説明

RFIDタグ

【課題】人物や商品への着脱が容易で、繰り返し使用することが可能なRFIDタグを提供する。
【解決手段】折曲部2を介して連接され一対のクリップ片1a、1bを備え、このクリップ片1a、1bを折曲部2で折曲げて互いに重合させることによりクリップ体を構成する。このクリップ片1a、1bの少なくとも一方の重合当接面に、インレット18が挿入される挿入溝16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップなどに記録されたID(識別情報)などの情報をRF(無線周波数)で送信するRFIDタグに関し、詳しくは、衣服や商品などに簡単に着脱できるようにしたクリップ型のRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インレット(アンテナ付ICチップ)を埋め込み加工したRFIDタグとしては、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型、さらには、容器体に埋め込んだ構造物など、用途に応じた様々な材質、形状のものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−40704号公報
【特許文献2】特開2009−205390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RFIDタグの使用態様としては、商品の流通管理のみならず、人の入出場管理、電子キーあるいは買い物時のポイントサービス等の多様のソリューションがある。このような多様なソリューションに適応するには、人物や商品への着脱が容易であり、かつ繰り返し使用することができることが求められる。
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されているような従来のRFIDタグでは、繰り返し使用は可能であるが、人物や商品への着脱は困難であるばかりでなく、インレットはケース体に対して固定されており、別のインレットに交換することはできず、汎用性にかけるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、人物や商品への着脱が容易で、繰り返し使用することが可能であるとともに、インレットの交換も容易で汎用性に富むRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のRFIDタグは、折曲部を介して連接され、前記折曲部で折曲げて互いに重合させることによりクリップ体を構成する一対のクリップ片を備え、該クリップ片の少なくとも一方の重合当接面に、インレットが挿入される挿入溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載のRFIDタグは、請求項1記載のRFIDタグであって、前記クリップ片の一方には、フランジ状の係止部が形成され、該係止部に、第2のインレットを埋め込んだボタン型IDタグが着脱自在に係止されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載のRFIDタグは、請求項2記載のRFIDタグであって、前記係止部にラベル型IDが貼り付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載のRFIDタグは、請求項1ないし3のいずれかに記載のRFIDタグであって、前記クリップ片に、紐状物を通せる取付孔が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クリップ体を人物や商品へ取り付けることにより、着脱が容易で、捨てることなく繰り返し使用することが可能であり、かつ、インレットの着脱交換も容易で汎用性に富むRFIDタグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のRFIDタグのクリップ本体の実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】インレットの斜視図である。
【図4】折曲げ重合したクリップ状RFIDタグの側面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態のRFIDタグの縦断側面図である。
【図7】ボタン型ICタグの底面図である。
【図8】ボタン型ICタグの斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態のRFIDタグの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明に係るRFIDタグの実施形態を説明する。
図1は、本発明のRFIDタグの第1実施形態を示す側面図、図2は、図1の平面図、図3は、インレットの斜視図、図4は、の折り畳み状態のクリップ体の側面図、図5は、図4の平面図である。
【0014】
図1、図2に示すように、左右一対の樹脂製のクリップ片1a、1bの基部6、9は、中間の肉薄の折曲部2を介して連接されている。左のクリップ片1aは、内面に波状凹凸3が形成された上辺部4と下辺部5とが基部6において弾性的に連結されている。右のクリップ片1bは、内面に波状凹凸3が形成された上辺部7と下辺部8とが基部9において弾性的に連結されている。各々のクリップ片1a、1bの基部6、9には紐状物を通せる取付孔10が形成され、かつ、各々の基部6、9の下面には通し孔11付の突起19が形成され、かつ、先端にテーパ部12が形成された、略相似形の側面形状(図1参照)を有している。クリップ片1aの先端には突起27が形成され、クリップ片1bの先端には突起27が係合される係合孔28が形成されている。
【0015】
左のクリップ片1aの上辺部4には略半円形の軸部13が形成され、右のクリップ片1bの上辺部7には、軸部13と同一形状の略半円形の軸部14を介してフランジ状の係止部15が形成されている。右のクリップ片1bの側部には、上辺部7および下辺部8に連続する挿入溝16が形成され、左のクリップ片1a、1bの側部にも、上辺部4および下辺部5に連続する挿入溝17が形成されている。図2に示すように、右のクリップ片1bは左のクリップ片1aより厚みが大きくなっている。
【0016】
右のクリップ片1a、1bの挿入溝16には、図1、図3に示すような帯状のインレット1817が挿入される。挿入溝16の深さはインレット18の幅より若干浅くなっており、挿入溝16にインレット18を挿入したとき、インレット18の一部は挿入溝16からはみ出すようになっている。これにより、はみ出し部18aをつまんで簡単に取り出すことができるようになっている。なお、図示の実施形態では、インレット18は帯状の形状の例を示しているが、インレット18の形状はアンテナ形状により種々に変わり、帯状に限定されない。また、挿入溝16もインレット18が格納できる形状であればよく、図示のような上辺部7および下辺部8に連続する形状に限定されない。
【0017】
使用時は、図4、図5に示すように、左右の左のクリップ片1a、1bを折曲部2から折曲げて互いを重合させ、突起27と係合孔28を係合させることにより、クリップ体1が構成される。このクリップ体1内にインレット18が収容されて、クリップ状のRFIDタグTが構成される。左右の半円形の軸部13、14は、互いに端面同士が当接して1つの円形軸となる。重合状態では、左のクリップ片1aの挿入溝18に、インレット18のはみ出し部18aが挿入される。このように構成されたクリップ型のRFIDタグTは、クリップ体1を、例えば人の衣服の胸ポケット部、襟部、あるいはベルトやネクタイ等の適当な箇所、あるいは所望の商品に取り付けることができる。
【0018】
本実施形態のRFIDタグTは、インレット18自体には何の加工も施さず、クリップ体1が汎用的なインレット18の保護容器となるため、種々の異なったインレット18をクリップ体1に装着することにより、柔軟な利用態様を実現することができる。例えば、人の入退出管理、電子キー、あるいは買い物時のポイントサービスとして用いることができ、また、商品に取り付けて流通管理に用いることができる。必要に応じて、取付孔10又は11にストラップ又は丸カンその他の紐状物を通して、アクセサリー、名札、その他所望の認知物品を取り付けて、RFIDタグTの紛失防止をはかることができる。なお、インレット18の不正な交換や抜き取りを防止するには、クリップ片1a、1b同士を不正防止シールで封かんしたり、あるいは、インレット18の恒久的な使用の場合は、クリップ片1a、1b同士を接着剤で接着しておくことも可能である。
【0019】
図6〜図8は、本発明のRFIDタグの第2実施形態であって、係止部15にボタン型IDタグ20を係止させた構成を示す。このボタン型IDタグ20は、ボタン型樹脂ケース21の底部に、中央に係止孔22を有する二股形状の弾性係止片23が一体に形成されたもので、ボタン型樹脂ケース21の上部にはチップ状のインレット24が埋め込まれている。半円形の軸部13、14が合わさってできた円形の軸部13、14に弾性係止片23をスライドさせて挿入し、軸部13、14に係止孔22を係止させることにより、ボタン型IDタグ20が係止部15に取り付けられる。なお、ボタン型樹脂ケース21は、図示の例では円形ボタン形状であるが、楕円形、角形、菱形その他の非円形のものでもよく、形状は限定されない。
【0020】
図9は、本発明のRFIDタグの第3実施形態であって、係止部15の上面に二次元コード25を備えたラベル型IDタグ26を貼り付けた構成を示す。図示の例の二次元コード25はQRコードであるが、マトリックス方式あるいはスタック方式の二次元コードはすべて適用可能である。
【0021】
図1に鎖線で示すように、軸部14(軸部13でもよい)の内部空間に再書き込み可能のチップ型IDタグ27を嵌め込んで、メモリを拡張することもできる。
【0022】
以上、第2および第3実施形態では、インレット18の情報のほかに、ボタン型IDタグ20あるいはラベル型IDタグ25による情報も組み合わされたものであるので、複数の無線ICタグのデータを同時に読み取る(アンチコリジョン)機能、あるいは異なる周波数でも読み取れる(マルチリーダ)機能を持ったリーダ/ライタを備えている場合、複数同時読み取りポイントでの異種情報の組み合わせ取得を行うことができる。
【符号の説明】
【0023】
1a、1b クリップ片
1 クリップ体
2 折曲部
10、11 取付孔
15 係止部
16 挿入溝
18 インレット
20 ボタン型IDタグ
24 第2のインレット
26 ラベル型IDタグ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
折曲部を介して連接され、前記折曲部で折曲げて互いに重合させることによりクリップ体を構成する一対のクリップ片を備え、該クリップ片の少なくとも一方の重合当接面に、インレットが挿入される挿入溝が形成されていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記クリップ片の一方には、フランジ状の係止部が形成され、該係止部に、第2のインレットを埋め込んだボタン型IDタグが着脱自在に係止されていることを特徴とする請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記係止部にラベル型IDが貼り付けられていることを特徴とする請求項2記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記クリップ片の後部に、紐状物を通せる取付孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のRFIDタグ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−100345(P2011−100345A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255220(P2009−255220)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(594056063)
【Fターム(参考)】