説明

USBメモリ

【課題】視覚によって来場者の業種を判断することができるUSBメモリを提供する。
【解決手段】USBメモリ10は、USB端子14を備えた本体11と、本体11に着脱可能なキャップ12とから形成され、所定の展示会場に来場した来場者が所持する。キャップ12には、来場者の業種に対応した着色が施されている。キャップ12のUSB端子収容空間18は、その入口21から奥に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の会場に来場した来場者が所持するUSBメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客識別コードが付与された磁気カード(招待状)またはIDカード(招待状)を持参したイベント来場者の顧客識別コードを読み取って登録する招待状持参来場者受付登録サブシステムと、磁気カード(招待状)またはIDカード(招待状)を持参しない新規来場者が記入したOCR帳票を読み取り、その来場者に顧客識別コードが付与された磁気カード(招待状)またはIDカード(招待状)を発行して登録する新規来場者受付登録サブシステムと、各展示ブースにおける来場者データ管理サブシステムとから形成された来場者管理システムがある(特許文献1参照)。来場者データ管理サブシステムは、各展示ブースにおける来場者受付手段と、各展示ブースにおいて顧客を検索して表示する来場者照会手段と、各展示ブースにおいてカタログ請求等を記録するカード記録手段とを有する。この来場者管理システムでは、新規来場者を受け付けた場合、来場者が記入したOCR帳票を読み取り、その郵便番号と電話番号とから来場者の所属企業名、所属企業の所在地を特定する。この来場者管理システムは、イベント会場に来場した来場者の入場や退場を機械的、電気的に把握するから、主催者および来場者の双方にとって受付手続を簡易かつ迅速に行うことができる。
【特許文献1】特開2000−207468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公報に開示の来場者管理システムは、来場者が磁気カードまたはIDカードを所持してイベント会場の各ブースを回り、各ブースにおいてカタログや製品仕様書、製品使用説明書等の製品情報を収集する。しかし、各ブースの担当者が来場者から提示された磁気カードやIDカードを見たとしてもその来場者の種別がわからず、視覚によって来場者の種別を判断することができないから、来場者の種別に応じた迅速かつ適切な対応をすることができない。また、各ブースにおいて来場者が指定した要望事項や要望対応データを磁気カードやIDカードに電子データとして格納することができず、カタログや製品仕様書、製品使用説明書等の大量の書類を来場者に持ち帰ってもらわなければならない。大量のそれら書類を持ち帰ることは、来場者にとって多大な負担となる。
【0004】
本発明の目的は、視覚によって来場者の種別を判断することができ、来場者が要望事項や要望対応データを電子データとして持ち帰ることができるUSBメモリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の前提は、USB端子を備えた本体と、本体に着脱可能なキャップとから形成され、キャップのUSB端子収容空間にUSB端子を嵌め込むことで該USB端子が該キャップに包被されるUSBメモリである。
【0006】
前記前提における本発明の特徴として、USBメモリは、所定の会場に来場した来場者が所持し、キャップには、来場者の種別に対応した着色が施されている。
【0007】
本発明の一例としては、キャップのUSB端子収容空間がその入口から奥に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されている。
【0008】
本発明の他の一例としては、キャップが、USB端子収容空間を画成する内周壁と、内周壁の外側に位置する外周壁とから形成され、外周壁が着色された合成樹脂から作られ、内周壁が弾性変形可能な弾性部材から作られている。
【0009】
本発明の他の一例としては、USBメモリと会場の各ブースに設置されたブースコンピュータとが無線Lanジグビー(ZigBee)(登録商標)による近距離無線通信規格を利用して互いに無線通信可能であり、USBメモリが、近距離無線通信規格を利用して各ブースにおける各種データを各ブースコンピュータから受信するデータ受信手段と、受信した各種データを各ブースに関連付けて記憶するデータ記憶手段とを有する。
【0010】
本発明の他の一例としては、近距離無線通信規格におけるUSBメモリとブースコンピュータとの間の通信速度が20〜250KB/s、近距離無線通信規格における利用周波数帯域が2.4GHzである。
【0011】
本発明の他の一例として、近距離無線通信規格では、USBメモリとブースコンピュータとの間の通信距離を1〜100mの範囲で設定可能であり、USBメモリとブースコンピュータとの通信時における消費電力が60mW以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るUSBメモリによれば、それのキャップにUSBメモリを所持する来場者の種別に対応した着色が施されているから、各ブースの担当者はUSBメモリのキャップを見ることで、各ブースに訪れた来場者の種別がわかり、各ブースの担当者が視覚によって来場者の種別を瞬時に判断することができ、各ブースにおいて来場者の種別に応じた迅速かつ適切な対応をすることができる。
【0013】
キャップのUSB端子収容空間がその入口から奥に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されているUSBメモリは、キャップの端子収容空間に本体のUSB端子を嵌め込んだときに、キャップによってUSB端子がその周方向内方に押圧されるから、キャップが本体から外れ難く、キャップの本体からの不用意な脱落を防ぐことができる。
【0014】
キャップがUSB収容空間を画成する内周壁と内周壁の外側に位置する外周壁とから形成され、外周壁が着色された合成樹脂から作られ、内周壁が弾性変形可能な弾性部材から作られているUSBメモリは、キャップの収容空間に本体のUSB端子を嵌め込んだときに、キャップの内周壁の弾性伸縮性によってUSB端子がその周方向内方に締め付けられるから、キャップが本体から外れ難く、キャップの本体からの不用意な脱落を防ぐことができる。このUSBメモリは、キャップの外周壁に来場者の種別に対応した着色が施されているから、USBメモリのキャップを見ることで、各ブースに訪れた来場者の種別がわかり、各ブースの担当者が視覚によって来場者の種別を瞬時に判断することができ、各ブースにおいて来場者の種別に応じた迅速かつ適切な対応をすることができる。
【0015】
各ブースにおける各種データをブースコンピュータから受信し、受信した各種データを各ブースに関連付けて記憶するUSBメモリは、各種データが各ブースにおいてUSBメモリに格納されるから、来場者がデータを電子データとして持ち帰ることができ、来場者が大量の書類を持ち帰る必要はなく、来場者の負担を大幅に軽減することができる。このUSBメモリは、各種データが各ブースに関連付けられて記憶されるから、多数のデータを受信したとしても、それらデータを各ブース毎に区別して管理することができ、どこのブースにおいて受信したデータかを確実に判断することができる。このUSBメモリは、近距離無線通信規格として無線Lanジグビー(ZigBee)を利用することで、1台のブースコンピュータと複数のUSBメモリとが同時に通信可能であり、複数の来場者がブースを訪れたとしても、すべてのUSBメモリがブースコンピュータからデータを受信することができる。
【0016】
USBメモリとブースコンピュータとの間の通信距離を1〜100mの範囲で設定可能であり、USBメモリとブースコンピュータとの通信時における消費電力が60mW以下であるUSBメモリは、ブースの容積に合わせてUSBメモリとブースコンピュータとの間の通信距離を自由に設定することができ、ブースの敷地面積が大きく、そこに多数の来場者が訪れたとしても、そのブースに入った多数の来場者が所持するすべてのUSBメモリがブースコンピュータからデータを受信することができる。このUSBメモリは、それとブースコンピュータとの通信時における消費電力が60mW以下であるから、USBメモリの長期間の使用が可能であり、USBメモリの充電間隔や電池交換間隔を大幅に延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面を参照し、本発明に係るUSBメモリの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示すUSBメモリ10の斜視図であり、図2は、キャップ12を取り外した状態で示すUSBメモリ10の斜視図である。図3は、図2の1−1線断面図であり、図4は、図2の2−2線断面図である。図5は、USBメモリ10を取り付けた状態で示すストラップ付き名刺ホルダ23の斜視図である。USBメモリ10は、本体11(USBフラッシュ・メモリ)と、本体11に着脱可能に装着されるキャップ12とから形成されている。このUSBメモリ10は、展示会場に来場した来場者が所持する。本体11の前端部13には、USB端子14が露出している。本体11の後端部15には、ストラップ16(図5参照)を掛け止める係合孔17が形成されている。USBメモリ10は、USB端子14をコンピュータのUSBポートに挿し込み、コンピュータから各種データを受け取り、そのデータを記憶する他、無線通信機能を利用して各種データを受け取り、そのデータを記憶する。
【0018】
キャップ12には、USB端子14を収容可能なUSB端子収容空間18が画成されている。USB端子収容空間18は、キャップ12の一方の端部19から他方の端部20に向かって延びる空間であり、端部19の側に入口21が形成されている。端子収容空間18は、図3,4に示すように、その入口21から奥(端部20)に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されている。換言すれば、入口21から奥に向かうにつれて狭窄に形成されている。端子収容空間18にUSB端子14を嵌め込む(圧入)と、端子14の全体がキャップ12に包被され、端子14がキャップ12によって保護される。USBメモリ10では、端子収容空間18が先細りに形成されているから、キャップ12にUSB端子14を嵌め込んで行くにつれて、キャップ12によって端子14の全体がその周方向内方に向かって押圧される。ゆえに、キャップ12が本体11から外れ難く、キャップ12の本体11からの不用意な脱落を防ぐことができる。
【0019】
キャップ12には、会場に来場した来場者の種別に対応した着色が施されている。キャップ12は、着色剤によって色付けされた合成樹脂から作られている。合成樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル等の熱可塑性合成樹脂、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性合成樹脂を使用することができる。来場者の種別の一例としては、製造業、販売業、サービス業、自営業等の業種、会社役員、会社員、個人、学生、事務職、営業職、専門職等の職種がある。なお、種別を業種や職種に限定するものではなく、他のあらゆる区分が含まれる。キャップ12の色は、たとえば、製造業を緑色、販売業を黄色、サービス業を赤色、自営業を青色、その他の業種を白色にする。図5では、USBメモリ10がフック22を介して名刺ホルダ23のストラップ24に掛け止められている。名刺ホルダ23のポケット25には、来場者の名刺(図示せず)が挿脱可能に収納されている。展示会場を訪れた来場者は、ストラップ24を首にかけ、名刺ホルダ23とともにUSBメモリ10を胸元に吊して展示会場を回る。
【0020】
図6,7は、他の一例として示すキャップ12の断面図である。図6は、図3と同様の1−1線断面図であり、図7は、図4と同様の2−2線断面図である。図6,7に示すキャップ12は、USB端子収容空間18を画成する内周壁26と、内周壁26の外側に位置する外周壁27とから形成されている。内周壁26によって画成されたUSB端子収容空間18は、図3,4と同様に、その入口21から奥(端部20)に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されている。外周壁27は、着色剤によって着色された合成樹脂から作られている。合成樹脂には、図1のキャップ12と同一のそれを使用することができる。内周壁26は、弾性変形可能な弾性部材から作られている。弾性部材には、熱可塑性エラストマーや合成ゴム、天然ゴム等を使用することができる。
【0021】
図6,7のキャップ12を作るには、外周壁27と内周壁26とを成形し、内周壁26を外周壁27の内部に入れ、外周壁27の内面と内周壁26の外面とを接合固定する。図6,7のキャップ12は、内周壁26によって画成された端子収容空間18が先細りに形成され、キャップ12にUSB端子14を嵌め込んで行くにつれて、キャップ12によって端子14の全体がその周方向内方に向かって押圧される。さらに、キャップ12の端子収容空間18にUSB端子14を嵌め込んだときに、USB端子14がキャップ12の内周壁26の弾性伸縮性によって周方向内方に締め付けられる。ゆえに、キャップ12が本体11から外れ難く、キャップ12の本体11からの不用意な脱落を防ぐことができる。
【0022】
図8は、USBメモリ10に内蔵された通信デバイス28の概略構成図である。USBメモリ10には、無線Lanジグビー(ZigBee)(登録商標)による近距離無線通信規格を利用するための無線通信可能な通信デバイス28が内蔵されている。通信デバイス28は、本体11の外形を画成するハウジングの内部に収納され、USBメモリ10の基本制御装置(図示せず)にインターフェイスを介して電気的に接続されている。通信デバイス28は、IC29(ジグビーチップ)と、IC29にインターフェイス30を介して接続されたバッテリー31(電池)とから形成されている。IC29は、メモリ32とマイクロプロセッサ33とを備え、記憶機能や近距離無線通信機能等を有する。メモリ32には、通信デバイス28に所定の手段を実行させるアプリケーションプログラムが記憶されている。通信デバイス28は、その構成部品としてIC29を使用しているが、IC29の他に、ゲートアレイやフィールドプログラマブルゲートアレイ、専用ハードウェアのうちのいずれかを使用することもできる。
【0023】
無線Lanジグビーは、通信コストが安価で消費電力が少ない近距離無線通信規格であり、物理層にIEEEが使用され、2.4GHz帯の周波数帯域を16のチャネルに分割して利用する。無線Lanジグビーのデータ転送速度は最大で250kbpsであり、データ転送距離は1〜100mである。無線Lanジグビーは、相互に接続するマルチホッピング機能により、64000個の機器を接続することができ、すべてを無線でコントロール可能なネットワークを構築することができる。
【0024】
図9は、USBメモリ10を利用した会場運営システム40の概略構成図である。図9では、USBメモリ10や電磁波シールドボックスの図示を省略している。会場運営システム40は、各企業(各ブースの出展者、主催者、管理者)が新製品や新技術の紹介を行う展示会場41において利用される。会場運営システム40は、展示会場41に来場した来場者(個人や企業の担当者、官公庁関係者等)が所持するUSBメモリ10と、展示会場41の受付42,43に設置された複数台の受付コンピュータ44と、展示会場41を提供する管理事務局45に設置された中央管理コンピュータ46と、各ブース47,48,49,50に設置された複数台のブースコンピュータ51とから形成されている。受付コンピュータ44とブースコンピュータ51とは、インターフェイス52(有線または無線)を介して中央管理コンピュータ46に接続されている。会場運営システム40は、展示会場41のみならず、イベント会場や催事会場、セミナー会場、講演会場でも利用することができる。
【0025】
展示会場41は、入口53および出口54を有する所定面積の建物の内部に施設されている。展示会場41外側の入口53近傍には入場受付42が設置され、展示会場41外側の出口54近傍には退場受付43が設置されている。なお、展示会場41が屋外に施設される場合もある。展示会は、各分野の複数の企業が集まって開催され、通常2〜5日間連続して実施される。展示会では、その業態毎に出展企業が変わり、その都度展示会場のレイアウトやブース配置が設計され、あらたなレイアウトやブース配置に基づいて会場が設定される。展示会場41に作られたそれらブース47,48,49,50は、それぞれ敷地面積(容積)が異なる。それらブース47,48,49,50どうしの間には、通路55が形成されている。
【0026】
来場者は、入場受付42において受付手続を行った後、USBメモリ10を所持して入口53から会場41に入り、各ブース47,48,49,50を回る。来場者は、各ブース47,48,49,50において各企業の展示製品を展覧し、製品の説明等を受けた後、出口54から会場41を出る。各ブース47,48,49,50の出展者や主催者、管理者は、自社製品をアピールするため、来場者に関する来場者データの提供やアンケートに対する回答を依頼し、来場者データを提供した来場者にカタログや粗品を渡す。製品に興味を持った来場者は、ブース47,48,49,50の係員に自己の要望事項を伝える。ブース47,48,49,50の係員は、来場者が指定した要望事項に対応する要望対応データを来場者に提供する。各ブース47,48,49,50の出展者や主催者、管理者は、ブース47,48,49,50において来場者に好印象を与えることや来場者データを有効に活用することで、商機をつかむことができる。
【0027】
来場者データには、特定の来場者データを他のそれと識別するための来場者データ識別区分番号、USBメモリをメモリ毎に特定するUSBメモリ識別番号、来場日付、来場者の氏名または名称、来場者の住所または居所、来場者の郵便番号および電話番号、来場者が勤務する会社名(官公庁を含む)、会社の住所、会社の郵便番号および電話番号、会社の業種、E−mailアドレス、URL等がある。要望事項には、会社内容請求、製品詳細説明請求、カタログ請求、製品仕様書請求、製品使用説明書請求、見積請求、商談要求、メールアドレス請求、URL請求、試供品提供等がある。要望対応データには、会社内容の電子データ、製品詳細説明の電子データ、カタログの電子データ、製品仕様書の電子データ、製品使用説明書の電子データ、E−mailアドレス、URL等がある。
【0028】
USBメモリ10に内蔵された通信デバイス28のマイクロプロセッサ33は、メモリ32からアプリケーションプログラムを起動し、起動したプログラムに従って、展示会場41に来場した来場者に関する来場者データを受付コンピュータ44から受信する来場者データ受信手段、受信した来場者データをUSBメモリ10の記憶部に記憶する来場者データ記憶手段、記憶部に記憶した来場者データをブースコンピュータ51に送信する来場者データ送信手段を実行する。マイクロプロセッサ33は、来場者が指定した要望事項(各種データ)をブースコンピュータ51から受信する要望データ受信手段、要望事項をUSBメモリ10の記憶部に記憶する要望データ記憶手段を実行する。マイクロプロセッサ33は、要望事項に対応する要望対応データ(各種データ)をブースコンピュータ51から受信する要望対応データ受信手段、要望対応データをメモリに記憶する要望対応データ記憶手段を実行する。
【0029】
受付コンピュータ44やブースコンピュータ51は、中央処理部(CPUまたはMPU)と大容量ハードディスク(メモリ)とを有するパーソナルコンピュータである。それらコンピュータ44,51のハードディスクには、各種の手段をそれらコンピュータ44,51に実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。それらコンピュータ44,51には、キーボードやスキャナ、マウス、バーコードリーダ等の入力装置、ディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイス(有線または無線)を介して接続されている。受付コンピュータ44では、来場者の登録手続や来場者データをUSBメモリ10に格納する格納手続、来場者データをUSBメモリ10から消去する消去手続を行う。ブースコンピュータ51のハードディスクには、各種の要望事項やそれら要望事項に対応する各種の要望対応データがあらかじめ格納されている。なお、図9では、各ブース47,48,49,50にブースコンピュータ51が1台設置されているが。1つのブースに複数台のブースコンピュータが設置される場合もある。
【0030】
受付コンピュータ44やブースコンピュータ51には、無線Lanジグビーによる近距離無線通信規格を実行するアダプタ56が着脱可能に接続されている。アダプタ56は、通信デバイスと、通信デバイスにインターフェイスを介して接続されたコネクタと、アダプタの外形を画成するハウジングとから形成されている(図示せず)。コネクタは、ハウジングの端部からハウジングの外側に露出している。通信デバイスは、USBメモリ10のそれと同一であり、IC(ジグビーチップ)と、ICにインターフェイスを介して接続されたバッテリー(電池)とから形成されている。ICは、メモリとマイクロプロセッサとを備え、記憶機能や近距離無線通信機能等を有する。ICとバッテリーとは、ハウジングの内部に収納されている。アダプタ56を受付コンピュータ44やブースコンピュータ51に接続するには、それらコンピュータ44,51の接続端子にアダプタ56のコネクタを挿し込む。
【0031】
中央管理コンピュータ46は、中央処理部(CPUまたはMPU)と大容量ハードディスク(メモリ)とを有するパーソナルコンピュータであり、統合管理データベース57が接続されている。中央管理コンピュータ46のハードディスクには、各種の手段をコンピュータ46に実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。中央管理コンピュータ46には、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイス(有線または無線)を介して接続されている。
【0032】
統合管理データベース57は、中央管理コンピュータ46からのデータ転送指令に基づいて各種データをコンピュータ46に転送し、コンピュータ46からのデータ格納指令に基づいて各種データを格納する。統合管理データベース57には、事前に登録手続を行った来場者の来場者データが格納されている。また、統合管理データベース57には、当日に展示会場41において受付手続を行った来場者の来場者データが格納される。さらに、受付コンピュータ44やブースコンピュータ51から出力された各種データがその都度格納される。なお、統合管理データベース57には、各ブース47,48,49,50を識別するためのブース識別番号と、それらブース識別番号に対応したブース出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが格納されている。
【0033】
図10は、入場時における受付手続の一例を示す図であり、図11は、来場者データをUSBメモリ10に記憶させる手順の一例を示す図である。展示会開催日以前に受付を行った事前登録の来場者の受付手続の一例は、以下のとおりである。事前登録済の来場者は、所持する招待状を受付係員に渡す。受付係員は、受け取った招待状に文字情報として表示された来場者データをスキャナで読み込む。スキャナで読み込まれた来場者データは、スキャナから受付コンピュータ44へ出力され、コンピュータ44に取り込まれる。受付コンピュータ44は、取り込んだ来場者データをディスプレイに表示する。来場者は、ディスプレイに表示された来場者データを見ることで、来場者データの正誤を確認する。来場者データの確認の結果、それが正しい場合、受付コンピュータ44は、取り込んだ来場者データを電子データ化してハードディスクに格納するとともに、来場者データを電子データとして中央管理コンピュータ46に出力する。
【0034】
事前登録の来場者の受付手続の他の一例は、以下のとおりである。事前登録済の来場者は、所持する招待状を受付係員に渡す。受付係員は、受け取った招待状に表示されたバーコードをバーコードリーダを介して読み込む。バーコードには、来場者の来場者データが格納されている。バーコードリーダで読み込まれた来場者データは、バーコードリーダから受付コンピュータ44へ出力され、コンピュータ44に取り込まれる。受付コンピュータ44は、取り込んだ来場者データをディスプレイに表示し、来場者データを電子データ化してハードディスクに格納するとともに、来場者データを電子データとして中央管理コンピュータ46に出力する。
【0035】
中央管理コンピュータ46は、受付コンピュータ44から出力された来場者データと統合管理データベース57に事前に格納された来場者データと照合し、事前に登録が行われていることを確認する。事前登録が行われている場合、中央管理コンピュータ46は、受付コンピュータ44から出力された来場者データに受付済みフラグと日付データとを設定し、受付済みフラグや日付データとともに来場者データを統合管理データベース57に格納する。
【0036】
事前登録の来場者の受付手続の他の一例は、以下のとおりである。事前登録済の来場者は、所持する招待状を受付係員に渡す。受付係員は、受け取った招待状に表示されたバーコードをバーコードリーダを介して読み込む。バーコードには、来場者の名前と来場者識別コードとの少なくとも一方が格納されている。バーコードリーダで読み込まれた来場者の名前や来場者識別コードは、バーコードリーダから受付コンピュータ44へ出力され、コンピュータ44から中央管理コンピュータ46に出力される。中央管理コンピュータ46では、受付コンピュータ44から出力された来場者の名前や来場者識別コードとあらかじめ統合管理データベース57に格納された来場者の名前や来場者識別コードとを照合する。中央管理コンピュータ46は、照合の結果、来場者の名前や来場者識別コードが互いに合致すると、合致した名前や来場者識別コードの来場者データを統合管理データベース57から抽出し、抽出した来場者データを受付コンピュータ44に出力する。また、中央管理コンピュータ46は、来場者の名前や来場者識別コードが互いに合致すると、合致した名前や来場者識別コードの来場者データに受付済みフラグと日付データとを設定し、受付済みフラグや日付データとともに来場者データを統合管理データベース57に格納する。中央管理コンピュータ46から出力された来場者データは、受付コンピュータ44に取り込まれる。
【0037】
来場者の事前登録の一例は、来場予定者が自宅や会社のコンピュータからインターネットに接続し、展示会場41を運営する管理事務局45のサイトにアクセスした後、サイトの事前申し込みに従って必要な項目を入力する。事前申し込みが終了すると、電子メールで招待状が来場予定者に送信される。来場予定者は、管理事務局45から送信された招待状をプリンタから出力し、その招待状を展示会場41に持参する。招待状には、事前申込者の来場者データ(来場者データ識別区分番号を含む)が文字情報として印刷されているか、または、来場者データを格納したバーコードが印刷されている。中央管理コンピュータ46において来場者の名前や来場者識別コードを照合する場合は、招待状に来場者の名前や来場者識別コードを格納したバーコードが印刷される。
【0038】
事前登録の来場者の来場者データの取り込みが終了すると、受付係員は、来場者の種別に対応するキャップ12の色を確認し、その色のキャップ12が付いたUSBメモリ10を選ぶ。具体的には、来場者の業種が製造業の場合は緑色のキャップ12が付いたUSBメモリ10、来場者の業種が販売業の場合は黄色のキャップ12が付いたUSBメモリ10、来場者の業種がサービス業の場合は赤色のキャップ12が付いたUSBメモリ10、来場者の業種が自営業の場合は青色のキャップ12が付いたUSBメモリ10、来場者の業種がその他の場合は白色のキャップ12が付いたUSBメモリ10を選ぶ。
【0039】
次に、受付コンピュータ44に取り込まれた来場者データのUSBメモリ10への書き込みが行われる。来場者データのUSBメモリ10への書き込みは、受付コンピュータ44と、それに接続されたアダプタ56と、電磁波シールドボックス58とを使用して行われる(図11参照)。シールドボックス58は、入場受付42に設置されている。シールドボックス58は、電磁波を遮断する電磁波シールド材で作られた六面体の箱であり、開閉可能な頂壁59および底壁60と、それら頂底壁59,60間に延びる各側壁61とから形成されている。それら壁59,60,61に囲まれた内部には、USBメモリ10を収納する収納部62が画成されている。シールドボックス58の収納部62には、受付コンピュータ44に取り付けられたアダプタ56から延びるアンテナ63が配置されている。なお、図示はしていないが、シールドボックス58の外側に延びるアダプタ56のアンテナ63には電磁波シールド材によるシールド処理が施されている。
【0040】
電磁波シールド材の一例としては、炭素鋼板、ステンレス鋼板、銅板、下地(鋼板,プラスチック板,フィルム等)の外面に銅箔を貼り付けた板材、下地(鋼板,プラスチック板,フィルム等)の外面にアルミ箔を貼り付けた板材を使用することができる。電磁波シールド材の他の一例としては、合成繊維の表面に銅やニッケルをメッキした導電性繊維を使用することができる。導電性繊維は、その複数を下地(鋼板,プラスチック板,フィルム等)の外面に固着して使用する。電磁波シールド材の他の一例としては、金を蒸着させたフィルムを貼り付けたシールドガラス、銀等の金属膜をスパッタしたシールドガラス、ポリエステル繊維にニッケルをメッキした導電性メッシュを2枚のガラスで挟んだシールドガラスを使用することができる。シールドボックスは、それら電磁波シールド材の少なくとも1つを材料として作られている。ゆえに、ボックスの収納部から外側に電磁波(電波)が漏出することはない。なお、シールド材の接合部分には、ガスケットを挿入する。ガスケットには、ニッケル合金、ベリリュウムカッパ、ステンレス鋼等を使用することができる。
【0041】
受付係員は、シールドボックス58の頂壁59を開けてUSBメモリ10を収納部62に納め、頂壁59を閉じる。シールドボックス58に収納されるUSBメモリ10は1つのみである。受付係員は、受付コンピュータ44のキーボードを介して来場者データ送信指令をコンピュータ44に指示する。受付コンピュータ44は、来場者データ送信指令に従って来場者データの電子データをアダプタ56に出力し、アダプタ56の無線通信機能を利用して来場者データを送信する。来場者データの電子データは、アダプタ56のアンテナ63からシールドボックス58の収納部62に発信され、収納部62に入れたUSBメモリ10の通信デバイス28に受信された後、メモリ10の記憶部に記憶される(来場者データ受信手段、来場者データ記憶手段)。なお、USBメモリ10には、あらかじめUSBメモリ識別番号が設定されている。次に、受付係員は、シールドボックス58の頂壁59を開けて収納部62からUSBメモリ10を取り出し、それを事前受付の来場者に渡す。来場者は、USBメモリ10を所持して展示会場41内に入る。
【0042】
当日受付における受付手続は、以下のとおりである。当日受付の来場者は、入場受付42において必要項目を入場申し込み用紙に記入した後、申し込み用紙を受付係員に渡す。または、所持する名刺を受付係員に渡す。受付係員は、受け取った申し込み用紙または名刺をスキャナで読み込む。申し込み用紙に記載された来場者データまたは名刺に表示された来場者データは、スキャナから受付コンピュータ44へ出力され、コンピュータ44に取り込まれる。受付コンピュータ44は、取り込んだ来場者データをディスプレイに表示し、来場者データを電子データ化してハードディスクに格納する。さらに、来場者データ識別区分番号を生成し、来場者データ識別区分番号を含む来場者データを電子データとして中央管理コンピュータ46に出力する。中央管理コンピュータ46は、受付コンピュータ44から出力された来場者データに受付済みフラグと日付データとを設定し、受付済みフラグや日付データとともに来場者データを統合管理データベース57に格納する。
【0043】
当日受付来場者の来場者データの取り込みが終了すると、受付係員は、来場者の種別に対応するキャップ12の色を確認し、そのキャップ12が付いたUSBメモリ10を選ぶ。次に、受付コンピュータ44に取り込まれた来場者データ(来場者識別区分番号を含む)のUSBメモリ10への書き込みが行われる。来場者データのUSBメモリ10への書き込み手順は、事前登録来場者のそれと同一であるから、その説明は省略する。来場者データのUSBメモリ10への書き込みが行われた後、当日受付の来場者は、そのUSBメモリ10を所持して展示会場41内に入る。
【0044】
会場運営システム40では、シールドボックス58を使用してUSBメモリ10に来場者データを格納するから、来場者に渡すUSBメモリ10のみにその来場者の来場者データを記憶させることができる。システム40は、来場者データの電子データがシールドボックス58の収納部62からボックス58の外側に漏出することはなく、複数のUSBメモリが入場受付42に置かれていたとしても、収納部62に発信された来場者データが他のUSBメモリに格納されてしまうことはなく、来場者データの不用意な漏出を防ぐことができる。USBメモリ10には来場者データとして多種多様なデータを記憶させることができるから、異なる他の会場において異なる各種の来場者データを自由に設定かつ使用することができる。
【0045】
図12は、USBメモリ10とブースコンピュータ51との間の各種データの送受信を説明する図である。USBメモリ10を所持した来場者は、入口53から会場41に入り、各ブース47,48,49,50を回る。各ブース47,48,49,50では、ブースコンピュータ51に取り付けられたアダプタ56の通信デバイスとUSBメモリ10の通信デバイス28との間の通信距離がコンピュータ51を中心とした半径1〜2mの範囲であらかじめ設定されている。アダプタ56とUSBメモリ10との間の通信距離は、0.1〜100mの範囲で調節することができる。なお、アダプタ56とUSBメモリ10との間の通信距離をそれらブース47,48,49,50の容積に合わせて設定することもできる。
【0046】
ブース47,48,49,50に来場者が訪れると、ブース47,48,49,50の係員は、USBメモリ10のキャップ12の色を見ることで、来場者の業種(種別)を判断し、来場者が希望するであろう項目をあらかじめ予想しつつ、来場者を接待する。ブース47,48,49,50の係員は、来場者を接待しつつ、来場者に来場者データの送信可否を問い合わせる。来場者が送信可を選択すると、ブース47,48,49,50の係員は、来場者をブースコンピュータ51の半径1〜2mの範囲に導き、コンピュータ51に接続されたキーボードのエンターキーを押す。エンターキーが押されると、USBメモリ10に記憶された来場者データの電子データが通信デバイス28からアダプタ56の通信デバイスに送信される(来場者データ送信手段)。来場者データは、アダプタ56の通信デバイスに受信された後、アダプタ56からブースコンピュータ51に出力される。来場者データがUSBメモリ10からブースコンピュータ51に送信されると、来場者データの内容がブースコンピュータ56に接続されたディスプレイに表示される。来場者は、ディスプレイに来場者データの内容を見ることで、来場者データの正誤を確認することができる。
【0047】
USBメモリ10から送信された来場者データは、ブースコンピュータ51のハードディスクに格納されるとともに、コンピュータ51から中央管理コンピュータ46に出力される。中央管理コンピュータ46は、ブースコンピュータ51から出力された来場者データを各ブース47,48,49,50に関連付けて統合管理データベース57に格納する。来場者データと各ブース47,48,49,50とは、以下のように関連付けられている。ブースコンピュータ51のハードディスクには、統合管理データベース57に格納された各ブース47,48,49,50のブース識別番号と同一のブース識別番号と、それらブース識別番号に対応するブース出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが格納されている。ブースコンピュータ51は、来場者データを中央管理コンピュータ46に出力するときに、その来場者データにブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とを添付して出力する。来場者データにブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが添付されることで、来場者データとブース47,48,49,50とが関連付けられて統合管理データベース57に格納される。
【0048】
なお、ブースコンピュータ51において来場者データを取得することの承諾を各来場者から事前に得ている場合では、各ブース47,48,49,50の容積に合わせてアダプタ56の通信デバイスとUSBメモリ10の通信デバイス28との間の通信距離を設定することで、来場者が各ブース47,48,49,50に入ると、その来場者の来場者データがUSBメモリ10から自動的にブースコンピュータ51のアダプタ56に送信され、来場者データがコンピュータ51のハードディスクに記憶されるとともに、ブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称が添付された来場者データがコンピュータ51から中央管理コンピュータ46に出力される。
【0049】
図13〜図15は、ブースコンピュータ51のディスプレイに表示された要望事項の一例を示す図である。来場者データを受信した後、ブース47,48,49,50の係員は、来場者に要望の有無を訪ねる。来場者が要望有りを伝えると、係員は、キーボードを介してブースコンピュータ51に要望事項表示指示を入力する。ブースコンピュータ51は、要望事項表示指示に従って要望事項をディスプレイに表示する。表示された要望事項の一例は、図13に示すように、会社内容、製品詳細、カタログ請求、製品仕様、製品使用説明、見積、商談、URL、メールアドレス、試供品提供である。来場者は、それら要望事項の中から少なくとも1つを指定し、キーボードの数字ボタンを押して要望事項の番号を特定する。要望事項番号としてキーボードの数字ボタンの(2)が押されたものとする。数字ボタンの(2)が押されると、ブースコンピュータ51は、図14に示すように、要望事項番号(2)に対応する製品詳細画面(複数の製品名およびそれら製品の写真、価格)(要望対応情報)をディスプレイに表示する。
【0050】
次に、来場者は、キーボードの数字ボタンを押して希望する製品の番号を特定する。要望事項番号としてキーボードの数字ボタンの(3)が押されたものとする。数字ボタンの(3)が押されると、ブースコンピュータ51は、図15に示すように、要望事項番号(3)に対応する製品Cの製品紹介画面(製品の拡大写真、詳細説明、価格、設計図等)(要望対応情報)をディスプレイに表示する。ブースの係員は、ディスプレイを見ながら来場者に製品説明を行う。
【0051】
ブースコンピュータ51は、来場者が指定した要望事項を来場者データに関連付けてハードディスクに記憶する。ここで、ハードディスクに記憶される要望事項は、来場者が指定した製品詳細とそれに続く製品Cとである。ゆえに、ハードディスクには、ディスプレイに段階的に表示される要望事項のすべてが記憶される。要望事項と来場者データとの関連付けは、来場者データに含まれる来場者データ識別区分番号を要望事項の電子データに添付することにより行われる。要望事項に来場者データ識別区分番号が添付されることで、要望事項と来場者データとが関連付けられてブースコンピュータ51に格納される。
【0052】
ブースコンピュータ51は、要望事項に対応する要望対応データ(会社内容の電子情報、製品詳細説明の電子情報、カタログの電子情報、製品仕様書の電子情報、製品使用説明書の電子情報等)を来場者データに関連付けてハードディスクに記憶する。ここで、ハードディスクに記憶される要望対応データは、来場者が指定した製品Cの具体的な内容である。要望対応情報と来場者データとの関連付けは、来場者データに含まれる来場者データ識別区分番号を要望対応データの電子データに添付することにより行われる。要望対応データに来場者データ識別区分番号が添付されることで、要望対応データと来場者データとが関連付けられてブースコンピュータ51に格納される。
【0053】
ブースコンピュータ51は、来場者が指定した要望事項の電子データにブース47,48,49,50のブース識別番号とブース識別番号に対応した出展者、主催者、管理者の氏名または名称とを添付した後、その要望事項の電子データをアダプタ56を介して来場者が所持するUSBメモリ10の通信デバイス28に送信する。ここで、通信デバイス28に送信される要望事項は、来場者が指定した製品詳細とそれに続く製品Cとである。ゆえに、USBメモリ10には、ブースコンピュータ51のディスプレイに段階的に表示される要望事項のすべてが記憶される。ブースコンピュータ51は、要望事項に対応する要望対応データの電子データにブース47,48,49,50のブース識別番号とブース識別番号に対応した出展者、主催者、管理者の氏名または名称とを添付した後、その要望対応データの電子データをアダプタ56を介して来場者が所持するUSBメモリ10の通信デバイス28に送信する。ここで、通信デバイス28に送信される要望対応データは、来場者が指定した製品Cの具体的な内容である。
【0054】
来場者が所持するUSBメモリ10の通信デバイス28は、ブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが添付された要望事項の電子データをブースコンピュータ51から受信し(要望データ受信手段)、受信した要望事項をブース識別番号や出展者、主催者、管理者の氏名または名称とともに記憶部に記憶する(要望データ記憶手段)。要望事項にブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが添付されることで、要望事項とブース47,48,49,50とが関連付けられてUSBメモリ10に記憶される。USBメモリ10の通信デバイス28は、ブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが添付された要望対応データの電子データをブースコンピュータ51から受信し(要望対応データ受信手段)、受信した要望対応データをブース識別番号や出展者、主催者、管理者の氏名または名称とともに記憶部に記憶する(要望対応データ記憶手段)。要望対応データにブース識別番号と出展者、主催者、管理者の氏名または名称とが添付されることで、要望対応データが各ブース47,48,49,50および各要望事項に関連付けられてUSBメモリ10に記憶される。
【0055】
ブースコンピュータ51は、来場者が指定した要望事項に来場者データ識別区分番号とブース識別番号とを添付し、その要望事項の電子データを中央管理コンピュータ46に出力し、要望対応データに来場者データ識別区分番号とブース識別番号とを添付し、その要望対応データの電子データをコンピュータ46に出力する。中央管理コンピュータ46は、ブースコンピュータ51から出力された要望事項を来場者データ識別区分番号やブース識別番号とともに統合管理データベース57に格納する。要望事項に来場者データ識別区分番号とブース識別番号とが添付されることで、要望事項と来場者データやブース47,48,49,50とが関連付けられて統合管理データベース57に格納される。中央管理コンピュータ46は、ブースコンピュータ51から出力された要望対応データを来場者データ識別区分番号やブース識別番号とともに統合管理データベース57に格納する。要望対応データに来場者データ識別区分番号とブース識別番号とが添付されることで、要望対応データと来場者データやブース47,48,49,50とが関連付けられて統合管理データベース57に格納される。
【0056】
来場者が会場41から出て退場受付43に来ると、退場受付43の係員がUSBメモリ10に記憶された来場者データの消去の可否を問い合わせる。来場者が来場者データの消去可を選択すると、係員は、USBメモリ10を預かり、USBメモリ10をシールドボックス58の収納部62に収納し(図11参照)、受付コンピュータ44のキーボードを介して来場者データ消去指令をコンピュータ44に出力する。受付コンピュータ44は、来場者データ消去指令に従ってUSBメモリ10に記憶された来場者データを消去する。なお、USBメモリ10に記憶された要望事項や要望対応データは消去されることはない。この会場運営システム40は、USBメモリ10をシールドボックス58に収納した状態で来場者データを消去するから、他の複数のUSBメモリ10が退場受付43に置かれていたとしても、消去対象以外の他のUSBメモリに記憶された来場者データを消去することはなく、来場者データの不用意な消去を防ぐことができる。来場者は、少なくとも要望事項や要望対応データを記憶したUSBメモリ10を持ち帰る。
【0057】
来場者が所持するUSBメモリ10は、それのキャップ12に来場者の業種(種別)に対応した着色が施されているから、各ブース47,48,49,50の担当者はUSBメモリ10のキャップ12を見ることで、各ブース47,48,49,50に訪れた来場者の業種がわかり、各ブース47,48,49,50の担当者が視覚によって来場者の業種を瞬時に判断することができ、各ブース47,48,49,50において来場者の業種に応じた迅速かつ適切な対応をすることができる。また、USBメモリ10は、各ブース47,48,49,50における要望事項や要望対応データをブースコンピュータ51から受信し、受信したそれらを記憶するから、来場者が要望事項や要望対応データを電子データとして持ち帰ることができ、来場者が大量の書類を持ち帰る必要はなく、来場者の負担を大幅に軽減することができる。来場者がUSBメモリ10を利用することで、各ブース47,48,49,50の出展者や主催者、管理者が要望対応データを来場者に数日後に送付または送信する場合と比較し、来場者の要望対応データ取得時間を大幅に短縮することができ、希望する要望対応データを来場者に速やかに提供することができる。来場者は、要望事項に対応する要望対応データを即時に取得することができ、持ち帰ったUSBメモリ10に記憶された要望事項や要望対応データを再生することで、それらを適時に活用することができる。また、要望事項や要望対応データの電子データは経時的な劣化がなく、書類と異なって長期間の保存が可能である。USBメモリ10は、要望事項や要望対応データが各ブース47,48,49,50に関連付けられて記憶されるから、多数の要望事項や要望対応データを受信したとしても、それらを各ブース47,48,49,50毎に区別して管理することができ、どこのブース47,48,49,50において受信した要望事項や要望対応データかを確実に判断することができる。
【0058】
会場運営システム40は、USBメモリ10を所持した来場者がブースコンピュータ51の通信可能範囲に入ることで、来場者の来場者データがそれらUSBメモリ10からコンピュータ51に送信かつ記憶されるから、来場者データを読み取るためのカードリーダやバーコードリーダを設置する必要はなく、それらリーダにカードを近づける必要もないから、来場者の負担をなくすことができ、各ブース47,48,49,50の出展者や主催者、管理者の手間を省くことができる。会場運営システム40は、USBメモリ10の通信デバイス28とブースコンピュータ51に取り付けられたアダプタ56との間の通信距離を自由に設定することができるから、ブースコンピュータ51の通信可能範囲を立体的に確保することができ、各ブース47,48,49,50における来場者データの受信に受信機やアンテナ、カードリーダ、バーコードリーダ等を設置する必要はなく、通信可能範囲内に存在するすべての来場者の来場者データを確実に取得することができる。
【0059】
会場運営システム40は、USBメモリ10における来場者データの継続保持を希望しない来場者の来場者データをUSBメモリ10から消去することができ、USBメモリ10の紛失や盗難による来場者データの不正な漏出を防ぐことができる。会場運営システム40は、他のあらたな会場においてUSBメモリに再度来場者データを記憶させることができ、または、既に記憶されている来場者データを他のあらたな展示会場において使用することができるから、来場者は、持ち帰ったUSBメモリ110を他の展示会場やイベント会場、催事会場、セミナー会場、講演会場において使用することができる。ゆえに、それらUSBメモリ10はそれらを繰り返して使用することができ、資源の無駄を省くことができる。
【0060】
会場運営システム40は、無線Lanジグビー(ZigBee)を利用することで、1台のブースコンピュータ51と複数のUSBメモリ10とが通信可能であり、複数の来場者がブース47,48,49,50に訪れたとしても、1台のブースコンピュータ51がそれら来場者に関する来場者データのすべてをUSBメモリ10から速やかに取得することができ、すべてのUSBメモリ10がブースコンピュータ51から要望事項や要望対応データを受信することができる。また、無線Lanジグビーを利用することで、1台の受付コンピュータ44と複数のUSBメモリ10とが通信可能であり、1台の受付コンピュータ44から複数のUSBメモリ10に来場者データを送信することができる。会場運営システム40は、USBメモリ10と受付コンピュータ44との通信時における消費電力やUSBメモリ10とブースコンピュータ51との通信時における消費電力が60mW以下であるから、USBメモリ10の長期間の使用が可能であり、USBメモリ10の充電間隔や電池交換間隔を大幅に延ばすことができる。
【0061】
中央管理コンピュータ46は、受付コンピュータ44やブースコンピュータ51から出力された来場者データ、要望事項、要望対応データを統合管理データベース57から取り出し、それらを一覧表として出力装置から出力することができる。受付コンピュータ44やブースコンピュータ51にはアダプタ56が取り付けられているが、それらコンピュータ44,51に無線LANジグビーによる近距離無線通信規格を利用可能な通信デバイスを内蔵することで、アダプタ56の使用を省くことができる。会場運営システム40では、近距離無線通信規格として無線LANジグビーを利用しているが、ジグビーの他に、Bluetooth(ブルートゥース)を利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】一例として示すUSBメモリの斜視図。
【図2】キャップを外した状態で示すUSBメモリの斜視図。
【図3】図2の1−1線断面図。
【図4】図2の2−2線断面図。
【図5】USBメモリを取り付けた状態で示すストラップ付き名刺ホルダの斜視図。
【図6】他の一例として示すキャップの断面図。
【図7】他の一例として示すキャップの断面図。
【図8】USBメモリに内蔵された通信デバイスの概略構成図。
【図9】USBメモリを利用した会場運営システムの概略構成図。
【図10】入場時における受付手続の一例を示す図。
【図11】来場者データをUSBメモリに記憶させる手順の一例を示す図。
【図12】USBメモリとブースコンピュータとの間の各種データの送受信を説明する図。
【図13】ブースコンピュータのディスプレイに表示された要望事項の一例を示す図。
【図14】ブースコンピュータのディスプレイに表示された要望事項の一例を示す図。
【図15】ブースコンピュータのディスプレイに表示された要望事項の一例を示す図。
【符号の説明】
【0063】
10 USBメモリ
11 本体
12 キャップ
14 USB端子
18 USB端子収容空間
21 入口
26 内周壁
27 外周壁
51 ブースコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB端子を備えた本体と、前記本体に着脱可能なキャップとから形成され、前記キャップのUSB端子収容空間に前記USB端子を嵌め込むことで該USB端子が該キャップに包被されるUSBメモリにおいて、
前記USBメモリは、所定の会場に来場した来場者が所持し、前記キャップには、前記来場者の種別に対応した着色が施されていることを特徴とするUSBメモリ。
【請求項2】
前記キャップのUSB端子収容空間が、その入口から奥に向かうにつれて次第に狭くなる先細りに形成されている請求項1記載のUSBメモリ。
【請求項3】
前記キャップが、前記USB端子収容空間を画成する内周壁と、前記内周壁の外側に位置する外周壁とから形成され、前記外周壁が、着色された合成樹脂から作られ、前記内周壁が、弾性変形可能な弾性部材から作られている請求項1または請求項2に記載のUSBメモリ。
【請求項4】
前記USBメモリと前記会場の各ブースに設置されたブースコンピュータとが、無線Lanジグビー(ZigBee)(登録商標)による近距離無線通信規格を利用して互いに無線通信可能であり、前記USBメモリが、前記近距離無線通信規格を利用して各ブースにおける各種データを各ブースコンピュータから受信するデータ受信手段と、受信した各種データを各ブースに関連付けて記憶するデータ記憶手段とを有する請求項1ないし請求項3いずれかに記載のUSBメモリ。
【請求項5】
前記近距離無線通信規格における前記USBメモリと前記ブースコンピュータとの間の通信速度が、20〜250KB/s、前記近距離無線通信規格における利用周波数帯域が、2.4GHzである請求項4記載のUSBメモリ。
【請求項6】
前記近距離無線通信規格では、前記USBメモリと前記ブースコンピュータとの間の通信距離を1〜100mの範囲で設定可能であり、前記USBメモリと前記ブースコンピュータとの通信時における消費電力が60mW以下である請求項5記載のUSBメモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−209991(P2008−209991A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43622(P2007−43622)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(599146967)株式会社ネオネット (4)
【出願人】(500099113)株式会社フリーダム・グループ (5)
【Fターム(参考)】