説明

Webサイトに対するアクセス履歴管理サーバ、プログラム及び方法

【課題】特に未成年者の携帯電話機からのWebサイトに対するアクセスを過剰に制限することなく、保護者の携帯電話機からのそのアクセス履歴の監視負担を軽減することができるアクセス履歴管理サーバを提供する。
【解決手段】アクセス履歴管理サーバは、監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積手段と、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する統計値算出手段と、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶手段と、カテゴリ毎に、所定統計値が閾値以上となったか否かを判定する統計値判定手段と、真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する警告情報送信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webサイトに対するアクセス履歴管理サーバの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ操作に基づく、パーソナルコンピュータに蓄積されたデータに対するアクセス履歴や、ネットワークを介したWebサイトに対するアクセス履歴を収集することによって、当該ユーザの関心や興味の傾向を分析する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータのような端末に限られず、携帯電話機からも、インターネット介して、様々なWebサイトに自由にアクセスすることができる。特に、携帯電話機の場合、家庭内における両親及び祖父母のような成年者に限られず、子供のような未成年者も所持することが一般的になっている。しかしながら、インターネット上では、例えば出会い系サイト、アダルトサイト及び自殺サイトのような有害サイトも多く公開されている。そのために、未成年者も、自ら所持する携帯電話機を用いて、有害サイトに自由にアクセスすることができる。
【0004】
これに対し、未成年者の携帯電話機から有害サイトにアクセスする行為を、保護者の携帯電話機によって管理する技術がある(例えば特許文献2参照)。このような技術に基づくサービスとして、主に、フィルタリングサービス及びアクセス履歴通知サービスがある。
【0005】
「フィルタリングサービス」によれば、未成年者の携帯電話機から有害サイトへのアクセスを拒否するべく、保護者の携帯電話機から設定することができる。このサービスによれば、ホワイトリスト方式(設定されたWebサイトのみアクセスを可能とする)又はブラックリスト方式(設定されたWebサイトへのアクセスを拒否する)がある。
【0006】
また、「アクセス履歴通知サービス」によれば、未成年者の携帯電話機から有害サイトへのアクセス状況を、保護者の携帯電話機から確認することができる。
【0007】
図1は、従来技術におけるシステム構成図である。
【0008】
図1によれば、未成年者が所持する監視対象用端末2は、アクセスネットワーク及びインターネットを介して複数のWebサーバ5に対して、自由にアクセスすることができる。Webサーバ5は、WWW(World Wide Web)サーバ機能を有し、監視対象用端末2へWebページを送信する。ここで、Webサーバ5として、塾の掲示板のような正当サイトのみならず、アダルトサイト、出会い系の掲示板、自殺サイトのような有害サイトも存在している。
【0009】
また、図1によれば、アクセス管理サービスのために、インターネットにフィルタリング装置6が更に接続されている。フィルタリング装置6は、監視対象用端末2に対するプロキシサーバとして機能し、いわゆる「有害サイト」に対するアクセスを拒否する。保護者が所持する管理用端末3は、フィルタリング装置6に対して、フィルタリング条件を設定することができる。フィルタリング装置6は、監視対象用端末2からの有害サイトに対するアクセスを拒否すると共に、そのアクセス履歴を、管理用端末3へ送信することもできる。これによって、保護者は、管理用端末3を用いて、未成年者の携帯電話機からの有害サイトへのアクセスを管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−025617号公報
【特許文献2】特開2007−293397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述したフィルタリングサービスによれば、保護者は、携帯電話機を用いて、正当又は有害なWebサイトのURL(Uniform Resource Locator)を逐次入力する必要があり、極めて面倒な行為を強いられることとなる。このような行為を回避するために、携帯電話機の通信事業者によって予め調査されたブラックリストが用意されており、保護者は、そのブラックリストの適用に対して、ON/OFFの設定のみをすることもできる。しかしながら、ブラックリストに登録されていても、実際には正当なWebサイトも多数存在する。例えば「掲示板」というカテゴリが有害と判断されている場合、正当な「塾の掲示板」も有害と見なされてしまう。未成年者が所望するWebサイトにアクセスできないことが多発した場合、保護者は、その利便性を考慮して、フィルタリングサービスの適用を外してしまう場合も多い。
【0012】
更に、未成年者の携帯電話機から、正当と考えるそのWebサイトへのアクセスを可能とするためには、保護者は、そのWebサイトのURLを逐次、登録する必要がある。結局、保護者は、その作業の煩雑さから、フィルタリングサービスの適用を外してしまう。
【0013】
また、アクセス履歴通知サービスによれば、未成年者がアクセスしたWebサイトのURLが、保護者に直接的に通知される。しかしながら、保護者は、そのURLがどのようなサイトのものであるか、即ち有害サイトなのか否かを、そのURLを一見しただけでは判断することが難しい。このサービスを利用する保護者よれば、実際にそのURLにアクセスすることなく、そのサイトの内容を確認するまでには至らない場合も多い。また、保護者によれば、仮にどのような内容のサイトにアクセスしたかが判別できたとしても、未成年者のアクセス履歴を詳細に知りたいとは思わないと考えている場合も多い。
【0014】
このように、従来のフィルタリングサービスやアクセス履歴通知サービスは、必ずしも未成年者及び保護者にとって納得のいくものとはなっていない。いずれのサービスも、過剰且つ画一的にしか制限できないために、結局、未成年者の携帯電話機からの有害サイトへのアクセスを適切に管理することができなかった。
【0015】
そこで、本発明は、特に未成年者の携帯電話機からのWebサイトに対するアクセスを過剰に制限することなく、保護者の携帯電話機からのそのアクセス履歴の監視負担を軽減することができるアクセス履歴管理サーバ、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するアクセス履歴管理サーバであって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶手段と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積手段と、
アクセス履歴蓄積手段を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する統計値算出手段と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶手段と、
カテゴリ毎に、所定統計値が閾値以上となったか否かを判定する統計値判定手段と、
統計値判定手段によって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する警告情報送信手段と
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、統計値算出手段は、各カテゴリの閲覧回数、及び/又は、当該監視対象用端末からアクセスされた全アクセス数に対する各カテゴリに所属する割合を、所定統計値として算出することも好ましい。
【0018】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、警告情報送信手段は、警告情報として、カテゴリ毎の閲覧回数、及び/又は、各カテゴリに所属する割合を、管理用端末へ送信することも好ましい。
【0019】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、
Webサイトのアドレスと、そのページ情報に基づくカテゴリとを対応付けて蓄積したカテゴリ検索サーバと通信可能であって、
アクセス履歴をカテゴリ検索サーバへ送信し、当該アクセス履歴のアドレス毎のカテゴリを受信するカテゴリ検索手段を更に有することも好ましい。
【0020】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、
アクセス履歴蓄積手段は、所定時間範囲内の時刻にアクセスされたとする複数のアドレスについて最初のアドレス以外を削除するように動作し、
1つのWebサイトに対するアクセスによって複数のWebサイトに対するアクセスが強制された場合、当該Webサイトへの1回のアクセスと認定することも好ましい。
【0021】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、
アドレス記憶手段は、更に、監視対象用端末のアドレスに、当該監視対象用端末を操作するユーザのユーザ属性を対応付けて記憶し、
アクセス履歴蓄積手段を用いて、ユーザ属性毎に、平均的な所定統計値を算出する平均統計値算出手段を更に有し、
統計値判定手段は、監視対象用端末に基づく所定統計値が、監視対象用端末のユーザ属性に基づく平均的な所定統計値よりも、所定閾値以上の差があるか否かを判定する
ことも好ましい。
【0022】
本発明のアクセス履歴管理サーバにおける他の実施形態によれば、
端末は、携帯電話機であり、
端末のアドレスは、電話番号又は識別番号であり、
警告情報送信手段は、電子メール、ショートメール又はWebページによって、警告情報を、管理用端末へ送信することも好ましい。
【0023】
本発明によれば、端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するサーバに搭載されたコンピュータを機能させるアクセス履歴管理用プログラムであって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶手段と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積手段と、
アクセス履歴蓄積手段を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する統計値算出手段と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶手段と、
カテゴリ毎に、所定統計値が閾値以上となったか否かを判定する統計値判定手段と、
統計値判定手段によって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する警告情報送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するサーバにおけるアクセス履歴管理方法であって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶部と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積部と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶部と
を有しており、
アクセス履歴蓄積部を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する第1のステップと、
カテゴリ毎に、所定統計値が閾値以上となったか否かを判定する第2のステップと、
第2のステップによって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する第3のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のアクセス履歴管理サーバ、プログラム及び方法によれば、特に未成年者の携帯電話機からのWebサイトに対するアクセスを過剰に制限することなく、保護者の携帯電話機からのそのアクセス履歴の監視負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来技術におけるシステム構成図である。
【図2】本発明におけるシステム構成図である。
【図3】本発明におけるアクセス履歴管理サーバの機能構成図である。
【図4】アクセス履歴を表す説明図である。
【図5】カテゴリが付与されたアクセス履歴を表す説明図である。
【図6】アクセス履歴に基づいて警告情報の送信可否の判定を表す説明図である。
【図7】ユーザ属性毎の平均的な所定統計値を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
図2は、本発明におけるシステム構成図である。
【0029】
図2のシステムによれば、図1のシステムと比較して、フィルタリング装置6に代わるアクセス履歴管理サーバ1と、カテゴリ検索サーバ4とを更に有する。
【0030】
アクセス履歴管理サーバ1は、図1のフィルタリング装置6と同様に、監視対象用端末2に対するプロキシサーバとして機能すると共に、アクセス履歴を蓄積する。また、アクセス履歴管理サーバ1は、管理用端末3から条件情報(閾値)の設定を受け付けると共に、管理用端末3へ所定条件での警告情報を送信する。これら端末は、一般に普及している携帯電話機であることが好ましい。例えば、監視対象用端末2は、未成年者によって所持される携帯電話機であって、管理用端末3は、保護者によって所持される携帯電話機であってもよい。
【0031】
カテゴリ検索サーバ4は、Webサイトのアドレスと、そのページ情報に基づくカテゴリとを対応付けて蓄積する。例えば、ネットスター社のURLリストを提供するサーバがある(http://www.netstar-inc.com/)。
【0032】
図3は、本発明におけるアクセス履歴管理サーバの機能構成図である。
【0033】
図3によれば、アクセス履歴管理サーバ1は、インターネットに接続する通信インタフェース部19を有し、プロキシ転送部10と、アドレス記憶部11と、アクセス履歴蓄積部12と、カテゴリ検索部13と、統計値算出部14と、平均統計値算出部15と、閾値記憶部16と、統計値判定部17と、警告情報送信部18とを有する。通信インタフェース部19を除くこれら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現されるものであってもよい。
【0034】
[プロキシ転送部10]
プロキシ転送部10は、監視対象用端末2からWebサーバ5に対するアクセスメッセージを受信し、そのメッセージをWebサーバ5へ転送する。このとき、プロキシ転送部10は、監視対象用端末2からアクセスされた複数のWebサイトのアドレス(URL)を、アクセス履歴蓄積部12へ出力する。
【0035】
[アドレス記憶部11]
アドレス記憶部11は、監視対象用端末2のアドレス(電話番号、識別番号)と、管理用端末3のアドレスとを対応付けて記憶する。例えば、監視対象用端末を所持する未成年者と、管理用端末を所持する保護者との関係であってもよい。
[監視対象用端末のアドレス]<->[管理用端末のアドレス]
【0036】
[アクセス履歴蓄積部12]
アクセス履歴蓄積部12は、監視対象用端末毎(アドレス、電話番号又は識別番号の毎)に、アクセスされた複数のWebサイトのアドレスを蓄積する。アクセス履歴は、例えば[年月日]、[時刻]及び[URL]を単位とする。ここで、所定時間範囲内(例えば3秒程度)にアクセスされたとして記録された複数のURLについては、最初のURL以外は削除される。
【0037】
図4は、アクセス履歴を表す説明図である。
【0038】
図4(a)によれば、ほぼ同一時刻に、複数のWebサイトに対するアクセスが記録されている(太囲み線)。これは、1つのWebサイトに対するアクセスが、他の複数のWebサイトに対するアクセスを強制していることを表す。特に、有害サイトの場合、1つのWebサイトへアクセスしただけで、アクティブスクリプトが起動し、多数の他のWebサイトへアクセスし、それらページ情報を全て表示する場合がある。
【0039】
例えば、以下の例では、1つのWebサイト(1)へのアクセスが、他の複数のWebサイト(2)から(5)へのアクセスを強制している。
23:55:45 http://asobou.jp/index.html ・・・(1)
23:55:45 http://asobou.jp/images/hiroba.jpg ・・・(2)
23:55:45 http://asobou.jp/images/boys.jpg ・・・(3)
23:55:45 http://asobou.jp/images/girls.jpg ・・・(4)
23:55:45 http://asobou.jp/images/flower.jpg ・・・(5)
【0040】
図4(b)は、実際に蓄積されたアクセス履歴を表す。図4(b)によれば、図4(a)と比較して、所定時間範囲内の時刻にアクセスされたとする複数のアドレスについて、最初のアドレス以外を削除し、最初のアドレスのみを履歴として蓄積する。即ち、当該Webサイトに対する1回のアクセスと認定する。前述の例によれば、最初のアドレス(1)のみをアクセス履歴として蓄積し、それ以外の(2)から(5)を削除する。
【0041】
図5は、カテゴリが付与されたアクセス履歴を表す説明図である。
【0042】
図5によれば、アクセス履歴のURL毎に、カテゴリ検索部13によって検索されたカテゴリが紐付けされる。カテゴリとしては、例えば、「学校・学習」、「料理・グルメ」、「出会い系」、「自殺」及び「アダルト」といったものがある。
[年月日] [時刻] [URL] [カテゴリ]
2010/9/1 23:55:45 http://asobou.jp/index.html 出会い系
2010/9/2 19:38:24 http://juku.study.jp/index.html 学校・学習
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アクセス履歴蓄積部12は、このようなアクセス履歴を蓄積する。尚、一般に、保護者が未成年者からのアクセスを危惧するサイトは、例えば、出会い系、自殺又はアダルトのようなカテゴリに属するサイトである。
【0043】
[カテゴリ検索部13]
カテゴリ検索部13は、インターネットを介して、カテゴリ検索サーバ4と通信する。カテゴリ検索部13は、アクセス履歴蓄積部12に蓄積されたアクセス履歴のURLをキーとして、カテゴリ検索サーバ4に検索を要求する。これに対し、カテゴリ検索部13は、カテゴリ検索サーバ4から、当該アクセス履歴のURL毎のカテゴリを受信する。そのカテゴリは、アクセス履歴蓄積部12へ出力される。
[URL] <-> [カテゴリ]
http://asobou.jp/index.html 出会い系
尚、カテゴリ検索サーバの機能を、当該アクセス履歴管理サーバが自ら搭載しているものであってもよい。
【0044】
[統計値算出部14]
統計値算出部14は、アクセス履歴蓄積部12からアクセス履歴を入力し、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する。ここで、アクセス履歴は、所定期間(例えば1ヶ月間)単位であることが好ましい。所定統計値とは、カテゴリ毎に算出された、閲覧回数であってもよい。また、当該監視対象用端末2からアクセスされた全アクセス数に対する各カテゴリの所属割合であってもよい。統計値算出部14は、所定統計値を、平均統計値算出部15及び統計値判定部17へ出力する。
【0045】
[閾値記憶部16]
閾値記憶部16は、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値を予め設定し、記憶する。閾値は、例えば、出会い系、自殺又はアダルトといったカテゴリ毎に設定される。ここでの閾値は、所定統計値に対応する値であって、閲覧回数であってもよいし、全アクセス数に対する各カテゴリの所属割合であってもよい。閾値は、ネットワークを介して保護者の管理用端末3から設定されるものであってもよいし、アクセス履歴管理サーバ1内で予め設定されたものであってもよい。
【0046】
[統計値判定部17]
統計値判定部17は、統計値算出部14から所定統計値を入力し、カテゴリ毎に、所定統計値が閾値以上となったか否かを判定する。
【0047】
[警告情報送信部18]
警告情報送信部18は、統計値判定部17によって真と判定された場合、ネットワークを介して、当該監視対象用端末2に対応する管理用端末3へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する。警告情報は、カテゴリ毎の閲覧回数、及び/又は、各カテゴリに所属する割合を含むものであってもよい。また、警告情報は、電子メール、ショートメール又はWebページによって、管理用端末3へ送信されるものであってもよい。
【0048】
図6は、アクセス履歴に基づいて警告情報の送信可否の判定を表す説明図である。
【0049】
図6によれば、監視対象用端末Aのアクセス履歴から算出された所定統計値は、以下のようになっているとする。
監視対象用端末A(電話番号080-000-0001)
全アクセス数:20回
出会い系 : 6回 30%
自殺 : 1回 5%
アダルト : 0回 0%
その他 :13回 65%
【0050】
ここで、監視対象用端末Aを所持する未成年者に対する保護者が、管理用端末aを用いて、以下のような閾値を設定したとする。
管理用端末a(電話番号080-000-0002)
出会い系 : 10%
自殺 : 10%
アダルト : 10%
【0051】
図6によれば、カテゴリ「自殺」「アダルト」における統計値は、閾値を超えていないが、カテゴリ「出会い系」における統計値30%は、閾値10%を超えている。そこで、アクセス履歴管理サーバ1は、管理用端末3へ、「出会い系」カテゴリへのアクセスが所定閾値を超えた旨の警告情報を送信する。
【0052】
本発明によれば、未成年者によって操作される監視対象用端末2からのアクセス履歴について、カテゴリの統計値が閾値以上とならない限り、管理用端末3へは警告情報は何ら通知されない。例えば図6によれば、管理用端末aを所持する保護者は、監視対象用端末Aを所持する未成年者に対して、10%程度の出会い系サイトへのアクセスや、10%程度のアダルトサイトへのアクセスは、大目に見て許容していることを意味する。
【0053】
次に、前述と異なって、監視対象用端末を所持する未成年者のユーザ属性に応じて、所定統計値に対する閾値を設定することができる実施形態を説明する。
【0054】
最初に、アドレス記憶部11は、監視対象用端末2のアドレスに、当該監視対象用端末2を操作するユーザのユーザ属性情報を対応付けて記憶する。
[監視対象用端末のアドレス]<->[ユーザ属性情報]<->[管理用端末のアドレス]
例えば、未成年者が所持する監視対象用端末(携帯電話機)のアドレス[080-000-0001]に、ユーザ属性[中学生・男子]を対応付けて記憶する。
【0055】
また、アクセス履歴管理サーバ1は、平均統計値算出部15を更に有する。
[平均統計値算出部15]
平均統計値算出部15は、統計値算出部14から所定統計値に基づいて、ユーザ属性毎に、平均的な所定統計値を算出する。平均統計値算出部15は、統計値判定部17によって参照される。
【0056】
そして、統計値判定部17は、監視対象用端末における所定統計値が、平均統計値算出部15における監視対象用端末のユーザ属性に基づく平均的な所定統計値よりも、所定閾値以上の差があるか否かを判定する。
【0057】
図7は、ユーザ属性毎の平均的な所定統計値を表す説明図である。
【0058】
図7によれば、様々なユーザ属性に対応して、平均的なアクセス履歴に基づく各カテゴリの所属割合が表されている。例えば、ユーザ属性[中学生・男子]の場合、比較的多くのユーザが「アダルト」に興味を持っていることが理解できる。例えば、ユーザ属性[中学生・男子]の場合、平均的な所定統計値は以下のようになっている。
[カテゴリ] [割合]
出会い系 35%
自殺 2%
アダルト 40%
その他 23%
【0059】
また、ユーザ属性[高校生・女子]の場合、比較的多くのユーザが「出会い系」に興味を持っていることが理解できる。
[カテゴリ] [割合]
出会い系 44%
自殺 4%
アダルト 17%
その他 35%
【0060】
ある意味、保護者から見て危惧するカテゴリのWebサイトに多少アクセスしたとしても、それが平均的な割合である限り、未成年者のその年代にあっては普通のことである。即ち、保護者としては、[中学生・男子]の未成年者が、アダルトサイトへ、多少アクセスすることは許容してあげたいと考える。しかしながら、未成年者におけるアクセス履歴に基づく各カテゴリの所属割合が、その未成年者のユーザ属性に基づく平均的な各カテゴリの所属割合よりも、所定閾値以上の差がある場合、ある意味で異常状態であって、その保護者に警告情報が送信される。即ち、保護者としては、[中学生・男子]の未成年者が、自殺サイトへ、平均的な割合以上にアクセスすることは許容できないと考える。
【0061】
図7によれば、監視対象用端末Aのアクセス履歴から算出された所定統計値は、以下のようになっているとする。
監視対象用端末A(電話番号080-000-0001)[中学生・男子]
全アクセス数:20回
出会い系 : 6回 30%
自殺 : 1回 5%
アダルト : 0回 0%
その他 :13回 65%
【0062】
ここで、[中学生・男子]における「自殺」カテゴリにおける平均統計値は2%であるのに対し、この未成年者の「自殺」カテゴリにおける統計値は5%である。両統計値の差は、3%となる。
【0063】
また、[中学生・男子]における「出会い系」カテゴリにおける平均統計値は40%であるのに対し、この未成年者の「出会い系」カテゴリにおける統計値は30%である。ここでは、平均統計値を越えていないので何ら問題はない。
【0064】
ここで、所定閾値の差として「2%」が設定されている場合、この未成年者の「自殺」カテゴリへのアクセスは、3%の差があるために、ある意味で異常状態であって、その保護者に警告情報が送信される。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本発明のアクセス履歴管理サーバ、プログラム及び方法によれば、特に未成年者の携帯電話機からのWebサイトに対するアクセスを過剰に制限することなく、保護者の携帯電話機からのそのアクセス履歴の監視負担を軽減することができる。
【0066】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0067】
1 アクセス履歴管理サーバ
10 プロキシ転送部
11 アドレス記憶部
12 アクセス履歴蓄積部
13 カテゴリ検索部
14 統計値算出部
15 平均統計値算出部
16 閾値記憶部
17 統計値判定部
18 警告情報送信部
19 通信インタフェース部
2 監視対象用端末
3 管理用端末
4 カテゴリ検索サーバ
5 Webサーバ
6 フィルタリング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するアクセス履歴管理サーバであって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶手段と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積手段と、
前記アクセス履歴蓄積手段を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する統計値算出手段と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶手段と、
前記カテゴリ毎に、前記所定統計値が前記閾値以上となったか否かを判定する統計値判定手段と、
前記統計値判定手段によって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する警告情報送信手段と
を有することを特徴とするアクセス履歴管理サーバ。
【請求項2】
前記統計値算出手段は、各カテゴリの閲覧回数、及び/又は、当該監視対象用端末からアクセスされた全アクセス数に対する各カテゴリに所属する割合を、前記所定統計値として算出することを特徴とする請求項1に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項3】
前記警告情報送信手段は、前記警告情報として、前記カテゴリ毎の前記閲覧回数、及び/又は、各カテゴリに所属する割合を、前記管理用端末へ送信することを特徴とする請求項2に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項4】
Webサイトのアドレスと、そのページ情報に基づくカテゴリとを対応付けて蓄積したカテゴリ検索サーバと通信可能であって、
前記アクセス履歴を前記カテゴリ検索サーバへ送信し、当該アクセス履歴のアドレス毎のカテゴリを受信するカテゴリ検索手段を更に有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項5】
前記アクセス履歴蓄積手段は、所定時間範囲内の時刻にアクセスされたとする複数のアドレスについて最初のアドレス以外を削除するように動作し、
1つのWebサイトに対するアクセスによって複数のWebサイトに対するアクセスが強制された場合、当該Webサイトへの1回のアクセスと認定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項6】
前記アドレス記憶手段は、更に、前記監視対象用端末のアドレスに、当該監視対象用端末を操作するユーザのユーザ属性を対応付けて記憶し、
前記アクセス履歴蓄積手段を用いて、前記ユーザ属性毎に、平均的な所定統計値を算出する平均統計値算出手段を更に有し、
前記統計値判定手段は、前記監視対象用端末に基づく所定統計値が、前記監視対象用端末のユーザ属性に基づく前記平均的な所定統計値よりも、所定閾値以上の差があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項7】
前記端末は、携帯電話機であり、
前記端末のアドレスは、電話番号又は識別番号であり、
前記警告情報送信手段は、電子メール、ショートメール又はWebページによって、前記警告情報を、前記管理用端末へ送信する
ことを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載のアクセス履歴管理サーバ。
【請求項8】
端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するサーバに搭載されたコンピュータを機能させるアクセス履歴管理用プログラムであって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶手段と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積手段と、
前記アクセス履歴蓄積手段を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する統計値算出手段と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶手段と、
前記カテゴリ毎に、前記所定統計値が前記閾値以上となったか否かを判定する統計値判定手段と、
前記統計値判定手段によって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する警告情報送信手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするアクセス履歴管理用プログラム。
【請求項9】
端末によってアクセスされた複数のWebサイトのアドレスを、ネットワークを介して取得するサーバにおけるアクセス履歴管理方法であって、
監視対象用端末のアドレスと、管理用端末のアドレスとを対応付けて記憶したアドレス記憶部と、
監視対象用端末毎に、アクセスされた複数のアドレスと、そのアドレスのカテゴリとを含むアクセス履歴を蓄積するアクセス履歴蓄積部と、
監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値に対する閾値が予め設定された閾値記憶部と
を有しており、
前記アクセス履歴蓄積部を用いて、監視対象用端末毎に、各カテゴリの所定統計値を算出する第1のステップと、
前記カテゴリ毎に、前記所定統計値が前記閾値以上となったか否かを判定する第2のステップと、
第2のステップによって真と判定された際に、当該監視対象用端末に対応する管理用端末へ、当該カテゴリについて閾値以上となった旨の警告情報を送信する第3のステップと
を有することを特徴とするアクセス履歴管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73818(P2012−73818A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218155(P2010−218155)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】