等に電源が必要となる場合がある。そこで、本願では、前記重畳手段は重畳信号に直流バイアスをかけ、前記分離手段は重畳信号からバイアス電流を分離するとともに該バイアス電流を電源として前記保持手段に供給することを特徴とするものを提案する。
【0012】
また、インピーダンス調整の方法も種々の方法を用いることができる。その一例として本願では、信号線における定在波比を検出する検出手段と、該検出手段により検出された定在波比に基づき前記制御信号を出力する制御手段とを備えたことを特徴とするものを提案する。他の例として本願では、所定の校正用RFIDタグを検出する検出手段と、該検出手段による校正用RFIDタグの検出状況に基づき前記制御信号を出力する制御手段ことを特徴とするものを提案する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、インピーダンス調整用の制御信号が高周波信号を伝搬する信号線上に重畳されるので、制御信号用の信号線を設ける必要がない。すなわち高周波回路側とアンテナ側との間の配線を増やす必要がない。これにより、良好な設置作業性とインピーダンス調整機能とを両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
本願発明の一実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図面を参照して説明する。図1はRFIDタグ読取装置の全体構成図、図2は制御ユニットの機能ブロック図、図3はアンテナユニットの機能ブロック図である。
【0015】
本実施の形態に係る読取装置は、ショーケースに陳列されている商品10に付設されているRFIDタグ11から該RFIDタグ11の固有番号を読み取る用途で用いるものとする。一般的にショーケースの商品棚は電磁場の形成に大きな影響を与える金属製であるため、読取装置をショーケースに後付けする際にはアンテナのインピーダンス整合調整が不可欠となる。また、商品棚には種々の材質の商品が陳列され、しかも商品の陳列数も絶えず変化するので、運用時においてもインピーダンス整合調整が不可欠となる。本願発明に係る読取装置は、このようなインピーダンス整合調整を自動で行う。
【0016】
RFIDタグ読取装置は、図1に示すように、制御ユニット100と、アンテナユニット200と、両ユニット100,200間を接続する高周波信号伝送用の同軸ケーブル300とを備えている。アンテナユニット200は、ショーケースの商品棚の上面又は下面に付設される。一方、制御ユニット100はショーケース下部の機械室など適当な場所に設置される。制御ユニット100は、ショーケースの在庫管理を行うコンピュータ50等に接続し、該コンピュータ50に対して検出したRFIDタグ11の固有番号のリストを送信する。
【0017】
制御ユニット100は、図2に示すように、上位装置50と接続するための通信インタフェイス101と、RFIDタグ11との通信を制御するタグ通信制御部102と、タグ通信制御部102の出力信号を高周波信号に変調する変調回路111と、搬送波を生成する発振回路112と、高周波信号を増幅する増幅回路120と、高周波信号に直流バイアスを印加する直流バイアス印加回路130と、電圧定在波比(VSWR)を計測する定在波比計測回路150とを備えている。定在波比計測回路150はコネクタ(図示省略)及び同軸ケーブル300を介してアンテナユニット200に接続している。さらに制御ユニット100は、アンテナユニット200から受信した高周波信号を増幅する増幅回路160と、高周波信号から通信信号を復調する復調回路113とを備えている。さらに制御ユニット100は、定在波比計測回路150の測定結果に基づきインピーダンス整合調整用の制御信号を生成する制御信号生成部170とを備えている。なお、前記変調回路111・復調回路113・発振回路112は、専用の通信用IC110に実装されている。
【0018】
アンテナユニット200は、薄型箱状の筐体201の内部周縁に巻回したアンテナコイル202とを備えている。また、アンテナユニット200は、コネクタ(図示省略)を介して同軸ケーブル300と接続した交流直流分離回路203を備えている。該交流直流分離回路203は、制御ユニット100から受信した信号を直流成分と交流成分とに分離する。分離された直流成分の電圧は、制御ユニット100の直流バイアス印加回路130で印加されたバイアス値となる。分離された交流成分は、送信側の増幅回路120から出力された高周波信号である。また、アンテナユニット200は、インピーダンス整合回路204と、該整合回路204の定数を制御するインピーダンス調整回路205を備えている。
【0019】
次に、この読取装置の動作について説明する。まず、読取装置の基本動作について説明する。タグ通信制御部102は、RFIDタグ11との通信用プロトコルに則って通信電文を出力する。タグ通信制御部102の出力信号は、変調回路111によって、発振回路112から供給される搬送波に変調される。変調回路111から出力される高周波信号は、増幅回路120により増幅され、必要に応じて直流バイアス印加回路130によって直流バイアスがかけられる。直流バイアス印加回路130から出力される高周波信号は、定在波比計測回路150・同軸ケーブル300を介してアンテナユニット200に伝送される。
【0020】
アンテナユニット200に伝送された高周波信号は、交流直流分離回路203において直流信号と交流信号に分離される。この直流信号は、前記直流バイアス印加回路130によって印加された直流バイアスに相当する。一方、交流信号は、前記変調回路111から出力された高周波信号に相当する。この高周波信号は、整合回路204を介してアンテナコイル202から放射する。RFIDタグ11は、受信した高周波信号を電源として使用して動作し、応答信号を発する。アンテナコイル202が受信した応答信号は、整合回路204・交流直流分離回路203・同軸ケーブル300・定在波比計測回路150を介して、受信側の増幅回路160に入力される。増幅回路160で増幅された高周波信号は復調回路113により復調される。復調された信号は、タグ通信制御部102に入力される。
【0021】
次に、インピーダンス整合調整の動作について説明する。この読取装置では、制御ユニット100からアンテナユニット200に送出するインピーダンス調整用の制御信号を高周波信号とともに同軸ケーブルを用いて伝送する。該制御信号は直流信号からなり、制御値と電圧値とを対応させている。制御信号生成部170は、定在波比計測回路150で計測される定在波比が最小となるようにフィードバック制御で制御信号を生成する。直流バイアス印加回路130は、制御信号生成部170で生成された制御信号を直流バイアスとして、増幅回路120から出力された高周波信号に印加する。図4は増幅回路120から出力された高周波信号を示す。図5は制御信号生成部170から出力された制御信号を示す。図6は直流バイアス印加回路130から出力された重畳信号を示す。
【0022】
直流バイアスとして制御信号が印加された重畳信号は、アンテナユニット200の交流直流分離回路203において制御信号と高周波信号に分離される。インピーダンス調整回路205は、制御信号の電圧値に基づき、すなわち同軸ケーブル300上の伝送信号の直流バイアス値に基づき、インピーダンス調整回路205の定数を調整する。具体的な回路構成の一例としては、整合回路204に、所定のインピーダンス素子とトランジスタやリレースイッチなどのスイッチ素子との直列回路を1つ又は複数設けておく。そして、インピーダンス調整回路205は、制御信号の電圧値に基づき、前記スイッチ素子のオン・オフを切り替えることにより整合回路204の定数を切り替える。
【0023】
このような読取装置によれば、RFID11との通信用の高周波信号とインピーダンス整合調整用の信号とを1つの同軸ケーブル300で伝送できるので、設置作業性とインピーダンス整合調整機能とを両立することができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図面を参照して説明する。図7は制御ユニットの機能ブロック図、図8はアンテナユニットの機能ブロック図、図9はインピーダンス調整回路の機能ブロック図である。
【0025】
本実施の形態に係る読取装置が第1の実施の形態と異なる点は、制御信号の重畳方式にある。具体的には、高周波信号を一時的に停止させ、該停止時間にデジタル化した制御信号を挿入することにより、1つの同軸ケーブル300で高周波信号と制御信号の双方を伝送する。以下、相違点について詳述する。
【0026】
制御ユニット100は、図7に示すように、増幅回路120からの高周波信号に直流バイアスを印加する直流バイアス印加回路131と、定在波比計測回路150の測定結果に基づきインピーダンス整合調整用の制御信号を生成する制御信号生成部171と、制御信号生成部171で生成された制御信号をデジタル信号化するエンコード部172と、エンコード部172の出力と増幅回路120の出力を混合する混合器173とを備えている。
【0027】
直流バイアス印加回路131におけるバイアス電圧は、前記第1の実施の形態とは異なり一定の電圧である。このバイアス電圧は、アンテナユニット200における各種回路の電源として用いる。制御ユニット100は、第1の実施の形態と同様に、定在波比計測回路150で計測される定在波比が最小となるようにフィードバック制御で制御信号を生成する。また、制御信号生成部171は、タグ通信制御部102から送出許可信号を受信した時のみ、制御信号を送出する。
【0028】
アンテナユニット200は、図8に示すように、交流直流分離回路203で分離された直流信号を安定化させる電源回路210と、交流直流分離回路203で分離された交流信号の高周波帯域を通過させるハイパスフィルタ221と、低周波帯域通過させるローパスフィルタ222と、整合回路204の定数を制御するインピーダンス調整回路230を備えている。ハイパスフィルタ221は、少なくとも増幅回路120からの高周波信号を通過させる。また、ローパスフィルタ222は、少なくともエンコード部172の出力信号を通過させる。すなわち、該ハイパスフィルタ221及びローパスフィルタ222は、RFIDタグ11との通信用の高周波信号と制御信号とを分離させる分離回路として機能する。
【0029】
インピーダンス調整回路230は、図9に示すように、ローパスフィルタ222を通過した信号をデコードして制御信号を取り出すデコード部231と、該デコード部231からの制御信号の値を保持するデータ保持部232と、データ保持部232で保持された制御値に基づき整合回路204の定数を制御する制御部233とを備えている。このインピーダンス調整回路230は、交流直流分離回路203で分離された直流信号、すなわち直流バイアス印加回路131で印加されたバイアス電流を電源として動作する。
【0030】
次に、本実施の形態に係る読取装置におけるインピーダンス整合調整の動作について説明する。タグ通信制御部102は、所定の時間間隔で送信信号の出力を停止する。また、タグ通信制御部102は、送信信号の停止時間内に制御信号生成部171に対して送信許可信号を送出する。直流バイアス印加回路131は、増幅された高周波信号に対して所定のバイアス電圧を印加する。一方、制御信号生成部171は、定在波比計測回路150で計測される定在波比が最小となるようにフィードバック制御で制御信号を生成し、タグ通信制御部102から送信許可信号を受信している時のみ制御信号を出力する。この制御信号は、エンコード部172によりデジタル化され、混合器173において直流バイアス印加回路131の出力信号に混合される。図10は増幅回路120から出力された高周波信号を示す。図11は直流バイアス印加回路131から出力された高周波信号を示す。図12はエンコード部172からの出力信号を示す。図13は混合器から出力された重畳信号を示す。
【0031】
同軸ケーブル300を伝送する重畳信号は、アンテナユニット200の交流直流分離回路203において直流信号と高周波信号に分離される。分離された直流信号は電源回路210において電圧が安定化され、インピーダンス調整回路230に対して電源として供給される。分離された高周波信号のうち、増幅回路120からの出力信号はハイパスフィルタ221及び整合回路204を介してアンテナコイル202に供給される。分離された高周波信号のうちデジタル信号成分は、ローパスフィルタ222を介してインピーダンス調整回路230に入力される。ローパスフィルタ222を通過したデジタル信号は、インピーダンス調整回路230のデコード部231でデコードされて制御信号が取り出される。デコードされた制御信号はデータ保持部232で保持される。制御部233は、データ保持部232で保持されている制御信号に基づき整合回路204の定数を制御する。制御部233によるインピーダンス整合調整の方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0032】
このような読取装置によれば、第1の実施の形態と同様に、RFID11との通信用の高周波信号とインピーダンス整合調整用の信号とを1つの同軸ケーブル300で伝送できるので、設置作業性とインピーダンス整合調整機能とを両立することができる。
【0033】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図面を参照して説明する。図14は制御ユニットの機能ブロック図である。
【0034】
本実施の形態に係る読取装置が第1の実施の形態と異なる点は、制御信号生成部における制御信号の生成方法にある。すなわち、第1の実施の形態では定在波比が最小となるようにフィードバック制御を行っていたが、本実施の形態では所定の校正用RFIDタグの検出状況に基づき制御信号を生成する点で両者は異なる。なお、制御信号の重畳方法については第1の実施の形態と同様である。以下、相違点について説明する。
【0035】
校正用RFIDタグは、読み取り範囲の外縁付近に固設される。本実施の形態では、ショーケースの商品棚の後方上部に校正用RFIDタグを1つ付設した。校正用RFIDタグの仕様は、商品10に付設する通常のRFIDタグ11と同一である。
【0036】
制御ユニット100のタグ通信制御部102は、所定の時間間隔で該校正用RFIDタグの固有番号を指定して、当該校正用RFIDタグの読み取りを試みる。そして、タグ通信制御部102は、校正用RFIDタグが読み取れない場合には、読み取りが成功するまで制御信号生成部175に対してインピーダンス整合調整用の制御信号を可変するよう指示を出す。制御信号生成部175は、タグ通信制御部102からの指示に基づきインピーダンス整合調整用の制御信号を可変させ出力する。この制御信号については第1の実施の形態と同様である。タグ通信制御部102は、校正用RFIDタグの読み取りに成功すると、制御信号生成部175に対して制御用信号を維持するよう指示する。
【0037】
このような読取装置によれば、校正用RFIDタグの検出状況に基づいてインピーダンス調整を行うので読み取りの確実性が向上する。他の作用及び効果については第1の実施の形態と同様である。なお、本実施の形態は、第1の実施の形態の変形例として説明したが、上記第2の実施の形態でも同様の変形が可能である。
【0038】
以上本発明の実施の形態について詳述したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態では、読取装置の設置先としてショーケースについて説明したが、本願発明は使用用途は不問である。
【0039】
また、上記実施の形態では、制御信号の重畳方法として制御信号を直流バイアスとして重畳させる方法や、高周波回路の停止期間にデジタル化信号を重畳させる方法について例示させたが、他の重畳方法を採用してもよい。例えば、振幅変調や周波数変調など種々の方法が考えられる。なお、第1の実施の形態で詳述した直流バイアスを用いる方法は、回路構成が簡便であるという観点から複雑な変調方法を採用したものよりも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】RFIDタグ読取装置の構成図
【図2】第1の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【図3】第1の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図4】増幅回路の出力信号を説明する図
【図5】制御信号を説明する図
【図6】伝送信号を説明する図
【図7】第2の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【図8】第2の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図9】第2の実施の形態に係るインピーダンス調整回路の機能ブロック図
【図10】増幅回路の出力信号を説明する図
【図11】直流バイアスされた出力信号を説明する
【図12】デジタル化制御信号を説明する図
【図13】伝送信号を説明する図
【図14】第3の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【符号の説明】
【0041】
10…商品、11…RFIDタグ、100…制御ユニット、102…タグ通信制御部、130…直流バイス印加回路、150…定在波比計測回路、170…制御信号生成部、200…アンテナユニット、203…直流交流分離回路、204…インピーダンス整合回路、205…インピーダンス調整回路、300…同軸ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグとの通信用のアンテナと、RFIDタグとの通信用信号を処理する高周波回路と、アンテナ及び高周波回路とを接続する信号線とを備えたRFIDタグの読取装置において、
高周波回路からアンテナに出力する高周波信号にインピーダンス調整用の制御信号を重畳する重畳手段と、
信号線を介して重畳手段から入力された重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離する分離手段と、
分離手段により分離された高周波信号をインピーダンス整合させてアンテナに入力する整合回路と、
分離手段により分離された制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御する調整手段とを備えた
ことを特徴とするRFIDタグ読取装置。
【請求項2】
前記重畳手段は制御信号に対応した電圧値の直流信号を高周波信号に重畳し、
前記分離手段はフィルタ回路により高周波信号と制御信号を分離する
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項3】
前記重畳手段は高周波信号の出力を所定時間停止させるとともに該停止時間内にデジタル化した制御信号を出力し、
前記分離手段はフィルタ回路により高周波信号と制御信号を分離し、
前記調整手段は分離手段により分離された制御信号を保持する保持手段を備えるとともに、該保持手段により保持された制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御する
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項4】
前記重畳手段は重畳信号に直流バイアスをかけ、
前記分離手段は重畳信号からバイアス電流を分離するとともに該バイアス電流を電源として前記保持手段に供給する
ことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項5】
信号線における定在波比を検出する検出手段と、
該検出手段により検出された定在波比に基づき前記制御信号を出力する制御手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項6】
所定の校正用RFIDタグを検出する検出手段と、
該検出手段による校正用RFIDタグの検出状況に基づき前記制御信号を出力する制御手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項7】
RFIDタグとの通信用のアンテナと、RFIDタグとの通信用信号を処理する高周波回路と、アンテナ及び高周波回路とを接続する信号線と、アンテナと信号線とをインピーダンス整合させるインピーダンス整合回路を備えたRFIDタグの読取装置の調整方法において、
高周波回路からアンテナに出力する高周波信号にインピーダンス調整用の制御信号を重畳させて信号線に伝送し、
信号線上を伝送した重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離し、
分離した制御信号に基づき整合回路の回路定数を制御する
ことを特徴とするRFIDタグ読取装置の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−191978(P2008−191978A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26763(P2007−26763)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】