TGR5モジュレーターおよびその使用方法
本発明は、式Aの化合物:(A)またはその塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体に関する。式Aの化合物は、疾患の予防および治療のために有用なTGR5モジュレーターである。具体的には、本発明の化合物は、C−16位において置換基を有するケノデオキシコール酸の類似体である。本発明には、本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が含まれる。本発明には、疾患を治療または予防する方法において使用するための化合物または組成物が含まれ、この方法は、本発明の化合物を投与することを含む。本発明には、疾患を治療または予防する方法のための医薬の製造における本発明の化合物の使用が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年11月19日出願の、欧州特許出願第08169460.6号に対して優先権を主張し、その内容が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、TGR5を調節する化合物、ならびに疾患の治療および予防のための方法において有用なこのような化合物を含有する組成物に関する。具体的には、本発明の化合物は、C−16位において置換基を有するケノデオキシコール酸の類似体である。
【背景技術】
【0003】
TGR5受容体は、胆汁酸(BA)に応答する細胞表面受容体として同定されてきたGタンパク質共役受容体である。TGR5の一次構造および胆汁酸へのその応答性は、ヒト、ウシ、ウサギ、ラット、およびマウスにおいてTGR5中で高度に保存されていることが見出されており、したがって、TGR5は重要な生理機能を有することが示唆されている。TGR5は、リンパ組織だけでなく、他の組織において広範に分布していることが見出されてきた。高レベルのTGR5mRNAは、胎盤、脾臓、および単球/マクロファージにおいて検出されてきた。胆汁酸は、細胞膜から細胞質へのTGR5融合タンパク質の内部移行を誘発することが示されてきた。非特許文献1。TGR5は、hGPCR19と同一であることが見出されてきた(非特許文献2による報告)。
【0004】
TGR5は、多様な細胞型において広範に発現しているcAMPの細胞内蓄積と関連している。マクロファージにおけるこの膜受容体の活性化は、炎症性サイトカイン生成を減少させる一方(非特許文献1)、脂肪細胞および筋細胞におけるBAによるTGR5の刺激は、エネルギー支出を増大させる(非特許文献3)。この後者の作用は、2型ヨードチロニン脱ヨード酵素(D2)のcAMP−依存性誘発を伴い、これはT4をT3に局所的に変換することによって、甲状腺ホルモン活性の増加をもたらす。エネルギー代謝の制御におけるTGR5の役割と一致して、雌性TGR5ノックアウトマウスは、高脂肪食に曝露されたときに体重増加を伴う有意な脂肪蓄積を示し、これは、TGR5の欠乏がエネルギー支出を減少させ、肥満症を誘発することを示す(非特許文献4)。エネルギー恒常性におけるTGR5の関与に加えて、およびそれと一致して、膜受容体の胆汁酸活性化によってまた、マウス腸内分泌細胞系におけるグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)の生成が促進されることが報告されてきた(非特許文献5)。上記の観察全てに基づいて、TGR5は、代謝性疾患、例えば、肥満症、糖尿病(I型およびII型)、異脂肪血症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、ならびに代謝症候群の治療のための魅力的な標的である。
【0005】
僅かな例のTGR5アゴニストが、今までに文献において記載されてきた。最近、ケノデオキシコール酸の23−アルキル−置換および6,23−アルキル−二置換誘導体(下記に示す6α−エチル−23(S)−メチル−ケノデオキシコール酸など)は、TGR5の強力および選択的なアゴニストとして報告されてきた(非特許文献6)。
【0006】
【化1】
特に、天然BAのC23−(S)位におけるメチル化は、FXR(ファルネソイドX受容体)活性化よりも、顕著な選択性をTGR5に与え、一方では、6α−アルキル置換は、両方の受容体において作用強度を増加させる。他のTGR5アゴニストには、6−メチル−2−オキソ−4−チオフェン−2−イル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピリミジン−5−カルボン酸ベンジルエステル(特許文献1、武田薬品工業株式会社、日本、2004年)およびオレアノール酸(oleanoic acid)が含まれる(非特許文献7;Ito, F.; Hinuma, K.; Kanzaki, N.; Miki, T.; Kawamata, Y.; 0i, S.; Tawaeaishi, T.; Ishichi, Y.; Hirohashi, M.、Preparation of aromatic ring−fused cyclic compounds as TGR5 receptor agonists. PN:特許文献1、2004年。より最近では、鏡像異性のケノデオキシコール酸(CDCA)およびリトコール酸(LCA)の初めての合成によって、天然BAとTGR5との相互作用の特異性の評価が可能となった(非特許文献8)。
【0007】
これらの化学ツールはBAの遺伝子性対非遺伝子性作用の薬理学的差異を初めて提供する一方、それらのいくつかは、最初の構造活性相関研究を描くことをまた可能にし、TGR5における付属結合ポケットの存在は、リガンド選択性の決定において極めて重要な役割を果たす(非特許文献6)。これに関連して、より強力および選択的なTGR5モジュレーターを利用できることは、受容体活性化に影響を与えるさらなる特徴をさらに同定し、この受容体の生理および薬理作用を特性決定するのに必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第004067008号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kawamata, Y.; Fujii, R.; Hosoya, M.; Harada, M.; Yoshida, H.; Miwa, M.; Fukusumi, S.; Habata, Y.; Itoh, T.; Shintani, Y.; Hinuma, S.; Fujisawa, Y.; Fujino, M.、A G protein−coupled receptor responsive to bile acids、J. Biol. Chem.、2003年、278号、9435〜9440頁
【非特許文献2】Takedaら、2002年、FEBS Lett.、520号、97〜101頁
【非特許文献3】Watanabe, M.; Houten, S. M.; Mataki, C.; Christoffolete, M. A.; Kim, B. W.; Sato, H.; Messaddeq, N.; Harney, J. W.; Ezaki, 0.; Kodama, T.; Schoonjans, K.; Bianco, A. C.; Auwerx, J.、Bile acids induce energy expenditure by promoting intracellular thyroid hormone activation、Nature、2006年、439号、484〜489頁
【非特許文献4】Maruyama, T.; Tanaka, K.; Suzuki, J.; Miyoshi, H.; Harada, N.; Nakamura, T.; Miyamoto, Y.; Kanatani, A.; Tamai, Y.、Targeted disruption of G protein−coupled bile acid receptor 1 (Gpbarl/MBar) in mice、J. Endocrinol.、2006年、191号、197〜205頁
【非特許文献5】Katsuma, S.; Hirasawa, A.; Tsujimoto, G.、Bile acids promote glucagon−like peptide−1 secretion through TGR5 in a murine enteroendocrine cell line STC−1、Biochem. Biophys. Res. Commun.、2005年、329号、386〜390頁
【非特許文献6】Pellicciari, R.; Sato, H.; Gioiello, A.; Costantino, G.; Macchiarulo, A.; Sadeghpour, B. M.; Giorgi, G.; Schoonjans, K.; Auwerx, J.、Nongenomic actions of bile acids. Synthesis and preliminary characterization of 23−and 6,23−alkyl−substituted bile acid derivatives as selective modulators for the g−protein coupled receptor TGR5、J. Med. Chem.、2007年、50号、4265〜4268頁
【非特許文献7】Sato, H.; Genet, C.; Strehle, A.; Thomas, C.; Lobstein, A.; Wagner, A.; Mioskowski, C.; Auwerx, J.; Saladin, R.、Anti−hyperglycemic activity of a TGR5 agonist isolated from Olea europaea、Biochem. and Biophys. Res. Commun.、2007年、362号、793〜798頁
【非特許文献8】Katona, B. W.; Cummins, C. L.; Ferguson, A. D.; Li, T.; Schmidt, D. R.; Mangelsdorf, D. J.; Covey, D. F.、Synthesis, Characterization, and Receptor Interaction Profiles of Enantiomeric Bile Acids、J. Med. Chem.、2007年、50号、6048〜6058頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
疾患の治療および予防のためのTGR5モジュレーターを開発することが必要とされている。本発明は、C−16位において置換基を有するケノデオキシコール酸類似体である化合物、および疾患を治療するためにこれらの化合物を使用する方法を同定した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、TGR5受容体の調節に関与する疾患(代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患など)を治療および予防するための化合物、ならびにそれらの使用に関する。具体的には、本発明の化合物は、下記に示すようにD環のC−16位において置換されているケノデオキシコール酸の類似体である。
【0012】
【化2】
一態様において、本発明には、式A:
【0013】
【化3】
を有する化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、
R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、
R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、
R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。
【0014】
別の態様において、本発明には、式B:
【0015】
【化4】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0016】
別の態様において、本発明には、式C:
【0017】
【化5】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0018】
別の態様において、本発明には、式D:
【0019】
【化6】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0020】
別の態様において、本発明には、式E:
【0021】
【化7】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0022】
別の態様において、本発明には、式F:
【0023】
【化8】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、請求項1に記載されている通りである。
【0024】
本発明には、R1がOHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がアルファ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がベータ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R4が非置換アルキルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R4がエチルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R11がヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R12が水素である、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R16がアルファヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R16がベータヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0025】
本発明には、化合物が化合物10である化合物、
【0026】
【化9】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、化合物が薬学的に許容される塩である、化合物が含まれる。
【0027】
本発明には、本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が含まれる。本発明には、疾患を治療または予防する方法において使用するための化合物または組成物が含まれ、この方法は、本発明の化合物を投与することを含む。本発明には、疾患を治療または予防する方法のための医薬の製造における本発明の化合物の使用が含まれる。
【0028】
本発明には、疾患を治療または予防するための医薬の製造における、式A:
【0029】
【化10】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体の使用が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり;R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。本発明には、被験体に、式Aを有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体を投与することによって疾患を治療する方法が含まれる。
【0030】
本発明には、疾患が代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、使用が含まれる。本発明には、化合物または組成物が被験体に経口的、非経口的、静脈内、または局所的に投与される、使用が含まれる。本発明には、被験体がヒトである、使用が含まれる。
【0031】
上記の説明は、下記のその詳細な記載を理解するために、および当技術分野に対する本発明の貢献をより認識するために、本発明のより重要な特徴を広く記載する。本発明の他の目的および特徴は、実施例と併せて考慮すれば、下記の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ベクター単独(V)またはTGR5発現ベクター(TGR5)で過渡的にトランスフェクトされたHEK293T細胞に対して化合物10(図1A)およびLCA(図1B)を使用した、FRETアッセイの結果を示す一連の2つのグラフ(A〜B)である。
【図2】図2は、TGR5発現HEK293T細胞を使用した、化合物10およびLCA(陽性対照)についてのトランス活性化アッセイ(CRE−Lucレポーター)結果を示す一連の2つのグラフ(A〜B)である。
【図3】図3は、腸NC1−H716細胞および陽性対照としてLCAを使用した、化合物10についてのTGR5標的遺伝子発現アッセイの結果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、ヒト腸(NCI−H716)を使用した4時間の刺激の後のATP−放出を測定する化合物10についてのインビトロの細胞毒性試験の結果を示す一連の3つのグラフ(A〜C)である。LCAは、陽性対照である。
【図5】図5は、肝臓(HepG2)細胞系を使用した4時間の刺激後のATP−放出を測定する化合物10についてのインビトロの細胞毒性試験の結果を示す一連の3つのグラフ(A〜C)である。LCAは、陽性対照である。
【図6】図6は、NaCl(0.15M)中の化合物10(mM)の濃度の対数に対してプロットした表面張力を示すグラフである。
【図7】図7は、化合物10を使用して行った十二指腸注入実験についての胆汁流のチャートである。
【図8】図8は、化合物10を使用して行った大腿部注入実験についての胆汁流のチャートである。
【図9】図9は、化合物10を使用して行った大腿部および十二指腸注入実験における時間に対する分泌速度を示すグラフである。
【図10A】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【図10B】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【図10C】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1つまたは複数の本発明の実施形態の詳細を、下記の付随的な記載において記載する。本明細書に記載されているものと同様または等しい任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、方法および材料をこれから記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、記載から明らかであろう。明細書において、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、単数形にはまた複数が含まれる。他に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0034】
一態様において、本発明には、式A:
【0035】
【化11】
の化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシルであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシルであり、R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、またはハロゲンである。一態様において、本発明には、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであり、R16がアルファOHである、化合物が含まれない。別の態様において、本発明は、式Aの化合物または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体を提供し、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。別の態様において、本発明には、化合物
【0036】
【化12】
が含まれない。
【0037】
一態様において、本発明には、式B:
【0038】
【化13】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、上記の通りである。
【0039】
一態様において、本発明には、式Cを有する化合物、
【0040】
【化14】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、上記の通りである。
【0041】
一態様において、本発明には、式D:
【0042】
【化15】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、上記の通りである。
【0043】
一態様において、本発明には、式E:
【0044】
【化16】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、上記の通りである。
【0045】
一態様において、本発明には、式F:
【0046】
【化17】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、上記の通りである。
【0047】
一態様において、本発明には、R1がOHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R1がOHであり、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0048】
一態様において、本発明には、R2がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R2がアルファ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R2がベータ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0049】
一態様において、本発明には、R4が非置換アルキルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R4がエチルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0050】
一態様において、本発明には、R11がヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R12が水素である、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0051】
一態様において、本発明には、化合物10、
【0052】
【化18】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0053】
一態様において、本発明には化合物が含まれ、化合物は、薬学的に許容される塩である。
【0054】
一態様において、本発明には、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体と、少なくとも1種の賦形剤とを含む組成物が含まれる。一態様において、本発明には、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が含まれる。
【0055】
一態様において、本発明には、被験体において疾患を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物または組成物の使用が含まれる。別の態様において、本発明には、本発明の化合物または組成物を投与することによって、被験体において疾患を治療または予防する方法が含まれる。一態様において、本発明には、被験体に投与される治療有効量の本発明の化合物または組成物が含まれる。一態様において、本発明には、投与される予防的有効量の本発明の化合物または組成物が含まれる。
【0056】
一態様において、本発明には、被験体において、TGR5受容体の調節が関与する疾患を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物または組成物の使用が含まれる。本発明には、本発明の化合物または組成物を投与することによって、被験体においてTGR5受容体の調節が関与する疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0057】
一態様において、本発明には、疾患が代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、使用が含まれる。本発明には、代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0058】
一態様において、本発明には、疾患が肥満症、糖尿病、代謝症候群、インスリン抵抗性、高血圧症、および異脂肪血症から選択される代謝性疾患である、使用が含まれる。本発明には、肥満症、糖尿病、糖尿肥満、代謝症候群、インスリン抵抗性、前糖尿病性インスリン抵抗性、高血圧症、および異脂肪血症から選択される代謝性疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0059】
一態様において、本発明には、疾患がアレルギー、骨関節炎、虫垂炎、気管支喘息、膵炎、アレルギー性皮疹、および乾癬から選択される炎症性疾患である、使用が含まれる。本発明には、アレルギー、骨関節炎、虫垂炎、気管支喘息、膵炎、アレルギー性皮疹、および乾癬から選択される炎症性疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0060】
一態様において、本発明には、疾患が関節リウマチ、多発性硬化症、およびI型糖尿病から選択される自己免疫疾患である、使用が含まれる。本発明には、関節リウマチ、多発性硬化症、およびI型糖尿病から選択される自己免疫疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0061】
一態様において、本発明には、疾患が炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、短腸症候群(照射後大腸炎)、顕微鏡的大腸炎、過敏性腸症候群(吸収不良)、および細菌過剰繁殖から選択される胃腸疾患である、使用が含まれる。本発明には、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、短腸症候群(照射後大腸炎)、顕微鏡的大腸炎、過敏性腸症候群(吸収不良)、および細菌過剰繁殖から選択される胃腸疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0062】
一態様において、本発明には、疾患が糖尿病性腎症、慢性腎不全、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎、および多発性嚢胞腎疾患から選択される腎臓疾患である、使用が含まれる。本発明には、糖尿病性腎症、慢性腎不全、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎、および多発性嚢胞腎疾患から選択される腎臓疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0063】
一態様において、本発明には、疾患が結腸直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、腎臓癌、胃癌、膵臓癌、前立腺癌、およびインスリノーマから選択される癌である、使用が含まれる。本発明には、結腸直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、腎臓癌、胃癌、膵臓が癌、前立腺癌、およびインスリノーマから選択される癌を治療または予防する方法が含まれる。
【0064】
一態様において、本発明には、疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、薬剤誘発性肝炎、血色素症、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、門脈高血圧症、胆汁不飽和、ゴーシェ病、ウィルソン病、α1−アンチトリプシン欠損症、完全非経口栄養(TPN)、胆石症、TPNに関連する胆汁鬱滞および敗血症から選択される肝疾患である、使用が含まれる。本発明には、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、薬物誘発性肝炎、血色素症、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、門脈高血圧症、胆汁不飽和、ゴーシェ病、ウィルソン病、α1−アンチトリプシン欠損症、完全非経口栄養(TPN)、胆石症、TPNに関連する胆汁鬱滞および敗血症から選択される肝疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0065】
一態様において、本発明には、心臓疾患がうっ血性心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、狭心症、動脈硬化症および脳血管疾患(出血、脳卒中、脳血管性梗塞)から選択される、使用が含まれる。本発明には、うっ血性心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、狭心症、動脈硬化症および脳血管疾患(出血、脳卒中、脳血管脳性梗塞)から選択される心臓疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0066】
一態様において、本発明には、TGR5受容体の調節が関与する疾患が含まれる。一態様において、本発明には、TGR5アゴニストである化合物が含まれる。一態様において、化合物は、FXRアクチベーターよりも選択的TGR5アゴニストである。
【0067】
一態様において、本発明の化合物または組成物を経口的、非経口的、静脈内、または局所的に被験体に投与する。一態様において、被験体はヒトである。
【0068】
定義
便宜上、明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語を、ここに集める。
【0069】
「治療する」という用語は、本明細書において使用する場合、病態または状態を軽減、緩和、減少、解消、モジュレート、または寛解、すなわち退行をもたらすことを意味する。
【0070】
「予防する」という用語は、本明細書において使用する場合、特に、患者または被験体が病態または状態にかかりやすい、あるいは病態または状態を罹患する危険性があるときに、患者または被験体において病態または状態が起こることを完全にもしくは殆ど完全に阻止することを意味する。予防にはまた、例えば、病態または状態が既に存在し得るとき、病態または状態を抑制し、すなわちその発生を抑止し、病態または状態を軽減または寛解、すなわち退行をもたらすことを含むことができる。
【0071】
本明細書において使用する場合、「アミノ酸抱合体」という用語は、任意の適切なアミノ酸を有する本発明の式の化合物の抱合体を意味する。そのような本発明の式の化合物の適切なアミノ酸抱合体は、胆汁または腸液において増強された完全性という追加された優位性を有するであろう。適切なアミノ酸には、これらに限定されないが、グリシンおよびタウリンが含まれる。したがって、本発明は、本発明の化合物のいずれかのグリシンおよびタウリン抱合体を包含する。
【0072】
本明細書において使用する場合、「BA」とは、胆汁酸および胆汁酸誘導体を意味する。胆汁酸は、コレステロール由来のステロイドカルボン酸である。一次胆汁酸は、コール酸およびケノデオキシコール酸である。体内で、これらの酸は、胆汁中に分泌される前に、グリシンまたはタウリンと抱合する。
【0073】
「アルキル」には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、シクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基が含まれる。特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に6個またはより少ない炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC1〜C6、分岐鎖についてC3〜C6)。いくつかの例において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に4個またはより少ない炭素原子を有する。さらに、シクロアルキルは、それらの環状構造中に3個から8個の炭素原子を有する。
【0074】
「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の少なくとも1個または複数の炭素上の1個または複数の水素原子と置き換えた置換基を有するアルキル部分を意味する。このような置換基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含めた)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含めた)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは芳香族複素部分を含むことができる。
【0075】
「アリール」には、0個から4個のヘテロ原子を含み得る5員および6員の「非共役」または単環の芳香族基、および少なくとも1個の芳香環を有する「共役」または多環式系を含めた、芳香族性を有する基が含まれる。アリール基の例には、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが含まれる。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナプトリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが含まれる。環状構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基はまた、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族化合物」と称し得る。芳香環は、上記のような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含めた)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含めた)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは芳香族複素部分)で、少なくとも1つの環位置において置換されていてもよい。アリール基はまた、多環式系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成するために、芳香族ではない脂環または複素環と縮合または架橋することができる。
【0076】
炭素の数が他に特定されない限り、「低級アルキル」には、上記定義のようなアルキル基が含まれるが、その骨格構造中に1〜10個、例えば、1〜6個の炭素原子を有する。
【0077】
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素またはヘテロ原子を含有する化合物および部分が含まれる。「エステル」という用語には、アルコキシカルボキシ基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなど)が含まれる。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、上記定義の通りである。
【0078】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、−OHまたは−O−を有する基が含まれる。
【0079】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが含まれる。「ペルハロゲン化」という用語は一般に、全ての水素がハロゲン原子で置き換えられている部分を意味する。
【0080】
「アニオン基」とは、本明細書において使用する場合、生理的pHにおいて負に帯電している基を意味する。アニオン基には、カルボキシレート、スルフェート、スルホネート、スルフィナート、スルファメート、テトラゾリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、またはホスホロチオエートまたはその機能的等価物が含まれる。アニオン基の「機能的等価物」は、生物学的同配電子体(bioisostere)、例えば、カルボン酸基の生物学的同配電子体を含むことを意図する。生物学的同配電子体は、古典的な生物学的等価性同等物および非古典的な生物学的等価性同等物の両方を包含する。古典的および非古典的な生物学的同配電子体は、当技術分野において公知であえる(例えば、Silverman, R. B.、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Academic Press, Inc.:San Diego, Calif.、1992年、19〜23頁を参照されたい)。別のアニオン基は、カルボキシレートである。
【0081】
「不安定な官能性」という用語は、不安定な連結、例えば、生理条件下の加水分解または切断の影響を受けやすい官能性または結合を含有する置換パターンを意味する(例えば、中性pH範囲の水溶液)。不安定な官能性の例には、アセタールおよびケタールが含まれる。
【0082】
さらに、本発明の化合物、例えば、化合物の塩は、水和もしくは非水和(無水)形態で、または他の溶媒分子との溶媒和物として存在することができる。水和物の非限定的例には、一水和物、二水和物などが含まれる。溶媒和物の非限定的例には、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが含まれる。
【0083】
「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶性固体の状態の固定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向を有し、したがって溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成された溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールであるとき、形成された溶媒和物はアルコラートである。水和物は、水の1個または複数の分子と、水がその中でH2Oとしてその分子状態を保持する物質の1つとの組合せによって形成され、このような組合せは、1種または複数の水和物を形成することができる。
【0084】
本発明の化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれることが注目される。したがって、このような不斉性から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、他に示さない限り本発明の範囲内に含まれることが理解される。このような異性体は、古典的な分離技術によって、および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形態で得ることができる。エナンチオマー(R−およびS−配置)は、R.S.Cahn、C.Ingold、およびV.Prelogによって開発された系によって命名される。
【0085】
さらに、本出願において議論されている構造および他の化合物には、その全てのアトロプ異性体が含まれる。アトロプ異性体は、2種の異性体の原子が空間において異なって配置されている立体異性体の1タイプである。アトロプ異性体は、それらの存在が、中心的結合の周りの大きな基の回転障害によってもたらされる束縛回転に負っている。このようなアトロプ異性体は典型的には、混合物として存在するが、クロマトグラフィー技術における最近の進歩の結果、選択した場合において2種のアトロプ異性体の混合物を分離することが可能となった。
【0086】
「安定的な化合物」および「安定的な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度への単離、および効果的な治療剤への製剤の後で残存するのに十分に頑強な化合物を示すことを意味する。
【0087】
本明細書において使用する場合、「類似体」という用語は、他のものと構造的に同様であるが、組成が僅かに異なる化合物を意味する(異なる元素の原子による1個の原子の置換え、または特定の官能基の存在下、または別の官能基による1個の官能基の置換えなど)。したがって、類似体は、機能および外観が参照化合物と同様である、または相当する化合物である。
【0088】
本明細書に定義されているように、「誘導体」という用語は、例えば、「胆汁酸誘導体」という用語において、共通の中核の4員環状構造を有し、本明細書に記載されているような様々な基で置換されている化合物を意味する。
【0089】
「生物学的同配電子体」という用語は、原子または原子の群と、別の大まかに同様な原子または原子の群との交換から得られる化合物を意味する。生物学的等価性の置換えは、物理化学的または位相幾何学的に基づいていてもよい。カルボン酸の生物学的同配電子体の例には、アシルスルホンイミド、テトラゾール、スルホネート、およびホスホネートが含まれる。例えば、PataniおよびLaVoie、Chem. Rev.、96号、3147〜3176頁(1996年)を参照されたい。
【0090】
「併用療法」(または「同時療法」)には、これらの治療剤(すなわち、本発明の化合物および少なくとも1種の第2の薬剤)の相互作用からの有益な効果を提供することを意図する特定の治療計画の一部として、本発明の化合物および少なくとも第2の薬剤の投与が含まれる。組合せの有益な効果には、これらに限定されないが、治療剤の組合せから得られる薬物動態学的または薬力学的相互作用が含まれる。組合せにおけるこれらの治療剤の投与は典型的には、確定した期間(通常、選択した組合せによって、数分、数時間、数日または数週間)に亘って行う。「併用療法」とは、偶発的および任意に本発明の組合せをもたらす別々の単独療法の一部として、これらの治療剤の2つ以上の投与を包含することを意図し得るが、一般にそうではない。「併用療法」は、順次の態様でのこれらの治療剤の投与(すなわち、各治療剤が異なる時間で投与される)、ならびに実質的に同時の態様でのこれらの治療剤、または治療剤の少なくとも2つの投与を包含することを意図する。実質的同時投与は、例えば、被験体に、一定の比率の各治療剤を有する単一のカプセル剤、または治療剤の各々について複数の単一のカプセル剤を投与することによって達成することができる。各治療剤の連続的または実質的同時投与は、これらに限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋内経路、および粘膜組織を通した直接吸収を含めた任意の適当な経路によって達成できる。治療剤は、同じ経路によって、または異なる経路によって投与することができる。例えば、選択した組合せの第1の治療剤は、静脈内注射によって投与してもよく、一方組合せの他の治療剤は、経口的に投与してもよい。代わりに、例えば、全ての治療剤を経口的に投与してもよく、または全ての治療剤を静脈内注射によって投与してもよい。治療剤が投与される順序は、厳密には決定的ではない。
【0091】
「併用療法」はまた、他の生物活性のある成分および非薬物療法(例えば、手術または機械的処置)とのさらなる組合せにおける、上記のような治療剤の投与を包含する。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、非薬物治療は、治療剤および非薬物治療の組合せの相互作用からの有益な効果が達成される限り、任意の適切な時間で行い得る。例えば、適当な場合、非薬物治療が治療剤の投与から一時、恐らく数日または数週間除かれるとき、有益な効果は依然として達成される。
【0092】
「非経口投与」および「非経口的に投与する」という用語は、本明細書において使用する場合、通常注射による経腸および局所投与以外の投与方法を意味し、これらだけに限定されないが、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内の注射および注入が含まれる。
【0093】
本発明の化合物、または化合物の組合せの「治療有効量」は、化合物(または化合物(複数可))の量(含量または濃度)である。一実施形態において、治療有効量の化合物が治療を必要としている被験体に投与されるとき、疾患から生じる症状は、直ちに、または1回もしくは複数回の化合物の投与後に寛解する。被験体に投与される化合物の量は、特定の障害、投与方法、同時投与される化合物(もしあれば)、および被験体の特徴(身体全体の健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬物耐性など)によって決まる。当業者であれば、これらおよび他の要因によって適当な投与量を決定することができるであろう。
【0094】
「予防的有効量」という用語は、疾患の危険性を予防または減少させるために投与される本発明の化合物、または化合物の組合せの量(含量または濃度)、すなわち、予防または防止作用を実現するのに必要な量を意味する。被験体に投与される本化合物の量は、特定の障害、投与方法、同時投与される化合物(もしあれば)、および被験体の特徴(身体全体の健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬物耐性など)によって決まる。
【0095】
「危険性を減少させる」という用語は、本明細書において使用する場合、特に、患者または被験体が中枢神経系疾患、炎症性疾患および/または代謝性疾患を発生させる傾向があるときに、患者においてこのような発生する見込みまたは可能性が減少することを意味する。
【0096】
本発明の化合物の「塩」は、イオン結合を含有する化合物の生成物であり、化合物を、酸または塩基と反応させることによって典型的には生成される。
【0097】
「薬学的に許容される塩」とは、被験体に投与するのに適した塩である。
【0098】
「組成物」は、本発明の化合物を、被験体に投与するのに適した形態で含有する製剤である。別の実施形態において、医薬組成物は、バルクまたは単位剤形である。単位剤形は、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エアゾール吸入器上の単一のポンプ、またはバイアルを含めた種々の形態のいずれかである。組成物の単位用量中の活性成分(例えば、本発明の化合物またはその塩の製剤)の含量は有効量であり、関連する特定の治療によって変化する。患者の年齢および状態によって投与量に対して通常の変動を行うことが必要なときがあることを当業者であれば認識するであろう。投与量はまた、投与経路によって決まる。経口、肺、直腸、非経口、経皮的、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、鼻腔内などを含めて種々の経路が意図される。本発明の化合物の局所的または経皮的投与のための剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、パッチ剤および吸入剤が含まれる。別の実施形態において、活性化合物を、無菌状態下にて、薬学的に許容される担体と共に、および必要とされる任意の保存剤、緩衝液、または噴射剤と共に混合する。
【0099】
「フラッシュドーズ(flash dose)」という用語は、急速に分散する剤形である化合物の製剤を意味する。
【0100】
「即時放出」という用語は、相対的に短期間、一般に約60分までの、剤形からの化合物の放出と定義される。「調節放出」という用語には、遅延放出、徐放、およびパルス放出が含まれると定義される。「パルス放出」という用語は、剤形からの薬物の一連の放出と定義される。「持続放出」または「徐放」という用語は、長期間に亘る剤形からの化合物の連続放出と定義される。
【0101】
「被験体」には、哺乳動物、例えば、ヒト、ペット動物(例えば、イヌ、ネコ、鳥など)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、鳥など)が含まれる。典型的には、被験体は、ヒトである。
【0102】
本発明の化合物にはまた、プロドラッグまたは生理的に同等の誘導体が含まれる。「プロドラッグ」または「生理的に同等の誘導体」には、インビボで代謝的に変換され、活性薬物を生成する薬物の前駆体形態が含まれる。本発明は、本発明の方法において使用されるTGR5モジュレート化合物にインビボで変換されるプロドラッグの使用をさらに意図する(例えば、R. B. Silverman、1992年、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、Academic Press、第8章を参照されたい)。このようなプロドラッグを使用して、TGR5モジュレート化合物の体内分布(例えば、典型的には血液脳関門を通過しない化合物を、血液脳関門を通過させることを可能にする)または薬物動態を変化させることができる。例えば、アニオン基、例えば、カルボキシレート、スルフェートまたはスルホネートを、例えば、アルキル基(例えば、メチル基)またはフェニル基でエステル化し、エステルを生じさせることができる。エステルが被験体に投与されるとき、エステルは、酵素的または非酵素的に、還元的または加水分解的に切断され、アニオン基が示される。このようなエステルは、環状、例えば、環状スルフェートもしくはスルホンでよく、または2つ以上のアニオン部分が、連結基によってエステル化されてもよい。アニオン基は、部分(例えば、アシルオキシメチルエステル)でエステル化することができ、その部分は切断され、中間体であるTGR5モジュレート化合物が示され、中間体であるTGR5モジュレート化合物は引き続いて分解され、活性TGR5モジュレート化合物を生じさせる。一実施形態において、プロドラッグは、カルボキシレート、スルフェートまたはスルホネートの還元された形態、例えば、アルコールまたはチオールであり、プロドラッグは、インビボでTGR5モジュレート化合物に酸化される。さらに、アニオン部分は、インビボで能動的に輸送され、または標的器官によって選択的に取り込まれる基へとエステル化することができる。
【0103】
「TGR5モジュレーター」という用語は、TGR5受容体と相互作用する任意の化合物を意味する。相互作用は、TGR5受容体のアンタゴニスト、アゴニスト、部分アゴニスト、またはインバースアゴニストとして作用する化合物に限定されない。一態様によれば、本発明の化合物は、TGR5受容体のアンタゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体のアゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体の部分アゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体のインバースアゴニストとして作用する。伝統的には、リガンドのプロファイルは、内因性であれまたは合成であれ、Furchgottによって1966年に最初に記載されたその内在的有効性「e」によって特性決定される。内在的有効性は、異なるリガンドが同じ数の受容体を占有する一方で、様々な生物学的反応を生じさせる程度を表すために使用される。一般に、「アゴニスト」という用語は、別の分子または受容体部位の活性を増強する化合物を意味する。アゴニストとは、古典的な定義によって、オルソステリック、アロステリック、インバースまたはコアゴニストであろうとなかろうと、受容体に結合し、その受容体の状態を変化させ、生物学的作用をもたらす特性を有する。結果的に、アゴニズムは、生物作用を生じさせるアゴニストまたはリガンドの特性として定義される。これと対照的に、「アンタゴニスト」は、同じ受容体巨大分子に対する高親和性を有するが、非常に少ないまたは無視できる内在的有効性を有する本質的アゴニストであり、したがってアゴニストの生物学的作用を立体的に妨げる。特性として、アンタゴニズムは、機能的または生理学的であってよく、アゴニストは、前者において受容体部位についての直接競合を有し、後者において異なる受容体−メッセンジャー系を介する拮抗作用を有する。さらに具体的には、TGR5アゴニストは、TGR5に結合し、受容体を発現している細胞において環状アデノシン一リン酸(cAMP)の濃度を少なくとも20%増加させる受容体リガンドまたは化合物である。逆に、TGR5アンタゴニストは、アゴニストの活性をアンタゴナイズまたは遮断し、それによってcAMPの濃度の減少をもたらす化合物であろう。
【0104】
本発明は、TGR5受容体モジュレート活性を有する化合物、ならびに肥満症およびインスリン感受性などの代謝性疾患を治療および予防するためのそれらの使用に関する。
【0105】
本発明の化合物を下記に示す。
【0106】
【化19】
【0107】
【化20】
本明細書において引用した全ての公開資料および特許文献は、このような公開資料または文献の各々が明確に個々に参照により本明細書中に組み込まれていることが示されたように参照により本明細書中に組み込まれている。公開資料および特許文献を引用することは、いずれかが関連する従来技術であることを認めることを意図せず、それらの内容または日付についての何らかの承認を構成しない。本発明を書面による説明によってこれまで記載してきたが、本発明が種々の実施形態で実施することができ、上記の記載および下記の実施例が、例示の目的のためであり、下記の特許請求の範囲を限定するものではないことを当業者であれば認識するであろう。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
TGR5モジュレーターの合成
本発明の化合物、および関連する誘導体は、当業者に公知の方法によって合成することができる。
【0109】
【化21】
メチル3α、7α−ジヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(2)
1(4.1g、9.76mmol)のメタノール(120ml)溶液に、pTSA(0.41g、2.15mmol)を加え、混合物を30℃で2時間超音波処理した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(150ml)に溶解させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2×100ml)、水(100ml)およびブライン(100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させ、メチルエステル2(3.95g、9.1mmol、93%)を白色の固体として得て、それをそれ以上精製することなく次のステップのために使用した。
【0110】
メチル3a−アセトキシ−7a−ヒドロキシ−6a−エチル−5β−コラン−24−オエート(3)
2(3.9g、8.98mmol)のTHF(100ml)(蒸留したばかりである)溶液に、無水酢酸(15.29ml、161.75mmol)およびNaHCO3(15.09g、179.72mmol)を加え、このように得られた混合物を一晩還流させた。混合物を室温に冷却し、水(120ml)で希釈し、EtOAc(3×80ml)で抽出した。合わせた有機層を水(2×100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固させ、所望のアセチル化化合物3(4.25g、8.92mmol、99%)を白色の固体として得て、それをそれ以上精製することなく次のステップのために使用した。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.65 (3H, s, 18−CH3), 0.84−0.93 (9H, m, 19−CH3 + 21−CH3−21, 26−CH3), 1.11−1.91 (26H, m), 2.00 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.28−2.36 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 3.70 (1H, bs, 7−CH), 4.48−4.59 (1H, m, 3−CH).
メチル3α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−5β−コラン−24−オエート(4)
3−ヨード安息香酸(3.93g、15.mmol)をCH2Cl2(30ml)に懸濁し、混合物が溶解するまで(約1時間)、2滴のDMFの存在下で室温にて塩化オキサリル(3.21ml、36.1mmol)で処理した。揮発性物質を減圧下除去し、このように得られた塩化アシルを150mlのトルエンに溶解させ、撹拌した3(4.2g、8.82mmol)のトルエン(150ml)溶液に加えた。上記の溶液に、CaH2(2.66g、63.5mmol)およびBnEt3N+Cl−(0.5g、2.2mmol)を加え、混合物を48時間還流させた。次いで、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(200ml)に懸濁し、濾過した。有機濾液を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(2×100ml)、水(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を、石油エーテル中の5〜10%のEtOAcを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、3.54g(5.01mmol、57%)の4および1.23g(2.58mmol)の未処理の出発材料(変換収率80%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.67 (3H, s, 18−CH3), 0.88−0.92 (6H, m, 21−CH3, 26−CH3), 1.13−1.32 (15H, m), 1.7−1.74 (5H, m), 1.89−1.91 (5H, m), 2.05 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.18−2.30 (2H, m), 3.63 (3H, s, COOCH3), 4.60−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.41 (1H, bs, 7−CH), 7.23 (1H, dd, J1 = 6.5Hz, J2= 6.7 Hz, 5’−H ), 7.94 (1H, d, J= 6.7 Hz, 4’−H), 8.04 (1H, d, J= 6.5 Hz, 6’−H); 8.37 (1H, s, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 11.7, 18.2, 20.7, 21.7, 22.2, 23.1, 23.9, 26.8, 27.9, 29.6, 30.8 (x2), 34.4, 35.1 (2x), 35.5, 39.2, 39.3, 41.3, 42.9, 44.6, 50.6, 51.4, 55.3, 74.2, 74.5, 93.9, 128.9, 130.1, 132.4, 138.6, 141.6, 164.5, 170.3, 174.6.
メチル3α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−17a−クロロ−5β−コラン−24−オエート(5)
0.3MのtBuOH(8.2ml)を含有する4(3.5g、4.95mmol)のCH2Cl2(280ml)溶液に、ジクロロヨードベンゼン(3.38g、12.4mmol)を加えた。乾燥N2で泡立てることによって、混合物を3分間脱酸素化した。次いで、タングステンランプ(200W)を使用して、混合物を0℃で1時間光分解した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を、石油エーテル/EtOAc(8:2、v/v)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによってすばやく精製し、3.35g(4.52mmol、92%)の17−クロロ誘導体5を白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.81 (3H, s, 18−CH3), 0.91 (3H, d, J= 7.3 Hz, 21−CH3), 1.0 (6H, m, 19− CH3 + 26−CH3), 1.12−1.93 (24H,m), 2.03 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.18−2.25 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 4.57−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.40 (1H, bs, 7−CH), 7.22 (1H, t, J = 7.79 Hz, 5’− H), 7.91 (1H, d, J = 7.76 Hz, 4’−H), 8.02 (1H, d, J = 7.7 Hz, 6’−H), 8.38 (1H, s, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 14.4, 14.5, 20.7, 21.6, 22.2, 23.1 (x2), 26.7, 28.6, 29.4, 31.7, 34.2 (x2), 35.1, 35.4, 39.6, 40.4, 41.1, 41.3, 44.6, 45.2, 49.9, 51.5, 74.1, 74.4, 92.9, 93.9, 128.8, 130.1, 132.3, 138.6, 141.7, 164.9, 170.7, 174.1.
メチルA163α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−5β−コラン−24−オエート(6)
17−クロロ誘導体5(3.3g、4.46mmol)を乾燥ピリジン(130ml)に溶解させ、一晩還流させた。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を石油エーテル/EtOAc(8:2)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2.24g(3.18mmol、72%)の所望のオレフィンを白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.75 (3H, s, 18−CH3), 0.89 (3H, t, J = 7.4 Hz, 21−CH3), 0.98 (3H, t, J = 6.5 Hz, 26−CH3), 1.03 (H, s, 19−CH3), 1.11−2.02 (22H,m), 2.05 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.22− 2.30 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 4.58−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.20 (1H, bs, 7−CH), 5.51 (1H, s, 16−CH), 7.21 (1H, t, J = 7.9 Hz, 5’−H), 7.90 (1H, dt, J1 = 7.9 Hz, J2 = 1.1 Hz, 4’−H), 8.02 (1H, dt, J1 = 7.9 Hz, J2 = 1.1 Hz, 6’−H), 8.37 (1H, t, J = 1.3 Hz, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 15.9, 20.6, 21.7, 21.8, 22.1, 23.1, 26.7, 29.6, 30.9, 31.1, 31.7, 32.2, 34.5, 34.9, 35.0, 35.7, 37.9, 41.3, 44.8, 47.5, 51.4, 51.7, 74.1, 74.7, 93.9, 121.4, 128.9, 130.1, 132.3, 138.6, 141.7, 158.5, 164.6, 170.7, 174.4.
3α,7α,16α,24−テトラヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン(7)
オレフィン6(0.3g、0.42mmol)を0℃でBH3−THF(THF中10.6ml、1M)に溶解させ、次いで室温で2時間撹拌した。この時間の後、反応物を0℃で冷却し、4MのNaOH水溶液(20ml)およびH2O2(20ml)の混合物を滴下で添加し、このように得られた混合物をこの温度で3時間撹拌した。反応物を1NのHClで酸性化し、CH2Cl2(3×60ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。油性残渣をトルエン(52ml)に溶解させ、MeOH(7ml)中の5%KOHを加え、このように得られた混合物を一晩還流させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水(25ml)に溶解させ、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。残渣を、EtOAc/EtOH(95:5、v/v)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.085g(0.2mmol、47%)の所望のテトラオールを白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.64 (3H, s, 18−CH3), 0.85−0.91 (6H, m, 19−CH3 + 26−CH3), 0.92 (3H, d, J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.21−1.91 (21H,m), 3.33−3.35 (1H, m, 3−CH), 3.54−3.61 (3H, m, 7−CH + 24−CH2), 3.94 (1H, bs, 16−CH).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.7, 13.1, 14.1, 18.8, 20.4, 21.9, 22.4, 23.1, 28.7, 30.4, 31.8, 33.1, 33.5, 34.0, 35.4 (x2), 35.5, 35.8, 39.5, 39.9, 41.3, 43.9, 45.3, 47.4, 62.6, 66.1, 70.6, 72.0.
メチル3,7,16−トリオキソ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(8)
ジョーンズ試薬(2ml)を、撹拌したテトラオール7(0.19g、0.45mmol)のアセトン(25ml)溶液に0℃にて滴下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、メタノール(8ml)を加え、酸化生成物をEtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。残渣をMeOH(80ml)に溶解させ、pTSAを加え、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(50ml)に溶解させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2×50ml)、水(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を、石油エーテル中の20〜30%EtOAcを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、メチルエステル8(0.115g、0.26mmol、58%)を白みがかった固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.82 (3H, s, 18−CH3); 0.85 (3H, m, 26−CH3); 1.0 (3H, d, J= 6.5 Hz, 21− CH3); 1.37 (3H, s, 19−CH3); 1.55−2.35 (23H,m); 2.63−2.87 (2H, m).
メチル3α,7α,16β−トリヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(9)
トリケトエステル8(0.1g、0.22mmol)のCH2Cl2(8ml)溶液に、tert−ブチルアミン−ボラン錯体(0.1g、1.12mmol)を加え、反応物を一晩還流させた。反応物を室温に冷却し、3NのHClを加え、このように得られた混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10ml)、水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣(7−ケトンは還元されていなかった)を、H2O/THFの1:4v/v混合物(5ml)に溶解させ、NaBH4を0℃で加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで水(5ml)および3NのHCl(5ml)を加えた。混合物をEtOAc(4×30ml)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。少なくとも2種の成分からなる残渣を、CHCl3中の1〜4%MeOHを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.036g(0.08mmol、36%)の所望の化合物9を得た。
1H−NMR (アセトン−d6) δ: 0.87−0.90 (6H, m, 18−CH3 + 26−CH3), 0.92 (3H, s, 19−CH3), 0.98 (3H, d, , J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.19−1.58 (10H, m), 1.75−2.05 (7H, m), 2.34−2.41 (2H, m) 3.28−3.30 (1H, m, 3−CH), 3.62 (3H, s, COOCH3), 3.64 (1H, bs, 7−CH), 4.37 (1H, bs, 16−CH).
13C−NMR (アセトン−d6) δ: 11.1, 12.5, 17.4, 20.4, 22.3, 22.8, 30.1, 30.4, 30.5, 30.6, 33.1, 33.7, 35.4, 35.6 (x2), 39.7, 40.0, 41.6, 42.2, 45.7, 48.3, 50.8, 61.7, 69.5, 71.3, 71.4, 174.8.
3α,7α,16β−トリヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−酸ナトリウム塩(10)
エステル9(35mg、0.08mmol)をMeOH中の5%NaOH(8ml)に溶解させ、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下蒸発させ、このように得られた固体はH2O/CH3OH(1:1)の混合物中にあり、CH3OH/H2O(5:5〜7:3)の混合物を移動相として使用して逆相クロマトグラフィー(カラムRP−18 lobar A)によって精製し、所望のナトリウム塩10(15mg、0.03mmol、43%)を得た。
1H−NMR (CD3OD) δ: 0.86 (3H, s, 18−CH3), 0.88−0.93 (6H, m, 19−CH3 + 26−CH3), 0.99 (3H, d, J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.06−1.41 (9H, m), 1.46−1.9 (11H, m), 1.97−2.04 (2H, m), 2.23−2.25 (2H, m), 2.30−2.35 (1H, m), 3.28−3.35 (1H, m, 3−CH), 3.67 (1H, bs, 7−CH), 4.49−4.52 (1H, m, 16− CH).
13C−NMR (CD3OD) δ: 12.0, 13.3, 18.7, 21.6, 23.5, 23.7, 29.5, 31.2, 31.3, 33.4, 34.4, 34.5, 35.3, 35.5, 36.6, 36.7, 41.2, 43.1, 43.4, 46.7, 63.8, 71.1, 73.2, 73.4.
(実施例2)
インビトロのTGR5およびFXR活性
(実施例2A)
TGR5およびFXR受容体結合
TGR5受容体に対する本発明の化合物の作用強度および有効性は、インビトロアッセイを使用して評価する。表1は、FXRおよびTGR5受容体に対する本発明の化合物の作用強度および有効性を要約する。
【0111】
【表1】
FRETアッセイ(細胞内cAMPレベルの検出)
受容体結合アッセイは、FRETアッセイを使用してサイクリックAMP(cAMP)のレベルを測定することによって行った。ヒト腸細胞系(NCI−H716)を、使用の直前に、メーカーの指示に従って0.75mg/mlのMatrigel(BD Biosciences)でコーティングした96ウェルプレートに、10%(v/v)FBS、100単位/mlのペニシリンおよび100μg/mlの硫酸ストレプトマイシンを補充したDMEM中に12×103細胞/ウェルの濃度で蒔き、24時間培養し、それによってプレートの底への細胞接着が可能となった。細胞をPBSで2度洗浄し、培地をcAMPアッセイ培地[0.1%(w/v)BSAおよび1mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)を含有するOPTIMEM]と交換した。37℃で60分間のインキュベーション後、細胞を、ユウロピウムキレート−ストレプトアビジンおよびALEXA Fluor647−抱合抗体抗cAMP(PerkinElmer)を含有する刺激緩衝液(HBSS(pH7.4)中の5mMのHEPES、0.1%BSA)中で1時間室温にて、増加する濃度の化合物10で処理した。細胞内cAMPのレベルを、Lanceキット(PerkinElmer)で決定した。リトコール酸(Litocholic acid)を、対照リガンドとして使用した。Z’因子を使用して、アッセイを検証した。非線形回帰曲線は、制約なしに、4パラメーター式およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Inc.)を使用することによって行い、EC50値を得た。
【0112】
Alphascreenアッセイ
FXRに対する活性を、コアクチベーターリクルート作用アッセイにおいてAlphascreen技術を使用することによってアッセイした。AlphaScreenは、生体分子相互作用を研究するために使用するビーズをベースとする化学アッセイである。ビーズ上に捕獲された分子の結合は、1つのビーズから他のビーズへのエネルギー移動をもたらし、最終的に発光シグナルを生じさせる。パートナーが相互作用するとき、化学エネルギーはドナービーズからアクセプタービーズに移動し、シグナルが生じる。胆汁酸刺激によって、GST−FXR−LBDは、Src−1ペプチドと相互作用する。抗GST−コーティングされたアクセプタービーズを使用して、GST−融合FXR−LBDを捕獲し、一方では、ビオチン化−SRC−1ペプチドは、ストレプトアビジンドナービーズによって捕獲した。680nmでの照明によって、化学エネルギーは、複合体ストレプトアビジン−ドナー/Src−1−ビオチン/GSTFXR−LBD/抗GST−アクセプターを介してドナービーズからアクセプタービーズに移動し、シグナルが生じる。アッセイは、10nMの最終濃度の精製したGST標識FXR−LBDタンパク質、30nMのビオチン化Src−1ペプチド、20μg/mlの抗GSTアクセプタービーズおよび10μg/mlのストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer)を含有する25μlの最終容量を使用して、低容量の白色384ウェルOptiplates(PerkinElmer)中で行った。アッセイ緩衝液は、50mMのTris(pH7.4)、50mMのKCl、0.1%BSA、および1mMのDTTを含有した。1μlのリガンド(100%DMSO中で可溶化した)による刺激時間を、室温にて30分に固定した。各ウェル中のDMSOの濃度を、4%の最終濃度で維持した。検出ミックス(アクセプタービーズおよびドナービーズ)を加えた後、プレートを、室温にて暗中4時間インキュベートし、次いでEnvisionマイクロプレート分析器(PerkinElmer)で読み取った。用量反応曲線を3連で行い、Z’因子を使用して、アッセイを検証した。非線形回帰曲線は、制約なしに、4パラメーター式およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Inc.)を使用することによって行い、EC50値を得た。
【0113】
細胞培養、トランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイ
HEPG2およびHEK293T細胞を各々、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%L−グルタミンおよび10%ウシ胎児血清(高グルコース)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補充したE−MEMおよびDMEM中で培養した。細胞を37℃にて5%CO2中で増殖させた。全てのトランスフェクションは各々、5:2のFugene HDトランスフェクション試薬(μl)とDNA(μg)(Roche)を使用して行った。トランスフェクションの24時間前に、HEK293TまたはHepG2細胞を、各々10,000または15,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種した。一過性トランスフェクションを、100ngのレポーターベクターpGL4.29[luc2P/CRE/Hygro](Promega)、トランスフェクション効率性についての内部対照として40ngのpGL4.74(Renilla)、および10ngの発現プラスミドpCMV−SPORT6−hTGR5、NIH哺乳動物遺伝子コレクションクローンMGC:40597(Invitrogen)を使用して行った。pGEMベクターを加え、各アッセイにおいてトランスフェクトされたDNAの量(2μg)を正規化した。トランスフェクションの24時間後に、細胞を、増加する濃度の化合物10で18時間刺激した。対照培養物は、ビヒクル(0.1%DMSO)単独を摂取した。次いで、細胞/ウェルを含有する75μlの培地に75μlのDual−Gloルシフェラーゼ試薬(Promega)を加えることによって、細胞を溶解させた。ウミシイタケルシフェラーゼ活性を、多量のDual−Glo Stop & Glo試薬および最初の培地を加えることによって測定した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ単位とウミシイタケルシフェラーゼ単位の比として表した。各データポイントは、3連のアッセイの平均である。各実験は、少なくとも3回繰り返した。
【0114】
50%有効濃度(EC50)および有効性の決定
TGR5アゴニスト研究のために10μMのLCA値の割合、およびFXRアゴニスト研究のために10μMのCDCA値の割合を各々計算することによって有効性を決定した。基本(ビヒクル処理)条件の平均値を引いた後、値をEC50および/または有効性決定に適用した。平均EC50の計算および異なる化合物の間のEC50の比較を、対数変換の後に行った。
【0115】
(実施例2B)
化合物10のTGR5標的遺伝子発現アッセイ
腸NCI−H716細胞におけるACCおよびAMPK遺伝子発現のレベルを、化合物10および陽性対照としてLCAを使用して測定した。TGR−5標的遺伝子のmRNA発現レベルは、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)によって測定した。総RNAを、5μMの化合物10で18時間刺激したNCI−H716から単離した(Aurum Total RNA Mini Kit BioRad)。RNAは、ISCRIPT cDNA SYNTHESIS KIT(BioRad)で20μlの反応容量にてランダムに逆転写した。10ngのテンプレートを、0.3μMの各プライマーおよび10μlの2X SYBR Green PCR Master MIX(Bio−Rad)を含有するリアルタイムPCRの20μlの最終容量の反応において使用した。全ての反応は三連で行い、熱サイクル条件は、iCycler iQ5機器(Biorad、Hercules、CA)において、95℃で3分、続いて95℃で10秒間の45サイクル、および60℃の30秒間であった。各試料についての複写物の平均値を計算し、サイクル閾値として表した(CT:各PCR反応が所定の蛍光閾値に達するサイクル数、全ての反応の線形範囲内に設定)。次いで、遺伝子発現の量を、標的遺伝子についての試料のCT値と、内在性対照β2−ミクログロブリンについてのその試料の平均CT値との間の差異(ΔCT)として計算した。相対的発現を、各標的遺伝子についての試験試料および対照試料(WT)のΔCT値の間の差異(ΔΔCT)として計算した。相対的定量化値を表し、2−ΔΔCTとして示した。全てのPCRプライマーを、NCBIデータベースからの発表された配列データ上でソフトウェアBeacon Designerを使用してイントロンを挟むようにデザインした。結果を図3に示す。
【0116】
(実施例2C)
ヒト腸および肝細胞系における化合物10のインビトロでの細胞毒性
細胞生存率を、Perkinelmer ATP−Lite1STEPを使用して測定した。ATPは、全ての代謝的活性細胞において存在し、細胞が壊死またはアポトーシスを起こすときに、濃度が非常に急速に減少するため、細胞生存率についてのマーカーである。ヒトNCI−H716またはHepG2細胞(1×104)を96ウェルプレートに播種し、1nM〜300μMの化合物10による10倍希釈で37℃にて4時間刺激した。プレートを室温で10分間平衡化させ、100μlのATP−Lite1STEP試薬を、細胞を含有する100μlの培地に加えた。発光をVictor Light(PerkinElmer)で読み取った。実験シグナルを、バックグラウンドから差し引いた。タモキシフェンを細胞毒性の陽性対照として使用し、一方未処理細胞は陰性対照の機能を果たした。結果を図4および5に示す。
【0117】
(実施例3)
食餌誘発性肥満症マウスモデルにおける本発明の化合物の代謝活性
研究のゴールは、TGR5アゴニスト(オレアノール酸(OA)または本発明の化合物(例えば、「試験化合物」))が、肥満症および関連するインスリン抵抗性の発生をインビボで修正するかを明らかにすることである。この可能性を試験するために、事前に10週間高脂肪食に供した雄性C57BL6Jマウスに、食物投与によってOA/試験化合物を16週間投与する。
【0118】
II−プロトコル
前の研究において、OAは、食物嫌悪をもたらさない選択的TGR5アゴニストとして観察された。しかし、100mg/kg/日の用量のOAで処理した動物は、毒性のいくつかの徴候を示した一方、より低い用量は耐容性良好であった。したがって、この研究において、OAは50mg/kg/日の用量で投与する。
【0119】
インビトロ研究において、本発明の化合物を強力および選択的なTGR5リガンドとして同定した。約50分の1の低い濃度で投与する本発明の化合物について、毒性の問題は予想されない。
【0120】
この研究のために、48匹の雄性C57BL6Jマウス(5週齢)を、2つの群に分ける。10週間の期間、24匹(1、2および3群)の動物の1群は固形飼料食を摂取し、一方、他の24匹の群は高脂肪食を摂取する(4、5および6群)。次いで、16週間の期間、動物を分析する。10匹の動物の5群を、下記のように割り当てる。
1:固形飼料食
2:固形飼料食+OA(50mg/kg/日)
3:固形飼料食+試験化合物(例えば、30mg/kg/日)
4:高脂肪食
5:高脂肪食+OA(50mg/kg/日)
6:高脂肪食+試験化合物(例えば、30mg/kg/日)
全研究の間に、体重および食物摂取を週に2回モニターする。
第2週:全ての群について、二重エネルギーX線吸収測定法(dexaスキャン)によって体組成を分析する。
第1週:トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定し、次いでマウスに示したような食事を供する(0日目)。
第2週:トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定する(14日目)。
第4週:全ての動物を腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)に供することによって、耐糖能を決定する。動物は、この試験の前に12時間絶食させる。
1、4、5および6群(固形飼料食、高脂肪食および高脂肪食OA/試験化合物)の夜間のエネルギー支出を、間接熱量測定によって測定する。
第8週:全ての群について、dexaスキャンによって体重組成を再び分析する。
トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定する(56日目)。
第9週:4、5および6群(高脂肪食摂食マウス)の概日活動を、30時間の期間研究する。
第10週:血圧および心拍数の測定を、4、5および6群に行う。
第11週:全ての動物の直腸の温度を、10:00amに室温で測定する。
概日活動の測定を、1、2、3および4群について行う。
第12週:4、5および6群に腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)を行うことによって、耐糖能を分析する。IPGTTの間、血液をまた集め、インスリンレベルを分析する。これらの試験の前に動物を12時間絶食させる。
全ての群において、24時間の期間に亘り糞便を集め、糞便の脂質含量を、測定する。
第16週:全ての動物において、4℃に曝した動物の体温を測定することによって、寒冷試験を行う。
【0121】
3日後、動物を屠殺する。屠殺時に、血液を集め、血漿脂質(TC、TG、HDL−C、FFA);肝機能(ALAT、ASAT、アルカリPase、γ−GT);グルコースおよびインスリン;血漿の選択した群のリポタンパク質プロファイルについて分析する(サイズ排除クロマトグラフィー)。
【0122】
肝臓、小腸、脂肪組織(WATおよびBAT)、膵臓、心臓および筋肉を集め、秤量し、標準的組織学的検査(HE染色、コハク酸デヒドロゲナーゼ染色、オイルレッド−O染色および細胞形態);組織脂質含量;ミトコンドリアを分析するためのBATおよび筋肉に対する電子顕微鏡検査;定量的RT−PCRによる代謝およびエネルギー恒常性に関与する選択した遺伝子の発現研究のためのRNA単離;対象タンパク質(例えば、PGC−1α)のアセチル化などの翻訳後修飾の研究のためのタンパク質抽出を含めたさらなる分析のために保存する。
【0123】
III−詳細な手順
A−動物手順および食事
動物の収容および取扱い
マウスは、欧州共同体の基準によって、温度(20〜22℃)および湿度を制御した動物飼養場中で、12時間:12時間(7:00に点灯)の明暗サイクルで、特定の無菌条件において群で収容する(5匹の動物/ケージ)。動物に水および食物を自由に摂取させる。
【0124】
飲料水
水道水の化学組成を、Institut d’Hydrologie、ULP、Strasbourgにおいて、定期的に分析し、潜在的な有毒物質がないことを確認する。飲料水をHClおよびHClO4で処理し、pHを5〜5.5に、および塩素濃度を5〜6ppmに維持する。
【0125】
食事
標準的げっ歯類用固形飼料食はUARから入手し、高脂肪食はResearch Dietから入手する。マウスに、固形飼料食(16%タンパク質、3%脂肪、5%繊維、5%灰分)、または高脂肪食(20%タンパク質、20%炭水化物、60%脂肪)を摂食させる。オレアノール酸および試験化合物を、粉末状固形飼料食または粉末状高脂肪食と下記の割合で混合した。50mg/kg/日処理について0.5gのOA/kg(食物)、および10mg/kg/日処理について0.08gの試験化合物/kg(食物)。次いで、ペレットを再構成する。対照群は、試験化合物またはOAなしで食物ペレットを摂取する。高脂肪食の粘稠性によって、OAとの混合において水は加えない。再構成することがより難しい固形飼料食の場合、最少量の水を粉末に加え、ペレットを再構成し、それを次いで空気乾燥させる。新しいバッチの食物を毎週調製する。
【0126】
採血
麻酔下で後眼窩洞から、または尾静脈から血液を集める。
【0127】
麻酔
dexaスキャニング実験のために、動物を腹腔内注射によって投与したケタミン(200mg/kg)/キシラジン(Xylasine)(10mg/kg)の混合物で麻酔する。静脈穿刺のために、動物をイソフルラン−O2混合物の吸入によって麻酔する。
【0128】
B−生化学
試験は、市販の試薬(Olympus)を使用してOlympus AU−400自動化実験室ワークステーションで行う。
【0129】
脂質およびリポタンパク質の分析
酵素アッセイによって、血清トリグリセリド、総コレステロールおよびHDLコレステロールを決定する。血清HDLコレステロール含量は、リンタングステン酸/Mg(例えば、Roche Diagnostics、Mannheim、Germany)によるapo B−含有リポタンパク質の沈殿後に決定する。遊離脂肪酸レベルは、和光純薬(例えば、Neuss、Germany)からのキットによって供給者によって明記されているように決定する。
【0130】
代謝および内分泌の調査
血液グルコース濃度を、Medisense Precis電極(例えば、Abbot Laboratories、Medisense products、Bedford、USA)を使用してPrecision Q.I.D分析器(例えば、Medisense system)によって測定する。この方法は、Precision Q.I.D分析器の値を古典的なグルコース測定と比較することによって検証する。最少量の血液を必要とし、したがってIPGTTの間など複数の測定のために用いることができるため、Precision Q.I.D法を選択した。血漿インスリン(例えば、Mercodia、Uppsala、Sweden)を、メーカーの仕様書に従ってELISAによって決定する。
【0131】
C−代謝試験
リポタンパク質プロファイル
リポタンパク質プロファイルは、3種の主要なリポタンパク質のクラスであるVLDL、LDL、およびHDLの分離を可能にする高速タンパク質液体クロマトグラフィーから得る。
腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)−経口グルコース負荷試験
IPGTTは、一晩(12時間)絶食したマウスで行う。マウスに、無菌食塩水(0.9%NaCl)中の20%グルコースの溶液を、2gグルコース/kg体重の用量で腹腔内(IPGTT)に注射する。グルコースおよびインスリンのモニターのために、グルコース溶液の投与前および投与の15分、30分、45分、75分、90分、120分、150分、180分後に、血液を尾静脈から集める。グルコース上昇曲線下面積を、インスリン感受性の尺度として計算する。一方、相当するインスリンレベルは、インスリン分泌貯蔵を示す。
【0132】
エネルギー支出
エネルギー支出を、Oxymax装置(例えば、Columbus Instruments、Columbus、OH)で12時間の間の酸素消費を測定することによって間接熱量測定によって評価する。このシステムは、オープンサーキットからなり、空気がプラスチックケージを出入りする(ケージ毎に1匹のマウス)。動物に食物および水を自由に摂取させる。非常に正確なCO2およびO2センサーによって、両方の空気量におけるO2およびCO2濃度の差異を測定し、これによって、ケージに入ってくる空気の気流が一定である場合の、一定の期間において消費された酸素量を得る。装置から出力されるデータを連結したコンピューターで処理し、分析し、エクスポート可能なExcelファイルで示す。値は、VO2として通常公知であるml.kg−1.h−1として表す。
【0133】
Dexaスキャニングによる体脂肪含量の決定
Dexa分析は、超高分解能PIXIMUSシリーズデンシトメーター(0.18×0.18mmピクセル、GE Medical Systems、Madison、WI、USA)によって行う。骨塩密度(BMD、g/cm2)および体組成は、PIXIMUSソフトウェア(バージョン1.4x、GE Medical Systems)を使用することによって決定する。
【0134】
D−非侵襲性血圧測定および脈拍
Visitech BP−2000血圧分析システムは、オペレーターの介入なしに4匹の覚醒しているマウスに対して同時に複数の測定をするために使用するコンピューターによる自動化されたテイルカフ(tail’cuff)システムである。マウスを加熱したプラットフォーム上の個々の暗いチャンバー中に収容し、それらの尾をテイルカフに通す。システムは、カフ圧力を決定することによって血圧を測定し、そこでは尾への血流が除去される。光電センサーによって、標本の脈拍を検出する。システムは、頸動脈において同時に測定される平均動脈内圧力と密接に一致することが示されてきた結果をもたらす。これによって、収縮期血圧および心拍数の再現性のある値を得ることが可能となる。これは、システム中での1週間の動物の訓練を必要とする。
【0135】
E−概日活動
自発的運動活性は、各々がスライディングフロア、取り外し可能なケージで構成され、移動性の運動活性および後ろ足で立つことを測定することを可能にする赤外線キャプターを備えた個々の箱を使用して測定する。電子インターフェース(例えば、Imetronic、Pessac、France)を使用して、箱をコンピューターに連結する。装置への慣れ、ならびに夜間および昼間の活動を測定するために、マウスを32時間試験する。消費した水の含量を、自動式リックメーターを使用して試験期間の間に測定する。
【0136】
(実施例4)
物理化学的性質
水溶性
固体BAを、5mlのHCl(0.1M)に懸濁させた。1週間のインキュベーションおよび穏やかな混合後、飽和溶液をMilliporeフィルター(0.22μpm)で濾過し、BAの濃度を、C18カラム(150mm×2mm、皮内、4μm)および移動相(15mMの酢酸(pH5)およびアセトニトリルを含有する水)を使用して、HPLC−ESI−MS/MSによって測定した。流量は150μl/分であった。質量分析の取得は、負のイオン化のESI源を使用して多段反応モニタリングモードで行った。水溶性は、μmol/リットルとして表した。
【0137】
水溶性を、カルボキシル化された胆汁酸の不溶性プロトン化種についてpH1で測定した。化合物10の水溶性は、120μMであった(表2を参照されたい)。
【0138】
化合物10において1個のヒドロキシルの異なる位置(16位)は、従来の3,7,12トリヒドロキシ胆汁酸コール酸に関して溶解性を減少させた。水溶性はpHを増加させることによって増加し、pH7で化合物10は高水溶性であった。表2におけるデータは、カルボキシル化された類似体である化合物10が、その酸形態で投与されたときに、胃内容物中において低pHで不溶性であり、十二指腸中に排出されると膵液および十二指腸液のより高いpHによって、溶解して塩(アニオン)を形成することを示す。胆汁中で、この化合物は溶液中に残り、最終的に高濃度でミセルを形成する。
【0139】
【表2】
aWs:水溶性とはプロトン化種としてのBAを意味し、したがって高度に可溶性(hs)であるTCDCAおよびTUDCAについて評価しない。
bCMC:0.15MのNaCl水溶液中で決定した臨界ミセル濃度。
cSTCMC:0.15MのNaCl水溶液中のCMCでの表面張力。
dLogPA:イオン化種として研究した胆汁酸の1−オクタノール−水分配係数。
*:文献からの値。
【0140】
臨界ミセル濃度(CMC)
界面活性、すなわちミセルを形成する傾向を、ナトリウム塩として水中で可溶性である全ての荷電分子について評価した(pKaまで2単位)。臨界ミセル濃度(CMC)は、静的方法と同様に、潜在的な不純物によって僅かに影響される表面張力値を与える最大気泡圧力法を使用して、表面張力(ST)測定によって決定した。張力計は、窒素源と連結した2本のガラス製プローブ(0.5mmおよび4.0mmの直径)を備えたSensadyne6000(Chem−Dyne Research Corp.、Milwaukee、WI)であった。気泡の発生頻度は、26℃にて蒸留水中で1気泡/秒であり(P=2.7atm)、較正を再蒸留水およびメタノールで行った。NaCl(0.15M)中のBAナトリウム塩溶液の表面張力を、0.10〜50mMの範囲内で様々な濃度で測定した。表面張力値は、胆汁酸塩濃度の対数に対してプロットした。曲線の2つの部分(単量体およびミセル相)に相当する回帰線を、最小二乗法を使用して計算し、線の交差点をCMC値として取った。ST対濃度曲線から、CMCにおける表面張力の値(単量体および多量体種の間の平衡)をまた計算し、関連する表面張力低下能力を有するミセルのサイズと関連する界面活性力についての情報を得た。
【0141】
CMCは、非平衡条件、すなわち不純物が表面張力の結果に僅かに影響する条件において表面張力測定によって評価した(図6)。表2は結果を示す。化合物10は、低い表面張力低下能力を伴う高CMCを示したが、これはこの化合物が穏やかな界面活性剤であり、ミセルは非常に低い凝集数を有することを示した。C−16ベータ位におけるヒドロキシル基の存在は、ミセルを形成させる尾部間相互作用に関与する疎水性領域を減少させ、したがって、ミセルは小さく乏しい界面活性剤である。この特性は、所与の体液または器官において蓄積されたときに、分子に低毒性を与える。
【0142】
オクタノール/水分配係数
カルボキシル基の完全なイオン化を確実にするために、イオン化形態の分子についてオクタノール/水分配係数を測定し、したがってカルボキシ類似体を相対的に高pH(8から9)で研究した。1−オクタノール/水分配係数(log P)を、従来の振盪フラスコ手順を使用して評価した。実験は、0.1Mのリン酸緩衝液によってpH8で緩衝化した0.1mMの胆汁酸塩溶液で行い、BAの完全なイオン化を確実にした。log P値は、プロトン化種ではなくイオン化形態のBAを意味し、各BAの最初の濃度は、それ自体のCMC値より低かった。水性緩衝液は事前に1−オクタノールで事前飽和させ、水で事前飽和させた5mlの1−オクタノールを次いで加え、試料を連続撹拌しながら室温で2週間平衡化させた。遠心分離後、2つの相を注意深く分離した。水相中のBA濃度は、C18カラム(150mm×2mm、皮内、4μm)および、移動相として、15mMの酢酸(pH5)およびアセトニトリルを含有する水を使用して、HPLC−ESI−MS/MSで測定した。流量は150μal/分であり、カラムを45℃に維持した。質量分析取得は、負のイオン化のESI源を使用して多段反応モニタリングモードで行った。
【0143】
表2は結果を示す。3α、7αおよび16β位において3個のヒドロキシル基を有するカルボキシル化された化合物10は、C−6位におけるエチルの存在によって、天然類似体CAに対して僅かにより高い親油性を示した。12−アルファ位が界面活性特性において主要な役割を果たしていないようであることを考慮すれば、16−ベータヒドロキシル基の普通でない位置によって差異がある可能性が高い。
【0144】
アルブミン結合
アルブミン結合の程度を、固定したBA−アルブミン比で平衡透析によって評価した。各BAを100μMの濃度で5%ウシ血清アルブミン−食塩溶液(pH7.2)に溶解させ、25℃で24時間静置した。2ミリリットルのこの溶液を、25mlの食塩溶液に対して12,000〜14,000ダルトンの分画分子量を有するセルロースサック中で透析した。25℃にて72時間の穏やかな撹拌によって系を平衡化させた。透析した溶液(遊離の非結合画分に相当する)および開始溶液のBA濃度を、前の分析と同じ条件でHPLC−ESI−MS/MSによって決定した。
【0145】
アルブミン結合の割合を、当初のBA濃度からおよび透析した画分中の非結合濃度から計算した。データを、表2に報告する。
【0146】
化合物10の結合割合は、側鎖におけるメチル基の結果として、CAよりも高い。化合物10は、天然BAと同様に、相対的に速い肝臓取込みと適合するアルブミン結合を示す。
【0147】
(実施例5)
ヒト糞便培養物中のインビトロの代謝安定性
腸内細菌に対する安定性
7a−脱ヒドロキシル化
ホモジナイズした新鮮なヒト糞便(500mg)を、無菌バイアルに移し、それに5mLの殺菌した肉の細切れ−グルコース培地(Scott Lab.、Fiskville、RI)を加えた。次いで、BAを0.05mMの最終濃度で加えた。バイアルを37℃でインキュベートし、次いでBAの添加の0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後および24時間後に、150μLの30%KOHによって反応を停止させた。試料を、3500rpmで10分間遠心分離した。上清から、BAをC−18固相抽出によって単離し、TLCおよびHPLC−ES−MS/MSによって分析した。
【0148】
シリカゲルの0.25mm厚さのプレート(Merck、Darmstat、Germany)を利用した薄層クロマトグラフィー(TLC)を、第1のスクリーニング試験として用いた。抱合BAの分離のために使用した溶媒系は、プロピオン酸/酢酸イソアミル/水/N−プロパノール(3:4:1:2、v/v/v/v;溶媒I)からなり、非抱合BAの溶媒系は、酢酸/四塩化炭素/イソプロピルエーテル/酢酸イソアミル/水/N−プロパノール/ベンゼン(1:4:6:8:2:2、v/v/v/v/v/v;溶媒II)であった。分離したBAが、5%ホスホモリブデン酸エタノール溶液と共に示された。
【0149】
化合物10は、ヒト糞便培養物中でインキュベートされたときに非常に安定的であり、24時間後でさえ、化合物の85%超は無修飾で回収された。これに反して、参照天然類似体ケノデオキシコール酸(CDCA)はほぼ1時間の半減期時間を示し、8時間のインキュベーション後に、殆ど完全に代謝(7−脱ヒドロキシル化)され、リトコール酸を形成した。また、長時間のインキュベーション後、7−オキソ誘導体の7−脱ヒドロキシル化および中間体形成は実際に消失した。
【0150】
側鎖の安定性
第1の結果によると、側鎖は、腸内細菌酵素活性によって修飾されなかった。これらのデータは、C−6位におけるエチル基の存在が、立体障害によって、酸化または除去に対して7−ヒドロキシル基を保護していることを示唆する。さらに、化合物10はまた、側鎖代謝について非常に安定的である。
【0151】
(実施例6)
胆汁瘻ラットにおける十二指腸(皮内)および大腿部(静脈内)投与後の化合物10の胆汁分泌および代謝
目的および原理
新規のBA類似体の構造的修飾は、それらの肝臓取込み、肝臓の輸送および分泌および腸管吸収に影響する可能性がある。したがって、静脈内および皮内投与の両方の後の胆汁分泌に関する知識は、それらの代謝に関する知識と共に、さらなる研究のための候補選択における要点である。
【0152】
腸管吸収の機序および効率性を評価するために、化合物10を、同じ用量で静脈内(大腿部注入)および経口的(十二指腸注入)の両方で投与し、その胆汁分泌速度を胆汁瘻ラットモデルにおいて評価した。胆汁生成に対する胆汁分泌作用をまた評価した。静脈内および皮内投与の間の時間に対する胆汁分泌の曲線下面積(AUC)における差異は、その腸管吸収を説明し、そのバイオアベイラビリティーについての情報を与える。さらに、肝臓および腸の代謝はまた非常に異なる可能性があり、したがって、化合物10およびその主要な(腸管の)肝代謝物の胆汁分泌を決定した。
【0153】
胆汁分泌作用
−十二指腸注入
胆汁瘻ラットモデルは、ボローニャ大学実験室施設で発育した。化合物を、ラット群に十二指腸注入(皮内)によって1μmol/kg/分の用量で投与した(1時間の注入)。ラットは、注入の前および間に異なる時間で胆汁試料を集める胆汁瘻を有する。十二指腸注入実験のために、6匹のラット(250±10g)を処理した。胆汁試料を15分毎に4時間集めた。さらに、3匹の対照ラットを、時間およびサンプリングについて同じ条件下にて食塩溶液で処理した(十二指腸対照ラット)。
【0154】
図7は、試料捕集の間の胆汁流を示す(1匹の動物)。十二指腸注入は、30分のベースライン胆汁収集の後に開始し、1時間続ける。化合物10は胆汁分泌促進性ではなく、胆汁流は、対照群と同様である。
【0155】
−静脈内注入
大腿部注入実験のために、6匹のラット(体重250±10g)を、1μmol/分/kgにて化合物10で処理した。図8は、研究の間の胆汁流を示す。大腿部注入は、75分の定常状態の後に開始し、60分間続ける。胆汁試料を15分毎に4時間集めた。さらに、時間およびサンプリングについて同じ条件下で3匹のラットを食塩溶液で処理した(大腿部対照ラット)。
【0156】
3%BSA食塩水ビヒクル(対照、n=1)の静脈への注入の間の胆汁流は、実験の全期間に40〜80μL/分/kgの範囲の値を維持した。図8は、参照化合物としてCDCAの静脈への注入後の胆汁流を報告する。対照実験に対して有意差は観察されず、最大流量は対照ケースよりほんの僅かに高かった(80対70μL/分/kg)。
【0157】
投与された類似体の胆汁分泌
静脈内および皮内実験の間に集めた胆汁試料を分析し、投与された類似体およびその代謝物の胆汁分泌を決定した。HPLC−ES−MS/MS分析:各化合物の純粋な結晶性粉末は、ペルージャのR.Pellicciariの試験施設から入手した。メタノール中のストック溶液(1mmol/L)(化合物10(350μmol/L)を除く)を調製し、処理用溶液は、適当な容量の一次溶液を希釈することによって調製した。メタノールおよびアセトニトリル(acetronitrile)は、HPLCグレードの純度のものであった。アンモニアは30%、酢酸は99.8%であった。全ての試薬は、Carlo Erba Reagentsから入手した。HPLCグレードの水は、Milli−Qシステムによって調製した。
【0158】
試料の調製
ラット胆汁試料を室温にし、短時間撹拌し、15mMの酢酸アンモニウム緩衝液(pH=5.0):アセトニトリル=70:30(v/v)で1:100v/v(十二指腸注入からの胆汁試料)および1:100または1:200v/v(大腿部注入からの胆汁試料)に希釈した。最終溶液をオートサンプラーバイアル中に移し、10μLをクロマトグラフィーカラム中に注入した。
【0159】
HPLC−ESI−MS/MS法
ラット胆汁試料は、負のイオン化モードのエレクトロスプレー(ESI)源を使用して、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(HPLC−MS/MS)によって分析した。液体クロマトグラフィーのために、オートサンプラーと連結したWaters Alliance2695分離モジュールを使用した。オートサンプラーを7℃に維持した。SecurityGuard ODS、4×2.0mm、皮内、プレカラムによって保護されているSynergi Hydro−RP C18カラム(150×2.0mm、皮内、4μmの粒径)(両方ともPhenomenexから供給されている)上で分離を行った。15mMの酢酸アンモニウム緩衝液(pH=5.00)を移動相Aとして、アセトニトリルを移動相Bとして使用して、分析物を溶出させた。移動相Bを30%から64%に10分で増加させ、次いで10分で100%にし、10分間一定に保った。流量は150μL/分であり、カラムは45℃に維持した。カラム流出液を、多段反応モニタリング(MRM)取得モードで作動するトリプル四重極質量分析計(Quattro−LC、Micromass)に連結しているESI源に導入した。窒素を、90L/時間の流量でネブライザーガスとして、および930L/時間で脱溶媒和ガスとして使用した。イオン源遮断および脱溶媒和温度を、各々80℃および180℃に設定した。キャピラリー電圧は3.0kVであった。MassLynxソフトウェアバージョン4.0を、データ収集および処理のために使用した。さらに、シングルMSまたはタンデムMS/MS配置の両方における質量分析法を使用して実験を行い、代謝物を同定した。
【0160】
定量化
5点検量線を毎日調製し、2連で注入した。較正試料は、移動相中で調製する0.1〜25μmol/Lの濃度範囲内で得た。線形検量線パラメーターは、最小二乗回帰分析を使用して、分析物ピーク面積対分析物濃度のプロットから得た(重量=1/x2)。相関係数は、≧0.989であった。
投与された類似体の薬物動態(胆汁分泌):静脈内対皮内の比較
データは、1μmol/Kg/分の用量での十二指腸のおよび大腿部注入の後に、胆汁中にそれ自体として回収された類似体の分泌速度を意味する。主要および微量な代謝物を、後で報告する。
【0161】
表3は、十二指腸注入(1時間、75分〜135分の範囲)の間に集めたラット胆汁試料から得た化合物10についての濃度および分泌値を示す。
【0162】
【表3】
表4は、大腿部注入(1時間、75分〜135分の範囲)の間に集めたラット胆汁試料から得た化合物10の濃度および分泌値を示す。
【0163】
【表4】
a−:計算せず b n.d.:検出せず
静脈への注入後の化合物10の胆汁分泌は効率的ではなく、最大分泌速度は低い(図9)。化合物は代謝され、タウリン抱合体を形成し、これはその回収を僅かに改善する一因となる。皮内投与後の胆汁分泌は静脈内実験より非常に低く、これは分子の乏しい腸管吸収を示唆する。
【0164】
肝代謝
化合物10は、天然BAのように肝代謝を受ける。静脈内投与後、胆汁中にそれ自体としておよび主としてタウリンと抱合して分泌される。ラクトンおよびモノグルクロニド代謝物などの微量な代謝物がまた見出された。皮内投与後、分子はそれ自体として回収され、主として代謝され、タウリン抱合体を形成する。図10a:静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁中で同定された化合物10およびその主要な代謝物。データは絶対面積値として報告する。
図10b:図10aの拡大表示。
図10c:実験において質量分析法を使用して胆汁において同定された化合物10およびその主要な代謝物。データを絶対面積値として報告する。
【0165】
化合物10は、低い界面活性を伴って、中程度に親水性である。肝臓取込みは効率的であり、腸管吸収もまた効率的である。化合物は、胆汁中にそれ自体として、および主としてタウリン抱合体として分泌され、胆汁における回収はほぼ完全である。
【0166】
(実施例7)
HepG2細胞に対するインビトロの毒性
本発明の化合物を、HepG2細胞アッセイを使用してインビトロの毒性について評価した。ATP減少をモニターすることによってHepG2細胞の細胞毒性を決定し、カスパーゼ−3活性化をモニターすることによってHepG2細胞アポトーシスを決定した。結果を表5に示す。
【0167】
細胞毒性
細胞生存率を、Perkinelmer ATP−Lite1STEPを使用して測定した。ATPは、全ての代謝的に活性な細胞において存在し、細胞が壊死またはアポトーシスを起こすときに非常に急速に濃度が減少するため、細胞生存率についてのマーカーである。ヒトNCI−H716またはHepG2細胞(1×104)を96ウェルプレートに播種し、1nM〜300μMの化合物10を10倍希釈で37℃にて4時間刺激した。プレートを室温で10分間平衡化させ、100μlのATP−Lite1STEP試薬を、細胞を含有する100μlの培地に加えた。発光を、Victor Light(PerkinElemr)で読み取った。実験シグナルを、バックグラウンドから差し引いた。タモキシフェンを細胞毒性の陽性対照として使用し、一方陰性対照は非処理細胞であった。
【0168】
アポトーシス
カスパーゼは、アポトーシスの分子制御に関与し、TruPointカスパーゼ−3基質は、カスパーゼ−3活性の感受性で強固で均一な時間分解蛍光アッセイを可能にする。ヒト肝細胞(HepG2)を、ピルビン酸ナトリウムを有さないHepG2培地と共に96ウェルプレートに播種した(1×104)。1nM〜300μMの試験化合物の段階希釈によって、3連で細胞を37℃で4時間刺激した。スタウロスポリンを、アポトーシス細胞の陽性対照として使用した。陰性対照は、1.無刺激細胞;2.細胞を含まない培地単独;3.カスパーゼ基質を有さずにインキュベートした細胞であった。溶解緩衝液およびカスパーゼ−3基質を細胞に加え、1時間および24時間後、EnVisionで蛍光を測定した。
【0169】
壊死
PromegaのCytoTox ONE均質膜完全性アッセイを使用して壊死細胞からの乳酸デヒドロゲナーゼ(Lactato DeHydroxegenase)(LDH)の放出を測定することによって、細胞壊死を分析した。ヒト肝細胞(1×104)を96ウェルプレート中に播種した。18時間のインキュベーション後、ピルビン酸ナトリウムを有さない新鮮な培地および無血清を置き換え、化合物10を0.1μM〜500μMの用量反応で加えた。Triton(1%)を、最大LDH放出対照として使用した。タモキシフェンを、壊死誘導物質として使用した。蒔いた細胞を、インキュベーター中にさらに4時間戻した。上清を新しいプレートに移し、同じ用量のCytoTox−ONE試薬をプレートに加えた。1時間のインキュベーション後、蛍光をEnVision多標識プレートリーダーによって560nmの励起波長および590nmの発光波長で読み取った。
【0170】
【表5】
n.d.:検出せず。
【0171】
(実施例8)
NR選択性アッセイ
本発明の化合物の選択性を、当技術分野において公知のアッセイ方法を使用して評価した。具体的には、下記のアッセイ法を使用した。
FXRおよびLXR:コアクチベーターのリクルート作用(alphascreen)
TGR5:ヒト腸細胞系(NCI−H716)上のcAMPレベル
PXR:リガンド競合アッセイ(結合アッセイ)
CAR:コアクチベーターのリクルート作用(Lanthascreen)
表6は、これらのアッセイの結果を示す。
【0172】
TR−FRETコアクチベーターアッセイ
Lanthascreenアッセイ(Invitrogen)を、核内受容体選択性アッセイのために使用した。キットは、テルビウム標識抗GST抗体、フルオレセイン標識コアクチベーターペプチド、および均一なミックス−アンド−リードアッセイフォーマット中のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)によってタグを付けられたNRリガンド結合ドメインを使用する。アッセイは、384マイクロウェルプレート(PerkinElmer)中で行った。20μlの総アッセイ反応物には、Invitrogenによって供給されたアッセイ緩衝液中の5nMのGST標識したNR、125nMのコレギュレーターペプチド、5nMのTB−抗GST標識した抗体(テルビウム−抗グルタチオンSトランスフェラーゼ標識)、5mMのDTTおよび様々な濃度の化合物10が含まれた。陰性対照は化合物10を欠いていたが、アゴニストウェル中に含有されるその他の全てを含有した。暗中での1時間のインキュベーションに続いて、TR−FRET測定をEnvision中で行った。放出率520/495を、様々なリガンド濃度に対してプロットした。GraphPad Prismを使用し、可変の勾配を有するS字状曲線式を使用してデータを分析し、EC50値を得た。
【0173】
【表6】
他の実施形態
本発明をその詳細な記載と併せて記載してきたが、上記の記載は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図し、限定することを意図しない。他の態様、利点、および変形形態は、下記の特許請求の範囲内である。添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変化をその中で行い得ることは当業者であれば理解するであろう。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年11月19日出願の、欧州特許出願第08169460.6号に対して優先権を主張し、その内容が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、TGR5を調節する化合物、ならびに疾患の治療および予防のための方法において有用なこのような化合物を含有する組成物に関する。具体的には、本発明の化合物は、C−16位において置換基を有するケノデオキシコール酸の類似体である。
【背景技術】
【0003】
TGR5受容体は、胆汁酸(BA)に応答する細胞表面受容体として同定されてきたGタンパク質共役受容体である。TGR5の一次構造および胆汁酸へのその応答性は、ヒト、ウシ、ウサギ、ラット、およびマウスにおいてTGR5中で高度に保存されていることが見出されており、したがって、TGR5は重要な生理機能を有することが示唆されている。TGR5は、リンパ組織だけでなく、他の組織において広範に分布していることが見出されてきた。高レベルのTGR5mRNAは、胎盤、脾臓、および単球/マクロファージにおいて検出されてきた。胆汁酸は、細胞膜から細胞質へのTGR5融合タンパク質の内部移行を誘発することが示されてきた。非特許文献1。TGR5は、hGPCR19と同一であることが見出されてきた(非特許文献2による報告)。
【0004】
TGR5は、多様な細胞型において広範に発現しているcAMPの細胞内蓄積と関連している。マクロファージにおけるこの膜受容体の活性化は、炎症性サイトカイン生成を減少させる一方(非特許文献1)、脂肪細胞および筋細胞におけるBAによるTGR5の刺激は、エネルギー支出を増大させる(非特許文献3)。この後者の作用は、2型ヨードチロニン脱ヨード酵素(D2)のcAMP−依存性誘発を伴い、これはT4をT3に局所的に変換することによって、甲状腺ホルモン活性の増加をもたらす。エネルギー代謝の制御におけるTGR5の役割と一致して、雌性TGR5ノックアウトマウスは、高脂肪食に曝露されたときに体重増加を伴う有意な脂肪蓄積を示し、これは、TGR5の欠乏がエネルギー支出を減少させ、肥満症を誘発することを示す(非特許文献4)。エネルギー恒常性におけるTGR5の関与に加えて、およびそれと一致して、膜受容体の胆汁酸活性化によってまた、マウス腸内分泌細胞系におけるグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)の生成が促進されることが報告されてきた(非特許文献5)。上記の観察全てに基づいて、TGR5は、代謝性疾患、例えば、肥満症、糖尿病(I型およびII型)、異脂肪血症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、ならびに代謝症候群の治療のための魅力的な標的である。
【0005】
僅かな例のTGR5アゴニストが、今までに文献において記載されてきた。最近、ケノデオキシコール酸の23−アルキル−置換および6,23−アルキル−二置換誘導体(下記に示す6α−エチル−23(S)−メチル−ケノデオキシコール酸など)は、TGR5の強力および選択的なアゴニストとして報告されてきた(非特許文献6)。
【0006】
【化1】
特に、天然BAのC23−(S)位におけるメチル化は、FXR(ファルネソイドX受容体)活性化よりも、顕著な選択性をTGR5に与え、一方では、6α−アルキル置換は、両方の受容体において作用強度を増加させる。他のTGR5アゴニストには、6−メチル−2−オキソ−4−チオフェン−2−イル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピリミジン−5−カルボン酸ベンジルエステル(特許文献1、武田薬品工業株式会社、日本、2004年)およびオレアノール酸(oleanoic acid)が含まれる(非特許文献7;Ito, F.; Hinuma, K.; Kanzaki, N.; Miki, T.; Kawamata, Y.; 0i, S.; Tawaeaishi, T.; Ishichi, Y.; Hirohashi, M.、Preparation of aromatic ring−fused cyclic compounds as TGR5 receptor agonists. PN:特許文献1、2004年。より最近では、鏡像異性のケノデオキシコール酸(CDCA)およびリトコール酸(LCA)の初めての合成によって、天然BAとTGR5との相互作用の特異性の評価が可能となった(非特許文献8)。
【0007】
これらの化学ツールはBAの遺伝子性対非遺伝子性作用の薬理学的差異を初めて提供する一方、それらのいくつかは、最初の構造活性相関研究を描くことをまた可能にし、TGR5における付属結合ポケットの存在は、リガンド選択性の決定において極めて重要な役割を果たす(非特許文献6)。これに関連して、より強力および選択的なTGR5モジュレーターを利用できることは、受容体活性化に影響を与えるさらなる特徴をさらに同定し、この受容体の生理および薬理作用を特性決定するのに必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第004067008号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kawamata, Y.; Fujii, R.; Hosoya, M.; Harada, M.; Yoshida, H.; Miwa, M.; Fukusumi, S.; Habata, Y.; Itoh, T.; Shintani, Y.; Hinuma, S.; Fujisawa, Y.; Fujino, M.、A G protein−coupled receptor responsive to bile acids、J. Biol. Chem.、2003年、278号、9435〜9440頁
【非特許文献2】Takedaら、2002年、FEBS Lett.、520号、97〜101頁
【非特許文献3】Watanabe, M.; Houten, S. M.; Mataki, C.; Christoffolete, M. A.; Kim, B. W.; Sato, H.; Messaddeq, N.; Harney, J. W.; Ezaki, 0.; Kodama, T.; Schoonjans, K.; Bianco, A. C.; Auwerx, J.、Bile acids induce energy expenditure by promoting intracellular thyroid hormone activation、Nature、2006年、439号、484〜489頁
【非特許文献4】Maruyama, T.; Tanaka, K.; Suzuki, J.; Miyoshi, H.; Harada, N.; Nakamura, T.; Miyamoto, Y.; Kanatani, A.; Tamai, Y.、Targeted disruption of G protein−coupled bile acid receptor 1 (Gpbarl/MBar) in mice、J. Endocrinol.、2006年、191号、197〜205頁
【非特許文献5】Katsuma, S.; Hirasawa, A.; Tsujimoto, G.、Bile acids promote glucagon−like peptide−1 secretion through TGR5 in a murine enteroendocrine cell line STC−1、Biochem. Biophys. Res. Commun.、2005年、329号、386〜390頁
【非特許文献6】Pellicciari, R.; Sato, H.; Gioiello, A.; Costantino, G.; Macchiarulo, A.; Sadeghpour, B. M.; Giorgi, G.; Schoonjans, K.; Auwerx, J.、Nongenomic actions of bile acids. Synthesis and preliminary characterization of 23−and 6,23−alkyl−substituted bile acid derivatives as selective modulators for the g−protein coupled receptor TGR5、J. Med. Chem.、2007年、50号、4265〜4268頁
【非特許文献7】Sato, H.; Genet, C.; Strehle, A.; Thomas, C.; Lobstein, A.; Wagner, A.; Mioskowski, C.; Auwerx, J.; Saladin, R.、Anti−hyperglycemic activity of a TGR5 agonist isolated from Olea europaea、Biochem. and Biophys. Res. Commun.、2007年、362号、793〜798頁
【非特許文献8】Katona, B. W.; Cummins, C. L.; Ferguson, A. D.; Li, T.; Schmidt, D. R.; Mangelsdorf, D. J.; Covey, D. F.、Synthesis, Characterization, and Receptor Interaction Profiles of Enantiomeric Bile Acids、J. Med. Chem.、2007年、50号、6048〜6058頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
疾患の治療および予防のためのTGR5モジュレーターを開発することが必要とされている。本発明は、C−16位において置換基を有するケノデオキシコール酸類似体である化合物、および疾患を治療するためにこれらの化合物を使用する方法を同定した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、TGR5受容体の調節に関与する疾患(代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患など)を治療および予防するための化合物、ならびにそれらの使用に関する。具体的には、本発明の化合物は、下記に示すようにD環のC−16位において置換されているケノデオキシコール酸の類似体である。
【0012】
【化2】
一態様において、本発明には、式A:
【0013】
【化3】
を有する化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、
R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、
R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、
R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。
【0014】
別の態様において、本発明には、式B:
【0015】
【化4】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0016】
別の態様において、本発明には、式C:
【0017】
【化5】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0018】
別の態様において、本発明には、式D:
【0019】
【化6】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0020】
別の態様において、本発明には、式E:
【0021】
【化7】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、本明細書に記載されている通りである。
【0022】
別の態様において、本発明には、式F:
【0023】
【化8】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、請求項1に記載されている通りである。
【0024】
本発明には、R1がOHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がアルファ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R2がベータ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R4が非置換アルキルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R4がエチルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R11がヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R12が水素である、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R16がアルファヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、R16がベータヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0025】
本発明には、化合物が化合物10である化合物、
【0026】
【化9】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。本発明には、化合物が薬学的に許容される塩である、化合物が含まれる。
【0027】
本発明には、本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が含まれる。本発明には、疾患を治療または予防する方法において使用するための化合物または組成物が含まれ、この方法は、本発明の化合物を投与することを含む。本発明には、疾患を治療または予防する方法のための医薬の製造における本発明の化合物の使用が含まれる。
【0028】
本発明には、疾患を治療または予防するための医薬の製造における、式A:
【0029】
【化10】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体の使用が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり;R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。本発明には、被験体に、式Aを有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体を投与することによって疾患を治療する方法が含まれる。
【0030】
本発明には、疾患が代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、使用が含まれる。本発明には、化合物または組成物が被験体に経口的、非経口的、静脈内、または局所的に投与される、使用が含まれる。本発明には、被験体がヒトである、使用が含まれる。
【0031】
上記の説明は、下記のその詳細な記載を理解するために、および当技術分野に対する本発明の貢献をより認識するために、本発明のより重要な特徴を広く記載する。本発明の他の目的および特徴は、実施例と併せて考慮すれば、下記の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ベクター単独(V)またはTGR5発現ベクター(TGR5)で過渡的にトランスフェクトされたHEK293T細胞に対して化合物10(図1A)およびLCA(図1B)を使用した、FRETアッセイの結果を示す一連の2つのグラフ(A〜B)である。
【図2】図2は、TGR5発現HEK293T細胞を使用した、化合物10およびLCA(陽性対照)についてのトランス活性化アッセイ(CRE−Lucレポーター)結果を示す一連の2つのグラフ(A〜B)である。
【図3】図3は、腸NC1−H716細胞および陽性対照としてLCAを使用した、化合物10についてのTGR5標的遺伝子発現アッセイの結果を示す棒グラフである。
【図4】図4は、ヒト腸(NCI−H716)を使用した4時間の刺激の後のATP−放出を測定する化合物10についてのインビトロの細胞毒性試験の結果を示す一連の3つのグラフ(A〜C)である。LCAは、陽性対照である。
【図5】図5は、肝臓(HepG2)細胞系を使用した4時間の刺激後のATP−放出を測定する化合物10についてのインビトロの細胞毒性試験の結果を示す一連の3つのグラフ(A〜C)である。LCAは、陽性対照である。
【図6】図6は、NaCl(0.15M)中の化合物10(mM)の濃度の対数に対してプロットした表面張力を示すグラフである。
【図7】図7は、化合物10を使用して行った十二指腸注入実験についての胆汁流のチャートである。
【図8】図8は、化合物10を使用して行った大腿部注入実験についての胆汁流のチャートである。
【図9】図9は、化合物10を使用して行った大腿部および十二指腸注入実験における時間に対する分泌速度を示すグラフである。
【図10A】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【図10B】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【図10C】図10は、静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁内で同定された化合物10およびその主要な代謝物を示す一連のグラフである。データは絶対面積値として報告する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1つまたは複数の本発明の実施形態の詳細を、下記の付随的な記載において記載する。本明細書に記載されているものと同様または等しい任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、方法および材料をこれから記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、記載から明らかであろう。明細書において、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、単数形にはまた複数が含まれる。他に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、本明細書が優先する。
【0034】
一態様において、本発明には、式A:
【0035】
【化11】
の化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシルであり、R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシルであり、R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、またはハロゲンである。一態様において、本発明には、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであり、R16がアルファOHである、化合物が含まれない。別の態様において、本発明は、式Aの化合物または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体を提供し、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない。別の態様において、本発明には、化合物
【0036】
【化12】
が含まれない。
【0037】
一態様において、本発明には、式B:
【0038】
【化13】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、上記の通りである。
【0039】
一態様において、本発明には、式Cを有する化合物、
【0040】
【化14】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、上記の通りである。
【0041】
一態様において、本発明には、式D:
【0042】
【化15】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2、R4、およびR16は、上記の通りである。
【0043】
一態様において、本発明には、式E:
【0044】
【化16】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、上記の通りである。
【0045】
一態様において、本発明には、式F:
【0046】
【化17】
を有する化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれ、式中、R2およびR16は、上記の通りである。
【0047】
一態様において、本発明には、R1がOHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R1がOHであり、R7がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0048】
一態様において、本発明には、R2がHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R2がアルファ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R2がベータ−OHである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0049】
一態様において、本発明には、R4が非置換アルキルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R4がエチルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0050】
一態様において、本発明には、R11がヒドロキシルである、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。一態様において、本発明には、R12が水素である、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0051】
一態様において、本発明には、化合物10、
【0052】
【化18】
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体が含まれる。
【0053】
一態様において、本発明には化合物が含まれ、化合物は、薬学的に許容される塩である。
【0054】
一態様において、本発明には、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体と、少なくとも1種の賦形剤とを含む組成物が含まれる。一態様において、本発明には、化合物、またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物が含まれる。
【0055】
一態様において、本発明には、被験体において疾患を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物または組成物の使用が含まれる。別の態様において、本発明には、本発明の化合物または組成物を投与することによって、被験体において疾患を治療または予防する方法が含まれる。一態様において、本発明には、被験体に投与される治療有効量の本発明の化合物または組成物が含まれる。一態様において、本発明には、投与される予防的有効量の本発明の化合物または組成物が含まれる。
【0056】
一態様において、本発明には、被験体において、TGR5受容体の調節が関与する疾患を治療または予防するための医薬の製造における本発明の化合物または組成物の使用が含まれる。本発明には、本発明の化合物または組成物を投与することによって、被験体においてTGR5受容体の調節が関与する疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0057】
一態様において、本発明には、疾患が代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、使用が含まれる。本発明には、代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0058】
一態様において、本発明には、疾患が肥満症、糖尿病、代謝症候群、インスリン抵抗性、高血圧症、および異脂肪血症から選択される代謝性疾患である、使用が含まれる。本発明には、肥満症、糖尿病、糖尿肥満、代謝症候群、インスリン抵抗性、前糖尿病性インスリン抵抗性、高血圧症、および異脂肪血症から選択される代謝性疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0059】
一態様において、本発明には、疾患がアレルギー、骨関節炎、虫垂炎、気管支喘息、膵炎、アレルギー性皮疹、および乾癬から選択される炎症性疾患である、使用が含まれる。本発明には、アレルギー、骨関節炎、虫垂炎、気管支喘息、膵炎、アレルギー性皮疹、および乾癬から選択される炎症性疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0060】
一態様において、本発明には、疾患が関節リウマチ、多発性硬化症、およびI型糖尿病から選択される自己免疫疾患である、使用が含まれる。本発明には、関節リウマチ、多発性硬化症、およびI型糖尿病から選択される自己免疫疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0061】
一態様において、本発明には、疾患が炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、短腸症候群(照射後大腸炎)、顕微鏡的大腸炎、過敏性腸症候群(吸収不良)、および細菌過剰繁殖から選択される胃腸疾患である、使用が含まれる。本発明には、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、短腸症候群(照射後大腸炎)、顕微鏡的大腸炎、過敏性腸症候群(吸収不良)、および細菌過剰繁殖から選択される胃腸疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0062】
一態様において、本発明には、疾患が糖尿病性腎症、慢性腎不全、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎、および多発性嚢胞腎疾患から選択される腎臓疾患である、使用が含まれる。本発明には、糖尿病性腎症、慢性腎不全、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎、および多発性嚢胞腎疾患から選択される腎臓疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0063】
一態様において、本発明には、疾患が結腸直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、腎臓癌、胃癌、膵臓癌、前立腺癌、およびインスリノーマから選択される癌である、使用が含まれる。本発明には、結腸直腸癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆管癌、腎臓癌、胃癌、膵臓が癌、前立腺癌、およびインスリノーマから選択される癌を治療または予防する方法が含まれる。
【0064】
一態様において、本発明には、疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、薬剤誘発性肝炎、血色素症、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、門脈高血圧症、胆汁不飽和、ゴーシェ病、ウィルソン病、α1−アンチトリプシン欠損症、完全非経口栄養(TPN)、胆石症、TPNに関連する胆汁鬱滞および敗血症から選択される肝疾患である、使用が含まれる。本発明には、非アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、薬物誘発性肝炎、血色素症、胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、門脈高血圧症、胆汁不飽和、ゴーシェ病、ウィルソン病、α1−アンチトリプシン欠損症、完全非経口栄養(TPN)、胆石症、TPNに関連する胆汁鬱滞および敗血症から選択される肝疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0065】
一態様において、本発明には、心臓疾患がうっ血性心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、狭心症、動脈硬化症および脳血管疾患(出血、脳卒中、脳血管性梗塞)から選択される、使用が含まれる。本発明には、うっ血性心不全、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、狭心症、動脈硬化症および脳血管疾患(出血、脳卒中、脳血管脳性梗塞)から選択される心臓疾患を治療または予防する方法が含まれる。
【0066】
一態様において、本発明には、TGR5受容体の調節が関与する疾患が含まれる。一態様において、本発明には、TGR5アゴニストである化合物が含まれる。一態様において、化合物は、FXRアクチベーターよりも選択的TGR5アゴニストである。
【0067】
一態様において、本発明の化合物または組成物を経口的、非経口的、静脈内、または局所的に被験体に投与する。一態様において、被験体はヒトである。
【0068】
定義
便宜上、明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語を、ここに集める。
【0069】
「治療する」という用語は、本明細書において使用する場合、病態または状態を軽減、緩和、減少、解消、モジュレート、または寛解、すなわち退行をもたらすことを意味する。
【0070】
「予防する」という用語は、本明細書において使用する場合、特に、患者または被験体が病態または状態にかかりやすい、あるいは病態または状態を罹患する危険性があるときに、患者または被験体において病態または状態が起こることを完全にもしくは殆ど完全に阻止することを意味する。予防にはまた、例えば、病態または状態が既に存在し得るとき、病態または状態を抑制し、すなわちその発生を抑止し、病態または状態を軽減または寛解、すなわち退行をもたらすことを含むことができる。
【0071】
本明細書において使用する場合、「アミノ酸抱合体」という用語は、任意の適切なアミノ酸を有する本発明の式の化合物の抱合体を意味する。そのような本発明の式の化合物の適切なアミノ酸抱合体は、胆汁または腸液において増強された完全性という追加された優位性を有するであろう。適切なアミノ酸には、これらに限定されないが、グリシンおよびタウリンが含まれる。したがって、本発明は、本発明の化合物のいずれかのグリシンおよびタウリン抱合体を包含する。
【0072】
本明細書において使用する場合、「BA」とは、胆汁酸および胆汁酸誘導体を意味する。胆汁酸は、コレステロール由来のステロイドカルボン酸である。一次胆汁酸は、コール酸およびケノデオキシコール酸である。体内で、これらの酸は、胆汁中に分泌される前に、グリシンまたはタウリンと抱合する。
【0073】
「アルキル」には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、シクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基が含まれる。特定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に6個またはより少ない炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC1〜C6、分岐鎖についてC3〜C6)。いくつかの例において、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に4個またはより少ない炭素原子を有する。さらに、シクロアルキルは、それらの環状構造中に3個から8個の炭素原子を有する。
【0074】
「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の少なくとも1個または複数の炭素上の1個または複数の水素原子と置き換えた置換基を有するアルキル部分を意味する。このような置換基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含めた)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含めた)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは芳香族複素部分を含むことができる。
【0075】
「アリール」には、0個から4個のヘテロ原子を含み得る5員および6員の「非共役」または単環の芳香族基、および少なくとも1個の芳香環を有する「共役」または多環式系を含めた、芳香族性を有する基が含まれる。アリール基の例には、ベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが含まれる。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナプトリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが含まれる。環状構造中にヘテロ原子を有するそれらのアリール基はまた、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素環式芳香族化合物」と称し得る。芳香環は、上記のような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含めた)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含めた)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは芳香族複素部分)で、少なくとも1つの環位置において置換されていてもよい。アリール基はまた、多環式系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成するために、芳香族ではない脂環または複素環と縮合または架橋することができる。
【0076】
炭素の数が他に特定されない限り、「低級アルキル」には、上記定義のようなアルキル基が含まれるが、その骨格構造中に1〜10個、例えば、1〜6個の炭素原子を有する。
【0077】
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合している酸素原子に結合している炭素またはヘテロ原子を含有する化合物および部分が含まれる。「エステル」という用語には、アルコキシカルボキシ基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなど)が含まれる。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、上記定義の通りである。
【0078】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、−OHまたは−O−を有する基が含まれる。
【0079】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが含まれる。「ペルハロゲン化」という用語は一般に、全ての水素がハロゲン原子で置き換えられている部分を意味する。
【0080】
「アニオン基」とは、本明細書において使用する場合、生理的pHにおいて負に帯電している基を意味する。アニオン基には、カルボキシレート、スルフェート、スルホネート、スルフィナート、スルファメート、テトラゾリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、またはホスホロチオエートまたはその機能的等価物が含まれる。アニオン基の「機能的等価物」は、生物学的同配電子体(bioisostere)、例えば、カルボン酸基の生物学的同配電子体を含むことを意図する。生物学的同配電子体は、古典的な生物学的等価性同等物および非古典的な生物学的等価性同等物の両方を包含する。古典的および非古典的な生物学的同配電子体は、当技術分野において公知であえる(例えば、Silverman, R. B.、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Academic Press, Inc.:San Diego, Calif.、1992年、19〜23頁を参照されたい)。別のアニオン基は、カルボキシレートである。
【0081】
「不安定な官能性」という用語は、不安定な連結、例えば、生理条件下の加水分解または切断の影響を受けやすい官能性または結合を含有する置換パターンを意味する(例えば、中性pH範囲の水溶液)。不安定な官能性の例には、アセタールおよびケタールが含まれる。
【0082】
さらに、本発明の化合物、例えば、化合物の塩は、水和もしくは非水和(無水)形態で、または他の溶媒分子との溶媒和物として存在することができる。水和物の非限定的例には、一水和物、二水和物などが含まれる。溶媒和物の非限定的例には、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが含まれる。
【0083】
「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。いくつかの化合物は、結晶性固体の状態の固定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向を有し、したがって溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、形成された溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールであるとき、形成された溶媒和物はアルコラートである。水和物は、水の1個または複数の分子と、水がその中でH2Oとしてその分子状態を保持する物質の1つとの組合せによって形成され、このような組合せは、1種または複数の水和物を形成することができる。
【0084】
本発明の化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれることが注目される。したがって、このような不斉性から生じる異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)は、他に示さない限り本発明の範囲内に含まれることが理解される。このような異性体は、古典的な分離技術によって、および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形態で得ることができる。エナンチオマー(R−およびS−配置)は、R.S.Cahn、C.Ingold、およびV.Prelogによって開発された系によって命名される。
【0085】
さらに、本出願において議論されている構造および他の化合物には、その全てのアトロプ異性体が含まれる。アトロプ異性体は、2種の異性体の原子が空間において異なって配置されている立体異性体の1タイプである。アトロプ異性体は、それらの存在が、中心的結合の周りの大きな基の回転障害によってもたらされる束縛回転に負っている。このようなアトロプ異性体は典型的には、混合物として存在するが、クロマトグラフィー技術における最近の進歩の結果、選択した場合において2種のアトロプ異性体の混合物を分離することが可能となった。
【0086】
「安定的な化合物」および「安定的な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度への単離、および効果的な治療剤への製剤の後で残存するのに十分に頑強な化合物を示すことを意味する。
【0087】
本明細書において使用する場合、「類似体」という用語は、他のものと構造的に同様であるが、組成が僅かに異なる化合物を意味する(異なる元素の原子による1個の原子の置換え、または特定の官能基の存在下、または別の官能基による1個の官能基の置換えなど)。したがって、類似体は、機能および外観が参照化合物と同様である、または相当する化合物である。
【0088】
本明細書に定義されているように、「誘導体」という用語は、例えば、「胆汁酸誘導体」という用語において、共通の中核の4員環状構造を有し、本明細書に記載されているような様々な基で置換されている化合物を意味する。
【0089】
「生物学的同配電子体」という用語は、原子または原子の群と、別の大まかに同様な原子または原子の群との交換から得られる化合物を意味する。生物学的等価性の置換えは、物理化学的または位相幾何学的に基づいていてもよい。カルボン酸の生物学的同配電子体の例には、アシルスルホンイミド、テトラゾール、スルホネート、およびホスホネートが含まれる。例えば、PataniおよびLaVoie、Chem. Rev.、96号、3147〜3176頁(1996年)を参照されたい。
【0090】
「併用療法」(または「同時療法」)には、これらの治療剤(すなわち、本発明の化合物および少なくとも1種の第2の薬剤)の相互作用からの有益な効果を提供することを意図する特定の治療計画の一部として、本発明の化合物および少なくとも第2の薬剤の投与が含まれる。組合せの有益な効果には、これらに限定されないが、治療剤の組合せから得られる薬物動態学的または薬力学的相互作用が含まれる。組合せにおけるこれらの治療剤の投与は典型的には、確定した期間(通常、選択した組合せによって、数分、数時間、数日または数週間)に亘って行う。「併用療法」とは、偶発的および任意に本発明の組合せをもたらす別々の単独療法の一部として、これらの治療剤の2つ以上の投与を包含することを意図し得るが、一般にそうではない。「併用療法」は、順次の態様でのこれらの治療剤の投与(すなわち、各治療剤が異なる時間で投与される)、ならびに実質的に同時の態様でのこれらの治療剤、または治療剤の少なくとも2つの投与を包含することを意図する。実質的同時投与は、例えば、被験体に、一定の比率の各治療剤を有する単一のカプセル剤、または治療剤の各々について複数の単一のカプセル剤を投与することによって達成することができる。各治療剤の連続的または実質的同時投与は、これらに限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋内経路、および粘膜組織を通した直接吸収を含めた任意の適当な経路によって達成できる。治療剤は、同じ経路によって、または異なる経路によって投与することができる。例えば、選択した組合せの第1の治療剤は、静脈内注射によって投与してもよく、一方組合せの他の治療剤は、経口的に投与してもよい。代わりに、例えば、全ての治療剤を経口的に投与してもよく、または全ての治療剤を静脈内注射によって投与してもよい。治療剤が投与される順序は、厳密には決定的ではない。
【0091】
「併用療法」はまた、他の生物活性のある成分および非薬物療法(例えば、手術または機械的処置)とのさらなる組合せにおける、上記のような治療剤の投与を包含する。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、非薬物治療は、治療剤および非薬物治療の組合せの相互作用からの有益な効果が達成される限り、任意の適切な時間で行い得る。例えば、適当な場合、非薬物治療が治療剤の投与から一時、恐らく数日または数週間除かれるとき、有益な効果は依然として達成される。
【0092】
「非経口投与」および「非経口的に投与する」という用語は、本明細書において使用する場合、通常注射による経腸および局所投与以外の投与方法を意味し、これらだけに限定されないが、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内の注射および注入が含まれる。
【0093】
本発明の化合物、または化合物の組合せの「治療有効量」は、化合物(または化合物(複数可))の量(含量または濃度)である。一実施形態において、治療有効量の化合物が治療を必要としている被験体に投与されるとき、疾患から生じる症状は、直ちに、または1回もしくは複数回の化合物の投与後に寛解する。被験体に投与される化合物の量は、特定の障害、投与方法、同時投与される化合物(もしあれば)、および被験体の特徴(身体全体の健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬物耐性など)によって決まる。当業者であれば、これらおよび他の要因によって適当な投与量を決定することができるであろう。
【0094】
「予防的有効量」という用語は、疾患の危険性を予防または減少させるために投与される本発明の化合物、または化合物の組合せの量(含量または濃度)、すなわち、予防または防止作用を実現するのに必要な量を意味する。被験体に投与される本化合物の量は、特定の障害、投与方法、同時投与される化合物(もしあれば)、および被験体の特徴(身体全体の健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬物耐性など)によって決まる。
【0095】
「危険性を減少させる」という用語は、本明細書において使用する場合、特に、患者または被験体が中枢神経系疾患、炎症性疾患および/または代謝性疾患を発生させる傾向があるときに、患者においてこのような発生する見込みまたは可能性が減少することを意味する。
【0096】
本発明の化合物の「塩」は、イオン結合を含有する化合物の生成物であり、化合物を、酸または塩基と反応させることによって典型的には生成される。
【0097】
「薬学的に許容される塩」とは、被験体に投与するのに適した塩である。
【0098】
「組成物」は、本発明の化合物を、被験体に投与するのに適した形態で含有する製剤である。別の実施形態において、医薬組成物は、バルクまたは単位剤形である。単位剤形は、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エアゾール吸入器上の単一のポンプ、またはバイアルを含めた種々の形態のいずれかである。組成物の単位用量中の活性成分(例えば、本発明の化合物またはその塩の製剤)の含量は有効量であり、関連する特定の治療によって変化する。患者の年齢および状態によって投与量に対して通常の変動を行うことが必要なときがあることを当業者であれば認識するであろう。投与量はまた、投与経路によって決まる。経口、肺、直腸、非経口、経皮的、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、鼻腔内などを含めて種々の経路が意図される。本発明の化合物の局所的または経皮的投与のための剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶液剤、パッチ剤および吸入剤が含まれる。別の実施形態において、活性化合物を、無菌状態下にて、薬学的に許容される担体と共に、および必要とされる任意の保存剤、緩衝液、または噴射剤と共に混合する。
【0099】
「フラッシュドーズ(flash dose)」という用語は、急速に分散する剤形である化合物の製剤を意味する。
【0100】
「即時放出」という用語は、相対的に短期間、一般に約60分までの、剤形からの化合物の放出と定義される。「調節放出」という用語には、遅延放出、徐放、およびパルス放出が含まれると定義される。「パルス放出」という用語は、剤形からの薬物の一連の放出と定義される。「持続放出」または「徐放」という用語は、長期間に亘る剤形からの化合物の連続放出と定義される。
【0101】
「被験体」には、哺乳動物、例えば、ヒト、ペット動物(例えば、イヌ、ネコ、鳥など)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、鳥など)が含まれる。典型的には、被験体は、ヒトである。
【0102】
本発明の化合物にはまた、プロドラッグまたは生理的に同等の誘導体が含まれる。「プロドラッグ」または「生理的に同等の誘導体」には、インビボで代謝的に変換され、活性薬物を生成する薬物の前駆体形態が含まれる。本発明は、本発明の方法において使用されるTGR5モジュレート化合物にインビボで変換されるプロドラッグの使用をさらに意図する(例えば、R. B. Silverman、1992年、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、Academic Press、第8章を参照されたい)。このようなプロドラッグを使用して、TGR5モジュレート化合物の体内分布(例えば、典型的には血液脳関門を通過しない化合物を、血液脳関門を通過させることを可能にする)または薬物動態を変化させることができる。例えば、アニオン基、例えば、カルボキシレート、スルフェートまたはスルホネートを、例えば、アルキル基(例えば、メチル基)またはフェニル基でエステル化し、エステルを生じさせることができる。エステルが被験体に投与されるとき、エステルは、酵素的または非酵素的に、還元的または加水分解的に切断され、アニオン基が示される。このようなエステルは、環状、例えば、環状スルフェートもしくはスルホンでよく、または2つ以上のアニオン部分が、連結基によってエステル化されてもよい。アニオン基は、部分(例えば、アシルオキシメチルエステル)でエステル化することができ、その部分は切断され、中間体であるTGR5モジュレート化合物が示され、中間体であるTGR5モジュレート化合物は引き続いて分解され、活性TGR5モジュレート化合物を生じさせる。一実施形態において、プロドラッグは、カルボキシレート、スルフェートまたはスルホネートの還元された形態、例えば、アルコールまたはチオールであり、プロドラッグは、インビボでTGR5モジュレート化合物に酸化される。さらに、アニオン部分は、インビボで能動的に輸送され、または標的器官によって選択的に取り込まれる基へとエステル化することができる。
【0103】
「TGR5モジュレーター」という用語は、TGR5受容体と相互作用する任意の化合物を意味する。相互作用は、TGR5受容体のアンタゴニスト、アゴニスト、部分アゴニスト、またはインバースアゴニストとして作用する化合物に限定されない。一態様によれば、本発明の化合物は、TGR5受容体のアンタゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体のアゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体の部分アゴニストとして作用する。別の態様において、本発明の化合物は、TGR5受容体のインバースアゴニストとして作用する。伝統的には、リガンドのプロファイルは、内因性であれまたは合成であれ、Furchgottによって1966年に最初に記載されたその内在的有効性「e」によって特性決定される。内在的有効性は、異なるリガンドが同じ数の受容体を占有する一方で、様々な生物学的反応を生じさせる程度を表すために使用される。一般に、「アゴニスト」という用語は、別の分子または受容体部位の活性を増強する化合物を意味する。アゴニストとは、古典的な定義によって、オルソステリック、アロステリック、インバースまたはコアゴニストであろうとなかろうと、受容体に結合し、その受容体の状態を変化させ、生物学的作用をもたらす特性を有する。結果的に、アゴニズムは、生物作用を生じさせるアゴニストまたはリガンドの特性として定義される。これと対照的に、「アンタゴニスト」は、同じ受容体巨大分子に対する高親和性を有するが、非常に少ないまたは無視できる内在的有効性を有する本質的アゴニストであり、したがってアゴニストの生物学的作用を立体的に妨げる。特性として、アンタゴニズムは、機能的または生理学的であってよく、アゴニストは、前者において受容体部位についての直接競合を有し、後者において異なる受容体−メッセンジャー系を介する拮抗作用を有する。さらに具体的には、TGR5アゴニストは、TGR5に結合し、受容体を発現している細胞において環状アデノシン一リン酸(cAMP)の濃度を少なくとも20%増加させる受容体リガンドまたは化合物である。逆に、TGR5アンタゴニストは、アゴニストの活性をアンタゴナイズまたは遮断し、それによってcAMPの濃度の減少をもたらす化合物であろう。
【0104】
本発明は、TGR5受容体モジュレート活性を有する化合物、ならびに肥満症およびインスリン感受性などの代謝性疾患を治療および予防するためのそれらの使用に関する。
【0105】
本発明の化合物を下記に示す。
【0106】
【化19】
【0107】
【化20】
本明細書において引用した全ての公開資料および特許文献は、このような公開資料または文献の各々が明確に個々に参照により本明細書中に組み込まれていることが示されたように参照により本明細書中に組み込まれている。公開資料および特許文献を引用することは、いずれかが関連する従来技術であることを認めることを意図せず、それらの内容または日付についての何らかの承認を構成しない。本発明を書面による説明によってこれまで記載してきたが、本発明が種々の実施形態で実施することができ、上記の記載および下記の実施例が、例示の目的のためであり、下記の特許請求の範囲を限定するものではないことを当業者であれば認識するであろう。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
TGR5モジュレーターの合成
本発明の化合物、および関連する誘導体は、当業者に公知の方法によって合成することができる。
【0109】
【化21】
メチル3α、7α−ジヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(2)
1(4.1g、9.76mmol)のメタノール(120ml)溶液に、pTSA(0.41g、2.15mmol)を加え、混合物を30℃で2時間超音波処理した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(150ml)に溶解させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2×100ml)、水(100ml)およびブライン(100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させ、メチルエステル2(3.95g、9.1mmol、93%)を白色の固体として得て、それをそれ以上精製することなく次のステップのために使用した。
【0110】
メチル3a−アセトキシ−7a−ヒドロキシ−6a−エチル−5β−コラン−24−オエート(3)
2(3.9g、8.98mmol)のTHF(100ml)(蒸留したばかりである)溶液に、無水酢酸(15.29ml、161.75mmol)およびNaHCO3(15.09g、179.72mmol)を加え、このように得られた混合物を一晩還流させた。混合物を室温に冷却し、水(120ml)で希釈し、EtOAc(3×80ml)で抽出した。合わせた有機層を水(2×100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固させ、所望のアセチル化化合物3(4.25g、8.92mmol、99%)を白色の固体として得て、それをそれ以上精製することなく次のステップのために使用した。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.65 (3H, s, 18−CH3), 0.84−0.93 (9H, m, 19−CH3 + 21−CH3−21, 26−CH3), 1.11−1.91 (26H, m), 2.00 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.28−2.36 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 3.70 (1H, bs, 7−CH), 4.48−4.59 (1H, m, 3−CH).
メチル3α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−5β−コラン−24−オエート(4)
3−ヨード安息香酸(3.93g、15.mmol)をCH2Cl2(30ml)に懸濁し、混合物が溶解するまで(約1時間)、2滴のDMFの存在下で室温にて塩化オキサリル(3.21ml、36.1mmol)で処理した。揮発性物質を減圧下除去し、このように得られた塩化アシルを150mlのトルエンに溶解させ、撹拌した3(4.2g、8.82mmol)のトルエン(150ml)溶液に加えた。上記の溶液に、CaH2(2.66g、63.5mmol)およびBnEt3N+Cl−(0.5g、2.2mmol)を加え、混合物を48時間還流させた。次いで、反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(200ml)に懸濁し、濾過した。有機濾液を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(2×100ml)、水(100ml)、ブライン(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を、石油エーテル中の5〜10%のEtOAcを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、3.54g(5.01mmol、57%)の4および1.23g(2.58mmol)の未処理の出発材料(変換収率80%)を得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.67 (3H, s, 18−CH3), 0.88−0.92 (6H, m, 21−CH3, 26−CH3), 1.13−1.32 (15H, m), 1.7−1.74 (5H, m), 1.89−1.91 (5H, m), 2.05 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.18−2.30 (2H, m), 3.63 (3H, s, COOCH3), 4.60−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.41 (1H, bs, 7−CH), 7.23 (1H, dd, J1 = 6.5Hz, J2= 6.7 Hz, 5’−H ), 7.94 (1H, d, J= 6.7 Hz, 4’−H), 8.04 (1H, d, J= 6.5 Hz, 6’−H); 8.37 (1H, s, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 11.7, 18.2, 20.7, 21.7, 22.2, 23.1, 23.9, 26.8, 27.9, 29.6, 30.8 (x2), 34.4, 35.1 (2x), 35.5, 39.2, 39.3, 41.3, 42.9, 44.6, 50.6, 51.4, 55.3, 74.2, 74.5, 93.9, 128.9, 130.1, 132.4, 138.6, 141.6, 164.5, 170.3, 174.6.
メチル3α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−17a−クロロ−5β−コラン−24−オエート(5)
0.3MのtBuOH(8.2ml)を含有する4(3.5g、4.95mmol)のCH2Cl2(280ml)溶液に、ジクロロヨードベンゼン(3.38g、12.4mmol)を加えた。乾燥N2で泡立てることによって、混合物を3分間脱酸素化した。次いで、タングステンランプ(200W)を使用して、混合物を0℃で1時間光分解した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を、石油エーテル/EtOAc(8:2、v/v)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによってすばやく精製し、3.35g(4.52mmol、92%)の17−クロロ誘導体5を白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.81 (3H, s, 18−CH3), 0.91 (3H, d, J= 7.3 Hz, 21−CH3), 1.0 (6H, m, 19− CH3 + 26−CH3), 1.12−1.93 (24H,m), 2.03 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.18−2.25 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 4.57−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.40 (1H, bs, 7−CH), 7.22 (1H, t, J = 7.79 Hz, 5’− H), 7.91 (1H, d, J = 7.76 Hz, 4’−H), 8.02 (1H, d, J = 7.7 Hz, 6’−H), 8.38 (1H, s, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 14.4, 14.5, 20.7, 21.6, 22.2, 23.1 (x2), 26.7, 28.6, 29.4, 31.7, 34.2 (x2), 35.1, 35.4, 39.6, 40.4, 41.1, 41.3, 44.6, 45.2, 49.9, 51.5, 74.1, 74.4, 92.9, 93.9, 128.8, 130.1, 132.3, 138.6, 141.7, 164.9, 170.7, 174.1.
メチルA163α−アセトキシ−6α−エチル−7α−(3’−ヨードベンゾイル)オキシ−5β−コラン−24−オエート(6)
17−クロロ誘導体5(3.3g、4.46mmol)を乾燥ピリジン(130ml)に溶解させ、一晩還流させた。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を石油エーテル/EtOAc(8:2)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2.24g(3.18mmol、72%)の所望のオレフィンを白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.75 (3H, s, 18−CH3), 0.89 (3H, t, J = 7.4 Hz, 21−CH3), 0.98 (3H, t, J = 6.5 Hz, 26−CH3), 1.03 (H, s, 19−CH3), 1.11−2.02 (22H,m), 2.05 (3H, s, 3−CHOC(O)CH3), 2.22− 2.30 (2H, m), 3.65 (3H, s, COOCH3), 4.58−4.62 (1H, m, 3−CH), 5.20 (1H, bs, 7−CH), 5.51 (1H, s, 16−CH), 7.21 (1H, t, J = 7.9 Hz, 5’−H), 7.90 (1H, dt, J1 = 7.9 Hz, J2 = 1.1 Hz, 4’−H), 8.02 (1H, dt, J1 = 7.9 Hz, J2 = 1.1 Hz, 6’−H), 8.37 (1H, t, J = 1.3 Hz, 2’−H).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.6, 15.9, 20.6, 21.7, 21.8, 22.1, 23.1, 26.7, 29.6, 30.9, 31.1, 31.7, 32.2, 34.5, 34.9, 35.0, 35.7, 37.9, 41.3, 44.8, 47.5, 51.4, 51.7, 74.1, 74.7, 93.9, 121.4, 128.9, 130.1, 132.3, 138.6, 141.7, 158.5, 164.6, 170.7, 174.4.
3α,7α,16α,24−テトラヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン(7)
オレフィン6(0.3g、0.42mmol)を0℃でBH3−THF(THF中10.6ml、1M)に溶解させ、次いで室温で2時間撹拌した。この時間の後、反応物を0℃で冷却し、4MのNaOH水溶液(20ml)およびH2O2(20ml)の混合物を滴下で添加し、このように得られた混合物をこの温度で3時間撹拌した。反応物を1NのHClで酸性化し、CH2Cl2(3×60ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。油性残渣をトルエン(52ml)に溶解させ、MeOH(7ml)中の5%KOHを加え、このように得られた混合物を一晩還流させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を水(25ml)に溶解させ、EtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。残渣を、EtOAc/EtOH(95:5、v/v)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.085g(0.2mmol、47%)の所望のテトラオールを白色の固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.64 (3H, s, 18−CH3), 0.85−0.91 (6H, m, 19−CH3 + 26−CH3), 0.92 (3H, d, J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.21−1.91 (21H,m), 3.33−3.35 (1H, m, 3−CH), 3.54−3.61 (3H, m, 7−CH + 24−CH2), 3.94 (1H, bs, 16−CH).
13C−NMR (CDCl3) δ: 11.7, 13.1, 14.1, 18.8, 20.4, 21.9, 22.4, 23.1, 28.7, 30.4, 31.8, 33.1, 33.5, 34.0, 35.4 (x2), 35.5, 35.8, 39.5, 39.9, 41.3, 43.9, 45.3, 47.4, 62.6, 66.1, 70.6, 72.0.
メチル3,7,16−トリオキソ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(8)
ジョーンズ試薬(2ml)を、撹拌したテトラオール7(0.19g、0.45mmol)のアセトン(25ml)溶液に0℃にて滴下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、メタノール(8ml)を加え、酸化生成物をEtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。残渣をMeOH(80ml)に溶解させ、pTSAを加え、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl3(50ml)に溶解させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(2×50ml)、水(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣を、石油エーテル中の20〜30%EtOAcを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、メチルエステル8(0.115g、0.26mmol、58%)を白みがかった固体として得た。
1H−NMR (CDCl3) δ: 0.82 (3H, s, 18−CH3); 0.85 (3H, m, 26−CH3); 1.0 (3H, d, J= 6.5 Hz, 21− CH3); 1.37 (3H, s, 19−CH3); 1.55−2.35 (23H,m); 2.63−2.87 (2H, m).
メチル3α,7α,16β−トリヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オエート(9)
トリケトエステル8(0.1g、0.22mmol)のCH2Cl2(8ml)溶液に、tert−ブチルアミン−ボラン錯体(0.1g、1.12mmol)を加え、反応物を一晩還流させた。反応物を室温に冷却し、3NのHClを加え、このように得られた混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10ml)、水(10ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣(7−ケトンは還元されていなかった)を、H2O/THFの1:4v/v混合物(5ml)に溶解させ、NaBH4を0℃で加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで水(5ml)および3NのHCl(5ml)を加えた。混合物をEtOAc(4×30ml)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発乾固させた。少なくとも2種の成分からなる残渣を、CHCl3中の1〜4%MeOHを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.036g(0.08mmol、36%)の所望の化合物9を得た。
1H−NMR (アセトン−d6) δ: 0.87−0.90 (6H, m, 18−CH3 + 26−CH3), 0.92 (3H, s, 19−CH3), 0.98 (3H, d, , J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.19−1.58 (10H, m), 1.75−2.05 (7H, m), 2.34−2.41 (2H, m) 3.28−3.30 (1H, m, 3−CH), 3.62 (3H, s, COOCH3), 3.64 (1H, bs, 7−CH), 4.37 (1H, bs, 16−CH).
13C−NMR (アセトン−d6) δ: 11.1, 12.5, 17.4, 20.4, 22.3, 22.8, 30.1, 30.4, 30.5, 30.6, 33.1, 33.7, 35.4, 35.6 (x2), 39.7, 40.0, 41.6, 42.2, 45.7, 48.3, 50.8, 61.7, 69.5, 71.3, 71.4, 174.8.
3α,7α,16β−トリヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−酸ナトリウム塩(10)
エステル9(35mg、0.08mmol)をMeOH中の5%NaOH(8ml)に溶解させ、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下蒸発させ、このように得られた固体はH2O/CH3OH(1:1)の混合物中にあり、CH3OH/H2O(5:5〜7:3)の混合物を移動相として使用して逆相クロマトグラフィー(カラムRP−18 lobar A)によって精製し、所望のナトリウム塩10(15mg、0.03mmol、43%)を得た。
1H−NMR (CD3OD) δ: 0.86 (3H, s, 18−CH3), 0.88−0.93 (6H, m, 19−CH3 + 26−CH3), 0.99 (3H, d, J = 6.4 Hz, 21−CH3), 1.06−1.41 (9H, m), 1.46−1.9 (11H, m), 1.97−2.04 (2H, m), 2.23−2.25 (2H, m), 2.30−2.35 (1H, m), 3.28−3.35 (1H, m, 3−CH), 3.67 (1H, bs, 7−CH), 4.49−4.52 (1H, m, 16− CH).
13C−NMR (CD3OD) δ: 12.0, 13.3, 18.7, 21.6, 23.5, 23.7, 29.5, 31.2, 31.3, 33.4, 34.4, 34.5, 35.3, 35.5, 36.6, 36.7, 41.2, 43.1, 43.4, 46.7, 63.8, 71.1, 73.2, 73.4.
(実施例2)
インビトロのTGR5およびFXR活性
(実施例2A)
TGR5およびFXR受容体結合
TGR5受容体に対する本発明の化合物の作用強度および有効性は、インビトロアッセイを使用して評価する。表1は、FXRおよびTGR5受容体に対する本発明の化合物の作用強度および有効性を要約する。
【0111】
【表1】
FRETアッセイ(細胞内cAMPレベルの検出)
受容体結合アッセイは、FRETアッセイを使用してサイクリックAMP(cAMP)のレベルを測定することによって行った。ヒト腸細胞系(NCI−H716)を、使用の直前に、メーカーの指示に従って0.75mg/mlのMatrigel(BD Biosciences)でコーティングした96ウェルプレートに、10%(v/v)FBS、100単位/mlのペニシリンおよび100μg/mlの硫酸ストレプトマイシンを補充したDMEM中に12×103細胞/ウェルの濃度で蒔き、24時間培養し、それによってプレートの底への細胞接着が可能となった。細胞をPBSで2度洗浄し、培地をcAMPアッセイ培地[0.1%(w/v)BSAおよび1mMの3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)を含有するOPTIMEM]と交換した。37℃で60分間のインキュベーション後、細胞を、ユウロピウムキレート−ストレプトアビジンおよびALEXA Fluor647−抱合抗体抗cAMP(PerkinElmer)を含有する刺激緩衝液(HBSS(pH7.4)中の5mMのHEPES、0.1%BSA)中で1時間室温にて、増加する濃度の化合物10で処理した。細胞内cAMPのレベルを、Lanceキット(PerkinElmer)で決定した。リトコール酸(Litocholic acid)を、対照リガンドとして使用した。Z’因子を使用して、アッセイを検証した。非線形回帰曲線は、制約なしに、4パラメーター式およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Inc.)を使用することによって行い、EC50値を得た。
【0112】
Alphascreenアッセイ
FXRに対する活性を、コアクチベーターリクルート作用アッセイにおいてAlphascreen技術を使用することによってアッセイした。AlphaScreenは、生体分子相互作用を研究するために使用するビーズをベースとする化学アッセイである。ビーズ上に捕獲された分子の結合は、1つのビーズから他のビーズへのエネルギー移動をもたらし、最終的に発光シグナルを生じさせる。パートナーが相互作用するとき、化学エネルギーはドナービーズからアクセプタービーズに移動し、シグナルが生じる。胆汁酸刺激によって、GST−FXR−LBDは、Src−1ペプチドと相互作用する。抗GST−コーティングされたアクセプタービーズを使用して、GST−融合FXR−LBDを捕獲し、一方では、ビオチン化−SRC−1ペプチドは、ストレプトアビジンドナービーズによって捕獲した。680nmでの照明によって、化学エネルギーは、複合体ストレプトアビジン−ドナー/Src−1−ビオチン/GSTFXR−LBD/抗GST−アクセプターを介してドナービーズからアクセプタービーズに移動し、シグナルが生じる。アッセイは、10nMの最終濃度の精製したGST標識FXR−LBDタンパク質、30nMのビオチン化Src−1ペプチド、20μg/mlの抗GSTアクセプタービーズおよび10μg/mlのストレプトアビジンドナービーズ(PerkinElmer)を含有する25μlの最終容量を使用して、低容量の白色384ウェルOptiplates(PerkinElmer)中で行った。アッセイ緩衝液は、50mMのTris(pH7.4)、50mMのKCl、0.1%BSA、および1mMのDTTを含有した。1μlのリガンド(100%DMSO中で可溶化した)による刺激時間を、室温にて30分に固定した。各ウェル中のDMSOの濃度を、4%の最終濃度で維持した。検出ミックス(アクセプタービーズおよびドナービーズ)を加えた後、プレートを、室温にて暗中4時間インキュベートし、次いでEnvisionマイクロプレート分析器(PerkinElmer)で読み取った。用量反応曲線を3連で行い、Z’因子を使用して、アッセイを検証した。非線形回帰曲線は、制約なしに、4パラメーター式およびGraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Inc.)を使用することによって行い、EC50値を得た。
【0113】
細胞培養、トランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイ
HEPG2およびHEK293T細胞を各々、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%L−グルタミンおよび10%ウシ胎児血清(高グルコース)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補充したE−MEMおよびDMEM中で培養した。細胞を37℃にて5%CO2中で増殖させた。全てのトランスフェクションは各々、5:2のFugene HDトランスフェクション試薬(μl)とDNA(μg)(Roche)を使用して行った。トランスフェクションの24時間前に、HEK293TまたはHepG2細胞を、各々10,000または15,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種した。一過性トランスフェクションを、100ngのレポーターベクターpGL4.29[luc2P/CRE/Hygro](Promega)、トランスフェクション効率性についての内部対照として40ngのpGL4.74(Renilla)、および10ngの発現プラスミドpCMV−SPORT6−hTGR5、NIH哺乳動物遺伝子コレクションクローンMGC:40597(Invitrogen)を使用して行った。pGEMベクターを加え、各アッセイにおいてトランスフェクトされたDNAの量(2μg)を正規化した。トランスフェクションの24時間後に、細胞を、増加する濃度の化合物10で18時間刺激した。対照培養物は、ビヒクル(0.1%DMSO)単独を摂取した。次いで、細胞/ウェルを含有する75μlの培地に75μlのDual−Gloルシフェラーゼ試薬(Promega)を加えることによって、細胞を溶解させた。ウミシイタケルシフェラーゼ活性を、多量のDual−Glo Stop & Glo試薬および最初の培地を加えることによって測定した。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ単位とウミシイタケルシフェラーゼ単位の比として表した。各データポイントは、3連のアッセイの平均である。各実験は、少なくとも3回繰り返した。
【0114】
50%有効濃度(EC50)および有効性の決定
TGR5アゴニスト研究のために10μMのLCA値の割合、およびFXRアゴニスト研究のために10μMのCDCA値の割合を各々計算することによって有効性を決定した。基本(ビヒクル処理)条件の平均値を引いた後、値をEC50および/または有効性決定に適用した。平均EC50の計算および異なる化合物の間のEC50の比較を、対数変換の後に行った。
【0115】
(実施例2B)
化合物10のTGR5標的遺伝子発現アッセイ
腸NCI−H716細胞におけるACCおよびAMPK遺伝子発現のレベルを、化合物10および陽性対照としてLCAを使用して測定した。TGR−5標的遺伝子のmRNA発現レベルは、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q−RTPCR)によって測定した。総RNAを、5μMの化合物10で18時間刺激したNCI−H716から単離した(Aurum Total RNA Mini Kit BioRad)。RNAは、ISCRIPT cDNA SYNTHESIS KIT(BioRad)で20μlの反応容量にてランダムに逆転写した。10ngのテンプレートを、0.3μMの各プライマーおよび10μlの2X SYBR Green PCR Master MIX(Bio−Rad)を含有するリアルタイムPCRの20μlの最終容量の反応において使用した。全ての反応は三連で行い、熱サイクル条件は、iCycler iQ5機器(Biorad、Hercules、CA)において、95℃で3分、続いて95℃で10秒間の45サイクル、および60℃の30秒間であった。各試料についての複写物の平均値を計算し、サイクル閾値として表した(CT:各PCR反応が所定の蛍光閾値に達するサイクル数、全ての反応の線形範囲内に設定)。次いで、遺伝子発現の量を、標的遺伝子についての試料のCT値と、内在性対照β2−ミクログロブリンについてのその試料の平均CT値との間の差異(ΔCT)として計算した。相対的発現を、各標的遺伝子についての試験試料および対照試料(WT)のΔCT値の間の差異(ΔΔCT)として計算した。相対的定量化値を表し、2−ΔΔCTとして示した。全てのPCRプライマーを、NCBIデータベースからの発表された配列データ上でソフトウェアBeacon Designerを使用してイントロンを挟むようにデザインした。結果を図3に示す。
【0116】
(実施例2C)
ヒト腸および肝細胞系における化合物10のインビトロでの細胞毒性
細胞生存率を、Perkinelmer ATP−Lite1STEPを使用して測定した。ATPは、全ての代謝的活性細胞において存在し、細胞が壊死またはアポトーシスを起こすときに、濃度が非常に急速に減少するため、細胞生存率についてのマーカーである。ヒトNCI−H716またはHepG2細胞(1×104)を96ウェルプレートに播種し、1nM〜300μMの化合物10による10倍希釈で37℃にて4時間刺激した。プレートを室温で10分間平衡化させ、100μlのATP−Lite1STEP試薬を、細胞を含有する100μlの培地に加えた。発光をVictor Light(PerkinElmer)で読み取った。実験シグナルを、バックグラウンドから差し引いた。タモキシフェンを細胞毒性の陽性対照として使用し、一方未処理細胞は陰性対照の機能を果たした。結果を図4および5に示す。
【0117】
(実施例3)
食餌誘発性肥満症マウスモデルにおける本発明の化合物の代謝活性
研究のゴールは、TGR5アゴニスト(オレアノール酸(OA)または本発明の化合物(例えば、「試験化合物」))が、肥満症および関連するインスリン抵抗性の発生をインビボで修正するかを明らかにすることである。この可能性を試験するために、事前に10週間高脂肪食に供した雄性C57BL6Jマウスに、食物投与によってOA/試験化合物を16週間投与する。
【0118】
II−プロトコル
前の研究において、OAは、食物嫌悪をもたらさない選択的TGR5アゴニストとして観察された。しかし、100mg/kg/日の用量のOAで処理した動物は、毒性のいくつかの徴候を示した一方、より低い用量は耐容性良好であった。したがって、この研究において、OAは50mg/kg/日の用量で投与する。
【0119】
インビトロ研究において、本発明の化合物を強力および選択的なTGR5リガンドとして同定した。約50分の1の低い濃度で投与する本発明の化合物について、毒性の問題は予想されない。
【0120】
この研究のために、48匹の雄性C57BL6Jマウス(5週齢)を、2つの群に分ける。10週間の期間、24匹(1、2および3群)の動物の1群は固形飼料食を摂取し、一方、他の24匹の群は高脂肪食を摂取する(4、5および6群)。次いで、16週間の期間、動物を分析する。10匹の動物の5群を、下記のように割り当てる。
1:固形飼料食
2:固形飼料食+OA(50mg/kg/日)
3:固形飼料食+試験化合物(例えば、30mg/kg/日)
4:高脂肪食
5:高脂肪食+OA(50mg/kg/日)
6:高脂肪食+試験化合物(例えば、30mg/kg/日)
全研究の間に、体重および食物摂取を週に2回モニターする。
第2週:全ての群について、二重エネルギーX線吸収測定法(dexaスキャン)によって体組成を分析する。
第1週:トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定し、次いでマウスに示したような食事を供する(0日目)。
第2週:トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定する(14日目)。
第4週:全ての動物を腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)に供することによって、耐糖能を決定する。動物は、この試験の前に12時間絶食させる。
1、4、5および6群(固形飼料食、高脂肪食および高脂肪食OA/試験化合物)の夜間のエネルギー支出を、間接熱量測定によって測定する。
第8週:全ての群について、dexaスキャンによって体重組成を再び分析する。
トランスアミナーゼ、グルコース、トリグリセリド、コレステロール、HDL−C、LDL−Cおよびインスリンの血清レベルを、全ての群において12時間の絶食期間の後に測定する(56日目)。
第9週:4、5および6群(高脂肪食摂食マウス)の概日活動を、30時間の期間研究する。
第10週:血圧および心拍数の測定を、4、5および6群に行う。
第11週:全ての動物の直腸の温度を、10:00amに室温で測定する。
概日活動の測定を、1、2、3および4群について行う。
第12週:4、5および6群に腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)を行うことによって、耐糖能を分析する。IPGTTの間、血液をまた集め、インスリンレベルを分析する。これらの試験の前に動物を12時間絶食させる。
全ての群において、24時間の期間に亘り糞便を集め、糞便の脂質含量を、測定する。
第16週:全ての動物において、4℃に曝した動物の体温を測定することによって、寒冷試験を行う。
【0121】
3日後、動物を屠殺する。屠殺時に、血液を集め、血漿脂質(TC、TG、HDL−C、FFA);肝機能(ALAT、ASAT、アルカリPase、γ−GT);グルコースおよびインスリン;血漿の選択した群のリポタンパク質プロファイルについて分析する(サイズ排除クロマトグラフィー)。
【0122】
肝臓、小腸、脂肪組織(WATおよびBAT)、膵臓、心臓および筋肉を集め、秤量し、標準的組織学的検査(HE染色、コハク酸デヒドロゲナーゼ染色、オイルレッド−O染色および細胞形態);組織脂質含量;ミトコンドリアを分析するためのBATおよび筋肉に対する電子顕微鏡検査;定量的RT−PCRによる代謝およびエネルギー恒常性に関与する選択した遺伝子の発現研究のためのRNA単離;対象タンパク質(例えば、PGC−1α)のアセチル化などの翻訳後修飾の研究のためのタンパク質抽出を含めたさらなる分析のために保存する。
【0123】
III−詳細な手順
A−動物手順および食事
動物の収容および取扱い
マウスは、欧州共同体の基準によって、温度(20〜22℃)および湿度を制御した動物飼養場中で、12時間:12時間(7:00に点灯)の明暗サイクルで、特定の無菌条件において群で収容する(5匹の動物/ケージ)。動物に水および食物を自由に摂取させる。
【0124】
飲料水
水道水の化学組成を、Institut d’Hydrologie、ULP、Strasbourgにおいて、定期的に分析し、潜在的な有毒物質がないことを確認する。飲料水をHClおよびHClO4で処理し、pHを5〜5.5に、および塩素濃度を5〜6ppmに維持する。
【0125】
食事
標準的げっ歯類用固形飼料食はUARから入手し、高脂肪食はResearch Dietから入手する。マウスに、固形飼料食(16%タンパク質、3%脂肪、5%繊維、5%灰分)、または高脂肪食(20%タンパク質、20%炭水化物、60%脂肪)を摂食させる。オレアノール酸および試験化合物を、粉末状固形飼料食または粉末状高脂肪食と下記の割合で混合した。50mg/kg/日処理について0.5gのOA/kg(食物)、および10mg/kg/日処理について0.08gの試験化合物/kg(食物)。次いで、ペレットを再構成する。対照群は、試験化合物またはOAなしで食物ペレットを摂取する。高脂肪食の粘稠性によって、OAとの混合において水は加えない。再構成することがより難しい固形飼料食の場合、最少量の水を粉末に加え、ペレットを再構成し、それを次いで空気乾燥させる。新しいバッチの食物を毎週調製する。
【0126】
採血
麻酔下で後眼窩洞から、または尾静脈から血液を集める。
【0127】
麻酔
dexaスキャニング実験のために、動物を腹腔内注射によって投与したケタミン(200mg/kg)/キシラジン(Xylasine)(10mg/kg)の混合物で麻酔する。静脈穿刺のために、動物をイソフルラン−O2混合物の吸入によって麻酔する。
【0128】
B−生化学
試験は、市販の試薬(Olympus)を使用してOlympus AU−400自動化実験室ワークステーションで行う。
【0129】
脂質およびリポタンパク質の分析
酵素アッセイによって、血清トリグリセリド、総コレステロールおよびHDLコレステロールを決定する。血清HDLコレステロール含量は、リンタングステン酸/Mg(例えば、Roche Diagnostics、Mannheim、Germany)によるapo B−含有リポタンパク質の沈殿後に決定する。遊離脂肪酸レベルは、和光純薬(例えば、Neuss、Germany)からのキットによって供給者によって明記されているように決定する。
【0130】
代謝および内分泌の調査
血液グルコース濃度を、Medisense Precis電極(例えば、Abbot Laboratories、Medisense products、Bedford、USA)を使用してPrecision Q.I.D分析器(例えば、Medisense system)によって測定する。この方法は、Precision Q.I.D分析器の値を古典的なグルコース測定と比較することによって検証する。最少量の血液を必要とし、したがってIPGTTの間など複数の測定のために用いることができるため、Precision Q.I.D法を選択した。血漿インスリン(例えば、Mercodia、Uppsala、Sweden)を、メーカーの仕様書に従ってELISAによって決定する。
【0131】
C−代謝試験
リポタンパク質プロファイル
リポタンパク質プロファイルは、3種の主要なリポタンパク質のクラスであるVLDL、LDL、およびHDLの分離を可能にする高速タンパク質液体クロマトグラフィーから得る。
腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)−経口グルコース負荷試験
IPGTTは、一晩(12時間)絶食したマウスで行う。マウスに、無菌食塩水(0.9%NaCl)中の20%グルコースの溶液を、2gグルコース/kg体重の用量で腹腔内(IPGTT)に注射する。グルコースおよびインスリンのモニターのために、グルコース溶液の投与前および投与の15分、30分、45分、75分、90分、120分、150分、180分後に、血液を尾静脈から集める。グルコース上昇曲線下面積を、インスリン感受性の尺度として計算する。一方、相当するインスリンレベルは、インスリン分泌貯蔵を示す。
【0132】
エネルギー支出
エネルギー支出を、Oxymax装置(例えば、Columbus Instruments、Columbus、OH)で12時間の間の酸素消費を測定することによって間接熱量測定によって評価する。このシステムは、オープンサーキットからなり、空気がプラスチックケージを出入りする(ケージ毎に1匹のマウス)。動物に食物および水を自由に摂取させる。非常に正確なCO2およびO2センサーによって、両方の空気量におけるO2およびCO2濃度の差異を測定し、これによって、ケージに入ってくる空気の気流が一定である場合の、一定の期間において消費された酸素量を得る。装置から出力されるデータを連結したコンピューターで処理し、分析し、エクスポート可能なExcelファイルで示す。値は、VO2として通常公知であるml.kg−1.h−1として表す。
【0133】
Dexaスキャニングによる体脂肪含量の決定
Dexa分析は、超高分解能PIXIMUSシリーズデンシトメーター(0.18×0.18mmピクセル、GE Medical Systems、Madison、WI、USA)によって行う。骨塩密度(BMD、g/cm2)および体組成は、PIXIMUSソフトウェア(バージョン1.4x、GE Medical Systems)を使用することによって決定する。
【0134】
D−非侵襲性血圧測定および脈拍
Visitech BP−2000血圧分析システムは、オペレーターの介入なしに4匹の覚醒しているマウスに対して同時に複数の測定をするために使用するコンピューターによる自動化されたテイルカフ(tail’cuff)システムである。マウスを加熱したプラットフォーム上の個々の暗いチャンバー中に収容し、それらの尾をテイルカフに通す。システムは、カフ圧力を決定することによって血圧を測定し、そこでは尾への血流が除去される。光電センサーによって、標本の脈拍を検出する。システムは、頸動脈において同時に測定される平均動脈内圧力と密接に一致することが示されてきた結果をもたらす。これによって、収縮期血圧および心拍数の再現性のある値を得ることが可能となる。これは、システム中での1週間の動物の訓練を必要とする。
【0135】
E−概日活動
自発的運動活性は、各々がスライディングフロア、取り外し可能なケージで構成され、移動性の運動活性および後ろ足で立つことを測定することを可能にする赤外線キャプターを備えた個々の箱を使用して測定する。電子インターフェース(例えば、Imetronic、Pessac、France)を使用して、箱をコンピューターに連結する。装置への慣れ、ならびに夜間および昼間の活動を測定するために、マウスを32時間試験する。消費した水の含量を、自動式リックメーターを使用して試験期間の間に測定する。
【0136】
(実施例4)
物理化学的性質
水溶性
固体BAを、5mlのHCl(0.1M)に懸濁させた。1週間のインキュベーションおよび穏やかな混合後、飽和溶液をMilliporeフィルター(0.22μpm)で濾過し、BAの濃度を、C18カラム(150mm×2mm、皮内、4μm)および移動相(15mMの酢酸(pH5)およびアセトニトリルを含有する水)を使用して、HPLC−ESI−MS/MSによって測定した。流量は150μl/分であった。質量分析の取得は、負のイオン化のESI源を使用して多段反応モニタリングモードで行った。水溶性は、μmol/リットルとして表した。
【0137】
水溶性を、カルボキシル化された胆汁酸の不溶性プロトン化種についてpH1で測定した。化合物10の水溶性は、120μMであった(表2を参照されたい)。
【0138】
化合物10において1個のヒドロキシルの異なる位置(16位)は、従来の3,7,12トリヒドロキシ胆汁酸コール酸に関して溶解性を減少させた。水溶性はpHを増加させることによって増加し、pH7で化合物10は高水溶性であった。表2におけるデータは、カルボキシル化された類似体である化合物10が、その酸形態で投与されたときに、胃内容物中において低pHで不溶性であり、十二指腸中に排出されると膵液および十二指腸液のより高いpHによって、溶解して塩(アニオン)を形成することを示す。胆汁中で、この化合物は溶液中に残り、最終的に高濃度でミセルを形成する。
【0139】
【表2】
aWs:水溶性とはプロトン化種としてのBAを意味し、したがって高度に可溶性(hs)であるTCDCAおよびTUDCAについて評価しない。
bCMC:0.15MのNaCl水溶液中で決定した臨界ミセル濃度。
cSTCMC:0.15MのNaCl水溶液中のCMCでの表面張力。
dLogPA:イオン化種として研究した胆汁酸の1−オクタノール−水分配係数。
*:文献からの値。
【0140】
臨界ミセル濃度(CMC)
界面活性、すなわちミセルを形成する傾向を、ナトリウム塩として水中で可溶性である全ての荷電分子について評価した(pKaまで2単位)。臨界ミセル濃度(CMC)は、静的方法と同様に、潜在的な不純物によって僅かに影響される表面張力値を与える最大気泡圧力法を使用して、表面張力(ST)測定によって決定した。張力計は、窒素源と連結した2本のガラス製プローブ(0.5mmおよび4.0mmの直径)を備えたSensadyne6000(Chem−Dyne Research Corp.、Milwaukee、WI)であった。気泡の発生頻度は、26℃にて蒸留水中で1気泡/秒であり(P=2.7atm)、較正を再蒸留水およびメタノールで行った。NaCl(0.15M)中のBAナトリウム塩溶液の表面張力を、0.10〜50mMの範囲内で様々な濃度で測定した。表面張力値は、胆汁酸塩濃度の対数に対してプロットした。曲線の2つの部分(単量体およびミセル相)に相当する回帰線を、最小二乗法を使用して計算し、線の交差点をCMC値として取った。ST対濃度曲線から、CMCにおける表面張力の値(単量体および多量体種の間の平衡)をまた計算し、関連する表面張力低下能力を有するミセルのサイズと関連する界面活性力についての情報を得た。
【0141】
CMCは、非平衡条件、すなわち不純物が表面張力の結果に僅かに影響する条件において表面張力測定によって評価した(図6)。表2は結果を示す。化合物10は、低い表面張力低下能力を伴う高CMCを示したが、これはこの化合物が穏やかな界面活性剤であり、ミセルは非常に低い凝集数を有することを示した。C−16ベータ位におけるヒドロキシル基の存在は、ミセルを形成させる尾部間相互作用に関与する疎水性領域を減少させ、したがって、ミセルは小さく乏しい界面活性剤である。この特性は、所与の体液または器官において蓄積されたときに、分子に低毒性を与える。
【0142】
オクタノール/水分配係数
カルボキシル基の完全なイオン化を確実にするために、イオン化形態の分子についてオクタノール/水分配係数を測定し、したがってカルボキシ類似体を相対的に高pH(8から9)で研究した。1−オクタノール/水分配係数(log P)を、従来の振盪フラスコ手順を使用して評価した。実験は、0.1Mのリン酸緩衝液によってpH8で緩衝化した0.1mMの胆汁酸塩溶液で行い、BAの完全なイオン化を確実にした。log P値は、プロトン化種ではなくイオン化形態のBAを意味し、各BAの最初の濃度は、それ自体のCMC値より低かった。水性緩衝液は事前に1−オクタノールで事前飽和させ、水で事前飽和させた5mlの1−オクタノールを次いで加え、試料を連続撹拌しながら室温で2週間平衡化させた。遠心分離後、2つの相を注意深く分離した。水相中のBA濃度は、C18カラム(150mm×2mm、皮内、4μm)および、移動相として、15mMの酢酸(pH5)およびアセトニトリルを含有する水を使用して、HPLC−ESI−MS/MSで測定した。流量は150μal/分であり、カラムを45℃に維持した。質量分析取得は、負のイオン化のESI源を使用して多段反応モニタリングモードで行った。
【0143】
表2は結果を示す。3α、7αおよび16β位において3個のヒドロキシル基を有するカルボキシル化された化合物10は、C−6位におけるエチルの存在によって、天然類似体CAに対して僅かにより高い親油性を示した。12−アルファ位が界面活性特性において主要な役割を果たしていないようであることを考慮すれば、16−ベータヒドロキシル基の普通でない位置によって差異がある可能性が高い。
【0144】
アルブミン結合
アルブミン結合の程度を、固定したBA−アルブミン比で平衡透析によって評価した。各BAを100μMの濃度で5%ウシ血清アルブミン−食塩溶液(pH7.2)に溶解させ、25℃で24時間静置した。2ミリリットルのこの溶液を、25mlの食塩溶液に対して12,000〜14,000ダルトンの分画分子量を有するセルロースサック中で透析した。25℃にて72時間の穏やかな撹拌によって系を平衡化させた。透析した溶液(遊離の非結合画分に相当する)および開始溶液のBA濃度を、前の分析と同じ条件でHPLC−ESI−MS/MSによって決定した。
【0145】
アルブミン結合の割合を、当初のBA濃度からおよび透析した画分中の非結合濃度から計算した。データを、表2に報告する。
【0146】
化合物10の結合割合は、側鎖におけるメチル基の結果として、CAよりも高い。化合物10は、天然BAと同様に、相対的に速い肝臓取込みと適合するアルブミン結合を示す。
【0147】
(実施例5)
ヒト糞便培養物中のインビトロの代謝安定性
腸内細菌に対する安定性
7a−脱ヒドロキシル化
ホモジナイズした新鮮なヒト糞便(500mg)を、無菌バイアルに移し、それに5mLの殺菌した肉の細切れ−グルコース培地(Scott Lab.、Fiskville、RI)を加えた。次いで、BAを0.05mMの最終濃度で加えた。バイアルを37℃でインキュベートし、次いでBAの添加の0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後および24時間後に、150μLの30%KOHによって反応を停止させた。試料を、3500rpmで10分間遠心分離した。上清から、BAをC−18固相抽出によって単離し、TLCおよびHPLC−ES−MS/MSによって分析した。
【0148】
シリカゲルの0.25mm厚さのプレート(Merck、Darmstat、Germany)を利用した薄層クロマトグラフィー(TLC)を、第1のスクリーニング試験として用いた。抱合BAの分離のために使用した溶媒系は、プロピオン酸/酢酸イソアミル/水/N−プロパノール(3:4:1:2、v/v/v/v;溶媒I)からなり、非抱合BAの溶媒系は、酢酸/四塩化炭素/イソプロピルエーテル/酢酸イソアミル/水/N−プロパノール/ベンゼン(1:4:6:8:2:2、v/v/v/v/v/v;溶媒II)であった。分離したBAが、5%ホスホモリブデン酸エタノール溶液と共に示された。
【0149】
化合物10は、ヒト糞便培養物中でインキュベートされたときに非常に安定的であり、24時間後でさえ、化合物の85%超は無修飾で回収された。これに反して、参照天然類似体ケノデオキシコール酸(CDCA)はほぼ1時間の半減期時間を示し、8時間のインキュベーション後に、殆ど完全に代謝(7−脱ヒドロキシル化)され、リトコール酸を形成した。また、長時間のインキュベーション後、7−オキソ誘導体の7−脱ヒドロキシル化および中間体形成は実際に消失した。
【0150】
側鎖の安定性
第1の結果によると、側鎖は、腸内細菌酵素活性によって修飾されなかった。これらのデータは、C−6位におけるエチル基の存在が、立体障害によって、酸化または除去に対して7−ヒドロキシル基を保護していることを示唆する。さらに、化合物10はまた、側鎖代謝について非常に安定的である。
【0151】
(実施例6)
胆汁瘻ラットにおける十二指腸(皮内)および大腿部(静脈内)投与後の化合物10の胆汁分泌および代謝
目的および原理
新規のBA類似体の構造的修飾は、それらの肝臓取込み、肝臓の輸送および分泌および腸管吸収に影響する可能性がある。したがって、静脈内および皮内投与の両方の後の胆汁分泌に関する知識は、それらの代謝に関する知識と共に、さらなる研究のための候補選択における要点である。
【0152】
腸管吸収の機序および効率性を評価するために、化合物10を、同じ用量で静脈内(大腿部注入)および経口的(十二指腸注入)の両方で投与し、その胆汁分泌速度を胆汁瘻ラットモデルにおいて評価した。胆汁生成に対する胆汁分泌作用をまた評価した。静脈内および皮内投与の間の時間に対する胆汁分泌の曲線下面積(AUC)における差異は、その腸管吸収を説明し、そのバイオアベイラビリティーについての情報を与える。さらに、肝臓および腸の代謝はまた非常に異なる可能性があり、したがって、化合物10およびその主要な(腸管の)肝代謝物の胆汁分泌を決定した。
【0153】
胆汁分泌作用
−十二指腸注入
胆汁瘻ラットモデルは、ボローニャ大学実験室施設で発育した。化合物を、ラット群に十二指腸注入(皮内)によって1μmol/kg/分の用量で投与した(1時間の注入)。ラットは、注入の前および間に異なる時間で胆汁試料を集める胆汁瘻を有する。十二指腸注入実験のために、6匹のラット(250±10g)を処理した。胆汁試料を15分毎に4時間集めた。さらに、3匹の対照ラットを、時間およびサンプリングについて同じ条件下にて食塩溶液で処理した(十二指腸対照ラット)。
【0154】
図7は、試料捕集の間の胆汁流を示す(1匹の動物)。十二指腸注入は、30分のベースライン胆汁収集の後に開始し、1時間続ける。化合物10は胆汁分泌促進性ではなく、胆汁流は、対照群と同様である。
【0155】
−静脈内注入
大腿部注入実験のために、6匹のラット(体重250±10g)を、1μmol/分/kgにて化合物10で処理した。図8は、研究の間の胆汁流を示す。大腿部注入は、75分の定常状態の後に開始し、60分間続ける。胆汁試料を15分毎に4時間集めた。さらに、時間およびサンプリングについて同じ条件下で3匹のラットを食塩溶液で処理した(大腿部対照ラット)。
【0156】
3%BSA食塩水ビヒクル(対照、n=1)の静脈への注入の間の胆汁流は、実験の全期間に40〜80μL/分/kgの範囲の値を維持した。図8は、参照化合物としてCDCAの静脈への注入後の胆汁流を報告する。対照実験に対して有意差は観察されず、最大流量は対照ケースよりほんの僅かに高かった(80対70μL/分/kg)。
【0157】
投与された類似体の胆汁分泌
静脈内および皮内実験の間に集めた胆汁試料を分析し、投与された類似体およびその代謝物の胆汁分泌を決定した。HPLC−ES−MS/MS分析:各化合物の純粋な結晶性粉末は、ペルージャのR.Pellicciariの試験施設から入手した。メタノール中のストック溶液(1mmol/L)(化合物10(350μmol/L)を除く)を調製し、処理用溶液は、適当な容量の一次溶液を希釈することによって調製した。メタノールおよびアセトニトリル(acetronitrile)は、HPLCグレードの純度のものであった。アンモニアは30%、酢酸は99.8%であった。全ての試薬は、Carlo Erba Reagentsから入手した。HPLCグレードの水は、Milli−Qシステムによって調製した。
【0158】
試料の調製
ラット胆汁試料を室温にし、短時間撹拌し、15mMの酢酸アンモニウム緩衝液(pH=5.0):アセトニトリル=70:30(v/v)で1:100v/v(十二指腸注入からの胆汁試料)および1:100または1:200v/v(大腿部注入からの胆汁試料)に希釈した。最終溶液をオートサンプラーバイアル中に移し、10μLをクロマトグラフィーカラム中に注入した。
【0159】
HPLC−ESI−MS/MS法
ラット胆汁試料は、負のイオン化モードのエレクトロスプレー(ESI)源を使用して、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(HPLC−MS/MS)によって分析した。液体クロマトグラフィーのために、オートサンプラーと連結したWaters Alliance2695分離モジュールを使用した。オートサンプラーを7℃に維持した。SecurityGuard ODS、4×2.0mm、皮内、プレカラムによって保護されているSynergi Hydro−RP C18カラム(150×2.0mm、皮内、4μmの粒径)(両方ともPhenomenexから供給されている)上で分離を行った。15mMの酢酸アンモニウム緩衝液(pH=5.00)を移動相Aとして、アセトニトリルを移動相Bとして使用して、分析物を溶出させた。移動相Bを30%から64%に10分で増加させ、次いで10分で100%にし、10分間一定に保った。流量は150μL/分であり、カラムは45℃に維持した。カラム流出液を、多段反応モニタリング(MRM)取得モードで作動するトリプル四重極質量分析計(Quattro−LC、Micromass)に連結しているESI源に導入した。窒素を、90L/時間の流量でネブライザーガスとして、および930L/時間で脱溶媒和ガスとして使用した。イオン源遮断および脱溶媒和温度を、各々80℃および180℃に設定した。キャピラリー電圧は3.0kVであった。MassLynxソフトウェアバージョン4.0を、データ収集および処理のために使用した。さらに、シングルMSまたはタンデムMS/MS配置の両方における質量分析法を使用して実験を行い、代謝物を同定した。
【0160】
定量化
5点検量線を毎日調製し、2連で注入した。較正試料は、移動相中で調製する0.1〜25μmol/Lの濃度範囲内で得た。線形検量線パラメーターは、最小二乗回帰分析を使用して、分析物ピーク面積対分析物濃度のプロットから得た(重量=1/x2)。相関係数は、≧0.989であった。
投与された類似体の薬物動態(胆汁分泌):静脈内対皮内の比較
データは、1μmol/Kg/分の用量での十二指腸のおよび大腿部注入の後に、胆汁中にそれ自体として回収された類似体の分泌速度を意味する。主要および微量な代謝物を、後で報告する。
【0161】
表3は、十二指腸注入(1時間、75分〜135分の範囲)の間に集めたラット胆汁試料から得た化合物10についての濃度および分泌値を示す。
【0162】
【表3】
表4は、大腿部注入(1時間、75分〜135分の範囲)の間に集めたラット胆汁試料から得た化合物10の濃度および分泌値を示す。
【0163】
【表4】
a−:計算せず b n.d.:検出せず
静脈への注入後の化合物10の胆汁分泌は効率的ではなく、最大分泌速度は低い(図9)。化合物は代謝され、タウリン抱合体を形成し、これはその回収を僅かに改善する一因となる。皮内投与後の胆汁分泌は静脈内実験より非常に低く、これは分子の乏しい腸管吸収を示唆する。
【0164】
肝代謝
化合物10は、天然BAのように肝代謝を受ける。静脈内投与後、胆汁中にそれ自体としておよび主としてタウリンと抱合して分泌される。ラクトンおよびモノグルクロニド代謝物などの微量な代謝物がまた見出された。皮内投与後、分子はそれ自体として回収され、主として代謝され、タウリン抱合体を形成する。図10a:静脈内実験における質量分析法を使用した胆汁中で同定された化合物10およびその主要な代謝物。データは絶対面積値として報告する。
図10b:図10aの拡大表示。
図10c:実験において質量分析法を使用して胆汁において同定された化合物10およびその主要な代謝物。データを絶対面積値として報告する。
【0165】
化合物10は、低い界面活性を伴って、中程度に親水性である。肝臓取込みは効率的であり、腸管吸収もまた効率的である。化合物は、胆汁中にそれ自体として、および主としてタウリン抱合体として分泌され、胆汁における回収はほぼ完全である。
【0166】
(実施例7)
HepG2細胞に対するインビトロの毒性
本発明の化合物を、HepG2細胞アッセイを使用してインビトロの毒性について評価した。ATP減少をモニターすることによってHepG2細胞の細胞毒性を決定し、カスパーゼ−3活性化をモニターすることによってHepG2細胞アポトーシスを決定した。結果を表5に示す。
【0167】
細胞毒性
細胞生存率を、Perkinelmer ATP−Lite1STEPを使用して測定した。ATPは、全ての代謝的に活性な細胞において存在し、細胞が壊死またはアポトーシスを起こすときに非常に急速に濃度が減少するため、細胞生存率についてのマーカーである。ヒトNCI−H716またはHepG2細胞(1×104)を96ウェルプレートに播種し、1nM〜300μMの化合物10を10倍希釈で37℃にて4時間刺激した。プレートを室温で10分間平衡化させ、100μlのATP−Lite1STEP試薬を、細胞を含有する100μlの培地に加えた。発光を、Victor Light(PerkinElemr)で読み取った。実験シグナルを、バックグラウンドから差し引いた。タモキシフェンを細胞毒性の陽性対照として使用し、一方陰性対照は非処理細胞であった。
【0168】
アポトーシス
カスパーゼは、アポトーシスの分子制御に関与し、TruPointカスパーゼ−3基質は、カスパーゼ−3活性の感受性で強固で均一な時間分解蛍光アッセイを可能にする。ヒト肝細胞(HepG2)を、ピルビン酸ナトリウムを有さないHepG2培地と共に96ウェルプレートに播種した(1×104)。1nM〜300μMの試験化合物の段階希釈によって、3連で細胞を37℃で4時間刺激した。スタウロスポリンを、アポトーシス細胞の陽性対照として使用した。陰性対照は、1.無刺激細胞;2.細胞を含まない培地単独;3.カスパーゼ基質を有さずにインキュベートした細胞であった。溶解緩衝液およびカスパーゼ−3基質を細胞に加え、1時間および24時間後、EnVisionで蛍光を測定した。
【0169】
壊死
PromegaのCytoTox ONE均質膜完全性アッセイを使用して壊死細胞からの乳酸デヒドロゲナーゼ(Lactato DeHydroxegenase)(LDH)の放出を測定することによって、細胞壊死を分析した。ヒト肝細胞(1×104)を96ウェルプレート中に播種した。18時間のインキュベーション後、ピルビン酸ナトリウムを有さない新鮮な培地および無血清を置き換え、化合物10を0.1μM〜500μMの用量反応で加えた。Triton(1%)を、最大LDH放出対照として使用した。タモキシフェンを、壊死誘導物質として使用した。蒔いた細胞を、インキュベーター中にさらに4時間戻した。上清を新しいプレートに移し、同じ用量のCytoTox−ONE試薬をプレートに加えた。1時間のインキュベーション後、蛍光をEnVision多標識プレートリーダーによって560nmの励起波長および590nmの発光波長で読み取った。
【0170】
【表5】
n.d.:検出せず。
【0171】
(実施例8)
NR選択性アッセイ
本発明の化合物の選択性を、当技術分野において公知のアッセイ方法を使用して評価した。具体的には、下記のアッセイ法を使用した。
FXRおよびLXR:コアクチベーターのリクルート作用(alphascreen)
TGR5:ヒト腸細胞系(NCI−H716)上のcAMPレベル
PXR:リガンド競合アッセイ(結合アッセイ)
CAR:コアクチベーターのリクルート作用(Lanthascreen)
表6は、これらのアッセイの結果を示す。
【0172】
TR−FRETコアクチベーターアッセイ
Lanthascreenアッセイ(Invitrogen)を、核内受容体選択性アッセイのために使用した。キットは、テルビウム標識抗GST抗体、フルオレセイン標識コアクチベーターペプチド、および均一なミックス−アンド−リードアッセイフォーマット中のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)によってタグを付けられたNRリガンド結合ドメインを使用する。アッセイは、384マイクロウェルプレート(PerkinElmer)中で行った。20μlの総アッセイ反応物には、Invitrogenによって供給されたアッセイ緩衝液中の5nMのGST標識したNR、125nMのコレギュレーターペプチド、5nMのTB−抗GST標識した抗体(テルビウム−抗グルタチオンSトランスフェラーゼ標識)、5mMのDTTおよび様々な濃度の化合物10が含まれた。陰性対照は化合物10を欠いていたが、アゴニストウェル中に含有されるその他の全てを含有した。暗中での1時間のインキュベーションに続いて、TR−FRET測定をEnvision中で行った。放出率520/495を、様々なリガンド濃度に対してプロットした。GraphPad Prismを使用し、可変の勾配を有するS字状曲線式を使用してデータを分析し、EC50値を得た。
【0173】
【表6】
他の実施形態
本発明をその詳細な記載と併せて記載してきたが、上記の記載は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図し、限定することを意図しない。他の態様、利点、および変形形態は、下記の特許請求の範囲内である。添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変化をその中で行い得ることは当業者であれば理解するであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A:
【化22】
を有する化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体
(式中、
R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、
R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、
R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、
R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、
R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない)。
【請求項2】
式B:
【化23】
(式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項3】
式C:
【化24】
(式中、R2、R4、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項4】
式D:
【化25】
(式中、R2、R4、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項2に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項5】
式E:
【化26】
(式中、R2およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項6】
式F:
【化27】
(式中、R2およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項5に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項7】
化合物10
【化28】
である、化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項8】
薬学的に許容される塩である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項10】
疾患を治療または予防する方法において使用するための化合物または組成物であって、該方法は、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、化合物または組成物。
【請求項11】
前記疾患は、代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、請求項10に記載の化合物または組成物。
【請求項12】
被験体に、経口的、非経口的、静脈内、または局所的に投与される、請求項10から11のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項13】
前記被験体がヒトである、請求項10から11のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項1】
式A:
【化22】
を有する化合物、または塩、溶媒和物、水和物、もしくはアミノ酸抱合体
(式中、
R1は、水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R2は、水素またはヒドロキシであり、
R4は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはハロゲンであり、
R7は、水素、置換もしくは非置換アルキル、またはヒドロキシであり、
R11は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、
R12は、ヒドロキシル、OSO3H、OSO3−、OCOCH3、OPO3H、OPO32−、OC6H8O6−、または水素であり、あるいは一緒になってR11およびR12は、カルボニルを形成し、
R16は、ヒドロキシル、アルコキシ、およびハロゲンであり、ただし、R2、R4、R7、およびR12が水素であり、R1およびR11がOHであるとき、R16はアルファOHではない)。
【請求項2】
式B:
【化23】
(式中、R1、R2、R4、R7、R11、R12、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項3】
式C:
【化24】
(式中、R2、R4、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項4】
式D:
【化25】
(式中、R2、R4、およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項2に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項5】
式E:
【化26】
(式中、R2およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項1に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項6】
式F:
【化27】
(式中、R2およびR16は、請求項1に記載の通りである)を有する請求項5に記載の化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項7】
化合物10
【化28】
である、化合物、
またはその塩、溶媒和物、水和物もしくはアミノ酸抱合体。
【請求項8】
薬学的に許容される塩である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【請求項10】
疾患を治療または予防する方法において使用するための化合物または組成物であって、該方法は、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、化合物または組成物。
【請求項11】
前記疾患は、代謝性疾患、炎症性疾患、肝疾患、自己免疫疾患、心臓疾患、腎臓疾患、癌、および胃腸疾患から選択される、請求項10に記載の化合物または組成物。
【請求項12】
被験体に、経口的、非経口的、静脈内、または局所的に投与される、請求項10から11のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【請求項13】
前記被験体がヒトである、請求項10から11のいずれか一項に記載の化合物または組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2012−509349(P2012−509349A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537627(P2011−537627)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065199
【国際公開番号】WO2010/059859
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(506306868)インターセプト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065199
【国際公開番号】WO2010/059859
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(506306868)インターセプト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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