説明

SiO2及びその混合酸化物のナノスケール原粒子、その製造及び生地材料を処理するための使用

SiO2又はSiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物のナノスケール原粒子を記載する。これらは1〜2000nm(ZetasizerNS装置(Nano Series)による粒径を計測する方法により測定)の平均粒径並びに負電荷を有し、そして、生地材料の親水性化コーティングのために好都合に使用できる。親水性中間層を有さない生地材料と比較して向上したアルコール及び油に対する駆散性を有する疎水性の外層を場合により前処理した親水性材料上にここで形成することができる。ナノスケール原粒子が反応溶液中でそのままの状態で(in statu nascendi)これらの目的のために使用される場合に特に好都合である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSiO2又はSiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物系のナノスケール原粒子、この型のナノスケール原粒子を製造することに特に適する方法、並びに、疎水性生地材料の親水性化処理と場合によりその後の疎水性化後処理のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に材料、そしてとくに生地材料、例えば生地繊維の表面特性の修飾及び厳密な調節は種々の部門におけるその使用のために非常に重要である。即ち、疎水性生地材料、例えば繊維は親水性化により水に濡れやすくすることができる。これにより例えば合成繊維から形成される物品の染色能力が向上する。これは又良好な着用快適性を達成可能とする。親水性化の別の利点は静電気荷電の低減である。即ち、比較的長期に渡り、特に医療用製品の部門において親水性材料が疎水性材料よりも実質的に良好な細胞の生育をもたらすことが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
疎水性生地材料の親水性化は従来技術において記載されている。即ち、親水性化は親水性の基の取り込み(例えばDuPontのポリアミド繊維「Antron」)により、そして、紡績における適当な糸構造又は織布における適当な織糸の形成により行うことができる。更に又、フィニッシングの為には、親水性基上のグラフティング又は繊維上の親水性フィルムの形成の可能性も存在する。更に又、土壌放出フィニッシュと称されるものも知られている。原則として、3クラスの化合物、即ちアクリル酸又はメタクリル酸の共重合体、特に合成繊維用の重合体、又は特にセルロース繊維用のアルキルフェノール誘導体のエトキシル化生成物、並びに修飾されたフルオロ重合体、特にポリ−[N−メチルパーフルオロオクタニルスルホンアミドエチルアクリレート]を本明細書においては使用する。アクリル酸とメタクリル酸の共重合体を使用する場合、生成される酸アクリレートは土壌放出効率に関して最適なカルボキシル基含有量を有している。しかしながら、同じ分子量と同じカルボキシル基比を有するが異なる方法により製造された酸アクリレートは異なる土壌放出特性をもたらす。重合体又はアルキルフェノール誘導体のエトキシル化生成物の場合は、熱可塑性材料への重合体の物理的結合のための特殊な機序がそれぞれの生成物に対して従来技術において提案されている。修飾フルオロ重合体を用いる場合は、疎水性はそれぞれの媒体に面している重合体の化学基の再配列により除去され、その結果、外側方向に有効な親水性基が土壌の放出を可能にする。更に又土壌放出フィニッシュを溶液から適用することも想定される。
【0004】
本技術領域においては、低圧プラズマ(1〜100Pa)の適用も有意義である。低圧プラズマは例えば繊維表面を化学的に変化させ親水性化するために生地材料の表面に官能性を付与するために使用できる。プラズマ処理により、励起された中性の原子又はイオンが標的設定された態様において薄層の表面を変化させ、これにより好都合な追加的処理のために使用可能とすることができる。プラズマからのラジカルが基盤表面上に蓄積することで薄層が形成される。薄層の成長は、プラズマからのラジカル粒子の表面への後拡散により開始される。層形成の実際の機序はプラズマを操作する際のパラメーターに大きく影響される。即ち、特定の条件下において、例えばラジカルが気相において既に集積し、そして基盤表面上の気相の成長段階の後に付着するのみである、より大型の分子連合を形成する。異なる条件下では、分子は基盤表面に吸着され、そこで電子により衝突されて励起されるのみである。次にそれらはその結果として基盤と反応する。生地技術の用途においては、化学繊維の濡れ性及び染色能力を向上させるために、真空における低圧プラズマ処理の可能性を現在開発中である。疎水性の化学繊維は一般的にここでは親水性化される。
【0005】
疎水性生地材料の表面の親水性化のための上記した方策又は手段は満足できるものではない。アルコール及び油に対して反発性である疎水性生地材料は十分に疎水性ではないこともわかっている。その結果、用途に応じて、疎水性手間の表面を特性上、親水性又は疎水性に設計するための現在知られている方法は満足できるものではない。その結果、本発明はこの点の改良を提案する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ナノスケール原粒子が1〜2000nm(ZetasizerNS装置(Nano Series)による粒径を計測する方法により測定)の平均粒径並びに負電荷を有することを特徴とするSiO2又はSiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物のナノスケール原粒子が着目するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のナノスケール原粒子は約1〜2000nmの平均粒径を特徴とするものであり、この平均粒径の範囲は従来の方法により決定することが可能である。本発明の場合は、平均粒径はZetasizerNS装置(Nano Series)による粒径を計測する方法により分散液中で測定すべきものである。この目的の為には参考文献である2003年出版のMalvern Instrument出版のThe ultimate in desktop particle characterisation、及び、T.AllenのParticle Size Measurement、ISBN04123570の1992年の第4版及びISBN0412729504の1997年の第5版を参照できる。粒径の測定の為には、他の同等の計測方法、例えば「Dynamic Light Scattering(DLS)」も使用してよい(Dr.Michael Kaszuba & Dr.Kevin Mattison, High concentration particle size measurements using dynamic light scattering, Lab Plus international-September 2004及びDahneke BE.Measurement of Suspended Particles by Quasielastic Light Scattering, 1983,Wiley)。後に詳述する疎水性生地材料の処理の特別な利点に含まれるものは、約40〜500nm、特に約100〜150nmのナノスケール原粒子の平均粒径である。これは原則として適用されるものであり、本発明によるナノスケール原粒子を用いる場合の粒径は常時処理される生地材料の特定の型又はその場合に意図される作用の点において適合させられるため、いかなる制約も意図していない。
【0008】
本発明のナノスケール原粒子を製造するための後述する方法によれば、それらは単離された場合には粉末の形態において存在する。それらは本明細書では従来の態様において、反応媒体から、例えば凍結乾燥により得られる。集塊の形成がここで生じる場合がある。後の使用においては、これは一般的に望ましくない。集塊の形成を排除すること又は反応手段を直接使用することが個別の例において都合がよい場合は、これは当業者が任意に行ってよい。以下により詳細に説明する適用目的のためにナノスケール粒子が反応媒体中に残存し、そして所望の関連事項に関して実質的にin situで供給される場合には、特に好都合である。それぞれの反応媒体に関するこれ以上の説明は以下に示す通りであり、そして、それに関する参照も行われる。
【0009】
本発明のナノスケール原粒子の別の重要な特性はその負電荷である。これはZetasizerZS装置によりpH依存性の測定方法により求められるゼータ電位として表される。これは当業者の知る通りである。この点に関し、一般的な参考文献であるZetapotential und Partikelladung in der Laborpraxis, Rainer H.Muller,1996及びElectrophoresis of particles in suspension, Surface and Colloid Science, James,A.M., Plenum Press,New York1979を参照できる。しかしながら、基本的にはゼータ電位は他の特殊な方法、例えば参考文献M.Minor.,A.J.van der Linde,Dynamic aspects of Electrophoresis and Electroosmosis:A new fast method for measureing particle mobilities,Journal of Colloid and Interface Science,189(1997)and Hunter,R.J.,Zeta Potential in Colloid Science, Academic Press,London1981に記載のM3(Mixed Mode Measurement)の手法により測定してもよい。
【0010】
本発明の範囲におけるゼータ電位は好ましくは約−10〜−200mV、特に約−10〜−100mVの範囲にある。好ましい負電荷は又本発明のナノスケール原粒子の化学的な型に依存する場合があり、即ちSiO2単独のナノスケール原粒子の場合は、SiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物の場合とは異なる場合がある。SiO2/Al23のナノスケール原粒子の場合は約−8〜−100mV、特に約−10〜−40mVのゼータ電位を有することが好ましい。SiO2のナノスケール原粒子は好ましくは約−100〜−200mV、特に約−100〜−150mV、特に約−100mVの負電荷を有する。負電荷は好ましくはZetasizer装置によりpH依存性の測定方法により求められる。
【0011】
本発明の範囲において、SiO2単独のナノスケール原粒子が特に好都合である。しかしなお、SiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物もまた種々の用途においてとくに好都合であることがわかっている。好都合な原則として、本発明の範囲内において、SiO2及び他の金属酸化物のナノスケール原粒子において、別の金属酸化物の約0.125〜0.625重量部、特に約0.125〜0.25重量部がSiO21重量部に割り当てられるものとすることができる。SiO2とAl23の混合酸化物の場合は、それが−Si−O−Al−ネットワーク及びQグループ[Q4(2Al)]及び[Q4(1Al)]を有する固体本体のNMRスペクトルを有する場合に特に好都合であることがわかっている。
【0012】
本発明の要件は更に本発明による上記したナノスケール原粒子を製造するための好都合な方法である。実質的に酸化ケイ素であるナノスケール原粒子の製造においては、オルトシリケートの分散液、特にテトラメチルオルトシリケート(TMOS)の形態のものを、分散剤、特にノニオン性分散剤の存在下、好ましくは強力攪拌器で攪拌し、そしてオルトシリケートを加水分解してナノスケール原粒子とする。この方法はSiO2と他の金属酸化物の混合酸化物をナノスケール原粒子に変換すべきである場合には変更される。操作法は好ましくはここでは、特に金属塩の水溶液又は分散液を特にオルトシリケートの水性分散液又は溶液に混入させてSiO2と他の金属酸化物の混合酸化物を形成し、そして次にこの水性混合物を強力攪拌器で攪拌し、そしてそこに含有されるオルトシリケートを加水分解してナノスケール原粒子とするような態様である。ノニオン性分散剤が好ましい。市販品TissocylRLBの形態のアルコールエトキシレートを特定の例として挙げることができ、この場合、オルトシリケートの分散液又は溶液の均質性が特に推奨される。分散剤の量は専門的な態様において調節する。一般的に、分散剤の量は約0.2g/l〜2g/l、特に約0.4g/l〜0.8g/lの範囲である。
【0013】
本発明の方法は室温又は約20℃において実施できるが、より高温、例えば約40℃でもよい。適当な加水分解条件はナノスケール原粒子が蓄積される反応媒体中において調節しなければならない。これは例えば適当な反応促進剤を包含することにより行ってよい。これらは希酸、特に希塩酸であってよい。加水分解に付すべき分散液中の希塩酸の好ましい濃度範囲は約0.5〜0.001N、特に約0.008〜0.015Nである。
【0014】
上記した方法の要約した教示は多くの態様において設計してよく:即ち、高剪断力の強力攪拌器、例えばUltra−Turrax装置(Janke&KunkelGmbH社より販売されている)を使用する場合に特に好都合であることがわかっている。この構造の強力攪拌器の特別な利点は反応媒体を完全にホモジナイズできる点である。意外にもナノスケール原粒子の粒径は本発明の方法の要約した教示の個々のパラメーターを変更する多くの態様において制御できることがわかった。即ち本発明の方法は個々の場合において望まれるナノスケール原粒子の目標平均粒径に関して容易に制御できるという特別な利点を与える。即ち、加水分解を開始するためには常に水を添加しなければならないが、平均粒径はオルトシリケート、特にテトラメチルオルトシリケートの濃度、混合酸化物を形成するために使用される金属塩の濃度、反応手段の溶媒の濃度を変動させることにより、そして、選択された溶媒により、望ましく制御してよい。この場合の水性媒体は、制御を継続するためには、後に詳述する通り、種々の他の有機溶媒、特にアルコール、例えば、特にメタノール及び/又はエタノールを含有する。
【0015】
特に好都合な制御は結果的には反応媒体の液相を形成するそれぞれの溶媒又は分散手段の選択に帰結する。例えば1〜2000nmの粒径の本発明の枠組みにおいて水のみを使用する場合は、上昇した平均粒径、例えば40〜500nmを調節できる。特にメタノール及び/又はエタノールの形態のアルコールを分散手段として使用する場合、平均粒径は大幅に低下、例えば約1〜500nm、特に約1〜10nmの範囲とすることができる。平均値は水と記載したアルコールとの調節された混合により特に達成できる。制御の特に好都合な可能性は加水分解に付す分散液中のオルトシリケート、特にテトラメチルオルトシリケートの濃度を変動させることである。約0.5〜5重量%、特に約0.5〜2重量%の濃度範囲が40〜500nm、特に100〜150nmの所望の低平均粒径を調節するために好都合である。
【0016】
SiO2/Al23のナノスケール原粒子に関連する別の制御の可能性は標的設定された態様において加水分解に付されるべき分散液中のアルミニウム塩の濃度を調節することである。ここでは加水分解に付すべき反応媒体がアルミニウム塩、特に硫酸アルミニウムをオルトシリケートの量に基づいて10〜30モル%、特に15〜25モル%含有することが特に好都合である。基本的には、アルミニウム塩のそれぞれの出発分散液はまたこの要件に関して容易に調節できる。
【0017】
上記において加水分解に言及した場合、本発明の実際の適用が示す通り、それは完了させる必要はない。個々の場合において、そのための所望の作用を達成するためには、例えば生地のフィニッシングにおける適用の為に好都合である約80〜120、特に約95〜105nmの粒径のSiO2又はSiO2/Al23のナノスケール粒子を示すためには部分的に完了することで十分である。
【0018】
即ち本発明による方法の教示により、何れかの所望の粒径を1〜2000nmの上記半囲において製造してよい。ここでは制御のために変動してよい種々の粒径は既に上記した通りである。溶媒の特定の選択及び特定のpHの調節がここではとくに重要である。pHは一般的に約3〜5、特に約4.5〜5でなければならない。
【0019】
本発明のナノスケール原粒子の特別の価値は、とくに簡素に親水性化の態様において、それで親水性生地材料をコーティングできる点である。このコーティングは簡素な形態において実施できる。即ち、ナノスケール原粒子を還元媒体中に導入する(水、アルコール及び/又は特に水/アルコールの混合物)。適用分散液中のTMOSの濃度は重要ではない。それは好都合には約0.5〜5重量%、特に約0.5〜2重量%でなければならない。これは適用分散液の非重要な濃度とは無関係である。ナノスケール原粒子上において、これは処理すべき生地材料上に導入されるか、又は生地材料をそれで含浸する。その後搾出を行い、そしてこれはフーラードを用いて行うことができる。例えば、搾出はここでは0.15kg/cm2の圧力において、そして約1m/分の速度で行ってよい。その後、乾燥を、例えば従来の乾燥キャビネットで20分間80℃で行ってよい。
【0020】
本発明による使用の教示の範囲において使用されるべき生地材料は多様である。これらはこの場合、フィラメント、繊維、糸、織布、編地及び/又は不織布であってよく、これらには親水性コーティングを付与される。生地材料は例えば重合体材料又はガラス材料を包含してよい。有機重合体の形態で存在する場合は、それらは好ましくはポリエステル、ポリオレフィン、特にエチレン及び/又はプロピレンの単独重合体又は共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン、特にPVC、ポリアクリル酸誘導体(PAN)、ポリアミドである。これらの生地材料は本発明による処理によって顕著な親水性を付与される。これは、水滴の接触角の計測方法及び液体浸透時間試験によるもののような種々の計測方法により確認することができる。即ち、特記される利点は非親水性化不織布と比較して、接触角が120°から60°に減少するポリプロピレン製の親水性化不織布上において明らかにされる。ポリプロピレン織布において、低下は117°から48°となる。親水性の特記すべき程度はポリプロピレンの不織布上で示され、その場合、液体浸透時間試験において親水性化ポリプロピレン不織布は3秒未満の後には被験液体による濡れを示すという計測が行える。
【0021】
親水性コーティングの形成は純粋に専門的な操作法を用いて容易に行える。この場合、既に記載した通り、反応媒体は、それがin situの状態にあるかの如く、好ましくはナノスケール粒子製造後に直接使用する。意外にも親水性コーティングは例えば粒子の直径の厚みにおいて極めて薄膜となるように設計することができる。次に親水性化が完全に十分なものとなる。親水性化された材料は良好に適合することができる。例えば乳児用紙おむつの用途の場合は、実質的にはパッケージされた超吸収材をこの型の親水性化材料中に配合する。この時点で実施されたコーティングは、例えばポリプロピレンの場合は、肌触りが良好であり、プロピレンを経由して水分を吸収し、そしてそれを再度外部に良好に放出するという利点を有する。親水性コーティングは一部の水分を吸収できるが、それは即座に再度放出する。即ち、いわゆる「超吸収材」は紙おむつの内部に存在する。同様のことがパンティーライナー等にも適用される。本発明の実施はまた運動着においても特に好都合である。この場合も着用者に快適さが与えられ、発汗による水分は、望まれる通り、蓄積されず外部に放出される。従って、疎水性生地材料の上記した親水性化コーティングにより、運動用、医療用及び衛生用の部門において特に価値ある製品が得られる。
【0022】
親水性コーティングを用いて上記した態様において得られる疎水性生地材料が多様で好都合な別の用途のために使用可能であることが意外にもわかった。即ち、増大した疎水性を有さなければならない生地材料が存在する。これは第1には例えばフッ素化炭化水素を疎水性生地材料に適用することにおいて達成される。これらの材料は比較的高価であり、そして所望の高度な疎水性化はもたらさない。疎水性生地材料を本発明に従って親水性化し、そして既知の疎水性コーティングを親水性中間層に適用すると、特に好都合な特性が調節されることが意外にも分かった。アルコール及び油の駆散性に関するこれらの改良点は親水性中間層が存在しない型の生地材料と比較して調節される。更に又、達成される作用を減損させることなく高価な疎水性化材料の量をかなり低減できる。このことは特にフッ素化された化合物、特にフッ化炭素樹脂に適用され、その場合、フッ素化された化合物の適用量はかなり低減される。疎水性化層の適用は専門的な態様において行う。結果的にここでは2工程の方法が実施され、即ち、親水性化を第1に上記態様において実施し、そして、その上に疎水性コーティングを適用する。生地材料の疎水性化に関する詳細は後述する例から明確化される。結果的に、例えばフッ化炭素樹脂による化学的疎水性化の後処理により特に好都合な疎水性化生地材料が得られ、その材料はアルコールと油に対する駆散性の上記した作用に加えて汚れの駆散性も示す。これらの作用は後に示す図1から明確化されるとおりナノスケール原粒子の粒径に対する依存性を示す。
【0023】
本発明のナノスケール原粒子の特に好都合な使用は、抗微生物仕上げ加工を生地材料の上記した親水性コーティング上に実施することである。これは特に基本的には抗カビ仕上げ加工も想定可能である場合、例えばそれが意味を有する場合には抗細菌仕上げ加工である。抗微生物仕上げ加工がカチオン性化合物により、特に第4アンモニウム塩により、特に塩化ベンザルコニウム(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)により達成される場合が好ましく、その場合、アルキル長鎖を有する第4アンモニウム塩としてはアルキル鎖に12〜18炭素原子を有するものが好ましいものの1つである。ポリヘキサメチレンビグアニジルイミド又はキトサンの形態、特に水溶性キトサンオリゴマーの形態の抗微生物物質の使用が特に好都合である。
【0024】
結果として、本発明は多様な利点に関連しており、それらは既に上記した通りである。更に又、本発明の親水性化材料は染色能力、着用し易さ、及び対土壌性に関して向上点を示す。更に又、静電気の荷電を好都合に低減する。
【0025】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。これらは本発明及び実施例によりナノスケール原粒子を製造するための例であり、これに従って生地材料は親水性化され、また、親水化された後に疎水性化さる。
【0026】
実施例1(ナノスケール粒子の製造)
TMOS(テトラメチルオルトシリケート)1重量%を蒸留水に添加する。後の使用に関しては、TMOSの量は最適な作用を達成するための生地材料の重量に、そして、液体取り込み性に依存している。ノニオン性の洗剤液(化学名:脂肪族アルコールエトキシレート;商品名TissocylRLB、販売元Zschimmer&Schwarz社)1滴を得られた分散液に添加することにより均質な分散液とし、そして小型のナノスケール原粒子を得る。その後、使用するオルトシリケートの量に基づいて20モル%の硫酸アルミニウムを蒸留水に添加する。TMOSを用いて製造した初期に得られた分散液のうち、0.125重量部を第2の分散液0.625重量部と混合した。これはJanke&KunkelGmbH社より販売されている商品名Ultra−Turraxの強力分散装置において行った。混合プロセスは約20秒間継続した。
【0027】
得られた分散液をZetasizerN.S.で計測することにより粒径分布を求めた。分散液は24時間安定であった。混合酸化物SiO2/Al23の平均粒径は約120nmであった。水性分散液のうち、2滴をガラス単体上に添加した。室温で120時間乾燥した。次いでSEM分析を実施した。この場合、500nmの範囲で部分的に集塊となった粒子が測定された。平均粒径は120nmであった。
【0028】
更に試験した結果、粒径は10nm〜2μmの範囲で制御でき、これはTMOSの濃度に依存しているが、それぞれ選択された溶媒にも依存していることがわかった。上記した方法を同様に実施しながらメタノール及び/又はエタノールの形態のアルコールを使用する場合、1〜10nmの原粒子の平均の粒径が調節できるのに対し、3重量%超のTMOS濃度では、粒子は1〜2μmのマイクロメートル範囲であった。6時間後、分散液は粘稠なゲルに変化した。
【0029】
分散剤としてエタノール(100%)を用いてさらに試験を実施した。ここではTOMS6重量%を均質な混合物が形成されるまでUltra−Turrax装置中で激しく攪拌しながら混合した。次に10mlの0.01NHCl(反応促進剤として)を滴下した。再度1時間激しく攪拌した。得られたアルコール性の分散液は長期間安定であり、そして、室温において30日後にも如何なる種類の変化も呈さなかった。平均粒径は約10nmであった。粒径分布は均一であった。
【0030】
この20モル%硫酸アルミニウム及びノニオン性分散剤1〜2滴を基にしたTMOS1重量%から製造した分散液は、1日以上安定である均一な粒径分布のナノスケール粒子(約100nm)の形成をもたらすことは、種々の製造方法を用いることにより明らかにできる。アルコール性及び/又は水性の分散液は弱酸性であり、特にそれらは4.5〜5.0の範囲のpHを有していた。それらは「Zetasizer」装置(Malvern Instrument社より販売)により、ゼータ電位に関して計測することにより原粒子の荷電状態を調べた。この場合、この20モル%硫酸アルミニウム及びノニオン性分散剤1〜2滴を基にしたTMOS1重量%から製造したナノスケール原粒子は、負電荷を有していた。
【0031】
上記した分散液の1つを24時間−50℃で凍結乾燥したところ、白色で微細な粉末が蓄積した。混合酸化物SiO2/Al23の場合のナノスケール原粒子のそれぞれの結合比を検討するために、これらを固体本体のNMRスペクトル分析を用いて分析した。検討の結果は、TMOS及び硫酸アルミニウムの加水分解により−Si−O−Al−ネットワークがもたらされ、これはいわゆるQグループ[Q4(2Al)]及び[Q4(1Al)]により形成されていることを示している。
【0032】
以前の検討の結果によれば、粒径100nmのSiO2又はSiO2/Al23ナノスケール粒子は生地材料のコーティングにおいて特に適していることがわかっている。粒径が100nm未満の場合、個々の場合において、駆散性の作用は生じない場合がある。AFM画像はナノスケール粒子が粗放な繊維表面上に沈着している(ディープホール)ことを示している。これは後に示す図2に表れている。ナノスケール粒子が500nm超の直径を有する場合、生地は硬質感を呈し、これは望ましくないが、個々の例に必ずしも当てはまるわけではない。
【0033】
ナノスケール粒子SiO2又はSiO2/Al23(約100nm)の検討
1.ゼータ電位の計測
TMOS0.5〜2重量%の濃度、及びTMOSの量に基づいて10〜30モル%のAl2(SO43並びに0.2g/l〜0.8g/lのノニオン性分散剤を有する水性懸濁液(弱酸性pH=4.5〜5.0)をMalvern Instruments社のZetasizerZS装置を用いて計測した。ゼータ電位を計算することによりナノスケール原粒子の荷電状態を調べた。結果によれば、ナノスケール粒子は−8mVの負電荷を有しており、そして硫酸アルミニウムを添加しないSiO2含有分散液は−100mVの負電荷を有していた。文献値は以下の表にまとめた。
【0034】
【表1】

【0035】
2.固体本体のNMRスペクトル分析
上記した分散液をここで24時間−55℃で凍結乾燥した。白色の微細な粉末が得られた。ナノスケール粒子の結合比を検討するために、これらを固体本体NMRスペクトル分析を用いて分析した。検討の結果は、硫酸アルミニウムのTMOSの加水分解により−Si−O−Al−ネットワークがもたらされ、これはQグループ[Q4(2Al)]及び[Q4(1Al)]により説明することができる。
【0036】
実施例2(生地材料の親水性化)
SiO2又はSiO2/Al23(粒径:100nm)を含有する分散液を以下に記載する通りフーラード上で種々の生地材料に対してコーティングした。
【0037】
SiO2又はSiO2/Al23の分散液を先ず0.5〜2重量%の濃度で製造した。生地材料にこの分散液を室温(20℃)で含浸させた。その後、0.15kg/cm2の圧力及び約1m/分の速度でフーラード上搾出を行った。その後、乾燥キャビネット中20分間80℃で乾燥させた。
【0038】
以下に記載する生地材料の親水性化ののち、接触角測定及び液体浸透時間試験を実施した。検討の結果によればナノスケール粒子(SiO2又はSiO2/Al23)でコーティングした生地材料は極めて良好な親水性の特性を有していた。
【0039】
FIBRODAT装置(動的吸着及び接触角試験装置)を用いて接触角測定を実施した。接触角測定の結果を以下の表2にまとめた。
【0040】
【表2】

【0041】
コーティングされた生地材料の親水性の特性が全て良好なほど接触角が小さかったという事実に着目される。
【0042】
液体浸透時間試験の検討結果:ポリプロピレン不織布(20g/m2)及びポリプロピレン不織布(52g/m2)(両方とも従来の市販の不織布)をナノスケール粒子(SiO2又はSiO2/Al23)でコーティングすることにより親水性の特性を試験した。液体浸透時間試験は又CELNorm014(ISO9073−8)に従って実施した。「永久的に親水性である」という特徴に関しては、以下の条件プロファイルを基本とした。即ち第1回ストライク<3秒:3秒以内の親水性化生地材料の濡れは極めて良好な親水性を意味する;第2回ストライク<5秒:極めて良好な親水性;第3〜第5回ストライク<5秒:極めて良好な親水性(第2回ストライクのプロセスを濾紙交換せずに反復する)。
【0043】
【表3】

【0044】
液体浸透時間試験を用いた検討の結果は、ナノスケール粒子(SiO2又はSiO2/Al23)でコーティングしたポリプロピレン不織布(20g/m2)は3秒未満の第1回浸透を有することを示している。
【0045】
【表4】

【0046】
ポリプロピレン不織布(52g/m2)は厚みの大きいものであったものの、生地材料は第2回液体浸透及び第3回液体浸透において5秒以内の濡れを示した。
【0047】
最後にポリプロピレン不織布(16g/m2)をナノスケール粒子(SiO2又はSiO2/Al23)でコーティングすることにより親水性の特性を試験した。この目的のために液体浸透時間試験を再度CELNorm014(ISO9073−8)に従って実施した。望ましい程度の高親水性がこの場合も観察された。
【0048】
実施例3(生地材料の疎水性化)
これはナノスケール粒子(SiO2又はSiO2/Al23)による生地材料のコーティングとその後の材料の疎水性化の化学的後処理を組み合わせたものである。従って、親水性化コーティングを先ず生地材料表面上に形成した。必要となる疎水性化薬剤、特にフッ化炭素樹脂は遥かに少量となることが後に明らかになる。疎水性化は好ましくは2工程の方法により行う。従って、まずナノスケール粒子を製造し(約100nmの粒径のSiO2又はSiO2/Al23)、そして次に適用して20分間80℃で乾燥した。次に従来の市販のフッ化炭素樹脂を以下に記載する通りフーラードを用いて生地材料上に適用した。親水性化生地材料に以下の組成、即ち0.5〜2重量%のTMOS;TMOSの量に基づいて10〜30モル%の硫酸アルミニウム、及び0.2g/l〜0.4g/lのノニオン性分散剤を有する分散液を含浸させた。
【0049】
0.35kg/cm2の圧力及び1m/分の速度でフーラード上搾出を行った。その後、乾燥キャビネット中3分間130℃で乾燥させた。
【0050】
以下に示す検討の結果は、ポリエステル(PES織布)上の10g/lフッ化炭素樹脂(フッ素の有効含有量30%)及びポリプロピレン不織布/織布上の17g/lフッ化炭素樹脂(フッ素の有効含有量30%)は、極めて良好な疎水性及び嫌油性の特性を達成するためには、本発明のナノスケール粒子(約100nmの粒径のSiO2又はSiO2/Al23)と組み合わせればフッ化炭素受信添加量として十分であることを示している。2工程の方法で処理された生地材料は、ポリエステル(PES)織布(103g/m2)による接触角は43.5°から128°に増加し、そしてポリプロピレン(PP)不織布(52g/m2)の場合は88°から130°に増加したことを示している。
【0051】
本発明の範囲においては、ナノスケール粒子の荷電状態のゼータ電位計測が有意義である。即ち、計測により本発明のナノスケール原粒子が例えばSiO2については−100mV、そしてはSiO2/Al23については−8mVの電荷を有するのに対し、フッ化炭素樹脂分散液の粒子は正荷電している。正荷電している生地材料、負荷電と再度正荷電されたフッ化炭素樹脂の材料の組み合わせは、極めて良好な接着を達成可能とし、そして水、油、汚泥及びアルコールに対する駆散性の良好な作用をもたらす。相当するデータは以下の表5にまとめた。
【0052】
図2に関しては、以下のことが同様に言え、即ちこれから生じる検討結果は商業的研究施設の検討に戻される。未コーティングの繊維表面にはディープホールが存在する。ナノスケール粒子でコーティングした後はディープホールが被覆され、細密に構築された繊維表面が形成される(2種の異なる繊維表面a及びb)。
【0053】
【表5】


【0054】
疎水性付与に関して更に試験を実施し、即ち、2種のPP不織布(20g/m2及び52g/m2)を先ずナノスケールSiO2又はSiO2/Al23粒子で、そして次にFCでコーティングし、疎水性の特性を試験した。ここでは水柱試験をTEXTESTから入手した水密性試験装置を用いて実施(EDEANA120.1−80に基づく)し、そして油及びアルコールの駆散性試験も実施した。
【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】分散液の濃度による粒径の変化(下段:TMOS1重量%;20モル%Al2(SO43及び分散剤1滴(20℃;12時間;ガラス担体))
【図2】AFM画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノスケール原粒子であって、1〜2000nm(ZetasizerNS装置(Nano Series)による粒径を計測する方法により測定)の平均粒径並びに負電荷を有することを特徴とするSiO2又はSiO2と他の金属酸化物、特にAl23との混合酸化物のナノスケール原粒子。
【請求項2】
平均粒径が約40〜500nm、特に100〜150nmであることを特徴とする請求項1記載のナノスケール原粒子。
【請求項3】
混合酸化物の、特にSiO2/Al23の形態のナノスケール原粒子であって、ゼータ電位(Zerasizer装置によるpHの関数としての計測方法により測定)が約−8〜−100mVであることを特徴とする、混合酸化物系の、特にSiO2/Al23の形態における、請求項1又は2記載のナノスケール原粒子。
【請求項4】
混合酸化物のナノスケール原粒子であって、ゼータ電位が約−10〜−100mV、特に約−10〜−40mVであることを特徴とする請求項3記載のナノスケール原粒子。
【請求項5】
約−100〜−200mV、特に約−100mVの負電荷を有することを特徴とする、SiO2の請求項1又は2記載のナノスケール原粒子。
【請求項6】
SiO2/Al23の混合酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子。
【請求項7】
SiO2と他の金属酸化物の混合酸化物であり、前記他の金属酸化物の約0.125〜0.625重量部、特に約0.125〜0.25重量部がSiO21重量部に割り当てられることを特徴とする請求項1〜6の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール原粒子。
【請求項8】
−Si−O−Al−ネットワークを有し、Qグループ[Q4(2Al)]及び[Q4(1Al)]の固体NMRスペクトルを示す前記請求項1〜4又は6のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子。
【請求項9】
前記請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール粒子を含む液体媒体。
【請求項10】
ナノスケール原粒子が形成されている反応媒体であることを特徴とする請求項9記載の液体媒体。
【請求項11】
液体構成成分が水及び/又はアルコール、特にメタノール及び/又はエタノールの形態である請求項9又は10記載の液体媒体。
【請求項12】
オルトシリケート、特にテトラメチルオルトシリケート(TMOS)の形態の分散液を強力な攪拌器で分散剤の存在下で攪拌して、オルトシリケートを加水分解してナノスケール原粒子とすること、又は、金属塩の分散液を前記オルトシリケートの分散液に混入させてSiO2と他の金属酸化物の混合酸化物を形成し、この分散液を強力攪拌器で攪拌し、そこに含有されるオルトシリケートを加水分解してナノスケール原粒子とすることを特徴とする請求項1〜11の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項13】
Ultra−Turax装置を強力な攪拌器として使用することを特徴とする請求項12記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項14】
それぞれの分散液におけるオルトシリケートの濃度が約0.5〜5重量%、特に約0.5〜2重量%に調節されることを特徴とする請求項12又は13に記載のナノスケール原の製造方法。
【請求項15】
ナノスケール原粒子の平均粒径を制御するためにTMOSの濃度、金属塩の濃度、分散剤の濃度、及び、水及び/又はアルコールへの分散手段を変動させることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項16】
ナノスケール原粒子の小型平均粒径、特に1〜10nmの平均粒径を調節するために、メタノール及び/又はエタノールを分散媒体として使用し、その際に特に約0.5〜0.001Nの濃度の希塩酸を特に反応促進剤として使用することを特徴とする請求項15記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項17】
前記希塩酸の濃度が約0.008〜0.015Nに調節されることを特徴とする請求項16記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項18】
SiO2/Al23混合酸化物を製造するためにオルトシリケートの分散液をアルミニウム塩の分散液と強力な攪拌器を用いて混合することを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項19】
前記アルミニウム塩として硫酸アルミニウムを使用することを特徴とする請求項18記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項20】
オルトシリケートとの混合分散液中のアルミニウム塩、特に硫酸アルミニウムの濃度が、オルトシリケートの量に対して、約10〜30モル%、特に約15〜25モル%に調節されることを特徴とする請求項18又は19に記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項21】
ナノスケールのSiO2/Al23混合酸化物中において、Al23約0.125〜0.625重量部がSiO21重量部に割り当てられる、特にAl23約0.125〜0.25重量部がSiO21重量部に割り当てられるように方法を制御することを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の製造方法。
【請求項22】
疎水性生地材料の親水性化コーティングのための請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項23】
生地材料としてフィラメント、繊維、糸、織布、編地及び/又は不織布が親水性コーティングを付与されることを特徴とする請求項22記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項24】
生地材料が有機重合体又はガラス材料を含むことを特徴とする請求項22又は請求項23記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項25】
前記有機重合体がポリエステル、ポリオレフィン、特にエチレン及び/又はプロピレンの単独重合体又は共重合体、ハロゲン化ポリオレフィン、特にPVC、ポリアクリル酸誘導体(PAN)、ポリアミド及び/又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項24記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項26】
水滴の接触角の計測試験及び液体浸透時間試験により測定した場合に強力に顕在化した親水性の特性を有する生地材料を得る請求項22〜25のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項27】
ポリプロピレン不織布上で計測した場合に非親水性化ポリプロピレン不織布と比較して水滴接触角が120から60°に、ポリプロピレン織布上で同様に計測、比較した場合には117から48°に減少する程度に生地材料を親水化させることを特徴とする請求項26記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項28】
ポリプロピレン不織布上で計測した場合に、液体浸透時間試験において親水性化ポリプロピレン不織布が3秒未満のうちに被験液体で濡れる程度に生地材料を親水性化させることを特徴とする請求項26記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項29】
親水性中間層を有さない生地材料と比較して、向上したアルコール及び油に対する駆散性を有する、疎水性の外層を生地材料の親水性コーティング上に形成することを特徴とする請求項22〜25の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項30】
疎水性の外層を形成するために、フッ素化合物、特にフッ化炭素樹脂が、目標とされるアルコール及び油に対する駆散性が損なわれることなく、特に、親水性中間層を有さない生地材料と比較して有意に低減した適用量で使用されることを特徴とする請求項29記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項31】
抗微生物性仕上げ加工、特に抗細菌性の仕上げ加工を生地材料の親水性コーティング上に設けることを特徴とする請求項22〜28の少なくともいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項32】
前記抗微生物性仕上げ加工を第4アンモニウム塩により、特に塩化ベンザルコニウム(アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)により形成することを特徴とする請求項31記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項33】
前記抗微生物仕上げ加工において、長鎖アルキルを有する、特にアルキル鎖に12〜18炭素原子を有する第4アンモニウム塩を使用することを特徴とする請求項32記載のナノスケール原粒子の使用方法。
【請求項34】
ポリヘキサメチレンビグアニジウム塩、又は特に水溶性キトサンオリゴマーの形態のキトサンを抗微生物性の物質として使用することを特徴とする請求項31〜33のいずれか一項に記載のナノスケール原粒子の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−520665(P2009−520665A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546181(P2008−546181)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011657
【国際公開番号】WO2007/079841
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508029882)
【Fターム(参考)】