説明

U字溝水路の継目水漏れ防止構造

【課題】 U型コンクリートブロックを配列して構成されるU字溝水路におけるU型コンクリートブロック間の継目の水漏れを防止する構造の提供。
【解決手段】 継目3を塞ぐように底面9、両内側面10,10、及び上端面11,11に沿ってシール2を貼着している。そして該シール2は3層構造とし、表面はサンド付き改質アスファルト層4、中間層はガラス繊維織布層5、下層は加熱することで粘着性を有す粘着アスファルト層6とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はU型コンクリートブロックを配列して構成するU字溝水路において、継目から水漏れがしないようにする水漏れ防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、水田へ水を供給する水路としてU型コンクリートブロックが多用されている。図5は一般的なU型コンクリートブックの外観を示す具体例であり、底部(イ)の両側には側部(ロ)、(ロ)が起立し、その断面はU型を形成している。このU型コンクリートブロックを長手方向に配列することで、U字溝水路を構成することが出来る。
【0003】
型枠を作ってコンクリートを流し込むことでU字溝水路を構成することは可能であるが、規格化されたU型コンクリートブロックは工場で量産することが出来、現場へ搬送して所定の場所に配列するだけの作業でU字溝水路を簡単に造成することが出来ることから、近年ではこのU型コンクリートブロックを用いた水路が殆どである。
【0004】
ところで、U字溝水路は複数のU型コンクリートブロックが配列され、継目にはモルタルが詰められて水漏れしないようにしている。しかし、長い年月が経過すると、継目のモルタルにはヒビが入って該継目から水漏れを生じるケースが多発する。特に、道路を大型車両が走行する際に発生する振動にてモルタルが剥れ、また地震が発生すると継目に亀裂が生じる。
【0005】
稲作では田植え時期から穂が出るまでの期間は水を必要とし、その為に水田には水が満ちているのが常であるが、穂が実って収穫の稲刈り時期が近づくと水田に水を入れることはなく、むしろ水田を乾燥する必要がある。このような時期にU字溝水路の継目から漏れる水が水田に流れ込むと、水田を乾燥することが出来ず、その結果、稲穂が十分に実ることが出来なくなる。
【0006】
その結果、米の収穫量は減少すると共に品質も低下する。一方、収穫時にはコンバインが水田へ入って稲刈りを行なうことになるが、U字溝水路から漏れる水が水田に流れ込むならば、水田は乾燥しなくて軟らかく、非常に重いコンバインがスムーズに走行することが出来なくなる。勿論、田植え後で水が必要な時期であっても、必要以上の水は好ましくない。
【0007】
特開平7−127119号に係る「排水路の構造」は、連続して設けられる排水路同士の継目を簡単な構成で止水でき、敷設作業を容易かつ効率的に行えるようにしている。
すなわち、U字溝本体の一方の側部端面に沿って連続した係止溝が形成され、対応する帯状に形成された水膨張性止水材が装着される。係止溝内部には係止突起が幅方向に突出形成され、水膨張性止水材の脱落を防止する。敷設時には、水膨張性止水材が設けられた一方の側部端面を他のU字溝本体の他方の側部端面に向けて設置し、水分を供給するのみでこれら側部端面間の隙間で水膨張性止水材が水膨張して止水を確実に行える。
【0008】
上記排水路の構造はU字溝水路を造成する時には有効ではあるが、時期が経過して水膨張性止水材が退化すれば水漏れを生じる。しかも、水膨張性止水材はU字溝本体の側部端面に取付けられる為に、新たな水膨張性止水材と交換する場合には、U字溝本体を一旦撤去しなくてはならず、U字溝水路を新に構築する以上の工事と成ってしまう。
【特許文献1】特開平7−127119号に係る「排水路の構造」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、U型コンクリートブロックを配列して構成されるU字溝水路には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、U型コンクリートブロックの継目から水漏れを生じないようにシールしたU字溝水路の継目水漏れ防止構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るU字溝水路は、U型コンクリートブロックを配列して構成し、そしてU型コンクリートブロックの継目にはシールを貼着している。勿論、従来通り継目にはモルタルが詰められているが、シールはU字溝水路の継目内面に貼着される。そして、該シールは新に設置されるU字溝水路に限らず、既存のU字溝水路の継目をシールする為に使用出来る。
【0011】
ここで、シールの具体的な構造は限定しないことにするが、第1に耐久性を有し、下面には接着層を設けている。加熱することでU字溝水路の継目に簡単に接着され、剥れることがないように固着される。又、上面は常に水の流れにさらされる訳であって、摩耗し難く強度的にも優れたアスファルト層と成っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るシール構造は、U型コンクリートブロックを配列したU字溝水路の継目にシールを貼着するものであり、継目からの水漏れを防止することが出来る。U字溝水路を造成して新しい時に水漏れは無いが、時期が経過することでU型コンクリートブロックは老朽化し、特に継目に詰めたモルタルが退化して水漏れを発生するが、シールを貼り付けることで簡単にしかも大きな費用をかけることなく水漏れを防止できる。
【0013】
水漏れが防止されることで、稲が実った収穫時には水田を乾燥させることが出来、その為に、収穫量が増えると共に米の品質は向上する。また、田植え後の水田に適量の水を満たすことが出来る。そして、稲刈り時に、コンバインは乾燥した水田に入り易く、スムーズに走行して効率よく稲刈り作業を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】U字溝水路の継目にシールを貼着した本発明の実施例。
【図2】具体的なシールの断面構造。
【図3】U字溝水路の継目にプライマーとシーリング材を介してシールを貼着した断面図。
【図4】U字溝水路の継目にシールを貼着した横断面図。
【図5】U字溝水路を構成する一般的なU型コンクリートブロックの外観図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はU字溝水路の継目にシールを貼着したシール構造を示す本発明の実施例である。同図の1はU型コンクリートブロック、2はシール、3は継目をそれぞれ表わしている。U字溝水路はU型コンクリートブロック1,1・・・を長手方向に配列して構成し、継目3,3・・・にはモルタルが詰められることで、U型コンクリートブロック1,1・・・が段差なく接続され、また継目3,3・・・からの水漏れを防止している。従って、U字溝水路には水が流れて必要な時に水田へ供給することが出来る。
【0016】
このU字溝水路は水田へ水を供給する為のもので、水田より僅かに高い位置に設置され、該U字溝水路の所々には流入口が設けられ、この流入口を開くことで水田へ水が流れるように成っている。勿論、排水用の水路もあるが、排水用水路は水田より低い位置に設けられ、その為に該水田に流れ込む水漏れが問題視されることはない。
【0017】
ところで、時の経過と共にU字溝水路を構成する上記U型コンクリートブロック1の内面は水の流れで侵食され、特に継目3に詰めたモルタルには亀裂が入り隙間穴が発生する。この隙間穴を埋める為に再度モルタルを詰めることも可能であるが、本発明では継目3を被覆するようにシール2を貼着して隙間穴を塞ぐことが出来る。すなわち、シール2の貼着にて水漏れが防止される。
【0018】
図2は継目3に貼り付けるシール2を示す具体例である。シール2は一定幅の帯状をなし、3層にて構成している。上層はサンド付き改良アスファルト層4、中間層はガラス繊維織布層5、下層は粘着性アスファルト層6と成っている。サンド付き改質アスファルト層は堅固で、水の流れに対して侵食され難く耐久性があり、中間のガラス繊維織布層5は防水性を備えている。そして、下層の粘着性アスファルト層6を加熱して柔らかくしたところで継目3を被覆するように内面に貼り付けることが出来る。粘着性アスファルト層6は水路内面に接着して継目3に発生した隙間穴を塞ぐことが出来る。
【0019】
図3はこのシート2をU字溝水路の継目3にシート2を貼着した場合の断面図であり、U型コンクリートブロック1,1の内面は侵食して荒れた面と成っている為に、接着強度を向上する為にプライマー7を塗布する。また、継目3にはシーリング材8を充填する。シーリング材8としてモルタルでもよいが、弾性に優れて継目3の動きに対して追従するシリコン系のシーリング材8を使用し、コーキングガンを使用して継目3に充填することも出来る。
【0020】
勿論、施工時にはモルタルを継目3に詰めてU型コンクリートブロック1,1・・・を繋ぎ、継目3から水漏れが発生した時の補修用としてシリコン系のシーリング材8を用いることも可能である。すなわち、モルタルで構成した継目3の亀裂にシリコン系シーリング材8をコーキングガンにて充填する。
【0021】
図4はU字溝水路の継目3にシール2を貼着した横断面を示している。該シール2は底面9、内側面10,10、及び上端面11,11に沿って隙間なく貼着される。継目3に亀裂が生じる箇所は所々であり、水漏れを生じている箇所を確認した所でU字溝水路を流れる水を止めて該シール2を貼着することが出来る。図4に示すように貼り付けるだけの作業であり、U型コンクリートブロック1を掘り起こす必要はなく、至って簡単で手軽に水漏れの補修することが出来る。
【0022】
ところで、図2に示したシール構造はあくまでも1具体例であって、この実施例に限定はしない。図2のシール材2は、厚さが3.0mm、質量が3.75kg/m、引張り強さは長手方向及び幅方向共に400N/cmと成っている。
【符号の説明】
【0023】
1 U型コンクリートブロック
2 シール
3 継目
4 サンド付き改質アスファルト層
5 ガラス繊維織布層
6 粘着性アスファルト層
7 プライマー
8 シーリング材
9 底面
10 内側面
11 上端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U型コンクリートブロックを配列して構成されるU字溝水路におけるU型コンクリートブロック間の継目の水漏れを防止する構造において、該継目を塞ぐように底面、両内側面、及び上端面に沿ってシールを貼着したことを特徴とするU字溝水路の水漏れ防止構造。
【請求項2】
上記シールは3層構造とし、表面はサンド付き改質アスファルト層、中間層はガラス繊維織布層、下層は加熱することで粘着性を有す粘着アスファルト層とした請求項1記載のU字溝水路の水漏れ防止構造。
【請求項3】
U字溝水路の内面に接着強度を向上させる為のプライマーを塗布してシールを貼着した請求項1、又は請求項2記載のU字溝水路の水漏れ防止構造。
【請求項4】
継目には弾性に優れたシリコン系のシーリング材を充填した請求項1、請求項2、又は請求項3記載のU字溝水路の水漏れ防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−91944(P2013−91944A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233689(P2011−233689)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(596045177)株式会社白崎コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】