説明

StreptococcusPneumoniaeに対するワクチンおよび組成物

Streptococcus pneumoniaeは、特に非常に若い人、高齢者、または免疫無防備な患者において主要な健康への懸念である。本開示は、とりわけ、Streptococcus pneumoniaeにおける特定の高度に有効なワクチンおよび薬学的組成物を提供する。抗原は、治療または予防に使用され得る。本願は、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むワクチン処方物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年6月29日に出願された米国仮特許出願第61/221,541号、2009年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/240,616号、2009年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/240,598号、および2010年3月22日に出願された米国仮特許出願第61/316,267号の出願日の利益を主張する。参考とされる出願の全体の教示は、本明細書中で参考として明確に援用される。
【背景技術】
【0002】
I.背景
肺炎球菌の疾患は、米国および世界中で、疾病および死の主な原因であることが続いている。毎年、何百万もの、肺炎、髄膜炎、菌血症、および中耳炎の症例が、病原菌Streptococcus pneumoniaeの感染による。S.pneumoniaeは、健康な成人の約5%〜約10%および健康な子供の20%〜40%の鼻咽腔にコロニーを形成するグラム陽性の被包性球菌である。S.pneumoniaeがエウスタキオ管、鼻洞(nasal sinus)、肺、血流、髄膜、関節隙、骨および腹膜腔に持ち込まれるときに正常なコロニー形成が感染性になる。S.pneumoniaeは、その生物が免疫系を逃れるのを可能にするいくつかの毒性因子を有する。例としては、宿主の免疫細胞による食作用を防ぐ多糖類の莢膜、補体媒介性オプソニン作用を阻害するプロテアーゼ、および宿主細胞の溶解を引き起こすタンパク質が挙げられる。多糖類の莢膜において、複雑な多糖類の存在は、肺炎球菌を異なる血清型に分ける基礎を形成する。現在までに、S.pneumoniaeの93種の血清型が同定されている。
【0003】
種々の薬学的組成物は、S.pneumoniaeによる感染に対する免疫応答を役立てるために使用されている。多価の肺炎球菌ワクチンPPV−23は、成人および高齢の集団において、S.pneumoniaeに起因する肺炎および他の侵襲性疾患を防ぐために開発された。上記ワクチンは、S.pneumoniaeの23種の血清型からの莢膜多糖類(CP)を含む。T細胞非依存性抗原として、これらのCPは、繰り返し投薬を必要とする短期の抗体応答のみを誘導し、これは免疫寛容のリスクを増加させる。抗莢膜抗体と称される、S.pneumoniaeに対して得られた抗体は、成人および免疫応答性の個体において防御抗体として認識される。しかし、2歳の年齢より下の子供および高齢者を含む免疫無防備な個体は、T細胞非依存性抗原にあまりよく応答せず、従って、PPV−23による最適な防御を与えられない。二番目のS.pneumoniaeワクチンであるPrevnarは、ジフテリアトキソイドタンパク質に結合体化された、7種のS.pneumoniae株由来の細菌性多糖類を含む。このワクチンは、BおよびT細胞応答の両方を誘導する。しかし、このワクチンは、7種の肺炎球菌の血清型に対して防御するのみなので、血清型の置き換えは、Prevnarを無効にし得る。PPV−23は、同じ限定を欠点として持つ。血清型の置き換えは、いくつかの臨床試験および疫学研究において、すでに実証されており、そしてそのことにより恐らくは、さらにより高いコストでの、ワクチンの異なる処方物が開発されることが必要である可能性が高まる。さらに、PPV−23およびPrevnarの両方は、製造するのが高価であり、発展途上の世界におけるそれらの入手の可能性を大いに限定する。
【0004】
従って、現在の戦略が提供するものよりも有効な薬学的組成物を設計する必要性が依然として存在する。特に、このような組成物は、S.pneumoniaeに対する免疫応答を引き出す新規または特異的な抗原を組み込むことが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
II.要約
Streptococcus pneumoniaeは、特に非常に若い人、高齢者、または免疫無防備な患者において主要な健康への懸念である。S.pneumoniaeについてのDNAおよびタンパク質の配列情報は、しばらく公知であり、研究者らは、S.pneumoniaeに対するワクチンを作り出そうと長く試みているが、主要な問題は、S.pneumoniaeのゲノムにおける約2100個の遺伝子の中から、どのようにして防御のポリペプチドを同定するかであった。本願は、S.pneumoniaeのゲノムにおけるほとんどの免疫原性タンパク質を同定するように設計された全ゲノムスクリーニングの結果を表す。上記スクリーニングからのいくつかのヒットは、マウスモデルにおいて、S.pneumoniaeのコロニー形成に対して防御されることが示されている。従って、本開示は、とりわけ、Streptococcus pneumoniaeにおける特定の高度に有効なワクチンを提供する。上記ワクチンは、治療または予防に使用され得る。本開示はまた、S.pneumoniaeに対する免疫応答を引き出すために、特異的な抗原および上記抗原を使用する方法を提供する。
【0006】
本開示は、例えば、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜11のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、そして配列番号12もしくは13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを必要に応じてさらに含むワクチン処方物を提供する。
【0007】
本開示はまた、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号11からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むワクチン処方物を提供する。さらに、本開示は、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むワクチン処方物を提供する。
【0008】
さらに、本願は、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むワクチン処方物を提供する。
【0009】
本願は、とりわけ、S.pneumoniae感染に苦しむか、または罹患しやすい被験体を処置する方法であって、上記方法は、有効な量の、本明細書中に記載されるワクチン処方物のいずれかを投与する工程を含む、方法を提供する。
【0010】
本開示は、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有する2つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む免疫原性組成物をさらに提供し、ここで上記ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つを含むアミノ酸配列、またはその免疫原性フラグメントを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例5に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの死滅させた非被包性全細胞で刺激されたマウスからの血液サンプルによって生成されたIL−17の濃度を示す。左のパネルは、分散形式でのデータを示し、右のパネルは、各サンプルについての平均値および標準偏差を示す。免疫群「All 3」は、SP2108、SP0148、およびSP1634の組み合わせで免疫された動物を示す。
【図2】図2は、実施例5に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次に3種のタンパク質(SP2108、SP0148、およびSP1634)の組み合わせで刺激されたマウスからの血液サンプルによって生成されたIL−17の濃度を表す。
【図3】図3は、実施例5に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの鼻内投与でチャレンジされたマウスにおける鼻の洗浄物から得られた、S.pneumoniaeのコロニーの数を示す。003は、対照の無関係な抗原を表す。
【図4】図4は、実施例6に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの死滅させた非被包性全細胞で刺激されたマウスからの血液サンプルによって生成されたIL−17の濃度を示す。
【図5】図5は、実施例5に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次に示されたタンパク質および組み合わせによって刺激されたマウスからの血液サンプルによって生成されたIL−17の濃度を示す。
【図6】図6は、実施例6に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの鼻内投与でチャレンジされたマウスにおける鼻の洗浄物から得られた、S.pneumoniaeのコロニーの数を示す。遺伝子名US12(NP_044543.1、NC_001798.1;本図において003と示される)を持つHSV−2タンパク質ICP47、およびオボアルブミン(OVA)は、対照抗原を表す。
【図7】図7は、実施例7に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの鼻内投与でチャレンジされたマウスにおける鼻の洗浄物から得られた、S.pneumoniaeのコロニーの数を示す。
【図8】図8は、実施例8に記載されるように、示されたタンパク質(複数可)およびコレラ毒素で免疫され、次にS.pneumoniaeの鼻内投与でチャレンジされたBALB/cマウスにおける鼻の洗浄物から得られたS.pneumoniaeのコロニーの数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
IV.詳細な説明
A.S.pneumoniaeワクチンおよび免疫原性組成物における使用のための特定のポリペプチドおよび核酸
本願は、表1に列挙される1つもしくはそれより多くのポリペプチドもしくは遺伝子、または下に記載されるようなその改変体もしくはフラグメントを含むS.pneumoniaeワクチンを記載する。上記ワクチンは、表1の配列を含むポリペプチドまたはその改変体もしくは免疫原性フラグメント、あるいは表1の配列からなるポリペプチドまたはその改変体もしくは免疫原性フラグメントを含み得る。各遺伝子およびポリペプチドのDNAおよびタンパク質の配列は、公的に入手可能なデータベースである、(ワールドワイドウェブにおけるNCBI NIHのウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=gene)における)Entrez Geneにおいて、Streptococcus pneumoniae TIGR4ゲノムにおけるローカスタグ(Locus Tag)について検索することによって見出され得、示された配列はまた、本願に含まれ得る。
【0013】
表1.ワクチン処方物のための免疫原性ポリペプチド
【0014】
【表1−1】

【0015】
【表1−2】

表1の特定のポリペプチド、およびその改変体は、より詳しく下に記載される。
【0016】
1.SP0024(配列番号1)およびその改変体
SP0024は、アミノ酸27〜アミノ酸163に伸びる、保存された炭酸脱水酵素ドメインを含む165アミノ酸の仮定のタンパク質(hypothetical protein)を表す。このコンセンサスモチーフに基づいて、SP0024は、亜鉛結合タンパク質であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP0024から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP0024由来の、150以下、125以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0018】
2.SP0882(配列番号2)およびその改変体
SP0882は、274アミノ酸の保存された仮定のタンパク質である。タンパク質(アミノ酸2〜270)の多くは、エステラーゼまたはリパーゼ様領域を形成する。
【0019】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP0882から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP0882由来の、250以下、275以下、200以下、175以下、150以下、125以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0020】
SP0882Nと名づけられた1つの特定の切断(truncation)改変体は、SP0882のN末端の130アミノ酸からなり、配列番号3として示される。SP0882Nは、異なる血清型の中で特によく保存される領域を含む。特定の実施形態において、SP0882もしくはSP0882Nを含むポリペプチド、またはどちらかの免疫原性フラグメントはまた、外因性リーダー配列を含む。上記リーダー配列は、例えば、SP2108のリーダー配列であり得る。2つの例示的なこのようなポリペプチドは、配列番号4および5である。
【0021】
SP0882のDNA配列およびタンパク質配列の改変体は、とりわけ、米国特許出願公開第2009/0215149号および国際出願WO2002/077021、WO98/18931、およびWO2007/106407に記載される。SP0882Nの改変体は、国際出願WO2008/146164に開示される。
【0022】
配列のバリエーションは、異なるS.pneumoniae血清型間でタンパク質レベルで起こり、異なるS.pneumoniae血清型からのSP0882配列の組み合わせを例示するコンセンサス配列は、配列番号14〜17として提供される。従って、特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号14〜17のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド、もしくは配列番号14〜17のいずれかからなるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または(例えば、配列番号2〜5のうちの1つを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)その免疫原性フラグメントを含む。
【0023】
SP0882の異なる改変体をコードする核酸配列は、配列番号24〜26として提供されるが、遺伝コードにおける縮重に起因して、他のDNA配列(コドン最適化配列が挙げられる)が、これらのポリペプチドをコードし得る。
【0024】
3.SP0148(配列番号7)およびその改変体
タンパク質SP0148は、「ABCトランスポーター、基質結合タンパク質」と名づけられている。このクラスのタンパク質は、代表的に、膜貫通タンパク質複合体と一時的に相互作用する細胞外タンパク質である。このような複合体は、ATP加水分解によって産生されるエネルギーを使用して、細胞膜を横切って特定の基質を移動させる。SP0148は、膜結合型輸送複合体の代表である、アミノ酸40〜246に及ぶ保存されたPBPb(ペリプラズム結合タンパク質)ドメインを含む276アミノ酸のタンパク質である。さらに、SB0148は、主としてPBPbドメインと同一の広がりを持ち(co−extensive)、アミノ酸40〜244に伸びる、細菌性細胞外溶質結合タンパク質(bacterial extracellular solute−binding protein)、ファミリー3ドメインを有する。いくつかの実施形態において、ワクチンまたは他の組成物は、1つまたはそれより多くの上記ドメインおよびモチーフを含むか、または欠いているSP0148の切断変異体を含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP0148から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP0148からの、250以下、275以下、200以下、175以下、150以下、125以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0026】
内因性のSP0148は、その分泌を指示し得る推定上のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、シグナル配列(配列番号6)が欠けているSP0148の改変体が使用される。配列番号6のポリペプチドは、配列番号27の核酸によってコードされるが、他の核酸配列(コドン最適化配列が挙げられる)が使用され得る。配列番号28は、本明細書中でのスクリーニングにおいて使用されるSP0148の全長配列をコードする。
【0027】
SP0148のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列の改変体は、米国特許出願公開第2005/0020813号、米国特許第7,378,514号および同第7,504,110号、ならびに欧州特許出願第EP1572868号および同第EP1855717号において見出され得る。
【0028】
異なるS.pneumoniae血清型からのSP0148配列の組み合わせを例示するコンセンサス配列は、配列番号18および19として提供される。従って、特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号18〜19のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド、もしくは配列番号18〜19のいずれかからなるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその免疫原性フラグメント(例えば、配列番号6または7のうちの1つを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)を含む。
【0029】
4.SP1072(配列番号8)およびその改変体
dnaGとしても知られるSP1072は、RNAプライマーの形成を触媒するDNAプライマーゼ酵素であり、このRNAプライマーは、DNAポリメラーゼがDNA複製を開始するのを可能にする。586アミノ酸のタンパク質SP1072は、いくつかの保存されたモチーフを含む。N末端から始めて、アミノ酸2〜96は、ジンクフィンガードメインを形成し、DNAプライマーゼの触媒コアは、アミノ酸122〜250に及び、高度に保存されたトポイソメラーゼ−プライマーゼ(TORPIM)ヌクレオチジルトランスフェラーゼ/ヒドロラーゼドメイン領域は、アミノ酸258〜330に伸びる。いくつかの実施形態において、ワクチンまたは他の組成物は、1つまたはそれより多くの上記ドメインおよびモチーフを含むか、または欠いているSP1072の切断変異体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP1072から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP1072からの、550以下、500以下、450以下、400以下、350以下、300以下、250以下、200以下、150以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0031】
5.SP2108(配列番号9)およびその改変体
ポリペプチドSP2108は、長さが423アミノ酸であり、MalX、マルトース/マルトデキストリンABCトランスポーターまたはマルトース/マルトデキストリン結合タンパク質として交互に公知である。タンパク質(アミノ酸3〜423)の多くは、MalE(マルトース結合ペリプラズム)ドメインとして分類される。さらに、SP2108は、その分泌を指示するシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、ワクチンまたは他の組成物は、1つまたはそれより多くの上記ドメインおよびモチーフを含むSP2108の切断変異体を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、本明細書中における組成物および方法は、シグナル配列を欠いているSP2108改変体の使用を必要とする。この改変体は、ポリペプチド配列の配列番号10によって表され、例えば、配列番号29に従う核酸によってコードされ得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP2108から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP2108からの、400以下、350以下、300以下、250以下、200以下、150以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0034】
異なる血清型からのSP2108配列の組み合わせを例示するコンセンサス配列は、配列番号20および21として提供される。従って、特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号20〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド、もしくは配列番号20〜21のいずれかからなるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその免疫原性フラグメント(例えば、配列番号9または10のうちの1つを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)を含む。
【0035】
6.SP0641(配列番号12)およびその改変体
SP0641は、長さが2144アミノ酸であって、PrtA、細胞壁関連セリンプロテアーゼとしても公知である。全長SP0641は、多数の保存されたモチーフ:タンパク質結合表面を形成し得る、アミノ酸485と597との間に広がるPA_2モチーフ;Fn3様ドメイン(アミノ酸800〜939);およびアミノ酸226〜449および639〜777に位置するS8 C5aタイプの2つの予測される触媒ドメインを含む。いくつかの実施形態において、ワクチンまたは他の組成物は、1つまたはそれより多くの上記ドメインおよびモチーフを含むか、または欠いているSP0641の切断変異体を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、S.pneumoniaeポリペプチドを含むワクチンまたは薬学的組成物は、SP0641から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを含む。上記ポリペプチドはまた、少なくとも20残基のフラグメントの改変体であり得る。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、SP0641からの、1000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下、または100以下の連続するアミノ酸を含む。
【0037】
SP0641の特定の他の切断変異体もまた使用され得る。例えば、SP0641N(配列番号13)と称されるポリペプチドは、SP0641のN末端に近いアミノ酸24〜684に対応する661アミノ酸からなる。SP0641N(およびSP0641のアミノ酸686〜1333に対応する)におおよそ隣接して、切断改変体SP0641M(配列番号11)によって捕捉される648残基領域がある。
【0038】
SP0641の改変体は、例えば、米国特許第7,338,786号、同第6,573,082号、および同第7,132,107号、ならびに国際出願WO00/06738に開示される。
【0039】
配列番号30および31は、それぞれ、SP0641MおよびSP0641NのDNA配列を示すが、遺伝コードにおける縮重に起因して、他のDNA配列(コドン最適化配列が挙げられる)が、SP0641をコードし得る。
【0040】
表1および2のポリペプチド(例えば、SP0024、0882、0882N、シグナル配列を有するか、もしくは有さない0148、1072、シグナル配列を有するか、もしくは有さないSP1028、SP0641、SP0641M、またはSP0641N)に相同なポリペプチドはまた、本明細書中で開示される組成物および方法において、使用され得る。S.pneumoniaeの個々の株は、互いに比較して数多くの変異を含み、これらのうちのいくつかは、異なる株間で異なるタンパク質配列をもたらす。当業者は、アミノ酸配列またはその一部を、異なるS.pneumoniae株からの相同なアミノ酸配列で容易に置換し得る。特定の局面において、本願は、表1および2のポリペプチドに対して、少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または99.5%の同一性を有する免疫原性ポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントを提供する。血清型のバリエーションは、表1および2のポリペプチドの上記の改変体を設計するために使用され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書におけるワクチン組成物は、表1または2のタンパク質のフラグメント(例えば、SP0024、SP0882、SP0882N、シグナル配列を有するか、もしくは有さない0SP148、SP1072、シグナル配列を有するか、もしくは有さないSP1028、SP0641、SP0641M、またはSP0641Nのフラグメント)を含む。いくつかの実施形態において、本願は、表1または2のポリペプチドに大きさが近い切断変異体を提供する(例えば、配列番号1〜13のうちの1つ)。例えば、それらは、一方または両方の末端から、せいぜい、1、2、3、4、5、10、または20アミノ酸を欠いていることがある。内部の欠失(例えば、1〜10、11〜20、21〜30、または31〜40アミノ酸の欠失)も企図される。
【0042】
特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチド、または配列番号14〜21のいずれかからなるアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドを含む。特定の実施形態において、フラグメントは、配列番号14〜21のいずれかの切断フラグメントであり、ここで、1〜5、1〜10、または1〜20アミノ酸残基は、N末端、C末端、または両方から取り除かれる。特定の実施形態において、フラグメントは、配列番号14〜21のいずれかの切断フラグメントであり、ここで、1〜10アミノ酸残基は、N末端、C末端、または両方から取り除かれる。例えば、10アミノ酸残基は、N末端およびC末端のそれぞれから取り除かれ得、結果として20アミノ酸残基が取り除かれたタンパク質となる。
【0043】
上の表1に記載されるこれらの核酸およびポリペプチドの他に、本願はまた、表1および/もしくは表2に列挙される1つもしくはそれより多くのポリペプチドもしくは遺伝子、または本明細書中に記載されるような、その改変体もしくはフラグメントを含む免疫原性組成物を提供する。各遺伝子およびタンパク質のDNA配列およびタンパク質の配列は、上に記載されるように、公的に入手可能なデータベースであるEntrez Geneにおいて、ローカスタグを検索することにより見出され得る。
表2.ヒトおよびマウスのスクリーニングにおいて同定された免疫原性タンパク質
【0044】
【表2−1】

【0045】
【表2−2】

代表的に、本発明の化合物に存在するポリペプチドは、単独で、または改変体としてのいずれかで免疫原性であり、このものは、別のポリペプチドに融合されるか、またはアジュバントと混合されるか、またはアジュバントに対して複合体化されるポリペプチドを含む。改変体はまた、本明細書中に記載されるような、100%より低い配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態において、表1または2の抗原は、全長のポリペプチドとして提供される。さらに、当業者は、適切な免疫原性を有する、フラグメント、前駆体、および類似体を使用し得る。
【0046】
これらのポリペプチドは、哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、またはヒト)において免疫原性であり得る。免疫原性ポリペプチドは、代表的に、アッセイまたは被験体において、著しい免疫応答を起こすことが可能なものである。例えば、免疫原性ポリペプチドは、T細胞によって産生されるIL−17の量を増加させ得る。実施例1〜4に記載されるIL−17アッセイは、免疫原性ポリペプチドを同定するために使用され得るアッセイの例である。あるいは、免疫原性ポリペプチドは、(i)上記ポリペプチドに結合する抗体(例えば、中和抗体)の産生を誘導し得、(ii)T1免疫を誘導し得、(iii)例えば、CD8+ T細胞を増加させること、および/または感染部位または再感染部位にCD8+ T細胞の局在化を増加させることによって、CD8+ CTL応答を活性化し得、(iv)T17免疫を誘導し得、および/または(v)先天免疫を活性化し得る。いくつかの実施形態において、免疫原性ポリペプチドは、その抗原に特異的な、検出可能な量の抗体の産生をもたらす。
【0047】
特定の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトの自己抗原および/または消化管共生細菌(gut commensal bacteria)(例えば、特定のBacteroides、Clostridium、Fusobacterium、Eubacterium、Ruminococcus、Peptococcus、Peptostreptococcus、Bifidobacterium、EscherichiaおよびLactobacillusの種)に対して、20%より低い、30%より低い、40%より低い、50%より低い、60%より低い、または70%より低い同一性を有する。ヒトの自己抗原の例としては、インスリン、増殖性細胞核抗原、シトクロムP450、およびミエリン塩基性タンパク質が挙げられる。
【0048】
本開示は、例えば、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜11のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、そして配列番号12もしくは13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを必要に応じてさらに含む、ワクチン処方物を提供する。特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも2つの異なるポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントを含み、ここで、上記ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つを含むアミノ酸配列、またはその免疫原性フラグメントを有する。ここで、用語「異なる」は、上記2つのペプチドのそれぞれが、配列番号1〜13から選択される異なる配列に由来することを示す。
【0049】
ワクチン処方物はまた、配列番号1〜11のいずれかからなるアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドを含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、(i)〜(vi)の異なる群に属する:(i)配列番号1またはその免疫原性フラグメント、(ii)配列番号2〜5のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(iii)配列番号6〜7のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(iv)配列番号8またはその免疫原性フラグメント、(v)配列番号9〜10のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および(vi)配列番号11〜13のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。このような組み合わせの例は下に列挙される:
【0051】
【化1】

【0052】
【化2】

【0053】
【化3】

特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも3つの異なるポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントを含み、ここで、上記ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つを含むアミノ酸配列を有する。特定のこのような実施形態において、ワクチン処方物は、少なくとも3つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、(i)〜(vi)の異なる群に属する:(i)配列番号1またはその免疫原性フラグメント、(ii)配列番号2〜5のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(iii)配列番号6〜7のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(iv)配列番号8またはその免疫原性フラグメント、(v)配列番号9〜10のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および(vi)配列番号11〜13のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。このような組み合わせの例は下に列挙される:
【0054】
【化4】

【0055】
【化5】

【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む。特定のこのような実施形態において、ワクチン処方物は、少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドは、(i)〜(iii)の異なる群に属する:(i)配列番号14〜17のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(ii)配列番号18〜19のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および(iii)配列番号20〜21のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。このような組み合わせの例は下に列挙される:
【0060】
【化10】

いくつかの局面において、配列番号14〜21の1つまたはそれより多くを含むワクチン処方物は、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む。
【0061】
特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも3つの異なるポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントを含む。特定のこのような実施形態において、ワクチン処方物は、(i)〜(iii)の3つを含む:(i)配列番号14〜17のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、(ii)配列番号18〜19のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および(iii)配列番号20〜21のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。このような組み合わせの例は下に列挙される:
【0062】
【化11】

ポリペプチドは、1つまたはそれより多くの免疫原性部分、および1つまたはそれより多くの非免疫原性部分を含み得る。免疫原性部分は、種々の方法によって同定され得、その方法としては、タンパク質マイクロアレイ、ELISPOT/ELISA技術、および/または問題のポリペプチドの異なる欠失変異体(例えば、フラグメント)についての特定のアッセイが挙げられる。免疫原性部分はまた、コンピューターアルゴリズムによって同定され得る。(EpiVaxによって製造される)EpiMatrixのような、いくつかのこのようなアルゴリズムは、コンピューターによるマトリックスアプローチを使用する。抗原エピトープを同定するための、他のコンピューターによるツールとしては、PEPVAC(Promiscuous EPitope−based VACcine(immunax.dfci.harvard.edu/PEPVACにおけるワールドワイドウェブ上でDana Farber Cancer Instituteによってホストされる))、およびMHCPred(部分的最小二乗法アプローチを使用し、www.jenner.ac.uk/MHCPredにおけるワールドワイドウェブ上でThe Jenner Instituteによってホストされる)が挙げられる。本明細書中に記載されるポリペプチドの免疫原性フラグメントは、実験的に測定されるか、またはアルゴリズムによって同定されるときに、少なくとも1つの免疫原性部分を含む。上に記載されるツールによって同定されるペプチドとしては、以下が挙げられる:
【0063】
【化12−1】

【0064】
【化12−2】

【0065】
【化13−1】

【0066】
【化13−2】

従って、いくつかの局面において、本願は、本明細書中に記載される抗原の免疫原性フラグメントを提供する。いくつかの例において、上記フラグメントは、全長ポリペプチド、または表1または2のポリペプチドに大きさが近い。例えば、それらは、一方または両方の末端から、せいぜい、1、2、3、4、5、10、または20アミノ酸を欠いていることがある。特定の実施形態において、上記ポリペプチドは、長さが100〜500アミノ酸、または長さが150〜450アミノ酸、または長さが200〜400アミノ酸、または長さが250〜250アミノ酸である。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、長さが、100〜200、150〜250、200〜300、250〜350、300〜400、350〜450、または400〜500アミノ酸である。上に記載されるフラグメントまたはそのサブフラグメント(例えば、8〜50、8〜30、または8〜20アミノ酸残基のフラグメント)は、好ましくは、下に記載される生物学的活性(例えば、放出されるIL−17の量を、少なくとも1.5倍または2倍またはそれより多く増加させること(例えば、絶対測定としてか、またはオボアルブミンのような免疫学的に不活性なタンパク質と比較してのいずれか))のうちの1つを有する。フラグメントは、本明細書中に記載されるワクチンにおいてポリペプチドとして使用され得るか、または別のタンパク質、タンパク質フラグメント、またはポリペプチドに融合され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記フラグメントは、配列番号1〜13のN末端、C末端、または両方から1〜5、1〜10、または1〜20アミノ酸残基が取り除かれた配列番号1〜13のいずれかの切断フラグメントである。いくつかのこのような実施形態において、同じ数の残基は、N末端およびC末端から取り除かれ、他方、他の実施形態において、C末端と比較して、N末端から異なる数の残基が取り除かれる。
【0068】
特定の局面において、本願は、表1および2のポリペプチドに対して、少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または99.5%の同一性を有する免疫原性ポリペプチドを提供する。本開示はまた、薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜11のいずれかに対して、少なくとも90%、95%、98%、または99%同一である配列を含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、そして配列番号12または13のいずれかに対して、少なくとも90%、95%、98%、または99%同一である配列を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを必要に応じてさらに含む、ワクチン処方物を提供する。特定の実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号1〜13のいずれかに対して、少なくとも90%、95%、98%、または99%同一である配列を含むアミノ酸配列を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、ここで、上記ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つに対して、少なくとも90%、95%、98%、または99%同一である配列を含むアミノ酸配列、またはその免疫原性フラグメントを有する。
【0069】
いくつかの実施形態において、表1または2からの1つまたはそれより多くの(例えば、2、3、4、またはそれより多くの)ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントもしくは改変体は、混合物中に提供される。いくつかの実施形態において、表1または2からの2、3、4、またはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントもしくは改変体は、互いに共有結合している(例えば、融合タンパク質として)。
【0070】
いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、表1のポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、表1または2のポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。
【0071】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。特定のこのような実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、配列番号1〜13のいずれかからなるアミノ酸配列を有するポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、表1および2のポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかを含む(または該アミノ酸配列のいずれかからなる)アミノ酸配列を有するポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない。実質的にとは、この文脈において、他のS.pneumoniaeポリペプチドの、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、またはさらに1%未満を指す。
【0072】
特定の実施形態において、ワクチン組成物は、T17細胞に接触後、対照の無関係な抗原(例えば、遺伝子名US12を有するHSV−2タンパク質ICP47)によって誘導されるよりも、少なくとも1.5倍のT17細胞応答を誘導する。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、感染していない被験体において、S.pneumoniaeによる感染を阻害する。特定の実施形態において、ワクチン処方物は、個体におけるS.pneumoniaeのコロニー形成を阻害する。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、S.pneumoniaeの症状を阻害する。
【0073】
特定の実施形態において、本願は、上に記載されるポリペプチドの1つまたはそれより多くをコードする核酸(例えば、DNA、RNA、またはその類似体)を提供する。上に記載されるポリペプチドについての基礎となるDNA配列は、タンパク質産物の配列に影響しない手法で改変され得、そしてこのような配列は、本発明に含まれる。例えば、DNA配列は、コドン最適化され、宿主(例えば、E.coli)、昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス発現系を用いて)、または哺乳動物(例えば、ヒトまたはチャイニーズハムスターの卵巣)の細胞系において、発現を改善し得る。
【0074】
特定の実施形態において、本願は、表1または2における遺伝子、または上記遺伝子の改変体または一部に対して、少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である核酸(例えば、DNA、RNA、またはその類似体)を提供する。特定の実施形態において、上記核酸は、長さが、600〜2000、800〜1800、1000〜1600、1200〜1400ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、上記核酸は、長さが、600〜1600、800〜1800、または1000〜2000ヌクレオチドである。上記核酸は、例えば、表1および2のポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントの、組換え生産のために使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、ワクチンまたは免疫原性組成物は、融合タンパク質および/または融合DNA構築物を含み得る。本明細書中に記載されるポリペプチドは、改変なしで使用され得る。特定の実施形態において、より小さい関連ポリペプチド(例えば、フラグメントまたは同様のもの)が使用され、それらの分子量が約5000ダルトンより小さい(例えば、1500ダルトン〜5000ダルトン)とき、改変は、所望される免疫応答を引き出すことにおいて有用であり得る。例えば、より小さいポリペプチドは、適切な免疫原性キャリア(例えば、破傷風トキソイド、ニューモリシン キーホールリンペットヘモシアニン、または同様のもの)に結合体化され得る。特定の実施形態において、ワクチン処方物は、少なくとも1つの脂質付加(lipidated)ポリペプチドを含む。結合体化は、直接的または間接的(例えば、リンカーを介する)であり得る。他の実施形態において、構築物は、表1または2からの遺伝子またはタンパク質、またはその免疫原性フラグメントもしくは改変体、およびタグを含み得る。タグは、N末端またはC末端であり得る。例えば、タグは、核酸またはポリペプチドに付加され得、精製、検出、溶解性を容易にするか、または他の望ましい特徴をタンパク質または核酸に付与する。例えば、精製タグは、親和性精製に使用され得るペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドであり得る。例としては、His、GST、TAP、FLAG、myc、HA、MBP、VSV−G、チオレドキシン、V5、アビジン、ストレプトアビジン、BCCP、カルモジュリン、Nus、Sタグ、リポタンパク質D、およびβガラクトシダーゼが挙げられる。特定の例示的なHisタグとしては、HHHHHH(配列番号32)およびMSYYHHHHHH(配列番号33)が挙げられる。他の実施形態において、ポリペプチドは、タンパク質精製タグのようなタグがなく、精製タグに対する親和性に頼らない方法によって精製される。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は短い。いくつかの例において、この融合タンパク質は、表1または2のポリペプチドの一方または両方の末端に1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、10以下、または20以下の追加のアミノ酸を含む。
【0076】
B.免疫原性組成物
本開示はまた、薬学的キャリアと一緒に、免疫原性ポリペプチドまたはこれらの免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む薬学的組成物を提供する。S.pneumoniae由来の抗原は、S.pneumoniaに感染したマウス由来または健康なヒトドナー由来の免疫細胞をスクリーニングすることにより同定された。ヒトドナーは、S.pneumoniaeが非常に一般的な疾患であり、コロニー形成する病原菌であるので、恐らく、彼らの一生の間のある時点でS.pneumoniaeに曝されている。手短に言えば、S.pneumoniae抗原のライブラリーは、細菌に発現され、抗原提示細胞(APC)と混合された。APCは、次いで、S.pneumoniae由来ポリペプチドを、マウスから、またはヒトドナーから単離されたリンパ球に提示した。リンパ球の応答は、S.pneumoniaeに対する反応性についてアッセイされた。S.pneumoniaeで免疫したヒトドナーならびにマウスは、S.pneumoniae抗原に特異的なリンパ球を産生した。従って、本開示は、S.pneumoniaeによる感染を中和するために、免疫したマウスまたはヒト、または感染したマウスまたはヒトにおいて強い免疫応答を引き出すS.pneumoniae抗原の組成物を企図する。
【0077】
表1および2は、本明細書中に記載されるスクリーニング方法に従って同定されたS.pneumoniae抗原についてのタンパク質配列および対応するヌクレオチド配列を列挙する。抗原は、マウスおよびヒトのT細胞のスクリーニングにおいて同定された。マウスのT細胞のスクリーニングにおいて、同定された抗原は、少なくとも2回のスクリーニングに供された:免疫応答を引き出した4つの抗原のプールを同定するためのゲノム全体の回(genome−wide round)、その後の、ゲノム全体の回において同定されたプールから免疫応答を引き出した単一の抗原を、個々に試験および同定するためのデコンボリューションの回。対照的に、ヒトのT細胞のスクリーニングにおいて、2つの異なる組の抗原プールが作製され、その結果、ポリペプチドは、1回目と2回目のプールとの間で異なるポリペプチドと組み合わされた。結果として、1回目および2回目の組の両方において、どのポリペプチドが陽性プールにあるかを同定することにより、どのポリペプチドが抗原であるかを決定することは可能である。表1は、上のスクリーニング方法のうちの1つによって同定され、続いて、実施例5〜8に記載されるマウスモデルにおいて、さらなる試験に供された抗原(およびその改変体)を列挙する。従って、本開示に従う組成物は、表1もしくは2に列挙される遺伝子または対応する遺伝子産物のうちの1つ、もしくは2つ、もしくはそれより多くを含み得る。
【0078】
免疫原性組成物はまた、上記連鎖球菌ポリペプチドの一部(例えば、欠失変異体、切断変異体、オリゴヌクレオチド、およびペプチドフラグメント)を含み得る。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドの一部は、免疫原性である。タンパク質の一部の免疫原性は、全長タンパク質の免疫原性を決定するために使用されるものと同じアッセイを用いて、容易に決定される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドの一部は、全長タンパク質と実質的に同じ免疫原性を有する。いくつかの実施形態において、その免疫原性は、全長タンパク質(例えば、表1および2のポリペプチド)の免疫原性よりも10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、または50%以下低い。ペプチドフラグメントは、例えば、直鎖状、環状、または分岐したフラグメントであり得る。
【0079】
本明細書中に記載されるワクチン処方物および免疫原性組成物のいくつかの実施形態は、膜移行配列(MTS:membrane translocating sequence)を含む免疫原性ポリペプチド(例えば、表1または2のポリペプチド)を含み、哺乳動物の細胞へのポリペプチドの導入およびその後の細胞媒介性免疫応答の刺激を容易にする。例示的な膜移行配列としては、カポジ線維芽細胞増殖因子のシグナル配列における疎水性領域、α−シヌクレイン、β−シヌクレイン、またはγ−シヌクレインのMTS、アンテナペディアホメオドメインの3番目のヘリックス、SN50、インテグリンβ3 h−領域、HIV Tat、pAntp、PR−39、アバエシン(abaecin)、アピダエシン(apidaecin)、Bac5、Bac7、P.berghei CSタンパク質、および米国特許第6,248,558号、同第6,432,680号、および同第6,248,558号に記載されるMTSが挙げられる。
【0080】
特定の実施形態において、抗原(例えば、表1または2のポリペプチド)は、他の分子に共有結合している。これは、例えば、抗原の、半減期、溶解性、バイオアベイラビリティー、または免疫原性を増加し得る。抗原に共有結合していることがある分子としては、炭水化物、ビオチン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリシアル酸、N−プロピオニル化ポリシアル酸、核酸、多糖類、およびPLGAが挙げられる。300g/molより低い分子量〜10,000,000g/molを超える分子量の範囲に及ぶ、多くの異なるタイプのPEGがある。PEG鎖は、直鎖状、分岐、または櫛型(comb)または星型(star)形状を伴うものであり得る。いくつかの実施形態において、タンパク質の天然に生成される形態は、免疫系を刺激する部分に共有結合している。このような部分の例は、脂質部分である。いくつかの例において、脂質部分は、TLR2のようなToll様受容体(TLR)によって認識され、先天免疫系を活性化する。
【0081】
C.表1および2のタンパク質に特異的な抗体
本明細書中に開示される別の局面は、抗原組成物(例えば、表1または2において列挙されるタンパク質のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント)に対して生成される抗体の調製である。例えば、本開示は、それぞれが表1または2の異なるタンパク質を認識する、2つ、3つ、4つ、または5つの抗体の組み合わせを提供する。多様な抗体のいずれかが含まれる。このような抗体としては、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、組換え、ヒト化もしくは部分的にヒト化、単鎖、Fab、およびそれらのフラグメントなどが挙げられる。抗体は、あらゆるアイソタイプ(例えば、IgG、種々のIgGアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4など))であり得;そしてそれらは、抗体を産生するあらゆる動物種(ヤギ、ウサギ、マウス、ニワトリ、または同様のものが挙げられる)由来であり得る。いくつかの実施形態において、Fab分子は、E.coliのような遺伝子が形質転換された宿主において、発現され、そして組み立てられる。ラムダベクター系は、例えば、前者の抗体を生成する対象のそれと同等またはそれを超える潜在的な多様性を有するFabの集団を発現するために利用できる。Huse et al.(1989),Science 246,1275−81を参照のこと。
【0082】
D.S.pneumoniae抗原またはS.pneumoniae抗原を認識する抗体を含むワクチンまたは免疫原性組成物の構成要素
特定の実施形態において、ワクチンまたは免疫原性組成物は、抗原および以下の1つまたはそれより多くを含む:アジュバント、安定剤、バッファー、界面活性剤、制御放出構成要素、塩、保存剤、および上記抗原に特異的な抗体。
【0083】
1.アジュバント
本明細書中に記載されるワクチン処方物および免疫原性組成物は、アジュバントを含み得る。アジュバントは、それらの、作用の主なメカニズムに基づいて、大まかに2つのクラスに分けられ得る:ワクチン送達系アジュバントおよび免疫刺激性(immunostimulatory)アジュバント(例えば、Singh et al.,Curr.HIV Res.1:309−20,2003を参照のこと)。ワクチン送達系は、しばしば粒状処方物(例えば、エマルジョン、ミクロ粒子(microparticle)、免疫刺激複合体(ISCOM))であり、それは、例えば、粒子および/またはマトリックス、およびリポソームであり得る。対照的に、免疫刺激性アジュバントは、時には、病原体に由来し、病原体関連分子パターン(PAMP:pathogen associated molecular pattern)(例えば、リポ多糖類(LPS)、モノホスホリルリピッド(MPL)、またはCpG含有DNA)を表し得、それらは、先天免疫系の細胞を活性化する。
【0084】
あるいは、アジュバントは、有機および無機として分類され得る。無機アジュバントとしては、ミョウバン塩(alum salt)(例えば、リン酸アルミニウム、非晶質のアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩(amorphous aluminum hydroxyphosphate sulfate)、および水酸化アルミニウム)が挙げられ、これらは、ヒトワクチンにおいて、一般的に使用される。有機アジュバントは、高分子を含む有機分子を含む。有機アジュバントの例は、コレラ毒素である。
【0085】
アジュバントはまたは、それらが誘導する応答によって分類され得る。いくつかの実施形態において、アジュバントは、T1細胞またはT2細胞の活性化を誘導する。他の実施形態において、アジュバントは、B細胞の活性化を誘導する。さらに他の実施形態において、アジュバントは、抗原提示細胞の活性化を誘導する。これらのカテゴリーは、相互排反ではない;いくつかの場合、アジュバントは、1つより多くのタイプの細胞を活性化する。
【0086】
特定の実施形態において、アジュバントは、T17細胞の活性化を誘導する。それは、T17細胞がIL−17を分泌するように促進し得る。いくつかの実施形態において、T17細胞の活性化を誘導するアジュバントは、以下のアッセイにおいて、少なくとも2倍の、およびいくつかの場合、10倍の実験サンプル対対照の比を生み出すものである。そのアッセイにおいて、実験者は、細胞の2つの集団によって分泌されるIL−17レベルを比較する:(1)アジュバントおよびT17活性化を誘導することが知られるポリペプチドで処理される細胞、および(2)アジュバントおよび無関係な(対照)ポリペプチドで処理される細胞。T17細胞の活性化を誘導するアジュバントは、集団(1)の細胞が、集団(2)の細胞よりも多くのIL−17を、2倍より多く、または10倍より多く産生することをもたらし得る。IL−17は、例えば、ELISAまたはウエスタンブロットによって測定され得る。特定の毒素(例えば、コレラ毒素および不安定毒素(labile toxin)(腸毒性大腸菌すなわちETECによって産生される))は、T17応答を活性化する。従って、いくつかの実施形態において、アジュバントは毒素である。コレラ毒素は、マウスモデルにおいて首尾よく使用されて、表1からの特定のポリペプチドと共同して防御免疫を誘導した(実施例5〜8を参照のこと)。不安定毒素の1つの形態は、Intercellによって生産される。アジュバントとして活性はあるが、毒性が著しく劣る不安定毒素の変異体誘導体もまた使用され得る。不安定毒素の例示的な無毒化変異体誘導体としては、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を欠いている変異体が挙げられる。不安定毒素の特定の無毒化変異体誘導体としては、LTK7(Douce et al.,“Mutants of Escherichia coli heat−labile toxin lacking ADP−ribosyltransferase activity act as nontoxic,mucosal adjuvants” PNAS Vol.92,pp.1644−1648,February 1995)およびLTK63(Williams et al.,“Innate Imprinting by the Modified Heat−Labile Toxin of Escherichia coli(LTK63)Provides Generic Protection against Lung Infectious Disease”The Journal of Immunology,2004,173:7435−7443),LT−G192(Douce et al.“Genetically detoxified mutants of heat−labile toxin from Escherichia coli are able to act as oral adjuvants”Infect Immun.1999 Sep;67(9):4400−6),ならびにLTR72(“Mucosal adjuvanticity and immunogenicity of LTR72,a novel mutant of Escherichia coli heat−labile enterotoxin with partial knockout of ADP−ribosyltransferase activity.”J Exp Med.1998 Apr 6;187(7):1123−32)が挙げられる。
【0087】
いくつかの実施形態において、アジュバントは、VLP(ウイルス様粒子)を含む。1つのこのようなアジュバントプラットフォ−ムであるアルファウイルスレプリコンは、アルファウイルスを用いてT17細胞の活性化を誘導し、それは、Alphavaxにより生産される。アルファウイルスレプリコン系の特定の実施形態において、アルファウイルスは、目的の抗原、目的のサイトカイン(例えば、IL−17またはIL−17産生を刺激するサイトカイン)、または両方を発現するように操作され得、ヘルパー細胞系において産生され得る。より詳細な情報は、米国特許第5,643,576号および同第6,783,939号において見出され得る。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、サイトカインをコードする核酸と組み合わせて患者に投与される。
【0088】
アジュバントの特定のクラスは、T17応答を活性化するためにtoll様受容体(TLR)を活性化する。TLRは、白血球の膜上に見出され得る周知のタンパク質であり、外来の抗原(微生物抗原が挙げられる)を認識する。公知のTLRリガンドを目的の抗原と一緒に投与すること(例えば、融合タンパク質として)は、目的の抗原に特異的な免疫応答の発達を促進し得る。TLRを活性化する1つの例示的なアジュバントは、モノホスホリルリピッドA(MPL)を含む。慣習的に、MPLは、グラム陰性細菌(例えば、S.minnesota)から得られる無毒化リポ多糖類(LPS)エンドトキシンとして産生されてきた。特に、LPSの連続して起こる酸および塩基の加水分解は、免疫活性のあるリピッドA画分(それはMPLである)を生み出し、それは、LPS中に存在するサッカリド基を欠き、およびLPS中に存在するホスフェイトのうちの1つを除く全てを欠いている。合成TLRアゴニスト(特に、TLR4アゴニスト)の数は、Evans JT et al.“Enhancement of antigen−specific immunity via the TLR4 ligands MPL adjuvant and Ribi.529.”Expert Rev Vaccines 2003 Apr;2(2):219−29において開示される。MPLアジュバントのように、これらの合成化合物は、TLRを介して先天免疫系を活性化する。TLRアゴニストの別のタイプは、合成リン脂質二量体(例えば、E6020(Ishizaka ST et al.“E6020:a synthetic Toll−like receptor 4 agonist as a vaccine adjuvant.”Expert Rev.Vaccines.2007 Oct;6(5):773−84.))である。種々のTLRアゴニスト(TLR4アゴニストが挙げられる)は、例えば、Infectious Disease Research Institute(IRDI)、Corixa、Esai、Avanti Polar Lipids,Inc.、およびSigma Aldrichによって生産および/または販売されている。TLRを活性化する別の例示的なアジュバントは、MPLの混合物、トレハロースジコイノミコレート(TDM:Trehalose Dicoynomycolate)、およびジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDA)を含む。別のTLR活性化アジュバントは、R848(レシキモド)である。
【0089】
いくつかの実施形態において、アジュバントは、サポニンであるか、またはサポニンを含む。代表的に、サポニンは、トリテルペングリコシド(例えば、Quillaja saponariaの木の樹皮から単離されたもの)である。生物学的供給源由来のサポニン抽出物は、(例えば、クロマトグラフィーにより)さらに分画されて、最良のアジュバント活性および受容可能な毒性を有する抽出物の部分を単離する。アジュバントとして使用されるQuillaja saponariaの木由来の抽出物の代表的な画分は、画分AおよびCとして公知である。
【0090】
本明細書中に記載されるワクチン処方物に使用され得るサポニンの特定の形態は、免疫刺激複合体(ISCOM)である。ISCOMは、アジュバントの当該分野において認識されている(art−recognized)クラスであり、それは、一般にキラヤサポニン画分および脂質(例えば、コレステロールおよびリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン))を含む。特定の実施形態において、ISCOMは、目的のポリペプチドまたは核酸と一緒に組み立てられる。しかし、異なるサポニン画分は、異なる比で使用され得る。さらに、異なるサポニン画分は、同じ粒子中に一緒に存在するか、実質的に1粒子当たり1つのみの画分を有するかのどちらかであり得る(その結果、画分AおよびCの示される比は、粒子を異なる画分と一緒に混合することにより生み出される)。この文脈において、「実質的に」とは、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、またはさらに1%未満を指す。このようなアジュバントは、70〜95 A:30〜5 C(例えば、70 A:30 C〜75 A:5 C、75 A:5 C〜80 A:20 C、80 A:20 C〜85 A:15 C、85 A:15 C 〜90 A:10 C、90 A:10 C〜95 A:5 C、または95 A:5 C〜99 A:1 C)の比に混合される画分Aおよび画分Cを含み得る。
【0091】
特定の実施形態において、アジュバントの組み合わせが使用される。アジュバントの3つの例示的な組み合わせは、MPLとミョウバン、E6020とミョウバン、およびMPLとISCOMである。
【0092】
アジュバントは、抗原に共有結合していることがある。いくつかの実施形態において、アジュバントは、抗原提示細胞(APC)の活性化を介して炎症応答を誘導するタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態において、これらのタンパク質の1つまたはそれより多くは、選択の抗原と組換え融合されていることがあり、その結果、結果として生じる融合分子は、樹状細胞の成熟を促進し、樹状細胞を活性化してサイトカインおよびケモカインを産生し、そして最終的には、T細胞への抗原の提示およびT細胞応答の開始を増大させる(Wu et al.,Cancer Res 2005;65(11),pp4947−4954を参照のこと)。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるポリペプチドは、Luら(“Protection against Pneumococcal colonization and fatal pneumonia by a trivalent conjugate of a fusion protein with the cell wall polysaccharide.”Infect Immun.2009 May;77(5):2076−83)に記載される、三価のS.pneumoniae肺炎球菌表面付着因子A:分子を非毒性にするが、TLR4媒介性炎症特性(TLR4−mediated inflammatory property)を妨害しない3つのアミノ酸置換(W433F、D385N、およびC428G)を持つニューモリシン誘導体−細胞壁多糖類(PsaA:PdT−CP)コンジュゲートシステムの関連において存在する。上記コンジュゲートシステムは「ニューモリシン非毒性誘導体PdTとのPsaAの融合タンパク質であり、次にCPを上記融合タンパク質に連結される」。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される1つまたはそれより多くのポリペプチドは、三価の結合体において、PsaAの代わりに使用される。三価の結合体系は、代表的にミョウバンを含み、通常非経口で投与される。抗原に共有結合し得る他の例示的なアジュバントは、多糖類、ニューモリシン、合成ペプチド、リポペプチド、および核酸を含む。
【0093】
代表的に、同じアジュバントまたはアジュバントの混合物は、ワクチンの各用量に存在する。しかし、必要に応じて、アジュバントは、ワクチンの最初の用量と共に投与され得、その後の用量と共には投与されない(すなわち、ブースター注射(booster shot))。あるいは、強いアジュバントがワクチンの最初の用量と共に投与され得、より弱いアジュバントまたはより少ない用量の強いアジュバントがその後の用量と共に投与され得る。アジュバントは、抗原の投与前に、抗原の投与と並行して、または抗原の投与後に患者に投与され得る(時には、1時間以内、2時間以内、6時間以内、または12時間以内、および時には1日以内、2日以内、または5日以内に)。
特定のアジュバントは、ヒト患者、非ヒト動物、または両方に適している。
【0094】
2.ワクチンまたは免疫原性組成物の追加の構成要素
上に記載される抗原およびアジュバントの他に、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、1つまたはそれより多くの追加の構成要素を含み得る。
【0095】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、1つまたはそれより多くの安定剤(例えば、糖(例えば、スクロース、グルコース、またはフルクトース)、ホスフェイト(例えば、リン酸二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、またはリン酸一ナトリウム)、グルタメート(例えば、L−グルタミン酸一ナトリウム)、ゼラチン(例えば、加工処理(processed)ゼラチン、加水分解ゼラチン、またはブタのゼラチン)、アミノ酸(例えば、アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、L−ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、リジン、フェニルアラニン、チロシン、およびそれらのアルキルエステル)、イノシン、またはホウ酸ナトリウム)を含み得る。
【0096】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、1つまたはそれより多くのバッファー(例えば、重炭酸ナトリウムとアスコルビン酸との混合物)を含む。いくつかの実施形態において、ワクチン処方物は、食塩水(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))または蒸留水において投与され得る。
【0097】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、1つまたはそれより多くの界面活性剤(例えば、ポリソルベート80(Tween 80)、Triton X−100、ポリエチレングリコールtert−オクチルフェニルエーテルt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール(TRITON X−100);ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(TWEEN 20);およびホルムアルデヒドおよびオキシランを有する4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー(TYLOXAPOL))を含む。界面活性剤は、イオン性または非イオン性であり得る。
【0098】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、1つまたはそれより多くの塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、または塩化カリウム)を含む。
【0099】
特定の実施形態において、保存剤は、ワクチンまたは免疫原性組成物中に含まれる。他の実施形態において、保存剤は使用されない。保存剤は、複数回用量ワクチンバイアルにおいて、最もよく使用され、単一用量ワクチンバイアルにおいては、それほどよく必要とされない。特定の実施形態において、保存剤は、2−フェノキシエタノール、メチル、およびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、および/またはソルビン酸である。
【0100】
特定の実施形態において、ワクチン処方物または免疫原性組成物は、制御放出処方物である。
【0101】
E.DNAワクチン
特定の局面において、ワクチンは、本明細書に開示される核酸のうちの1つ、または本明細書中に記載されるポリペプチドのうちの1つに対応する核酸を含む。核酸ワクチンが患者に投与されるとき、対応する遺伝子産物(例えば、所望される抗原)は、患者の身体において産生される。いくつかの実施形態において、最適化組換えポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンベクターは、哺乳動物(ヒトを含む)へと送達されて治療または予防の免疫応答を誘導し得る。核酸は、例えば、DNA、RNA、または合成核酸であり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。
【0102】
核酸ワクチンベクター(例えば、アデノウイルス、リポソーム、乳頭腫ウイルス、レトロウイルスなど)は、インビボでの細胞の形質導入のために哺乳動物に直接投与され得る。核酸ワクチンは、あらゆる適切な様式(非経口投与が挙げられる)での投与のための薬学的組成物として処方され得る。
【0103】
感染または他の状態の処置または予防において投与されるべきベクターの有効な量を決定することにおいて、医師は、もしあれば、ベクターの毒性、疾患の進行、および抗ベクター抗体の産生を評価する。しばしば、ベクター由来の裸の核酸に等価な用量は、代表的な70kgの患者に対して約1μg〜1mgであり、核酸を送達するために使用されるベクターの用量は、等価な量の治療上の核酸を生じるように計算される。投与は、単一または分割された用量を介して達成され得る。核酸ワクチンベクターの毒性および治療上の効力は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順を用いて決定され得る。
【0104】
核酸ワクチンは、DNA、RNA、改変された核酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、上記ワクチンは、1つまたはそれより多くのクローニングまたは発現ベクターを含む;例えば、上記ワクチンは、複数の発現ベクターを含み得、そのそれぞれは、哺乳動物の細胞において、ヌクレオチドコーディング領域の自律発現が可能で少なくとも1つの免疫原性ポリペプチドを産生する。発現ベクターは、しばしば、1つまたはそれより多くのコーディング領域に作動可能に繋がれている真核生物のプロモーター配列を含む(例えば、強い真核生物プロモーターのヌクレオチド配列)。本明細書における組成物および方法は、任意の特定の真核生物プロモーターの使用に関与し得、多種多様なものが知られている:例えば、CMVまたはRSVプロモーター。上記プロモーターは、宿主細胞に関して異種であり得る。使用されるプロモーターは、構成的プロモーターであり得る。
【0105】
本組成物および方法において有用なベクターは、環状または直鎖状、一本鎖または二本鎖であり得、プラスミド、コスミド、またはエピソームであり得る。適切な実施形態において、各ヌクレオチドコーディング領域は、別個のベクター上にある;しかし、1つまたはそれより多くのコーディング領域は、単一のベクター上に存在し得ること、そしてこれらのコーディング領域は、単一または複数のプロモーターの制御下にあり得ることが理解されるべきである。
【0106】
数多くのプラスミドは、核酸ワクチンの生産のために使用され得る。核酸ワクチンの適切な実施形態は、ベクターとして、プラスミドVR1012(Vical Inc.,San Diego Calif.)、pCMVI.UBF3/2(S.Johnston,University of Texas)、またはpcDNA3.1(InVitrogen Corporation,Carlsbad,Calif.)を用いる構築物を用いる。さらに、ベクター構築物は、動物の免疫系を刺激する免疫刺激性配列(ISS)(例えば、非メチル化dCpGモチーフ)を含み得る。核酸ワクチンはまた、免疫原性ポリペプチドを含む融合産物をコードし得る。プラスミドDNAもまた、経口投与されるDNAワクチンに適した方法である送達系として弱毒性細菌を用いて送達され得る。細菌は、独立して複製するプラスミドを用いて形質転換され、それは、宿主細胞における弱毒性細菌の死後に宿主細胞の細胞質へと放出されるようになる。
【0107】
核酸を動物へと送達するための代替的なアプローチは、ウイルスベクターまたは細菌ベクターの使用に関与する。適切なウイルスベクターの例としては、アデノウイルス、ポリオウイルス、ワクシニアのようなポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、および鶏痘ウイルス、ヘルペスウイルス(ナマズヘルペスウイルスが挙げられる)、アデノウイルス関連ベクター、およびレトロウイルスが挙げられる。例示的な細菌ベクターとしては、Salmonella、Shigella、Edwardsiella ictaluri、Yersinia ruckerii、およびListeria monocytogenesの弱毒性の形態が挙げられる。いくつかの実施形態において、核酸は、免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の自律発現が可能なベクター(例えば、プラスミド)である。
【0108】
F.ワクチンの使用
本明細書中に記載されるS.pneumoniaeワクチンは、S.pneumoniaeの予防および/または治療上の処置のために使用され得る。従って、本願は、S.pneumoniae感染に苦しむか、または罹患しやすい被験体を処置する方法であって、有効な量の、本明細書中に記載されるワクチン処方物のいずれかを投与する工程を含む、方法を提供する。いくつかの局面において、上記方法は、個体におけるS.pneumoniaeのコロニー形成を阻害する。いくつかの局面において、上記方法は、S.pneumoniaeの症状を阻害する。ワクチン接種を受ける被験体は、男性または女性であり得、子供または成人であり得る。いくつかの実施形態において、処置されている上記被験体は、ヒトである。他の実施形態において、上記被験体は、非ヒト動物である。
【0109】
1.予防的使用
予防の実施形態において、ワクチンは被験体に投与されて、疾患における最初かつ必要な段階であるS.pneumoniaeの確立に対して(例えば、コロニー形成に対して防御することにより)防御するのを助け得る免疫応答を誘導する。従って、いくつかの局面において、上記方法は、コロニー形成していない被験体または感染していない被験体におけるS.pneumoniaeによる感染を阻害する。別の局面において、上記方法は、すでにコロニー形成された個体においてコロニー形成の持続期間を低減し得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明のワクチン組成物は、防御免疫を付与し、ワクチン接種した個体が、その個体のワクチンへの曝露の結果として、症状の発症の遅延を示すかまたは症状の重症度の低減を示すことを可能にする。特定の実施形態において、症状の重症度の低減は、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%である。特定の実施形態において、ワクチン接種した個体が、S.pneumoniaeとの接触の際に症状を示さないか、S.pneumoniaeによってコロニー形成されないか、または両方であり得る。防御免疫は、以下のメカニズムのうちの1つまたはそれより多くによって代表的に達成される:粘膜性免疫、体液性免疫、または細胞性免疫。粘膜性免疫は、主に、気道、胃腸管、および尿生殖路の粘膜表面上の分泌性IgA(sIGA)抗体の結果である。sIGA抗体は、抗原処理(processing)細胞、BおよびTリンパ球に媒介される一連のイベントの後に生成され、それは、身体の粘膜裏打ち(mucosa−lined)組織上のBリンパ球によるsIGAの産生をもたらす。体液性免疫は、代表的に、血清中のIgG抗体およびIgM抗体の結果である。細胞性免疫は、細胞傷害性Tリンパ球を介してか、またはマクロファージおよびTリンパ球が関与する遅延型過敏症、ならびに抗体の必要性なしでT細胞が関与する他のメカニズムを介して達成され得る。特に、細胞性免疫は、T1またはT17細胞によって媒介され得る。
【0111】
本質的にあらゆる個体は、S.pneumoniaeに感染するようになる特定のリスクを有する。しかし、特定のサブ集団は、感染のリスクの増加を有する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるようなワクチン処方物(例えば、表1もしくは2からの1つもしくはそれより多くのポリペプチドを含む組成物、または上記ポリペプチドをコードする核酸、または上記ポリペプチドと反応性のある抗体)は、免疫無防備である患者に投与される。
【0112】
医学的処置から生じる免疫無防備な状態は、問題の個体を、S.pneumoniaeに感染するより高いリスクに曝す可能性がある。免疫機能を危うくすることが知られる処置の前に、または処置の間に免疫無防備な状態を有する個体において感染を予防的に処置することは可能である。免疫機能を危うくすることが知られる処置の前に、または処置の間に抗原組成物(例えば、表1または2からの2つまたはそれより多くの抗原、または抗原をコードする核酸)、または表1または2からの2つまたはそれより多くの抗原に対して反応性のある抗体で予防的に処置することにより、その後のS.pneumoniae感染を防ぐこと、または免疫無防備な状態に起因して感染にかかっている個体のリスクを低減することが可能である。仮に個体がS.pneumoniae感染にかかるなら(例えば、免疫無防備な状態をもたらす処置の後に)、抗原組成物を個体に投与することにより、感染を処置することもまた可能である。
【0113】
以下の群は、肺炎球菌の疾患またはその合併症の増加したリスクにあり、従って、これらの群のうちの1つまたはそれより多くに入る被験体にとって本明細書中に記載されるワクチン処方物を受けることは有利である:特に1ヶ月〜5歳、または2ヶ月〜2歳の子供;無脾症、脾臓の機能障害、または鎌状赤血球症を有する少なくとも2歳の年齢である子供;ネフローゼ症候群、慢性脳脊髄液漏、HIV感染、または免疫抑制に関連する他の状態を有する少なくとも2歳の年齢である子供。
【0114】
別の実施形態において、肺炎球菌の抗原組成物の少なくとも1用量は、肺炎球菌の疾患またはその合併症の増加したリスクにある以下の群における成人に与えられる:65歳の年齢の全ての人;無脾症、脾臓の機能障害、または鎌状赤血球症を有する成人;以下の状態を有する成人:慢性心臓性呼吸疾患、硬変症、アルコール中毒、慢性腎疾患、ネフローゼ症候群、糖尿病、慢性脳脊髄液漏、HIV感染、AIDS、および免疫抑制に関連する他の状態(ホジキン病、リンパ腫、多発性骨髄腫、臓器移植のための免疫抑制)、人工内耳を有する個体;長期の健康問題(例えば、心疾患および肺疾患)を有する個体、ならびに、感染に対する身体の抵抗性を低下させる任意の薬物または処置を受けている個体(例えば、長期のステロイド、特定のがん薬物、放射線療法);アラスカの先住民および特定のアメリカ先住民集団。
【0115】
2.治療上の使用
治療の適用において、ワクチンは、患者を処置するのに十分な量でS.pneumoniae感染に苦しむ患者に投与され得る。患者を処置することは、この場合、感染した個体におけるS.pneumoniaeの、症状、細菌の量(bacterial load)、または両方を低減することを指す。いくつかの実施形態において、患者を処置することは、症状の持続期間を低減すること、または症状の強さを低減することを指す。いくつかの実施形態において、ワクチンは、ワクチン接種した患者からのS.pneumoniaeの伝播性を低減する。特定の実施形態において、上に記載される低減は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、またはさらに少なくとも90%である。
【0116】
治療の実施形態において、ワクチンは、感染後に個体に投与される。ワクチンは、感染の少し後に(例えば、症状が発現する前に)投与され得るか、または症状の発現の間もしくは後に投与され得る。
【0117】
治療のS.pneumoniaeワクチンは、S.pneumoniae感染の種々の徴候の症状の強さおよび/または持続期間を低減し得る。S.pneumoniae感染は、多くの形態を取り得る。いくつかの場合、感染した患者は、肺炎、急性副鼻腔炎、中耳炎(耳の感染)、髄膜炎、菌血症、敗血症、骨髄炎、敗血症性関節炎、心内膜炎、腹膜炎、心膜炎、蜂巣炎、または脳膿瘍を発達させる。
【0118】
3.ワクチン接種の効力をアッセイする
本明細書中に開示されるワクチンでのワクチン接種の効力は、上に記載される臨床結果の他に、多数の手法で決定され得る。まず、当業者は、ワクチン接種後の被験体由来のT細胞を刺激することによってIL−17レベル(特にIL−17A)をアッセイし得る。IL−17レベルは、ワクチン接種前の同じ被験体のIL−17レベルと比較され得る。IL−17(例えば、IL−17A)レベルの増加(例えば1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍、またはより多くの増加)は、ワクチンに対する応答の増加を示すことになる。代替的に(または組み合わせで)、当業者は、肺炎球菌を死滅させることについて、患者由来のT細胞または抗体の存在下で好中球をアッセイし得る。肺炎球菌を死滅させることの増加(例えば、1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍、またはより増加)は、ワクチンに対する応答の増加を示すことになる。さらに、当業者は、T17細胞の活性化を測定し得、ここでT17細胞の活性化の増加(例えば、1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍、またはより多くの増加)は、ワクチンに対する応答の増加に相関する。当業者はまた、ワクチンに特異的な抗体のレベルを測定し得、ここで特異的な抗体のレベルの増加(例えば、1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍、またはより多くの増加)は、ワクチン効力の増加に相関する。特定の実施形態において、これらのアッセイのうちの2つまたはそれより多くが使用される。例えば、当業者は、IL−17レベルおよびワクチン特異的抗体のレベルを測定し得る。代替的に、当業者は、疫学的マーカー(例えば、ワクチン接種していない個体と比較して、ワクチン接種した個体における肺炎球菌の感染の、発生、重症度、または持続期間)に従い得る。
【0119】
ワクチン効力はまた、種々のモデル系(例えば、マウスモデル)において、アッセイされ得る。例えば、マウスのBALB/cまたはC57BL/6株が使用され得る。試験ワクチンを被験体に投与後(単一用量または複数回用量として)に、実験者は、S.pneumoniaeのチャレンジ用量を投与する。いくつかの場合において、上記チャレンジ用量は、ワクチン接種していない動物において、S.pneumoniaeのコロニー形成(特に鼻のコロニー形成)をもたらすのに十分であり、いくつかの場合において、上記チャレンジ用量は、ワクチン接種していない動物における高い致死率をもたらすのに十分である。当業者は、次に、ワクチン接種した動物におけるコロニー形成の低減、または致死率の低減を測定し得る。実施例5および6は、マウスモデルにおいて、S.pneumoniaeの鼻のコロニー形成を阻害することについての表1のポリペプチドの効力を示す。
【0120】
G.免疫原性組成物の使用
1.S.pneumoniae感染に対する防御
本開示の免疫原性組成物は、S.pneumoniaeに対する免疫応答を引き出すように設計される。本明細書中に記載される組成物(例えば、表1もしくは2の1つもしくはそれより多くのポリペプチドを含むもの、または上記ポリペプチドをコードする核酸)は、それが投与される哺乳動物において、抗体応答もしくは細胞媒介性免疫応答、または両方を刺激し得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、T1への偏りのある(biased)CD4+ T細胞応答、T17への偏りのあるCD4+ T細胞応答、またはCD8+ T細胞応答を刺激し;単一の構成要素の組成物の場合において、上記組成物は、抗体応答、T1への偏りのあるCD4+ T細胞応答、T17への偏りのあるCD4+ T細胞応答、および/またはCD8+ T細胞応答を刺激し得る。
【0121】
特定の実施形態において、上記組成物(例えば、表1もしくは2の1つもしくはそれより多くのポリペプチドを含むもの、または上記ポリペプチドをコードする核酸、または上記ペプチドと反応性のある抗体)は、サイトカインまたはサイトカイン(例えば、IL−17)をコードするヌクレオチドコーディング領域を含み、哺乳動物の免疫系に対して追加の刺激を提供する。特定の実施形態において、上記組成物は、サイトカイン(例えば、IL−17)を含む。
【0122】
理論によって縛られることを望まないが、いくつかの実施形態において、T17細胞応答は、本明細書中に開示される組成物(例えば、表1または2の1つまたはそれより多くのポリペプチドを含むもの)に対して免疫応答を高めること(mounting)において有益である。特定の実施形態において、活性のあるT17応答は、肺炎球菌の感染を排除することにおいて有益である。例えば、IL−17A受容体を欠いているマウスは、肺炎球菌チャレンジからの全細胞ワクチンベースの防御の減少を示す(Lu et al.,“Interleukin−17A mediates acquired immunity to pneumococcal colonization.”PLoS Pathog.2008 Sep 19;4(9))。さらに、同じ著者は、全細胞ワクチンで処置されたマウスにおいて、IL−17Aの応答レベルが増加することを示した。
【0123】
従って、本明細書において、本明細書中に記載される組成物(例えば、表1または2の1つまたはそれより多くのポリペプチドを含むもの)を被験体に投与することによって、IL−17産生を増加させる方法が提供される。さらに、本願は、上記組成物を被験体に投与することによって、T17細胞を活性化する方法を提供する。特定の実施形態において、IL−17Aレベルの増加は、好中球または好中球様細胞によって(例えば、好中球または好中球様細胞のリクルート(recruitment)および活性化を誘導することによって)肺炎球菌を死滅させることの増加をもたらす。特定の実施形態において、この肺炎球菌を死滅させることは、抗体および補体に依存しない。しかし、特異的な抗体の産生および補体の活性化は、肺炎球菌感染の排除の一因となる有用な追加のメカニズムであり得る。
【0124】
薬学的キャリアと一緒に免疫原性ポリペプチドまたは免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物もまた提供される。
【0125】
いくつかの例において、上記免疫原性組成物は、配列番号1〜13の1つまたはそれより多くのポリペプチドをコードする1つまたはそれより多くの核酸(例えば、配列番号24〜31から選択される1つまたはそれより多くの核酸)を含む。いくつかの実施形態において、これらの核酸は、免疫した個体において発現され、コードされたS.pneumoniae抗原を産生し、そしてこのように産生されたS.pneumoniae抗原は、上記免疫した個体において免疫刺激性効果を生じ得る。
【0126】
このような核酸含有免疫刺激性組成物は、例えば、複製の起点、および配列番号1〜13の1つまたはそれより多くのポリペプチドをコードする1つまたはそれより多くの核酸の発現を駆動するプロモーター含み得る。このような組成物はまた、プロモーター(時には、強いウイルスプロモーター)が挿入される細菌プラスミドベクター、配列番号1〜13の1つまたはそれより多くのポリペプチドをコードする1つまたはそれより多くの核酸、およびポリアデニル化/転写終止配列を含み得る。いくつかの例において、上記核酸はDNAである。
【0127】
H.診断上の使用
本願は、とりわけ、患者におけるS.pneumoniaeの検出のための、迅速で、費用のかからない、感度の高い、そして特異的な方法を提供する。この点において、それは、S.pneumoniae感染を有する患者、またはS.pneumoniae感染のリスクにある患者を試験および処置している全ての病院および医師に有用であるはずである。検出キットは、任意の現地の病院研究室において設置されるのに十分単純であり得、抗体およびその抗原結合部分は、S.pneumoniae感染を有する患者、またはS.pneumoniae感染のリスクにある患者を処置している全ての病院に容易に入手可能にされ得る。本明細書中で用いられる場合、「患者」は、S.pneumoniae感染を有するか、またはS.pneumoniae感染にかかる可能性を有するいずれかの個体(例えば、ヒト)を指す。患者は、S.pneumoniae感染を有するか、S.pneumoniae感染にかかる可能性を有するか、S.pneumoniae感染から回復した、個体(例えば、ヒト)、および/またはその感染状況が未知である個体であり得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、当業者は、2つまたはそれより多くの抗体を用いて診断上のアッセイを実施し得、その抗体のそれぞれは、表1および2の抗原のうちの1つに結合して、個体におけるS.pneumoniaeを検出する。本開示はまた、S.pneumoniae感染を有している疑いのある患者からの生物学的サンプルを表現型決定する(phenotyping)方法を提供する:(a)患者から生物学的サンプルを得る工程;(b)S.pneumoniaeのエピトープに対する、抗体または抗原結合部分の結合を考慮に入れる条件下で、上記サンプルを、2つまたはそれより多くのS.pneumoniae特異的抗体またはその抗原結合部分と接触させる工程であって;ここで結合は、上記サンプルにおけるS.pneumoniaeの存在を示す、工程。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルに対する結合は、陰性対照組織に対する、同じ抗体の結合と比較され、ここで、上記陰性対照組織と比較して上記生物学的サンプルがS.pneumoniaeの存在を示す場合、上記患者は、S.pneumoniae感染を有する可能性があるとして同定される。いくつかの場合において、1つの抗体の結合は、S.pneumoniaeの存在を示し;他の場合において、2つまたはそれより多くの抗体の結合は、S.pneumoniaeの存在を示す。前述の試験は、適切に調整されて、例えば、表1に記載されるタンパク質のうちの1つの抗体免疫反応性相同体(別の細菌種由来)を用いることによって他の細菌感染を検出し得る。いくつかの実施形態において、表1または2におけるS.pneumoniaeタンパク質に対して得られた抗体はまた、特に上記相同体が高率の配列同一性を有する場合に、別のStreptococcus種における該相同体を結合する。
【0129】
あるいは、当業者は、表1または2の抗原を使用して、個体における抗S.pneumoniae抗体を検出し得る。本開示はまた、S.pneumoniae感染を有する疑いのある患者からの生物学的サンプルを表現型決定する方法を提供する:(a)患者から生物学的サンプルを得る工程;(b)上記サンプルに存在する任意の宿主抗体へと抗原(またはその部分)の結合を考慮に入れる条件下で、上記サンプルを、表1もしくは2から選択される2つもしくはそれより多くのS.pneumoniae特異的抗原またはその部分と接触させる工程であって;ここで結合は、上記サンプルにおける抗S.pneumoniae抗体の存在を示す、工程。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルに対する結合は、陰性対照組織に対する、同じ抗原の結合と比較され、ここで、陰性対照組織と比較して上記生物学的サンプルが抗S.pneumoniae抗体の存在を示す場合、上記患者は、(1)S.pneumoniae感染を有する、または(2)過去にS.pneumoniae感染を有していたことがあるかのいずれかの可能性があるとして同定される。いくつかの場合において、1つの抗体を検出することは、S.pneumoniaeについての現在または過去の感染を示し;他の場合において、2つまたはそれより多くの抗体を検出することは、S.pneumoniaeについての現在または過去の感染を示す。前述の試験は、適切に調整されて、例えば、表1に記載されるタンパク質の相同体(別の細菌種(例えば、Streptococcal種)由来)を用いることによって他の細菌感染を検出し得る。
【0130】
いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞の免疫細胞応答は、エクスビボで定量化され得る。このような定量化の方法は、本明細書中に開示される組成物を哺乳動物T細胞にエクスビボで投与する工程、および上記組成物に応答した、哺乳動物T細胞のサイトカイン産生における変化を定量化する工程を含む。これらの方法において、上記サイトカインは、例えば、IL−17であり得る。
【0131】
抗原(例えば、表1または2のポリペプチド)へのS.pneumoniae抗体の結合は、任意の適切な方法を用いて測定され得る。このような方法としては、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、ウエスタンブロット、競合アッセイ、およびスポットブロットが挙げられる。検出段階は、例えば、化学発光、蛍光、または比色定量であり得る。抗体−タンパク質結合を計測する1つの適切な方法は、Luminex xMAPシステムであり、ここでペプチドは、色素含有ミクロスフィアに結合されている。上記xMAPシステムが挙げられる特定のシステムは、マルチプレックス(multiplex)中の数個の異なるマーカーを測定するのにかない、抗体のレベルを一度に測定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、他のシステムは、マルチプレックス中の複数のマーカーをアッセイするために使用される。例えば、プロファイリングは、以下のシステムのうちのいずれかを用いて実施され得る:抗原マイクロアレイ、ビーズマイクロアレイ、ナノバーコード粒子技術、cDNA発現ライブラリーからの配列したタンパク質、タンパク質インサイチュアレイ、生きている形質転換株のタンパク質アレイ、ユニバーサルタンパク質アレイ、ラボオンチップマイクロフルイディクス(lab−on−a−chip microfluidics)、およびピン上ペプチド(peptides on pins)。別のタイプの臨床アッセイは、抗体結合を検出するための化学発光アッセイである。VITROS Eci 抗HCVアッセイが挙げられるいくつかのこのようなアッセイにおいて、抗体は、液体懸濁物においてミクロ粒子で作られた固相支持体に結合され、表面蛍光光度計は、酵素生成された蛍光産物を定量化するために使用される。
【0132】
いくつかの実施形態において、生物学的サンプルが、S.pneumoniaeの存在を示す場合(例えば、表1もしくは2の1つもしくはそれより多くのポリペプチド、または上記ポリペプチドのうちの1つに結合する抗体を検出することによって)、当業者は、本明細書中に記載される治療上有効な量の組成物および療法を患者に施行し得る。上記生物学的サンプルは、例えば、血液、精液、尿、膣の流体、粘液、唾液、便、尿、脳脊髄液、または組織サンプルを含み得る。いくつかの実施形態において、上記生物学的サンプルは、移植を意図される臓器である。特定の実施形態において、検出段階の前に、上記生物学的サンプルは、S.pneumoniaeの増殖を促進する培養条件に供される。
【0133】
本明細書における診断試験(例えば、表1もしくは2のポリペプチドを検出するもの、または上記ポリペプチドのうちの1つに結合する抗体)は、多様なサンプル(患者から取得されたサンプル、および他の供給源から得られたサンプルが挙げられる)中のS.pneumoniaeを検出するために使用され得る。例えば、上記診断試験は、食物、飲料、または食物および飲料のための成分におけるS.pneumoniae;物体(例えば、医療機器、医療デバイス(例えば、人工内耳およびペースメーカー)、靴、服、家具(病院家具が挙げられる)、および掛け布(drape)(病院の掛け布が挙げられる)上のS.pneumoniae;または環境(例えば、植物サンプル)から取得されるサンプルにおけるS.pneumoniaeを検出するために使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書における試験は、動物(例えば、農業用動物(ウシ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、およびウマなど)、伴侶動物(イヌ、ネコ、およびトリなど)、または野生動物)から取得されたサンプルにおいて実施され得る。特定の実施形態において、本明細書における試験は、細胞培養物(例えば、治療上のタンパク質を産生するヒト細胞の培養物、有用な生物学的分子を産生することが意図される細菌の培養物、または研究目的のために増殖された細胞の培養物)から取得されたサンプルにおいて実施され得る。
【0134】
本開示はまた、患者におけるS.pneumoniae感染の場所を決定する方法であって、該方法は、(a)ラベルしたS.pneumoniae抗体またはその抗原結合部分を含む薬学的組成物を上記患者に投与する工程、および(b)上記ラベルを検出する工程であって、ここで結合は、上記患者における特定の場所でのS.pneumoniae感染を示す工程を含む、方法を提供する。このような診断はまた、上記患者における結合のレベルを対照と比較する工程を含み得る。特定の実施形態において、上記方法は、上記患者がS.pneumoniae感染を有する場合、治療上有効な量のS.pneumoniae結合抗体またはその抗原結合部分を上記患者に投与することによって上記感染を処置する工程をさらに含む。特定の実施形態において、上記方法は、上記患者がS.pneumoniae感染を有する場合、表1の治療上有効な量のS.pneumoniaeタンパク質またはその免疫原性部分を、上記患者に投与することによって上記感染を処置する工程をさらに含む。上記方法は、上記患におけるS.pneumoniaeの場所および/または体積を決定する工程をさらに含み得る。この方法は、上記患者におけるS.pneumoniaeの広がりを評価するため、および局部療法が適切であるかどうかを決定するために使用され得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗S.pneumoniae抗体は、感染の道筋の予測を立てるために使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書における抗S.pneumoniae抗体は、患者から取得されたサンプルにおいて検出され得る。抗体が正常なレベルで存在する場合、それは、上記患者が抗S.pneumoniaeに対する免疫応答を高めたことを示す。抗体が存在しないか、または低減したレベルで存在する場合、上記患者が、抗S.pneumoniaeに対する十分な応答を高め損なっていることを示し、より積極的な処置が推奨される。いくつかの実施形態において、低減したレベルで存在する抗体は、正常な免疫系を有する患者において代表的である抗体レベルの50%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満で存在する抗体を指す。抗体は、例えば、ELISAを用いて、本明細書中に記載される抗原(例えば、表1および/または2におけるもの)のうちのいずれかに対する親和性によって検出され得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、特定のS.pneumoniae抗原(例えば、表1および/または2におけるもの)の検出は、患者におけるS.pneumoniae感染の進行および症状を予測するために使用され得る。本明細書における方法は、S.pneumoniaeの検出に限定されないことが当業者によって理解される。他の実施形態は、関連する細菌(表1または2に記載されるタンパク質と相同であるタンパク質を有する細菌が挙げられる)の検出を含む。このような関連する細菌としては、例えば、Streptococcusの他の株が挙げられる。
【0137】
I.用量および投与経路
1.投薬形態、量、およびタイミング
各ワクチンまたは免疫原性組成物の用量における抗原の量は、有効な量として選択され、それは、上に記載されるように、単一用量か、または複数回用量にわたってかのいずれかにおいて予防または治療上の応答を誘導する。好ましくは、上記用量は、代表的なワクチンにおいて、著しい有害な副作用がない。このような量は、どの特定の抗原が用いられるかに依存して変動する。一般に、用量は、1μg〜1000μgのタンパク質、いくつかの例において、2μg〜100μg、例えば、4μg〜40μgを含むことが予期される。いくつかの局面において、ワクチン処方物は、1μg〜1000μgのポリペプチドおよび1μg〜250μgのアジュバントを含む。いくつかの実施形態において、送達されるべき抗原の適切な量は、被験体の年齢、重量、および健康(例えば、免疫無防備な状況)に依存する。存在するとき、代表的にアジュバントは、1用量当たり1μg〜250μg、例えば、50μg〜150μg、75μg〜125μg、または100μgの量で存在する。
【0138】
いくつかの実施形態において、上記ワクチンの1用量のみが投与され、上に記載される結果を達成する。他の実施形態において、初回のワクチン接種後、被験体は、1回またはそれより多くのブースト(boost)ワクチン接種、合計で2回、3回、4回、または5回のワクチン接種、を受ける。有利には、その数は、3回またはそれより少ない。ブーストワクチン接種は、例えば、上記初回のワクチン接種後、約1ヶ月、約2ヶ月、約4ヶ月、約6ヶ月、または約12ヶ月で投与され得、その結果、1つのワクチン接種投薬計画は、0ヶ月、0.5ヶ月〜2ヶ月および4ヶ月〜8ヶ月での投与を含む。同じか、または異なる経路によって投与してもよい分割用量のワクチンを投与することは、有利であり得る。
【0139】
本明細書中に記載されるワクチンおよび免疫原性組成物は、多様な投薬形態を獲得し得る。特定の実施形態において、上記組成物は、固体形態または粉末にされた(例えば、凍結乾燥された)形態で提供され;それはまた、溶液形態で提供され得る。特定の実施形態において、投薬形態は、1用量の凍結乾燥組成物および少なくとも1つの別個の、希釈剤の滅菌容器として提供される。
【0140】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、用量上昇様式で投与され、その結果上記組成物の連続投与は、前の投与よりも高濃度の組成物を含む。いくつかの実施形態において、上記組成物は、上記組成物の連続投与が前の投与よりも低濃度の組成物を含むような様式で投与される。
【0141】
治療の適用において、組成物は、疾患に苦しむ患者に、上記患者を処置するのに十分な量で投与される。本明細書中に記載される組成物の治療の適用は、伝播性を低減すること、疾患の進行を低下させること、細菌の生存率もしくは複製を低減すること、または毒性に必要なタンパク質の発現を阻害することを含む(例えば、上記組成物で処置されていない個体に起こるレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、または10%まで)。
【0142】
予防の実施形態において、組成物は、ヒトまたは他の哺乳動物に投与され、感染性疾患または他の状態の確立を阻害し得る免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態において、組成物は、細菌が感染を確立することを部分的にブロックし得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、抗生物質と組み合わせて投与される。この共同投与は、上記薬学的組成物が、S.pneumoniaeに最近曝された(または最近曝された疑いのある)患者に投与されるときに特に適している。多くの抗生物質(ペニシリン、アモキシリン、アモキシリン/クラブラネート、セフロキシム、セフォタキシム、セフトリアキソン、およびバンコマイシンが挙げられる)は、肺炎球菌の感染を処置するために使用される。適切な抗生物質は、感染のタイプおよび重症度、ならびに感染についての任意の公知の抗生物質耐性に基づいて選択され得る(Jacobs MR“Drug−resistant Streptococcus pneumoniae:rational antibiotic choices”Am J Med.1999 May 3;106(5A):19S−25S)。
【0144】
2.投与の経路
本明細書中におけるワクチン処方物および薬学的組成物は、個体への投与、代表的に全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、皮下(subcutaneous)、皮下(subdermal)、経皮、頭蓋内、鼻内、粘膜、肛門、膣、経口、頬の経路、またはそれらは、吸入され得る)により送達され得るか、または局所的な適用により投与され得る。いくつかの実施形態において、投与の経路は筋肉内である。他の実施形態において、投与の経路は皮下である。さらに他の実施形態において、投与の経路は粘膜である。特定の実施形態において、投与の経路は、経皮または皮内である。
【0145】
投与の特定の経路は、指定されたアジュバントを含むワクチン処方物および免疫原性組成物に特に適している。特に、経皮投与は、毒素(例えば、コレラ毒素または不安定毒素)を含むS.pneumoniaeワクチンについての投与の1つの適切な経路であり;他の実施形態において、上記投与は、鼻内である。アルファウイルスレプリコンを用いて処方されるワクチンは、例えば、筋肉内または皮下経路によって投与され得る。モノホスホリル(Monophosphory)リピッドA(MPL)、トレハロースジコイノミコレート(TDM)、およびジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDA)を含むワクチンは、筋肉内および皮下投与に(とりわけ)適している。レシキモドを含むワクチンは、例えば、局所または皮下投与され得る。
【0146】
3.処方物
ワクチン処方物または免疫原性組成物は、ヒト患者への投与に適していることがあり、ワクチンまたは免疫原性組成物の調製は、USFDAガイドラインに従い得る。いくつかの実施形態において、上記ワクチン処方物または免疫原性組成物は、非ヒト動物への投与に適している。いくつかの実施形態において、上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、エンドトキシンまたは体外毒素のいずれも実質的に含まない。エンドトキシンとしては、発熱物質(例えば、リポ多糖類(LPS)分子)が挙げられ得る。上記ワクチンまたは免疫原性組成物はまた、熱または他の副作用をもたらし得る不活性なタンパク質フラグメントを実質的に含まないことがある。いくつかの実施形態において、上記組成物は、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または0.0001%未満のエンドトキシン、体外毒素、および/または不活性なタンパク質フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、工業用水、水道水(tap water)、または蒸留水よりも低いレベルの発熱物質を有する。他のワクチンまたは免疫原性組成物構成要素は、当該分野において公知の方法(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、限外濾過、または蒸留)を用いて精製され得る。他の実施形態において、上記発熱物質は、患者への投与の前に不活性化または破壊され得る。ワクチンのための原料(例えば、水、バッファー、塩および他の化学物質)はまた、スクリーニングおよび発熱物質除去(depyrogenate)され得る。上記ワクチンにおける全ての材料は、滅菌であり得、上記ワクチンの各ロットは、滅菌性について試験され得る。従って、特定の実施形態において、上記ワクチンにおけるエンドトキシンレベルは、USFDAによって設定されるレベルよりも低くなる(例えば、髄腔内注射可能な組成物について、産物の0.2エンドトキシン(EU)/kg;非髄腔内注射可能な組成物について、産物の5EU/kg、および滅菌水について、0.25EU/mL〜0.5EU/mL)。
【0147】
特定の実施形態において、調製物は、(乾燥重量で)50%未満、20%未満、10%未満、または5%未満の夾雑タンパク質を含む。特定の実施形態において、所望される分子は、他の生物学的高分子(例えば、他のタンパク質(特に、精製された調製物としてか、対象の再構成された混合物におけるそれらの機能においてのいずれかにおいて構成タンパク質の特徴を実質的に、隠す、減らす、混乱させる、または改変することがある他のタンパク質))が実質的に存在しない状態で存在する。特定の実施形態において、同じタイプの生物学的高分子の(乾燥重量で)少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.8%が現れる(しかし、水、バッファー、および他の低分子、特に、5000未満の分子量を有する分子は存在し得る)。いくつかの実施形態において、精製されたサブユニットタンパク質を含む上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、精製されたサブユニットの量に対して上記サブユニットタンパク質が発現された宿主細胞由来のタンパク質の5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満を含む。いくつかの実施形態において、所望されるポリペプチドは、核酸および/または炭水化物を実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態において、上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、または0.1%未満の宿主細胞DNAおよび/またはRNAを含む。特定の実施形態において、同じタイプの生物学的高分子の(乾燥重量で)少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.8%未満が調製物中に存在する(しかし、水、バッファー、および他の低分子、特に、5000未満の分子量を有する分子は存在し得る)。
【0148】
上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、妥当なリスク−利益比の内で、低毒性を有するか、または毒性を有さないことが好ましい。特定の実施形態において、上記ワクチンまたは免疫原性組成物は、ワクチン接種されている動物についてのLD50測定値よりも低い濃度で成分を含む。LD50測定値は、マウスまたは他の実験モデル系において得られ得、ヒトおよび他の動物に対して推定され得る。ヒトおよび他の動物における化合物のLD50を判断する方法は、当該分野において周知である。ワクチン処方物または免疫原性組成物、およびその内の任意の構成要素は、ラットにおいて、100g/kgよりも大きい、50g/kgよりも大きい、20g/kgよりも大きい、10g/kgよりも大きい、5g/kgよりも大きい、2g/kgよりも大きい、1g/kgよりも大きい、500mg/kgよりも大きい、200mg/kgよりも大きい、100mg/kgよりも大きい、50mg/kgよりも大きい、20mg/kgよりも大きい、または10mg/kgよりも大きいLD50値を有し得る。毒性(例えば、ボツリヌス毒素(アジュバントとして用いられ得る))を含むワクチン処方物または免疫原性組成物は、ボツリヌス毒素のLD50よりも著しく小さいLD50を含むべきである。
【0149】
上記ワクチン処方物または薬学的組成物の導入に適した処方物は、投与の経路に従って変動する。非経口投与(例えば、関節内(関節において)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、鼻内、および皮下経路によって)に適した処方物は、水性および非水性の等張滅菌注射液剤(それは、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、および上記処方物を、意図される受容者の血液と等張にする溶質を含み得る)、および水性および非水性の滅菌懸濁液(それは懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含み得る)を含む。上記処方物は、単位用量または複数回用量の密封容器(例えば、アンプルおよびバイアル)の中に提供され得る。
【0150】
注射液剤および懸濁液は、前に記載されたような滅菌の粉剤、顆粒剤、および錠剤から調製され得る。治療上のT細胞の養子移入の場合に、上記細胞は、静脈内または非経口投与され得る。
【0151】
経口投与に適した処方物は、(a)液体の液剤(例えば、希釈剤(例えば、水、食塩水、またはPEG400)中に懸濁された有効な量のポリペプチドまたはパッケージされた核酸;(b)それぞれが、あらかじめ決められた量の活性成分(液体、固体、顆粒、またはゼラチンとして)を含む、カプセル剤、サシェ、または錠剤;(c)適切な液体中の懸濁液;および(d)適切なエマルジョンからなり得る。錠剤の形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、トラガカント、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、色素、崩壊剤、および薬学的に適合なキャリアのうちの1つまたはそれより多くを含み得る。舐剤の形態は、香味(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に活性成分、ならびに不活性な基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンのゲル、またはスクロースおよびアカシアエマルジョンのゲルなど)中に活性成分を含む香錠を含み得、活性成分の他に当該分野において公知のキャリアを含む。薬学的組成物は、(例えば、リポソーム中に、または活性成分の遅延放出を提供する処方物中に)カプセル化され得る。
【0152】
単独または他の適切な構成要素と組み合わせて、抗原は、エアゾール処方物にされて(例えば、それらは「霧状」にされ得る)、吸入を介して投与され得る。エアゾール処方物は、加圧された受容可能な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素など)に入れられ得る。エアゾール処方物は、経口または鼻送達され得る。
【0153】
膣投与または直腸投与に適した処方物としては、例えば、座薬基剤を伴う、ポリペプチドまたはパッケージされた核酸からなる座薬が挙げられる。適切な座薬基剤としては、天然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン系炭化水素が挙げられる。さらに、基剤(例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、およびパラフィン系炭化水素が挙げられる)を伴う、ポリペプチドまたはパッケージされた核酸の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することもまた可能である。
【0154】
J.ワクチン処方物および免疫原性組成物の調製および保存
本明細書中に記載されるS.pneumoniaeワクチンおよび免疫原性組成物は、多様な技術を用いて作り出され得る。例えば、ポリペプチドは、適切な宿主細胞において組換えDNA技術を用いて作り出され得る。適切な宿主細胞は、細菌の、酵母の、哺乳動物の、または他のタイプの細胞であり得る。上記宿主細胞は、改変されて、適切なポリペプチド遺伝子のうちの1つの外因性コピーを発現し得る。代表的に、上記遺伝子は、適切な調節配列(例えば、強いプロモーターおよびポリアデニル化配列)に作動可能に繋がれている。いくつかの実施形態において、上記プロモーターは、誘導可能または抑制可能である。他の調節配列は、当業者が上記ポリペプチドを精製することをどのように望むかに依存して、細胞質もしくは膜における、目的のポリペプチドの分泌もしくは排出、または目的のポリペプチドの保持を提供し得る。上記遺伝子は、染色体外プラスミド上に存在し得るか、または上記宿主ゲノムへと組み込まれ得る。当業者は、天然に存在する配列に対して100%同一な核酸を使用することが必要でないことを認識する。むしろ、これらの配列に対するいくつかの改変物は、耐容性を示し(tolerate)、望ましい場合がある。例えば、上記核酸は、遺伝コードの縮重を利用するように改変され得、その結果コードされたポリペプチドは、同じままである。いくつかの実施形態において、上記遺伝子は、コドン最適化されて、特定の宿主における発現を改善する。上記核酸は、例えば、PCRによってか、または化学合成によって作り出され得る。
【0155】
一旦、組換え細胞系が作り出されると、ポリペプチドは、そこから単離され得る。単離は、例えば、親和性精製技術によってか、または物理的分離技術(例えば、サイズカラム)によって達成され得る。
【0156】
本開示のさらなる局面において、1つまたはそれより多くのポリペプチドまたは免疫原性フラグメントまたはその改変体を、キャリアおよび/またはアジュバントと混合する工程を含む製造の方法が提供される。
【0157】
いくつかの実施形態において、ワクチン処方物および免疫原性組成物に含めるための抗原は、細胞培養物中に産生され得る。1つの方法は、表1または表2のアミノ酸配列を有するポリペプチドから選択される1つまたはそれより多くのポリペプチドをコードする1つまたはそれより多くの発現ベクターおよびクローニングヌクレオチドを提供する工程、次に上記ポリペプチドを発現および単離する工程を含む。
【0158】
本明細書中に記載される免疫原性ポリペプチド、および上記ポリペプチドを発現する核酸組成物は、核酸組成物を哺乳動物へと投与するためにパック、ディスペンサーデバイス、およびキットに包装され得る。例えば、1つまたはそれより多くの単位投薬形態を含むパックまたはディスペンサーデバイスが提供される。代表的に、本明細書中に開示されるもののような、化合物の投与の指示は、上記化合物が、示された状態の処置に適しているというラベル上の適切な表示とともに、パッケージングで提供される。
【実施例】
【0159】
V.実施例
実施例1.抗原同定およびプールした、ネズミのスクリーニング
S.pneumoniae TIGR4ゲノムにおいて予測される各オープンリーディングフレームを、主要組織適合性複合体(MHC)によって提示されることが可能なタグを含む発現ベクターへとクローニングした。各構築物を次にE.coliにおいて発現し、MHCの関連においてタグを同定する代理アッセイによって全長の発現を確認した。スクリーニングは、国際出願WO 2010/002993において、より詳細に記載される。大きいライブラリーをスクリーニングすることを容易にするために、4つの誘導されたライブラリークローンが各ウェルに存在するように上記ライブラリーをプールした。S.pneumoniaeに対して免疫したマウス由来のT細胞をスクリーニングするために、プールしたライブラリーのアリコートを腹膜由来のマクロファージへと添加した。上記マクロファージを、タグをつけたS.pneumoniae抗原にMHCを介して結合させた。37℃で2時間後、上記マクロファージをPBSで洗浄した。上記マクロファージを次に1%のパラフォルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで広範囲に洗浄した。10個のT細胞を200μLのRP−10培地の入った各ウェルへと添加した。上記T細胞は、コレラ毒素アジュバントとともに、死滅させたS.pneumoniae細菌で2回免疫したマウスから、前に単離されていた。上記アッセイプレートを37℃で72時間インキュベートした。各ウェルの上清中のIL−17の量を、IL−17ELISAアッセイの使用を介して決定した。陽性結果についての閾値を、全てのサンプルの平均値より上の2標準偏差に設定した。
【0160】
実施例2.陽性ネズミプールのデコンボリューション
各ウェルにおける4つのクローンのうちのどの抗原(複数可)が、実施例1に記載されるプールしたスクリーニングにおいて観測された陽性応答を誘導するかを決定するために第二スクリーニングを使用した。各陽性プール中の全てのクローンを、二連のウェル中の腹膜のマクロファージ上へと個々にパルスした。初回のスクリーニングとして同じ遺伝的背景由来の免疫したマウスから単離されたT細胞を、実施例1に記載されるIL−17アッセイを用いてパルスしたマクロファージをスクリーニングするために使用した。二連のウェルにおいて、陰性対照サンプルの平均値より上の2標準偏差よりも大きい、平均の応答を誘導した個々の抗原を、陽性応答であると考えた。これらの陽性クローンに存在するライブラリープラスミドを、抗原の同一性を確かめるために配列決定した。上記抗原SP_1574、SP_1655、SP_2106、SP_0148、SP_1473、SP_0605、SP_1177、SP_0335、SP_0906、SP_1828、SP_2157、SP_1229、SP_1128、SP_1836、SP_1865、SP_0904、SP_0882、SP_0765、SP_1634、SP_0418、SP_1923、SP_1313、SP_0775、SP_0314、SP_0912、SP_0159、SP_0910、SP_2148、SP_1412、SP_0372、SP_1304、SP_2002、SP_0612、SP_1988、SP_0484、SP_0847、SP_1527、SP_0542、SP_0441、SP_0350、SP_0014、SP_1965、SP_0117、およびSP_2108を、この方法を用いて確かめた。
【0161】
実施例3.抗原同定およびプールした、ヒトのスクリーニング
CD4+ T細胞およびCD14+ 単球を、ヒトドナーから獲得された末梢血から単離した。Tedder TF and Jansen PJ(1997“Isolation and generation of human dendritic cells.”Current Protocols in Immunology Supp 23:7.32.1−7.32.16)において本質的に記載されるように、上記単球を、GM−CSFおよびIL−4含有培地中でそれらを培養することによって、樹状細胞へと分化させた。培養5日後、上記樹状細胞を384ウェルプレートへと播種した。CD4+ T細胞を、培養中で増やし、十分な量を確保した。
【0162】
S.pneumoniae TIGR4ゲノムにおいて予測される各オープンリーディングフレームを、主要組織適合性複合体(MHC)によって提示されることが可能なタグを含む発現ベクターへとクローニングした。各構築物を次にE.coliにおいて発現し、MHCの関連においてタグを同定する代理アッセイによって全長の発現を確認した。大きいライブラリーをスクリーニングすることを容易にするために、4つの誘導されたライブラリークローンが各ウェルに存在するように上記ライブラリーをプールした。ヒトT細胞をスクリーニングするために、プールしたライブラリーのアリコートを384ウェルプレート中の播種した樹状細胞へと添加した。37℃で2時間後、上記樹状細胞を1%のパラフォルムアルデヒドで15分間固定し、リン酸バッファーおよびリジンバッファーで広範囲に洗浄した。70μLのRP−10培地中の40,000個のCD4+ T細胞を384ウェルプレートの各ウェルへと添加した。上記アッセイプレートを37℃で3日間インキュベートした。各ウェルの上清中のIL−17の量を、IL−17ELISAアッセイの使用を介して決定した。スクリーニングの異なる繰り返しにおいて、陽性結果についての閾値を、全てのサンプルの平均値より上の2標準偏差、陰性対照の平均値より上の2標準偏差、またはデータセットの中央値絶対偏差(median absolution deviation)の1.78倍に設定した。陽性プールを次に実施例4に記載されるようにデコンボリューションした。
【0163】
実施例4.陽性ヒトプールのデコンボリューション
全ての抗原について、2つのプールスクリーニングの結果を比較することにより、デコンボリューションを実施した。この方法において、2つの異なる組のプールを調製し、その結果、ポリペプチドは、第一プールと第二プールとの間で3つの異なるポリペプチドを伴った。結果として、第一および第二の組の両方において、どのポリペプチドが陽性プールにあるかを同定することにより、どのポリペプチドが抗原であるかを決定することが可能である。このデコンボリューション法において、プールが、データセットの中央値絶対偏差の少なくとも1.78倍である場合に、このプールを陽性として同定した。
【0164】
抗原が少なくとも2回の反復した第二スクリーニングにおいて陽性である場合に、この抗原を陽性ヒットとして同定した。抗原SP2108、SP0641、SP1393、SP0024、SP0641.1、SP1072、SP1384およびSP2032を、上のアプローチを用いて同定した。
【0165】
実施例5
SP2108、SP0148およびSP1634ポリペプチド
SP2108ポリペプチド(配列番号9)、SP0148ポリペプチド(配列番号7) およびSP1634ポリペプチド(表2を参照のこと)を、ワクチン組成物として、1μgのコレラ毒素と組み合わせて4μgの上記ポリペプチドを用いて処方した。組み合わせについては、4μgの各ポリペプチドを使用した。上記組成物を1週間離して3回、C57BL/6マウスに鼻内投与した。次に、被験体を3週間休ませ、そのときに免疫原性のために採血した。このアッセイのために、逆行性(retrograde)眼窩静脈叢からヘパリン加の全血液を収集した。丸底管において、死滅させた全細胞(WCC)か、または3つのポリペプチドの組み合わせかのいずれかを用いて総PBMCを3日間刺激した。次に、上清を集め、IL−17レベルについてELISAによって評価した。コレラ毒素単独(CT)またはHSV(003)由来の関連のない抗原を、陰性対照として使用した。結果を図1および2に示す。上記被験体をさらに2週間休ませ、そのときにそれらをS.pneumoniaeの鼻内投与でチャレンジした。上記被験体を1週間後に犠牲にし、鼻洗浄物からのコロニー形成単位(CFU)の数を数えた。結果を図3に示す。
【0166】
実施例6
SP0882およびSP0314ポリペプチド
本実施例は、ワクチン組成物の2用量のみを投与したことを除いて、実施例5と同じプロトコルを使用した。これらの実験において、実施例5で試験した3つのポリペプチドと共同してSP0882ポリペプチド(配列番号2)およびSP0314ポリペプチド(表2を参照のこと)を使用した。免疫原性アッセイの結果を図4および5に示す。コロニー形成アッセイの結果を図6に示す。
【0167】
実施例7
SP1072、SP0641N、およびSP0024ポリペプチド
本実施例は、1週間離して、ワクチン組成物の2用量を投与したことを除いて、実施例5のプロトコルと同様のプロトコルを使用した。最後の免疫の4週間後に、マウスを生タイプの6B S.pneumoniaeを用いて鼻内チャレンジした。1週間後に、選択培地に鼻の洗浄物をプレートすること、およびCFUを数えることによって、細菌負荷量(bacterial burden)を各マウスにおいて評価した。各マウスから単離されたCFUを、各免疫したコホートについてプロットする。結果を図7に示す。統計的に有意な結果を図に示す(*=p=値<0.05)。
【0168】
実施例8
BALB/cマウスにおいて試験されたSP0148、SP0314、SP0882、およびSP2108ポリペプチド
異なるマウスの遺伝型にわたって同様の免疫応答が見られるかどうかを決定するために、数種のポリペプチドをBALB/cマウスに投与した。実施例5のプロトコルと同様のプロトコルを使用して、上記マウスを免疫し、S.pneumoniaeでチャレンジし、CFUの数を記録した。この実験の結果を図8に示す。
【0169】
【化14】

【0170】
【化15】

【0171】
【化16】

【0172】
【化17】

【0173】
【化18】

【0174】
【化19】

【0175】
【化20】

【0176】
【化21】

【0177】
【化22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜11のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、そして配列番号12もしくは13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを必要に応じてさらに含むワクチン処方物。
【請求項2】
前記ワクチン処方物が、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、ここで該ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つを含むアミノ酸配列、またはその免疫原性フラグメントを有する、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項3】
少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドが、(i)〜(vi)の異なる群に属する、請求項2に記載されるワクチン処方物:
(i)配列番号1またはその免疫原性フラグメント、
(ii)配列番号2〜5のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、
(iii)配列番号6〜7のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、
(iv)配列番号8またはその免疫原性フラグメント、
(v)配列番号9〜10のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および
(vi)配列番号11〜13のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。
【請求項4】
前記ワクチン組成物が、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも3つの異なるポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含み、ここで、該ポリペプチドの少なくとも1つは、配列番号1〜10のうちの1つを含むアミノ酸配列を有する、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項5】
少なくとも3つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドが、(i)〜(vi)の異なる群に属する、請求項4に記載されるワクチン処方物:
(i)配列番号1またはその免疫原性フラグメント、
(ii)配列番号2〜5のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、
(iii)配列番号6〜7のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、
(iv)配列番号8またはその免疫原性フラグメント、
(v)配列番号9〜10のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および
(vi)配列番号11〜13のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。
【請求項6】
前記フラグメントが、N末端、C末端、または両方から1〜20アミノ酸残基取り除かれた配列番号1〜13のいずれかの切断フラグメントである、請求項1〜5のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項7】
前記ワクチン処方物が、配列番号1〜11のいずれかからなるアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項8】
配列番号6を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項9】
配列番号7を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項10】
配列番号9を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項11】
配列番号10を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項12】
前記ワクチン処方物が、配列番号6からなるポリペプチドおよび配列番号9からなるポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項13】
前記ワクチン処方物が、配列番号7からなるポリペプチドおよび配列番号10からなるポリペプチドを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項14】
配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド以外に、実質的に他のS.pneumoniaeポリペプチドを含まない、請求項1〜13のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項15】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号2、7、9、22、および23のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む、請求項1に記載されるワクチン処方物。
【請求項16】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号11からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むワクチン処方物。
【請求項17】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号12を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むワクチン処方物。
【請求項18】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する1つまたはそれより多くのポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含むワクチン処方物。
【請求項19】
前記ワクチン処方物が、配列番号14〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを含む、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項20】
少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドが、(i)〜(iii)の異なる群に属する、請求項19に記載されるワクチン処方物:
(i)配列番号14〜17のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、
(ii)配列番号18〜19のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント、および
(iii)配列番号20〜21のうちの1つまたはその免疫原性フラグメント。
【請求項21】
前記ワクチン処方物が、配列番号1〜13のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項22】
前記フラグメントが、N末端、C末端、または両方から1〜20アミノ酸残基取り除かれた配列番号14〜21のいずれかの切断フラグメントである、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項23】
配列番号14〜17のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項24】
配列番号18〜19のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項25】
配列番号20〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項18に記載されるワクチン処方物。
【請求項26】
前記ポリペプチドが免疫原性キャリアに結合体化される、請求項1〜25のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項27】
少なくとも1つの脂質付加ポリペプチドを含む、請求項1〜25のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項28】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜27のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項29】
前記アジュバントが、toll様受容体(TLR)のアゴニストである、請求項28に記載されるワクチン処方物。
【請求項30】
前記アジュバントがミョウバンである、請求項28に記載されるワクチン処方物。
【請求項31】
前記ワクチン処方物が、1μg〜1000μgの前記ポリペプチドおよび1μg〜250μgの前記アジュバントを含む、請求項28に記載されるワクチン処方物。
【請求項32】
17細胞に接触後、少なくとも1.5倍T17細胞応答を誘導する、請求項1〜31のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項33】
前記ワクチン処方物が、感染していない被験体において、S.pneumoniaeによる感染を阻害する、請求項1〜31のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項34】
前記ワクチン処方物が、個体におけるS.pneumoniaeのコロニー形成を阻害する、請求項1〜31のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項35】
前記ワクチン処方物が、S.pneumoniaeの症状を阻害する、請求項1〜31のいずれかに記載されるワクチン処方物。
【請求項36】
S.pneumoniae感染に苦しむか、または罹患しやすい被験体を処置する方法であって、有効な量の請求項1〜45のいずれかに記載されるワクチン処方物を投与する工程を含む、方法。
【請求項37】
前記方法が、感染していない被験体において、S.pneumoniaeによる感染を阻害する、請求項36に記載される方法。
【請求項38】
前記方法が、個体におけるS.pneumoniaeのコロニー形成を阻害する、請求項36に記載される方法。
【請求項39】
前記方法が、S.pneumoniaeの症状を阻害する、請求項36に記載される方法。
【請求項40】
前記方法が、1用量で被験体を処置する、請求項36に記載される方法。
【請求項41】
前記方法が、3用量以内で被験体を処置する、請求項36に記載される方法。
【請求項42】
前記被験体がヒトである、請求項36に記載される方法。
【請求項43】
薬学的に受容可能なキャリア、および配列番号1〜23のいずれかを含むアミノ酸配列を有する2つまたはそれより多くのポリペプチドおよびSP1574、SP1655、SP2106、SP1473、SP0605、SP1177、SP0335、SP0906、SP1828、SP2157、SP1229、SP1128、SP1836、SP1865、SP0904、SP0765、SP1634、SP0418、SP1923、SP1313、SP0775、SP0314、SP0912、SP0159、SP0910、SP2148、SP1412、SP0372、SP1304、SP2002、SP0612、SP1988、SP0484、SP0847、SP1527、SP0542、SP0441、SP0350、SP0014、SP1965、SP0117、SP0981、SP2229、SP2136、SP1179、SP1174、SP2216、SP1393、SP0641.1、SP1384、およびSP2032、またはその免疫原性フラグメントを含む免疫原性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−532134(P2012−532134A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518575(P2012−518575)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040406
【国際公開番号】WO2011/008548
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511146071)ジェノセア バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (3)
【出願人】(591044027)チルドレンズ メディカル センター コーポレイション (12)
【氏名又は名称原語表記】CHILDREN’S MEDICAL CENTER CORPORATION
【Fターム(参考)】