RFIDタグ
【課題】被取付物の運搬時や保管時には厚みが薄くなる状態に変形し、送受信時には金属面との間に充分な間隔を確保する状態に復元し得るRFIDタグを提供する。
【解決手段】金属製の被取付物7の外面9に取付けられる取付板部4と、RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5と、該担持板部5を前記取付板部4から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部6とからなるインレット保持体3を備えた構成とした。これにより、担持板部5の表面側からの外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形すると、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となる一方、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態に復帰させることができる。
【解決手段】金属製の被取付物7の外面9に取付けられる取付板部4と、RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5と、該担持板部5を前記取付板部4から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部6とからなるインレット保持体3を備えた構成とした。これにより、担持板部5の表面側からの外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形すると、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となる一方、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態に復帰させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の被取付物に取付けて使用するRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)システムで用いられる非接触型ICタグ等のRFIDタグは、ICチップとアンテナとを備えてなり、入出力装置(リーダ・ライタ)との間で電磁波を利用して非接触でコマンド,データ等の信号を送受信し得る機能がある。このRFIDタグは、入出力装置側のアンテナが放射する有効電磁波ゾーンに進入すると、RFIDタグのアンテナが誘導起電力を生成し、該電力により動作状態となって入出力装置からのコマンド,データ等の信号を検出するとともに、そのコマンド信号に従ってICチップが具備するデータの読み書きが可能なメモリに受信データを格納したり、メモリに格納されているデータを入出力装置に送信するものであり、小型軽量で取扱い性に優れているため、近年、交通・レジャー分野,物流分野,セキュリティー分野,工場生産分野,環境分野,その他の幅広い分野で導入が進められている。
【0003】
このようなRFIDタグは、金属製の被取付物に直接取付けると、送受信機能が極端に低下したり、送受信不能となることが知られている。そこで、従来はRFIDタグの裏面に合成樹脂やゴムからなる非金属製のスペーサを配設し、該スペーサを介してRFIDタグを金属製の被取付物に取付けることにより、RFIDタグのアンテナと金属面とを離間させて送受信機能の低下を抑制するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9205号公報(「0004」、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようにスペーサを用いる場合、送受信機能の低下を抑制するためには、スペーサの厚みを大きくしてRFIDタグのアンテナと金属面との間に充分な間隔を確保する必要があるが、スペーサの厚みを大きくすると該スペーサを含むRFIDタグ全体のサイズが大きくなり、これが被取付物の外面から突出するため、被取付物の運搬時や保管時に嵩張ってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、被取付物の運搬時や保管時には厚みが薄くなる状態に変形し、送受信時には金属面との間に充分な間隔を確保する状態に復元し得るRFIDタグを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体とを備えてなることを特徴とするRFIDタグである。
【0008】
ここで、RFIDインレットは、ICチップとアンテナとを合成樹脂シート上に担持して構成したり、ICチップとアンテナとを合成樹脂シート上に担持し、これを合成樹脂の外装体で被覆して構成され得る。
【0009】
前記RFIDタグにあって、復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる構成が提案される。
【0010】
また、インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えている構成が提案される。
【0011】
また、担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えている構成が提案される。
【0012】
さらに、担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えている構成が提案される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述したように、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体とを備えてなるRFIDタグであるから、インレット保持体の取付板部を金属製の被取付物の外面に取付けることにより、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部を被取付物の外面から所定間隔で離間させて保持することができる。このような担持板部が金属製の被取付物の外面から所定間隔で離間して保持される定常状態にあっては、RFIDインレットと金属面との間に所定の間隔が確保されて送受信機能の低下が抑制されるため、RFIDインレットによるデータの送受信を支障なく行わせることができる。一方、被取付物の運搬時や保管時においては、RFIDタグが取付けられた被取付物の外面を、RFIDタグを介して他の被取付物の外面やトラックの荷台の壁面或いは建造物の壁面に押し当てると、担持板部の表面側から加わる外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形し、担持板部が取付板部に近接する退避状態となる。これによりRFIDタグの厚みが薄くなり被取付物の外面からの突出幅が小さくなるため、RFIDタグの厚さに起因する被取付物の嵩張りを解消することができる。また、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって、担持板部が取付板部から所定間隔で離間する定常状態に自動的に復帰させることができる。
【0014】
前記RFIDタグにあって、復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる構成にあっては、復元スペーサー板部に良好な圧縮変形作用と、その圧縮変形による良好な弾発力発生作用を生じさせることができる。
【0015】
また、インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えている構成にあっては、退避状態と定常状態とに変化するインレット保持体の状態変化に保護カバー体をその弾性変形作用を介して追従させることができ、該保護カバー体によって、インレット保持体に側方から加わる衝撃と、インレット保持体内への異物の侵入とを防止することができるとともに、担持板部に担持されたRFIDインレットを保護することができる。
【0016】
また、担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えている構成にあっては、該補助付勢手段によって担持板部を退避状態から定常状態へ迅速かつ確実に復帰させることができる。
【0017】
さらに、担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えている構成にあっては、被取付物の運搬時や保管時以外でも、RFIDインレットによるデータの送受信を行う必要がないときには、ストッパーによって担持板部を退避状態に保持することにより、RFIDタグが被取付物の外面から大きく突出しないため、定常状態において被取付物の外面から突出したRFIDタグが周辺のものと衝突することによって発生するRFIDタグの脱落或いは破損や故障を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施例にかかるRFIDタグ1Aの外観斜視図である。
【図2】被取付物7の外面9に取付けられたRFIDタグ1Aを示し、(A)は定常状態、(B)は退避状態の縦断面図である。
【図3】RFIDタグ1Aの使用時における作用説明図である。
【図4】第一実施例の第一の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aの外観斜視図である。
【図5】第一実施例の第二の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、(A)は外観斜視図、(B)は被取付物7の外面9に取付けた状態の縦断面図である。
【図6】第一実施例の第三の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、一対の弾性枠体10A,10Aによって取付板部4と復元スペーサー板部6とを構成した状態の外観斜視図である。
【図7】第一実施例の第四の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、(A)は一対の弾性体10B,10Bによって取付板部4と復元スペーサー板部6とを構成した状態の外観斜視図、(B)は各弾性体10Bの矩形状底板部分12に取付板部4を配設した状態の外観斜視図である。
【図8】第二実施例にかかるRFIDタグ1Bを示し、インレット保持体3と保護カバー体13とを分離した状態の外観斜視図である。
【図9】(A)は同上のRFIDタグ1Bの定常状態の縦断面図、(B)は退避状態の縦断面図である。
【図10】第三実施例にかかるRFIDタグ1Cを示し、(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図11】第四実施例にかかるRFIDタグ1Dを示し、(A)は外観斜視図、(B)は退避状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の第一実施例を、図1〜図3に基づいて説明する。
RFIDタグ1Aは、RFIDインレット2と、該RFIDインレット2を保持するインレット保持体3とを備えている。
【0020】
RFIDインレット2は、ICチップと、該ICチップに電気的に接続されたアンテナとを備えており、該ICチップとアンテナとが合成樹脂製の絶縁シート上に配設されている。このRFIDインレット2は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ)との間で電磁波を利用してコマンド,データ等の信号を非接触で送受信し得る非接触型の電池レスタイプとなっている。尚、RFIDインレット2は、ICチップとアンテナとを絶縁シート上に配設し、これを合成樹脂の外装体で被覆したものであってもよい。また、RFIDインレット2は、HF帯域(例えば13.56MHz),UHF帯域(例えば953MHzや2.45GHz)等の何れの帯域で作動するものであってもよい。
【0021】
インレット保持体3は、金属製の被取付物7(図2参照)の外面9に取付けられる取付板部4と、前記RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5と、該担持板部5を前記取付板部4から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる復元スペーサー板部6とからなる。
【0022】
前記担持板部5は、硬質合成樹脂、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムを用いて平板矩形状に形成されており、該担持板部5の裏面にRFIDインレット2が接着剤または粘着テープにより固定されて担持されている。一方、前記取付板部4は、硬質合成樹脂、弾性を有する合成樹脂または合成ゴム或いは金属板を用いて担持板部5と同一形状に形成されており、その裏面に設けられた粘着層8(図2参照)によって前記被取付物7の外面9に取付けられるようになっている。この粘着層8には剥離紙(図示省略)が剥離可能に被着されており、被取付物7の外面9に取付けられるまでの間、該剥離紙によってその粘着面が保護されている。尚、粘着層8は、取付板部4の裏面に粘着剤を塗布して設けたり、両面粘着テープを貼着することによって設けられ得る。また、この粘着層8に代えて、取付板部4に磁石を配設し、該磁石の磁力によって金属製の被取付物7の外面9に吸着させるようにしてもよい。さらに、取付板部4を鉄板等の強磁性体で形成した場合には、該強磁性体に着磁処理を施してもよい。
【0023】
復元スペーサー板部6は、前記取付板部4と担持板部5間に設けられており、この第一実施例では、取付板部4と担持板部5の上下で対向する各辺縁を繋ぐようにして、側部の四箇所に夫々配設されている。各復元スペーサー板部6は、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムの板状体によって、外方に突出する断面く字形に形成されている。ここで、弾性を有する合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP),ポリアセタール(POM),ポリカーボネート(PC),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が適用され、これらの中でも硬質で引張り強さ,曲げ強さ,圧縮強さ及び弾性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)が好適に用いられ得る。また、合成ゴムとしては、ウレタンゴム,シリコーンゴム,スチレン‐ブタジエンゴム(SBR),ニトリル‐ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム等が用いられ得る。
【0024】
尚、復元スペーサー板部6は、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる取付板部4及び/または担持板部5と一体形成するようにしてもよい。
【0025】
インレット保持体3は、担持板部5の表面側からの外力を受けない定常状態にあっては、図2(A)に示すように、担持板部5が復元スペーサー板部6によって取付板部4から所定間隔で離間して保持されている。そして、担持板部5の表面側から外力を受けると、図2(B)に示すように、復元スペーサー板部6が圧縮変形し、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となる。また、担持板部5の表面側からの外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって、図2(A)に示すように、担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態に復帰する。尚、定常状態において担持板部5が取付板部4から離間する間隔は1cm程度に設定することが好ましい。
【0026】
図3(A)に、被取付物7としての金属製コンテナの側壁の外面9にRFIDタグ1Aを取付けた状態を示す。この状態にあっては、RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5が被取付物7の外面9から所定間隔で離間して保持される定常状態(図2(A)参照)となり、送受信機能の低下が抑制されるため、RFIDインレット2によるデータの送受信を支障なく行わせることができる。
【0027】
一方、被取付物7の運搬時や保管時においては、図3(B)に示すように、RFIDタグ1Aが取付けられた被取付物7の外面9を、RFIDタグ1Aを介して他の被取付物7の外面9やトラックの荷台の壁面21(或いは建造物の壁面)に押し当てると、担持板部5の表面側から加わる外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形し、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態(図2(B)参照)となる。これによりRFIDタグ1Aの厚みが薄くなり被取付物7の外面9からの突出幅が小さくなるため、RFIDタグ1Aの厚さに起因する被取付物7の嵩張りを解消することができる。また、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって、担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態(図2(A)参照)に自動的に復帰させることができる。
【0028】
図4は、第一実施例の第一の変形実施例を示し、この第一の変形実施例は、取付板部4と担持板部5の辺縁を繋ぐ復元スペーサー板部6を、前後方向または左右方向で対向する側部の二箇所に配設したものである。このように復元スペーサー板部6は、前後方向または左右方向で対向する側部の二箇所に少なくとも一対で設けられていればよい。
【0029】
図5は、第一実施例の第二の変形実施例を示し、この第二の変形実施例は、図5(A)に示すように、担持板部5の前後方向または左右方向で対向する二辺縁に復元スペーサー板部6を一対で配設し、各復元スペーサー板部6の下端に帯板状の取付板部4を連成したものである。このように取付板部4は必ずしも担持板部5と同一形状に形成する必要はなく、インレット保持体3を金属製の被取付物7(図5(B)参照)の外面9に取付け得る形状であればよい。
【0030】
図6は、第一実施例の第三の変形実施例を示し、この第三の変形実施例は、担持板部5の裏面の前後または左右の二箇所に、弾性を有する合成樹脂板または合成ゴム板を用いて形成した断面略六角形を呈する弾性枠体10A,10Aを夫々配設したものであって、各弾性枠体10Aの天板部11が担持板部5の裏面に接合されており、各弾性枠体10Aの矩形状底板部分を取付板部4とし、く字形に屈曲して取付板部4と天板部11を繋ぐ二つのく字形に屈曲した帯板部分を復元スペーサー板部6としたものである。尚、弾性枠体10Aは、担持板部5の裏面の前後及び左右の四箇所に配設することも可能である。
【0031】
かかる構成にあっても、インレット保持体3は、担持板部5の表面側からの外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形して担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間して定常状態に復帰するものとなる。
【0032】
図7(A)は、第一実施例の第四の変形実施例を示し、この第四の変形実施例は、担持板部5の裏面の前後または左右の二箇所に、弾性を有する合成樹脂板または合成ゴム板を用いて形成した断面略Z字形を呈する一対の弾性体10B,10Bを夫々配設したものであって、各弾性体10Bの天板部11が担持板部5の裏面に接合されており、各弾性体10Bの矩形状底板部分を取付板部4とし、該取付板部4と天板部11を繋ぐ傾斜した帯板部分を復元スペーサー板部6としたものである。尚、一対の弾性体10B,10Bは、担持板部5の裏面の前後及び左右の四箇所に配設することも可能である。また、図7(B)に示すように、各弾性体10Bの矩形状底板部分12を、担持板部5と同一形状に形成した取付板部4に接合する構成とすることも可能である。
【0033】
尚、前記第一実施例及び各変形実施例にあって、インレット保持体3は矩形の立体形状に限定されるものではなく、その他の円形,三角形,多角形等の立体形状としてもよい。
【0034】
図8,図9は、第二実施例を示し、この第二実施例のRFIDタグ1Bは、インレット保持体3の側部を覆う保護カバー体13を備えている。保護カバー体13は、担持板部5の上面に固着される基板部14の四辺縁から斜め下方に延成されてインレット保持体3の側部を囲繞する截頭角錐状の傾斜板部15を備えており、該傾斜板部15の四箇所のコーナー部分が切込み16によって分断されている。傾斜板部15は、担持板部5が取付板部4から離間して保持される定常状態(図9(A)参照)にあるときに、金属製の被取付物7の外面9に当接する長さに形成されている。この保護カバー体13の素材には、上述した弾性変形可能な合成樹脂や合成ゴムが用いられる。尚、このような保護カバー体13を設ける場合には、RFIDインレット2を担持板部5の表面側に固定することも可能である。
【0035】
かかる構成にあって、インレット保持体3が退避状態(図9(B)参照)と定常状態(図9(A)参照)とに選択的に変化すると、保護カバー体13がその弾性変形作用を介してインレット保持体3の状態変化に追従する。これにより、インレット保持体3の側部を保護カバー体13によって常時覆うことができるため、インレット保持体3に側方から加わる衝撃と、インレット保持体3内への異物の侵入とを防止することができるとともに、担持板部5に担持されたRFIDインレット2を保護することができる。
【0036】
図10は、第三実施例を示し、この第三実施例のRFIDタグ1Cは、担持板部5を取付板部4から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させる補助付勢手段を備えている。補助付勢手段は、取付板部4と担持板部5間に介装されたばね17からなり、該ばね17には金属製または合成樹脂製のばねが用いられ得る。ここで、図示した実施例ではコイルばねからなる四個のばね17を、平板矩形状に形成された取付板部4及び担持板部5の四隅位置に配設しているが、担持板部5を取付板部4から均等に離間させる付勢作用が得られるのであれば、ばね17の数及び配設位置はこれに限定されるものではない。また、コイルばねに代えて板ばねを用いることも可能である。
【0037】
かかる構成にあっては、ばね17からなる補助付勢手段によって担持板部5を退避状態から定常状態へ迅速かつ確実に復帰させることができる。
【0038】
図11は、第四実施例を示し、この第四実施例のRFIDタグ1Dは、担持板部5を退避状態に保持するストッパー18,18を備えている。該ストッパー18,18は、担持板部5の上面の辺縁近傍に前後または左右一対で配設されている。各ストッパー18は略コ字形のフックからなり、該フックの一端が担持板部5の上面の辺縁近傍に固着された取付部材19を介して上下方向に回動可能に枢結されている。また、取付板部4の辺縁には前記ストッパー18,18の他端が係合可能な一対の係合溝20,20が形成されている。
【0039】
かかる構成にあって、ストッパー18,18を使用するには、担持板部5を表面側から押圧して該担持板部5が取付板部4に近接する退避状態とし、この状態でストッパー18,18の他端を取付板部4の係合溝20,20に係合させることにより、図11(B)に示すように、担持板部5を退避状態に保持することができる。これにより、被取付物7の運搬時や保管時以外でも、RFIDインレット2によるデータの送受信を行う必要がないときには、ストッパー18,18によって担持板部5を退避状態に保持することにより、RFIDタグ1Dが被取付物7の外面9から大きく突出しないため、定常状態において被取付物7の外面9から突出するRFIDタグ1Dが周辺のものと衝突することによって発生するRFIDタグ1Dの脱落或いは破損や故障を未然に防止することができる。
【0040】
尚、上述した第四実施例にあっては、ストッパー18,18を担持板部5に配設し、係合溝20,20を取付板部4に配設するようにしているが、このストッパー18,18と係合溝20,20の配置関係を逆にすることも可能である。また、ストッパー18,18を略コ字形のフックとしたが、これに代えて一対の平帯体の先端に面ファスナーを設けたものや、一対の平帯体の先端に係脱可能なホックを設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A〜1D RFIDタグ
2 RFIDインレット
3 インレット保持体
4 取付板部
5 担持板部
6 復元スペーサー板部
7 被取付物
9 外面
13 保護カバー体
17 ばね(補助付勢手段)
18 ストッパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の被取付物に取付けて使用するRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)システムで用いられる非接触型ICタグ等のRFIDタグは、ICチップとアンテナとを備えてなり、入出力装置(リーダ・ライタ)との間で電磁波を利用して非接触でコマンド,データ等の信号を送受信し得る機能がある。このRFIDタグは、入出力装置側のアンテナが放射する有効電磁波ゾーンに進入すると、RFIDタグのアンテナが誘導起電力を生成し、該電力により動作状態となって入出力装置からのコマンド,データ等の信号を検出するとともに、そのコマンド信号に従ってICチップが具備するデータの読み書きが可能なメモリに受信データを格納したり、メモリに格納されているデータを入出力装置に送信するものであり、小型軽量で取扱い性に優れているため、近年、交通・レジャー分野,物流分野,セキュリティー分野,工場生産分野,環境分野,その他の幅広い分野で導入が進められている。
【0003】
このようなRFIDタグは、金属製の被取付物に直接取付けると、送受信機能が極端に低下したり、送受信不能となることが知られている。そこで、従来はRFIDタグの裏面に合成樹脂やゴムからなる非金属製のスペーサを配設し、該スペーサを介してRFIDタグを金属製の被取付物に取付けることにより、RFIDタグのアンテナと金属面とを離間させて送受信機能の低下を抑制するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9205号公報(「0004」、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようにスペーサを用いる場合、送受信機能の低下を抑制するためには、スペーサの厚みを大きくしてRFIDタグのアンテナと金属面との間に充分な間隔を確保する必要があるが、スペーサの厚みを大きくすると該スペーサを含むRFIDタグ全体のサイズが大きくなり、これが被取付物の外面から突出するため、被取付物の運搬時や保管時に嵩張ってしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、被取付物の運搬時や保管時には厚みが薄くなる状態に変形し、送受信時には金属面との間に充分な間隔を確保する状態に復元し得るRFIDタグを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体とを備えてなることを特徴とするRFIDタグである。
【0008】
ここで、RFIDインレットは、ICチップとアンテナとを合成樹脂シート上に担持して構成したり、ICチップとアンテナとを合成樹脂シート上に担持し、これを合成樹脂の外装体で被覆して構成され得る。
【0009】
前記RFIDタグにあって、復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる構成が提案される。
【0010】
また、インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えている構成が提案される。
【0011】
また、担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えている構成が提案される。
【0012】
さらに、担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えている構成が提案される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上述したように、データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体とを備えてなるRFIDタグであるから、インレット保持体の取付板部を金属製の被取付物の外面に取付けることにより、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部を被取付物の外面から所定間隔で離間させて保持することができる。このような担持板部が金属製の被取付物の外面から所定間隔で離間して保持される定常状態にあっては、RFIDインレットと金属面との間に所定の間隔が確保されて送受信機能の低下が抑制されるため、RFIDインレットによるデータの送受信を支障なく行わせることができる。一方、被取付物の運搬時や保管時においては、RFIDタグが取付けられた被取付物の外面を、RFIDタグを介して他の被取付物の外面やトラックの荷台の壁面或いは建造物の壁面に押し当てると、担持板部の表面側から加わる外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形し、担持板部が取付板部に近接する退避状態となる。これによりRFIDタグの厚みが薄くなり被取付物の外面からの突出幅が小さくなるため、RFIDタグの厚さに起因する被取付物の嵩張りを解消することができる。また、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって、担持板部が取付板部から所定間隔で離間する定常状態に自動的に復帰させることができる。
【0014】
前記RFIDタグにあって、復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる構成にあっては、復元スペーサー板部に良好な圧縮変形作用と、その圧縮変形による良好な弾発力発生作用を生じさせることができる。
【0015】
また、インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えている構成にあっては、退避状態と定常状態とに変化するインレット保持体の状態変化に保護カバー体をその弾性変形作用を介して追従させることができ、該保護カバー体によって、インレット保持体に側方から加わる衝撃と、インレット保持体内への異物の侵入とを防止することができるとともに、担持板部に担持されたRFIDインレットを保護することができる。
【0016】
また、担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えている構成にあっては、該補助付勢手段によって担持板部を退避状態から定常状態へ迅速かつ確実に復帰させることができる。
【0017】
さらに、担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えている構成にあっては、被取付物の運搬時や保管時以外でも、RFIDインレットによるデータの送受信を行う必要がないときには、ストッパーによって担持板部を退避状態に保持することにより、RFIDタグが被取付物の外面から大きく突出しないため、定常状態において被取付物の外面から突出したRFIDタグが周辺のものと衝突することによって発生するRFIDタグの脱落或いは破損や故障を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施例にかかるRFIDタグ1Aの外観斜視図である。
【図2】被取付物7の外面9に取付けられたRFIDタグ1Aを示し、(A)は定常状態、(B)は退避状態の縦断面図である。
【図3】RFIDタグ1Aの使用時における作用説明図である。
【図4】第一実施例の第一の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aの外観斜視図である。
【図5】第一実施例の第二の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、(A)は外観斜視図、(B)は被取付物7の外面9に取付けた状態の縦断面図である。
【図6】第一実施例の第三の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、一対の弾性枠体10A,10Aによって取付板部4と復元スペーサー板部6とを構成した状態の外観斜視図である。
【図7】第一実施例の第四の変形実施例にかかるRFIDタグ1Aを示し、(A)は一対の弾性体10B,10Bによって取付板部4と復元スペーサー板部6とを構成した状態の外観斜視図、(B)は各弾性体10Bの矩形状底板部分12に取付板部4を配設した状態の外観斜視図である。
【図8】第二実施例にかかるRFIDタグ1Bを示し、インレット保持体3と保護カバー体13とを分離した状態の外観斜視図である。
【図9】(A)は同上のRFIDタグ1Bの定常状態の縦断面図、(B)は退避状態の縦断面図である。
【図10】第三実施例にかかるRFIDタグ1Cを示し、(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
【図11】第四実施例にかかるRFIDタグ1Dを示し、(A)は外観斜視図、(B)は退避状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の第一実施例を、図1〜図3に基づいて説明する。
RFIDタグ1Aは、RFIDインレット2と、該RFIDインレット2を保持するインレット保持体3とを備えている。
【0020】
RFIDインレット2は、ICチップと、該ICチップに電気的に接続されたアンテナとを備えており、該ICチップとアンテナとが合成樹脂製の絶縁シート上に配設されている。このRFIDインレット2は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ)との間で電磁波を利用してコマンド,データ等の信号を非接触で送受信し得る非接触型の電池レスタイプとなっている。尚、RFIDインレット2は、ICチップとアンテナとを絶縁シート上に配設し、これを合成樹脂の外装体で被覆したものであってもよい。また、RFIDインレット2は、HF帯域(例えば13.56MHz),UHF帯域(例えば953MHzや2.45GHz)等の何れの帯域で作動するものであってもよい。
【0021】
インレット保持体3は、金属製の被取付物7(図2参照)の外面9に取付けられる取付板部4と、前記RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5と、該担持板部5を前記取付板部4から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる復元スペーサー板部6とからなる。
【0022】
前記担持板部5は、硬質合成樹脂、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムを用いて平板矩形状に形成されており、該担持板部5の裏面にRFIDインレット2が接着剤または粘着テープにより固定されて担持されている。一方、前記取付板部4は、硬質合成樹脂、弾性を有する合成樹脂または合成ゴム或いは金属板を用いて担持板部5と同一形状に形成されており、その裏面に設けられた粘着層8(図2参照)によって前記被取付物7の外面9に取付けられるようになっている。この粘着層8には剥離紙(図示省略)が剥離可能に被着されており、被取付物7の外面9に取付けられるまでの間、該剥離紙によってその粘着面が保護されている。尚、粘着層8は、取付板部4の裏面に粘着剤を塗布して設けたり、両面粘着テープを貼着することによって設けられ得る。また、この粘着層8に代えて、取付板部4に磁石を配設し、該磁石の磁力によって金属製の被取付物7の外面9に吸着させるようにしてもよい。さらに、取付板部4を鉄板等の強磁性体で形成した場合には、該強磁性体に着磁処理を施してもよい。
【0023】
復元スペーサー板部6は、前記取付板部4と担持板部5間に設けられており、この第一実施例では、取付板部4と担持板部5の上下で対向する各辺縁を繋ぐようにして、側部の四箇所に夫々配設されている。各復元スペーサー板部6は、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムの板状体によって、外方に突出する断面く字形に形成されている。ここで、弾性を有する合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP),ポリアセタール(POM),ポリカーボネート(PC),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が適用され、これらの中でも硬質で引張り強さ,曲げ強さ,圧縮強さ及び弾性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)が好適に用いられ得る。また、合成ゴムとしては、ウレタンゴム,シリコーンゴム,スチレン‐ブタジエンゴム(SBR),ニトリル‐ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム等が用いられ得る。
【0024】
尚、復元スペーサー板部6は、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなる取付板部4及び/または担持板部5と一体形成するようにしてもよい。
【0025】
インレット保持体3は、担持板部5の表面側からの外力を受けない定常状態にあっては、図2(A)に示すように、担持板部5が復元スペーサー板部6によって取付板部4から所定間隔で離間して保持されている。そして、担持板部5の表面側から外力を受けると、図2(B)に示すように、復元スペーサー板部6が圧縮変形し、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となる。また、担持板部5の表面側からの外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって、図2(A)に示すように、担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態に復帰する。尚、定常状態において担持板部5が取付板部4から離間する間隔は1cm程度に設定することが好ましい。
【0026】
図3(A)に、被取付物7としての金属製コンテナの側壁の外面9にRFIDタグ1Aを取付けた状態を示す。この状態にあっては、RFIDインレット2を担持する非金属製の担持板部5が被取付物7の外面9から所定間隔で離間して保持される定常状態(図2(A)参照)となり、送受信機能の低下が抑制されるため、RFIDインレット2によるデータの送受信を支障なく行わせることができる。
【0027】
一方、被取付物7の運搬時や保管時においては、図3(B)に示すように、RFIDタグ1Aが取付けられた被取付物7の外面9を、RFIDタグ1Aを介して他の被取付物7の外面9やトラックの荷台の壁面21(或いは建造物の壁面)に押し当てると、担持板部5の表面側から加わる外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形し、担持板部5が取付板部4に近接する退避状態(図2(B)参照)となる。これによりRFIDタグ1Aの厚みが薄くなり被取付物7の外面9からの突出幅が小さくなるため、RFIDタグ1Aの厚さに起因する被取付物7の嵩張りを解消することができる。また、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって、担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間する定常状態(図2(A)参照)に自動的に復帰させることができる。
【0028】
図4は、第一実施例の第一の変形実施例を示し、この第一の変形実施例は、取付板部4と担持板部5の辺縁を繋ぐ復元スペーサー板部6を、前後方向または左右方向で対向する側部の二箇所に配設したものである。このように復元スペーサー板部6は、前後方向または左右方向で対向する側部の二箇所に少なくとも一対で設けられていればよい。
【0029】
図5は、第一実施例の第二の変形実施例を示し、この第二の変形実施例は、図5(A)に示すように、担持板部5の前後方向または左右方向で対向する二辺縁に復元スペーサー板部6を一対で配設し、各復元スペーサー板部6の下端に帯板状の取付板部4を連成したものである。このように取付板部4は必ずしも担持板部5と同一形状に形成する必要はなく、インレット保持体3を金属製の被取付物7(図5(B)参照)の外面9に取付け得る形状であればよい。
【0030】
図6は、第一実施例の第三の変形実施例を示し、この第三の変形実施例は、担持板部5の裏面の前後または左右の二箇所に、弾性を有する合成樹脂板または合成ゴム板を用いて形成した断面略六角形を呈する弾性枠体10A,10Aを夫々配設したものであって、各弾性枠体10Aの天板部11が担持板部5の裏面に接合されており、各弾性枠体10Aの矩形状底板部分を取付板部4とし、く字形に屈曲して取付板部4と天板部11を繋ぐ二つのく字形に屈曲した帯板部分を復元スペーサー板部6としたものである。尚、弾性枠体10Aは、担持板部5の裏面の前後及び左右の四箇所に配設することも可能である。
【0031】
かかる構成にあっても、インレット保持体3は、担持板部5の表面側からの外力によって復元スペーサー板部6が圧縮変形して担持板部5が取付板部4に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部6に生じている弾発力によって担持板部5が取付板部4から所定間隔で離間して定常状態に復帰するものとなる。
【0032】
図7(A)は、第一実施例の第四の変形実施例を示し、この第四の変形実施例は、担持板部5の裏面の前後または左右の二箇所に、弾性を有する合成樹脂板または合成ゴム板を用いて形成した断面略Z字形を呈する一対の弾性体10B,10Bを夫々配設したものであって、各弾性体10Bの天板部11が担持板部5の裏面に接合されており、各弾性体10Bの矩形状底板部分を取付板部4とし、該取付板部4と天板部11を繋ぐ傾斜した帯板部分を復元スペーサー板部6としたものである。尚、一対の弾性体10B,10Bは、担持板部5の裏面の前後及び左右の四箇所に配設することも可能である。また、図7(B)に示すように、各弾性体10Bの矩形状底板部分12を、担持板部5と同一形状に形成した取付板部4に接合する構成とすることも可能である。
【0033】
尚、前記第一実施例及び各変形実施例にあって、インレット保持体3は矩形の立体形状に限定されるものではなく、その他の円形,三角形,多角形等の立体形状としてもよい。
【0034】
図8,図9は、第二実施例を示し、この第二実施例のRFIDタグ1Bは、インレット保持体3の側部を覆う保護カバー体13を備えている。保護カバー体13は、担持板部5の上面に固着される基板部14の四辺縁から斜め下方に延成されてインレット保持体3の側部を囲繞する截頭角錐状の傾斜板部15を備えており、該傾斜板部15の四箇所のコーナー部分が切込み16によって分断されている。傾斜板部15は、担持板部5が取付板部4から離間して保持される定常状態(図9(A)参照)にあるときに、金属製の被取付物7の外面9に当接する長さに形成されている。この保護カバー体13の素材には、上述した弾性変形可能な合成樹脂や合成ゴムが用いられる。尚、このような保護カバー体13を設ける場合には、RFIDインレット2を担持板部5の表面側に固定することも可能である。
【0035】
かかる構成にあって、インレット保持体3が退避状態(図9(B)参照)と定常状態(図9(A)参照)とに選択的に変化すると、保護カバー体13がその弾性変形作用を介してインレット保持体3の状態変化に追従する。これにより、インレット保持体3の側部を保護カバー体13によって常時覆うことができるため、インレット保持体3に側方から加わる衝撃と、インレット保持体3内への異物の侵入とを防止することができるとともに、担持板部5に担持されたRFIDインレット2を保護することができる。
【0036】
図10は、第三実施例を示し、この第三実施例のRFIDタグ1Cは、担持板部5を取付板部4から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させる補助付勢手段を備えている。補助付勢手段は、取付板部4と担持板部5間に介装されたばね17からなり、該ばね17には金属製または合成樹脂製のばねが用いられ得る。ここで、図示した実施例ではコイルばねからなる四個のばね17を、平板矩形状に形成された取付板部4及び担持板部5の四隅位置に配設しているが、担持板部5を取付板部4から均等に離間させる付勢作用が得られるのであれば、ばね17の数及び配設位置はこれに限定されるものではない。また、コイルばねに代えて板ばねを用いることも可能である。
【0037】
かかる構成にあっては、ばね17からなる補助付勢手段によって担持板部5を退避状態から定常状態へ迅速かつ確実に復帰させることができる。
【0038】
図11は、第四実施例を示し、この第四実施例のRFIDタグ1Dは、担持板部5を退避状態に保持するストッパー18,18を備えている。該ストッパー18,18は、担持板部5の上面の辺縁近傍に前後または左右一対で配設されている。各ストッパー18は略コ字形のフックからなり、該フックの一端が担持板部5の上面の辺縁近傍に固着された取付部材19を介して上下方向に回動可能に枢結されている。また、取付板部4の辺縁には前記ストッパー18,18の他端が係合可能な一対の係合溝20,20が形成されている。
【0039】
かかる構成にあって、ストッパー18,18を使用するには、担持板部5を表面側から押圧して該担持板部5が取付板部4に近接する退避状態とし、この状態でストッパー18,18の他端を取付板部4の係合溝20,20に係合させることにより、図11(B)に示すように、担持板部5を退避状態に保持することができる。これにより、被取付物7の運搬時や保管時以外でも、RFIDインレット2によるデータの送受信を行う必要がないときには、ストッパー18,18によって担持板部5を退避状態に保持することにより、RFIDタグ1Dが被取付物7の外面9から大きく突出しないため、定常状態において被取付物7の外面9から突出するRFIDタグ1Dが周辺のものと衝突することによって発生するRFIDタグ1Dの脱落或いは破損や故障を未然に防止することができる。
【0040】
尚、上述した第四実施例にあっては、ストッパー18,18を担持板部5に配設し、係合溝20,20を取付板部4に配設するようにしているが、このストッパー18,18と係合溝20,20の配置関係を逆にすることも可能である。また、ストッパー18,18を略コ字形のフックとしたが、これに代えて一対の平帯体の先端に面ファスナーを設けたものや、一対の平帯体の先端に係脱可能なホックを設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A〜1D RFIDタグ
2 RFIDインレット
3 インレット保持体
4 取付板部
5 担持板部
6 復元スペーサー板部
7 被取付物
9 外面
13 保護カバー体
17 ばね(補助付勢手段)
18 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、
金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体と
を備えてなることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項1】
データを書き換え可能に格納するメモリを具備したICチップと、該ICチップに接続されたアンテナとを備え、前記データを所定の入出力装置と非接触で送受信する機能を備えたRFIDインレットと、
金属製の被取付物の外面に取付けられる取付板部と、RFIDインレットを担持する非金属製の担持板部と、該担持板部を前記取付板部から所定間隔で離間させて保持し、かつ圧縮変形すると弾発力を生じる少なくとも一対の復元スペーサー板部とからなり、担持板部の表面側からの外力によって復元スペーサー板部が圧縮変形すると担持板部が取付板部に近接する退避状態となり、外力が除かれると、圧縮変形した復元スペーサー板部に生じている弾発力によって担持板部が取付板部から所定間隔で離間して定常状態に復帰するインレット保持体と
を備えてなることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
復元スペーサー板部が、弾性を有する合成樹脂または合成ゴムからなることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
インレット保持体の側部を覆う弾性変形可能な非金属製の保護カバー体を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
担持板部を取付板部から離間させる方向に付勢し、かつ定常状態に復帰させるばねからなる補助付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のRFIDタグ。
【請求項5】
担持板部を退避状態に保持するストッパーを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のRFIDタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−262538(P2010−262538A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113874(P2009−113874)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000186566)小林クリエイト株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
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