説明

RFIDタグ読取装置

【課題】読み取り範囲の広いRFIDタグの読取装置を提供する。
【解決手段】 制御ユニット100はアンテナユニット200を選択する制御信号を生成してアンテナユニット200に伝送し、各アンテナユニット200はアンテナ選択用制御信号に基づき、自身のアンテナユニット200が選択されている場合には整合回路212のインピーダンス整合を図るとともに自身のアンテナユニット200が選択されていない場合には整合回路212のインピーダンス整合を不整合に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流などの分野で流通物に貼付されるRFIDタグから、該RFIDタグに予め設定された固有識別子を非接触で読み取るRFIDタグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のRFIDタグ読取装置(以下単に「読取装置」と言う。)は、RFIDタグとの通信用のアンテナと、該アンテナに接続した高周波回路とが必須の構成要素である。これらの構成要素は、読取装置の使用用途等に応じて種々の実装形態が採用される。例えば特許文献1に示すように、店舗の棚に陳列されている商品に貼付されているRFIDタグを読み取る事を目的とした場合には、棚板の上面又は底面に該棚板とほぼ同面積の薄型のアンテナユニットを付設する。高周波回路は棚の適当な箇所に付設した筐体に収容される。高周波回路とアンテナユニットとは所定の特性インピーダンスを有する同軸ケーブルで接続される。アンテナユニットは、ループアンテナと、インピーダンス整合を図る整合回路とを備えている。このような読取装置では、棚に陳列されている多数の商品についてRFIDタグの固有識別子を順次読み取り、読み取ったデータをコンピュータなどの機器に送信する。
【特許文献1】特開2001−118037
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したように棚に陳列されている商品のRFIDタグを読み取る場合、棚のどの位置に置かれた商品のRFIDタグであるかを認識するために1つの棚に対して複数のアンテナユニットを並べて設置する必要がある。また、棚面積が大きいときにも同様に複数のアンテナユニットを並べて設置する場合がある。さらに、複数のアンテナユニットを並べる替わりに、1つのアンテナユニット内に複数のループアンテナを並べて設ける場合がある。このように複数のアンテナを有する場合、読取装置は各アンテナ毎に読取処理を順次繰り返す。
【0004】
しかし、あるアンテナに対してRFIDタグとの通信のために給電を行うと、該アンテナに隣り合う他のアンテナが干渉して、所望のアンテナによる読み取り範囲が狭まってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、読み取り範囲の広いRFIDタグの読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、RFIDタグとの通信用の複数のアンテナと、RFIDタグとの通信用信号を処理する高周波回路と、アンテナ及び高周波回路とを接続する信号線とを備えたRFIDタグの読取装置において、アンテナ選択用の制御信号を出力する制御手段と、高周波信号のアンテナに対するインピーダンス整合を図る整合手段と、制御手段による制御信号で選択されたアンテナに対して高周波信号のインピーダンス整合を整合させるとともに非選択のアンテナに対しては高周波信号のインピーダンス整合を非整合に制御する整合制御手段とを備え、一のアンテナに対して高周波信号のインピーダンス整合が図られている間は該アンテナと隣り合う他のアンテナに対しては高周波信号のインピーダンス整合を非整合にすることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、複数のアンテナのうち一のアンテナが選択されると当該アンテナのインピーダンス整合が図られ、該アンテナと隣り合う他のアンテナのインピーダンス整合は不整合となる。これにより、一のアンテナにより形成される電磁界が隣り合う他のアンテナと結合することを防止できる。このような結合は、一般的に一のアンテナにより形成される電磁界の形成範囲を狭める。したがって、本発明によれば、RFIDタグの読み取り範囲の狭小化を防止できる。
【0008】
なお、前記整合制御手段の具体的な動作の一例としては、整合手段における回路定数を変更するものが挙げられる。また、本発明の好適な態様の一例としては、整合手段・整合制御手段の組をアンテナ毎に設けたことを特徴とするものが挙げられる。さらに、本発明の好適な態様の他の例としては、複数のアンテナのうち同時に選択されるアンテナ数は1であることを特徴とするものが挙げられる。さらに、本発明の好適な態様の他の例としては、各アンテナはループアンテナからなるとともに一のアンテナのループの一部が隣り合うアンテナのループの一部と重なり合うように配置されていることを特徴とするものが挙げられる。
【0009】
また、本発明の好適な態様の一例としては、さらに、高周波回路からアンテナに出力する高周波信号に前記制御信号を重畳する重畳手段と、信号線を介して重畳手段から入力された重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離し、分離した高周波信号を前記整合回路に供給するとともに分離した制御信号を前記整合制御手段に供給する分離手段とを備えたことを特徴とするものが挙げられる。
【0010】
本発明によれば、アンテナ選択用の制御信号を高周波信号を伝送する信号線に重畳させて伝送させているので、制御信号伝送用の信号線を別途設ける必要がない。これにより、設置性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、複数のアンテナのうち一のアンテナが選択されると当該アンテナのインピーダンス整合が図られ、該アンテナと隣り合う他のアンテナのインピーダンス整合は不整合となる。これにより、一のアンテナにより形成される電磁界が隣り合う他のアンテナと結合することを防止できる。このような結合は、一のアンテナにより形成される電磁界の形成範囲を狭める。したがって、本発明によれば、RFIDタグの読み取り範囲の狭小化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
本願発明の一実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図面を参照して説明する。図1はRFIDタグ読取装置の全体構成図、図2は制御ユニットの機能ブロック図である。
【0013】
本実施の形態に係る読取装置は、ショーケース1に陳列されている商品10に付設されているRFIDタグ11から該RFIDタグ11の固有識別子としての固有番号を読み取る用途で用いるものとする。
【0014】
ショーケース1は、商品10を陳列するための複数段の商品棚2と、商品10を冷却するための冷却機構(図示省略)とを備えている。冷却機構については従来周知のものと同様なのでここでは説明を省略する。各商品棚2の上面には、陳列されている商品10のRFIDタグ11と通信するための複数(本実施の形態では4つ)のアンテナユニット200a〜200dが設けられている。各アンテナユニット200a〜200dは、各商品棚2の上面において左右方向に並んで配置されている。また、ショーケース1は、各アンテナユニット200a〜200dと同軸ケーブル400a〜400dを介して接続した制御ユニット100と、各制御ユニット100を集中制御する集中制御装置300とを備えている。制御ユニット100は、接続する各アンテナユニット200a〜200dを用いてRFIDタグ11から該タグに予め設定されている固有番号を読み取る。集中制御装置300は、各制御ユニット100で読み取ったRFIDタグ11の固有番号を集計し、該集計データを店舗に設置されたコンピュータ50に送信する。本実施の形態に係るRFIDタグの読取装置は、前記制御ユニット100と各アンテナユニット200a〜200dとを同軸ケーブル400a〜400dで接続したものである。
【0015】
制御ユニット100は、図2に示すように、集中制御装置300と接続するための通信インタフェイス101と、RFIDタグ11との通信を制御するタグ通信制御部102と、タグ通信制御部102の出力信号を高周波信号に変調する変調回路111と、搬送波を生成する発振回路112と、高周波信号を増幅する増幅回路120と、増幅回路120からの高周波信号に直流バイアスを印加する直流バイアス印加回路130とを備えている。また、制御ユニット100は、各アンテナユニット200a〜200dから受信した高周波信号を増幅する増幅回路140と、高周波信号から通信信号を復調する復調回路113とを備えている。さらに、制御ユニット100は、アンテナユニット200a〜200dの選択用の制御信号を生成する制御信号生成部150を備えている。なお、前記変調回路111・復調回路113・発振回路112は、専用の通信用IC110に実装されている。
【0016】
制御信号生成部150は、タグ通信制御部102からアンテナユニット200a〜200dの選択指示に基づきアンテナ選択用の制御信号を生成・送出する。該アンテナ選択用の制御信号は、各アンテナユニット200a〜200dに対応した電圧値の直流信号であり、各アンテナユニット200a〜200dに対応した電圧値はそれぞれ異なる値である。直流バイアス印加回路130は、制御信号生成部150による制御信号の電圧値で、増幅回路120からの高周波信号に直流バイアスを印加する。換言すれば、直流バイアス印加回路130は、制御信号を高周波信号に重畳させている。
【0017】
次に各アンテナユニット200a〜200dの構成について図3及び図4を参照して説明する。図3はアンテナユニットの内部の構造を説明する上面図、図4はアンテナユニットの機能ブロック図である。なお、各アンテナユニット200a〜200dは同一であるため、図3及び図4では符号の添え字は省略した。
【0018】
図3に示すように、アンテナユニット200は、薄箱状の筐体201の内部に設けたループアンテナ202と、ループアンテナ202が接続された整合回路ユニット210とを備えている。ループアンテナ202は、例えば銅箔や銅線等の金属部材からなり、筐体201の内縁部にそって矩形を描くように配置されている。整合回路ユニット210にはコネクタ(図示省略)を介して同軸ケーブル400が接続されている。
【0019】
図4に示すように、整合回路ユニット210は、交流直流分離回路211と、整合回路212と、制御信号を識別する制御信号識別回路213と、整合回路212の定数制御を行うインピーダンス調整回路214とを備えている。
【0020】
交流直流分離回路211は、制御ユニット100から受信した信号を直流成分と交流成分とに分離する。分離された直流成分の電圧は、制御ユニット100の直流バイアス印加回路130で印加されたバイアス値となる。このバイアス値は、前述したようにアンテナ選択用の制御信号の電圧値である。一方、分離された交流成分は、送信側の増幅回路120から出力された高周波信号である。したがって、交流直流分離回路211は、高周波信号とアンテナ選択用の制御信号の分離回路として機能する。
【0021】
制御信号識別回路213は、交流直流分離回路211により分離されたアンテナ選択用制御信号が、自身のアンテナユニット200を選択したものであるかを識別する。具体的には、各アンテナユニット200a〜200dの制御信号識別回路213は、自身のアンテナユニットに対応する制御信号の電圧値を定数として保持しており、該電圧値とアンテナ選択用制御信号を比較回路等を用いて比較することにより識別処理を行う。
【0022】
インピーダンス調整回路214は、制御信号識別回路213においてアンテナ選択用制御信号が自身のアンテナユニット200に対応するものである場合には、ループアンテナ202のインピーダンス整合がとれるよう整合回路212の回路定数を制御する。一方、インピーダンス調整回路214は、制御信号識別回路213においてアンテナ選択用制御信号が自身のアンテナユニット200に対応するものでない場合には、ループアンテナ202のインピーダンス整合が不整合となるよう整合回路212の回路定数を制御する。
【0023】
次に、集中制御装置300について図5を参照して説明する。図5は集中制御装置の機能ブロック図である。集中制御装置300は、図5に示すように、制御ユニット100と接続するための通信インタフェイス301と、コンピュータ50と接続するための通信インタフェイス302と、各制御ユニット100から受信したRFIDタグ11の固有番号を集計してコンピュータ50に送信する中継処理部303と、該中継処理部303において固有番号の集計処理で用いられる記憶部304とを備えている。中継処理部303は、接続する制御ユニット100に対してデータ送信を順次要求し、各制御ユニット100からRFIDタグ11の固有番号を受信し、記憶部304に一時的に記憶する。そして、中継処理部303は、記憶部304に記憶されている情報をコンピュータ50に送信する。ここで、中継処理部303は、記憶データに変更があった場合にのみ当該データをコンピュータ50に送信する。すなわち、中継処理部303は、差分情報のみをコンピュータ50に送信する。
【0024】
次に、この読取装置におけるRFIDタグ11の読み取り動作について説明する。まず、タグ通信制御部102は、制御信号生成部150に対してアンテナユニット200a〜200dの何れかを選択指示する。ここではアンテナユニット200aが選択されたものとする。タグ通信制御部102は、RFIDタグ11との通信用プロトコルに則って通信電文を出力する。タグ通信制御部102の出力信号は、変調回路111によって、発振回路112から供給される搬送波に変調される。変調回路111から出力される高周波信号は、増幅回路120により増幅される。一方、制御信号生成部150は、タグ通信制御部102からの選択指示に基づき、選択されたアンテナユニット200aに対応する電圧値の制御信号を出力する。これにより、増幅回路120からの高周波信号は、直流バイアス印加回路130においてアンテナ選択用制御信号の電圧値の分だけ直流バイアスがかけられる。直流バイアス印加回路130から出力される高周波信号は、同軸ケーブル400を介して各アンテナユニット200a〜200dに伝送される。なお、図6に増幅回路120から出力された高周波信号を示す。また、図7に制御信号生成部150から出力された制御信号を示す。また、図8は直流バイアス印加回路130から出力された伝送信号を示す。
【0025】
各アンテナユニット200a〜200dに伝送された高周波信号は、交流直流分離回路211において直流信号と交流信号に分離される。この直流信号は、前記直流バイアス印加回路130によって印加された直流バイアス、すなわちアンテナ選択用制御信号に相当する。そしてアンテナ選択用制御信号の電圧値はアンテナユニット200a〜200dの何れかに対応する。制御信号識別回路213は、このアンテナ選択用制御信号の電圧値に基づき自身のアンテナユニットに対応するものであるかを識別する。そして、自身のアンテナユニットが選択されていると識別された場合、インピーダンス調整回路214により整合回路212はループアンテナ202とのインピーダンス整合が図られる。一方、他のアンテナユニットが選択されていると識別された場合、インピーダンス調整回路214によって整合回路212はループアンテナ202とのインピーダンス整合が不整合となる。これにより、自身のアンテナユニットが選択されている場合、交流直流分離回路211において分離された高周波信号はループアンテナ202から放射される。一方、自身のアンテナユニットが選択されている場合、高周波信号のループアンテナ202から放射はRFIDタグ11との通信が不可能な程度まで弱められる。
【0026】
高周波信号を受信したRFIDタグ11は、該高周波信号を電源として使用して動作し、応答信号を発する。この応答信号はアンテナユニット200aのループアンテナ202により受信される。ループアンテナ202が受信した応答信号は、整合回路212・交流直流分離回路211・同軸ケーブル400を介して、受信側の増幅回路140に入力される。増幅回路140で増幅された高周波信号は復調回路113により復調される。復調された信号は、タグ通信制御部102に入力される。
【0027】
以上のような動作により1つのアンテナユニット200aを用いたRFIDタグ11との通信処理が完了する。タグ通信制御部102は、選択するアンテナユニット200aを他のアンテナユニット200b〜200dに順次切り替えて上記処理を繰り返すことにより、全てのアンテナユニット200a〜200dを用いた通信処理を行うことができる。
【0028】
ここで注目すべき点は、選択中のアンテナユニット200a〜200dと隣り合う他のアンテナユニット200a〜200dでは整合回路212のインピーダンス整合が不整合となっているため、選択中のアンテナユニット200a〜200dのループアンテナ202により形成される電磁界は、他のアンテナユニット200a〜200dのループアンテナ202による影響を受けづらいことにある。これにより各アンテナユニット200a〜200dにおけるRFIDタグ11の読み取り範囲の狭小化を防止できる。
【0029】
このように本実施の形態に係るRFIDタグの読取装置によれば、複数のアンテナユニット200a〜200dを有する場合であっても、読み取り処理で用いるアンテナユニットと他のアンテナユニットとの干渉を防止できるので読み取り範囲の狭小化を防止できる。また、本実施の形態に係るRFIDタグの読取装置では、RFIDタグ11との通信用の高周波信号とアンテナ選択用制御信号とを1つの同軸ケーブル400で伝送できるので設置作業性が向上する。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図9を参照して説明する。図9はアンテナユニットの機能ブロック図である。
【0031】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、アンテナユニットの構成にある。他の構成については第1の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0032】
このアンテナユニット200は、第1の実施の形態と同様に、ループアンテナ202と、整合回路ユニット210とを備えている。整合回路ユニット210は、交流直流分離回路211と、整合回路212と、制御信号を識別する制御信号識別回路213と、整合回路212とループアンテナ202との高周波帯域における電気的接続をオン・オフするスイッチ回路215と、スイッチ回路215を制御するスイッチ制御回路216とを備えている。交流直流分離回路211、制御信号識別回路213については第1の実施の形態と同様である。整合回路212は、スイッチ回路215によりループアンテナ202が接続された際にインピーダンス整合が図れるように調整されている。
【0033】
スイッチ回路215は、例えばトランジスタなどのスイッチング素子を有しており、ループアンテナ202の両端子のうち両方又は片方の接続をオン・オフする。ここで接続を解除した際にはループアンテナ202の少なくとも一方の端子がオープンな状態となる。これはループアンテナ202とのインピーダンス整合を不整合にしたものと解釈できる点に注意されたい。
【0034】
スイッチ制御回路216は、制御信号識別回路213においてアンテナ選択用制御信号が自身のアンテナユニット200に対応するものである場合には、ループアンテナ202が接続されるようスイッチ回路215を制御する。一方、スイッチ制御回路216は、制御信号識別回路213においてアンテナ選択用制御信号が自身のアンテナユニット200に対応するものでない場合には、ループアンテナ202との接続が断となるようスイッチ回路215を制御する。
【0035】
本実施の形態に係るRFIDタグの読取装置によれば、第1の実施の形態と同様に、複数のアンテナユニット200a〜200dを有する場合であっても、読み取り処理で用いるアンテナユニットと他のアンテナユニットとの干渉を防止できるので読み取り範囲の狭小化を防止できる。また、本実施の形態に係るRFIDタグの読取装置では、RFIDタグ11との通信用の高周波信号とアンテナ選択用制御信号とを1つの同軸ケーブル400で伝送できるので設置作業性が向上する。
【0036】
なお上記スイッチ回路215はループアンテナ202の端子の両方又は片方を切断していたが、ループアンテナ202におけるループの中間点を切断するようにしてもよい。
【0037】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図10及び図11を参照して説明する。図10は制御ユニットの機能ブロック図、図11はアンテナユニットの機能ブロック図である。
【0038】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、アンテナ選択用制御信号の伝送方法にある。他の構成については第1の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0039】
制御ユニット100は、図10に示すように、集中制御装置300と接続するための通信インタフェイス101と、RFIDタグ11との通信を制御するタグ通信制御部102と、タグ通信制御部102の出力信号を高周波信号に変調する変調回路111と、搬送波を生成する発振回路112と、高周波信号を増幅する増幅回路120とを備えている。また、制御ユニット100は、各アンテナユニット200a〜200dから受信した高周波信号を増幅する増幅回路140と、高周波信号から通信信号を復調する復調回路113とを備えている。さらに、制御ユニット100は、アンテナユニット200a〜200dの選択用の制御信号を生成する制御信号生成部151を備えている。
【0040】
制御信号生成部151は、タグ通信制御部102からアンテナユニット200a〜200dの選択指示に基づきアンテナ選択用の制御信号を生成・送出する。該アンテナ選択用の制御信号は、各アンテナユニット200a〜200dに対応したデジタル信号である。制御信号生成部151の出力信号は、各アンテナユニット200a〜200dに対応した制御信号用ケーブル410a〜410dにより、各アンテナユニット200a〜200dに伝送される。なお、制御信号用ケーブル410a〜410dには、各アンテナユニット200a〜200d用の直流電源ライン(図示省略)が含まれる。すなわち、制御ユニット100は、各アンテナユニット200a〜200dに対して直流電源を供給している。
【0041】
アンテナユニット200の整合回路ユニット210は、図11に示すように、整合回路212と、制御信号を識別する制御信号識別回路213と、整合回路212の定数制御を行うインピーダンス調整回路214とを備えている。整合回路212には同軸ケーブル400が直接接続されている。また、制御信号識別回路213には制御信号用ケーブル410が直接接続されている。さらに、制御信号用ケーブル410に収容されている電源ラインは、制御信号識別回路213やインピーダンス調整回路214に接続されている。
【0042】
制御信号識別回路213は、制御信号用ケーブル410により伝送されたデジタル化されたアンテナ選択用制御信号が、自身のアンテナユニット200を選択したものであるかを識別する。
【0043】
本実施の形態に係るRFIDタグ読取装置では、第1の実施の形態と比較して、制御ユニット100とアンテナユニット200間の配線量が多くなる一方で、制御ユニット100やアンテナユニット200の回路を簡素化できる。その他の作用・効果は第1の実施の形態と同様である。
【0044】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の変形例として説明したが、第2の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置においても同様の変形を適用することができる。
【0045】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置について図12及び図13を参照して説明する。図12は制御ユニットの機能ブロック図、図13はアンテナユニットの機能ブロック図である。
【0046】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、アンテナ選択用制御信号の伝送方法にある。また、本実施の形態が第3の実施の形態と異なる点は、アンテナユニットへの電源供給方法にある。他の構成については第1及び第3の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0047】
制御ユニット100は、図12に示すように、集中制御装置300と接続するための通信インタフェイス101と、RFIDタグ11との通信を制御するタグ通信制御部102と、タグ通信制御部102の出力信号を高周波信号に変調する変調回路111と、搬送波を生成する発振回路112と、高周波信号を増幅する増幅回路120と、増幅回路120からの高周波信号に直流バイアスを印加する直流バイアス印加回路131とを備えている。また、制御ユニット100は、各アンテナユニット200a〜200dから受信した高周波信号を増幅する増幅回路140と、高周波信号から通信信号を復調する復調回路113とを備えている。さらに、制御ユニット100は、アンテナユニット200a〜200dの選択用の制御信号を生成する制御信号生成部151を備えている。
【0048】
直流バイアス印加回路131は、増幅回路120からの高周波信号に直流バイアスを印加する。この直流バイアスの電圧値は、第1の実施の形態とは異なり所定の値である。該直流バイアスはアンテナユニット200a〜200dにおける電源として用いられる。
【0049】
制御信号生成部151は、タグ通信制御部102からアンテナユニット200a〜200dの選択指示に基づきアンテナ選択用の制御信号を生成・送出する。該アンテナ選択用の制御信号は、各アンテナユニット200a〜200dに対応したデジタル信号である。制御信号生成部151の出力信号は、各アンテナユニット200a〜200dに対応した制御信号用ケーブル420a〜420dにより、各アンテナユニット200a〜200dに伝送される。
【0050】
アンテナユニット200の整合回路ユニット210は、図13に示すように、交流直流分離回路211と、整合回路212と、制御信号を識別する制御信号識別回路213と、整合回路212の定数制御を行うインピーダンス調整回路214とを備えている。整合回路212には同軸ケーブル400が直接接続されている。また、制御信号識別回路213には制御信号用ケーブル420が直接接続されている。
【0051】
交流直流分離回路211は、制御ユニット100から受信した信号を直流成分と交流成分とに分離する。分離された直流成分の電圧は、制御ユニット100の直流バイアス印加回路131で印加されたバイアス値となる。分離された直流信号は、制御信号識別回路213やインピーダンス調整回路214に電源として供給される。一方、分離された交流成分は、送信側の増幅回路120から出力された高周波信号であり、該高周波信号は整合回路212に入力される。
【0052】
本実施の形態に係るRFIDタグ読取装置では、第1の実施の形態と比較して、制御ユニット100とアンテナユニット200間の配線量が多くなる一方で、制御ユニット100やアンテナユニット200の回路を簡素化できる。その他の作用・効果は第1の実施の形態と同様である。
【0053】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態の変形例として説明したが、第2の実施の形態に係るRFIDタグの読取装置においても同様の変形を適用することができる。
【0054】
以上本発明の実施の形態について詳述したが本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態では、読取装置の設置先としてショーケースについて説明したが、本願発明は使用用途は不問である。
【0055】
また、上記各実施の形態では複数のアンテナユニット200a〜200dのうち1つのアンテナユニットのみを選択してたが、複数のアンテナユニットを同時に選択するようにしてもよい。ただし、この場合には、隣り合うアンテナユニットが同時に選択されないよう、各アンテナユニットを設定する必要がある。
【0056】
また、上記実施の形態では、1つのアンテナユニット200には1つのループアンテナ202のみ備えており、複数のアンテナユニット200a〜200dを商品棚2上に並設していたが、1つのアンテナユニット200内に複数のループアンテナを設けるようにしてもよい。このような変形例について図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15はアンテナユニットの内部の構造を説明する上面図である。なお、図14では各ループアンテナ202の配置を明確にするために、実線・点線・一点鎖線・二点鎖線を用いている。同様に図15では各ループアンテナ202の配置を明確にするために、実線・点線を用いている。
【0057】
例えば図14に示すアンテナユニット200は、筐体201内にループアンテナ202と整合回路ユニット210の組を4つ配置している。各ループアンテナ202は、筐体201の底面をマトリクス状に4分割した各分割領域に配置されている。ここで、隣り合うループアンテナ202の少なくとも一部は互いに重なり合うように配置されている。なお、整合回路ユニット210は上記実施の形態と同様である。
【0058】
また例えば図15に示すアンテナユニット200は、筐体201内にループアンテナ202と整合回路ユニット210の組を2つ配置している。各ループアンテナ202は、筐体201の底面を長手方向に2分割した各分割領域に配置されている。各ループアンテナ202は、中央部をねじることにより2つのループを形成した「8の字」形状となっている。このとき各ループにより形成される電磁界は互いに逆方向となっている。また、2つのループアンテナ202は、少なくとも一部が互いに重なり合うように配置されている。
【0059】
図14及び図15に示したアンテナユニット200は、図3で示したアンテナユニット200と比較して、ループアンテナ202の配線が筐体201の中央部にも配置されているので、読み取り範囲が安定化するという利点を有する。
【0060】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、制御信号の重畳方法として、制御信号に対応する電圧値の直流バイアスを高周波回路にかける方法を例示したが、他の重畳方法を採用してもよい。例えば、振幅変調、周波数変調、高周波信号を所定期間停止させて該停止期間内にデジタル信号を伝送する方法など種々の方法が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態に係るRFIDタグ読取装置の構成図
【図2】第1の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【図3】第1の実施の形態に係るアンテナユニットの内部構造を説明する上面図
【図4】第1の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図5】第1の実施の形態に係る集中制御装置の機能ブロック図
【図6】増幅回路の出力信号を説明する図
【図7】制御信号を説明する図
【図8】伝送信号を説明する図
【図9】第2の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図10】第3の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【図11】第3の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図12】第4の実施の形態に係る制御ユニットの機能ブロック図
【図13】第4の実施の形態に係るアンテナユニットの機能ブロック図
【図14】他の例に係るアンテナユニットの内部構造を説明する上面図
【図15】他の例に係るアンテナユニットの内部構造を説明する上面図
【符号の説明】
【0062】
10…商品、11…RFIDタグ、100…制御ユニット、102…タグ通信制御部、130,131…直流バイアス印加回路、150,151…制御信号生成部、200…アンテナユニット、202…ループアンテナ、210…整合回路ユニット、211…直流交流分離回路、212…整合回路、213…制御信号識別回路、214…インピーダンス調整回路、215…スイッチ回路、216…スイッチ制御回路、400…同軸ケーブル、410,420…制御信号用ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグとの通信用の複数のアンテナと、RFIDタグとの通信用信号を処理する高周波回路と、アンテナ及び高周波回路とを接続する信号線とを備えたRFIDタグの読取装置において、
アンテナ選択用の制御信号を出力する制御手段と、
高周波信号のアンテナに対するインピーダンス整合を図る整合手段と、
制御手段による制御信号で選択されたアンテナに対して高周波信号のインピーダンス整合を整合させるとともに非選択のアンテナに対しては高周波信号のインピーダンス整合を非整合に制御する整合制御手段とを備え、
一のアンテナに対して高周波信号のインピーダンス整合が図られている間は該アンテナと隣り合う他のアンテナに対しては高周波信号のインピーダンス整合を非整合にする
ことを特徴とするRFIDタグ読取装置。
【請求項2】
前記整合制御手段は整合手段における回路定数を変更する
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項3】
整合手段・整合制御手段の組をアンテナ毎に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項4】
複数のアンテナのうち同時に選択されるアンテナ数は1である
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項5】
各アンテナはループアンテナからなるとともに一のアンテナのループの一部が隣り合うアンテナのループの一部と重なり合うように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項6】
高周波回路からアンテナに出力する高周波信号に前記制御信号を重畳する重畳手段と、
信号線を介して重畳手段から入力された重畳信号を高周波信号及び制御信号に分離し、分離した高周波信号を前記整合回路に供給するとともに分離した制御信号を前記整合制御手段に供給する分離手段とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ読取装置。
【請求項7】
前記分離手段・整合手段・整合制御手段の組をアンテナ毎に設けた
ことを特徴とする請求項6記載のRFIDタグ読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−230512(P2009−230512A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75739(P2008−75739)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】