X線照射装置
【課題】 X線照射装置内の電位差による放電の発生を軽減し、同時に、小型化かつ軽量化したX線照射装置を提供する。
【解決手段】 X線管11及び高電圧発生装置2を筐体18の内部に設置し、前記筐体18内に絶縁油13を充填したX線照射装置1において、前記高電圧発生装置2が、環状に形成された電圧増幅ユニット21を複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニット21の中空部に、前記X線管11の陽極14及び陰極15が嵌挿して設置される。
【解決手段】 X線管11及び高電圧発生装置2を筐体18の内部に設置し、前記筐体18内に絶縁油13を充填したX線照射装置1において、前記高電圧発生装置2が、環状に形成された電圧増幅ユニット21を複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニット21の中空部に、前記X線管11の陽極14及び陰極15が嵌挿して設置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線照射装置に関し、詳しくは食料品や工業製品などの被検査物に対してX線を照射して、X線の透過量から被検査物中の異物や欠陥を検出する非破壊検査に用いられるX線照射装置に関するものである。また、医療分野における検査に使用されるX線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線照射装置は、X線管と、高電圧電源と、フィラメント点灯用の電源から構成されているものが最も多い。X線管には、用途に応じて10kV〜500kVの高電圧が印加され、そこでフィラメントを点灯すると、X線管の陰極部より熱電子が放出され、この熱電子が高電圧により加速され、対向する陽極部に衝突し、この衝突するエネルギーでX線が発生する。従来のX線発生装置は、このX線管と、その外部に設置された高電圧電源を、コネクタにより接続しており、このコネクタは電圧が高いものでは、放電を防止するため、十分な沿面距離を確保する必要があり、例えば、50kVでは100mm、100kVでは200mm、200kVでは300mm程度に大型となり、この取り扱いが困難になっていた。
【0003】
そこで、図8に示すように、X線照射装置1Xは、X線管11と高電圧発生装置2Xを、筐体18内に設置し、絶縁油13又は絶縁樹脂で封入した、モノブロック又はモノタンクと呼ばれる構成のものが増えてきている。
【0004】
このX線照射装置1Xは、中性点設置と呼ばれるX線管11を使用し、例えばICチップや鋳物の品質を確認するX線照射装置1X等では、X線管陽極14を80kV、X線管陰極15を−80kVとして、陽極14と陰極15の間で、合計160kVの電圧を印加して使用していることになる。このほかにも、異なる電圧を印加するX線照射装置1Xや、陰極15をゼロ電位として陽極14に正の高電圧を印加するX線照射装置1Xや、陽極14をゼロ電位として陰極15に負の高電圧を印加するX線照射装置1X等、X線管11への電圧の印加方法は多数ある。
【0005】
X線管11は、X線照射窓17から以外にも、内部での散乱X線が全周から放出されるため、周りに絶縁筒32を巻装して、その上に、X線遮蔽部材16を巻装している。X線遮蔽部材16の多くは鉛が使用されており、通常はゼロ電位、即ちアース電位に固定されている。また、X線遮蔽部材16を一部取り除いて設けられたX線照射窓17は、X線を外部に照射する部位であり、X線透過性に優れたベリリウム等が用いられている。
【0006】
また、X線照射装置1X内の絶縁油13は、高電圧に対する絶縁と、X線管11から発生する熱を絶縁油13の対流により筐体18に伝達し、外界への排出を行うためにある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
高電圧発生装置2Xは、数kVの電圧発生トランスと、図6(A)に示すコッククロフト・ウォルトン回路23を多段に連結したものが多く使用されている。コッククロフト・ウォルトン回路23は、コンデンサ24とダイオード25を梯子状に配置しており、交流電圧VACを印加すると、コンデンサ24の充電作用と、ダイオード25の整流作用により電圧を2倍から20倍程度倍増して、直流の高電圧を発生する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−26800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9に、従来のX線照射装置1Xの電圧分布の1例を示す。アース電位である円筒状のX線遮蔽部材16に対して、X線管陽極14は80kVとなっているため、X線管陽極14とX線遮蔽部材16の間の電圧差が大きく、放電が発生する可能性が極めて高い。
【0010】
つまり、X線管11は絶縁筒32に覆われ、さらに絶縁油13で周囲を満たされているが、X線管陽極14を80kV、X線管陰極を−80kVに印加すると、X線管陽極14、又はX線管陰極15と、ゼロ電位であるX線遮蔽部材16との間で放電が起きる問題を有しており、印加される電圧が高い場合には、この放電がより大きな問題となる。
【0011】
同様に電位差の大きな場所がX線照射装置1X内には多く存在している。また、X線管11の周囲の電圧がゼロ電位となっているため、X線管11内部の電圧が不安定となり、内部放電を起こすことがあり、これによりX線照射装置1Xの動作が不安定となる問題を有している。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、X線照射装置内の電位差による放電の発生を軽減し、同時に、小型化かつ軽量化したX線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係るX線照射装置は、X線管及び高電圧発生装置を筐体の内部に設置し、前記筐体内に絶縁油を充填したX線照射装置において、前記高電圧発生装置が、環状に形成された電圧増幅ユニットを複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニットの中空部に、前記X線管の陽極及び陰極が嵌挿して設置されていることを特徴とする。
【0014】
上記のX線照射装置において、前記電圧増幅ユニットが、絶縁体と、前記絶縁体上に設置されたコッククロフト回路からなる電圧増幅回路を有していることを特徴とする。
【0015】
上記のX線照射装置において、前記X線管と前記筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置し、前記補助電位板が、前記X線管と前記筐体の有する電位の間の電位を印加し、前記X線管と前記筐体の間に発生する放電を防止する構成を有することを特徴とする。
【0016】
上記のX線照射装置において、前記絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に設置した筒状の側壁を有しており、前記電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るX線照射装置によれば、高電圧発生装置を、複数の環状の電圧増幅ユニットをX線管に嵌合して配置、連結した構成とすることにより、電圧を段階的に印加することができ、X線照射装置内の電位差を小さくし、放電の発生を抑制することが可能となる。さらに、X線管が、環状の電圧増幅ユニットの中空部に嵌挿されるため、従来は別々に設置されていたX線管と高電圧発生装置を一体的に構成することができ、X線照射装置の小型化が可能となる。このため、X線照射装置の大きさは、従来のX線照射装置の約半分程度とすることができる。
【0018】
更に、高電圧発生装置を、複数の電圧増幅ユニットで構成したため、電圧増幅ユニットの個数を増減させて、電圧の増幅量を変更することが可能となる。従来は、必要とする電圧が異なるX線管に対して、それぞれ電圧増幅量の異なる高電圧発生装置を製作していたが、本発明により、電圧増幅ユニットを組み合わせる個数を変化させ、増幅する電圧を変更することが可能となる。そのため、電圧増幅ユニットを組み合わせて構成する高電圧発生装置は、汎用性が高くなり、高電圧発生装置の規格化が実現できる。
【0019】
更に、X線管と筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置する構成により、高電圧発生装置の電位と、筐体のゼロ電位との間で発生する放電を抑制することができる。この補助電位板には、高電圧発生装置と筐体の電位差を緩和するように、望ましくは高電圧発生装置と筐体の2点の電位の平均電圧を印加して、放電を抑制することができる。
【0020】
更に、絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に沿って設置した筒状の側壁を有しており、電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置した構成により、電圧増幅回路をX線から保護することができる。同時に、電圧増幅ユニット自体が、X線遮蔽部材として機能するため、電圧増幅ユニットX線管の周囲を覆うように配置する構成により、X線の散乱を防止する働きを担っている。また、X線管と電源増幅ユニット、及びX線管と筐体の間にそれぞれ絶縁体を配置すると、放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施の形態のX線照射装置の概略図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1におけるB−B矢視図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置とX線管の分解図である。
【図5(A)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の平面図である。
【図5(B)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の側方断面図である。
【図5(C)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の側方断面の拡大図である。
【図6(A)】電圧増幅回路の1例としてのコッククロフト回路の回路図である。
【図6(B)】負帰還制御用の電圧検出回路の回路図である。
【図6(C)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置に組み込んでいる回路図である。
【図7】本発明のX線照射装置内の電位分布を示した概略図である。
【図8】従来のX線照射装置の概略図である。
【図9】従来のX線照射装置内の電位分布を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に、X線照射装置1の概略を示す。X線照射装置1は、円筒形状のX線管11を筐体18内に設置し、電圧増幅ユニット21を、X線管陽極(以下、陽極という)14及びX線管陰極(以下、陰極という)15の周囲に、4つずつ設置している。この複数の電圧増幅ユニット21から構成される高電圧発生装置2を、陽極14及び陰極15と配線し、また図示しない外部電源と配線している。
【0024】
高電圧発生装置2は、周囲に補助電位板31を設置されている。補助電位板31は、高電圧発生装置2の周囲の電位差を緩和し、放電を防止することができる。また、筐体18内には、絶縁油13若しくは絶縁樹脂が封入されている。陽極14及び陰極15と、それらに対向する筐体18の間に絶縁物26bを設置することも可能である。
【0025】
図1のX線照射装置1は、図8に示す従来のX線照射装置1Xに搭載されていた高電圧発生装置2Xのスペースが不要となるため、小型化が可能となる。同時に、筐体18の容積が小型化されるため、筐体18内に充填する絶縁油13の量が少なくなり、X線照射装置1の軽量化の一因となっている。
【0026】
また、X線照射装置1は、高電圧発生装置2及びX線遮蔽部材16により、X線管11から照射されるX線の漏洩を防止しており、X線透過性に優れたベリリウム等を材料とするX線照射窓17からのみ、X線を照射可能に構成している。なお、破線はX線を示している。
【0027】
図2に、図1記載のA−A断面図を、図3にB−B透視図を示している。ここでは、本件発明であるX線照射装置1の断面を円形状としているが、矩形状等の他の形状に形成することも可能である。
【0028】
図4に、X線管11と高電圧発生装置2を分離している状態を示す。高電圧発生装置2は、複数の電圧増幅ユニット21で構成され、X線管11の周りに装着されている。電圧増幅ユニット21は、環状であり、X線管11の陽極14若しくは陰極15の周囲に設置可能な大きさに形成されている。内側側壁に絶縁体26を設置し、電圧増幅ユニット21本体は、絶縁体26に覆われた鉛等のX線遮蔽部材16で形成されている。
【0029】
以下に、本発明に係る実施の形態のX線照射装置1の主要部である高電圧発生装置2に関して説明する。
【0030】
図5(A)に、電圧増幅ユニット21の正面図を、図5(B)に側面図を、図5(C)に図5(B)の一部を拡大した拡大図を示している。電圧増幅ユニット21は、鉛等のX線遮蔽部材16(シールド材)を包み込んだ絶縁体26で形成され、断面は図5(C)に示す形状になっており、凹部に電圧増幅回路の1例であるコッククロフト回路23を内蔵している。ここで、例えば絶縁体26の変わりに、X線遮蔽部材16で底板及び側壁を形成し、このX線遮蔽部材16に絶縁体26を貼り付けて構成してもよく、X線遮蔽部材16及び絶縁体26で形成されていればよい。
【0031】
鉛等で形成されたX線遮蔽部材16により、電圧増幅回路をX線から保護することができ、かつ、高電圧発生装置2自体がX線遮蔽部材として機能するため、X線照射装置1の外部へX線が散乱することを防止できる。同時に、筐体18の内側に設置するX線遮蔽部材16の量を、従来に比べ減らすことができるため、X線照射装置1の小型化及び軽量化が実現する。また、電圧増幅ユニット21は、絶縁体26から構成されているため、高電圧となるX線管11からの影響を減少し、放電の発生を抑制することができる。
【0032】
なお、電圧増幅ユニット21は、図5(A)に示す、設置用ネジ穴27を介して複数個組み合わせることができ、図示はしていないが、複数の電圧増幅ユニット21は電気的に接続されている。
【0033】
電圧増幅ユニット21の形状は、環状以外にも、環状を半分に分割したもの、矩形の電圧増幅ユニット21の中心にX線管11が通るように形成したもの等、様々な形状が考えられる。また、電圧増幅ユニット21を複数個連結して、高電圧発生装置2としているが、X線照射装置1の小型化及び軽量化のみを目的とする場合は、筒状の電圧増幅ユニット21を1つ使用した構成としてもよい。
【0034】
図6(A)に、電圧増幅回路の1例であるコッククロフト回路23の回路図を示す。コ
ンデンサ24とダイオード25を梯子状に配線した回路に、交流電源VACを印加すると、印加した電圧の2倍、又は4倍の電圧を得られることを示している。このコッククロフト回路23は、交流電源VACを印加すると、ダイオード25の整流作用とコンデンサ24の充電作用により、電圧が2〜20倍程度増幅する構成とすることができる。本発明は、他の電圧増幅回路を使用しても同様の効果を得ることが可能である。
【0035】
図6(B)に、検出抵抗41と、検出特性の補償用コンデンサ42を並列に結線した負帰還制御用の高電圧検出回路40を示す。
【0036】
図6(C)に、コッククロフト回路23と、負帰還制御用の高電圧検出回路40が、それぞれ電圧増幅ユニット21に配置されている状態を示す。なお、43は入力、44は出力、45は負帰還電流を示している。回路全体として、コッククロフト回路23の直列回路と、負帰還制御用の高電圧検出回路40の直列回路が、並列に結線されている。この負帰還制御用高電圧検出回路40は、出力44の電圧を検知し、その状況を入力43側にフィードバックするための回路である。このフィードバック回路の電流は、基準電圧との図示しない比較増幅器を通して高電圧発生装置2の出力する電圧を一定に保つことが可能となる。
【0037】
図7に、X線照射装置1における電圧の分布状況の1例を示す。なお、アルファベットのA〜Iは、X線照射装置1内の電圧を示している。
【0038】
電圧増幅ユニット21をそれぞれ4つずつ用いて、X線管陽極14を80kV、X線管陰極15を−80kVに印加する場合、陽極側の1段目の電圧増幅ユニット21で0Vから20kVに、2段目で20kVから40kVに、3段目で40kVから60kVに、4段目で60kVから80kVに段階的に印加していく。同様に陰極側も印加していく。
【0039】
このとき、本発明に係る実施の形態のX線照射装置1では、電圧増幅ユニット21を、陽極側及び陰極側にそれぞれ4つずつ用いて、4段の高電圧発生装置2としているが、この段数を増減して電圧増幅量を増減することができる。また、電圧増幅ユニット21の1段当たりの電圧増幅量を小さくして、段数を増やすと、電位の勾配をなだらかにすることができる。即ち、X線照射装置1内各所の電位差を減少させて、放電を抑制することができ、高電圧発生装置2内においても、電位差を減少させて、放電を抑制することができる。
【0040】
また、電圧増幅ユニット21と筐体18は、短手方向の断面形状を矩形状又は円形状等、自由に選択することができるが、望ましくは円形状とする。断面形状を円形状として、電圧増幅ユニット21と筐体18内側の電位分布を、同心円互いに真円に近い構造とでき、これにより電位の均一性が非常によくなり、放電防止の効果が向上する。
【0041】
X線照射装置1は、陽極部が80kVで、X線遮蔽部材が0Vとなる箇所も存在するが、陽極14側の電圧が20kV、40kV、60kVと、従来に比べ電圧差の小さくなる箇所が多くなるので、放電の発生する確率が大幅に下がり、安定したX線照射装置1を提供することが可能となる。
【0042】
さらに、高電圧発生装置2とX線遮蔽部材16の間に、環状若しくは板状の補助電位板31を設け、この補助電位板31に電圧を印加すると、X線照射装置1内の電位差が小さくなり放電の抑制に高い効果が得られる。
【0043】
従来、X線管陽極14と、筐体18若しくはX線遮蔽部材16の間等で、電位差が80kVとなっていたが、X線管陽極14側に設置した補助電位板31に、中間電位である4
0kVの電圧を印加すると、X線管陽極14の80kVと、筐体18の0Vの間に、補助電位板31の40kVが加わるため、最大電位差が40kVと従来の半分となる。
【0044】
ここで、補助電位板31は、電圧増幅ユニット21との間隔が均一になることが望ましい。例えば、電圧増幅ユニット21が環状の場合、補助電位板31も環状であることが望ましい。また、補助電位板31は、X線照射装置1内の電位分布を均一に近づけるために用いるので、図7に示す様に、3段目、4段目のみに対応するように設置すると効率がよいが、この限りではない。補助電位板31に印加する電圧によって、設置するべき場所は変更することが可能である。
【0045】
また、従来の高電圧発生装置2Xを搭載したX線照射装置1Xに対して、本発明の高電圧発生装置2を使用したX線照射装置1は、図8及び図1の比較からもわかるように、装置全体の大きさが約半分ほどに小型化され、重量は50kgから30kgまで軽くすることができる。
【0046】
以上、本発明のX線照射装置1により、X線照射装置1内における放電の抑制を実現し、動作の安定を実現した小型で軽量なX線照射装置1の提供を実現できる。また、従来のX線照射装置1Xに比べ、大幅な小型化及び軽量化を実現できるため、牛や馬をはじめとする家畜等の大型動物に対してX線検査が容易となった。
【符号の説明】
【0047】
1 X線照射装置
2 高電圧発生装置
11 X線管
13 絶縁油
14 X線管陽極(陽極)
15 X線管陰極(陰極)
16 X線遮蔽部材
18 筐体
21 電圧増幅ユニット
23 コッククロフト回路
26 絶縁体
26b 絶縁体
31 補助電位板
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線照射装置に関し、詳しくは食料品や工業製品などの被検査物に対してX線を照射して、X線の透過量から被検査物中の異物や欠陥を検出する非破壊検査に用いられるX線照射装置に関するものである。また、医療分野における検査に使用されるX線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線照射装置は、X線管と、高電圧電源と、フィラメント点灯用の電源から構成されているものが最も多い。X線管には、用途に応じて10kV〜500kVの高電圧が印加され、そこでフィラメントを点灯すると、X線管の陰極部より熱電子が放出され、この熱電子が高電圧により加速され、対向する陽極部に衝突し、この衝突するエネルギーでX線が発生する。従来のX線発生装置は、このX線管と、その外部に設置された高電圧電源を、コネクタにより接続しており、このコネクタは電圧が高いものでは、放電を防止するため、十分な沿面距離を確保する必要があり、例えば、50kVでは100mm、100kVでは200mm、200kVでは300mm程度に大型となり、この取り扱いが困難になっていた。
【0003】
そこで、図8に示すように、X線照射装置1Xは、X線管11と高電圧発生装置2Xを、筐体18内に設置し、絶縁油13又は絶縁樹脂で封入した、モノブロック又はモノタンクと呼ばれる構成のものが増えてきている。
【0004】
このX線照射装置1Xは、中性点設置と呼ばれるX線管11を使用し、例えばICチップや鋳物の品質を確認するX線照射装置1X等では、X線管陽極14を80kV、X線管陰極15を−80kVとして、陽極14と陰極15の間で、合計160kVの電圧を印加して使用していることになる。このほかにも、異なる電圧を印加するX線照射装置1Xや、陰極15をゼロ電位として陽極14に正の高電圧を印加するX線照射装置1Xや、陽極14をゼロ電位として陰極15に負の高電圧を印加するX線照射装置1X等、X線管11への電圧の印加方法は多数ある。
【0005】
X線管11は、X線照射窓17から以外にも、内部での散乱X線が全周から放出されるため、周りに絶縁筒32を巻装して、その上に、X線遮蔽部材16を巻装している。X線遮蔽部材16の多くは鉛が使用されており、通常はゼロ電位、即ちアース電位に固定されている。また、X線遮蔽部材16を一部取り除いて設けられたX線照射窓17は、X線を外部に照射する部位であり、X線透過性に優れたベリリウム等が用いられている。
【0006】
また、X線照射装置1X内の絶縁油13は、高電圧に対する絶縁と、X線管11から発生する熱を絶縁油13の対流により筐体18に伝達し、外界への排出を行うためにある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
高電圧発生装置2Xは、数kVの電圧発生トランスと、図6(A)に示すコッククロフト・ウォルトン回路23を多段に連結したものが多く使用されている。コッククロフト・ウォルトン回路23は、コンデンサ24とダイオード25を梯子状に配置しており、交流電圧VACを印加すると、コンデンサ24の充電作用と、ダイオード25の整流作用により電圧を2倍から20倍程度倍増して、直流の高電圧を発生する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−26800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9に、従来のX線照射装置1Xの電圧分布の1例を示す。アース電位である円筒状のX線遮蔽部材16に対して、X線管陽極14は80kVとなっているため、X線管陽極14とX線遮蔽部材16の間の電圧差が大きく、放電が発生する可能性が極めて高い。
【0010】
つまり、X線管11は絶縁筒32に覆われ、さらに絶縁油13で周囲を満たされているが、X線管陽極14を80kV、X線管陰極を−80kVに印加すると、X線管陽極14、又はX線管陰極15と、ゼロ電位であるX線遮蔽部材16との間で放電が起きる問題を有しており、印加される電圧が高い場合には、この放電がより大きな問題となる。
【0011】
同様に電位差の大きな場所がX線照射装置1X内には多く存在している。また、X線管11の周囲の電圧がゼロ電位となっているため、X線管11内部の電圧が不安定となり、内部放電を起こすことがあり、これによりX線照射装置1Xの動作が不安定となる問題を有している。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、X線照射装置内の電位差による放電の発生を軽減し、同時に、小型化かつ軽量化したX線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明に係るX線照射装置は、X線管及び高電圧発生装置を筐体の内部に設置し、前記筐体内に絶縁油を充填したX線照射装置において、前記高電圧発生装置が、環状に形成された電圧増幅ユニットを複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニットの中空部に、前記X線管の陽極及び陰極が嵌挿して設置されていることを特徴とする。
【0014】
上記のX線照射装置において、前記電圧増幅ユニットが、絶縁体と、前記絶縁体上に設置されたコッククロフト回路からなる電圧増幅回路を有していることを特徴とする。
【0015】
上記のX線照射装置において、前記X線管と前記筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置し、前記補助電位板が、前記X線管と前記筐体の有する電位の間の電位を印加し、前記X線管と前記筐体の間に発生する放電を防止する構成を有することを特徴とする。
【0016】
上記のX線照射装置において、前記絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に設置した筒状の側壁を有しており、前記電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るX線照射装置によれば、高電圧発生装置を、複数の環状の電圧増幅ユニットをX線管に嵌合して配置、連結した構成とすることにより、電圧を段階的に印加することができ、X線照射装置内の電位差を小さくし、放電の発生を抑制することが可能となる。さらに、X線管が、環状の電圧増幅ユニットの中空部に嵌挿されるため、従来は別々に設置されていたX線管と高電圧発生装置を一体的に構成することができ、X線照射装置の小型化が可能となる。このため、X線照射装置の大きさは、従来のX線照射装置の約半分程度とすることができる。
【0018】
更に、高電圧発生装置を、複数の電圧増幅ユニットで構成したため、電圧増幅ユニットの個数を増減させて、電圧の増幅量を変更することが可能となる。従来は、必要とする電圧が異なるX線管に対して、それぞれ電圧増幅量の異なる高電圧発生装置を製作していたが、本発明により、電圧増幅ユニットを組み合わせる個数を変化させ、増幅する電圧を変更することが可能となる。そのため、電圧増幅ユニットを組み合わせて構成する高電圧発生装置は、汎用性が高くなり、高電圧発生装置の規格化が実現できる。
【0019】
更に、X線管と筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置する構成により、高電圧発生装置の電位と、筐体のゼロ電位との間で発生する放電を抑制することができる。この補助電位板には、高電圧発生装置と筐体の電位差を緩和するように、望ましくは高電圧発生装置と筐体の2点の電位の平均電圧を印加して、放電を抑制することができる。
【0020】
更に、絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に沿って設置した筒状の側壁を有しており、電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置した構成により、電圧増幅回路をX線から保護することができる。同時に、電圧増幅ユニット自体が、X線遮蔽部材として機能するため、電圧増幅ユニットX線管の周囲を覆うように配置する構成により、X線の散乱を防止する働きを担っている。また、X線管と電源増幅ユニット、及びX線管と筐体の間にそれぞれ絶縁体を配置すると、放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る実施の形態のX線照射装置の概略図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1におけるB−B矢視図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置とX線管の分解図である。
【図5(A)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の平面図である。
【図5(B)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の側方断面図である。
【図5(C)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置の側方断面の拡大図である。
【図6(A)】電圧増幅回路の1例としてのコッククロフト回路の回路図である。
【図6(B)】負帰還制御用の電圧検出回路の回路図である。
【図6(C)】本発明に係る実施の形態の高電圧発生装置に組み込んでいる回路図である。
【図7】本発明のX線照射装置内の電位分布を示した概略図である。
【図8】従来のX線照射装置の概略図である。
【図9】従来のX線照射装置内の電位分布を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に、X線照射装置1の概略を示す。X線照射装置1は、円筒形状のX線管11を筐体18内に設置し、電圧増幅ユニット21を、X線管陽極(以下、陽極という)14及びX線管陰極(以下、陰極という)15の周囲に、4つずつ設置している。この複数の電圧増幅ユニット21から構成される高電圧発生装置2を、陽極14及び陰極15と配線し、また図示しない外部電源と配線している。
【0024】
高電圧発生装置2は、周囲に補助電位板31を設置されている。補助電位板31は、高電圧発生装置2の周囲の電位差を緩和し、放電を防止することができる。また、筐体18内には、絶縁油13若しくは絶縁樹脂が封入されている。陽極14及び陰極15と、それらに対向する筐体18の間に絶縁物26bを設置することも可能である。
【0025】
図1のX線照射装置1は、図8に示す従来のX線照射装置1Xに搭載されていた高電圧発生装置2Xのスペースが不要となるため、小型化が可能となる。同時に、筐体18の容積が小型化されるため、筐体18内に充填する絶縁油13の量が少なくなり、X線照射装置1の軽量化の一因となっている。
【0026】
また、X線照射装置1は、高電圧発生装置2及びX線遮蔽部材16により、X線管11から照射されるX線の漏洩を防止しており、X線透過性に優れたベリリウム等を材料とするX線照射窓17からのみ、X線を照射可能に構成している。なお、破線はX線を示している。
【0027】
図2に、図1記載のA−A断面図を、図3にB−B透視図を示している。ここでは、本件発明であるX線照射装置1の断面を円形状としているが、矩形状等の他の形状に形成することも可能である。
【0028】
図4に、X線管11と高電圧発生装置2を分離している状態を示す。高電圧発生装置2は、複数の電圧増幅ユニット21で構成され、X線管11の周りに装着されている。電圧増幅ユニット21は、環状であり、X線管11の陽極14若しくは陰極15の周囲に設置可能な大きさに形成されている。内側側壁に絶縁体26を設置し、電圧増幅ユニット21本体は、絶縁体26に覆われた鉛等のX線遮蔽部材16で形成されている。
【0029】
以下に、本発明に係る実施の形態のX線照射装置1の主要部である高電圧発生装置2に関して説明する。
【0030】
図5(A)に、電圧増幅ユニット21の正面図を、図5(B)に側面図を、図5(C)に図5(B)の一部を拡大した拡大図を示している。電圧増幅ユニット21は、鉛等のX線遮蔽部材16(シールド材)を包み込んだ絶縁体26で形成され、断面は図5(C)に示す形状になっており、凹部に電圧増幅回路の1例であるコッククロフト回路23を内蔵している。ここで、例えば絶縁体26の変わりに、X線遮蔽部材16で底板及び側壁を形成し、このX線遮蔽部材16に絶縁体26を貼り付けて構成してもよく、X線遮蔽部材16及び絶縁体26で形成されていればよい。
【0031】
鉛等で形成されたX線遮蔽部材16により、電圧増幅回路をX線から保護することができ、かつ、高電圧発生装置2自体がX線遮蔽部材として機能するため、X線照射装置1の外部へX線が散乱することを防止できる。同時に、筐体18の内側に設置するX線遮蔽部材16の量を、従来に比べ減らすことができるため、X線照射装置1の小型化及び軽量化が実現する。また、電圧増幅ユニット21は、絶縁体26から構成されているため、高電圧となるX線管11からの影響を減少し、放電の発生を抑制することができる。
【0032】
なお、電圧増幅ユニット21は、図5(A)に示す、設置用ネジ穴27を介して複数個組み合わせることができ、図示はしていないが、複数の電圧増幅ユニット21は電気的に接続されている。
【0033】
電圧増幅ユニット21の形状は、環状以外にも、環状を半分に分割したもの、矩形の電圧増幅ユニット21の中心にX線管11が通るように形成したもの等、様々な形状が考えられる。また、電圧増幅ユニット21を複数個連結して、高電圧発生装置2としているが、X線照射装置1の小型化及び軽量化のみを目的とする場合は、筒状の電圧増幅ユニット21を1つ使用した構成としてもよい。
【0034】
図6(A)に、電圧増幅回路の1例であるコッククロフト回路23の回路図を示す。コ
ンデンサ24とダイオード25を梯子状に配線した回路に、交流電源VACを印加すると、印加した電圧の2倍、又は4倍の電圧を得られることを示している。このコッククロフト回路23は、交流電源VACを印加すると、ダイオード25の整流作用とコンデンサ24の充電作用により、電圧が2〜20倍程度増幅する構成とすることができる。本発明は、他の電圧増幅回路を使用しても同様の効果を得ることが可能である。
【0035】
図6(B)に、検出抵抗41と、検出特性の補償用コンデンサ42を並列に結線した負帰還制御用の高電圧検出回路40を示す。
【0036】
図6(C)に、コッククロフト回路23と、負帰還制御用の高電圧検出回路40が、それぞれ電圧増幅ユニット21に配置されている状態を示す。なお、43は入力、44は出力、45は負帰還電流を示している。回路全体として、コッククロフト回路23の直列回路と、負帰還制御用の高電圧検出回路40の直列回路が、並列に結線されている。この負帰還制御用高電圧検出回路40は、出力44の電圧を検知し、その状況を入力43側にフィードバックするための回路である。このフィードバック回路の電流は、基準電圧との図示しない比較増幅器を通して高電圧発生装置2の出力する電圧を一定に保つことが可能となる。
【0037】
図7に、X線照射装置1における電圧の分布状況の1例を示す。なお、アルファベットのA〜Iは、X線照射装置1内の電圧を示している。
【0038】
電圧増幅ユニット21をそれぞれ4つずつ用いて、X線管陽極14を80kV、X線管陰極15を−80kVに印加する場合、陽極側の1段目の電圧増幅ユニット21で0Vから20kVに、2段目で20kVから40kVに、3段目で40kVから60kVに、4段目で60kVから80kVに段階的に印加していく。同様に陰極側も印加していく。
【0039】
このとき、本発明に係る実施の形態のX線照射装置1では、電圧増幅ユニット21を、陽極側及び陰極側にそれぞれ4つずつ用いて、4段の高電圧発生装置2としているが、この段数を増減して電圧増幅量を増減することができる。また、電圧増幅ユニット21の1段当たりの電圧増幅量を小さくして、段数を増やすと、電位の勾配をなだらかにすることができる。即ち、X線照射装置1内各所の電位差を減少させて、放電を抑制することができ、高電圧発生装置2内においても、電位差を減少させて、放電を抑制することができる。
【0040】
また、電圧増幅ユニット21と筐体18は、短手方向の断面形状を矩形状又は円形状等、自由に選択することができるが、望ましくは円形状とする。断面形状を円形状として、電圧増幅ユニット21と筐体18内側の電位分布を、同心円互いに真円に近い構造とでき、これにより電位の均一性が非常によくなり、放電防止の効果が向上する。
【0041】
X線照射装置1は、陽極部が80kVで、X線遮蔽部材が0Vとなる箇所も存在するが、陽極14側の電圧が20kV、40kV、60kVと、従来に比べ電圧差の小さくなる箇所が多くなるので、放電の発生する確率が大幅に下がり、安定したX線照射装置1を提供することが可能となる。
【0042】
さらに、高電圧発生装置2とX線遮蔽部材16の間に、環状若しくは板状の補助電位板31を設け、この補助電位板31に電圧を印加すると、X線照射装置1内の電位差が小さくなり放電の抑制に高い効果が得られる。
【0043】
従来、X線管陽極14と、筐体18若しくはX線遮蔽部材16の間等で、電位差が80kVとなっていたが、X線管陽極14側に設置した補助電位板31に、中間電位である4
0kVの電圧を印加すると、X線管陽極14の80kVと、筐体18の0Vの間に、補助電位板31の40kVが加わるため、最大電位差が40kVと従来の半分となる。
【0044】
ここで、補助電位板31は、電圧増幅ユニット21との間隔が均一になることが望ましい。例えば、電圧増幅ユニット21が環状の場合、補助電位板31も環状であることが望ましい。また、補助電位板31は、X線照射装置1内の電位分布を均一に近づけるために用いるので、図7に示す様に、3段目、4段目のみに対応するように設置すると効率がよいが、この限りではない。補助電位板31に印加する電圧によって、設置するべき場所は変更することが可能である。
【0045】
また、従来の高電圧発生装置2Xを搭載したX線照射装置1Xに対して、本発明の高電圧発生装置2を使用したX線照射装置1は、図8及び図1の比較からもわかるように、装置全体の大きさが約半分ほどに小型化され、重量は50kgから30kgまで軽くすることができる。
【0046】
以上、本発明のX線照射装置1により、X線照射装置1内における放電の抑制を実現し、動作の安定を実現した小型で軽量なX線照射装置1の提供を実現できる。また、従来のX線照射装置1Xに比べ、大幅な小型化及び軽量化を実現できるため、牛や馬をはじめとする家畜等の大型動物に対してX線検査が容易となった。
【符号の説明】
【0047】
1 X線照射装置
2 高電圧発生装置
11 X線管
13 絶縁油
14 X線管陽極(陽極)
15 X線管陰極(陰極)
16 X線遮蔽部材
18 筐体
21 電圧増幅ユニット
23 コッククロフト回路
26 絶縁体
26b 絶縁体
31 補助電位板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管及び高電圧発生装置を筐体の内部に設置し、前記筐体内に絶縁油を充填したX線照射装置において、
前記高電圧発生装置が、環状に形成された電圧増幅ユニットを複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニットの中空部に、前記X線管の陽極及び陰極が嵌挿して設置されていることを特徴とするX線照射装置。
【請求項2】
前記電圧増幅ユニットが、絶縁体と、前記絶縁体上に設置されたコッククロフト回路からなる電圧増幅回路を有していることを特徴とする請求項1に記載のX線照射装置。
【請求項3】
前記X線管と前記筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置し、前記補助電位板が、前記X線管と前記筐体の有する電位の間の電位を印加し、前記X線管と前記筐体の間に発生する放電を防止する構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線照射装置。
【請求項4】
前記絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に沿って設置した筒状の側壁を有しており、前記電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、
前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置したことを特徴とする請求項2又は3に記載のX線照射装置。
【請求項1】
X線管及び高電圧発生装置を筐体の内部に設置し、前記筐体内に絶縁油を充填したX線照射装置において、
前記高電圧発生装置が、環状に形成された電圧増幅ユニットを複数枚配列して、かつ電気的に接続して構成し、前記電圧増幅ユニットの中空部に、前記X線管の陽極及び陰極が嵌挿して設置されていることを特徴とするX線照射装置。
【請求項2】
前記電圧増幅ユニットが、絶縁体と、前記絶縁体上に設置されたコッククロフト回路からなる電圧増幅回路を有していることを特徴とする請求項1に記載のX線照射装置。
【請求項3】
前記X線管と前記筐体の間に、板状又は環状の補助電位板を設置し、前記補助電位板が、前記X線管と前記筐体の有する電位の間の電位を印加し、前記X線管と前記筐体の間に発生する放電を防止する構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線照射装置。
【請求項4】
前記絶縁体が、環状の底板と、前記底板の内周及び外周に沿って設置した筒状の側壁を有しており、前記電圧増幅回路が、前記底板と前記2つの側壁に囲まれた凹部に設置されており、
前記2つの側壁にX線遮蔽部材を配置したことを特徴とする請求項2又は3に記載のX線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6(C)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6(C)】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−238742(P2009−238742A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41025(P2009−41025)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(500561263)株式会社ジョブ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(500561263)株式会社ジョブ (6)
【Fターム(参考)】
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