説明

TVOCの検出方法、検出装置および外気導入量制御システム

【課題】TVOCを精度よく検出することができるTVOCの検出方法、検出装置および外気導入量制御システムを提供する。
【解決手段】室内2のTVOCの濃度を、半導体式センサ12を用いて検出する方法であって、TVOCの濃度と半導体式センサ12の出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、室内2のTVOCの濃度を半導体式センサ12で検出する際に、同時に温湿度センサ14で半導体式センサ12位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から半導体式センサ12の出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として半導体式センサ12の出力信号の温湿度誤差を補正するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体式センサを用いたTVOC(総揮発性有機化合物:Total Volatile Organic Compound)の検出方法、検出装置および外気導入量制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体式センサ等で臭気を測定する際に温湿度誤差が生じることが知られている。この温湿度誤差を補正する方法としては、例えば、特許文献1〜3の方法がある。
【0003】
特許文献1の臭いセンサを用いた空気清浄器では、周囲の温湿度の影響を受ける半導体センサの出力信号を、複数の特定の波長を選別して検出できる赤外線センサの出力信号で補正している。
【0004】
また、特許文献2の臭気ガスの測定装置では、測定ガスの絶対湿度と等しい絶対湿度の空気を製造し、それを標準空気としてゼロ値の設定に用いることにより、測定値より水分の影響を補正している。
【0005】
また、特許文献3の臭気・ガス分析用温湿度補正器は、測定ガスと標準空気の温湿度を等しくすることにより、温湿度誤差を補正している。
【0006】
一方、本発明者は、既に特許文献4に示す外気導入量制御システムを提供している。このシステムは、簡易TVOCセンサで測定したTVOC濃度値が所定値以上となった場合に、外気導入量を増大させる制御を行うものであり、簡易TVOCセンサとしては、半導体式センサを始めとする種々のセンサを用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−74682号公報
【特許文献2】特開平5−107167号公報
【特許文献3】実開平6−28702号公報
【特許文献4】特開2008−190760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、室内のTVOCの検出においては、半導体式センサを始めとした種々のセンサでは感度が不足しているために、要求されるTVOCの濃度を検出することは一般に困難とされている。また、センサの感度不足を、センサアンプ(増幅器)の増幅度を上げることで出力を得ようとしても、温湿度などの外乱による影響が、検知対象によるセンサの出力を上回り実用的ではなかった。このため、TVOCを精度よく検出することができる技術の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、TVOCを精度よく検出することができるTVOCの検出方法、検出装置および外気導入量制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るTVOCの検出方法は、室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する方法であって、TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係るTVOCの検出方法は、上述した請求項1において、温湿度センサの測定値に基づいて、温度による出力変動に伴う測定系のセンサアンプのドリフトを補正することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係るTVOCの検出装置は、室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する装置であって、TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係るTVOCの検出装置は、上述した請求項3において、温湿度センサの測定値に基づいて、温度による出力変動に伴う測定系のセンサアンプのドリフトを補正することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る外気導入量制御システムは、上述した請求項3または4に記載のTVOCの検出装置を備え、TVOCの検出値に基づいて外気導入量を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項6に係る外気導入量制御システムは、上述した請求項5において、複数種類の臭気を測定する複数の臭気用センサをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項7に係る外気導入量制御システムは、上述した請求項6において、臭気の検出値に基づいて外気導入量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する方法であって、TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正するので、TVOCを精度よく検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係るTVOCの検出方法および検出装置の実施例を示す図である。
【図2】図2は、感度曲線および温湿度補正の一例を示す図である。
【図3】図3は、標準状態での測定結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、低湿状態での測定結果の一例を示す図である。
【図5】図5は、臭気用センサによる外気導入量制御の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るTVOCの検出方法、検出装置および外気導入量制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
まず、本発明をなすに至った着想について説明する。
本発明者が、半導体式センサを使った室内空気の長期モニター結果とTVOCの精密測定結果について検討したところ、TVOCに含まれる個々の成分について要求される濃度では、半導体式センサによる出力は有意なものではなかった。しかしながら、TVOCを管理するために要求される濃度付近においては、外乱を排除した半導体式センサ出力とTVOCの濃度との間には相関性があることが見出された。
【0021】
半導体式センサは、一般に外乱として温度、湿度の影響を受け、TVOCによらない出力変動がTVOCの濃度変化を上回る。このため、半導体式センサ出力の温湿度補正を実施し外乱を排除することで、TVOCによる出力変動のみを検出することができる。本発明はこうした着想に基づいてなされたものである。
【0022】
図1に示すように、本発明に係るTVOCの検出装置10は、室内2のTVOCの濃度を検出する半導体式センサ12と、半導体式センサ12位置の温湿度を測定する温湿度センサ14と、これらと電気的に接続されたマイクロコンピュータ16とを備える。
【0023】
ここで、半導体式センサ12と温湿度センサ14は同一ユニット18内に近接配置してある。このようにすれば、ユニット18内の構成品から熱等が発生してユニット18内の温湿度が室内2の温湿度と異なっても、半導体式センサ12の出力信号の温湿度誤差を高精度で補正できる。
【0024】
マイクロコンピュータ16は、A/D、D/A変換機能を有し、温湿度補正済みの出力信号を信号線20、22を介してアナログ出力、デジタル出力する。
【0025】
上記したように、半導体式センサ12の出力値(出力信号)は温湿度により変動する。そこで、TVOCの濃度と半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め作成しておき、これをマイクロコンピュータ16のメモリに格納しておく。この場合、例えば、予め決められた温湿度条件(例えば、相対湿度20℃60%RH)の下、標準(清浄)空気中で半導体式センサ12の出力値が最小になった値と、検知対象の一定濃度ガスにより得られる出力値から感度曲線を作成する。
【0026】
本発明では、室内のTVOCの濃度を半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求める。
【0027】
次いで、この絶対湿度に対応する感度曲線から半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取る。
【0028】
続いて、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取る。この出力信号を補正値として半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正する。このようにすることで、半導体式センサを用いてTVOCを精度よく検出することができ、TVOCの精密測定を要しない。
【0029】
このように、本発明の半導体式センサの温湿度補正は、上記温湿度条件の半導体式センサ出力値を真値と定義し、半導体式センサの温湿度による出力値の変動を上記温湿度条件の出力値に変換することで真の半導体式センサ値を測定できるようにしている。
【0030】
通常、温湿度補正を行おうとする場合、温度、湿度が共に出力値の変動要因であるときは、温度毎に湿度を変えた出力特性を測定して、その変化が近似式等で表される場合はその式を使用し、そうでない場合は補正テーブル(半導体式センサを使用する温湿度でのセンサ出力値と、真値の対応表)などを作成して補正を行う必要がある。
【0031】
半導体式センサの温湿度による出力値の変動は、主に絶対湿度に依存し、温度による変動は小さいので、半導体式センサの置かれている温湿度から絶対湿度を計算し、先に真値と定義した絶対湿度条件での値に変換することで、半導体式センサを使用する全ての温湿度領域での補正テーブルを持つ必要はない。
【0032】
例えば、相対湿度が20℃60%RHの場合、絶対湿度は10.366g/kg’となる。これは相対湿度60℃8%RHの場合の絶対湿度10.365g/kg’とほとんど同じなので、この環境の場合、補正する必要がないことが分かる。
【0033】
次に、感度曲線の具体的な作成方法および温湿度補正について図2を参照しながら説明する。
【0034】
(1)半導体式センサの検知対象ガス(TVOC)の各濃度(例えば、検知対象ガス濃度0ppm、1ppm、2ppm、5ppm、10ppm、20ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppm、1000ppm)での出力値を、絶対湿度を変化させて測定し(例えば、4.2g/kg’、6.3g/kg’、9.3g/kg’、17.9g/kg’、27.2g/kg’、40.9g/kg’)、図2に示すような感度曲線を作る。図2中、横軸はガス濃度を、縦軸は半導体式センサ出力値(電圧)を示している。なお、異なるガス濃度毎に絶対湿度の変化を測定する必要があるのは、半導体式センサ出力値がガス濃度に対して直線的に変化しないためである。
【0035】
(2)半導体式センサでガス濃度を測定したときに、同時に温湿度センサで温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を計算する。
【0036】
(3)計算結果の絶対湿度での感度曲線を、作成済みの感度曲線(図2)中から探す。ちょうど一致する感度曲線がない場合には、作成済みの感度曲線を利用して補間により求める。
【0037】
(4)補間にて感度曲線を求める方法は、各濃度における測定時の絶対湿度での値の点を比例換算で求め、その点を直線で結ぶ直線補間によって求める。
【0038】
(5)補間して作成した感度曲線上から半導体式センサ出力値に対応するガス濃度を求め、真値の感度曲線上からこのガス濃度に対応する電圧を読み取り、これを真値として半導体式センサ出力値の温湿度補正を行う。
【0039】
(温湿度補正の具体的な方法)
次に、温湿度補正の具体的な方法について、絶対湿度10g/kg’(相対湿度20℃60%RH)での出力値を求める場合を例にとり説明する。
【0040】
温湿度センサで測定した温湿度から計算される絶対湿度が5g/kg’の場合、図2に示すように、5g/kg’を通る感度曲線は無いので、4.2g/kg’と6.3g/kg’の感度曲線の間に、各濃度(1000ppm、500ppm、200ppm・・・)の5g/kg’の値の各点(1)、(2)、(3)・・・を比例により求める。次に、各点を直線で結ぶことで5g/kg’の感度曲線が得られる。
【0041】
いま、半導体式センサで測定された出力値が3.8Vとすると、捕間により作成した感度曲線Aの3.8Vの点Bから真値の絶対湿度の10g/kg’(20℃60%RH)の感度曲線(実線)上に垂直に投影してC点を見つけ、C点から電圧軸(縦軸)上の点D(4.2V)を得ることができる。
【0042】
なお、補間方法は、直線補間でもよいし、指数関数などでもよい。指数関数を使えばセンサ感度の特性上さらに補間精度は向上する。
【0043】
次に、温湿度補正の効果について図3および図4を参照しながら説明する。
図3および図4は、室内の温度が20℃で、相対湿度が55%と16%の異なる条件下においてエタノールを10ppm注入した後に20ppm注入した場合の半導体式センサの出力値の時刻変化を表したものである。
【0044】
通常、温湿度が各々20℃で55%の場合は、図3に示すように、半導体式センサは正常な出力を示す。しかし、20℃で16%の場合は、図4に示すように、半導体式センサの出力値(点線)は、相対湿度が低下した影響で真値より低い値を示す。この場合、本発明による温湿度補正を施せば、図4中の実線で示すように、真値に復帰もしくは接近することが確認できる。
【0045】
なお、上記の実施の形態において、測定系のセンサアンプのドリフトを補正することもできる。一般に、測定系のセンサアンプについても温度による出力変動があることから、通常は温度の影響を受けないチョッパーアンプや温度変動の影響を受けにくい高精度計測アンプを使用するが、本発明では半導体式センサの補正用に温湿度を測定するので、予め温湿度に対するセンサアンプの温度ドリフトを測定しておき、その測定値を用いて、センサアンプの温度ドリフトを計算により補正してもよい。
【0046】
(外気導入量制御システム)
次に、本発明に係る外気導入量制御システムについて説明する。
本発明に係る外気導入量制御システムは、上記のTVOCの検出装置10と換気装置を備え、半導体式センサによるTVOCの検出値に基づいて換気装置による室内への外気導入量や換気量を制御するものである。
【0047】
ここで、空気調和機器や空気清浄装置をさらに備え、半導体式センサ等の検出値に基づいて空気調和機器や空気清浄装置の動作を制御してもよい。
【0048】
また、人間が知覚できる臭気の種類は多く、1個のセンサでこれら臭気全てを検知することは困難であることから、本発明に係る外気導入量制御システムは、複数種類の臭気を測定する複数の臭気用センサをさらに備えるようにしてもよい。そして、臭気用センサによる臭気の検出値に基づいて外気導入量や換気量を制御してもよい。
【0049】
この臭気用センサに関しては、炭化水素類(芳香属、脂肪属など)、ケトン類、アルデヒド類、アルコール類、エーテル類、低級脂肪類、窒素化合物、硫黄化合物やハロゲン化物などの臭気物質を感知できる複数のセンサを用い、1種類のみ対応できない臭気域をカバーする。また、臭気用センサが温湿度により影響を受ける場合には、上記のTVOC用の半導体式センサと同様の補正を行ってもよい。特に、臭気用センサでは、相対湿度が70〜80%以上で真値より高い値となることがあるので、本発明の補正方法の適用は効果的である。
【0050】
このようにすることで、室内のTVOC等の濃度が一定以上になれば外気導入や空気清浄機による室内環境の浄化等を実施したり、一定未満の濃度であれば外気導入量を絞るといった制御ができ、リアルタイムで外気導入量や換気量等の制御が可能となる。このため、居室の空気質を常にTVOCや臭気のレベルで監視して高度な清浄状態に保つことができる。また、不要な換気や空調機器運転を減らすことで外気負荷低減による省エネルギーや空調費用のコストダウンを図ることができる。
【0051】
(臭気用センサによる外気導入制御例)
次に、臭気用センサによる外気導入制御の一例について図5を参照しながら説明する。
【0052】
図5に示すように、例えば、臭気用センサの出力値が2V以上の場合は臭気が発生したと判断して、外気導入量を2回/hに上昇させる制御を行う。なお、通常の外気導入量は0.5回/hと想定する。
【0053】
臭気用センサの出力値は、制御したい対象物質や室内環境の条件毎に設定することもできる。場合によっては、人感センサによって在室人員の比率によって換気(外気導入量)を20から30m/h・人に設定し、必要時に外気導入量を増やす制御を加えることも可能である。
【0054】
また、二酸化炭素(CO)センサを用い、いわゆる建築物衛生法(ビル管理法)の基準濃度である1000ppm以下の場合でも、例えば臭気用センサの出力値が2V以上なら、外気導入量を増やす制御を行うことも可能である。さらに、センシングする物質が異なる複数の臭気用センサを用いる場合、セレクタを用い、最も高い出力値のセンサによって外気導入量を制御することも可能である。
【0055】
また、センサ出力値が2V以上になって直ぐに外気導入を開始する即時制御や、センサのノイズ等の出力を排除するために数秒から数分のインターバルをおいてから外気導入するタイマー制御を行うことも可能である。
【0056】
また、外気導入制御だけでなく、センサ出力値に基づいて、空気清浄機の稼動の制御や窓明け換気の制御を行ってもよい。さらに、TVOCおよび臭気等の複合の対象物に関してセンサによるモニタリングを行ってもよいし、上記の制御をこれらのセンサ出力値に基づいて行ってもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する方法であって、TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正するので、TVOCを精度よく検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係るTVOCの検出方法、検出装置および外気導入量制御システムは、室内においてTVOCの検出が必要な分野(室内空気質の向上、保全等)や、室内において臭気の検出が必要な分野(室内臭気の低減等)に有用であり、特に、住宅、オフィス、病院、老健施設や生産施設に適している。
【符号の説明】
【0059】
2 室内
10 TVOCの検出装置
12 半導体式センサ
14 温湿度センサ
16 マイクロコンピュータ
18 ユニット
20,22 信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する方法であって、
TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、
室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正することを特徴とするTVOCの検出方法。
【請求項2】
温湿度センサの測定値に基づいて、温度による出力変動に伴う測定系のセンサアンプのドリフトを補正することを特徴とする請求項1に記載のTVOCの検出方法。
【請求項3】
室内のTVOCの濃度を、半導体式センサを用いて検出する装置であって、
TVOCの濃度と前記半導体式センサの出力信号との関係を示す感度曲線を絶対湿度毎に予め求めておき、
室内のTVOCの濃度を前記半導体式センサで検出する際に、同時に温湿度センサで前記半導体式センサ位置の温湿度を測定し、この測定値に基づいて絶対湿度を求め、この絶対湿度に対応する感度曲線から前記半導体式センサの出力信号に対応するTVOCの濃度を読み取り、読み取ったTVOCの濃度に対応する出力信号を、真値と定義した感度曲線から読み取り、この出力信号を補正値として前記半導体式センサの出力信号の温湿度誤差を補正することを特徴とするTVOCの検出装置。
【請求項4】
温湿度センサの測定値に基づいて、温度による出力変動に伴う測定系のセンサアンプのドリフトを補正することを特徴とする請求項3に記載のTVOCの検出装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のTVOCの検出装置を備え、TVOCの検出値に基づいて外気導入量を制御することを特徴とする外気導入量制御システム。
【請求項6】
複数種類の臭気を測定する複数の臭気用センサをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の外気導入量制御システム。
【請求項7】
臭気の検出値に基づいて外気導入量を制御することを特徴とする請求項6に記載の外気導入量制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−42399(P2012−42399A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185596(P2010−185596)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】