説明

UV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ

【課題】インクジェットヘッドに並ぶインク吐出口がインク詰まりを起こすのを防ぐことのできる、UV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴にUV光源40から照射する紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口12に当たるのを防ぐ、遮蔽板50を備える。そして、その遮蔽板50により、立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴にUV光源40から照射する紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口12に当たって、そのインク吐出口12に残るインクが硬化し、そのインク吐出口12がインク詰まりを起こすのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射すると硬化するUV硬化型インクを用いて、立体メディア表面に画像をプリントする、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、近時、平面状をしたシート等の表面だけでなく、特開平10−006493号公報、特開平10−042464号公報等に記載されたような、立体メディア表面にも、画像をプリントするのに、利用されつつある。
また、通常の紙のメディアのみではなく、プラスチック製品、布類、皮革類等の様々のメディア表面にも、文字や記号等を含む又は含まない画像(以下、単に画像という)をそのままダイレクトにプリント可能な、インクジェットプリンタとして、近時、特開2004−358769号公報、特開2005−007577号公報等に記載されたような、UV硬化型インク使用のプリンタが、開発され、使用されている。
【0003】
このUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタの例を挙げれば、図6に示したような構造をしている。
このプリンタでは、Y方向(図の左右方向)に走行させるインクジェットヘッド10の走行経路下方に備えられた支持手段30に、立体メディア20が、Z方向(図の上下方向)に昇降可能に、かつ、その立体メディアの画像プリント面22をほぼ水平方向に向けて、X軸(図の表裏面方向を向く軸)回りに回転可能に支持される構造をしている。そして、インクジェットヘッドに並ぶインク吐出口12から噴射させたインク液滴を、立体メディアの画像プリント面22に着弾させている。その際には、立体メディア20を、Z方向に昇降させたり、X軸及びY軸(図の左右方向を向く軸)回りに回転させたりして、インクジェットヘッドのインク吐出口1210から下方に噴射させたインク液滴を着弾させる立体メディアの画像プリント面22とインクジェットヘッド10との離隔距離Hを一定に保ったり、そのインク液滴を着弾させる立体メディアの画像プリント面22をほぼ水平に保ったりしている。
UV光源40は、インクジェットヘッド10の走行経路下方の立体メディア20近くに配置されている。そして、そのUV光源40から発せられた紫外線を、斜め横方向から、立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に照射している。
ここで、UV光源40から発せられた紫外線を、立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に、その上方からではなく、斜め横方向から、照射している理由は、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22上方には、インクジェットヘッド10が存在していて、UV光源40を配置するスペースがないからである。
【特許文献1】特開平10−006493号公報
【特許文献2】特開平10−042464号公報
【特許文献3】特開2004−358769号公報
【特許文献4】特開2005−007577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この図6に示したような、プリンタにおいては、そのインクジェットヘッド10の走行経路下方に配置されたUV光源40から発せられた紫外線は、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22のみならず、その近くに存在するインクジェットヘッド下面に並ぶインク吐出口12にも照射された。そして、そのインク吐出口12に残るUV硬化型のインクを硬化させた。そのために、そのインク吐出口12がインク詰まりを起こして、インクジェットヘッド10が動作不良に陥った。
【0005】
また、立体メディアの画像プリント面22は、そのインク液滴を着弾させた箇所周辺が、水平面ではなくて、多くの場合に、下方に降下する曲面や、傾斜面となっている。他方、立体メディアの画像プリント面22に着弾させた直後の硬化前のインク液滴は、粘性が低く、そのために、その立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴が、小径のドット状とならずに、その着弾箇所周辺の立体メディア20表面部分に流れ出して、そのインク液滴のドット形状が崩れてしまう。そのために、その立体メディアの画像プリント面22にプリントされる画像が滲んだり歪んだり、インク液滴の着弾位置がずれて画像が歪んだり等した。この現象は、上記のような、インク液滴を着弾させた箇所上方から紫外線を効率良く照射できずに、インク液滴を着弾させた箇所に紫外線を斜め横方向から照射する、立体メディアプリント用のプリンタにおいて、顕著に発生した。
【0006】
本発明は、これらの課題を解消するためになされたものであって、UV光源から発せられたインク液滴硬化用の紫外線が、インクジェットヘッドの下面に並ぶインク吐出口に照射されて、そのインク吐出口がインク詰まりを起こすのを防ぐことのできる、UV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタを提供することを、第1の目的としている。
また、立体メディアの画像プリント面に着弾させた直後の硬化前のインク液滴が、小径のドット状とならずに、その着弾箇所周辺の立体メディア表面部分に流れ出して、そのインク液滴のドット形状が崩れるのを防ぐことのできる、UV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ(以下、プリンタという)を提供することを、第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明のプリンタは、インクジェットヘッドのインク吐出口から噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたUV硬化型のインク液滴にUV光源から紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させることにより、前記立体メディアの画像プリント面に複数のインクのドットの配列からなる画像をプリントするインクジェットプリンタにおいて、
前記UV光源からインク液滴に照射する紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口に当たるのを防ぐ、遮蔽板が備えられたことを特徴としている。
【0008】
このような構成のプリンタにおいては、その遮蔽板により、立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴にUV光源から照射する紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口に当たるのを防いで、そのインク吐出口がインク詰まりを起こすのを、防ぐことができる。
【0009】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明のプリンタ、前記遮蔽板に、前記UV光源が発する紫外線をインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に向けて反射させる反射鏡が付設されてなることを特徴としている。
【0010】
このような構成のプリンタにおいては、UV光源が発する紫外線を、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に向けて直接に照射するのに加えて、同じUV光源が発する紫外線を、その周辺部に広く無駄に放散させずに、遮蔽板に付設された反射鏡を用いて、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に向けて反射させて効率良く集めることができる。その結果、その立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に照射する紫外線の照射量を増加させて、そのインク液滴を短時間のうちに効率良く硬化させることができる。そして、そのインク液滴が、その着弾箇所周辺の曲面状や傾斜面状をした立体メディア表面部分に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを、防ぐことができる。
【0011】
本発明のプリンタは、立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射する前記UV光源と、立体メディアの画像プリント面との離隔距離調整用の調整機構が備えられた構成とすると良い。
【0012】
そうした場合には、インクジェットヘッドの走行経路下方の支持手段に支持された立体メディアであって、X軸回りやY軸回りに回転させたり、Z軸方向に昇降させたりする立体メディアの画像プリント面と、UV光源との離隔距離を調整できる。そして、インクジェットヘッドから噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴にUV光源から照射する紫外線の照射量を、その支持手段に支持された立体メディアの画像プリント面の配置状態や形状に合わせて、ほぼ一定に保持し続けることができる。そして、その立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴にUV光源から照射する紫外線の照射量が少なくて、そのインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを、防ぐことができる。又は逆に、その立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴にUV光源から照射する紫外線の照射量が大きくなり過ぎて、立体メディアが紫外線による損傷を受けるのを、防ぐことができる。
【0013】
本発明のプリンタは、前記インクジェットヘッドが互いに異なる所定色のインクを噴射させる複数のサブヘッドが互いに独立して並ぶ構造をしており、
その複数の各サブヘッドの脇部には、該サブヘッドから噴射させて前記立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射するUV光源がそれぞれ独立して備えられると共に、その各UV光源を、該UV光源が脇部に備えられた所定のサブヘッドから噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させる間は、点灯状態とし、それ以外の間は、消灯させる消灯手段が備えられた構造とすると良い。
【0014】
このような構成のプリンタにおいては、インクジェットヘッドに並ぶ複数のサヘッドの脇部にそれぞれ独立して備えられたUV光源のそれぞれを点灯させる時間を、そのUV光源が脇部に備えられた所定のサブヘッドから噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射する間のみに限定できる。そして、それ以外の間は、その所定のサブヘッドの脇部に備えられたUV光源を消灯し続けることができる。そして、その所定のサブヘッドの脇部に備えられたUV光源から紫外線が、不必要な時間帯に無駄に発光し続けられるのを、防ぐことができる。そして、その不必要な時間帯に無駄に発光される紫外線が、プリンタ構成部品表面で反射して、立体メディアの不要な箇所に照射され、そのために、立体メディアが紫外線による損傷を受けたり、無駄な電力が消費されたりするのを、防ぐことができる。
【0015】
本発明のプリンタは、前記UV光源が、立体メディアの画像プリント面に着弾させた直後のインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を仮硬化させる副UV光源と、その仮硬化させたインク液滴に紫外線をさらに照射し続けて、そのインク液滴を本硬化させる主UV光源とから構成された構造とすると良い。
【0016】
そうした場合には、副UV光源を用いて、インクジェットヘッドから噴射させて立体メディア表面に着弾させた直後のインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を仮硬化させることができる。そして、その立体メディアの画像プリント面に着弾させた直後の粘性の低い状態のインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを、防ぐことができる。
次いで、主UV光源を用いて、その仮硬化させたインク液滴に紫外線をさらに照射し続けて、そのインク液滴を確実に本硬化させることができる。そして、そのインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に画像を確実に安定させてプリント定着できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明のプリンタによれば、UV光源から発せられたインク液滴硬化用の紫外線が、インクジェットヘッドの下面に並ぶインク吐出口に照射されて、そのインク吐出口がインク詰まりを起こすのを、遮蔽板により確実に防ぐことができる。
また、立体メディアの画像プリント面に着弾させた直後の硬化前の粘性が低くいインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを防ぐことができる。そして、立体メディアの画像プリント面にシャープな鮮明画像をプリント可能となる。
さらに、そのインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に画像を、こすっても容易に落ちないように、確実に安定させてプリント定着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明のプリンタの好適な実施の形態を示し、図1はその概略構成図である。以下に、このプリンタを説明する。
【0019】
図1に示されたプリンタは、インクジェットヘッド10のインク吐出口12から噴射させて立体メディアの画像プリント面22に着弾させたUV硬化型のインク液滴に、UV光源40から紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させる構造をしている。UV光源40には、メタルハライドタイプのUVランプの例えば日本電池株式会社製のMAN85AL−F、もしくはUVLED(ULTRA―VIORET LIGHT EMITTING DEVICEの略)の例えば日亜化学工業株式会社製のNCCU003が用いられている。そして、その立体メディアの画像プリント面22に、複数のインクのドットの配列からなる画像をプリントする構造をしている。UV光源40は、インクジェットヘッド10の走行経路下方の支持手段30に支持される立体メディア20の脇部に備えられている。
立体メディア20は、インクジェットヘッド10の走行経路下方に備えられた支持手段30に、X軸(図の表裏面方向を向く軸)回り及びY軸(図の左右方向を向く軸)に回転させたり、Z方向(上下方向)に昇降させたり可能に支持されている。そして、インクジェットヘッドのインク吐出口12と、そのインク吐出口12から噴射されたインク液滴を着弾させる立体メディアの画像プリント面22との離隔距離(以下、ヘッド離隔距離という)Hを、1〜2mm程度に保持できる構造をしている。それと共に、そのインク液滴を着弾させる立体メディアの画像プリント面22を、ほぼ水平に保持できる構造をしている。
このように、立体メディア20を支持手段30に支持している理由は、ヘッド離隔距離Hが大き過ぎると、インク吐出口12から噴射されたインク液滴が、広く拡散した状態で、立体メディアの画像プリント面22に着弾することになって、その立体メディアの画像プリント面22に小径のインクのドットを的確に形成できないからである。そして、その立体メディアの画像プリント面22にシャープな鮮明画像をプリントできないからである。逆に、ヘッド離隔距離Hが小さ過ぎると、立体メディア20表面がインク吐出口12に触れて汚れたり、立体メディアの画像プリント面22とインクジェットヘッド10とが干渉し合って、画像プリント面22に着弾したインク液滴がインクジェットヘッド10に付着したりするからである。
また、インク液滴を着弾させる立体メディアの画像プリント面22をほぼ水平に保つ理由は、そうしないと、インクジェットヘッド10に並ぶインク吐出口と立体メディアの画像プリント面22との離隔距離(ギャップ)が、そのインクジェットヘッドに並ぶインク吐出口12のすべてにおいて大幅に異なってしまい、そのインクジェットヘッドに並ぶインク吐出口12のそれぞれから噴射されるインク液滴が画像プリント面22の狙いの位置に着弾し得なくなるからである。また、そうしないと、立体メディアの画像プリント面22に着弾させた粘性の低いインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れてしまうからである。そして、その立体メディアの画像プリント面22に小径のインクのドットが的確に形成されなくなるからである。
【0020】
以上の構成は、従来のインクジェットプリンタと同様であるが、このプリンタにおいては、UV光源40から立体メディアの画像プリント面22に着弾したインク液滴に向けて照射される紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口12に照射されるのを防ぐ、遮蔽板50が備えられたことを特徴としている。遮蔽板50は、平板に穴52があいた構造をしていて、インク吐出口12が並ぶインクジェットヘッド10の走行経路のすぐ下方に、Y方向に移動可能に、又はY方向に移動不可能に、支持されている。ちなみに、図1の例では、遮蔽板50が、インクジェットヘッド10の走行経路の下方に、Y方向に移動不可能に支持されている。そして、その代わりに、インクジェットヘッド10を、遮蔽板50に対して、Y方向に移動させる構造をしている。そして、その平板の穴52の空いた箇所をインクジェットプリンタの所定のインク吐出口12の下方に位置させた状態においては、その他のインクジェットヘッド10の下面に並ぶインク吐出口12が、遮蔽板50で覆われて保護される構造をしている。
そして、その遮蔽板50により、UV光源40から発せられて、立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に照射される紫外線が、インクジェットヘッドのインク液滴を噴射中の所定のインク吐出口12以外の、他のインク吐出口12に照射されるのを防ぐ構造をしている。
【0021】
図2は本発明のプリンタの他の好適な実施の形態を示し、図2はその概略構成図である。以下に、このプリンタを説明する。
【0022】
このプリンタでは、立体メディア20が支持された側に位置する遮蔽板50の内側表面に、UV光源40が発する紫外線を、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22に向けて反射させる反射鏡54が付設された構造をしている。
そして、UV光源40が発する紫外線を、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22に向けて直接に照射するのに加えて、同じUV光源40が発する紫外線を、その周辺部に広く無駄に放散させずに、遮蔽板50の内側表面に付設された反射鏡54を用いて、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22に向けて反射させて効率よく集めることができる構造をしている。そして、そのインク液滴を、その形状を崩さずに、短時間のうちに効率よく硬化させることができる構造をしている。
UV光源40は、支持手段30に支持される立体メディア20の下方に備えられている。平板状をした遮蔽板50の周囲には、ラッパ状のスカート56が下方に向け延設されている。そして、そのスカート56及びそれに連なる遮蔽板50の内側表面に反射鏡54が、連続して隙間なく貼着された構造をしている。加えて、UV光源40周囲も、ロート状のカバー42で覆われていて、そのカバー42の内側底部に備えられたUV光源40から発せられた紫外線が、カバー42により、その周囲に無駄に飛散せずに、遮蔽板50及びスカート56の内側方向に共に放射される構造をしている。
その他は、図1に示したプリンタと同様に構成されていて、その作用も同様である。
【0023】
図3は本発明のプリンタのもう1つの好適な実施の形態を示し、図3はその概略構成図である。以下に、このプリンタを説明する。
【0024】
このプリンタでは、UV光源40と、そのUV光源40から発せられた紫外線を照射するインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22との離隔距離調整用の調整機構60が備えられている。
そして、インクジェットヘッド10の走行経路下方の支持手段30に支持された立体メディア20であって、支持手段30のX軸回りやY軸回りに回転させたり、Z方向に昇降させたりする立体メディアの画像プリント面22と、UV光源40との離隔距離を、その支持手段30に支持された立体メディアの画像プリント面22の配置状態や形状に合わせて、ほぼ一定に保つことができるようにしている。そして、インクジェットヘッド10から噴射されて立体メディアの画像プリント面22に着弾したインク液滴にUV光源40から照射する紫外線の照射量を、その立体メディアの画像プリント面22の配置状態や形状に合わせて、ほぼ一定に保持し続けることができる構造をしている。そして、その立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴にUV光源40から照射する紫外線の照射量が少なくて、そのインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを、防いだり、逆に、その立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴にUV光源40から照射する紫外線の照射量が大きくなり過ぎて、立体メディア20が紫外線による損傷を受けたりするのを、防ぐことができる構造をしている。
調整機構60は、プリンタ駆動用のホストコンピュータの記憶回路(図示せず)等に記憶された立体メディア20の表面形状データに基づき、UV光源40を、その前方に位置する支持手段30に支持された立体メディアの画像プリント面22に接近させたり、その立体メディアの画像プリント面22から遠ざけたりする構造をしている。調整機構60の駆動源には、サーボモータ等のアクチュエータが使用されている。なお、調整機構60は、UV光源40と、その前方に位置する立体メディア20表面との離隔距離を、光センサ(図示せず)等を用いて実測し、その実測値に基づき、UV光源40を、その前方の立体メディアの画像プリント面22に接近させたり、遠ざけたりすることも、可能である。
その他は、図1に示したプリンタと同様に構成されていて、その作用も同様である。
【0025】
図4は本発明のプリンタのもう1つの好適な実施の形態を示し、図4はその概略構成図である。以下に、このプリンタを説明する。
【0026】
このプリンタでは、そのインクジェットヘッド10が、互いに異なる所定色のインクを噴射させる複数のサブヘッド11、13、15、17が互いに独立して並んだ構造をしている。具体的には、K(ブラック)のインクを噴射させるサブヘッド11と、C(シアン)のインクを噴射させるサブヘッド13と、M(マゼンタ)のインクを噴射させるサブヘッド15と、Y(イエロー)のインクを噴射させるサブヘッド17とが、所定間隔づつあけて、互いに独立してY方向(横方向)に並んだ構造をしている。
複数の各サブヘッド11、13、15、17の脇部には、それらのサブヘッド11、13、15、17から噴射させて立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に紫外線を照射するUV光源40がそれぞれ独立して備えられている。具体的には、各サブヘッド11、13、15、17の間及び最外側のサブヘッド11、17の外側脇部に、UV光源40がそれぞれ独立して備えられている。それと共に、その各UV光源40を、そのUV光源40が脇部に備えられた所定のサブヘッド11、13、15又は17から噴射させて立体メディア20表面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させる間は、点灯状態とし、それ以外の間は、消灯させる消灯手段70が備えられた構造をしている。
UV光源40には、前述と同様な、点灯、消灯を短時間のうちに繰り返し行える、小型のUVLEDが使用されたり、紫外線を先端から発する光ファイバが使用されたりしている。消灯手段70には、プリンタ駆動制御用のホストコンピュータの電子回路等が使用されている。
そして、そのインクジェットヘッド10に並ぶ複数のサブヘッド11、13、15、17の脇部にそれぞれ独立して備えられたUV光源40のそれぞれを点灯させる時間を、そのUV光源40が脇部に備えられた所定のサブヘッド11、13、15又は17から噴射させて立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に紫外線を照射する間のみに限定できる構造をしている。そして、それ以外の時間は、そのサブヘッド11、13、15又は17の脇部に備えられたUV光源40を消灯させることができる構造をしている。そして、その所定のサブヘッド11、13、15又は17の脇部に備えられたUV光源40から紫外線が、不必要な時間帯に無駄に発し続けられるのを、防ぐことができる構造をしている、そして、その不必要な時間帯に無駄に発せられた紫外線が、プリンタ構成部品(図示せず)表面で反射して、立体メディア20の不要な箇所に照射され、そのために、立体メディア20が紫外線による損傷を受けたり、無駄な電力が消費されたりするのを、防ぐことができる構造をしている。
その他は、図1に示したプリンタと同様に構成されていて、その作用も同様である。
【0027】
図5は本発明のプリンタのもう1つの好適な実施の形態を示し、図5はその概略構成図である。以下に、このプリンタを説明する。
【0028】
このプリンタは、UV光源40が、立体メディアの画像プリント面22に着弾させた直後のインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を仮硬化させる副UV光源44と、その仮硬化させたインク液滴に紫外線をさらに照射し続けて、そのインク液滴を本硬化させる主UV光源46とから構成されている。
副UV光源44は、図4に示したプリンタと同様に、インクジェットヘッド10に互いに独立して並ぶサブヘッド11、13、15、17の脇部にそれぞれ独立して備えられている。主UV光源46は、図4に示したプリンタと同様に、支持手段30に支持される立体メディア20の下方に備えられている。
そして、副UV光源44を用いて、インクジェットヘッド10から噴射させて立体メディアの画像プリント面22に着弾させた直後のインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を仮硬化させることができる構造をしている。そして、その立体メディアの画像プリント面22に着弾させた直後の粘性の低い状態のインク液滴が、その着弾箇所周辺に流れ出して、そのインク液滴の形状が崩れるのを、防ぐことができる構造をしている。その際には、遮蔽板50に設けられた穴52を通して、所定のサブヘッド11、13、15又は17からインク液滴を立体メディアの画像プリント面22に向けて噴射させたり、その所定のサブヘッド11、13、15又は17の脇部に備えられた副UV光源44から発せられた紫外線を立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に照射したりできる構造をしている。
次いで、主UV光源46を用いて、その仮硬化させたインク液滴に紫外線をさらに照射し続けて、そのインク液滴を確実に本硬化させることができる構造をしている。そして、そのインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22に画像を確実に安定させてプリント定着できる構造をしている。その際には、主UV光源46が発する紫外線を、インク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面22に向けて直接に照射するのに加えて、同じ主UV光源46から発せられた紫外線を、遮蔽板50及びスカート56の内側表面に貼着された反射鏡54を用いて集めて、立体メディアの画像プリント面22に着弾させたインク液滴に効率よく照射できる構造をしている。また、主UV光源46から発せられた紫外線が、インク液滴を噴射中の所定のサブヘッド11、13、15又は17以外のサブヘッドに照射されるのを、遮蔽板50により防ぐことができる構造をしている。そして、そのサブヘッドのインク吐出口12がインク詰まりを起こすのを、防ぐことができる構造をしている。
その他は、図2に示したプリンタと同様に構成されていて、その作用も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のプリンタは、UV硬化型のインクを用いて、立体メディア表面に画像をプリントするのに、広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図2】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図3】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図4】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図5】本発明のプリンタの概略構成図である。
【図6】従来のプリンタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0031】
10 インクジェットヘッド
11、13、15、17 サブヘッド
12 インク吐出口
20 立体メディア
40 UV光源
42 カバー
44 副UV光源
46 主UV光源
50 遮蔽板
52 遮蔽板の穴
54 反射鏡
56 スカート
60 調整機構
70 消灯手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのインク吐出口から噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたUV硬化型のインク液滴にUV光源から紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させることにより、前記立体メディアの画像プリント面に複数のインクのドットの配列からなる画像をプリントするインクジェットプリンタにおいて、
前記UV光源からインク液滴に照射する紫外線が、インクジェットヘッドのインク吐出口に当たるのを防ぐ、遮蔽板が備えられたことを特徴とするUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記遮蔽板に、前記UV光源が発する紫外線をインク液滴を着弾させた立体メディアの画像プリント面に向けて反射させる反射鏡が付設されてなることを特徴とする請求項1記載のUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射する前記UV光源と、立体メディアの画像プリント面との離隔距離調整用の調整機構が備えられたことを特徴とする請求項1記載のUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記インクジェットヘッドが互いに異なる所定色のインクを噴射させる複数のサブヘッドが互いに独立して並ぶ構造をしており、
その複数の各サブヘッドの脇部には、該サブヘッドから噴射させて前記立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射するUV光源がそれぞれ独立して備えられると共に、その各UV光源を、該UV光源が脇部に備えられた所定のサブヘッドから噴射させて立体メディアの画像プリント面に着弾させたインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を硬化させる間は、点灯状態とし、それ以外の間は、消灯させる消灯手段が備えられたことを特徴とする請求項1記載のUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記UV光源が、立体メディアの画像プリント面に着弾させた直後のインク液滴に紫外線を照射して、そのインク液滴を仮硬化させる副UV光源と、その仮硬化させたインク液滴に紫外線をさらに照射し続けて、そのインク液滴を本硬化させる本UV光源とから構成されたことを特徴とする請求項1記載のUV硬化型インク使用の立体メディアプリント用のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−327142(P2006−327142A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157246(P2005−157246)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】