説明

TABテープおよびTABテープの製造方法

【課題】 半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化してテープキャリアパッケージ等の半導体パッケージの小型化を図ることを目的とする。
【解決手段】 出力テストパッド10の配置領域(グループ21)の空き領域に隣接するパターン領域の入力テストパッド20aを配置することにより、検査時に用いるテストパッドの配置領域を最適化できるため、半導体パッケージの小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置を搭載するテープキャリアパッケージやチップオンフィルム等の半導体パッケージに用いるTABテープおよびTABテープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TAB(Tape Automated Bonding)はテープ・アッセンブリ方式でICのパッドとテープのリードを全ピン同時に接続するので多ピンICの接続効率が著しく高い。TABパッケージはTCP(Tape Carrier Package)と呼ばれ、小型、薄型、軽量を特徴としており、TABに使用されているテープをテープキャリア(フィルムキャリア)と呼んでいる。また、テープのスプロケット孔および付随する規格は米国映画規格が元になっている。3層テープの製造工程は最初、350μm ピッチ40ピン(電卓)から始まり、年々ファイン化が進み、1983年にはサーマル・ヘッドが登場し急激なファインピッチ化が進んだ。今日では、ファインピッチ化はLCDドライバが先導している。
【0003】
従来のフィルムキャリアの製造方法について図15〜19を用いて説明する。
図15は従来のテープキャリアにおける孔形成工程を示す図、図16は従来のテープキャリアにおけるフォトレジスト塗布工程を示す図、図17は従来のテープキャリアにおけるリード形成工程を示す図、図18は従来のテープキャリアにおけるパッケージ工程を示す図、図19は従来のテープキャリアを示す図である。
【0004】
まず、図15では母材のフィルム1(ポリイミド、ガラス入りエポキシ等)にデバイス孔3とスプロケット孔2を金型で打ち抜く。次に、図16では図15でデバイス孔3とスプロケット孔2を設けたフィルム1に銅箔4を熱ローラで圧接しながら貼り付け、両面にフォトレジストを塗布する。次に、図17ではフィルム1に配線パターンを形成するマスク露光、現像そしてエッチングをおこなうことにより、図15で形成されたフィルム1のデバイス孔3より突き出したリード6を形成する。不要となったレジストは除去され、リード表面にSn,Au(下地めっき)、はんだ(下地Niめっき)めっき処理を行ってフィルムキャリア工程は終了する。
【0005】
フィルムキャリアの長さは20〜60mの長尺で、フィルムキャリア工程は長尺のフィルムのまま連続的に行われ、全工程が終了するとスペーサを介してリールにまかれ次の工程に送られる。また、バンプの形成工程は主に2種類あり、チップ上にバンプを形成する方式とリード側にバンプを形成する転写バンプ方式がある。通常のバンプ形成方法は、半導体チップのパッド上にバリヤメタルを形成し、この上にめっき法でバンプを形成するもので、もっとも多く使われている。図18に示すパッケージ工程ではILB(Inner Lead Bonding)工程はバンプを介してリード6と半導体チップ7の電極とを接続しその後、樹脂塗布し封止する。その後テープ上に形成された測定端子を利用して電気特性を測定し、最後に製品領域8の所定寸法に切断する。
【0006】
TCPのインナー・リード・ピッチのファイン化は最初、350μm ピッチ40ピン(電卓)から始まり、年々ファイン化が進み、サーマル・ヘッドが登場し急激なファインピッチ化が進んだ。今日では、ファイン化はLCDドライバが先導している。近年、LCDパネルは大型化が進み、LCDドライバもまた多出力端子化が進んでいる。LCDドライバは映像のデジタルデータや電源、制御信号などの入力側とパネルに出力する出力側に分かれている。近年の多出力化で出力信号が多ピン化し、出力端子がファインピッチになっている。
【0007】
図19は図18で形成された従来のテープキャリアパッケージ用TABテープの1半導体パッケージを示しており、60は入力端子配線、61,62,63,64は出力端子配線となるリードである。また、それぞれの端子配線は製品の電気特性検査をする為の入力テストパッド60Tp、出力テストパッド61Tp、62Tp、63Tp、64Tp接続されている。電気的検査はプローブをテストパッドに接触して行う。ファインピッチ化された入出力端子から接続される配線の場合、配線よりテストパッドが大きい為、テストパッドを1列に整列することができない。それを回避する為に出力テストパッド61Tp、62Tp、63Tp、64Tpは数列に配置されてテストパッドエリアを確保している。このようにファインピッチ化によりテストパッドエリアがTCPの面積の多くを占めておりパッケージのコストが増大化している。
【0008】
解決策としては、TCPパッケージの入力側のテストパッドは数が少ない為、図20の従来の省端子領域テープキャリアを示す図に示すように、テープの入力テストパッド67を最小間隔に上下どちらか片方に寄せ、次に2つの半導体チップ65,66の入力端子が向かい合わせなるように配置することにより、2つのチップの入力テストパッド67,68配置領域をテープ上で共有することができ、1ヶのTCPを小型化していた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−24586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記の従来技術では、ICチップをテープに搭載する為にILB工程で半導体チップの向きを180度回転させて搭載する必要があり、また、半導体チップとリードの接合精度も標準に接合する場合と180度回転させる場合で位置認識精度を2種類用意しなければならない為、位置合わせを高精度に行う必要があり、装置の改造が必要である。また、テープキャリア製造においても2種類のマスクを用意しなければならない。また、検査工程においてもLSI製品の向きが180度の為、テストごとに検査端子のプローブカードの向きを180度回転させるか、2チップ同時に測定する必要がある。2チップを同時測定する為には増大するテスト端子に対して、テスターのch数が不足する為、これも装置の改造が必要になる。
【0010】
したがって、本発明に係るTABテープおよびTABテープの製造方法は、上記問題点を解決するために、半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化してテープキャリアパッケージ等の半導体パッケージの小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明に係る請求項1記載のTABテープは、半導体チップの実装領域と、前記半導体チップの検査に用いる複数の出力テストパッドを前記半導体チップの実装領域の一方の側に隣接して設けた出力テストパッド領域と、前記半導体チップの検査に用いる1または複数の入力テストパッドを前記半導体チップの実装領域の他方の側に隣接して設けた入力テストパッド領域とを有するパターン領域が隣接して複数形成されることにより、複数の半導体パッケージが形成されるTABテープであって、隣接する前記パターン領域同士の前記出力テストパッド領域と前記入力テストパッド領域に重なり領域を有し、前記重なり領域に隣接するパターン領域同士の前記出力テストパッドと前記入力テストパッドが混在することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載のTABテープは、請求項1記載のTABテープにおいて、前記複数の出力テストパッドが一定の行列を成すように形成され、前記入力テストパッドが前記行列上に形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載のTABテープの製造方法は、前記半導体チップの検査に用いる複数の出力テストパッドと、前記出力テストパッドに前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、前記重なり領域に配置され隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる1または複数の入力テストパッドと、隣接するパターン領域に形成された入力テストパッドに前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線とを形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載のTABテープの製造方法は、請求項3記載のTABテープの製造方法において、前記入力テストパッドのマスクパターンと前記入力端子配線のマスクパターンが前記入力テストパッドと前記入力端子配線を長くして互いに重なるようにしたマスクパターンであることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載のTABテープの製造方法は、前記半導体チップの検査に用いる複数の第1の出力テストパッドを構成する一部分と、前記第1の出力テストパッドを構成する一部分に前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる複数の第2の出力テストパッドを構成する一部分と、前記重なり領域に配置され前記半導体チップの他方の側に隣接するパターン領域に形成され前記半導体チップの検査に用いる1または複数の第1の入力テストパッド一部分と、前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の重なり領域に配置された1または複数の第2の入力テストパッドを構成する一部分と、前記第2の入力テストパッドを構成する一部分に前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線とを形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載のTABテープの製造方法は、前記半導体チップの検査に用いる複数の第1の出力テストパッドを構成する半分と、前記第1の出力テストパッドを構成する半分に前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる複数の第2の出力テストパッドを構成する半分と、前記重なり領域に配置され前記半導体チップの他方の側に隣接するパターン領域に形成され前記半導体チップの検査に用いる1または複数の第1の入力テストパッド半分と、前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の重なり領域に配置された1または複数の第2の入力テストパッドを構成する半分と、前記第2の入力テストパッドを構成する半分に前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線とを形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とする。
【0017】
請求項7記載のTABテープの製造方法は、請求項5または請求項6記載のTABテープの製造方法において、前記第1の出力テストパッドと前記第2の出力テストパッドの長さは、合成時にマスクが規格内の位置ずれを起こしても重なる部分を有する長さであり、前記第1の入力テストパッドと前記第2の入力テストパッドの長さは、合成時にマスクが規格内の位置ずれを起こしても重なる部分を有する長さであることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載のTABテープの製造方法は、請求項7記載のTABテープの製造方法において、前記テストパッドのマスクパターンの角がとれていることを特徴とする。
請求項9記載のTABテープは、請求項2記載のTABテープにおいて、前記テストパッドはテストパッドに接触するプローブの針跡の面積に対応してテストパッドの長さを決めることを特徴とする。
【0019】
以上により、半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化して半導体パッケージの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のTABテープおよび本発明のTABテープの製造方法によると、出力テストパッドの配置領域の空き領域に隣接する半導体パッケージの入力テストパッドを配置し、半導体チップの実装領域とテストパッド配置領域を交互に形成することにより、概ね従来の入力テストパッドの領域分だけテストパッドの配置領域を削減することができ、検査時に用いるテストパッドの配置領域を最適化できるため、半導体パッケージの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を具体的な例を使用して説明する。
まず、本発明のTABテープの構成を図1,図2,図3を用いて説明する。
図1は本発明のTABテープを示す構成図、図2は本発明のTABテープにおけるテストパッド領域を説明するための要部拡大図であり、図1の出力テストパッド領域TPA1における入出力テストパッドの配置を拡大して示す平面図である。図3は本発明のTABテープにおける1つのTCPを示す図である。
【0022】
図2及び図1において、本発明によるTCP用TABテープ11は、ポリイミド系ベースフィルム上に銅箔をパターニングすることにより配線パターンが形成された構造を有する。TABテープ11は、半導体パッケージの形成領域であるパッケージ領域PA1と、パッケージ領域PA1を中心にして両端に形成された入出力テストパッド領域TPA1で構成され、パッケージ領域PA1と入出力テストパッド領域TPA1をそれぞれ1つずつ備えるパターン領域を1つのユニットとして、連続するパターン領域のつながりにより構成されている。この入出力テストパッド領域TPA1は、ほぼ、従来の出力テストパッドが形成される領域であり、出力テストパッドを形成した空き領域に入力テストパッドが形成され、従来の出力テストパッド領域と入力テストパッド領域を重ねた形状を有している。
【0023】
また、TABテープ11は、多数個のTCPを同時に製造できるように、リール形態で提供される。テープ11の1個のTCP部分のみを図示する図3に示すように、製品となるパッケージ領域PA1には、半導体チップが実装されるチップ実装領域15と、チップ実装領域15を中心にして一側に延びている入力端子配線17と、他側に延びている出力端子配線18とを含む。チップ実装領域15には、半導体チップがインナーリードボンディング(ILB)され実装されることができるように、テープ11を貫通してウィンドウ16が形成されている。また、入力テストパッド領域ITPA1には、入力端子配線17が接続される入力テストパッド20が配置されている。また、出力テストパッド領域OTPA1には、出力端子配線18とそれぞれ接続される出力テストパッド10が配置されている。この際、出力テストパッド10は、テスターのテストヘッドからボードを介し、プローブカードから伸びたプローブが容易に接続できるように、出力端子配線18の幅より広く形成される。
【0024】
また、テープ11の両側の端縁に沿って所定の間隔を置いてスプロケット孔19が形成されている。スプロケット孔19は、TCP用TABテープ11を用いたTCPの製造工程が連続して行われるように、パッケージ領域PA1の位置補正とTABテープ11の移動を行う。位置補正においては位置合わせマーク33を用いて行う。特に、本発明よるTABのテストパッド領域である入力テストバッド領域ITPA1は隣のパッケージの出力テストパッド領域OTPA2と同じ領域であり、入力テストパッド20と隣接パッケージの出力テストパッド10eで同じ列の領域上で形成され、また、出力テストパッド領域OTPA1は出力側に隣接するパッケージの入力テストパッド領域ITPA3と同じ領域であり、出力テストパッド10dと隣のパッケージの入力テストパッド20で同じ列の領域上で形成される。
【0025】
従来のTABテープは図19に示すように、入力テストパッド60Tpと出力テストパッド61Tp,62Tp、63Tp、64Tpは別の列に配置されるので、本発明に記載される入力テストパッドの領域が隣接するパターン領域の出力テストパッド領域の中に含まれることにより、入出力テストパッド領域が従来のテストパッド領域の面積を1/2を削減することができる。
【0026】
このように出力テストパッド領域OTPA1の中に隣接パッケージの入力テストパッド領域ITPA3を含みかつ、入力テストパッド領域ITPA1が他方の隣接するパターン領域の出力テストパッド領域OTPA2に含まれることでテストパッド領域が縮小可能となる理由について図2を用いて詳しく説明する。
【0027】
図2において、テストパッド領域TPA1は出力端子配線18と、おのおのの出力端子配線18に出力テストパッド10a、10b、10c、10dが接続されている。また、入力端子配線17は入力テストパッド20aに接続されている。例えば、4個の出力テストパッド10a〜10dが1つのグループ21をなしてそのグループが連続的に配置されている。出力テストパッドのグループでは4行4列の行列を成すように配置されていて、1列4行(10a)、2列3行(10b)、3列2行(10c)、4列1行(10d)に配置される。出力テストパッド10a、10b、10c、10dに配線される出力端子配線18はTABテープの設計ルールを遵守する必要があり、配線幅22と配線間距離23は規格された最小の長さが必要である。テストパッドにおいてもテスターからのテスト端子と電気的接触ができるようにパッドサイズ(Tpadx,Tpady)が規格化されている。テストパッドグループ21の出力テストパッド第4行の領域について、テストパッド領域の幅はテストパッド10aの幅Tpadx以外に10b,10c,10dの3本の配線幅22と4本の配線間距離23が必要である。同様に、出力テストパッド第3行の領域の幅ではテストバッド10bの幅Tpadx以外に10c,10dの2本配線幅22と3本の配線間距離23が必要である。同様に、出力テストパッド第2行の領域ではテストパッド10cの幅Tpadxとテストパッド10dに接続する配線幅22と配線間距離23が必要である。同様に、出力テストパッド第1行では出力テストパッド10dのテストパッド幅Tpadxと配線間距離23が必要である。しかし、出力テストパッド第1行で出力テストパッドが出力テストパッド10dの1個のみでありスペースに余裕がるため、出力テストパッド第1行に隣接するパターン領域の入力テストパッド20を配置することができる。
【0028】
以上のように、隣接する半導体パッケージの入力テストパッドを出力テストパッド配置領域の空き領域に配置し、パッケージ領域PA1と入出力テストパッド領域TPA1を交互に形成することにより、概ね従来の入力テストパッドの領域分だけテストパッドの配置領域を削減することができ、半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化して半導体パッケージの小型化を図ることができる。
【0029】
図4は本発明のTABテープにおける4列6行のテストパッド領域を説明するための要部拡大図であり、図2のTCP用TABテープに対し、入出力テストパッドを4列6行配置した例を示すものである。
【0030】
図4において、入出力テストパッドは図2における4行4列の配置の出力テストパッド10a、10b、10c、10dと入力テストパッド20に加え、4列5行に出力テストパッド10eと3列6行に10fのテストパッドを配置している。この配置を行うことにより、隣接する半導体パッケージの入力テストパッドを出力テストパッド配置領域の空き領域に配置することができるため、半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化して半導体パッケージの小型化を図ることができる。
【0031】
次に、本発明のTABテープの製造方法について、図5を用いて説明する。
図5は従来のTABテープにおけるテストパッド領域を説明するための要部拡大図であり、従来のTCP用TABパッケージのテストパッド領域TPA2を示している。
【0032】
図5に示すように、テストパッド領域TPA2は出力テストパッド40a、40b、40c、40dと隣接するパターン領域の入力テストパッド50を含む。従来のテストパッド領域では、テープキャリアパッケージの1単位でマスクを作成し、マスクの位置合わせ精度を必要としない為、隣接パターン領域とのテストパッド間距離42は入力テストパッド50と出力テストパッド40dのパッド間距離である。このテストパッド間の距離42は同一パターン領域内のテストパッド間の距離41より大きい。そのため、図2における隣接間のパターン領域のパッド間距離26を大きくとる必要がある。
【0033】
以下、図6、図7を用いてテストパッドの隣接間距離を最小に保ちながら隣接パターン領域とテストパッドを共有する方法を説明する。
図6は本発明のTABテープ製造方法に用いるマスクを説明するための図であり、図2のTCP用TABテープを実現する配線マスクの一部を示している。図7は本発明のTABテープ製造方法により形成された入力テストパッドを示す図であり、図6の配線マスクを用いて露光した入力テストパッドと入力端子配線の重ね合わせを示している。
【0034】
図6において、TABテープ配線マスクは出力端子配線マスクパターン24aと出力端子配線マスクパターン24aに接続された出力テストパッドマスクパターン24と入力端子配線マスクパターン25aと入力テストパッドマスクパターン25で構成される。TABテープは半導体チップに出力端子と入力端子を接続し、出力端子から配線を介して出力テストパッド、入力端子から配線を介して入力テストパッドを形成するが、本発明によると、マスク上で入力テストパッドマスク25は入力端子配線マスクパターン25aに接続されておらず、複数の出力テストパッドマスク24の間に配置されている。
【0035】
図7において、マスクは、入力端子配線30と入力テストパッド28は隣接するパターン領域の位置ずれ以上に入力端子と入力テストパッドはX方向に長く、入力端子配線30と入力テストパッド28のオーパーラップ長27xはX方向のずれ量より長くなるように設計されている。Y方向においては、マスクずれ量は入力テストパッド幅27yより小さくなる規格なので同一パッド内に接続される。マスク工程において、隣接するTCPを連続して処理することで、入力端子配線30は隣接するTCPの処理時に入力テストパッド28とオーバーラップし、電気的接続ができるようにパッドと合成することができる。マスクは出力テストパッドと隣接する入力パッドを同時に露光することで入力テストパッド28と出力テストパッド29間の距離を最小にして形成でき、最小ピッチで配置することができる。以上のように、隣接するTCPの露光処理によって、入力テストパッド28と入力端子配線30を別々に露光し、それらが合成されることによって入力テストパッドを形成する。
【0036】
以下、図8,図9を用いて、テストパッドを隣接するTCPの露光時に合成して形成するTABテープの製造方法を説明する。
図8は本発明のTABテープの製造方法における合成して形成されたテストパッドを説明する図、図9は本発明のTABテープの検査構成を説明する図であり、TCP用TABテープパッケージ44をリール上で検査するときのリールの一部と検査装置に接続された検査用のプローブで検査している状態を模式した投射図である。
【0037】
図8において、入力テストパッド28と出力テストパッド29は並行して隣接している。テストパッドのマスクは実線で記載されている入力テストパッドの一部35と出力テストパッドの一部37が形成されるように構成され、端子の反対側には同様に入力テストパッドの一部34と出力テストパッドの一部36が形成されるように構成されている。入力テストパッド28は前記入力テストパッドの一部35と隣接するTCPをマスク露光するときにできる入力テストパッドの一部34を重ね合わせて形成される。
【0038】
また、同様に出力テストパッド29は出力テストパッドの一部37と隣接するTCPをマスク露光するときにできる出力テストパッドの一部36を重ね合わせて形成される。
図9において、TABテープに実装されたLSI45にLSI45の端子を介して入力端子配線46と出力端子配線47が接続されており、入力端子配線46は入力テストパッド28に接続され、出力端子配線47は出力テストパッド29に接続されている。検査用プローブには入力端子用プローブ53と出力端子用プローブ43で装備されている。
【0039】
この検査用プローブはTCP用TABパッケージのテストパッドに接触して検査を行う。出力端子プローブ43は出力テストパッド29に電気的に接触し、入力端子プローブ53は入力テストパッド28に電気的に接触して検査を行う。この検査用プローブを使った電気的検査はプローブをテープ面に押し当てて、プローブをテストパッド上ですべるようにすることで、テストパッド表面上の絶縁物である酸化膜をスクラブして、導電物でコンタクトすることができ、低接触抵抗で検査できる。
【0040】
図10を用いて本発明のTABテープにおける検査方法を説明する。
図10は本発明のTABテープにおける検査方法を説明する図であり、本発明でのTCP用TABテープのテストパッドと検査用プローブ位置を示す。
【0041】
図10において、テストパッドの配置は図8と同じであり、1チップのTCP用TABパッケージでみると入力パッドは入力テストパッドの一部34、35で、出力テストパッドは出力テストパッドの一部36,37で構成されている。また、TCP用TABパッケージの位置合わせ用の基準マークとなる33がある。検査用プローブにおいては入力端子プローブ53と出力端子プローブ43がある。検査時には、プローブとテストパッドが電気的接触するためにプローブに荷重をかけテストパッド上をすべるため、プローブは、プローブとTCP用TABテープとのコンタクト開始位置を39,40の破線円内から検査時のプローブとテストパッドのコンタクト開始位置を38、51の実線円内に移動する。本発明におけるテストパッドは隣接パターン領域のマスクとの位置合わせずれが発生する場合、図8のパッド図以外に、図10に示すような段差を持つパッドの構成になる。入力テストパッドの一部34と出力テストパッドの一部37と基準位置マーク33は同じマスクであるので、マスク重ね合わせに生じるずれはない。また、検査用プローブの入力端子の位置合わせは基準位置マーク33を認識して位置補正を行う。つまり、入力端子用プローブのコンタクト開始位置40と出力端子用プローブのコンタクト開始位置39においては、隣接パターン領域のマスク露光によりテストパッドに位置が決定するので位置ずれが生じる。しかし、電気検査を実行する際の入力端子用プローブのコンタクト位置38と出力端子用プローブのコンタクト位置51は、同じ露光工程で形成されるので、隣接チップのマスクずれの影響をうけずにコンタクトすることができることとなる。
【0042】
合成されるテストパッドは角をとった形状にすることが有効である。図11を用いて説明する。
図11は本発明の角をとったテストパッドの構成を示す図であり、図10のテストパッド一部の図面を示す。
【0043】
図11において、テストパッドは半分ずつ構成されており、本体のテストパッド48と隣あったパターン領域をマスクするときに生成するテストパッド49で構成される。二つのパッドが重なる辺は角をとっており、角部のX方向の長さはPCX,Y方向の長さはPCYである。
【0044】
マスクあわせ時のずれ量は二つのパッドの交点52を中心にX方向のずれ量はPCX以下、Y方向のずれ量はPCY以下になるように規格されているので、最大限にずれてもパッドは接続されることになる。パッドは通常、ずれがないときには図11に示すように角をとった半分の位置で重なり合う。前出の図10は、隣接パターン領域のマスク露光が隣接間において、X方向、Y方向に最大ずれが生じたときのパッドの配置を示している。パッド間の距離55,56は同一マスク露光工程で生成されるので、最小寸法の距離でマスクできる。パッド間距離57は隣接のマスクの距離であり、最大ずれたときでもパッド間コーナーを取ることで隣接マスクのずれがあっても最小ルールで配線することができる。
【0045】
次に検査装置のプローブ配置について、図12,図13,図14を用いて説明する。
図12はプローブカードのプローブとテストパッドの接続関係を示す図、図13はテストパッドに接触したときのプローブの針跡を示す図、図14は針跡の長さを例示する図である。
【0046】
図12において、テストパッド70a、70b、70c、70dは4行4列で一つの組をなして連続して配置している。70aは1行4列、70bは2行3列、70cは3行2列、70dは4行1列に配置されている。電気検査時に検査装置からテストパッドに接触するプローブ71a、71b、72c、70dは対応するテストパッド70a〜70dに接触する。プローブ71a〜71dはテストパッド70a〜70dに接触する針先より針元が太いため、針元は縦に積まれている。ここでは、プローブ71aはテストパッド70a、プローブ71bはテストパッド70c、プローブ71cはテストパッド70b、プローブ71dはテストパッド70dに接続されている例を示している。このテストパッドとプローブの接続の組み合わせは、各プローブとテストパッドが接触するときにプローブどうしが接触しないように最適化された順序である。
【0047】
図13はプローブ71a〜71dとテストパッド70a〜70dが接触した際のプローブの針跡を図示している。プローブ71aがテストパッド70aと接触した時の針跡はPd1、プローブ71bとテストパッド70cが接触した時の針跡はPd2、プローブ71cとテストパッド70bが接触した時の針跡はPd3、プローブ71dとテストパッド70dが接触した時の針跡はPd4である。
【0048】
テストパッドPd1〜Pd4の針跡長さは針元の立て積み高さの順に対応しており、針跡の長さの大小は図14に示すように、Pd1>Pd2>Pd3>Pd4となっている。テストパッドの長さを針跡長さに合わせて最適の長さにすることにより、テストパッドの面積を最小の面積で構成することができる。つまり、プローブの縦積みの順序に応じてテストパッドの長さを最適にすることができ、テストパッド領域の面積を最小にすることができるので、テストパッド領域を縮小化してテープキャリアパッケージ等の半導体パッケージの小型化を図ることができる。
【0049】
以上の説明では、テープキャリアパッケージ(TCP)を例として説明したが、チップオンフィルム等のその他の半導体パッケージについても同様に採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、半導体チップの向きを変えることなく、テストパッド領域を縮小化して半導体パッケージの小型化を図ることができ、半導体集積回路装置を搭載するテープキャリアパッケージやチップオンフィルム等の半導体パッケージに用いるTABテープおよびTABテープの製造方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のTABテープを示す構成図
【図2】本発明のTABテープにおけるテストパッド領域を説明するための要部拡大図
【図3】本発明のTABテープにおける1つのTCPを示す図
【図4】本発明のTABテープにおける4列6行のテストパッド領域を説明するための要部拡大図
【図5】従来のTABテープにおけるテストパッド領域を説明するための要部拡大図
【図6】本発明のTABテープ製造方法に用いるマスクを説明するための図
【図7】本発明のTABテープ製造方法により形成された入力テストパッドを示す図
【図8】本発明のTABテープの製造方法における合成して形成されたテストパッドを説明する図
【図9】本発明のTABテープの検査構成を説明する図
【図10】本発明のTABテープにおける検査方法を説明する図
【図11】本発明の角をとったテストパッドの構成を示す図
【図12】プローブカードのプローブとテストパッドの接続関係を示す図
【図13】テストパッドに接触したときのプローブの針跡を示す図
【図14】針跡の長さを例示する図
【図15】従来のテープキャリアにおける孔形成工程を示す図
【図16】従来のテープキャリアにおけるフォトレジスト塗布工程を示す図
【図17】従来のテープキャリアにおけるリード形成工程を示す図
【図18】従来のテープキャリアにおけるパッケージ工程を示す図
【図19】従来のテープキャリアを示す図
【図20】従来の省端子領域テープキャリアを示す図
【符号の説明】
【0052】
1 フィルム
2 スプロケット孔
3 デバイス孔
4 銅箔
6 リード
7 半導体チップ
8 製品領域
10 出力テストパッド
10a 出力テストパッド
10b 出力テストパッド
10c 出力テストパッド
10d 出力テストパッド
10e 出力テストパッド
10f 出力テストパッド
11 テープ
15 チップ実装領域
16 ウィンドウ
17 入力端子配線
18 出力端子配線
19 スプロケット孔
20 入力テストパッド
20a 入力テストパッド
21 グループ
22 配線幅
23 配線間距離
24 出力テストパッドマスクパターン
24a 出力端子配線マスクパターン
25 入力テストパッドマスクパターン
25a 入力端子配線マスクパターン
26 パッド間距離
27x オーパーラップ長
27y 入力テストパッド幅
28 入力テストパッド
29 出力テストパッド
30 入力端子配線
33 位置合わせマーク
34 入力テストパッドの一部
35 入力テストパッドの一部
36 出力テストパッドの一部
37 出力テストパッドの一部
38 コンタクト位置
39 コンタクト開始位置
40 コンタクト開始位置
40a 出力テストパッド
40b 出力テストパッド
40c 出力テストパッド
40d 出力テストパッド
41 テストパッド間距離
42 テストパッド間距離
43 出力端子プローブ
44 TCP用TABパッケージ
45 LSI
46 入力端子配線
47 出力端子配線
48 テストパッド
49 テストパッド
50 入力テストパッド
51 コンタクト位置
52 交点
53 入力端子プローブ
55 距離
56 距離
57 距離
60 入力端子配線
61 出力端子配線
62 出力端子配線
63 出力端子配線
64 出力端子配線
60Tp 入力テストパッド
61Tp 出力テストパッド
62Tp 出力テストパッド
63Tp 出力テストパッド
64Tp 出力テストパッド
65 半導体チップ
66 半導体チップ
67 入力テストパッド
68 入力テストパッド
70a テストパッド
70b テストパッド
70c テストパッド
70d テストパッド
71a プローブ
71b プローブ
71c プローブ
71d プローブ
ITPA1 入力テストパッド領域
ITPA3 入力テストパッド領域
OTPA1 出力テストパッド領域
OTPA2 出力テストパッド領域
PA1 パッケージ領域
PCX X方向の長さは
PCY Y方向の長さは
Pd1 針跡
Pd2 針跡
Pd3 針跡
Pd4 針跡
TPA1 出力テストパッド領域
TPA2 テストパッド領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの実装領域と、前記半導体チップの検査に用いる複数の出力テストパッドを前記半導体チップの実装領域の一方の側に隣接して設けた出力テストパッド領域と、前記半導体チップの検査に用いる1または複数の入力テストパッドを前記半導体チップの実装領域の他方の側に隣接して設けた入力テストパッド領域とを有するパターン領域が隣接して複数形成されることにより、複数の半導体パッケージが形成されるTABテープであって、
隣接する前記パターン領域同士の前記出力テストパッド領域と前記入力テストパッド領域に重なり領域を有し、前記重なり領域に隣接するパターン領域同士の前記出力テストパッドと前記入力テストパッドが混在することを特徴とするTABテープ。
【請求項2】
前記複数の出力テストパッドが一定の行列を成すように形成され、前記入力テストパッドが前記行列上に形成されることを特徴とする請求項1記載のTABテープ。
【請求項3】
前記半導体チップの検査に用いる複数の出力テストパッドと、
前記出力テストパッドに前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、
前記重なり領域に配置され隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる1または複数の入力テストパッドと、
隣接するパターン領域に形成された入力テストパッドに前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線と
を形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とするTABテープの製造方法。
【請求項4】
前記入力テストパッドのマスクパターンと前記入力端子配線のマスクパターンが前記入力テストパッドと前記入力端子配線を長くして互いに重なるようにしたマスクパターンであることを特徴とする請求項3記載のTABテープの製造方法。
【請求項5】
前記半導体チップの検査に用いる複数の第1の出力テストパッドを構成する一部分と、
前記第1の出力テストパッドを構成する一部分に前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、
前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる複数の第2の出力テストパッドを構成する一部分と、
前記重なり領域に配置され前記半導体チップの他方の側に隣接するパターン領域に形成され前記半導体チップの検査に用いる1または複数の第1の入力テストパッド一部分と、
前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の重なり領域に配置された1または複数の第2の入力テストパッドを構成する一部分と、
前記第2の入力テストパッドを構成する一部分に前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線と
を形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とするTABテープの製造方法。
【請求項6】
前記半導体チップの検査に用いる複数の第1の出力テストパッドを構成する半分と、
前記第1の出力テストパッドを構成する半分に前記半導体チップの対応する出力端子を接続する出力端子配線と、
前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の半導体チップの検査に用いる複数の第2の出力テストパッドを構成する半分と、
前記重なり領域に配置され前記半導体チップの他方の側に隣接するパターン領域に形成され前記半導体チップの検査に用いる1または複数の第1の入力テストパッド半分と、
前記半導体チップの一方の側に隣接するパターン領域の重なり領域に配置された1または複数の第2の入力テストパッドを構成する半分と、
前記第2の入力テストパッドを構成する半分に前記半導体チップの対応する入力端子を接続する入力端子配線と
を形成するマスクパターンを備えるマスクを用いて請求項1または請求項2のいずれかに記載のTABテープを製造することを特徴とするTABテープの製造方法。
【請求項7】
前記第1の出力テストパッドと前記第2の出力テストパッドの長さは、合成時にマスクが規格内の位置ずれを起こしても重なる部分を有する長さであり、前記第1の入力テストパッドと前記第2の入力テストパッドの長さは、合成時にマスクが規格内の位置ずれを起こしても重なる部分を有する長さであることを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載のTABテープの製造方法。
【請求項8】
前記テストパッドのマスクパターンの角がとれていることを特徴とする請求項7記載のTABテープの製造方法。
【請求項9】
前記テストパッドはテストパッドに接触するプローブの針跡の面積に対応してテストパッドの長さを決めることを特徴とする請求項2記載のTABテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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