説明

X線検出器を配向させるシステム及び方法

【課題】完全な投影データ集合を画像再構成アルゴリズムに与えるために患者撮像時の視野を最適化する。
【解決手段】イメージング・システム(10、60)は、X線源(12)と、放出されたX線(16、20)を検出して対応する電気信号を発生するように構成されているX線検出器(22)を含んでいる。イメージング・システム(10、60)はまた、主回転軸(88)を中心としてX線源(12)及びX線検出器(22)を少なくとも部分的に旋回(82)させるように構成されているガントリ(64)を含んでいる。X線検出器(22)は、X線検出器(22)の対角線(104、124)が主回転軸(88)に実質的に垂直に配向されるように、ガントリ(64)に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は、X線イメージング・システムに関し、さらに具体的には、ディジタルX線イメージング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者イメージング・システムは、医療者によって患者を検査して診断するために広く用いられている。一般的に述べると、X線検査を行なうときに、患者は典型的には、患者を撮像しつつX線減弱データを収集するように設計されているX線源と検出器との間に載置される。X線がX線源から患者を横断してX線検出器に到る様々な経路が、取得される各々の投影の視野を画定する。しかしながら、検出器はしばしば製造費用が高価な構成要素であって、検出器の寸法が増大するにつれて費用が増加するため、撮像されている患者よりも小さい検出器が用いられる場合がある。加えて、検出器は、線源及び検出器が患者に関して移動するのに十分な空間を確保するように患者から一定の距離を離隔して配置され得る。この空間はまた、患者の組織によって散乱されたX線の不測の検出を限定するのに役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7054409号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように検出器の寸法が限定されていることから、各々の投影の視野が、撮像を必要とする患者の各寸法を完全に網羅することができず、視野の端辺の近くの情報が欠落する場合がある。結果として、視野の中心の近くに位置する患者組織から得られる投影データが相対的に完全であったとしても、視野の端辺の近くの投影データが不完全であるため、不完全な投影データ集合から患者の組織を適正に表現しようとする画像再構成アルゴリズムの帰結として、得られる画像にアーティファクト及び歪みが生じ得る。例えば、患者の胸腔の撮像を含む患者検査時に、患者の腕の部分が投影によって視野内に収まる場合と収まらない場合とがあり、画像再構成アルゴリズムに患者の腕の位置及び密度に関する不完全な又は不明確な投影データを与える。結果として、画像再構成アルゴリズムはこの不明確性を解決して、不完全な投影データを如何に患者の投影データの残部に組み入れるかを決定しなければならない。このため、例えば、得られる画像の中心の近くに縞状アーティファクトが生じたり端辺の近くにリンギング・アーティファクトが生じたりした画像が得られる場合がある。
【0005】
従って、可能な限り最も完全な投影データ集合を画像再構成アルゴリズムに与えるために患者撮像時の視野を最適化すると有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、イメージング・システムが提供される。このイメージング・システムは、X線を放出するように構成されているX線源を含んでいる。このイメージング・システムはまた、放出されたX線を検出して対応する電気信号を発生するように構成されているX線検出器を含んでいる。このイメージング・システムはまた、主回転軸を中心としてX線源及びX線検出器を少なくとも部分的に旋回させるように構成されているガントリを含んでいる。X線検出器は、X線検出器の対角線が主回転軸に実質的に垂直に配向されるように、ガントリに結合される。
【0007】
もう一つの実施形態では、イメージング・システムが提供される。このイメージング・システムは、X線を放出するように構成されているX線源を含んでいる。このシステムはまた、放出されたX線を検出して対応する電気信号を発生するように構成されているX線検出器を含んでいる。このシステムはまた、主回転軸を中心としてX線源及びX線検出器を少なくとも部分的に旋回させるように構成されているガントリを含んでいる。X線検出器は、ガントリに回転自在に結合されて、患者の撮像中に副回転軸を中心として部分的に回転するように動作可能である。
【0008】
もう一つの実施形態では、X線データを取得する方法が提供される。この方法は、X線検出器の対角線がX線データ取得の少なくとも一部の間に旋回軸に実質的に垂直になるように、X線検出器を通って延在する回転軸を中心としてX線検出器を回転させるステップを含んでいる。この方法はまた、X線データ取得の少なくとも一部の間にガントリ、X線源及びX線検出器を旋回軸を中心として旋回させるステップを含んでいる。この方法はまた、X線検出器からX線画像データを読み取るステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のシステムのこれらの特徴、観点及び利点、並びに他の特徴、観点及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むとさらに十分に理解されよう。図面全体にわたり、類似の参照符号は類似の部材を表わす。
【図1】本開示の各観点による患者イメージング・システムの一実施形態を示す線図である。
【図2】患者イメージング・システムの一実施形態を示す図であって、本開示の各観点による患者の撮像時のイメージング・サブシステムの相対運動を明らかにする線図である。
【図3】本開示の各観点による第一の検出器配向に対応する視野を有する鉛直構成の患者イメージング・システムの一実施形態を示す図である。
【図4】図3のシステムの視野を示す上下方向の図である。
【図5】本開示の各観点による第二の検出器配向に対応する視野を有する鉛直構成の患者イメージング・システムの一実施形態を示す図である。
【図6】図5のシステムの視野を示す上下方向の図である。
【図7】本開示の各観点による第一の検出器配向に対応する視野を有する水平構成の患者イメージング・システムの一実施形態を示す図である。
【図8】図7のシステムの視野を示す側面図である。
【図9】本開示の各観点による第二の検出器配向に対応する視野を有する水平構成の患者イメージング・システムの一実施形態を示す図である。
【図10】図9のシステムの視野を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本書の議論はX線イメージング・システムに向けられている場合があるが、本発明の具現化形態は、システムの視野を改善するために検出器の配向を調節し得るような任意のイメージング・システムに有利であり得ることを認められたい。さらに、開示される各実施形態はX線患者イメージング・システムに向けられている場合があるが、本書で議論するような視野の改善は、産業応用又は警備応用のイメージング・システムのような他のX線イメージング・システムにも有利であり得ることを認められたい。
【0011】
前述の理由から、患者撮像の視野を幾つかの次元において及び幾つかのビューについて最適化すると有利である。本開示はこのことを、取得された投影の幾つか又は全てについて幾つかの次元において視野を最適化するために、検査前及び/又は検査中にX線検出器の配向を回転(自転)させることにより達成する。さらに明確に述べると、画像データ取得工程の幾つか又は全ての間に、最大長さを有する検出器の次元が患者の特定の次元(例えば高さ若しくは幅)又はイメージング・システムの特定の軸(例えばZ軸)と整列するように検出器を回転させることができる。投影の幾つか又は全てについて着目する次元の視野を最適化することにより、患者検査時にさらに完全な投影データ集合を得て、画像再構成アルゴリズムが解決すべき不明確性を小さくして、アーティファクト(例えば縞状アーティファクト又はリンギング・アーティファクト)が減少した最終画像を得ることができる。また、特定の着目する次元に対して視野を最適化すると患者の特定の領域を検査するのに必要とされる放射線曝射数を減少させ、且つ/又は画像アーティファクト又は歪みのため検査を繰り返さなければならない可能性を小さくすることができる。これにより、適当な画像を得るために患者が曝射される放射線量を減少させることができる。
【0012】
加えて、一般的な検出器の実効性を高めるために本発明の手法を適用してもよい。例えば、撮像中に視野を幾つかの次元において最適化するように検出器の次元を活用することにより、特化された検出器を必要とせずに各寸法が著しく異なる患者を(例えば大柄の成人から新生児まで)適正に撮像することができる。さらに、既存のX線イメージング・システムの改変を通じてこの手法を適用して、元の検出器の実効性を高めることができる。従って、本発明の手法は、対費用効果を高めた態様で上述の問題に対処する。
【0013】
一般的に述べると、本書に開示される幾つかの実施形態では、X線イメージング・システムの製造時に、強化された又は最適化された視野を与えるように検出器を配向させてガントリに回転不可として装着して、上述の利点を与えることができる。もう一つの実施形態では、検出器をX線イメージング・システムのガントリ又はCアームに回転自在に取り付けて、検査前及び/又は検査中に検出器を回転させてもよい。一つのかかる実施形態では、制御された電動システムを用いて検出器を配向させ且つ/又は回転させることができる。
【0014】
例えば、図1は、画像データを取得して処理するイメージング・システム10を線図で示す。図示の実施形態では、システム10は、患者に関して多様な半径方向ビューにおいて画像データを取得するように設計されているX線イメージング・システムである。図1に示す実施形態では、イメージング・システム10は、コリメータ14に隣接して配置された放射線源12を含んでいる。かかる実施形態では、放射線源12は、例えばX線管又は固体X線源であってよい。コリメータ14はX線放射線流16を被検体(例えば患者18)が配置されている領域に流入させる。放射線20の一部が被検体を又は被検体の周囲を通過し、続いて検出器22に入射する。検出器22は、入射したX線ビームの強度を表わす電気信号を発生する。これらの信号を取得して処理すると、被検体内の特徴の画像を再構成することができる。
【0015】
一般的には、システム制御器24は、検査プロトコルを実行して取得されたデータを処理するようにイメージング・システムの動作に命令を与える。例えば、放射線源12は、X線検査のための電力信号及び制御信号の両方を提供するシステム制御器24によって制御される。また、検出器22は、検出器22において発生される信号の取得を命令するシステム制御器24に結合される。システム制御器24はまた、ダイナミック・レンジの初期調節及び雑音濾波等のような様々な信号処理作用及び濾波作用を実行し得る。システム制御器24はまた、典型的には汎用又は特定応用向けの回路を基本要素とする信号処理回路及びインタフェイス回路等を含み得る。システム制御器24はまた、構成パラメータ、画像データ並びに/又は実行されるプログラム及びルーチンを記憶する付設のメモリ回路を含み得る。
【0016】
また、システム制御器24にはコンピュータ26が結合され得る。システム制御器24によって収集されたデータはコンピュータ26に送信されることができ、例えばメモリに記憶されてさらなる処理を施される。また、コンピュータ26は、典型的にはキーボード及び他の入力装置を備えた操作者ワークステーション28を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取るように構成され得る。操作者が入力装置を介してシステム10を制御し得る。操作者ワークステーション28に結合された表示器30を用いて、再構成画像を観察して撮像を制御することができる。加えて、走査された画像はまた、コンピュータ26及び操作者ワークステーション28に結合され得るプリンタ32において印刷され得る。さらに、操作者ワークステーション28はまた、画像保管及び通信システム(PACS)34に結合され得る。尚、PACS34は、遠隔システム36、放射線科情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、又は施設内外の通信網に結合されていてよく、異なる位置に配置された第三者が画像及び画像データの入手を図り得ることを特記しておく。さらに、コンピュータ26及び操作者ワークステーション28は、標準型又は特殊目的コンピュータ・モニタ及び付設の処理回路を含み得る他の出力装置に結合され得ることを特記しておく。さらに、システム・パラメータの出力、検査依頼及び画像視認等を行なうための1又は複数の操作者ワークステーション28がシステムに結合されていてもよい。一般的には、システムの内部に供給されている表示器、プリンタ、ワークステーション及び類似の装置は、データ取得構成要素に対してローカルであってもよいし、施設若しくは病院の内部の他の位置又は全く異なる位置のようにこれらの構成要素から遠隔に位置していてもよく、インターネット及び仮想私設通信網等のような1又は複数の構成自在型通信網を介して画像取得システムに結合されていてよい。
【0017】
図1に示す実施形態では、システム制御器24はまた、ガントリ(又はCアーム)回転サブシステム38、線形配置サブシステム40及び検出器回転サブシステム42を用いて線源12、患者18及び/又は検出器22の配置を制御することができる。例えば、システム制御器24は、ガントリ回転サブシステム38、線形配置サブシステム40及び/又は検出器回転サブシステム42に制御信号を供給するためにこれらのサブシステムに結合されたモータ制御器44を含み得る。各々のサブシステムは、所望の移動及び配置の制御を行なうモータ、伝動機、アクチュエータ及びセンサ等の1又は複数を含み得る。
【0018】
ガントリ回転サブシステム38は、X線源12、コリメータ14及び検出器22を主回転軸(すなわちZ軸又は旋回(公転)軸)を中心として患者18の周りに部分的に旋回(例えば90°、180°、360°等)させることを可能にする。線形配置サブシステム40は、患者18、又はさらに明確に述べると患者載置台を、線源12及び検出器22に関して線形に変位させることを可能にする。このように、患者載置台は、ガントリの内部を線形に(すなわちZ軸に沿って)移動して、患者18の特定区域の画像を形成することができる。検出器回転サブシステム42は、検出器を主回転軸に垂直な第二の回転軸を中心として回転させることを可能にし、このことについては後にあらためて詳述する。これら三つのサブシステムの組み合わせを用いることにより、線源、患者及び検出器を、患者の撮像されている部分に最善の視野を与えるように各々配置して配向させることができる。幾つかの実施形態では、検出器回転サブシステム42が存在していなくてもよく、代わりに検出器22を所望の角度に固定してもよいし、画像取得の前に所望の角度まで人手によって(すなわち手動で)回転させてもよい。
【0019】
上述のように、ガントリ回転サブシステム38、線形配置サブシステム40及び検出器回転サブシステム42は、線源12、患者18及び検出器22を患者撮像について適正に配置するように協働することができる。図2は、X線イメージング・システム60を示しており、患者検査時のこれらの構成要素の可能な移動を示す。X線イメージング・システム60は、ガントリ64、線源12及び検出器22を備えたイメージング・サブシステム62を含んでおり、これらの構成要素は全て患者載置台66に横臥した患者18の周りに配置されている。システムはまた、構成パラメータ、撮像ルーチン及び画像データ等の記憶及び処理を行なう処理回路68とメモリ70とを有するシステム制御器24を含んでいる。システム制御器24はまた、ユーザ・ワークステーション74に結合したインタフェイス回路72を含み得る。ユーザ・ワークステーション74は、例えば利用者によるデータ及びパラメータの入力、並びに/又は利用者に対する処理前若しくは処理済みの画像データの表示を可能にするユーザ・インタフェイス76と表示器78とを含み得る。システム制御器24はまた、当該システム制御器24がイメージング・サブシステム62に結合されてサブシステム62を制御することを可能にするインタフェイス回路72を含み得る。さらに明確に述べると、システム制御器24は、X線撮像のために線源12、検出器22及び患者18を配置して移動させるための制御信号を与えることができる。このことについては後にあらためて詳述する。
【0020】
上述のように、放出されたX線が線源から患者の組織を又は組織の周囲を通過して検出器まで走行する様々な経路によって視野が画定される。図2は、イメージング・サブシステム62の視野80の一つの次元を示す。図示のように、視野80は、患者載置台66に横臥する患者18の一部に交差して線源12から検出器22まで延在するが、患者の全幅(例えば両腕の外辺又は皮膚線)を包含しない場合がある。
【0021】
イメージング・サブシステム62に制御信号を送信することにより、システム制御器24はイメージング・サブシステム62の構成要素の全ての配置を正確に制御することができる。例えば、システム制御器24は、患者の撮像前又は撮像中にZ軸88を中心として(すなわちX軸84及びY軸86によって画定される平面内で)線源12及び検出器22を旋回82させる制御信号をガントリに送ることができる。システム制御器24はまた、患者載置台66を線形に(すなわちZ軸88に沿って前後に)移動させて患者18の撮像されるべき解剖学的構造の部分を視野80の内部に配置する制御信号を患者載置台66に送ることができる。一実施形態では、Z軸88に沿った患者載置台66の線形変位は、患者の撮像中に生じ得る(例えば螺旋CT撮像)。加えて、システム制御器は、Z軸88に実質的に垂直な回転軸92を中心としてX軸84及びZ軸88によって画定される平面の内部で検出器22を回転90させる制御信号を検出器に送ることができる。この回転90は、患者の1又は複数の次元に対して視野を最適化し得るように検出器を配向させるために、患者の撮像前又は撮像中に生じ得る。
【0022】
一般的に述べると、図3〜図10は、患者に対して検出器22を配向させる又は回転させることにより実質的に方形の検出器の視野を最適化し得る各実施形態を示す。明確に述べると、図3〜図6は、放射線源12、放射線源12の下方に配置された患者載置台66に横臥する患者18、及び患者載置台66の下方に配置された放射線検出器22を示す(すなわち鉛直構成)。図7〜図10は、患者載置台66に横臥する患者18の両側の体側に関して互いに対向配設された放射線源12及び放射線検出器22を示す(すなわち水平構成)。例示的な方形検出器22を図示してこれらの図に関して議論するが、他の実施形態では、三角形、矩形、六角形、八角形又は他の任意の多角形形状のような様々な幾何学的構成を有する検出器を用い得ることを認められたい。加えて、単純化のために線源12、患者18及び検出器22の鉛直構成及び水平構成を特定的に図示して議論しているが、患者18に関する他の線源12及び検出器22構成(すなわちビュー)が、本書で議論するような開示された検出器22の回転から利益を享受し得ることを認められたい。
【0023】
図面に移ると、図3及び図5は、放射線源12、患者載置台66に横臥する患者18、及び放射線検出器22が鉛直構成にある実施形態を示す。何れの図面でも、視野(図3の参照番号100及び図5の参照番号102)は放射線源12から放射線検出器22まで延在している。図4は、図3に示す視野100の上下方向遠近図を示し、図6は、図5に示す視野102の上下方向遠近図を示す。図3〜図4に示す視野100は、方形検出器の二辺が患者18の長さ(すなわちZ軸88)に実質的に平行になるように配向され、図5〜図6に示す視野は、方形検出器22の対角線104の1本が患者の長さ(すなわちZ軸88)に実質的に垂直になるように配向されている。すなわち、図3〜図4と図5〜図6との主な相違は、検出器22がY軸86を中心として全回転の約1/8(すなわち約45°)を回転していることにある。
【0024】
各図面を比較すると、検出器22の配向が異なるため、図5の視野102は、X方向及びZ方向において図3に画定されている視野100の角度106よりも広い角度105を有するものとなる。従って、図6は、視野102がX軸84及びZ軸88に沿って図4に比較して患者18の広い部分を包含することを示している。従って、図5〜図6に画定されている視野102から取得される投影は、図3〜図4に画定されている視野100において取得される投影に比較してX軸84及びZ軸88に沿って位置する患者組織に関する情報をより多く与えることができる。
【0025】
例えば、図3及び図5に示す実質的に方形の検出器22は、長さNの高さ及び幅を有し得る。この方形検出器をY軸86を中心とした全回転の約1/8(すなわち約45°)だけ回転させると、図5〜図6に示すように、Nに2の平方根を乗じた高さ及び幅(すなわち対角線の長さ)の菱形視野102を与える。このことは、方形視野100に比較して菱形視野102の対角線(例えば対角線104)に沿って視野102が約40%増大することに相当する。このようなものとして、図3の視野100は患者18の両腕の外辺(すなわち皮膚線)を含まないが、図6の視野102はこれらの外辺を含むものとなる。従って、視野102は、患者の外辺に関するさらに完全な情報(すなわち不明確性が少ない)を有する投影データを画像再構成アルゴリズムに与えることにより、アーティファクトがさらに少ないさらに正確な画像をアルゴリズムが形成することを可能にし得る。
【0026】
加えて、線源及び検出器が患者の周りを旋回して様々な投影を収集するにつれて、図6に示す菱形視野102は患者のさらなる端辺データを各々の投影について収集することを持続的に保証することができる。例えば、図7及び図9に移ると、放射線源12、患者載置台66に横臥する患者18、及び放射線検出器22の水平構成が示されている。何れの図面でも、視野(図7の参照番号120及び図9の参照番号122)が線源12から検出器22まで延在しているように示されている。図8は、図7に示す視野120の側面遠近図を示し、図10は、図9に示す視野122の側面遠近図を示す。図7〜図8に示す視野120は、方形検出器22の二辺が患者18の長さ(すなわちZ軸88)に実質的に平行になるように配向され、図9〜図10に示す視野122は、方形検出器の対角線124の1本が患者の長さ(すなわちZ軸88)に実質的に垂直になるように配向される。すなわち、図7〜図8と図9〜図10との相違は、検出器22がX軸84を中心として全回転の約1/8(すなわち約45°)を回転していることにある。
【0027】
各図面を比較すると、検出器22の配向が異なるため、図9の視野122は、X方向及びZ方向において図7に画定されている視野120の角度128よりも広い角度126を有するものとなる。従って、図10は、視野122がY軸86及びZ軸88に沿って図8に比較して広い患者18の部分を包含することを示している。従って、図9〜図10に画定されている視野から取得される投影は、図7〜図8に画定されている視野から取得される投影に比較してY軸86及びZ軸88に沿って位置する患者組織に関する情報をより多く有する投影データを与えることができる。
【0028】
上に掲げた例と同様の一例では、図示の方形検出器22は、長さNの高さ及び幅を有し得る。この方形検出器をX軸84を中心として全回転の1/8(すなわち45°)だけ回転させると、図9〜図10に示すように、Nに2の平方根を乗じた高さ及び幅(すなわち対角線の長さ)の菱形視野122を与える。ここでも、このことは、方形視野120に比較して菱形視野122の対角線(例えば対角線124)に沿って視野122が40%まで増大することに相当する。このようなものとして、視野122は患者の首又は両脚を含み得るが、視野120はこれらを含み得ない。従って、視野122は、患者の外辺に関するさらに完全な情報(すなわち不明確性が少ない)を有する投影データを画像再構成アルゴリズムに与えることにより、アーティファクトがさらに少ないさらに正確な画像をアルゴリズムが形成することを可能にし得る。
【0029】
前述のように、本発明の手法の幾つかの実施形態は、ガントリ64に固定されて検出器22の最長の次元(例えば方形検出器の対角線)がZ軸88に実質的に垂直になるように配向した検出器22を含んでいる。かかる実施形態では、線源12、検出器22及び患者18が鉛直構成(図5のような構成)にあるとき、又は水平構成(図9のような構成)にあるとき、又は他の任意の角度にあるときに、検出器22はZ軸88に対して自身の配向を保つ。しかしながら、ガントリ64に回転自在に取り付けられた検出器22を含む実施形態の場合には、検出器22は患者撮像時の全体にわたり自身の配向を変化させ得る。例えば、患者の撮像中に、線源12、患者18及び検出器22は、検出器の最長の次元(例えば方形検出器の対角線)がZ軸88に実質的に垂直に配向されるように(図5のように)検出器22を配向させた鉛直構成として開始し得る。次いで、ガントリ66が患者18の周りに旋回してさらなる投影が収集されるにつれて、検出器22は回転して、線源12、患者18及び検出器22が水平構成に達する時刻までに検出器の二辺がZ軸88に実質的に平行になるように(図7のように)検出器22を配向させることができる。代替的には、例えば、線源12、患者18及び検出器22は、検出器22の最長の次元(例えば方形検出器の対角線)がZ軸88に実質的に垂直に配向されるように(図9のように)検出器22を回転させた水平構成として開始し得る。次いで、ガントリが患者18の周りに旋回してさらなる投影が収集されるにつれて、検出器は次第に回転して、線源12、患者18及び検出器22が鉛直構成に達する時刻までに検出器の二辺がZ軸88に実質的に平行になるように(図3のように)検出器22を配向させることができる。尚、これらの例は説明のためにのみ掲げられており、本書で議論するような多様な組み合わせのガントリ回転位置及び検出器回転位置が達成され得ることを認められたい。
【0030】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0031】
10:イメージング・システム
12:放射線源
14:コリメータ
16:X線放射線
18:患者
20:放射線
22:検出器
24:システム制御器
26:コンピュータ
28:操作者ワークステーション
30:表示器
32:プリンタ
34:PACS
36:遠隔クライアント
38:ガントリ回転サブシステム
40:線形配置サブシステム
42:検出器回転サブシステム
44:モータ制御器
60:X線イメージング・システム
62:イメージング・サブシステム
64:ガントリ
66:患者載置台
68:処理回路
70:メモリ
72:インタフェイス回路
74:ユーザ・ワークステーション
76:ユーザ・インタフェイス
78:表示器
80:視野
82:回転
88:Z軸
84:X軸
86:Y軸
90:回転
92:回転軸
100、102:視野
102:視野
104:対角線
105、106:角度
120、122:視野
124:対角線
126、128:角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線(16、20)を放出するように構成されているX線源(12)と、
前記放出されたX線(16、20)を検出して対応する電気信号を発生するように構成されているX線検出器(22)と、
主回転軸(88)を中心として前記X線源(12)及び前記X線検出器(22)を少なくとも部分的に旋回させる(82)ように構成されているガントリ(64)とを備えたイメージング・システム(10、60)であって、
前記X線検出器(22)は前記ガントリ(64)に回転自在に結合されて、患者(18)の撮像中に副回転軸(92)を中心として部分的に回転する(90)ように動作可能である、イメージング・システム(10、60)。
【請求項2】
前記副回転軸(92)は前記主回転軸(88)に実質的に垂直である、請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項3】
前記X線検出器(22)は矩形である、請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項4】
患者(18)の撮像前に又は撮像中に前記主回転軸(88)に沿って患者(18)を移動させるように構成されている患者載置台(66)を含んでいる請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項5】
前記X線検出器(22)の対角線(104、124)が患者(18)の撮像の一部の間に前記主回転軸(88)に実質的に垂直に配向される、請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項6】
前記対角線(104、124)は、患者(18)の撮像の他の一部の間には前記主回転軸(88)に実質的に垂直に配向されない、請求項5に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項7】
前記X線検出器(22)の対角線(104、124)が、患者(18)の撮像中に前記主回転軸(88)に対して実質的に垂直な配向と非垂直な配向との間で回転する、請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項8】
前記X線検出器(22)は、撮像中に視野(80、100、102、120、122)を前記患者(18)の位置に関して最適化するように回転する、請求項1に記載のイメージング・システム(10、60)。
【請求項9】
X線データを取得する方法であって、
X線検出器(22)を、当該X線検出器(22)を通って延在する回転軸(92)を中心として回転させるステップ(90)であって、当該X線検出器(22)の対角線(104、124)がX線データ取得の少なくとも一部の間に旋回軸(88)に実質的に垂直になるように回転させるステップ(90)と、
X線データ取得の少なくとも一部の間にガントリ(64)、X線源(12)及び前記X線検出器(22)を前記旋回軸(88)を中心として旋回させるステップ(82)と、
前記X線検出器(22)からX線画像データを読み取るステップと
を備えた方法。
【請求項10】
前記回転軸(92)は前記旋回軸(88)に実質的に垂直である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記X線検出器(22)は、前記旋回軸(88)を中心として旋回する(82)前に前記回転軸(92)を中心として回転させられる(90)、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記X線検出器(22)は、前記旋回軸(88)を中心として旋回(82)しながら前記回転軸(92)を中心として回転させられる(90)、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記X線検出器(22)は、前記X線検出器(22)の前記旋回における第一の点では第一の視野(102、122)を与えるように回転させられ(90)、前記X線検出器(22)の前記旋回(82)における第二の点では第二の視野(100、120)を与えるように回転させられる(90)、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の視野(102、122)は、前記X線検出器(22)の前記対角線(104、124)が前記旋回軸(88)に実質的に垂直になるように前記X線検出器(22)が回転させられる(90)ときに与えられ、前記第二の視野(100、120)は、前記X線検出器(22)の一辺が前記旋回軸(88)に実質的に平行になるように前記X線検出器(22)が回転させられる(90)ときに与えられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記旋回(82)における前記第一の点は、前記X線源(12)及びX線検出器(22)が鉛直構成にあるときの点であり、前記旋回(82)における前記第二の点は、前記X線源(12)及びX線検出器(22)が水平構成にあるときの点である、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−232118(P2012−232118A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−97236(P2012−97236)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】