説明

X線イメージング装置

【課題】操作性の低下を来たすことなしに、被験者による誤操作を防止する。
【解決手段】制御部14は、セーフロックモードのオン・オフをセーフロックボタン(セーフロックスイッチ5d)の長押しに応じて切り換える。制御部14は、セーフロックモードがオフであるときには、スポット側操作部5やベッド側操作部6の各スイッチの操作に応じた制御を行う。制御部14は、セーフロックがオンであるときには、スポット側操作部5やベッド側操作部6の少なくとも一部のスイッチの操作に応じた制御を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接操作式のX線イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近接操作方式のX線イメージング装置では、例えば、医師や技師が利用する操作パネルが寝台の近傍に設けられる。操作パネルは、操作性が高くなるような位置に配置されるが、このような位置は寝台に載置された被験者が触れ得るような位置であることが多い。近接操作方式のX線イメージング装置の一例が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
操作パネルには、例えば、透視や撮影の実行を指示するスイッチが配置される。このスイッチに寝台に載置された被験者が触れてしまうと、X線照射が行われてしまう可能性がある。
【0004】
このため、従来のX線イメージング装置において、被験者を寝台に載置しているときには、医師または技師はX線イメージング装置から離れることが禁止されている。しかし、これは人為的な取り決めであって、必ずしも守られるものではない。
【特許文献1】特開平7−327984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように従来の近接操作式のX線イメージング装置では、被験者が操作パネルに触れてしまうことを防止することは困難であり、場合によっては、例えば不必要なX線照射が行われてしまう可能性があった。
【0006】
なお、被験者が触れることが困難なように操作パネルを配置してしまうと、医師や技師による操作性が著しく低下してしまう。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、操作性の低下を来たすことなしに、被験者による誤操作を防止することができるX線イメージング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、一例として、被検体を設置する寝台と、前記被検体に対してX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出手段を備えたX線イメージング装置本体と、制御情報を入力する操作手段と、ロックモードのオン・オフを選択する選択手段と、前記ロックモードがオンの場合には前記制御情報の少なくとも一部をロックし、前記ロックモードがオフの場合には前記制御情報の少なくとも一部を解除し、前記ロックされていない制御情報に基づいて、前記X線イメージング装置本体の少なくとも一部を制御するコントローラと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作性の低下を来たすことなしに、被験者による誤操作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1(a)乃至図1(c)は本実施形態に係るX線イメージング装置の外観を示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は上面図、図1(c)は側面図である。
【0012】
この図1(a)乃至図1(c)に示すように本実施形態のX線イメージング装置は、寝台部1、基台部2、スポットキャリッジ部3、イメージ・インテンシファィア・スポット部(以下、I.I.スポット部と称する)4、スポット側操作部5およびベッド側操作部6を備えている。
【0013】
寝台部1は、上部に天板1aを備える。天板1a上には被験者が載置される。寝台部1内には、天板1aを移動させるための図3に示す天板移動機構部11が設けられている。また寝台部1内は、天板1aに載置された被験者に対してX線を照射するX線管7および、X線照射野を調整するための絞り部8が設けられている。
【0014】
基台部2は、このX線イメージング装置が設置される診断室の床面などに固定され、寝台部1を支持する。基台部2は、寝台部1を図1(a)に矢印Aで示すように回動させることにより天板1aを起倒させるための図3に示す起倒機構部10を備えている。
【0015】
スポットキャリッジ部3は、寝台部1に固定されている。スポットキャリッジ部3は、寝台部1に対して水平方向および垂直方向へと移動可能なようにI.I.スポット部4を支持する。スポットキャリッジ部3は、I.I.スポット部4の移動をパワーアシストするための図3に示すパワーアシスト機構部12を備えている。
【0016】
I.I.スポット部4は、被験者を透過したX線の画像を示した電気信号に変換する。
【0017】
スポット側操作部5およびベッド側操作部6は、医師や技師による指示操作を受け付ける。スポット側操作部5は、I.I.スポット部4の先端に配置され、主として医師により利用される。ベッド側操作部6は、寝台部1の側面に配置され、主として技師により利用される。
【0018】
図2は図1(a)乃至図1(c)中のスポット側操作部5を拡大して示す斜視図である。
【0019】
図2に示すようにスポット側操作部5は、操作ボタン、操作レバー、あるいは表示器などが備えられている。操作ボタンの1つはセーフロックボタン5aである。セーフロックボタン5aの下には、図3に示したセーフロックスイッチ5d及びセーフロックランプ5cを備える。セーフロックボタン5aは、押下されることによりセーフロックスイッチ5dをオンすると共に、セーフロックランプ5cを点灯または非点灯の状態にする。
【0020】
またスポット側操作部5には、ハンドル5bが備えられている。ハンドル5bの内部には、図3に示したパワーアシストセンサ群5hが配置されている。パワーアシストセンサ群5hは、複数のセンサを含み、ハンドル5bに加わる力の方向や強さを検出する。
【0021】
図3は本実施形態のX線イメージング装置のブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0022】
図3に示すように、I.I.スポット部4、スポット側操作部5、ベッド側操作部6、絞り部8、高電圧源9、起倒機構部10、天板移動機構部11、パワーアシスト機構部12および警報部13が制御部14にそれぞれ電気的に、直接または間接的に接続されている。
【0023】
スポット側操作部5は、セーフロックランプ5c、セーフロックスイッチ5d、透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、フォーマット選択スイッチ5iおよび絞り操作スイッチ5jを含む。透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、フォーマット選択スイッチ5iおよび絞り操作スイッチ5jは、スポット側操作部5に設けられたそれぞれ異なる操作ボタンの押下によりオンされる。
【0024】
ベッド側操作部6は、起倒スイッチ6a、天板移動スイッチ6bおよび緊急停止スイッチ6cは、ベッド側操作部6に設けられたそれぞれ異なる操作ボタンの押下によりオンされる。
【0025】
高電圧源9は、X線管7にX線を放射させるための高電圧を発生する。
【0026】
警報部13は、警報音を出力する。
【0027】
制御部14は、コンピュータを主体として、メモリなどの周辺デバイスを含んで構成される。制御部14は、スポット側操作部5およびベッド側操作部6でのユーザによる指示操作に応じて、I.I.スポット部4、絞り部8、高電圧源9、起倒機構部10、天板移動機構部11、パワーアシスト機構部12および警報部13を制御する。
【0028】
次に以上のように構成されたX線イメージング装置の動作について説明する。
【0029】
このX線イメージング装置が起動されると、制御部14はユーザによる指示操作を受け付けるために図4に示すような処理を実行する。
【0030】
図4におけるステップSa1において制御部14は、セーフロックモードをオフ状態に初期設定する。なおセーフロックモードは、スポット側操作部5に対するロック状態を定めるモードであって、オンの状態が、例えば、スポット側操作部5の一部の動作をロックするモードであり、オフの状態がロックされた動作が解除されたモードである。
【0031】
ステップSa2において制御部14は、スポット側操作部5およびベッド側操作部6のいずれかのスイッチまたはセンサがオンするのを待ち受ける。いずれかのスイッチまたはセンサがオンしたならば、制御部14はステップST2からステップST3へ進む。
【0032】
ステップST3において制御部14は、オンしたスイッチがセーフロックスイッチ5dであるか否かを確認する。そしてセーフロックスイッチ5dがオンされたのであれば、制御部14はステップSa3からステップSa4へ進む。ステップSa4において制御部14は、セーフロックスイッチ5dがオンされている状態が2秒継続するか否かを確認する。
【0033】
もし、セーフロックスイッチ5dが2秒よりも短い時間のうちにオフされたならば、制御部14はステップSa4からステップSa2の待ち受け状態に戻る。すなわちこのときには、制御部14はセーフロックボタン5aの操作を無視する。しかしながら、セーフロックスイッチ5dが2秒以上に渡りオンされ続けたならば、すなわちセーフロックボタン5aが長押しされたならば、制御部14はステップSa4からステップSa5へ進む。ステップSa5において制御部14は、セーフロックモードのオン・オフを切り換える。またステップSa6において制御部14は、セーフロックランプ5cの点灯・消灯を切り換える。すなわち、セーフロックモードがオフであるときにセーフロックボタン5aが長押しされたならば、制御部14はセーフロックモードをオンに切り換えるとともに、消灯していたセーフロックランプ5cを点灯する。逆に、セーフロックモードがオンであるときにセーフロックボタン5aが長押しされたならば、制御部14はセーフロックモードをオフに切り換えるとともに、点灯していたセーフロックランプ5cを消灯する。そしてこののちに制御部14は、ステップSa2の待ち受け状態に戻る。
【0034】
さて、オンしたスイッチがセーフロックスイッチ以外である場合、制御部14はステップSa3からステップSa7へ進む。ステップSa7、ステップSa8およびステップSa9において制御部14は、オンしたスイッチが緊急停止スイッチ6c、フォーマット選択スイッチ5iおよび絞り操作スイッチ5jのいずれかであるか確認する。もし、オンしたスイッチがこれらのスイッチのいずれでもない場合、すなわち透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、起倒スイッチ6aおよび天板移動スイッチ6bのいずれかがオンした場合には、制御部14はステップSa9からステップSa10へ進む。ステップSa10において制御部14は、セーフロックモードがオンであるか否かを確認する。そしてセーフロックモードがオフである場合には、制御部14はステップSa10からステップSa11へ進む。なお、オンしたスイッチが緊急停止スイッチ6c、フォーマット選択スイッチ5iおよび絞り操作スイッチ5jのいずれかであるならば、制御部14はステップSa7、ステップSa8およびステップSa9のいずれかからステップSa11へ進む。すなわち、緊急停止スイッチ6c、フォーマット選択スイッチ5iおよび絞り操作スイッチ5jのいずれかがオンした場合には、制御部14はセーフロックモードの状態に拘わらずにステップSa11へ進む。緊急停止スイッチ6cは緊急の際に使用されるスイッチであり、どのような場合でも随時使用できることにしておくことが望ましいためである。またフォーマット選択スイッチ5iは、例えば検出器全体で撮影するフォーマット、1/2の大きさで撮影するフォーマットなど、撮影領域が予め記憶された複数のフォーマットからそのうちの1つを選択するスイッチである。このフォーマット選択スイッチ5iと絞り操作スイッチ5jは、X線絞りに関するスイッチである。X線絞りは、操作者が頻繁に操作する場合があるため、セーフロックモードのオン・オフに関わらず操作可能となっている。しかしながら、フォーマット選択スイッチ5iと絞り操作スイッチ5jに関しては、セーフロックモードがオンの場合には、操作不可としても良い。
【0035】
一方、透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、起倒スイッチ6aおよび天板移動スイッチ6bのいずれかがオンした場合には、制御部14はセーフロックモードがオフである場合にのみステップSa11へ進む。
【0036】
ステップSa11において制御部14は、オンしたスイッチまたはセンサの識別情報をメインの制御処理に通知する。こののち制御部14は、ステップSa2の待ち受け状態に戻る。
【0037】
さて制御部14は、メインの制御処理を図4に示す上記の処理とは別タスクの処理として実行する。この制御処理にて制御部14は、オンしたスイッチに応じてそれぞれ以下のような制御を実行する。
【0038】
透視・撮影スイッチ5eがオンしたときに制御部14は、I.I.スポット部4をアクティブにするとともに、高電圧源9からX線管7への高電圧印加を開始させる。
【0039】
起倒スイッチ5f,6aがオンしたときに制御部14は、起倒機構部10を動作させ、寝台部1を起倒させる。なお、スポットキャリッジ部3およびI.I.スポット部4も、寝台部1の起倒に伴って起倒する。
【0040】
天板移動スイッチ5g,6bがオンしたときに制御部14は、天板移動機構部11を動作させて天板1aを移動させる。
【0041】
パワーアシストセンサ群5hにいずれかのセンサがオンしたときに制御部14は、そのオンしたセンサにより決まる方向へのI.I.スポット部4の移動をパワーアシストするようにパワーアシスト機構部12を動作させる。例えば、この方向は被検体への遠近方向、天板の長手方向などである。
【0042】
フォーマット選択スイッチ5iがオンしたときに制御部14は、フォーマットの選択を行う。
【0043】
絞り操作スイッチ5jがオンしたときに制御部14は、絞り部8を動作させてX線照射野を調整する。
【0044】
緊急停止スイッチ6cがオンしたときに制御部14は、高電圧源9、起倒機構部10、天板移動機構部11およびパワーアシスト機構部12などの各部の動作を緊急停止させる。
【0045】
さて、透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、起倒スイッチ6aおよび天板移動スイッチ6bのいずれかがオンした場合、セーフロックモードがオフであるならば上述のような各種の動作が実行されることになる。しかし、セーフロックモードがオンである場合には、制御部14はステップSa10からステップSa12へ進む。ステップSa12において制御部14は、警報部13に警報音を出力させる。この上で制御部14は、ステップSa11を行うことなしに、ステップSa2の待ち受け状態に戻る。すなわち、透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、起倒スイッチ6aおよび天板移動スイッチ6bのいずれかがオンした場合、セーフロックモードがオンであるならば上述のような各種の動作は実行しないで、警報音を出力させる。また、警告音に加えて、あるいは警告音に変えて、警報部13はディスプレイ上に、例えば図5に示す警告メッセージを表示する。
【0046】
かくして本実施形態のX線イメージング装置によれば、ユーザがセーフロックボタン5aを2秒以上に渡り長押しすることにより、セーフロックモードをオン・オフすることができる。このセーフロックモードのオン・オフに連動してセーフロックランプ5cを点灯・消灯するから、このセーフロックランプ5cの状態に基づいてセーフロックモードの状態をユーザが容易に認識することができる。
【0047】
そしてセーフロックモードがオンであるときには、透視・撮影スイッチ5eがオンしてもX線管7からのX線照射が行われない。したがって、医師または技師が本実施形態のX線イメージング装置から離れる場合にセーフロックモードをオンとしておけば、被験者がスポット側操作部5やベッド側操作部6に触れてしまって透視・撮影スイッチ5eがオンされてしまったとしても、不必要なX線照射が行われてしまうことがない。
【0048】
また本実施形態では、セーフロックモードがオンであるときには、起倒スイッチ5f,6aまたは天板移動スイッチ5g,6bがオンしても起倒機構部10または天板移動機構部11が動作しない。したがって、医師または技師が本実施形態のX線イメージング装置から離れる場合にセーフロックモードをオンとしておけば、被験者がスポット側操作部5やベッド側操作部6に触れてしまって起倒スイッチ5f,6aまたは天板移動スイッチ5g,6bがオンされてしまったとしても、寝台部1の起倒または天板1aの移動が不意に行われてしまうことがない。
【0049】
また本実施形態では、セーフロックモードがオンであるときには、パワーアシストセンサ群5hのセンサのいずれかがオンしてもパワーアシスト機構部12が動作しない。したがって、医師または技師が本実施形態のX線イメージング装置から離れる場合にセーフロックモードをオンとしておけば、被験者がハンドル5bを握ってしまってパワーアシストセンサ群5hのセンサがオンされてしまったとしても、I.I.スポット部4の移動のパワーアシストは行われず、I.I.スポット部4が急激に移動してしまうことがない。図1に示すように、スポット側操作部5は天板1aに載置された被験者の上方に位置するため、被験者がハンドル5bを漫然と握った場合、ハンドル5bを被験者の側に引っ張ることが多い。このような場合、パワーアシストが働くと、I.I.スポット4を被験者に近づけるようなパワーアシストが働く。このため、被験者がハンドル5bを軽く引っ張っただけで急激にI.I.スポット4が被験者に近接することとなり、被験者を驚かせる恐れがあったが、本実施形態ではこのような事態が生じることを防止できる。特に、I.I.スポット4の被験者への遠近方向の移動動作をロックした場合には、上記の事態を防止することができ、非常に有用である。
【0050】
また本実施形態では、セーフロックモードがオンであるときに上述のように透視・撮影スイッチ5e、起倒スイッチ5f、天板移動スイッチ5g、パワーアシストセンサ群5h、起倒スイッチ6aおよび天板移動スイッチ6bのいずれかがオンした時には警報音を出力するので、被験者がスポット側操作部5やベッド側操作部6に触れてしまったことを医師や技師に知らせることができる。これにより、医師や技師に被験者の行動を監視するように促すことができる。
【0051】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0052】
セーフロックモードをオフするための操作は、ボタンの長押しには限らず、単にボタンを再度押すだけであっても良いし、複数ボタンの同時押しなどの別の操作としても良い。
【0053】
図1に示す構造のX線イメージング装置は、I.I.スポット部4側に管球を取り付けるとともに、天板1aの下方に配置したフィルムに透過像を撮影することもできる。このような形態で使用される場合にも、I.I.スポット部4側に取り付ける管球からのX線照射をX線管7と同様に制御するようにしても良い。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0055】
本実施形態によれば、被験者により第1のスイッチが誤操作されたとしても、それによって不必要にX線を照射してしまうことを確実に防止できる。被験者が触れることができる位置に第1のスイッチを配置することができるため、操作性の低下を来たすことはない。また、上記実施形態では、被験者を透過したX線を画像を示した電気信号に変換する装置として、I.I.スポット部を説明したが、これに変えて、X線を直接電気信号に変換する直接型フラットパネルディテクタ、あるいはX線を一度、光信号に変換し、変換された光信号を電気信号に変換する間接型フラットパネルディテクタを用いても良い。他の変形例として、セーフロックモードがONの場合、スポット側操作部5の操作をロックするが、ベッド側操作部6の操作はロックしないとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線イメージング装置の外観を示す図。
【図2】図1中のスポット側操作部5を拡大して示す斜視図。
【図3】図1に示すX線イメージング装置の要部の電気的な構成を示すブロック図。
【図4】図3中の制御部14のユーザによる指示操作を受け付けるための処理手順を示すフローチャート。
【図5】セーフロックモードの時に表示されるディスプレイ画面。
【符号の説明】
【0057】
1…寝台部、1a…天板、2…基台部、3…スポットキャリッジ部、4…イメージ・インテンシファィア・スポット部(I.I.スポット部)、5…スポット側操作部、6…ボディ側操作部、5a…セーフロックボタン、5b…ハンドル、5c…セーフロックランプ、5d…セーフロックスイッチ、5e…透視・撮影スイッチ、5f,6a…起倒スイッチ、5g,6b…天板移動スイッチ、5h…パワーアシストセンサ群、5i…フォーマット選択スイッチ、5g…天板移動スイッチ、5j…絞り操作スイッチ、6c…緊急停止スイッチ、7…管球、8…絞り部、9…高電圧源、10…起倒機構部、11…天板移動機構部、12…パワーアシスト機構部、13…警報部、14…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を設置する寝台と、前記被検体に対してX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出手段とを備えたX線イメージング装置本体と、
前記X線イメージング装置本体の少なくとも一部を制御するための制御情報を入力する操作手段と、
ロックモードのオン・オフを選択する選択手段と、
前記ロックモードがオンの場合には前記制御情報の少なくとも一部をロックし、前記ロックモードがオフの場合には前記制御情報の少なくとも一部を解除するコントローラと、
を具備したことを特徴とするX線イメージング装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記被検体を挟むように前記寝台に対向する位置に設けられる請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項3】
前記X線照射手段は、前記寝台の下に設けられ、
前記X線検出手段は、前記被検体を挟むように前記X線照射手段に対向する位置に設けられる請求項2記載のX線イメージング装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記X線検出手段に取り付けられる請求項3記載のX線イメージング装置。
【請求項5】
前記操作手段と別に前記寝台に取り付けられる第2の操作手段をさらに備え、
前記X線検出手段に取り付けられた操作手段は、前記ロックモードがオンの場合には、少なくとも一部の制御情報がロックし、前記寝台に取り付けられる第2の操作手段は、前記ロックモードがオンの場合であっても、前記制御情報がロックしない請求項4記載のX線イメージング装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記X線の照射に関する制御情報をロックする請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項7】
前記寝台の起倒動作を行う起倒機構を更に備え、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記起倒機構に関する制御情報をロックする請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項8】
前記寝台の天板を移動させる天板移動機構を更に備え、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記天板移動機構に関する制御情報をロックする請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項9】
前記X線照射手段から照射されるX線の照射範囲を限定するX線絞り手段をさらに設け、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記X線絞り手段に関する制御情報をロックする請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項10】
前記操作手段に含まれるハンドルに加わる力の方向に対して前記操作手段の移動を行うパワーアシスト機構を更に備え、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記パワーアシスト機構に関する制御情報をロックする請求項1に記載のX線イメージング装置。
【請求項11】
前記パワーアシスト機構は、前記被検体に対する遠近方向に前記操作手段の移動を行い、
前記コントローラは、少なくとも前記遠近方向への前記パワーアシスト機構に関する制御情報をロックする請求項10に記載のX線イメージング装置。
【請求項12】
前記ロックモードがオンの状態で、前記操作手段が操作された場合には、警告を発する警告手段を更に備えた請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項13】
前記警告手段は、警告音を発する請求項12記載のX線イメージング装置。
【請求項14】
前記警告手段は、ディスプレイ上に警告を表示する請求項12記載のX線イメージング装置。
【請求項15】
前記操作手段は、前記X線イメージング装置本体の少なくとも一部の制御を緊急停止させる緊急停止手段を更に備え、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合でも、前記緊急停止に関する制御情報はロックしない請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項16】
前記X線照射手段から照射されるX線の照射範囲を限定するX線絞り手段をさらに設け、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合でも、前記X線絞り手段に関する制御情報をロックしない請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項17】
フォーマットを選択するフォーマット選択手段をさらに設け、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合でも、前記フォーマット選択手段に関する制御情報をロックしない請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項18】
前記選択手段は、選択ボタンであり、前記操作手段の一部に取り付けられている請求項1記載のX線イメージング装置。
【請求項19】
前記選択ボタンは、
前記ロックモードのオン・オフを切り替えるスイッチと、
ロックモードがオンかオフかのいずれが選択されているかを示すランプと、を備える請求項16記載のX線イメージング装置。
【請求項20】
被検体を設置する寝台と、前記被検体に対してX線を照射するX線照射手段と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出手段とを備えたX線イメージング装置本体と、
前記X線イメージング装置本体の少なくとも一部を制御するための制御情報を入力する操作手段と、
ロックモードのオン・オフを選択する選択手段と、
前記ロックモードがオンの場合には前記制御情報に基づいて前記X線イメージング装置本体を制御せず、前記ロックモードがオフの場合には前記制御情報に基づいて前記X線イメージング装置本体を制御するコントローラと、
を具備したことを特徴とするX線イメージング装置。
【請求項21】
前記操作手段は、前記X線検出手段に取り付けられ、
前記寝台に取り付けられ前記制御情報を入力する第2の操作手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記ロックモードがオンの場合には、前記操作手段により入力された前記制御情報に基づいて前記X線イメージング装置本体を制御せず、前記第2の操作手段により入力された前記制御情報に基づいて前記X線イメージング装置本体を制御することを特徴とする請求項20に記載のX線イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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