説明

TAB分子

本発明はTAB分子及びTAG−72に対するADEPT構築物、並びにそれらを用いた治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTAB分子、TGA−72を誘導するADEPT構築物及びそれらの治療における関係する。
【背景技術】
【0002】
従来の非標的性治療物は循環系から消失するまで、自由に患者の体内を循環する。そのような非標的性分子は多くの細胞及び組織に無視できないほどの影響を与える。治療品が毒素である場合には、(例えば、「治療濃度域」である有効量と有害量と、又は致死量との差が小さいことを特徴とする化学療法薬において)、この問題は特に重要である。
【0003】
研究者たちは特定の組織に対して特異性を有する治療品を開発する試みを行って来た。標的に選択的に結合することにより大部分の標的はこの組織に提示される。病理組織を標的とすることで、例えば、治療濃度域が低められ副作用が減る。
【0004】
選択的結合は抗体を意図する酵素生産治療((ADEPT)、Xu et al., 2001, Clin Cancer Res. 7:3314−24.; Denny, 2001, Eur J Med Chem. 36:577−95参照)に用いられる。ADEPTにおいて、抗体又は抗体フラグメントは、不活性プロドラッグを活性細胞毒に転換する能力のある酵素に結合され、ADEPT抱合体を生成する。抱合体は患者に投与され、抗原/抗体結合により標的細胞に局在する。不活性プロドラッグは続けて投与される。そして前記プロドラッグは患者の体内を循環する。しかしながら、前記プロドラッグは、組織の周辺においてのみ抱合により活性化されるまで、失活しているので、副作用が起きない。従って、前記毒の治療濃度域は所望の部位において増加し、体内を循環する活性ドラッグの割合低くなるので、標的組織の周辺において相対的に高い濃度の活性ドラッグが生産される。
【0005】
ADEPTにおいて、プロパー抗原の選択は重要である(例えば、高い腫瘍/正常発現プロファイルを有する抗原)。特に興味の高い腫瘍抗原は、癌組織の細胞表面に顕著に見られる、TAG−72である。TAG−72は各種ヒトアデノカルシノマにおいて発現されるが、大部分の正常組織においても低い発現を示す、糖質エピトープである(Cao, Y., P. Stosiek, G. F. Springer and U. Karsten (1996) Histochem Cell Biol 106, 197−207, Thomsen−Friedenreich−related carbohydrate antigens in normal adult human tissues: a systematic and comparative study)。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明はTAB分子、TAG−72を誘導するADEPT構築物及びそれらを用いた治療、特にプロドラッグを用いた治療に関する。本発明の分子は好ましくは最小化されておらず、免疫反応を誘発せず、高い収率で生産ことができる。第一の側面において、前記TAB分子は抗体/酵素抱合体を含む。好ましい態様において前記TAB分子はscFvを含み、前記scFvは未修飾のアミノ酸配列を含む。前記アミノ酸配列は、配列番号2で定義される配列を含む。好ましい態様において、前記TAB分子は配列番号2で定義されたアミノ酸配列を修飾したアミノ酸配列を有する。前記修飾は、h8、h57、h62、h80、l5、l53、l79及びl105からなる群より選択される少なくとも1つの位置を含む。各位置の前にある「h」及び「l」はそれぞれ重鎖及び軽鎖を示す。ここにおいて、ナンバリングはガバットシステム(Kabad system)に基づく配列番号2で定義されたscFvに基づくものである(例えば、Wu、T.T.及びE.A.Kabat(1970)J.Exp.Med.132、211−250参照)。好ましい態様において、前記TAB分子はh80、l5、l53、及びl79の位置において修飾されている。好ましい態様において、前記TAB分子はhV80L、lS5T、lA53T、及びlK79Eにおける修飾を有する。好ましい態様において、前記TAB分子はTAB2.4、TAB2.5、又はTAB2.8分子を含む。前記TAB2.4、TAB2.5又はTAB2.8分子は配列番号2、配列番号20、又は配列番号22をそれぞれ含む。
【0007】
好ましい態様において、前記TAB分子は更に酵素を含む。好ましい態様において、前記酵素はBLAを含む。
【0008】
好ましい態様において、前記TAB分子は完全長の抗体/酵素TAB抱合体を含み、前記scFvは修飾されたアミノ酸配列を有する。前記アミノ酸配列は配列番号6、配列番号8、又は配列番号12で定義される配列を含む。好ましい態様において前記TAB分子は配列番号8で定義されたアミノ酸配列を修飾したアミノ酸配列を有し、前記修飾は、h8、h57、h62、h80、l5、l53、l79及びl105からなる群より選択される少なくとも1つの位置を含む。各位置の前にある「h」及び「l」はそれぞれ重鎖及び軽鎖を示す。ここにおいて、ナンバリングはガバットシステム(Kabad system)に基づく配列番号2で定義されたscFvに基づく(例えば、Wu、T.T.及びE.A.Kabat(1970)J.Exp.Med.132、211−250参照)。好ましい態様において、前記TAB分子はh80、l5、l53、及びl79の位置において修飾されている。好ましい態様において、前記TAB分子はhV80L、lS5T、lA53T、及びlK79Eにおける修飾を有する。好ましい態様において、前記TAB分子はTAB2.4、TAB2.5又はTAB2.8分子を含む。前記TAB2.4、TAB2.5又はTAB2.8分子は配列番号8、配列番号10、又は配列番号16をそれぞれ含む。
【0009】
好ましい態様において、前記分子は配列番号12を有するTAB2.6を含む。好ましい態様において、前記分子はクローンME374.4、ME375.18、ME374.31、ME374.63、ME374.73、又はME375.69を含む。
【0010】
第二の側面において、本発明は本明細書において提供される態様のほかに、第一の側面おけるいずれかの態様で定義されたTAB抱合体をコードする核酸に関する。好ましい態様において、前記分子は配列番号7、配列番号9、配列番号11、又は配列番号13のうちの一つを含む核酸である。
【0011】
第三の側面において、本発明はTAB分子及びTAB分子の基質となるプロドラッグを必要とする個体に投与する工程を含む個体を処理する方法に関する。第四の側面において、本発明はTAB分子を含む医薬品組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
違った方法で定義しない限り、全ての技術用語及び科学的用語は本発明の属する分野における当業者により理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において説明された任意の方法及び物質と同等のものは本発明の実施及び試験に用いることができるが、本明細書においては、好ましい方法及び物質を説明する。本発明において以下で説明する以下の用語用いられる。
【0013】
本明細書において、「抱合体」の語は所望の抗原に選択的に結合するADEPT分子を意味する。抱合体の例は本明細書で説明するように、所望の酵素、例えばBLA、に結合する抗原又は抗体である。
【0014】
本明細書において、「抗原」の語は、抗体(エピトープとも言う場合がある)により認識される化学構造を意味する。特に意図されるものは腫瘍関連抗原(TAAとも言われる)である。
【0015】
本明細書において、「標的」の語は、細胞、組織、器官、癌細胞、又は癌組織の群を意味する。その意味で、標的は例えば、本明細書で説明するように、体の中にある化合物を届けたい領域を意味する。
【0016】
「TAB」分子はTAG−72抗原(「TAG−72」)に結合する抱合体を意味する。TAB分子は未修飾の配列又は修飾された配列を有する。前記未修飾配列は配列番号2で定義されるアミノ酸配列を含む。未修飾又は修飾された配列はBLAを含んでいてもよい。
【0017】
本明細書において、「未修飾」配列はscFv又は抱合体全体のいずれかを含む修飾されていない配列を意味する。
【0018】
「修飾」は上で定義された未修飾配列の少なくとも1つの変異を含む配列を意味する。位置の番号付けは本明細書で説明する特定の態様において示す。例えば、scFvに関する相対的な位置番号は上で説明した配列番号2を参照して行う。同様に、例えば、完全抱合体に関する本明細書における相対的位置番号はしばしば配列番号8を参照して行われる。抗体又は抗体フラグメントにおける相対的アミノ酸位置又は変異位置の相対的位置はカバットナンバリングシステム(Kabat numbering system)において説明されている(Wu, T.T. and Kabat, E.A. (1970) Biochem J 250, 753−760., Sequence and comparative analysis of three Enterobacter cloacae amp−C beta−lactamase genes and their products)。
【0019】
本明細書において、「BLA」はラクタム又はセファロスポリン構造を切断することができるタンパク質を意味する。意図するものはラクタム又はセファロスポリン構造を含むプロドラッグを活性化することができるBLAである。意図するものは、例えば、エンテロバクタークロアカ(Enterobacter cloacae)からのBLA及びその相同物(例えば、 Galleni, M., Lindberg, F., Normark S., Cole. S., Honore, N., Joris, B. and Frere, J.M. (1988),Sequence and comparative analysis of three Enterobacter cloacae ampC beta−lactamase genes and their products. Biochem J. 250, 753−760参照)、並びにTEM-4ラクタマーゼ(Sirot, D. (1995) Extended−spectrum plasmid−mediated beta−lactamases)及びTEM-4に相同な酵素である。
【0020】
BLAは癌の医薬品に用いられている、ドキソルビシン(doxorubicin) (Vrudhula, V. M., H. P. Svensson and P. D. Senter (1995) J Med Chem 38, 1380−5, Cephalosporin derivatives of doxorubicin as prodrugs for activation by monoclonal antibody−beta−lactamase conjugates)、ビンブラスチン(vinblastin) (Meyer, D. L., L. N. Jungheim, K. L. Law, S. D. Mikolajczyk, T. A. Shepherd, D. G. Mackensen, S. L. Briggs and J. J. Starling (1993) Cancer Res 53, 3956−63, Site−specific prodrug activation by antibody−beta−lactamase conjugates: regression and long−term growth inhibition of human colon carcinoma xenograft models)、パクリタキセル(paclitaxel) (Vrudhula, V. M., D. E. Kerr, N. O. Siemers, G. M. Dubowchik and P. D. Senter (2003) Bioorg Med Chem Lett 13, 539−42, Cephalosporin prodrugs of paclitaxel for immunologically specific activation by L−49−sFv−beta−Lactamase fusion protein)、及びメルファラン(melphalan) (Vrudhula, V. M., P. D. Senter, K. J. Fischer and P. M. Wallace (1993) J Med Chem 36, 919−23, Prodrugs of doxorubicin and melphalan and their activation by a monoclonal antibody−penicillin−Gamidase conjugate)等を放出する各種プロドラッグを活性化すると報告されている。
【0021】
「結合部分」はADEPT構築体、例えば、標的に結合するTAB分子の一部である。本発明において、TAB分子の結合部分はTAG72に結合する。結合部分はTAB分子の連続又は非連続のいずれかの1つ以上の領域を含む。
【0022】
「活性部分」の語は、AEDPT構築体、例えば、薬品(agent)に機能性を付与するTAB分子、の一部である。活性部分は、例えばTAB分子の、連続又は非連続のいずれかの1つ以上の領域を含む。特に、活性部分はβ−ラクタマーゼ(beta−lactamase)等の酵素でもよい。
【0023】
「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養」の語は、互換的に使用するとこができ、子孫全体を含む。全ての子孫は故意の、または偶然の突然変異のためDNA内容の点で全く同一でないかもしれない。形質転換された細胞をスクリーニングしたときに同じ機能を有する変異子孫は子孫又は形質転換体の定義に含まれる。この細胞は原核細胞でもよいし、真核細胞でもよい。
【0024】
「オリゴヌクレオチド」の語は、2つ以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む分子であると定義される。正確なサイズは、多くの因子、言いかえれば、最終的な機能、又はそのオリゴヌクレオチドの用途に依存している。オリゴヌクレオチドは多くの好適な方法、例えば、クローニング、及び好適な配列の制限消化、及びNarang et al., 1979, Meth. Enzymol.68:90−99のフォスフォトリエステル法;Brown et al., 1979, Meth. Enzymol. 68:109−151のフォスフォジエステル法;Beaucage et al., 1981, Tetrahedron Lett. 22:1859−1862のジエチルフォスフォアミド法等による直接的な合成、及びU.S. Pat. No. 4,458,066の固体担持法により調製することができる。これらの文献を参照により本明細書に援用する。合成法に関する文献はGoodchild, 1990, Bioconjugate Chemistry 1(3):165−187Aであり、参照により本明細書に援用する。
【0025】
本明細書で用いる「プライマー」の語はプライマー伸長生成物の合成が誘発されるような条件下において当該合成を開始させる働きをするオリゴヌクレオチドについて用いられる。核酸ストランドに相補的なプライマー伸張生成物の合成は好適温度において好適な緩衝液中に必要とされる4つの異なるヌクレオシド三リン酸及びDNAポリメラーゼの存在下において開始される。
【0026】
「緩衝液」は緩衝液、(2価の金属イオン等の)共同因子及び(好適なイオン強度を提供するための)塩を含み、所望のpHに調整される。
【0027】
遺伝子配列の非コードストランド(非コードストランドの続きも同様に)にハイブリダイズするプライマーは本明細書において「上流」又は「前方向」プライマーと言う。遺伝子配列のコードストランドにハイブリダイズするプライマーは「下流」又は「後方向」プライマーと言う。
【0028】
「タンパク質」の語は本明細書において「ペプチド」及び「ポリペプチド」と互換的に使用され、ペプチド結合により結合している2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を意味する。似た側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが本分野において定義されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、アスパラギン, グルタミン, セリン, ストランドニン, チロシン)、非極性側鎖(例えば、アラニン, バリン, ロイシン, イソロイシン, プロリン, フェニルアラニン, メチオニン, トリプトファン, システイン, グリシン)、ベータ分岐側鎖(例えば、ストランドレオニン、バリン、イソロイシン)、及び 芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。標準的なアミノ酸の3文字表記又は1文字表記が本明細書において用いられる。等しい置換体も特許請求の範囲に含まれる。
【0029】
本発明のペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、1つ以上の非分類的なアミノ酸を含むことができる。非分類的アミノ酸は、通常のアミノ酸のD−異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸(4−Abu)、2−アミノ酪酸(2−Abu)、6−アミノヘキサン酸(Ahx)、2−アミノイソ酪酸(2−Aib)、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロアミノ酸、β−メチルアミノ酸、Ca−メチルアミノ酸、及びNa−メチルアミノ酸等のデザイナ−アミノ酸、並びに一般的なアミノ酸アナログを含むがこれらに限定されない。
【0030】
「Ab」又は「抗体」の語はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体(MAb)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、免役グロブリン又は標的抗原に結合する抗体の抗体又は機能フラグメントを意味する。そのような機能を有するものの例は、完全抗体分子、Fv、一本鎖Fv、相補性決定領域(CDRs)、V(軽鎖可変領域)、V(重鎖可変領域)等の抗体フラグメント、並びにこれらの又は標的抗原に結合することができる免役グロブリンペプチドの他の機能部分の組合せを含む。これらのうちの特定の順所について本明細書において説明するが、列挙した全てのオーダーが本発明の範囲内である。例えば、TAB2.5構築体はvH−(GGGGS)−vLのオーダーを有するが、この例は非限定的である。vL及びvHの全てのオーダーは特許請求の範囲である。
【0031】
本明細書において、「リンカー」の語は、TAB分子の2つのフラグメントに結合するアミノ酸の配列を意味する。このフラグメントは本明細書で説明するように、あらゆる順序で結合することができる。リンカーの長さは変化する。本明細書においてはリンカーの長さは30アミノ酸である必要はない。これ以外の長さのリンカーも本発明の範囲内である(例えば、TAB2.4分子は15アミノ酸のリンカー長を有し、TAB2.5及びTAB2.8は30アミノ酸のリンカー長を有する)。
【0032】
本明細書において、「リンカー構造」の語は2つのドラッグ部分を結合する構造を意味する。プロドラッグに関して言えば、例えば、リンカーは活性部分と非活性部分とを結合する。前記非活性部分は酵素を用いて、又は自然に除去される(例えば、不活性部分の切断又は除去について(例えば、Papot, S. Tranoy, I. Tillequin, Florent, J.C., Gesson, J.P. (2002) Design of selectively activated anticancer prodrugs: elimination and cyclization strategies Curr.Med.Chem. Anti−Cane Agents 2, 155−185参照)。
【0033】
「プロドラッグ」の語は、1つ以上の酵素的触媒作用、又は生理学的触媒作用を介して高い薬物的活性を有する活性化合物へ転換される化合物を意味する。プロドラッグはプロパート(propart)又は非活性部分、並びに活性ドラッグ部分又は検出部分を含む。任意に、プロドラッグはリンカー構造を含んでいてもよい。例えば、プロドラッグは酵素により切断されて活性ドラッグを放出する。代替的に、酵素は、例えば、診断において用いられる検出部分を放出するために変更することができる。より具体的な態様において、標的酵素を用いてプロドラッグを切断して、活性ドラッグを標的酵素への標的結合の周辺に放出する。「プロ−パート(Pro−part)」及び「不活性部分」はプロドラッグが転換された後の不活性部分を意味する。
【0034】
本明細書において、「GC−Mel」は、例えば、Senter et al., United States patent No.5,773,435に記載の、プロドラッグ、グルタリル−セファロスポリンメルファラン(glutaryl−cephalosporin−melphalan)を意味する。前記文献及び図表を参照により本明細書に援用する。
【0035】
本明細書において、「Mel」はメルファラン(Melphalan)を意味する。Melの構造は当該分野において良く知られており、United States patent No.5,773,435に記載されている。本文献及び図表を参照により本明細書に援用する。
【0036】
プロドラッグはドキソルビシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、デュオカルマイシン、カンプトセシン、アルキル化剤、トポイソメラーゼ、インヒビター、白金化合物、及び他の薬物を含む各種を放出できるように設計することができる。特に好ましいものはラクタマーゼにより活性化することができるものである(例えば、Senter, P.D., and Springer, CJ. (2001) Selective activation of anticancer prodrugs by monoclonal antibody−enzyme conjugates Adv Drug Deliv Res 53, 247−264参照)。各種酵素により活性化されうる他のプロドラッグの例も知られている(Bagshawe, K.D., Sharma, S.K., Burke, PJ., Melton, R.G. and Knox, J. (1999) Developments with targeted enzymes in cancer therapy; also see, Niculescu−Duvaz, I., Friedlos, D., Niculescu−Duvez, D., Davies L. and Springer, CJ. (1999) Prodrugs for antibody−and gene-directed enzyme prodrug therapies (ADEPT and GDEPT) Anticancer Drug Des 14, 517−538参照)。
【0037】
本明細書において、「医薬品上利用可能な担体」の語は医薬品の投与において好適な、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コート、抗菌性及び抗真菌性試薬、等圧及び吸収遅延剤等を含むことを意図する。そのような媒体及び試薬を医薬品として活性を有する基質に適用することは当分野において知られている。
【0038】
本明細書において、「投与間隔」の語は、タンパク質の投与及びこれに続くプロドラッグの投与の間の間隔を意味する。
【0039】
「配列相同性%」の語は、「相同性%」、「配列同一性%」及び「同一性%」と互換的に用いられる。配列アラインメントプログラムを用いて、2つ以上のペプチド配列の間のアミノ酸配列の同一性のレベルを意味する。例えば、本明細書において用いる80%の相同性は、所定のアルゴリズムにより80%の同一性があると決定されたものを意味し、従って所与の配列の相同性が所与の配列の長さ全体に渡って80%より大きい同一性を有することを意味する。配列相同性の例示的なレベルは、所与の配列に対して60、70、80、85、90、95、98又は99%、あるいはこれ以上の同一性を含むがこれらに限定されない。
【0040】
2つの配列の間の相同性を決定するのに用いることができるコンピュータープログラムの例は、当業者に良く知られている一連のBLASTプログラム、例えば、BLASTN, BLASTX, 及び TBLASTX, BLASTP、及びTBLASTNを含むがこれらに限定されない。Altschul et al., 1990, J. MoI. Biol. 215: 403−10及びAltschul et al., 1997, Nucleic Acids Res., 25:3389−3402も参照のこと。配列検索は、通常、ジェンバンク(GenBank)タンパク質配列及び他の公知のデータベース中のアミノ酸配列に対して所与のアミノ酸配列を評価する BLASTプログラムを用いて行うことができる。前記BLASTXプログラムは、ジェンバンク(GenBank)タンパク質配列及び他の公知のデータベース中のアミノ酸配列に対して全てのリーディングフレームが置換されているアミノ酸配列の検索に好適である。BLASTP及びBLASTXは、11.0のオープンギャップペナルティー(open gap penalty)及び1.0の伸長ギャップペナルティー(extended gap penalty)の規定パラメータ及びBLOSUM−62マトリックスを用いて行われる。Altschul, et al.,1997参照。
【0041】
2つ以上の配列の間の「%相同性」を決定するために用いる好適なアラインメントの例は、タ10のオープンギャップペナルティー(open gap penalty)、0.1の伸長ギャップペナルティー(extended gap penalty)の規定パラメータを含み、BLOSUM30類似マトリックスを用いて操作するMacVector version 6.5のCLUSTAL−Wプログラムである。
【0042】
本発明はTAB分子、TAG−72結合するADEPT構築物、及びそれらの治療、特に本明細書で述べるプロドラッグを用いた治療に関係する。本発明の分子は好ましくは脱免疫され、免疫反応を誘発しない。
【0043】
第一の側面において、前記TAB分子は抗体/酵素抱合体を含む。好ましい態様において、前記TAB分子はscFvを含み、前記scFvは未修飾アミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列は配列番号2で定義されるアミノ酸配列を含む。好ましい態様において、前記TAB分子は、配列番号2で定義されるアミノ酸配列を修飾したアミノ酸配列を有する。前記修飾は、h8、h57、h62、h80、l5、l53、l79及びl105からなる群より選択される少なくとも1つの位置を含み、各位置番号の前の「h」及び「l」は、それぞれ重鎖及び軽鎖を意味する。配列番号2で定義されるscFvのついての番号付けは、カバットシステム(Kabat system) (例えば、Wu, T. T. and E. A. Kabat (1970) J. Exp. Med. 132, 211−250参照)に基づいている。好ましい態様において、TAB分子はh8、l5、l53、及びl79の位置で修飾されている。好ましい態様において、前記TAB分子は、hV80L、lS5T、lA53T及びlK79Eの修飾を有する。好ましい態様において、前記TAB分子はTAB2.4、TAB2.5、又はTAB2.8分子を含む。前記 TAB2.4、TAB2.5、又はTAB2.8分子はそれぞれ、配列番号2、配列番号20、又は配列番号22を含む。
【0044】
好ましい態様において、前記TAB分子は酵素を更に含む。好ましい態様において、前記酵素はBLAを含む。好ましい態様において、前記BLAはTEM−4を含む。
【0045】
好ましい態様において、前記TAB分子は完全長抗体/酵素TAB抱合体を含み、前記scFvは未修飾アミノ酸配列を有する。前記アミノ酸配列は、配列番号2で定義される配列を含む。好ましい態様において、前記TAB分子は配列番号8で定義されるアミノ酸配列を修飾したアミノ酸配列を有する。前記修飾は、h8、h57、h62、h80、l5、l53、l79、及びl105からなる群より選択される少なくとも1つの位置を含む。各位置番号の前の「h」及び「l」は、それぞれ重鎖及び軽鎖を意味する。配列番号2で定義されるscFvのついての番号付けは、前記カバットシステム(Kabat System)(基づいている。好ましい態様において、前記TAB分子はh80、l5、l53及びl79の位置において修飾される。好ましい態様においいて、前記TAB分子はhV80L、lS5T、lA53T及びlK79Eにおける修飾を有する。好ましい態様においいて、前記TAB分子はTAB2.4、TAB2.5又はTAB2.8分子を含む。前記TAB2.4、TAB2.5、又はTAB2.8分子はそれぞれ、配列番号2、配列番号20、又は配列番号22を含む。
【0046】
好ましい態様において、前記分子は配列番号12を有するTAB2.6を含む。好ましい態様において、前記分子はクローンME374.4、ME375.18、ME374.31、ME374.63、ME374.73又はME375.69を含む。
【0047】
他の態様において、前記TAB分子は、2002年6月12日に提出されたWO US03/18200に記載の環境依存標的因子(milieu−dependent targeted agent)である。前記文献を参照により本明細書に援用する。
本発明のTAB分子は標的及び非標的の間の異なる環境下において非標的と比較して標的に選択的に結合する。この結合の違いは、例えば標的及び非標的の間の、pH、酸素分圧、溶質又は検体(例えば、酪酸、糖、又は他の有機及び無機分子)の濃度、温度、光又はイオン強度における違いに起因している。本発明のTAB分子の選択的な結合は、一連の所望の条件下における標的の結合、in vitro、ex vivo、in situ、又はin vivo(例えば、個体の標的組織)での標的の確認、標的細胞又は組織を殺す、又はプロドラッグを標的組織において又はその近くで活性ドラッグに転換することに用いることができる。
【0048】
1つの態様において、前記TAB分子は例えば、2002年、6月12日に提出された国際公開公報US03/18187に記載のような任意の抗体の親和性を増強させる方法を用いて、選択、作成、又は修飾される。前記文献を参照により本明細書に援用する。
【0049】
他の態様において、前記TABは、例えば、2002年、6月12日に提出された米国特許出願係属番号10/170,387に記載のループ移植法を用いて選択、作成、又は修飾される。前記文献を参照により本明細書に援用する。
【0050】
他の態様において、前記TABは例えば、2002年、6月12日に提出された米国特許出願係属番号10/170,729に記載されているような、多機能ポリペプチドである。前記文献を参照により本明細書に援用する。
【0051】
他の態様において、本発明のTAB分子は、当該分野において良く知られている方法だけでなく、例えば、U. S. Patent No.4,975,278に記載の診断又は治療用製品に用いられる。前記特許を参照により本明細書に援用する。前記活性部分は活性を有する任意の分子又は分子の一部分でよい。前記活性は任意の活性でよい。活性部分が有する活性タイプの例は、例えば、検出活性、酵素活性、治療活性、診断活性、毒活性、又は結合活性を含む。前記活性部分は、TAB分子の個別部品であり、例えば、結合部分に融合又は抱合する酵素であることができ、あるいは、前記活性部分はTABの切断不可能な部分であり、例えば、標的にTABが結合したものであって、標的の活性を促進又は抑制する。
【0052】
他の態様において、前記活性部分は酵素活性を有しており、酵素又は活性フラグメント又は酵素の誘導体である。特に好ましい活性部分は、治療において、プロドラッグを活性化するために用いることができる酵素である。触媒作用を有する多くの酵素がプロドラッグを活性化するために用いられている。例えば、Melton & Knox Enzyme−prodrug strategies for cancer therapy (1999)及びBagshawe et al., Curr Opin Immunol 11:579 (1999)を参照。本発明の発明のTABを構築するのに用いることができる酵素の例は、プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、β−ラクタマーゼ、アスアラギナーゼ、オキシダーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、アルドーラーゼ、フォスファターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ヌクレオチダーゼ、ラッカーゼ、リダクターゼ等を含む(例えば、 参照により本明細書に援用される2001年9月12日に提出された米国係属出願No. 09/954,385参照)。そのようなものとして、本発明のTABは、例えば、プロテアーゼ活性、カルボキシペプチダーゼ活性、β−ラクタマーゼ活性、アスアラギナーゼ活性、オキシダーゼ活性、ヒドロラーゼ活性、リアーゼ活性、リパーゼ活性、セルラーゼ活性、アミラーゼ活性、アルドーラーゼ活性、フォスファターゼ活性、キナーゼ活性、トランスフェラーゼ活性、ポリメラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、ヌクレオチダーゼ活性、ラッカーゼ活性、リダクターゼ活性等を有する。用いることができる酵素の例は、以下で説明するプロドラッグを活性化することができるものであり、例えば、グルコースから過酸化水素の生成で例示されるような代謝物から毒物を生成することができるものである。Christofidou−Solomidou et al., 2000, Am J Physiol Lung Cell MoI Physiol 278:L794参照。
【0053】
1つの態様において、本発明はβ−ラクタマーゼ (「BLA」)を更に含むTABを提供する。例示的なBLA配列を図1に示す。
【0054】
BLA酵素はグラム陽性及びグラム陰性バクテリアの両方において幅広く分布している。BLA配列は既知の配列である。BLA配列の代表的な例は配列番号4である。BLA酵素の特異性は様々であるが、共通してβ−ラクタマーゼを加水分解して置換されたβ−アミノ酸を生成する。従って、それらはβ−ラクタムを含む抗生物質に耐性を付与する。BLA酵素は哺乳動物内には本来存在するものではないので、インヒビター、酵素基質、又は内性酵素システム(プロテアーゼ以外のもの)から最小抑制を受ける。このことにより、BLA酵素は治療投与に好適なものになる。BLA酵素は、サイズが小さく(E.クロナーゼ由来のBLAは39kDのモノマーであり、E.coli由来のBLAは30kDのモノマーである。)それらの基質に対して高い活性を有しており、37℃において最適な活性を示すことから、本発明の治療方法に更に好適である。Melton et al., Enzyme−Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)参照。
【0055】
本発明のTABの生成に用いることができるBLAの例は、クラスA、B、C、又はDβ−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ、(Benito et al., FEMS Microbiol. Lett. 123:107 (1994)参照)、フィブロネクチン(fibronectin)、グルコースオキシダーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(Napolitano et al., Chem. Biol 3:359 (1996)参照)、及び組織プラスミノーゲンアクティベーター(tissue plasminogen activator)(Smith et al., J. Biol. Chem. 270:30486 (1995))を含むがこれらに限定されない。β−ラクタマーゼはそれらの配列に基づいて4つのクラスに分類される。Thomson et al., 2000, Microbes and Infection 2:1225−35参照。セリンβ−ラクタマーゼはA(ペニシリナーゼ)、C(セファロスポリナーゼ)、及びD(オキサシリナーゼ)を含む。クラスBβ−ラクタマーゼは亜鉛含有又は金属β−ラクタマーゼである。あらゆるクラスのBLAは本発明のTABを生成するために用いることができる。
【0056】
1つの態様において、前記BLAは測定可能な特異的活性を有する。1つの態様において、前記BLAはUnited States Patent Application Serial Number 10/022,097に開示されているアッセイを用いて測定したときに、ニトロセフィン(nitrocefin)に対して約0.01U/pmolより大きい活性を有する。他の態様において、特異活性は約0.1U/pmolより大きい。他の態様において、前記特異活性は約1U/pmolより大きい。これらの特異活性は標的に結合している場合のBLAの特異活性を意味する。
【0057】
1つの態様において、前記TABの中のBAL酵素は、配列番号4で定義されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、前記TABの中のBAL酵素は、配列番号4に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%あるいはこれより大きい配列相同性を有する。
【0058】
TAB又は1つ以上の結合部分により結合される標的は、TAG−72に結合するために生成される分子に対する任意の基質又は組成物であることができる。1つの態様において、標的は表面である。1つの態様において、前記表面は生物学的表面である。他の態様において、前記生物学的表面は器官の表面である。他の態様において前記生物学的表面は組織の表面である。他の態様において、前記生物学的表面は、細胞の表面である。他の態様において、前記生物学的表面は病気の器官、組織又は細胞の表面である。他の態様において、前記生物学的表面は正常又は健常な器官、組織、又は細胞の表面である。他の態様において、前記表面は組織の間質腔にある高分子である。他の態様において、前記生物学的表面はウイスル又は病原体の表面である。他の態様において、前記表面は非生物表面である。他の態様において、前記非生物表面は医療機器の表面である。他の態様において、前記医療機器は治療用機器である。他の態様において、前記治療用機器は移植された医療器具である。他の態様において、前記医療器具は診断器具である。他の態様において、前記診断器具はウェル又はトレイである。
【0059】
組織は複合標的であり、単一の細胞タイプ、複数の細胞タイプの集合、又は特定の種類の細胞の集合体である。組織は未修飾でも修飾されていてもよい。ヒトにおいて、組織は、通常、表皮組織、結合組織、神経組織、及び筋肉組成物を含むがこれらに限定されないクラスに分類される。
【0060】
他の態様において、前記標的は抗原TAG−72を発現する、又は標的自体に結合するTAG−72を有する、又は標的の近辺に位置するTAG−72を有する癌に関係する標的である。前記癌に関係する標的は、本発明の組成物が、例えば、癌細胞、癌組織、又は癌器官、癌細胞、癌組織、又は癌器官に関係する分子、あるいは、癌細胞、癌組織、又は癌器官に関係する分子、細胞、組織、又は器官(例えば、癌結合診断、個体に投与される治療分子、又は個体又は癌組織に関係する脈管構造等の健常組織からの生検)の診断、検出、又は処理の一部として、結合する、任意の標的である。
【0061】
第二の側面において、本発明は本明細書において提供されるものの他に、前述の第一の側面において定義されたTAB抱合体をコードする核酸に関する。好ましい態様において、前記核酸は配列番号7、配列番号9、配列番号15、又は配列番号11の配列の少なくとも1つを含む。好ましい態様においいて、前記核酸は配列番号13を含む。
【0062】
前記核酸は、例えば、DNA又はRNAでもよい。本発明はTABの全部又は一部を含むポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミドも提供する。前記プラスミドは、例えば、宿主細胞、器官、又はin vitroにおいて前記ポリペプチドを発現させる発現プラスミドである。前記発現ベクターは、例えば、バクテリア細胞の中で前記ポリペプチドを発現させることができる。前記バクテリア細胞は、例えば、バクテリア細胞内においてポリペプチドを発現させることができる。前記バクテリア細胞は、例えば、大腸菌(E.coli)細胞である。
【0063】
遺伝子コードにおける冗長性のため、一般に、多くのDNA配列が所与のアミノ酸シーケンスをコードするので、この意味において等しいと言える。以下でのべるように、発現ベクターが挿入される宿主細胞に好適なコドンに基づいて、発現ベクターに用いる1つ又の等しいDNA配列を選択することが望ましい。本発明は所望のTABをコードする全てのDNA配列を包含することを意図する。
【0064】
作動可能な発現クローンが用いられ、発現ベクター内の好適な調節配列に作動可能に結合するコード配列に置き換えることにより構築される。前記ベクターは宿主細胞内で独立して複製するように設計されているか、又は宿主細胞の染色体DNAに組み込まれるように設計されている。得られたクローンは好適な宿主細胞を形質転換するために用いられ、形質転換された宿主細胞はコード配列を発現させるために好適な条件下で培養される。発現されたTABは培地又は細胞から単離され、場合により、回収及び精製を行う。
【0065】
コード配列及び好適な制御配列を含む好適なクローンの構築は、この分野においてよく知られている標準的なリゲーション、及び制限技術を用いる。通常、単離されたプラスミド、DNA配列、又は合成されたオリゴヌクレオチドが切断され、修飾され、好適な形態に結合される。好適な制限部位は、もし通常利用可能でないならば、発現クローンの構築を促進するためにコード配列の末端に付加することができる。部位−特異的DNA切断は、通常当該分野において知られている又は市販の制限酵素の製造元により特定されている条件下において、好適な制限酵素(又は酵素)を用いて処理することにより行う。例えば、アマシャム(Arlington Heights,IL)、ロシュ モレキュラー バイオケミカルズ(Indianapolis,IN)及びニューイングランドバイオラボ(Beverly,MA)の製品カタログを参照のこと。所定の酵素に対する好適な温度において、約1乃至2時間のインキュベーション時間が通常用いられる。各インキュベーションの後、フェノール及びクロロホルムを用いた抽出によりタンパク質を除去する。この抽出の後に、エタノールを用いた沈降反応により水性分画からDNAを抽出及び回収する。必要な場合には、機知の技術を用いてポリアクリルアミドゲル又はアガロースゲル電気泳動を行い、切断されたフラグメントのサイズ分離を行う。例えば、Maxam et al., 1980, Methods in Enzymology 65:499−560を参照。
【0066】
リゲーションは、例えば、15乃至30μL容量において、以下の標準的な条件及び温度において行うことができる;20mM Tris−Cl、pH7.5、10mM MgCl、10mM DTT、33μg/ml BSA、10−50mM NaCl、及び0℃において、40μM ATPと0.01−0.02(Weiss)単位のT4DNAリガーゼ(フラグメントのリゲーションのために相補的な一本鎖末端を用いる)、あるいは、14℃において1mM ATP 及び0.3乃至0.6単位のT4DNAリガーゼ(ブルントエンド(blunt endリゲーション)のいずれかを用いる。相補的末端を用いたフラグメントの細胞内リゲーションは通常、33−100μg/mlの総DNA濃度(5−100nMの総末端濃度)において行われる。細胞内ブルントエンドリゲーション(通常、20−30リンカーの20−30倍のモル濃度を用いる)は1μMの最終濃度で行われる。
【0067】
プラスミドの構築のためリゲーションの正確さは当該分野においてよく知られている好適な方法を用いて確認することができる。例えば、プラスミド構築におけるリゲーションの正確さはリゲーション混合物をもちいて、E.coli株DG101(ATCC 47043)又はE.coli株DG116(ATCC 53606)等の好適な宿主細胞の第一形質転換により確認することができる。形質転換が成功したかどうかは、アンピシリン、テトラサイクリン等の抗生物質耐性、あるいは感受性による選択、あるいは、当該分野において知られているプラスミド構築のモードに依存している他のマーカーを用いた選択により確認される。形質転換体由来のプラスミドはClewell et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 62:1159に記載の方法により調製され、任意でその後にクロラムフェニコール増幅を行う。Clewell, 1972, J. Bacteriol. 110:667参照。代替的に、プラスミドDNAは、「the Bethesda Research Laboratories publication Focus 5 (2)」の11ページに記載の「塩基―酸」抽出法を用いて調製することができ、DNAのCsCl/エチジウムブロマイド超遠心分離法を用いた、前記プロトコルの工程12乃至17を繰り返すことにより、高度に精製されたプラスミドDNAを得ることができる。代替法として、市販のプラスミドDNA単離キット、例えば、HISPEED(TM)、QIAFILTER(TM)、QIAGEN(登録商標)、プラスミドDNA単離キット(キアゲン、バレンシア、カリフォルニア)を用いることができ、製品の仕様書に記載のプロトコルに従って行うことができる。単離されたDNAは、例えば、制限酵素消化及び/又はSanger et al., 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463、更には Messing et al., 1981, Nuc. Acids Res. 9:309のジデオキシ法による配列決定、又はMaxam et al., 1980, Methods in Enzymology 65:499に記載の方法により解析される。制御配列、発現ベクター、及び形質転換方法は遺伝子を発現するために用いる宿主細胞のタイプに依存している。通常、原核生物、酵母、昆虫又は哺乳動物の細胞が宿主細胞として用いられる。原核宿主細胞は組み替えタンパク質を生成するのに一般的に最も有効であり、便利である。従って、タンパク質の発現に好んで用いられる。
【0068】
組み換えタンパク質の発現に最も頻繁に用いられているのはE.coliである。しかしながら、例えば、バチルススブチリシン(Bacillus subtilis)、シュードモナス(seudomonas)及びサルモネラ(Salmonella)及び他のバクテリア株等のE.coli以外の他の微生物株も用いることができる。そのような、原核システムにおいて、宿主細胞由来又は宿主細胞に適合性のある種由来の複製部位及び制御配列を含むプラスミドベクターが通常用いられる。
【0069】
大部分のバクテリアプロモーターの制御下における構築物の発現のために、the E. coli Genetic Stock Center under GCSC #6135由来のE. coli K12株MM294を宿主細胞として用いる。PRBS又はPT7RBS制御配列を有するベクターの発現のために、E.coli K12株MC1000ラムダ溶原菌、N53cI857 SusP80、ATCC 39531を用いる。1987年4月7日にATCCに登録されたE.coli DG116(ATCC 53606)及び1985年3月29日にATCCに登録されたE.coli KB2(ATCC 53075)も宿主細胞として有用である。M13ファージ組み換えには、E.coli K12株DG98(ATCC 39768)等のファージ感染しやすいE.coli株を用いる。DG98系統は1984年7月13日にATCCに登録された。
【0070】
E.coliは、通常、Bolivar et al., 1977, Gene 2:95に記載のpBR322の誘導体を用いて形質転換される。プラスミドpBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性遺伝子を含む。これらの薬物耐性マーカーは、好ましいベクター構築物内で保持されるか又は破壊され、好ましい組み換え体を検出しやすくする。通常用いられる原核制御配列、すなわち、転写開始のためのプロモーター、任意でリボゾーム結合部位と共に用いられるオペレーターはβ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース(lac)プロモーターシステム(Chang et al., 1977, Nature 198:1056参照)、トリプトファンプロモーターシステム(Goeddel et al., 1980, Nuc. Acids Res. 8:4057参照)、ラムダ由来PLプロモーター(Shimatake et al., 1981, Nature 292:128参照)、ジーンNリボゾーム結合部位(NRBS)を含む。ポータブルコントロールシステムカセットはU.S. Patent No. 4,711,845に定義されている。このカセットはNRBSに作動可能に結合している、言い換えると、NRBS配列の3’の6塩基以内を切断する少なくとも1つの制限部位を有する第三DNA配列の上流に位置する、PLプロモーターを含む。Changらの1986年10月8日に公表された欧州特許No.196,864に記載のフォスファターゼA(PhoA)システムも用いることができる。しかしながら、原核生物に適した任意の利用可能なプロモーターシステムを本発明の発現ベクターを構築するために用いることができる。
【0071】
バクテリアに加えて、酵母等の真核微生物も組み替え宿主細胞として用いることができる。通常、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ベーカーズイースト(Baker‘s yeast)のラボラトリーシステムを用いるが、他の多くの株も利用可能である。複製の2つの微生物源を用いたベクターが一般的である(Broach, 1983, Meth. Enz. 101:307)が、酵母の発現に好適な他のプラスミドベクターも知られている(例えば、Stinchcomb et al., 1979, Nature 282:39; Tschempe et al., 1980, Gene 10:157; 及びClarke et al., 1983, Meth. Enz. 101:300参照)。
【0072】
酵母ベクターの制御配列は糖分解酵素を合成するためのプロモーターを含む。Hess et al., 1968, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149; Holland et al., 1978, Biotechnology 17:4900; and Holland et al., 1981, J. Biol. Chem.256:1385参照。
【0073】
当分野において知られている他のプロモーターは3−フォスフォグリセレートキナーゼ(Hitzeman et al., 1980, J. Biol. Chem. 255:2073参照)、及びグリセルアルデヒド3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、フォスフォフルクトキナーゼ、グルコース−6フォスフェートイソメラーゼ、3−フォスフォグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースフォスフェートイソメラーゼ、フォスフォグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼ等の他の糖分解酵素のプロモーターを含む。育成条件により制御される転写の更なる利点を有する他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性フォスファターゼ、窒素代謝に関する分解酵素、マルトース及びガラクトースの利用に反応する酵素に対するプロモーター領域である。
【0074】
コード配列の3’末端に置かれたときに、ターミネータ配列も発現を高めるために用いられる。前記ターミネータ配列は酵母由来遺伝子におけるコード配列に続く3’非翻訳領域に見られる。酵母に適したプロモーター、複製の起源、及び他の制御配列を含む任意のベクターが酵母発現ベクターの構築に用いるのに適している。
【0075】
コード配列は、多細胞生物由来の原核宿主細胞においても発現させることができる。Tissue Culture, Academic Press, Cruz and Patterson, editors (1973)参照。有用な宿主細胞はCOS−7、COS−A2、CV−I、マウス骨髄腫細胞N51、及びVERO等のマウス由来細胞、HeLa細胞、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含む。そのような細胞に対する発現ベクターは、例えば、シミアンウイルス40(SV40)由来の初期及び後期プロモーター(Fiers et al., 1978, Nature 273:113)、又はポリオーマ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス(BPV)、又はトリ肉腫ウイルスに用いられる哺乳動物に適したプロモーター又は制御配列、あるいはイムノグロブリンプロモーター、及びヒートショックプロモーターを含む。
【0076】
エンハンサー領域も好適な発現に重要である。これらは通常、プロモーター領域の上流に見られる。複製の起源は、必要であれば、ウイルス源から得ることができる。染色体への組み込みは真核生物におけるDNA複製のための共通のメカニズムである。
【0077】
植物細胞も宿主細胞として用いることができる。ノパリンシンエターゼプロモーター及びポリアデニレーションシグナル配列(Depicker et al., 1982, J. MoI. Appl. Gen. 1:561)等の植物細胞に適した制御配列が用いられる。バキュロウイルスにより提供される制御システムを利用した昆虫細胞を用いた発現システムも開示されている。Miller et al., in Genetic Engineering (1986), Setlow et al., eds., Plenum Publishing, Vol. 8, pp.277−97参照。昆虫細胞を基にした発現はスポドプテラ・フルギペイダ(Spodoptera frugipeida)において行われる。これらのシステムは組み替え酵素の生成に有用である。
【0078】
形質転換は、用いる宿主細胞に適した標準技術を用いて行う。Cohen, 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110に記載の塩化カルシウムを用いたカルシウム処理法は、細胞壁バリアを有する真核及び他の細胞に用いる。アグロバクテリウムテゥメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いた感染(Shaw et al., 1983, Gene 23:315参照)は特定の植物細胞に用いる。哺乳動物の細胞に対しては、Graham et al., 1978, Virology 52:546のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。酵母への形質転換はSolingen et al., 1977, J. Bact. 130:946及びHsiao et al., 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:3829に記載の方法に従って行う。
【0079】
本発明のTABの全部又は一部を含むポリペプチドをコードするDNAの配列を修飾して、例えば、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を修飾せずに宿主細胞のコドンより好適な配列を提供することが好ましい。始めの5−6コドンにおいてそのような修飾を行うと発現効率をすることができる。発現効率を改善するために修飾されたけれども、同様のアミノ酸配列をコードするDNA配列は等しいと定義され、本発明に包含される。
【0080】
各種部位特異プライマー指令変異誘発法(site−specific primer−directed mutagenesis methods)は当分野においてよく知られている。例えば、参照により本明細書に援用されるSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual., Cold Spring Harbor, 1989 second edition, chapter 15.51,「Oligonucleotide−mediated mutagenesis」参照。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)も部位指定変異誘発に用いることができる。当分野における他の標準的な技術において、突然変異をおこさせるプライマーの伸長生成物の構築のためのテンプレートとして提供されるpBSM13+のような一本鎖ベクターに含まれる相補的な核酸配列を直接合成するプライマーとして、所望の変異をコードする合成オリゴヌクレオチドを用いる。変異されたDNAは宿主微生物内で形質転換され、及び形質転換されたバクテリアの培養物は平板培養され、同定される。修飾されたベクターの同定は、選択された形質転換体のDNAをニトロセルロース膜等の膜へ移し、修飾された配列に確実に適合するハイブリダイゼーションを行うが、オリジナルの未変異鎖へのハイブリダイゼーションを阻害する温度において、キナーゼ合成変異誘発プライマーを用いた「リフト(lifts)」ハイブリダイゼーションを含む。プローブにハイブリダイズしたDNAを含む形質転換体はその後、培養され(このDNA配列は、通常、配列解析される)、修飾DNAの貯蔵物として提供される。
【0081】
一旦ポリペプチドが組み替え宿主細胞において発現されると、ポリペプチドの精製が行われる。各種精製方法を用いることができる。例示的な方法を実施例に記載する。タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及び関連する技術等の各種クロマトグラフィー技術により精製することができる。更に、タンパク質は所望のタンパク質自身の沈殿、又は融解性に影響する塩又は他の試薬を用いたプロドラッグの不純物の選択的沈殿により精製することもできる。タンパク質は抽出により精製することもできる。
【0082】
1つの態様において、TABをコードしている核酸は高度に厳しい条件下において本明細書で開示する任意のアミノ酸配列をコードしている核酸に相補的な核酸にハイブリダイズする。高度に厳しい条件とは、例えば、0.5M NaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65℃においてフィルター結合DNAにハイブリダイズし、68℃において0.1XSSC/0.1%SDS中で洗浄を行う条件を言う(Ausubel et al., eds., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York, p.2.10.3)。他の高度に厳しい条件は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, at pages 2.10.1−16 and Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Sambrook et al., (eds.)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, pages 9.47−57に記載されている条件である。他の態様において、中程度に厳しい条件が用いられる。中程度に厳しい条件は、例えば、42℃において0.2XSSC/0.1%SDS中での洗浄を含む。他の中程度に厳しい条件は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Ausubel et al., (eds.), Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., 1989, pages 2.10.1−16 and Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Sambrook et al., (eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, pages 9.47−57に記載のものを言う。
【0083】
本発明の第三の側面において、本発明は必要に応じてTABを個体に投与する工程を含む個体を治療する方法及びTABの基質であるプロドラッグを提供する。他の態様において、本発明はTAB分子を個体に投与することによって個体を治療する方法及びBLAを活性ドラッグ転換するプロドラッグを提供する。他の態様において、前記TABは特に、TAB2.4、TAB2.5又はTAB2.8であり、それぞれ配列番号8、配列番号10、又は配列番号16で定義される。
【0084】
メルファラン誘導体は本発明のこの態様におけるプロドラッグとして適している。酵素/プロドラッグ/活性ドラッグの組合せは、例えば、Senter et al., United States patent 5,773,435に記載されている。本文献を参照により本明細書に援用する。この態様のための好適なプロドラッグの他の例は、例えば、Melton et al., Enzyme−Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)、Bagshawe et al., Current Opinion in Immunology 11:579−83 (1999)、及びKerr et al., Bioconjugate Chem. 9:255−59 (1998). Wilman, “Prodrugs In Cancer Chemotherapy,” Bioclwmical Society Transactions, 14, pp. 375−82 (615th Meeting, Belfast 1986) 及びV. J. Stella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach To Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, R. Borchardt et al., (ed), pp.247−67 (Humana Press 1985)に記載されている。
【0085】
本発明のプロドラッグは、アウリスタチン(auristatins)、カンプトセシン(camptothecins)、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫黄含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化酵素、β−ラクタムプロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意で置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は任意で置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、抱合体の酵素により活性の高い細胞毒を含まないドラッグに転換されうる5−フルオロシトシン又は他の5−フルオロウリジンプロドラッグを含むがこれらに限定されない。本発明に用いるためのプロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞毒性ドラッグの例は、エトポシド(etoposide)、テンポシド(temposide)、アドリアマイシン(adriamycin)、ダウノマイシン(daunomycin)、カルミノマイシン(carminomycin)、アミノプテリン(aminopterin)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、マイトマイシン(mitomycins)、シス−プラチニウム及びシス−プラチニウムアナログ(cis−platinum及びcis−platinum analogues)、ブレオマイシン(bleomycins)、エスペラマイシン(esperamicins)(U.S. Pat. No.4,675,187参照)、5−フルオロウラシル、メルファラン、他の関係するナイトロジェンマスタード、他の関連するナイトロジェンマスタード誘導体を含むがこれらに限定されない。(例えば、U.S. Pat. No.4,975,278参照)。
【0086】
本発明の他の態様において、前記TABは、エピポドフィルロトキシングルコシド(epipodophyl−lotoxin glucoside)の4’−リン酸誘導体を活性抗癌ドラッグに転換するアルカリ性フォスファターゼ(AP)を含む。そのような誘導体は、エトポシド−4’リン酸、エトポシド−4’−三リン酸、及びテニポシド−4’−リン酸を含む。本発明の他の態様は、リン酸部分がグルコシド上の他のヒドロキシ基で置換されているグルコシドのリン酸誘導体を含む。他の態様では、本発明においてリン酸誘導体として用いられるリン酸誘導体は、エトポシド−4‘−リン酸、又はエトポシド−4’−三リン酸である。標的とされたAPは、プロドラッグからリン酸基を除去し活性抗腫瘍因子を放出する。この態様のマイトマイシンリン酸化プロドラッグはマイトマイシンCのN−C1−8アルキルリン酸誘導体又はそれらの医薬品上許容可能な塩である。Nは親ドラッグのミトサン核の7位に付加されたナイトロジェン原子を意味する。他の態様において、用いられる誘導体は7−(2’−アミノエチルフォスフェート)マイトマイシン(MOP)である。代替的に、前記MOPは、9−メトキシ−7−[[(フォス−フォノオキシ(phonooxy))エチル]アミノ]マイトマイシン二ナトリウム塩でもよい。本発明の他の態様は、プロドラッグとしてN7−アルキルマイトマイシンフォスフォロチオ酸塩(phosphorothioate)の使用を含む。
【0087】
本発明の更なる態様において、前記TAB分子は新規なアドリナマイシンプロドラッグを活性抗腫瘍ドラッグアドリナマイシンに転換するペニシリンアミラーゼ酵素を含む。他の態様において、前記ペニシリンアミダーゼはフェノキシアセチルアミド結合を加水分解するフサリウムオキシスポラム(Fusarium oxysporum)から単離されたペニシリンVアミダーゼ(PVA)である。抗腫瘍活性を有する因子を放出するアミダーゼにより加水分解されるN−(p−ヒドロキシフェノキシアセチル)アドリナマイシン(APO)又はアドリナマイシンも用いることができる。
【0088】
本発明は、例えば、アドリナマイシンプロドラッグ、N−(p−ヒドロキシフェノキシアセチル)アドリナマイシン及び実質的に同様の方式で誘導体化されうる他の関連するアドリナマイシンプロドラッグの使用を含む。例えば、プロドラッグ、N−(フェノキシアセチル)アドリナマイシンの使用も本発明の範囲内である。更に、本発明のアドリナマイシンプロドラッグは、例えば、本明細書に開示されているヒドロキシ基以外のフェニル環上の置換を含むN−フェノキシアセチル誘導体のほかに、フェニル環の異なる位置における置換を含むアドリナマインの他のN−ヒドロキシフェノキシアセチル誘導体を含む。
【0089】
更に、本発明は、TABの一部として、プロドラッグを抗腫瘍活性を有する形態に誘導体化することができる特定のアミダーゼに対応する他のプロドラッグのほかにペニシリンGアミダーゼ等の他のアミダーゼの使用を包含する。例えば、TAB分子が更にペニシリンGアミダーゼを含む場合、ペニシリンGアミダーゼはこのタイプのアミド結合を加水分解することから、前記プロドラッグは(APOのフェノキシアセチルアミド基とは対照的に)フェニルアセチルアミド基を含む(例えば、A. L. Margolin et al., Biochim. Biophys Acta. 616, pp. 283−89 (1980)参照)。従って、本発明のプロドラッグはN−(p−ヒドロキシフェニルアセチルアドリナマイシン、N−(フェニルアセチル)アドリアマイシン、及びドリアマイシンを好適に置換した他のN−フェニルアセチル誘導体を含む。
【0090】
本発明は、親ドラッグのアミン基と、フェノキシ酢酸、フェニル酢酸、又の関連する酸のカルボキシル基との反応により提供される任意のプロドラッグを含む。従って、本明細書で述べた、アドリナマイシンプロドラッグと実質的に同様の方式で誘導体化又は活性化することができるアドリアマイシン以外のアントラサイクリンのプロドラッグも本発明の範囲に包含される。例えば、本発明により生成され及び使用することができる他のプロドラッグは、ダウノマイシン、カルミノマイシン等のアントラサイクリンのヒドロキシフェノキシアセチルアミド誘導体、ヒドロキシフェニルアセチルアミド誘導体、フェノキシアセチルアミド誘導体、及びフェニルアセチルアミド誘導体を含む。メルファラン、マイトマイシン、アミノプテリン、及びダクチノマイシン等の他のアミン含有ドラッグも本発明のプロモーターを生産するために修飾され得る。
【0091】
本発明の他の態様は、シトシンデアミナーゼ(CD)酵素のTAB形態を含む。前記デアミナーゼ酵素は、抗悪性化活性を欠く化合物である5−フルオロシトシン(5−FC)を、抗腫瘍活性を有するドラックである5−フルオロウラシル(5−FU)に転換する。
【0092】
1つの態様において、前記プロドラッグはペプチドである。プロドラッグとしてのペプチドの例は、Trouet et al., Proc Natl Acad Sci USA 79:626 (1982)、及びUmemoto et al., Int J Cancer 43:671 (1989)に記載されている。これらの及び他の文献は、ペプチドが血液中で十分に安定であることを示している。ペプチド誘導体プロドラッグの利点は、半減期、組織分布、及び活性ドラッグに対して低い毒性等の好適な薬理学的性質を比較して選択することが可能なことである。ペプチド誘導体プロドラッグの大部分の文献は、例えば、リソソーム酵素によるプロドラッグの非特異的活性化に関係する。
【0093】
前記プロドラッグは2つ以上の工程において活性ドラッグに転換されるプロドラッグである。例えば、前記プロドラッグはTABにより活性ドラッグの前駆体に転換することができる。前記前駆体は、例えば、1つ以上の追加的なTABの触媒活性、個体に投与された1つ以上の他の酵素の触媒活性、個体又は個体の標的部位に本来存在している1つ以上の酵素(例えば、プロテアーゼ、フォスファターゼ、キナーゼ又はポリメラーゼ)の触媒活性により、個体に投与されるドラッグにより、又は酵素学的触媒作用ではない化学プロセス(例えば、酸化、加水分解、異性化、又はエピ化)により活性ドラッグに転換される。
【0094】
既存の薬物が問題であることが発見された後で、プロドラッグを含む対部分の研究がなされている。特に、抗癌ドラッグは低い治療指数により特徴付けられている。これらのドラッグを毒性の低いプロドラッグに転換し、その後、それらを選択的に病理組織中で活性化することにより、これらのドラッグの治療指数は有意に増加する。例えば、Melton et al., Enzyme−prodrug strategies for cancer therapy (1999)及びNiculescu−Duvaz et al., Anticancer Drug Des 14:517 (1999)参照。
【0095】
この文献はタンパク質工学又は指向進化(directed evolution)により酵素の基質特異性を変化させる多くの方法を開示している。従って、当業者は、自然発生酵素に対してプアな基質となると思われる構造にも適応させるように、酵素の特異性を向上させることができる。従って、プロドラッグは、ドラッグがプロドラッグストラテジーに適していなくても設計することができる。
【0096】
本発明の他の態様は、いくつかのプロドラッグと単一のTABを用いた組合せ化学療法を提供することである。この態様において、同じATBに対する基質である多くのプロドラッグを用いる。従って、特定のTABが多くのプロドラッグを細胞毒形態に転換し、腫瘍部位において抗腫瘍活性を高める。
【0097】
医薬用ペプチド、タンパク質、又は低分子の血液循環における半減期を引き伸ばすことが求められている。通常、短い半減期―数分乃至数時間は、あまり求められていない。しかし、高い初期投与ピークを生じる治療効果を生じるための高投与量は、副作用を引き起こす。そのような治療の半減期を引き伸ばすことは、低い投与量で、副作用の頻度を低め、それゆえ、安価で安全な投与を実現する。明らかに、研究者たちはタンパク質をPEGへ共有結合させることにより、タンパク質の半減期を引き伸ばすことを行っている(U.S. Patent 5,711,944参照)。ヒト血清アルブミンについては、U.S. Patent No.5,766,883参照。FcフラグメントについてはWO 00/24782参照。更に、ヒト血清アルブミンに対するドラッグの非特異的ターゲティングはin vivoにおける化学結合ドラックにより行うことができる(例えば、U.S. Patent No.5,843,440参照)。更に、癌治療薬の場合、高い浸透及び滞留を利用して腫瘍中に高分子ドラッグを配置することが提案されている。それゆえ、ドラッグの治療効果を改善することは、ドラッグをタンパク質又の高分子量ポリマーに結合させることにより実現できる。
【0098】
1つの態様において治療を必要とする個体は癌患者である。他の態様において、前記ATBはTAG−72を発現している細胞、組織、腫瘍、又は器官を標的とする。他の態様において、前記プロドラッグはTABにより活性ドラッグに転換される。他の態様において、前記活性ドラッグは、アルキル化因子である。他の態様において、前記プロドラッグは抗腫瘍ナイトロジェンマスタードプロドラッグである。他の態様において、前記プロドラッグはグルタリル−C−Mel又はグルタリル−C−Mal−Phe−NH2である(例えば、参照により本明細書に援用されるSenter et al., United States patent No.5,773,435及びKerr et al., Bioconjugate Client 9:255−59 (1998)参照)。他の態様において、前記プロドラッグはビンカ−セファロスポリン又はドキソルビシン−セファロスポリンである。Bagshawe et al., Current Opinion in Immunology,11:579−83 (1999)参照。本発明に用いることができる他のプロドラッグ/酵素の組合せは、U.S. Patent No.4,975,278及びMelton et al., Enzyme−Prodrug Strategies for Cancer Therapy Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)に記載されているものを含むがこれらに限定されない。
【0099】
第四の側面において、本発明はTAB分子を含む医薬品組成物に関する。前記TAB分子、これをコードする核酸、及び特定の態様においては、本明細書で説明するプロドラッグは投与に適した医薬品組成物に包含される。そのような組成物は、通常、活性化合物及び医薬品として許容されうる担体を含んでいる。前記活性化合物と適合性がない限り、既知のいかなる培地又は試薬が、前記組成物中に用いることができる。補足的な活性化合物も前記組成物中に用いることができる。
【0100】
本発明は所望のTAB、プロドラッグ、又は核酸の発現又は活性を調節するための医薬品組成物の調製方法を含む。そのような方法は、所望の活性化合物の発現又は活性を調節する因子と医薬品として使用することができる担体とを製剤化する工程を含む。そのような組成物は更に、追加的な活性因子を含むことができる。従って、本発明は更に、医薬品として使用することができる担体を、所望のTAB、プロドラッグ、又は核酸の発現又は活性を調節する因子と1つ以上の追加的な活性化合物とを製剤化することにより医薬品組成物を調製するための方法を含む。
【0101】
本発明の医薬品組成物は意図される投与経路に適するように製剤化される。投与の例は、投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、口頭(例えば吸入)、経皮的な(局所)経粘膜と直腸内適用を含む。経口、皮内、又は皮下適用のために用いる溶液又は懸濁液は、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又の合成溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベン等の抗菌試薬;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート成分、酢酸、クエン酸、又はリン酸等の緩衝成分;及び水酸化ナトリウム又はデキストロース等の浸透圧を調製する成分を含むことができる。pHは塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基を用いて調整することができる。非経口製剤の調整は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ、又は多剤投与バイアルに入れられる。
【0102】
注射用に好適な医薬品氏は滅菌水性溶液(水溶性)又は分散剤、及び滅菌注射用溶液又は分散剤を即座に調製することができる滅菌粉末を含む。静脈注射において、好適な担体はノーマルな生理食塩水、注射用水、5%デキストロース又はリン酸緩衝生理食塩水を含む(PBS)。全てのケースにおいて、前記組成物は滅菌されており、注射器への出し入れが容易な溶液である。前記組成物は製造及び貯蔵条件下において安定であり、バクテリア及び糸状菌等の微生物の汚染作用に対して保存され得る。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びリピッドポリエチレングリコール等の)及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は分散培地である。好適な流動性は、分散の場合には必要とされる粒子サイズに維持により、及び界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用を避けることは、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロザール等の各種抗菌剤及び抗カビ剤により達成することができる。多くのケースにおいて、例えば、糖、マンニトール、ソルビトール、等のポリマーアルコール、塩化ナトリウム等のアイソトニック試薬を組成物中に含めることが好ましい。
【0103】
滅菌注射用溶液は上で列挙した成分の1つ以上の組合せを含む好適な溶媒中に必要量の活性化合物取り込み、その後にフィルター滅菌をすることにより調製することができる。通常、分散剤は活性化合物を、塩基性分散培地を含む滅菌媒体及び上で必要とされる成分中に取り込むことにより調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の好適な方法は、活性成と任意の好適な成分を含むフィルター滅菌された溶液を凍結乾燥して、粉末を得る方法である。
【0104】
経口用組成物は通常不活性希釈剤、又は食用担体を含む。これらは通常、カプセ化されるか、又はタブレットに圧縮される。経口用投与の目的のために、活性化合物は、賦形剤中に取り込まれ、タブレット、トローチ、又はカプセルに成形されて用いられる。
【0105】
医薬品として適合する結合試薬、及び/又はアジュバント物質は前記組成物の一部となりうる。タブレット、ピル、カプセル、トローチ等は同様な性質の、微結晶性セルロース、ガム、チラガカント又はゼラチン等の結合剤;スターチ、又はラクトース等の賦形剤;アルギニン酸、プリモゲル(Primogel)、又はコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotes(ステロデス)等の滑剤;コロイド二酸化ケイ素等の流動促進剤;スクロース又はサッカリン等の甘味剤;又はペパーミント、メチルサリチル酸又は有機香料等の香料を含む。
【0106】
吸入による投与のために、前記組成物は、好適な推進体(例えば、二酸化炭素等の気体又は噴霧器)を含む高圧容器又はディスペンサーからのエアロゾルスプレーの形態で提供される。
【0107】
システマティック投与も経粘膜、又は経皮投与により行うことができる。経粘膜又は経皮投与のために、浸透させるバリアに好適な浸透剤を製剤中に用いる。そのような、浸透剤は通常当業者に知られており、例えば、経粘膜投与には界面活性剤、胆汁塩及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔内スプレー又は座薬を用いて行われる。経皮投与のために、活性化合物は、当該分野において一般的に知られている軟膏、ゲル、又はクリームに製剤化される。
【0108】
前記化合物は、座薬(例えば、ココアバター及び他のグリセリドに基づく従来の座薬)又は直腸への届けるための残留性浣腸剤の形態に調製することができる。
【0109】
他の態様において、前記活性化合物は、移植、及びマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む放出制御された製剤のような、体内からの急速な消失を避けるための担体とともに製剤化される。エチレンビニルアセテート、高分子無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ酪酸等の生分解性、生物に好適なポリマーが用いられる。そのような製剤の調製方法は当業者によく知られている。材料はアルザコーポレーション(AlzaCorporation)、及びノバファーマシューティカルインク(NovaPharmaceutical, Inc.)から入手可能である。リポソーム懸濁液(各種抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的としたリポソーム)も医薬品に使用可能な担体として用いることができる。これらは、例えば、U.S. Patent No.4,522,811に記載されているような、当分野において既知の方法で調製することができる。
【0110】
1つの態様において、前記製剤は、例えば、United States patent number 6,216,375及びUnited States patent number 6,537,988に記載されているように、スルフォブチルエーテル‐7−ベータシクロデキストリン及び2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
【0111】
通常、個体に届けられるTABの量は、例えば、投与の経路、TABの活性、個体において標的とされる所望の細胞、組織、又は器官の特異性の程度、個体から非特異的結合TABを除去するのに必要とされる時間の長さ、所望の治療効果、個体の体積、個体の年齢、個体の健康状況、個体の性、個体の食事、個体のTABに対する免疫反応、個体にたいして投与される他の医薬品又は処置、疾病の程度、及び処置の現在の又は将来予想される経過を含む各種因子に依存する。プロドラッグを投与する例においても、治療効果を決定するのに影響する他の因子は、例えば、投与されるプロドラッグの量、TAB及びプロドラッグの投与感覚、プロドラッグ及びこれに対応する活性ドラッグの活性、プロドラッグ及び活性ドラッグの副作用又は毒性を含む。
【0112】
TABの量/個体の容量の範囲の例は、例えば、約0.001乃至30mg/kg体重、約0.01乃至25mg/kg体重、約0.1乃至20mg/kg体重、及び約1乃至10mg/kg、2乃至9mg/kg、3乃至8mg/kg、4乃至7mg/kg、又は5乃至6mg/kg体重を含む。
【0113】
特定の態様において、個体は約0.1乃至20mg/kg体重の間の量のTABで、1週間に1度又は1乃至10週間、好ましくは2乃至8週間、好ましくは約3乃至7週間及び好ましくは約4、5週間又は6週間に一度の頻度で処理される。TABの効果的な量は処理法により増減し、望む結果がえられるまで、又の理由で処理を中止するまで、投与内容を変更したり、あるいは変更せずに、継続されるであろうことは理解されるであろう。投与の変更は本明細書で述べる診断の結果から得られ及び明らかである。
【0114】
プロドラッグの適切な投与は一般的な医者、獣医師、又は研究者が知りうる多くの因子に依存している。プロドラッグの投与量は、例えば、TABの効果的な投与に影響する因子で述べたものと同様の因子に依存するだろう。典型的投与量は個体の体重又はサンプル重量1kgあたりミリグラム乃至マイクログラムの投与量を含む(例えば、1キログラムあたり1マイクログラム乃至1キログラムあたり500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム乃至1キログラムあたり約5ミリグラム、又は1キログラム当たり1マイクログラム乃至約1キログラム当たり50マイクログラム)。プロドラッグの好適な投与量は治療効果を参考にしつつ、プロドラッグの能力に依存することも理解されるであろう。1つ以上のこれらのプロドラッグが動物(例えば、ヒト)に投与された場合、医師、獣医師、又は研究者は、例えば、相対的に低い投与量を始めに投与し、続いて、所望の反応が得られるまで投与量を高めることは、理解されるであろう。
【0115】
好ましくは、前記TABは個体に投与され、その後プロドラッグが投与される。より好ましくは、TABの投与及びプロドラッグの投与の間の時間は、その標的部位に結合させることによりその標的部位においてTABが蓄積し、及び個体の体の非標的部分から未結合TABを除去するのに十分な時間である。最も好ましくは、未結合TABに対する標的に結合したTABの割合は、プロドラッグが投与される時点において、最大かそれに近い値になっていることが最も好ましい。このような割合に到達するためのTABを投与した後に必要な時間はクリーニングタイムと言われている。このクリーニングタイムは、例えば、検出可能なTAB(例えば、放射線標識又は蛍光標識したTAB)を個体に投与し、当時に標的部位及び非標的部位の酵素の量を継時的に測定するような実験システムにより、決定又は見積もることができる。特に、カウンターパート活性ドラッグ毒性が高いいくつかのプロドラッグについては、個体システムにおいて未結合TBAのレベルを特定のスレッシュホールド以下にすることは重要である。このレベルも、上述のような実験で決定することができる。投与インターバルは約72及び約96時間が好ましい。
【0116】
1つの態様において、プロドラッグの投与は全身系である。他の態様において、プロドラッグの投与は標的中、又は標的の近くで行われる。
【0117】
前記医薬品組成物は容器、パック、ディスペンサー又はキット中に投与のための説明書とともに梱包される。
【実施例】
【0118】
実施例1:TAB2.1タンパク質を発現しているプラスミドpNA22.7の構築
TAB2.1分子のscFvタンパク質のアミノ酸配列はネズミ科の抗TAG−72分子抗体(mAb)CC49配列(Abergel et. al., (1993) Proteins: Structure, Function and Genetics 17:438−443)より提供されたものである。この合成遺伝子の核酸配列はvH−(GGGGS)−vLの遺伝子構造を有するvH及びvLドメインを含むE.coliコドン使用プラス15−aaペプチドリンカーを基に設計された。設計された遺伝子を含む937bpDNAフラグメントを、フランキングBgII及びEcoRV制限酵素部位を用いてMcLAb(サウスサンフランシスコ、カルフォルニア)で合成し、プラスミドpPCRII−TOPO(インビトロジェン、カールスバーグ、カルフォルニア)内でクローン化し、プラスミドpAGを得た。
【0119】
プラスミドpME25.1をプラスミドpAG由来のCC49抗体の合成scFvタンパク質をクローンするのに用いた。BgII及びEcoRV酵素を用いたプラスミドpAG及びpME25.1の消化において、0.88kb挿入フラグメント及び4.3kbのベクターフラグメントをそれぞれ、ゲル精製した。その後、これらを結合し、E.coliTOP10(インビトロジェン、カールスバーグ、カルフォルニア州)ケミカルコンピテント細胞内で形質転換し、LA+Cm5+0.1CTXプレート上で選択した。10の形質転換体から単離されたプラスミドDNAをPvuII酵素を用いて消化し、CC49scFフラグメントの適切なサイズ及び位置を確認した。予想される制限消化パターンが10のクローン全てにおいて見られた。幾つかのクローンの発現及び結合について試験を行った後、プラスミドpNA22.7を更なるエンジニアリングのために選択し、TAB2.1と称した。
【0120】
実施例2:TAB2.4タンパク質を発現しているプラスミドpSW239.1の構築
プラスミドpNA22.7(TAB2.1)を前述のクイックチェンジ変異誘発プロトコル(ストラタジェン、カリフィルニア)のPCRプテンプレートとして用いる点を変更点として、プラスミドpSw239.1(TAB2.4)を構築した(Wang, W. & Malcolm, B.A. BioTechniques 26:680−682 (1999))。この操作はTAB2.4タンパク質のvH及びLVドメインの間のリンカーサイズを15−aa[(GGGGs)]から30−aa[(GGGGs)6]に増やす。ヌクレオチド配列を大文字で示す15−aa(GGGGS)シーケンスを挿入するためにプライマーHR061FとHR061R(HR061F:5’−ACCGTTAGCAGCGGTGGTGGCGGTTCGGGTGGCGGAGGCAGCGGTGGAGGGGGCTCTGGGGGCGGCGGTTCCGGTGGAGGTGGAAGTGGC−3’及びHR061R:5’−ACCGCCGCCCCCAGAGCCCCCTCCACCGCTGCCTCCGCCACCCGAACCGCCACCACCGCTGCTAACGGTCACGCTGGTCCCTTGACC−3’)を用いた。二段階の標準的クイックチャンジ変異誘発(ストラタジェン、カリフォルニア)PCR反応を行い、その後にDpmI酵素の消化を行う。50μLのPCR生成物のうちの2μLをE.coliTOP10E、ケミカルコンピテントセル内で形質転換し、続いて、形質転換体をLA+Cm1010.1CTXプレート上で選択した。16クローンからのプラスミドDNAをTempliphin−100増幅キット(アマシャムバイオサイエンス)により増幅し、挿入位置が正確であるかを配列決定により確認した。16クローンのうちの11は所望の位置に挿入されていることを確認した。プラスミドpSW32.9.1の融合遺伝子全体の全配列において、他の変異は生じていなかった。最終的にプラスミドpSW239.1を図1の配列番号を有するTAB2.4分子として選択した。TAB2.4アミノ酸配列を図1に示す。
【0121】
実施例3:TAB2.4の組合せコンセンサス変異誘発
TAB2.4タンパク質の発現を改善するために、参照により本明細書に援用されるWO US04/30085に記載の組合せコンセンサス変異誘発を、pSW239.1プラスミドをテンプレートとして用いてvH及びvLドメインのフレームワーク領域中のアミノ酸残査のターゲッティングにより行った。これらの12残査(vHにおける8つの位置及びvLにおける4つの位置)は一般的なヒト抗体配列との比較により有意な違いがあると同定された(<10% abundance)。これらの12部位の中から21の変異体を作成し、これらのうちの幾つかは1つ以上の置換を有していた。前述の参照により本明細書に援用されるWO US04/30085に記載のマルチサイトクイックチェンジ変異誘発(Multi−site Quikchange Mutagenesis)(ストラタジェン、カリフィルニア)の変法を用いて、それぞれ0.4μM及び2μMの濃度の組合せプライマーを用いてME367及びME368CCMライブラリーを表1に示す21のリン酸化プライマーに用いて構築した。
【0122】
表1.TAB2.4タンパク質の組合せコンセンサス変異誘発(CCM)に用いた配列の組合せ。プライマーネームは、軽鎖(L)及び重鎖(V)において変異させるアミノ酸配列、その位置及び意図する変異(上のケースにおいて示す変異コドン)に対応する。従って、HD8Gは重鎖の8の位置でGly(G)に変化させるAsp(D)に対応する。番号付けは軽鎖又は重鎖のカバット(Kabat)システムに基づいている。全てのプライマーはセンス鎖に設計されている。
【表1】

【0123】
変異及びDpnI消化の後、25μLのPCR反応混合物のうちの1.5μLをE.coli TOP10F’細胞内へ形質転換し、その後LA+Cm20+0.1CTXプレート上で選択した。各ライブラリーからの96クローンを以下で説明する96ウェルマイクロタイタープレートにおける改善された発現のために初期スクリーニングした。活性に対する配列の統計的解析はライブラリーデザインに含まれる21の変異体のうちの5つが結合により検出可能であることを示している。従って、新たなライブラリーはこれらの変異体(軽鎖H32M、H32I、A33G、A33W及びA33Y)をコードしているプライマーを用いずに設計された。これらの新たなライブラリーをME374、ME375、及びME377と名づけた。ME374は0.4μMプライマー濃度において16変異全てを含んでいた。ME375は0.1μMのプライマー濃度において、16変異体全てを含んでいた。ME377は軽鎖中に変異DG8、N40A,N40P、V80Lを、重鎖中にA35Tを含んでいた。
【0124】
実施例4:CCMライブラリーの構築
ライブラリーpM367及びpM368は、BL培地及び5mg/Lクロラムフェニコール(CMP)及び0.1mg/Lのセフォタタキム(cephotaxime(CTX, シグマ))を含むアガープレート上で平板培養された。各ライブラリーからのコロニー(それぞれの親を含む96クローン)を100μLのLB及び5mg/LのCMPを含む96ウェルプレート内で形質転換した。プレートを振とうしながら高湿度のボックス内で73℃、24時間プレインキュベートした。スクリーニングの日に、100μLのB−Per試薬(PIERCE)を各ウェルに添加し、室温において30分間振とうさせた。標的となるウシ顎下腺ムチン(「BSM」シグマ)、はB72.3及びCC49(O‘Boyle, KP. et al., (1996). Hybridoma 15, 401−408)と確実に反応するTAG−72エピトープを含むムチンである。PBS中100μLの10μg/mlBSMを添加することにより、高結合能を有する96−ウェルポリスチレンプレート(Costar#9018)中にBSMをコートし、このプレートを一晩4℃でインキュベートした。このプレートをPBST(PBS+0.1%Tween20)で洗浄し、1ウェル当たり200μLのPBSTで室温2時間インキュベーションした。このプレートをその後PBSTで3回洗浄した。7μLのB−Per抽出ライブラリーサンプルを1ウェル当たり93μLのPBSTに添加した。このプレートを緩やかに振とうしながら室温で2時間インキュベートした。このプレートをPBSTで3回洗浄した。PBSO(PBSO+0.125%オクチルグリコピラノシド)中200μLのBLA基質を各ウェルに添加し、結合BLA活性を室温において490nm波長におけるニトロセフィンの加水分解をモニタリングしながら測定した(t=0)(図2参照。ニトロセフィンアッセイについては参照により本明細書に援用されるWO03/105757参照)。活性に対する配列の統計解析から、ライブラリーデザインに含まれる21変異体のうちの5つがBSM結合において不利であることが分かった。ライブラリー中の各変異体について、この統計解析はこの実験データ決定されたパラメータを生じた。もし、変異体が発現、又はベースストック又は他の測定可能な変異のいずれかを改善するならば、このパラメータは陽性の値を示すであろう。もし、変異体が不利であるならはこのパラメータは陰性の値を示すであろう。このパラメータは、1のパラメータが〜10倍の改善を示すような、対数の値である。このパラメータは変異体がライブラリー中に観察される回数に関して解析される。より多くの変異体が観察されると、パラメータ値の信頼性が高くなる。従って、新たなライブラリーは、これらの変異体をコードするプライマー(軽鎖についてH32M、H32I、A33G、及びA33Y)を用いずに設計された。各ライブラリー、ME734、ME375、及びME377の1つのプレートを、BL+10mg/L CMPを培地として用いた以外は、既に述べた方法と同じ用にスクリーニングした。総BLA活性(発現)を、20μLサンプル希釈液を180μLPBSOに添加し、室温において490nm波長におけるニトロセフィンの加水分解をモニタリングすることにより、PBSOにおけるB−per抽出物の1/10希釈を測定した。
【0125】
最終的に、結合している組成物を以下のように決定した。t=0でBSMに結合するBLA活性を測定したあと、このプレートを緩やかに振とうしながら、室温で1重量%間インキュベーションする。このプレートをその後、PBSTで3回洗浄する。残りの結合BLA活性(t=1)を測定する。t=0における結合BLA活性に対する1時間インキュベーションした後のt=1活性結合の割合がオフレートの比較の結果となる。図4はライブラリーME374、ME357、及びME377に対するスクリーニングデータを示す。多くの変異体はTAB2.4クローンよりも高い結合/インプット比を示す。
【0126】
図5において、スクリーニングデータに対する統計的解析は、幾つかの変異体がTAB2.4の高い発現において有利であることを示している。
【0127】
このスクリーニングから、22クローンが更なる解析のために選択された。このクローンのグリセロールストック及び親TAB2.4及び癌胎児性抗原(CEA)に結合するが、TAG−72には結合しない対照CAB1.2をLA+5mg/L CMOアガーゲル上に塗布した。各変異体からの4つのコロニーを96ウェルプレート中100μLのLB+10mg/L CMPに接種し、37℃で一晩育成させた。このプレートを100μLのLB+10mg/L CMPを含む3つの96ウェルプレートで複製し、73℃で48時間した。3つのプレート(3回試験)のB−per抽出物を上にのべたように調製した。BLA活性、BSMへの結合、及びオフレートも上で述べたように測定した。サンプルをPBS中で10倍希釈し、BSM結合の試験に用いた。
【0128】
図6に示すデータは、幾つかのクローンが発現され、BSMに結合することを示している。しかしながら、配列の解析は幾つかのクローンがL及びHの間のリンカー領域に変異を有することを示している。前記L及びHはB−per抽出物中に存在するダイマー又はマルチマーの量に影響を及ぼし、その結果、結合データに影響する。リンカー変異を有するクローンは更なる解析には用いなかった。
【0129】
データ及び配列解析から選択された7つの最も良く発現/結合しているクローン、及びTAB2.4対照、を2mL LB+10mg/CMPを含むチューブ内で、37℃で一晩育成した。その後、200μLの培地を3つの、25mL+TB培地+10mg/mLCMPに移し、37℃で48時間育成した。この培地の1mLを平板培養し及び1mLのB−per試薬を添加し、振とうしながら60分インキュベーションした。B−per抽出物を延伸分離し、上清を新たなチューブに移した。各サンプルを、上で説明したBLA活性、BSM結合(連続希釈)及びオフレートについて試験した。このサンプルを、融合タンパク質のインタクトネスについて抗−BLAウエスタンブロットにおいて比較した。このウエスタンブロットのために、各サンプルは、各ウェルにおいて50ngの融合タンパク質が付加されるように予め希釈された。この50ngの融合タンパク質は、60μLの各サンプルを30μLの4XLDSサンプル緩衝液及びサンプル還元剤(インビトロジェン)に混合することにより2/3に希釈された。ゲルに付加されたサンプルは85℃で5分間加熱された。15μLの各サンプルをゲルに付加した。このゲルはNuPAGE4−12%BIs−Trisゲルの分離されたウォール内で染色される。
【0130】
タンパク質を、その後、トランスファー緩衝液(インビトロジェン)を用いて、DSD−PAGEゲルからPVDF膜上に移し、25Vの定電圧で60分間電気泳動した。2.5%BSA溶液(0.1%のtween−20を含むトリトリス緩衝生理食塩水中ブロッカーBSA(TBST)中にこの膜を浸し、60分間振とうすることによりブロッキングを行った。膜を一次抗体溶液の中に浸し、60分間振とうした(アブジェント(Abgent)マウス抗−BLAmAbをTBST中で1:10,000希釈したもの)。この膜をTBSTで5分間3回洗浄した。この膜を第二抗体溶液(ヤギ抗−マウスIgG:HRP(ピアス)をTBST中で1:20,000希釈したもの)に浸し、振とうしながら60分洗浄した。この膜をTBS−Tで10分間、3回すすいだ。
【0131】
2mL ECLプラス(アマシャムバイオサイエンス)検出溶液を50μLの溶液Bを2mの溶液Aに添加することにより調整した。この検出液を膜の表面全体にピペッティングした。検出溶液で5分間インキュベーションした後、過剰の試薬を乾燥させ、この膜をタンパク質側をストームイメージスキャニングベッド(Storm Imager scanning bed)に向けて置いた。ブルー蛍光/化学蛍光モードを用いてスキャンを行った。インタクトタンパク質のパーセンテージを決定するためにデンシトメトリーを用いた。このウエスタン膜はインタクト及び分解された物質の両方についてのバンドにおけるデンシトメトリーを行うためにイメージクアント(Image Quant)プログラムを用いたストームイメージャー(Storm Imager)を用いてスキャンした。断面線を濃度曲線下面積(AUC)としてバンド強度を測定するために用い、インタクトのパーセント、BLAとして分解物のパーセント、並びにバンド強度の大きさを計算した。
【0132】
クローンpME377.4は親TAB2.4よりもより良い発現(3.5−4倍、図7参照)及びインタクトネス(〜90%vs〜50%、図8参照)を示し、コートされたBSMに対して等しい結合及びオフレートを示した。このクローンを次世代として選択し、TAB2.5と名づけた。TAB2.5はTAB2.4と比較すると、scFvフラグメントのvH領域にV80Lの変異を含み、vH領域にS5T、A53T及びK79E変異を含む。コートされたBSMに対する結合曲線はこの試験されたクローンがTAB2.4よりも明らかに高い親和性を有することを示している(図9参照)。
【0133】
実施例5:TAB2.4及びTAB2.5の発現及び精製
細胞をB−per中で以下のように崩壊させる。凍結E.coli細胞ペースト1グラム当たり2.5mL B−pre試薬(リン酸緩衝液中、ピアスバイオケミストリー社、カタログNo.78266)を添加した。ベンゾナーゼヌクレアーゼ(Benzonase Nuclease)(ノバゲン(Novagen)製品番号#70664−3)を1:1000希釈になるように加水分解するDNAに添加する。この混合物を激しく60分間室温において撹拌する。崩壊した細胞を4℃、20分、12,000rpmで遠心分離する。ペレットを廃棄する。
【0134】
融合タンパク質をPBA親和性クロマトグラフィーを介して捕捉する。粗タンパク質を付加する前に、5mLPBAカラム(アガロースゲル上にm−アミノフェニルボロン酸を固定化したもの。シグマ 製品番号#A−8312)を25mlTEA緩衝液(20mMトリエタノールアミン、pH7)で平衡化する。サンプル付加の後、このカラムを25mLTEAで洗浄し、二回目に25mLTEA/NaCl緩衝液(20mM トリエタノールアミン、0.5M NaCl,pH7)で洗浄する。β−ラクタマーゼ融合タンパク質は25mL ホウ酸/NaCl緩衝液(0,5Mホウ酸/0.5M NaCl、pH7)で溶出させ、5mLの分画に収集した。溶出された分画を上で説明した、ニトロフェリンピレートアッセイを用いてβ−ラクタマーゼ活性を測定した。
【0135】
サイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製モノマーを得た。5mLの濃度のTABタンパク質をPBSで平衡化されているSuperdex 75 preparative grade column (Amersham Biosciences, 製品番号# 17−1070−01)に付加した。タンパク質を2mL/分の流量のPBSで分離し、5mLの分画に収集した。
【0136】
エンドトキシンをDetoxi−Gel(商標)を介して除去した。1−4mLの濃度のβ−ラクタマーゼ融合タンパク質をPBSで平衡化されている10mLのDetoxi−Gel(商標)(polymixin−Bに固定化されている、ピアス、製品#20339)カラム上に付加した。このサンプルをPBSで溶出する前に2.5時間、樹脂に結合させた。151mLの分画を収集した。溶出された分画の典型的なSDS−PAGEゲルを図10に示す。個々の分画についてβ−ラクタマーゼ活性を、ニトロフェリンプレートアッセイを用いて測定し、BioWhittakerQCL−1000Chromogenic Endpoint LALアッセイを用いてエンドトキシンを測定した。TABタンパク質1mg当たりのエンドトキシン単位を計算した。in vivoでのマウスにおける最大濃度は5U/mgであった。
【0137】
実施例6:TAG−72タンパク質に対するTAB2.4及びTAB2.5の結合
結合のための抗体を以下のようにコートした。全てのアッセイは高結合能96ウェルプレート(Costar 9018)を用いて行った。BSM(シグマ)を室温で2時間、又は4℃で16時間以上のいずれかの条件で、100μLPBS中10μg/ウェルでコートした。腫瘍抽出物をPBS中1μL/ウェルでコートして、このプレートをインキュベーター内において25℃で、O/Nを用いて乾燥した。腫瘍抽出物はいくつかのLS174Tマウス由来異種移植片のプールから生成された。腫瘍プールはT−per(ピアス、製品番号#78510)(腫瘍100mg当たり1mL)を用いて処理し、Halt プロテアーゼインヒビター(ピアス、製品番号#78410、100X)を1X濃度で添加し、腫瘍をホモジナイズした。このT−per懸濁液を室温で20分間振とうして、細胞を再懸濁し、15分間、10,000rpmで遠心分離した。この懸濁液を腫瘍抽出物(TE)として収集し、分割して−80℃で貯蔵した。細胞溶解物のタンパク質濃度を決定するためにBAC(バイオラド)アッセイを行った。市販のヒト由来液体(バイオプロセシング社、43,504U/mLストック)から精製されたTAG−72から精製された抗原CA72−4について、1/1000希釈物の100μLを4℃で16時間PBS中でコートした。コートの後、ウェルをPBSTで3回洗浄し、200μLPBSTで2時間ブロッキングを行った。各種濃度のTAB分子をPBS中100μLの最終濃度になるように添加し、室温で振とうしながら、2時間インキュベーションした。未結合物質をPBSTで3回洗浄し、結合TABを200μLのニトロセフィン溶液を添加することにより検出し、490nmで15分間検出した。
【0138】
TAB2.5結合は、TAG−72抗原に対して全て試験した。抗原及びCA72−4抗原に依存して変化する結合シグナルはBSM及び腫瘍抽出物(TE)と比較して低い結合シグナルを呈した(図11)。TAB2.4及びTAB2.5は同様の親和性でコートされたBSMに結合し(図12)、同様のオフレートを呈した(図13)。全てのケースにおいて、結合シグナルの飽和は試験されたTABの最高濃度においても見られなかった。
【0139】
競合アッセイも行った。BSM又は腫瘍抽出物(TE)を上で説明したように96ウェルプレートにコートした。このウェルを洗浄及びブロッキングした後、5000UのTABをPBST中最終容量が100μLになるように各種濃度で添加した。用いたコンペティターはBSM(シグマ, 分子量150KDa)、STnビオチン標識マルチマー(TAG−72, グリコテック、製品番号 #01−059)、LS174T細胞からの腫瘍抽出物 (TE)及びCA72-4(バイオプロセシング)であった。ビオチン標識されたSTnマルチマーはTAG−72の精製合成形態であり、TAB抱合体により認識される。存在しているコンペティターの中のTAB2.5を撹拌しながら、室温で2時間インキュベーションし、未結合物質をPBSTで3回洗浄し、結合TAB2.5に200μLのニトロセフィン溶液を添加し、490nmのODの動態を15分間測定した。図14及び15はBSMがTAB2.5の腫瘍抽出物への結合を抑制し、BSMが、それぞれ、〜300nM及び〜200nMのIC50を有することを示している。BSM又は腫瘍抽出物のいずれかへのTAB2.5の結合は、試験条件下において(腫瘍抽出物については150μL/mLまで、CA72−4については2200U/mLまで、及びSTnについては850mMまで)、腫瘍抽出物、CA72−4、又はSTnにより阻害されなかった。
【0140】
実施例7:チャージ変異体ライブラリーの構築
TAB2.5タンパク質の薬理動態におけるタンパク質の正味電荷のインパクトを研究するために、scFvを基にして、又はβ−ラクタマーゼタンパク質を基にして、増加又は減少した正味電荷を有する4つのライブラリーを構築した。上で述べたマルチ部位クイックチェンジ変異誘発(ストラタジェン、カリフォルニア)プロトコルの変法(例えば、参照により本明細書に援用されるWO04/30085)を用いて、scFvに基づくライブラリーを用いて、TAB2.5の正味電荷を増やした、又は減らしたライブラリー、及び2つのβ−ラクタマーゼに基づくライブラリーを構築した。ライブラリーME384は、アルギニン又はリジン残基を有する特定の非保存正電荷残基の置換により電荷を増やすためにβ−ラクタマーゼにおいて調製された。ME385はアスパラギン酸又はグルタミン酸の置換により、正味電荷を減らすために作成された。ライブラリーME386及びME387は、それぞれ、scFvと同じ方法で、それぞれ正味電荷を増やす又は減らすために調製された。ライブラリーME384及びME385は、表2に示すように、それぞれ、17及び20のリン酸化プライマーを用いて作成された。表3に示すように、それぞれ、14及び15のリン酸化プライマーを用いてライブラリーME386及びME387を作成した。全てのプライマーをHPLCで精製した。4つの個々の反応は、pME374.4をテンプレートとして0.4Mの組み合わせたプライマーの濃度で、構成した。変異誘発及びDpnI消化の後、25μLのPCR反応混合物のうちの1.5μLをE.coliTOp10F’細胞内へ移し、LA+20mg/L CMP+0.1CTXプレート上で選択した。各ライブラリーの96クローンを上で述べたように96ウェルマイクロタイタープレートにおいて発現の改善についてスクリーニングした。
【0141】
表2.TAB2.5タンパク質のベータラクタマーゼ変異誘発に用いたプライマーの配列。プライマーネームは変異させるアミノ酸、その位置、及び意図する変異誘発に対応している(上述の変異させたコドン)。β−ラクタマーゼ変異誘発に用いた全てのプライマーは名前の初めにBがつく。従って、BE5RはArg(R)に変異させるβ−ラクタマーゼの5の位置のGlu(E)に対応する。番号付けは、β−ラクタマーゼの第一残査に基づいている。全てのプライマーはセンス鎖に設計されている。
【表2】

【0142】

【0143】
TAB2.5タンパク質のscFv変異誘発に用いたプライマーの配列。プライマーの名前は軽鎖(L)又は重鎖(H)において変異させるアミノ酸、その位置、及び意図する変異(上で説明する変異されたコドン)に対応する。従って、HD8RはArg(R)に変異させる重鎖の8の位置のAsp(D)に対応する。軽鎖及び重鎖の両方における番号付けはカバット(Kabat)システムに基づいている。全てのプライマーはセンス鎖に設計されている。
【表3】

【0144】

【0145】
実施例8:電荷変異体のライブラリーのスクリーニング
ライブラリーME384、ME385、ME386、ME387の各1つのプレートをLB+10mg/L CMPを育成培地として用いて、培養を30℃、48時間で行った点を除いて上で説明する方法と同様にスクリーニングした。総BLA活性として測定される発現、BSM結合、及びオフレートを全てのクローン及び親TAB2.5について測定した。
【0146】
融合タンパク質及びBLAタンパク質中に3までの電荷反転変異を含む多くの変異体が、TAB2.5に似た形態で発現及び結合していることを確認した。これらの変異体は融合タンパク質のscFvの部分に7つまでの電荷反転変異を含み、良好な発現を示し、親TAB2.5に似た形態で、BSMに結合していることも確認された(図16参照)。更なる解析のために、(親TAB2.5に)似た結合を有し、発現が良好であり、正味電荷の範囲を含むクローンを選択した。これらのクローンに対するB−per抽出物を、30℃で48時間96ウェルプレートを用いて育成した後、(発現及びBSM結合について)4回試験した。更に、クローンを11クローン及びテンプレートTAB2.5に選択した。このクローンの変異体、正味電荷、及び理論上のpIを表4に示す。TB培地を含む25mL振とうフラスコ内で、30℃、48時間で、これらを育成した。発現(BLA活性)、BSM及び腫瘍抽出物(TE)結合、及びオフレート、ウエスタンブロットを用いたインタクトネスを測定し、野生型テンプレートTAB2.5と比較した。結果の概要を表5に示す。この結果は多くのクローンがTAB2.5と同様の特性を有することを示している。
【表4】

【表5】

【0147】
実施例9:TAB2.6の構築及び試験
AmpC又はTAB2.5を約100アミノ酸より小さく、血漿クリアランスに影響するTEM−β−ラクタマーゼで置換した。プラスミドpME381.10はTAB2.5及びβラクタマーゼを交換するのに適した制限部位を含む。TEM−4は、セファロスポリンに対して高い活性を有するプラスミドであるpLITMUS39(ニューイングランドバイオラブ、ベバリー、マサチューセッツ)の変異体から、制限部位PinAI及びNotlを含むプライマー、ME363F(5’−ACTAAATTAGTTCTCAAAACACCGGTGCACCCAGAAACGCTGGTGAAAG−3’)及びME363R(5’−CGTTTGATCTCGAGTGCGGCCGCAAGCTTGTCGACGGAGCTCGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGG−3’)を用いて増幅した。このPCR生成物をクイックチェンジPCR精製キット(キアゲン)を用いて精製し、pME381.10及びPCR生成物をPinAI及びNotIで消化した。約850bpの挿入フラグメント及び4.1kbのベクターフラグメントをゲル精製した。フラグメントをお互いに一晩かけて結合し、精製し、E.coliTOP10F’(インビトロジェン、カールスバーグ、カリフォルニア)内で形質転換し、LA+20mg/L CMPCTXプレート上で選択した。2つのクローンを選択し、配列決定を行った。プラスミドpME382.1をTAB2.6とした。TAB2.6を発現させ、B−per抽出物を上述のように調製した。BLA活性及びBSMへの結合を測定した。TAB2.6は発現したが、観察されたBLA活性はTAB2.5と比較して低かった(10倍未満、データ示さず)。
【0148】
実施例10:TAB2.7の構築及び試験
上述の試験において、ampCの安定化バージョンであるampCでβ−クタマーゼを置換した他のベクターを作成した(Amin, N., Liu,A.D., Ramer,S., Aehle,W., Meijer,D., Metin,M., Wong.S., Gualfetti,P., Schellenberger,V. (2004) Protein Engineering, Design, and Selection, 17, 787−793参照)。プラスミドpME381.10はTAB2.5及びβ−ラクタマーゼを交換するのに適した制限部位を含む。我々の安定化したβ−ラクタマーゼを制限部位PinAI及びNotlを含むプライマー、ME365F(5’−ACTAAATTAGTTCTCAAACACCGGTGTCAGAAAAACAGCTG−3’)及びME365R(5’−CGTTTGATCTCGAGTGCGGCCGCAAGCTTGTCGACGGAGCTCGTTACTGTAGCGCCTCTAGGATATGG−3’)を用いて、プラスミドpNA04.17からPCR増幅した。このPCR生成物をクイックチェンジPCR精製キット(キアゲン)を用いて精製し、pME381.10及びPCR生成物をPinAI及びNotIで消化した。約1.1kbの挿入フラグメント及び4.1kbのベクターフラグメントをゲル精製した。フラグメントをお互いに一晩かけて結合し、精製し、E.coliTOP10F’(インビトロジェン、カールスバーグ、カリフォルニア)内で形質転換し、LA+20mg/L CMPCTXプレート上で選択した。2つのクローンを選択し、配列決定を行った。プラスミドpME382.1をTAB2.7とした。
【0149】
TAB2.5及びTAB2.7を25mLの振とうフラスコ培地で育成し、B−per抽出物を調製した。TAB2.7の発現はTAB2.5よりも5倍高かった。
【0150】
両分子のプロテアーゼ安定性を試験した。セルモリジンプロテアーゼをイミダゾール/HCL緩衝液中で2.5mg/mLの濃度になるように、ストック溶液を調製した。このストック溶液を5倍希釈し、500μg/mL、100μg/mL、20μg/mL、及び4μg/mL、0μg/mLの一連の濃度のセルモリジンプロテアーゼ溶液を調製した。87μLの各抽出物に各濃度のセルモリジンを含む800μLの緩衝液に添加し、ウォーターバス内で37℃1時間インキュベーションした。
【0151】
このプロテアーゼをその後、200μLの10mM EDTAで失活させた。全てのサンプルを、サンプル20μLのサンプルを180μLのニトロセフィン基質に添加することにより残余BLA活性を調べた。これらのプレートは5分間490nmにおいてスキャンされ、活性挙動を調べた。これらのサンプルは、上で説明したように、残余BSM結合活性と比較された。この分子のBALタンパク質はこのアッセイを行うには、不安定すぎるのでBSM結合はプロテアーゼ処理されたTAB2.5では測定されなかった。
【0152】
TAB scFv上のプロテアーゼの効果を試験するために、TAB2.5と同様のscFvを有するけれども、より安定なBALを有するTAB2.7を試験した。図17に示すように、TAB2.7におけるBLAの安定化バージョンは、説明したように、TAB2.5のBLAよりもよりプロテアーゼに対して安定である。TAB2.7のBSMに対する結合は、2.5mg/mLの濃度のセルモリジンで試験を行うまで影響されなかった(図18参照)。このデータはTAB2.7の他にTAB2.5のscFvタンパク質が融合タンパク質のBLAタンパク質よりもセルモリジン処理に対してより安定であることを示している。
【0153】
実施例11:scFvの軽鎖及び重鎖の間のシステイン結合
TAB2.7を安定化するために、我々は、軽鎖及び重鎖の各鎖のシステインを置換することにより、scFvの軽鎖及び重鎖の間にジスルフィド結合を作成した。ジスルフィド結合の位置は、タンパク質のモデリングにより決定した(例えば、V.S. Dani, C. Ramakrishnan and R. Varadarajan (2003) Protein Engineering 16, 187−193参照)。プラスミドpME388.1(TAB2.7)を前述のマルチ部位クイックチェンジ変異誘発(Multi−site Quikchange Mutagenesis)(ストラタジェン、カリフォルニア)の変法を用いて修飾した(例えば、参照により本明細書に援用される WO US 04/30085参照)。pME388.1を用いて、それぞれ100ngの2つのリン酸化プライマーを用いて反応を設定した。軽鎖Leu46をCysで置換するためのプライマーはTABLL46C;5’−[Phos]CAGTCTCCTAAATGCCTGATCTATTGGGCCTCTAC―3’であり、重鎖Ala101をCysで置換するためのプライマーはTABHA101C;5’−[PhOS]AGCCTTAACATGTGCTATTGGGGTCAAGGGACCAGC−3’である。変異誘発及びDpnI消化の後、25μLのPCR反応混合物のうちの1.5μLをE.coliTOP10F’細胞内で形質転換し、LA+20mg/L+0.1mg/L CTXプレート上で選択した。30クローンが得られ、そのうちの12について配列決定を行った。これらのクローンの配列は、4つの変異を含むが(3 lL46C、1 hA101C)、どの配列も両者を有してはいなかった。クローンpME395.1(hA101C)を100ngのTABLL46Cのみを用いた新たな変異誘発のラウンドのために選択した。この反応を上せ説明したように行い、12のクローンを得た。12クローン全てを配列決定のために選択し、pME403.3が追加的なシステインを有することを確認した。この構築物を安定性及び発現のための更なる試験に用いた。
【0154】
上で説明するように、この変異体を発現させ、B−per抽出物を調製した。BLA活性及びBSMに対する結合を測定した。pME403.3は良好に発現したが、TAB2.7より〜35%より低かった。B−per抽出物は35%のインタクトタンパク質を含んでいた。TAB2.7では85%であった(データ示さず)。コートされたBSMに対す津結合親和性は〜40倍まで低められていた(図19参照)。従って、このデータはIL46及びhA101残査をシステインに変異させることがタンパク質の安定性及び結合親和性に影響することを示している。このプロトコルに従って、より多くの変異体を設計し、試験することができるであろう。
【0155】
実施例12:TAB2変異体の熱安定性
DSCサーモグラフをマイクロキャル社のVP DSCを用いて収集した。緩衝液条件は、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4及びタンパク質濃度はBLA活性に基づいて〜0.7mg/mlであった。データを、90℃/時間のスキャン速度で、25℃乃至90℃の温度において収集した。TAB2.5はTAB2.4よりもより安定であり(〜2℃)、凝集の傾向が少なかった(図20参照)。熱転位はより広く、熱コーペラティブ(cooperative)はより少なかった。
【0156】
実施例13:TAB2.5の免役組織学的研究
TAB2.5の免役組織学的研究をAccumax A301バージョンの癌アレイ及びA203台帳癌アレイ(ペンタゲン)上で以下の手順を用いて行った:
・ Histo−Clear、2Xで5分間(ナショナルダイアグノスティック、製品番号#HS−200)を用いた脱パラフィン化(5分を2回)、
・ 一連の濃度の異なるエタノールを用いて脱水を行う(100%、95%、75%、50%、エタノール、脱イオン水にそれぞれ2分間浸す)、
・ 熱ベース抗原リトリバル(retrieval)(30分、1mMEDTA、pH8.0、90℃)
・ 1%ヤギ血清を含むPBSで20分間切片をインキュベーションする、
・ DAKO ペルオキシダーゼブロッキング溶液を用いて内性ペルオキシダーゼをブロックする(10分)、
・ スライドをTBS中で1分間洗浄
・ TAB2.5で30分間切片をインキュベートする(10μg/mL、1%ヤギ血清を含むPBSで希釈)、
・ スライドをTBSで5分間洗浄する、
・ ROPO2で切片を30分間インキュベーションする(例えば、参照により本明細書に援用されるUnited States serial number 60/636,002参照)(1%ヤギ血清を含むPBSで希釈した0.15μg/mL、抗−BLAラビットポリクローナル)
・ スライドをTBS中で5分間洗浄
・ DAKO抗ラビット抗体で30分間切片をインキュベーションする(DakoCytomation Rabbit Envision+System−HRP, DAB, catalog # K4010)
・ スライドをTBSで5分間洗浄
・ DAKO ペルオキシド基質溶液中で切片を所望の染色状態になるまで、3−5分間インキュベーションする
・ 脱イオン水でスライドをすすぐ
・ ヘマトキシリン(haemotoxylin)で対比染色、ゴミとり、及びマウント。
【0157】
各種癌アレイを用いて、IHCによるTAB2.5組織結合の初期の評価において、1つの大腸癌に対して強力なシグナルが観察され、子宮癌及び胃癌切片に対して弱いシグナルが確認された。一方正常組織には結合しなかった(図21参照)。大腸癌組織アレイにおいて、中程度から非常に強力な範囲の幾つかのヒト大腸癌の陽性TAB2.5染色が観察された(図22参照9)。大腸癌のサンプルの1つの拡大図を示す(図23参照)。
【0158】
実施例14:ヒト結腸直腸癌を異種移植したマウスモデルにおけるTAB2.4の薬理動態及び分布
18−22g、約6―10週齢のNcr胸腺欠損雌マウスの皮下に約2百万個のLS174Tヒト結腸直腸癌細胞を移植した。LS174T細胞は、マウスを用いて生産され、再分離して生産され、ATCCから入手した。腫瘍が約200−300mmになった30の動物に尻尾の静脈からTAB2.4(1mg/kg)を1回静脈注射を行った。投与前、投与後2分、15分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間及び72時間後にそれぞれ3匹のマウスを麻酔し、殺した。8時間、24時間、48時間及び72時間の群の各マウスより腫瘍を採取し、液体窒素中で凍結し、解析に用いるまで約―70℃で貯蔵した。血液を心臓採血により採取し、EDTAをコートしたチューブに入れた。血液サンプルを遠心分離し、プラズマを分離し、プラズマを解析まで−70℃で保存した。
【0159】
組織サンプルをPBS中15μg/mLアプロチニン(2ml緩衝液/グラム組織)を含むPBSで氷上でホモジナイズした。ホモジネートをT−per(1:1)(ピアス)で混合して、遠心分離した。組織上清中のTAB2.4濃度を、以下のように、捕捉BLAニトロセフィンアッセイを用いて、β−ラクタマーゼ活性(BLA)を測定することにより、決定した:
1. 高結合容量(HBC)プレート(Costar #9018)を5μg/mLのチキンポリクローナル抗―BLA抗体(PAS 3313/3314)、で1ウェル当たり100μL、O/N4℃においてコートする;
2. このプレートを1XPBS/0.05%Tween−20(PBST)で3回洗浄する;
3. このプレートを1ウェル当たり250μLのPBS中のブロッカーカゼイン(Pierce #37528)で、緩やかに振とうしながら室温において2時間、ブロッキングを行う;
4. このプレートをPBST で3回洗浄する;
5. 20μLのプラズマサンプル又は組織サンプルを各ウェルに添加する、その後、1ウェル当たり80μLのブロッカーカゼインで希釈し、緩やかに振とうしながら、室温で2時間インキュベーションする;
6. PBSTで6回洗浄する;
7. 1ウェル当たり200μLのニトロセフィン基質溶液を添加する;
8. 15分間490nmで読み取る。
【0160】
この試験の結果は、TAB2.4がプラズマ中から急速に消失し、TLS174T腫瘍に位置することを示している(図24参照)。TAB2.4濃度の血液に対する腫瘍の高い割合が達成され維持されていた。
【0161】
実施例15:非腫瘍スプラジードーリー(Sprague Dawley)雄ラットにおけるTAB2.5の薬理動態
300−350g、6―8週齢の3匹のスプラジードーリー(Sprague Dawley)雄ラットの大腿静脈にカテーテルを挿入し、TAB2.5(1mg/kg)を1回の静脈注射により投与した。血液サンプルを、投与前、投与後2分、5分、15分、30分、1重量%間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び48時間後に頚静脈カテーテルを介して収集してEDTAコートチューブに移し、遠心分離してプラズマを分離した。このプラズマを解析に用いるまで−70℃で処理した。
【0162】
プラズマTAB2.5濃度を前述のBLAニトロセフィンアッセイにより決定した。この試験から得られた結果は、静脈注射に続き、プラズマTAB2.5の分布は0.63時間の急速分布t1/2α、その後の6時間における緩やかな収束t1/2βの2極性の分布有することを示す(図25参照)。薬物暴露の50%以上が1時間以内に起こっていた。薬物消去は0.27mL/分であり、分布の容量(16mL)はプラズマ容量と同様であった。
【0163】
実施例16:ヒト結腸直腸癌を異種移植したマウスモデルにおけるTAB2.5の効果
18−22g、約6−8週齢のNcr胸腺欠損ヌードマウスの皮下に、約5百万個のLS174Tヒト結腸直腸癌細胞を移植した。LS174T細胞は、マウスを用いて生産され、再分離して生産され、ATCCから入手した。腫瘍が約50−150mm3になった動物は、腫瘍のサイズ有意差が生じないように無作為抽出して2つのグループに分けた。この動物に賦形剤(グループ1)又はTAB2.5(1mg/kg、グループ2)を投与した。24時間後、TAB2。5を投与した動物にGC―Melを150mg/kg投与した。全ての薬物は尻尾の静脈を介して1回の静脈注射により投与した。腫瘍を2週間測定した。各グループの平均腫瘍容量を経時的にプロットした(図26)。この図は、150mg/kgのプロドラッグGC−Melと組み合わせて投与した1mg/kgのTAB2.5がヒト結腸直腸癌のマウスモデルにおいてTLS174T腫瘍細胞の成長抑制することを示した。
【0164】
実施例17:TAB2.8の構築
TAB2.8はampC(Enterobacter cloacae)β−ラクタマーゼに融合しているscFvを含む。このscFvはTAB2.5scFv(vH−リンカー−LV)に基づいているが、軽鎖及び重鎖が反転している(LV−リンカー−vH)。反転している鎖を含むscFvはDNA2.0(Menlo PArk)により合成され、それぞれの鎖の5’及び3’に隣接するNcoI及びPinAI制限部位も含む。pME381.10(TAB2.5クローンベクター)及び合成された遺伝子(pG0093)をNcoI及びPinAIで切断した。約784bpの挿入フラグメント及び4.4kbのベクターフラグメントをゲル精製した。これらのフラグメントをお互いに一晩かけて結合し、E.coliTOP10F’(インビトロジェン、カールスバーグ、カリフォルニア)コンピテント細胞内で形質転換し、LA+Cm20+0.1 CTXプレート上で選択した。2つのコロニーを選択し、配列決定を行い、プラスミドpME411.1をTAB2.8と称した。
【0165】
TOP10F’中のTAB2.8及びTAB2.5を600mlのTB−10μg/mlcmp中で30℃で48時間育成した。この培養物を15分間、10,000rpmで遠心分離し、細胞溶解物を50mlB−perで、60分間、室温で処理し、その後に15分間遠心分離することにより回収した。TABタンパク質を5mlのPBAカラムを用いて前述のように精製した。20μL〜5mg/mLのPBA精製物質を解析用サイズ排除カラム(SEC, Phenomenex Biosep−SEC−S 3000; 600x7.8mm)に付加し、カラムを1mL/分のPBSを流してモノマーを精製した。モノマーピークは自動的に16.5分乃至17.5分の溶出物の間に収集された。TAB2.5及びTAB2.8のモノマーは上述のようにコートされたBSM及び腫瘍抽出物(TE)に対する結合アッセイにおいて比較された。
【0166】
実施例18:TAB2.8結合
結合BLA活性は、図27に示すようにKを決定するために、TABフリーの濃度に対してプロットされた。1つの部位への結合に対するGrapit ver.3.01カーブフィットツールソフトウェアを用いてKを測定した。TAB2.5及びTAB2.8はコートされたBSMに対しては、それぞれ、45及び9.9nM、及びTEに対してはそれぞれ19及び4.1nMのKを有していた。両方のケースにおいて、TAB2.8はTAB2.5よりも〜4倍よりよい結合を示した。このことは、TAB2.8におけるLV−VHオリエンテーションがTAB2.5におけるVH−LVよりも良いことを示している。TAB2.8の発現はTAB2.5に対して約2倍高かった。
【0167】
好適な態様を用いて本発明を説明してきたが、当業者は開示の態様の各種変更を容易にすることができ、そのような変更された発明も本発明の範囲内であることは明らかである。当業者は本明細書が、本発明の目的を達成するために適しており、最終製品及び利益を実行するのに充分に記載されていることを理解するだろう。分子複合体及び方法、手順、処理、分子及び特定の化合物は好適な態様の代表例である、例示であり、本発明をこれらに限定することは意図しない。様々な置換及び修飾は、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに行われることは当業者に理解されるだろう。
【0168】
本明細書で言及する全ての特許及び刊行物は本発明が属する分野における当業者のレベルを示すために用いる。全ての特許及び刊行物は、明確に及び別個に参照により本明細書に援用される範囲において、参照により本明細書に援用される。
【0169】
本発明の好ましい態様を説明したけれども、当業者は開示された態様の明らかな各種変更をすることができ、そのような変更は本発明の範囲内であることは理解されるであろう。
【0170】
当業者は、本明細書において述べたほかに、言及した目的、結果及び利益を得るために本発明が適していることを理解する。本明細書で述べた組成物及び方法は、好適な態様であり、例示であり、本発明をこれらの態様に限定することを意図しない。当業者にとって、本発明の範囲の精神を逸せずに、本発明の各種置換及び変更をなし得ることは明らかである。
【0171】
例示的に本明細書において開示された本発明は、本明細書において特定されていない任意の構成要素又は限定がなくても実施することができる。用いた文言及び表現は、説明のための言葉であり、限定をするための言葉ではない。それらの特徴を示す、又は説明する又はその一部分に等しいものを含むそのような文言及び表現の使用を意図するものではない。しかし、特許請求の範囲内における可能な変更は意図される。したがって、本発明は好ましい態様により説明されるけれども、ここで開示されたコンセプトの任意の特徴、修飾、及び変更は当業者によりなされ、そのような修飾の変更は本明細書において開示する特許請求の範囲内であると考えられる。
【0172】
本発明は幅広く一般的に説明されている。包括的な開示の範囲内に当たる各下位概念も本発明の一部を形成する。このことは、削除された物質が本明細書に記載されているかどうかに関わらず、類概念から任意の主題を削除した条件付け又は負の限定を伴う、本発明の包括的な説明を含む。
【図面の簡単な説明】
【0173】
【図1A】図1AはTAB2.4(配列番号8)のアミノ酸配列を示す。vH及びvL配列を下線、及びvH及びvLの間のリンカーを太字で示す。
【図1B】図1BはCC49(配列番号3)のタンパク質配列を示す。
【図1C】図1CはTAB2のBLA分部分を定義する。
【図1D】図1DはTAB2.1(配列番号6)のアミノ酸配列を示す。
【図1E】図1EはTAB2.1(配列番号5)のDNA配列を示す。
【図1F】図1FはTAB2.4(配列番号8)のアミノ酸配列を定義する。
【図1G】図1GはTAB2.4(配列番号7)の核酸配列を定義する。
【図1H】図1HはTAB2.5(配列番号10)のアミノ酸配列を定義する。
【図1I】図1IはTAB2.5(配列番号9)の核酸配列を定義する。
【図1J】図1JはTAB2.6(配列番号12)のアミノ酸配列を定義する。
【図1K】図1KはTAB2.6(配列番号11)の核酸配列を定義する。
【図1L】図1LはTAB2.7(配列番号14)のアミノ酸配列を定義する。
【図1M】図1MはTAB2.7(配列番号13)の核酸配列を定義する。
【図1N】図1NはpME403.3タンパク質(配列番号18)のアミノ酸配列を定義する。
【図1O】図1OはpME403.3タンパク質(配列番号17)の核酸配列を定義する。
【図1P】図1PはTAB2.8分子(配列番号16)のアミノ酸配列を定義する。
【図1Q】図1QはTAB2.8分子(配列番号15)のアミノ酸配列を定義する。
【図2A】図2AはコートされたBSMへの結合に関するスクリーニングデータを示す。 このデータは実施例4で定義される、ライブラリーME367(上段)及びME368(下段)由来クローンの試験結果を示す。X軸はコロニー番号を示し、Y軸はBLA結合を示す。
【図2B】図2BはコートされたBSMへの結合に関するスクリーニングデータを示す。 このデータは実施例4に記載の、ライブラリーME367(上段)及びME368(下段)由来クローンの試験結果を示す。X軸はコロニー番号を示し、Y軸はBLA結合を示す。
【図3】図3は実施例4に記載の、ライブラリーME367及びME368由来クローンの前記スクリーニングデータと配列決定の統計的解析を示す。
【図4】図4は実施例4に記載の、ライブラリーME374, ME375及びME377由来クローンのBLA活性に対する結合のスクリーニングデータを示す。ライブラリー中の多くのクローンは野生型TAB2.4であり、四角で示す。X軸は導入されたBLA活性を示す。Y軸はBSM−抗原結合単位を示す。右に位置するクローンほどBLA活性が高く、平均ダイアゴナル(diagonal)より高い位置にあるクローンは、コートされたBSMによく結合する傾向を示す。従って、BLA活性のアウトプット/インプットの割合が平均より高くなる。差込み図は用いたクローンコードを示す。
【図5】図5は実施例4で説明する、ME374, ME375 及びME368からのライブラリークローンのスクリーニングデータに対する配列決定の統計的解析を示す。X軸はクローンの番号を示す。Y軸はパラメータを示す(統計アルゴリズムについては、 Amin, N., A. D. Liu, S. Ramer, W. Aehle, D. Meijer, M. Metin, S. Wong, P. Gualfetti and V. Schellenberger (2004) Protein Eng Des SeI 17, 787−93, Construction of Tabilized proteins by combinatorial consensus mutagenesis参照)。
【図6】図6は 実施例4で説明する、TAB2.4コンセンサス組合せ変異誘発からの22クローンのスクリーニングを示す。データは、TAB2.4野生型に対する発現、BSM結合、又はオフレートの比を示す。1より大きい値はクローンが親TAB2.4よりもよりよい発現、BMS結合を有することを示す。一方、1より小さい値は、クローンが、低い発現、BSN結合又はオフレートを有することを示す。X軸はクローン番号を示す。Y軸は、野生型に対してスクリーニングされた変異体を示す。
【図7】図7は実施例4で定義する、組合せ変異誘発ライブラリースクリーニングからの変異体クローンの25ml振とうフラスコ内における発現を示す。X軸はクローン番号を示す。Y軸はBLA活性を示す。
【図8】図8は実施例4で定義する、組合せコンセンサス変異誘発ライブラリーからの各種TAB2.4変異体に対する抗BLA抗体を用いたウエスタンブロットを示す。上方のパネルはウエスタンブロットを示す。下方のパネルは各クローン中に存在する突然変異を定義しているチャートを含む。
【図9】図9は実施例4で定義する、コートされたBSMへの各種TAB変異体の結合を説明する。X軸はBLA活性を単位で示す。Y軸はBSM抗原結合単位を示す。差込み図は用いたクローンコードを示す。
【図10】図10は実施例5で定義するエンドトキシン除去後のTAB2.4の精製モノマーのDSD−APGEを示す。レーン1は分子量マーカー、レーン3−4は精製TAB2.4を示す。
【図11】図11は実施例6で説明するコートされた各種TAG−72抗原に対するTAB2.5の結合を示す。x軸は添加されたBLAを単位で示す。y軸は、結合したBLAを示す。
【図12】図12は実施例6で説明するコートされたBSMへの TAB2.4及びTAB2.5結合を示す。X軸は添加したBLAを示す。Y軸は結合BLAを示す。
【図13】図13は実施例6で説明するコートされたBSMに対するTAB2.4及びTAB2.5のオフレートの測定結果を示す。X軸は時間を示す。Y軸は結合フラクションを示す。
【図14】図14は実施例6で説明する、BSM、TE、CA72−4及びTAG−72マルチマーにより、コートされた腫瘍抽出物(TE)に対するTAB2.5の競合結合を示す。X軸は個々のタンパク質を示す。Y軸は結合パーセントを示す。
【図15】図15は実施例6で説明する、BSM、TE、CA72−4及びTAG−72マルチマーを用いた、コートされたBSMに対するTAB2.5の競合結合を示す。X軸は個々のタンパク質を示す。Y軸は結合パーセントを示す。
【図16】図16は実施例8で説明する、ME384−ME387ライブラリー由来クローンの活性のインプットに対する結合のスクリーニングデータを示す。ライブラリー中の多くのクローンは親TAB2.5クローンであり、黒四角で示す。TAB2.5の平均にできるだけ近いクローンを選択した。X軸はBLAインプットを示す、Y軸はBSM結合を示す。差込み図は各クローンを示す。右側に位置するクローンはBAL活性の高いものを示し、平均ダイアゴナル(diagonal)よりも高いクローンは、コートされたBSMによりよく結合する傾向がある。従って、BLA活性のアウトプット/インプットが平均よりも高い。
【図17】図17は実施例10で説明する、TAB2.5及びTAB2.7のBLA活性における、37℃、1時間のサーモリシン処理の影響を示す。X軸は添加したプロテアーゼを示す。Y軸は残余BLA活性のフラクションを示す。TAB2.5は白丸で示す。TAB2.7は黒丸で示す。差込み図は用いたクローンコードを示す。
【図18】図18は実施例10で説明する、コートされたBSMに対するTAB2.7の結合における37℃、1時間のサーモリシン処理の影響を示す。X軸は添加したBLAを示す。Y軸は結合しているTAB2.7を示す。
【図19】図19は実施例11で説明する、コートされたBSMへのTAB2.7及びpME403.3の結合を示す。X軸は添加されたBLAを示す。Y軸はBSM結合を示す。
【図20】図20は実施例12で説明する、TAB2.4及びTAB2.5の示差走査熱量測定(DSC)のサーモグラムを説明する。X軸は温度を℃で示す。Y軸はCP(cal/℃)を示す。
【図21】図21は実施例13で説明するAccumax A301各種癌アレイ(Pentagen)におけるTAB2.5の免役組織染色を示す。
【図22】図22は実施例13で説明する、Accumax A203大腸癌アレイ(Pentagen)におけるTAB2.5の免役組織学染色を示す。
【図23】図23は実施例13で説明する、Accumax A203ヒト大腸癌アレイ(Pentagen)におけるTAB2.5の免役組織染色の拡大図を示す。
【図24】図24は実施例14で説明するマウスにおけるTAB2.4の濃度−時間プロファイルを示す。X軸は時間を示す。Y軸はTAB2.4の濃度をμg/mlで示す。
【図25】図25は実施例15で定義するラットにおけるTAB2.5の結晶中濃度−時間プロファイルを示す。各ラットに投与した実際の濃度は、ラット1=0.85 mg/kg、ラット2=0.8 mg/kg 及びラット3=0.4 mg/kgである。X軸は時間を示す。Y軸はTAB2.5の濃度をμg/mlで示す。
【図26】図26は実施例16で定義するLS174T異種移植マウスモデルにおけるTAB2.5の効果を示す。X軸は時間を日で表す。Y軸は腫瘍体積をmm3で示す。
【図27】図27は実施例18で示すTAB28の結合を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の酵素を抱合する抗体又は抗体フラグメントを含むTAG−27を誘導するTAB分子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図1L】
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【図1M】
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【図1N】
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【図1O】
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【図1P】
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【図1Q】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2008−539237(P2008−539237A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508952(P2008−508952)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/015082
【国際公開番号】WO2006/116076
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】