X線管及びX線管の製造方法
【課題】十分に冷却することができるX線管及びX線管の製造方法を提供する。
【解決手段】X線管1は、筒状の筐体4と、筐体4内の一端側に配置されたフィラメント5と、筐体4内の他端側に配置された陽極部材6と、陽極部材6に形成されたターゲット7と、筐体4の他端側に配置された熱吸収部材3と、を備える。側壁部13には、X線出射窓Wが設けられている。フィラメント5は電子を放出し、陽極部材6は電子を引き寄せる。ターゲット7は、電子の衝突によって発生したX線がX線出射窓Wに向かうように形成されている。陽極部材6と熱吸収部材3とには、ボルト21が通され、ボルト21の締結によって陽極部材6と熱吸収部材3とが結合されている。これにより、陽極部材6から熱吸収部材3に効率よく熱が伝わるため、陽極部材6を十分に冷却することができる。
【解決手段】X線管1は、筒状の筐体4と、筐体4内の一端側に配置されたフィラメント5と、筐体4内の他端側に配置された陽極部材6と、陽極部材6に形成されたターゲット7と、筐体4の他端側に配置された熱吸収部材3と、を備える。側壁部13には、X線出射窓Wが設けられている。フィラメント5は電子を放出し、陽極部材6は電子を引き寄せる。ターゲット7は、電子の衝突によって発生したX線がX線出射窓Wに向かうように形成されている。陽極部材6と熱吸収部材3とには、ボルト21が通され、ボルト21の締結によって陽極部材6と熱吸収部材3とが結合されている。これにより、陽極部材6から熱吸収部材3に効率よく熱が伝わるため、陽極部材6を十分に冷却することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管及びX線管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を出射するX線管が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなX線管は、空気等の気体にX線を照射してイオンガスを生成し、対象物の除電を行う除電装置等に用いられる。X線管を用いた除電装置は幅広い分野で採用されており、例えば半導体の製造工程等、厳しい温度管理が求められる環境で用いられる場合がある。そのような環境では、X線管から発生する熱によって温度管理を阻害することがないように、X線管を十分に冷却することが求められる。
【0003】
X線管を冷却する技術としては、円筒状の真空ガラス容器の一端に対陰極(陽極部材)を設けたX線管本体と、X線管本体を収容し、X線管本体から発生する熱を吸収する熱吸収部材と、を備えたX線管が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたX線管では、熱吸収部材は、X線管本体の一端に取り付けられる取付板と、X線管本体の側面を囲むと共に取付板に取り付けられるシールドケースと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−536284号公報
【特許文献2】実公平4−38453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されたX線管では、陽極部材及び熱吸収部材を互いに連結する要素がないため、主要な熱源である陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱が伝わらず、X線管を十分に冷却することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、十分に冷却することができるX線管及びX線管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るX線管は、筒状をなすと共に側壁部にX線出射窓が設けられた筐体と、筐体内の一端側に配置され、電子を放出するフィラメントと、筐体内の他端側に配置され、フィラメントから放出された電子を引き寄せる陽極部材と、電子の衝突によって発生したX線がX線出射窓に向かうように陽極部材に形成されたターゲットと、筐体の他端側に配置され、筐体内で発生した熱を吸収する熱吸収部材と、を備え、陽極部材と熱吸収部材とには、締結部材が通され、当該締結部材の締結によって陽極部材と熱吸収部材とが結合されていることを特徴とする。
【0008】
このようなX線管では、締結部材の締結によって陽極部材と熱吸収部材とが結合されている。これにより、陽極部材が熱吸収部材に近接した状態で保持され、締結部材自体も熱伝導経路として機能するので、陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱を伝えることができる。従って、陽極部材を十分に冷却することができる。なお、このX線管は、フィラメントからの電子が筐体の軸方向に移動するのに対し、ターゲットで発生したX線が筐体の側壁部のX線出射窓に向かう、いわゆる反射型のX線管となっている。このため、熱吸収部材を陽極部材に近接させていても、X線が熱吸収部材によって妨げられることはない。
【0009】
ここで、筐体は、陽極部材を保持した状態で側壁部の他端に設けられた保持壁部を更に有し、陽極部材と熱吸収部材とは、保持壁部に密着固定されていることが好ましい。この場合、陽極部材が保持壁部を介して熱吸収部材に接続されるので、保持壁部が熱伝導経路として機能し、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0010】
また、保持壁部には、締結部材が通る開口部が形成され、陽極部材は、開口部を塞ぐように配置されていることが好ましい。この場合、締結部材による熱伝導経路と、保持壁部による熱伝導経路とを簡単な構成で両立できる。
【0011】
また、陽極部材は、開口部を貫通するように配置されていることが好ましい。この場合、保持壁部の開口部を貫通した陽極部材に、熱吸収部材を直接当接させることができるため、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0012】
また、筐体の他端側は、陽極部材と同じ材料からなり、陽極部材は、筐体の他端側と一体的に形成されていることが好ましい。この場合、陽極部材に熱吸収部材を直接当接させることができるため、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0013】
また、熱吸収部材は、筐体の他端に当接する本体部と、側壁部を包囲する包囲部と、を有し、包囲部には、X線出射窓を露出させる開口部が形成されていることが好ましい。この場合、陽極部材から発生した熱が、筐体の他端に当接する本体部と、筐体の側壁部を包囲する包囲部とによって吸収されるため、陽極部材を更に十分に冷却することができる。なお、X線出射窓を透過したX線は、包囲部の開口部を通って出射される。
【0014】
また、側壁部と包囲部とが接していることが好ましい。この場合、側壁部から包囲部に更に効率よく熱が伝わるため、陽極部材を更に十分に冷却することができる。
【0015】
また、側壁部のうちフィラメントを包囲する部分と包囲部との間に絶縁材料製の熱伝導部材が介在していることが好ましい。この場合、熱伝導部材によって、フィラメントと包囲部との絶縁が確保されると共に、フィラメントから発生した熱が包囲部に効率よく伝えられる。このため、フィラメントを十分に冷却することができる。
【0016】
また、包囲部は、本体部から突出して筐体の他端側を包囲する第1の部分と、第1の部分に対して着脱自在に結合され、筐体の一端側を包囲する第2の部分と、を含んでいることが好ましい。この場合、第2の部分を取り外し、熱吸収部材の本体部から突出する包囲部の長さを短くした状態で、筐体に熱吸収部材を装着することができるため、X線管の組み立てが容易となる。
【0017】
また、側壁部の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部が形成され、X線出射窓は、窪み部の形成位置に設けられていることが好ましい。この場合、窪み部がない場合に比べ、X線出射窓がX線管の内側に位置する。このため、X線出射窓からX線管の外側に熱が伝わり難くなる。従って、X線管の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。なお、熱吸収部材が包囲部を有している場合には、窪み部によって、側壁部と包囲部との間に空間が形成される。この空間の断熱作用により、X線が出射される方向に更に熱が伝わり難くなる。
【0018】
また、X線出射窓の縁が窪み部の縁に接していることが好ましい。この場合、窪み部内でX線出射窓を最大化し、X線の照射範囲を広くすることができる。
【0019】
本発明に係るX線管の製造方法は、上記X線管の製造方法であって、熱吸収部材を筐体の他端側に配置し、締結部材を陽極部材と熱吸収部材とに通し、当該締結部材を締結することで、陽極部材と熱吸収部材とを結合する工程を備えることを特徴とする。
【0020】
このような製造方法によれば、陽極部材と熱吸収部材とが結合されたX線管を製造することができる。製造されたX線管では、陽極部材は熱吸収部材に近接した状態に保持されるため、陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱が伝わる。また、締結部材自体も熱伝導経路となり、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材を十分に冷却することができる。
【0021】
ここで、筐体の側壁部をなすための筒状部材と、筐体の他端部をなすための板状部材とを準備し、陽極部材と板状部材とをロウ付けによって結合し、陽極部材を筒状部材の他端側に挿入し、板状部材を筒状部材の他端に結合する工程を更に備えることが好ましい。この場合、筐体の他端部に陽極部材を保持した保持壁部が設けられ、陽極部材と保持壁部とがロウ付けによって結合されているX線管を製造することができる。製造されたX線管では、陽極部材は、ロウ付けによって保持壁部に隙間なく固定される。このため、陽極部材から熱吸収部材に、保持壁部を介して効率よく熱を伝えることができる。
【0022】
また、側壁部の外側部分に、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部を形成し、窪み部の形成位置にX線出射窓を設ける工程を更に備えることが好ましい。この場合、窪み部を形成しない場合に比べ、X線出射窓がX線管の内側に位置したX線管を製造することができる。製造されたX線管では、X線出射窓からX線管の外側に熱が伝わり難くなる。このため、X線管の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、十分に冷却することができるX線管及びX線管の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るX線管の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1中のX線管本体の平面図である。
【図3】図1中のX線管本体の左側面図である。
【図4】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図5】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図6】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図7】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図8】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図9】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図10】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図11】第1実施形態の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明に係るX線管の第2実施形態を示す断面図である。
【図13】図12中のX線管本体の平面図である。
【図14】図12中のX線管本体の左側面図である。
【図15】本発明に係るX線管の第3実施形態を示す断面図である。
【図16】図15中のX線管本体の平面図である。
【図17】図16中のX線管本体の左側面図である。
【図18】本発明に係るX線管の第4実施形態を示す断面図である。
【図19】図15中のX線管本体の平面図である。
【図20】図16中のX線管本体の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るX線管の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るX線管の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1中のX線管本体の平面図、図3は、図1中のX線管本体の左側面図である。図1及び2に示すように、X線管1は、X線管本体2と、X線管本体2から発生した熱を吸収する熱吸収部材3とを備えている。
【0026】
X線管本体2は、筒状の筐体4と、筐体4内の一端側に配置されたフィラメント5と、筐体4内の他端側に配置された陽極部材6と、陽極部材6の表面に形成されたターゲット7とを備えている。
【0027】
筐体4は、一端側の収容部8と、他端側の収容部9とを有している。収容部8は、ガラス製の本体部10と、金属製の継手部11とを有している。本体部10は、円筒状の側壁部10aと、側壁部10aの一端を封止する壁部10bとが一体的に形成されたものである。継手部11は、円筒状の側壁部11aの両端にフランジ部11b,11cを設けたものであり、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる。側壁部11aの外径は、側壁部10aの外径と略同等である。フランジ部11bは、側壁部11aの一端から内側に突出している。フランジ部11cは、側壁部11aの他端から外側に突出している。フランジ部11bは側壁部10aの他端に当接し、側壁部11aの外周は側壁部10aの外周と揃っている。継手部11と本体部10とは、接着等によって結合され、継手部11と本体部10との境界部が封止されている。
【0028】
収容部9は、筒状の側壁部13と、側壁部13の他端に設けられた壁部14(保持壁部)とを有している。側壁部13は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円筒状部材によって構成されている。側壁部13の外側部分には、図3に示すように、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部13dが形成されている。側壁部13の外周部分を切り欠くように形成され、図2に示すように、窪み部13dの底面は矩形の平面となっている。側壁部13のうち、窪み部13dが形成されている部分には、略円形の開口13eが形成されている。開口13eの縁R2は、窪み部13dの縁R1に接している。
【0029】
図1及び2に示すように、側壁部13の外面には、開口13eを塞ぐようにシート15が配置されている。シート15は、例えばベリリウムからなる。側壁部13とシート15とは、ロウ付け等によって結合され、開口13eが封止されている。シート15のうち、開口13eに対応する部分によって、X線が透過しやすいX線出射窓Wが構成されている。すなわち、窪み部13dの形成位置にはX線出射窓Wが設けられ、X線出射窓Wの縁R2は窪み部13dの縁R1に接している。また、側壁部13の一端にはフランジ部13bが設けられ、他端にはフランジ部13aが設けられている。
【0030】
壁部14は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円板状部材によって構成されている。壁部14の外径は、フランジ部13aの外径と略同等である。壁部14の略中央位置には略円形の開口14aが形成されている。壁部14の一方面側では、開口14aの周囲に座ぐり穴14bが形成されている。壁部14の一方面はフランジ部13aに当接し、壁部14の外周はフランジ部13aの外周と揃っている。壁部14の外周部分とフランジ部13aとはロウ付けや溶接等によって結合され、側壁部13と壁部14との境界部が封止されている。
【0031】
収容部9のフランジ部13bは、収容部8のフランジ部11cに当接している。フランジ部13bの外径はフランジ部11cの外径と略同等であり、フランジ部13bの外周はフランジ部11cの外周と揃っている。フランジ部13bとフランジ部11cとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部9と収容部8との境界部が封止されている。
【0032】
フィラメント5は、例えばタングステンからなる発熱線5aと、発熱線5aの両端部に接続された一対のリード線5b,5bと、を有し、収容部8内に収容されている。一対のリード線5b,5bは、ピン状の端子12,12にそれぞれ接続され、端子12,12は、壁部10bを通し、収容部8の外側に延在している。端子12,12に電力を供給すると、発熱線5aが発熱し、熱電子を放出する。
【0033】
陽極部材6は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円柱状の部材である。陽極部材6は、収容部9内に収容されており、陽極部材6の中心軸L1は側壁部13の中心軸L2に沿っている。陽極部材6の他端側の端面6bは、陽極部材6の中心軸L1に対して略垂直となっている。陽極部材6の他端側には、中心軸L1に沿う雌ネジ孔6cが形成されている。陽極部材6の一端側の端面6aは、中心軸L1に対して傾斜している。端面6aの略中央には、例えばタングステンからなるターゲット7が蒸着等によって形成されている。
【0034】
陽極部材6の他端側は、壁部14の座ぐり穴14bに嵌め込まれ、端面6bが座ぐり穴14bの底面に当接している。陽極部材6と壁部14とはロウ付けによって結合され、壁部14の開口14aは陽極部材6によって封止されている。端面6bの中央部分及び雌ネジ孔6cは、開口14aから露出している。端面6aは、フィラメント5とX線出射窓Wとに面している。
【0035】
陽極部材6は、正電圧が印加されると、フィラメント5から発生した熱電子を引き寄せる。ターゲット7は、熱電子の衝突に伴ってX線を発生する。ターゲット7が形成された端面6aは、フィラメント5に面すると共に、X線出射窓Wにも面していることから、ターゲット7で発生したX線はX線出射窓Wに向かう。すなわち、ターゲット7は、電子の衝突により発生したX線がX線出射窓Wに向かうように形成されている。
【0036】
このようにして、筐体4内の一端側にはフィラメント5が配置され、筐体4の他端側には陽極部材6が配置されている。筐体4の内部は密封され、略真空となっている。筐体4の外側に延在している端子12,12のそれぞれには、電力供給用に、高耐圧のケーブル16が接続されている。端子12,12とケーブル16,16との接続部J1,J1は、筐体4の一端側の部分と共に熱収縮チューブ17によって包囲されている。熱収縮チューブ17の内側には樹脂を充填してモールド部18が形成され、モールド部18内に接続部J1,J1が埋設されている。これにより、端子12,12及び接続部J1,J1が補強されると共に、周囲から確実に絶縁されている。
【0037】
次に熱吸収部材3について説明する。
【0038】
熱吸収部材3は、筐体4の他端側に配置された本体部19と、本体部19から一端側に突出した筒状の包囲部20とを有している。包囲部20は、側壁部10a,11a,13を包囲している。熱吸収部材3は、例えばアルミやステンレス等、熱伝導率が高い金属材料からなる。
【0039】
本体部19には、一端側と他端側とに開口する貫通孔19aが形成されている。貫通孔19aには、他端側から一端側に向けてボルト21(締結部材)が通されている。ボルト21の先端部は、壁部14の開口14aを通り、陽極部材6の雌ネジ孔6cに締結されている。すなわち、ボルト21は、本体部19と陽極部材6とに通され、ボルト21の締結によって陽極部材6と本体部19とが結合されている。これにより、陽極部材6と本体部19とは、互いに近接した状態に保持され、壁部14に密着固定されている。
【0040】
また、本体部19には、複数の雌ネジ孔19bが形成されている。雌ネジ孔19bによって、外部機器に本体部19をボルトで取り付けることが可能となっている。
【0041】
包囲部20は、包囲部22(第1の部分)と包囲部23(第2の部分)とを含んでいる。包囲部22は、本体部19と一体的に形成され、収容部9を包囲している。包囲部22には、X線出射窓Wを露出させる略円形の開口22aが形成されている。X線出射窓Wを透過したX線は、開口22aを通って出射される。包囲部23は、包囲部22の一端側に配置され、収容部8を包囲している。包囲部22の一端側の内周には、雌ネジ部22bが形成されている。包囲部23の他端側の外周には、雄ネジ部23aが形成されている。包囲部22と包囲部23とは、雌ネジ部22bに雄ネジ部23aをねじ込むことで着脱自在に連結されている。
【0042】
包囲部23の一端側には、蓋部材24が着脱自在に取り付けられている。蓋部材24には、ケーブル16,16を通すための開口24aが形成されている。ケーブル16,16は、開口24aを通して熱吸収部材3の外部に引き出され、制御用のコントローラに接続される。
【0043】
続いて、上述したX線管1の製造方法について説明する。
【0044】
まず、図4に示すように、側壁部13をなすための円筒状部材E1を準備し、その両端部にフランジ部13a,13bを形成する。次に、図5に示すように、フランジ部13a,13bの間で円筒状部材E1の外周部分を切り欠き、窪み部13dを形成する。次に、窪み部13dを形成した部分に、図6に示すように開口13eを形成する。これらの加工は、切削等によって行う。開口13eが形成された円筒状部材E1の外面には、開口13eを塞ぐようにシート15を配置する。この状態で、円筒状部材E1とシート15とをロウ付け等によって結合し、開口13eを封止する。
【0045】
次に、図7に示すように、壁部14をなすための円板状部材E2に開口14a及び座ぐり穴14bを形成する。また、ターゲット7が形成された陽極部材6を準備する。そして、陽極部材6と円板状部材E2とをロウ付けによって結合し、開口14aを封止する。
【0046】
次に、図8に示すように、陽極部材6を円筒状部材E1に挿入し、円板状部材E2の一方面と円筒状部材E1のフランジ部13aとを当接させ、円板状部材E2の外周とフランジ部13aの外周とを揃える。また、陽極部材6の端面6aがX線出射窓Wに面するように、円板状部材E2と円筒状部材E1との位置関係を調節する。この状態で、円板状部材E2の外周部分と円筒状部材E1のフランジ部13aとをロウ付けや溶接等によって結合し、円筒状部材E1と円板上部材E2との境界部を封止する。これにより、陽極部材6を収容した収容部9が準備される。
【0047】
次に、図9に示すように、フィラメント5を収容した収容部8を準備し、フランジ部13bとフランジ部11cとを当接させ、フランジ部13bの外周とフランジ部11cの外周とを揃える。この状態で、フランジ部13bとフランジ部11cとをロウ付けや溶接等によって結合し、収容部9と収容部8との境界部を封止する。
【0048】
次に、図10に示すように、端子12,12のそれぞれにケーブル16を接続する。端子12,12とケーブル16,16との接続部J1,J1を、筐体4の一端側の部分と共に熱収縮チューブ17によって包囲し、熱収縮チューブ17の内側に樹脂を充填してモールド部18を形成する。
【0049】
次に、包囲部23が取り外された状態の熱吸収部材3を準備し、X線管本体2の他端側を包囲部22に挿入し、壁部14を本体部19に当接させる。包囲部23を取り外しておくことで、X線管本体2を挿入する筒状部分の長さが短くなるため、X線管本体2に熱吸収部材3を装着する作業が容易となる。
【0050】
次に、本体部19の他端側から、本体部19の貫通孔19a及び壁部14の開口14aにボルト21を通し、陽極部材6の雌ネジ孔6cに締結する。すなわち、ボルト21を、本体部19と陽極部材6とに通し、ボルト21の締結によって陽極部材6と本体部19とを結合する。
【0051】
次に、包囲部23に蓋部材24を取り付け、X線管本体2の一端側を包囲部23に挿入する。このときに、ケーブル16,16を蓋部材24の開口24aに通す。包囲部23の雄ネジ部23aを包囲部22の雌ネジ部22bにねじ込むことで、包囲部23を包囲部22に連結する。包囲部23を包囲部22に連結した後に蓋部材24を取り付けてもよい。
【0052】
以上により、陽極部材6と熱吸収部材3とが結合されたX線管1を製造することができる。このX線管1では、ケーブル16,16から端子12,12に電力が供給されると、フィラメント5が熱電子を放出する。陽極部材6に正電圧が印加されると、熱電子が陽極部材6に引き寄せられて加速され、ターゲット7に衝突する。すると、ターゲット7からX線出射窓Wに向かってX線が発生する。このX線はX線出射窓Wを透過し、更に開口22aを通ってX線管1の外部に出射される。
【0053】
このとき、ターゲット7は、電子の衝突によって発熱する。ターゲット7が発熱すると、ターゲット7を保持する陽極部材6全体が高温となり、X線管1の主要な熱源となる。この状況において、陽極部材6は、ボルト21の締結によって熱吸収部材3に結合されている。これにより、陽極部材6が熱吸収部材3に近接した状態で保持され、ボルト21自体も熱伝導経路として機能するので、陽極部材6から熱吸収部材3に効率よく熱を伝えることができる。従って、陽極部材6を十分に冷却することができる。なお、このX線管1は、フィラメント5からの電子が筐体4の軸方向に移動するのに対し、ターゲット7で発生したX線が筐体4の側壁部13のX線出射窓Wに向かう、いわゆる反射型のX線管となっている。このため、熱吸収部材3を陽極部材6に近接させていても、X線が熱吸収部材3によって妨げられることはない。
【0054】
陽極部材6と熱吸収部材3とは、壁部14に密着固定されている。陽極部材6は、ロウ付けによって壁部14に隙間なく固定される。これにより、陽極部材6が壁部14を介して熱吸収部材3に接続されるので、壁部14が熱伝導経路として機能し、陽極部材6から熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0055】
壁部14には、ボルト21が通る開口14aが形成され、陽極部材6は、開口14aを塞ぐように配置されている。これにより、ボルト21による熱伝導経路と、壁部14による熱伝導経路とを簡単な構成で両立できる。
【0056】
熱吸収部材3は、筐体4の他端に当接する本体部19と、側壁部10a,11a,13を包囲する包囲部20と、を有し、包囲部20には、X線出射窓Wを露出させる開口22aが形成されている。これにより、陽極部材6から発生した熱が、筐体4の他端に当接する本体部19と、筐体4の側壁部13を包囲する包囲部20とによって吸収されるため、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0057】
側壁部13の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部13dが形成され、X線出射窓Wは、窪み部13dの形成位置に設けられている。これにより、窪み部13dがない場合に比べ、X線出射窓WがX線管1の内側に位置する。このため、X線出射窓WからX線管1の外側に熱が伝わり難くなる。従って、X線管1の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。なお、側壁部13は包囲部20に包囲されているため、窪み部13dによって、側壁部13と包囲部20との間に空間が形成されている。この空間の断熱作用により、X線が出射される方向に更に熱が伝わり難くなっている。
【0058】
X線出射窓Wの縁R2は窪み部13dの縁R1に接している。これにより、窪み部13d内でX線出射窓Wが最大化され、X線の照射範囲が広くなっている。
【0059】
なお、図11に示すように、陽極部材6が壁部14の開口14aに貫通していてもよい。この場合、壁部14の開口14aを貫通した陽極部材6に、熱吸収部材3を直接当接させることができるため、陽極部材6から熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0060】
また、フィラメント5を包囲する側壁部10aと包囲部20との間に、シリコーン等の絶縁材料からなる熱伝導部材30が介在していてもよい。この場合、熱伝導部材30によって、フィラメント5と包囲部20との絶縁が確保されると共に、フィラメント5から発生した熱が包囲部20に効率よく伝えられる。このため、フィラメント5を十分に冷却することができる。
【0061】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態を示す断面図である。図13は、図12中のX線管本体の平面図、図14は、図12中のX線管本体の左側面図である。第2実施形態のX線管1Aは、第1実施形態における側壁部13、壁部14、及び陽極部材6を一体的に形成したものである。
【0062】
図12〜14に示すように、X線管1Aの筐体4Aは、収容部9の代わりに収容部25を有している。収容部25は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円柱状の部材の一端側に、中心軸L3に沿う穴25aが形成され、他端側に、中心軸L3に沿う雌ネジ孔25bが形成されたものである。穴25aの側壁部25cの外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部25dが形成されている。窪み部25dの底面は平面となっている。側壁部25cのうち、窪み部25dが形成されている部分には、平面視で略円形の開口25eが形成されている。側壁部25cの外面には、開口25eを塞ぐようにシート15が配置され、側壁部25cとシート15とがロウ付け等によって結合されている。シート15のうち、開口25eに対応する部分によって、X線が透過しやすいX線出射窓Wが構成されている。
【0063】
穴25aの底部には、X線出射窓Wに面するように、中心軸L3に対して傾斜した斜面25fが形成されている。斜面25fの略中央には、ターゲット7が蒸着等によって形成されている。このように構成された収容部25では、穴25aの側壁部25cが側壁部13に相当し、雌ネジ孔25bが雌ネジ孔6cに相当する。また、穴25aの底部が、陽極部材6に相当する陽極部材25gとなる。
【0064】
収容部25の一端は、収容部8のフランジ部11cに当接している。収容部25の外径はフランジ部11cの外径と略同等であり、収容部25の外周はフランジ部11cの外周と揃っている。収容部25の外周部分とフランジ部11cとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部25と収容部8との境界部が封止されている。
【0065】
また、収容部25の外径は、包囲部23の内径と略同等となっており、収容部25は包囲部23と嵌合している。これにより、収容部25の側壁部25cは包囲部23に接している。
【0066】
X線管1Aでは、筐体4Aの他端側をなす収容部25は、陽極部材25gと同じ材料からなり、陽極部材25gは、収容部25と一体的に形成されている。これにより、陽極部材25gに熱吸収部材3を直接当接させることができるため、陽極部材25gから熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。また、側壁部25cと包囲部23とが接することで、側壁部25cから包囲部23に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材25gを更に十分に冷却することができる。
【0067】
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図15は、第3実施形態を示す断面図である。図16は、図15中のX線管本体の平面図、図17は、図15中のX線管本体の左側面図である。第3実施形態のX線管1Bは、第1実施形態における側壁部13と包囲部23とが接するようにしたものである。
【0068】
図15〜17に示すように、X線管1Bの筐体4Bは、収容部9の代わりに収容部9Bを有している。収容部9Bは、側壁部13及び壁部14の代わりに側壁部26及び壁部27を有している。
【0069】
側壁部26は、側壁部13と同様に円筒状部材によって構成されている。側壁部26には、窪み部13dと同様の窪み部26dが形成され、窪み部26dの形成位置にX線出射窓Wが設けられている。側壁部26の一端には、フランジ部13bと同様のフランジ部26bが設けられている。側壁部26の外径は、フランジ部26bを除いて略均一となっている。側壁部26の他端側では、開口の周囲に座ぐり穴26aが形成されている。
【0070】
壁部27は、壁部14と同様に円板状部材によって構成されている。壁部27の外径は、座ぐり穴26aの内径と略同等である。壁部27の厚さは、座ぐり穴26aの深さと略同等である。壁部27には、開口14aと同様の開口27aが形成されている。壁部27の一方面側には座ぐり穴14bと同様の座ぐり穴27bが形成されている。壁部27の他方面側には、開口27aの周囲に座ぐり穴27cが形成されている。
【0071】
壁部27は座ぐり穴26aに嵌め込まれ、壁部27の一方面は座ぐり穴26aの底面に当接している。座ぐり穴27cの側壁部27dは、座ぐり穴26aの側壁部26fに包囲されている。側壁部27dと側壁部26fとはロウ付けや溶接等によって結合され、側壁部26と壁部27との境界部が封止されている。フランジ部13bと同様に、フランジ部26bは、収容部8のフランジ部11cに結合され、収容部9Bと収容部8との境界部が封止されている。座ぐり穴14bと同様に、座ぐり穴27bには陽極部材6が嵌め込まれている。陽極部材6と壁部27とはロウ付けによって結合され、壁部27の開口27aは陽極部材6によって封止されている。
【0072】
フランジ部26bを除く側壁部26の外径は、包囲部23の内径と略同一となっており、側壁部26のフランジ部26bを除く部分は包囲部23と嵌合している。これにより、側壁部26は包囲部23に接している。また、本体部19の一端側には円環状の溝部19cが形成され、溝部19cには側壁部26f及び側壁部27dが嵌め込まれている。
【0073】
X線管1Bでは、側壁部26と包囲部23とが接することで、側壁部26から包囲部23に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0074】
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。図18は、第4実施形態を示す断面図である。図19は、図18中のX線管本体の平面図、図20は、図18中のX線管本体の左側面図である。第4実施形態のX線管1Cは、第3実施形態における側壁部26のフランジ部26b及び継手部11のフランジ部11cをなくし、筐体4Bと包囲部23とが嵌合する長さを長くしたものである。
【0075】
図18〜20に示すように、X線管1Cの筐体4Cは、収容部8及び収容部9Bの代わりに収容部8C及び収容部9Cを有している。
【0076】
収容部8Cは、継手部11の代わりに継手部28を有している。継手部28は、側壁部11aと同様の側壁部28aの一端に、フランジ部11bと同様のフランジ部28bを設けたものである。
【0077】
収容部9Cは、側壁部26の代わりに側壁部29を有している。側壁部29は、側壁部13と同様に円筒状部材によって構成されている。側壁部29の外径は、側壁部28aの外径と略同等である。側壁部29には、窪み部13dと同様の窪み部29dが形成され、窪み部29dの形成位置にX線出射窓Wが設けられている。側壁部29の他端側には、座ぐり穴26aと同様の座ぐり穴29aが形成されている。座ぐり穴26aと同様に、座ぐり穴29aには壁部27が嵌め込まれ、結合されている。側壁部29の一端側の外周には、継手部28の側壁部28aを装着できるように細径化された細径部29bが形成されている。側壁部28aの他端部は、細径部29bに装着され、側壁部28aの外周は、細径部29bを除く側壁部29の外周と揃っている。側壁部28aの他端部と細径部29bとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部9Cと収容部8Cとの境界部が封止されている。
【0078】
このようにして、筐体4Cの外径は、側壁部29から側壁部28aに亘って略均一となっており、側壁部29及び側壁部28aが包囲部23と嵌合している。すなわち、側壁部29のみが包囲部23と嵌合するのに比べ、筐体4Cと包囲部23とが嵌合する長さが長くなっている。これにより、筐体4Cと包囲部23とが更に広い範囲で接触することとなり、筐体4Cから包囲部23に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、熱吸収部材3の内部に流体の通路を形成し、通路に冷却用の流体を流すことで熱吸収部材3を冷却してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C…X線管、3…熱吸収部材、4…筐体、4A,4B,4C…筐体、5…フィラメント、6,25g…陽極部材、7…ターゲット、10a,11a,13,25c,26,28a,29…側壁部、13d,25d,26d,29d…窪み部、14,27…壁部(保持壁部)、14a,27a…開口、19…本体部、20…包囲部、21…ボルト(締結部材)、22…包囲部(第1の部分)、22a…開口、23…包囲部(第2の部分)、30…熱伝導部材、E1…円筒状部材、E2…円板状部材、R1…縁、R2…縁、W…X線出射窓。
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管及びX線管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を出射するX線管が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなX線管は、空気等の気体にX線を照射してイオンガスを生成し、対象物の除電を行う除電装置等に用いられる。X線管を用いた除電装置は幅広い分野で採用されており、例えば半導体の製造工程等、厳しい温度管理が求められる環境で用いられる場合がある。そのような環境では、X線管から発生する熱によって温度管理を阻害することがないように、X線管を十分に冷却することが求められる。
【0003】
X線管を冷却する技術としては、円筒状の真空ガラス容器の一端に対陰極(陽極部材)を設けたX線管本体と、X線管本体を収容し、X線管本体から発生する熱を吸収する熱吸収部材と、を備えたX線管が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたX線管では、熱吸収部材は、X線管本体の一端に取り付けられる取付板と、X線管本体の側面を囲むと共に取付板に取り付けられるシールドケースと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−536284号公報
【特許文献2】実公平4−38453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されたX線管では、陽極部材及び熱吸収部材を互いに連結する要素がないため、主要な熱源である陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱が伝わらず、X線管を十分に冷却することができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、十分に冷却することができるX線管及びX線管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るX線管は、筒状をなすと共に側壁部にX線出射窓が設けられた筐体と、筐体内の一端側に配置され、電子を放出するフィラメントと、筐体内の他端側に配置され、フィラメントから放出された電子を引き寄せる陽極部材と、電子の衝突によって発生したX線がX線出射窓に向かうように陽極部材に形成されたターゲットと、筐体の他端側に配置され、筐体内で発生した熱を吸収する熱吸収部材と、を備え、陽極部材と熱吸収部材とには、締結部材が通され、当該締結部材の締結によって陽極部材と熱吸収部材とが結合されていることを特徴とする。
【0008】
このようなX線管では、締結部材の締結によって陽極部材と熱吸収部材とが結合されている。これにより、陽極部材が熱吸収部材に近接した状態で保持され、締結部材自体も熱伝導経路として機能するので、陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱を伝えることができる。従って、陽極部材を十分に冷却することができる。なお、このX線管は、フィラメントからの電子が筐体の軸方向に移動するのに対し、ターゲットで発生したX線が筐体の側壁部のX線出射窓に向かう、いわゆる反射型のX線管となっている。このため、熱吸収部材を陽極部材に近接させていても、X線が熱吸収部材によって妨げられることはない。
【0009】
ここで、筐体は、陽極部材を保持した状態で側壁部の他端に設けられた保持壁部を更に有し、陽極部材と熱吸収部材とは、保持壁部に密着固定されていることが好ましい。この場合、陽極部材が保持壁部を介して熱吸収部材に接続されるので、保持壁部が熱伝導経路として機能し、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0010】
また、保持壁部には、締結部材が通る開口部が形成され、陽極部材は、開口部を塞ぐように配置されていることが好ましい。この場合、締結部材による熱伝導経路と、保持壁部による熱伝導経路とを簡単な構成で両立できる。
【0011】
また、陽極部材は、開口部を貫通するように配置されていることが好ましい。この場合、保持壁部の開口部を貫通した陽極部材に、熱吸収部材を直接当接させることができるため、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0012】
また、筐体の他端側は、陽極部材と同じ材料からなり、陽極部材は、筐体の他端側と一体的に形成されていることが好ましい。この場合、陽極部材に熱吸収部材を直接当接させることができるため、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0013】
また、熱吸収部材は、筐体の他端に当接する本体部と、側壁部を包囲する包囲部と、を有し、包囲部には、X線出射窓を露出させる開口部が形成されていることが好ましい。この場合、陽極部材から発生した熱が、筐体の他端に当接する本体部と、筐体の側壁部を包囲する包囲部とによって吸収されるため、陽極部材を更に十分に冷却することができる。なお、X線出射窓を透過したX線は、包囲部の開口部を通って出射される。
【0014】
また、側壁部と包囲部とが接していることが好ましい。この場合、側壁部から包囲部に更に効率よく熱が伝わるため、陽極部材を更に十分に冷却することができる。
【0015】
また、側壁部のうちフィラメントを包囲する部分と包囲部との間に絶縁材料製の熱伝導部材が介在していることが好ましい。この場合、熱伝導部材によって、フィラメントと包囲部との絶縁が確保されると共に、フィラメントから発生した熱が包囲部に効率よく伝えられる。このため、フィラメントを十分に冷却することができる。
【0016】
また、包囲部は、本体部から突出して筐体の他端側を包囲する第1の部分と、第1の部分に対して着脱自在に結合され、筐体の一端側を包囲する第2の部分と、を含んでいることが好ましい。この場合、第2の部分を取り外し、熱吸収部材の本体部から突出する包囲部の長さを短くした状態で、筐体に熱吸収部材を装着することができるため、X線管の組み立てが容易となる。
【0017】
また、側壁部の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部が形成され、X線出射窓は、窪み部の形成位置に設けられていることが好ましい。この場合、窪み部がない場合に比べ、X線出射窓がX線管の内側に位置する。このため、X線出射窓からX線管の外側に熱が伝わり難くなる。従って、X線管の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。なお、熱吸収部材が包囲部を有している場合には、窪み部によって、側壁部と包囲部との間に空間が形成される。この空間の断熱作用により、X線が出射される方向に更に熱が伝わり難くなる。
【0018】
また、X線出射窓の縁が窪み部の縁に接していることが好ましい。この場合、窪み部内でX線出射窓を最大化し、X線の照射範囲を広くすることができる。
【0019】
本発明に係るX線管の製造方法は、上記X線管の製造方法であって、熱吸収部材を筐体の他端側に配置し、締結部材を陽極部材と熱吸収部材とに通し、当該締結部材を締結することで、陽極部材と熱吸収部材とを結合する工程を備えることを特徴とする。
【0020】
このような製造方法によれば、陽極部材と熱吸収部材とが結合されたX線管を製造することができる。製造されたX線管では、陽極部材は熱吸収部材に近接した状態に保持されるため、陽極部材から熱吸収部材に効率よく熱が伝わる。また、締結部材自体も熱伝導経路となり、陽極部材から熱吸収部材に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材を十分に冷却することができる。
【0021】
ここで、筐体の側壁部をなすための筒状部材と、筐体の他端部をなすための板状部材とを準備し、陽極部材と板状部材とをロウ付けによって結合し、陽極部材を筒状部材の他端側に挿入し、板状部材を筒状部材の他端に結合する工程を更に備えることが好ましい。この場合、筐体の他端部に陽極部材を保持した保持壁部が設けられ、陽極部材と保持壁部とがロウ付けによって結合されているX線管を製造することができる。製造されたX線管では、陽極部材は、ロウ付けによって保持壁部に隙間なく固定される。このため、陽極部材から熱吸収部材に、保持壁部を介して効率よく熱を伝えることができる。
【0022】
また、側壁部の外側部分に、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部を形成し、窪み部の形成位置にX線出射窓を設ける工程を更に備えることが好ましい。この場合、窪み部を形成しない場合に比べ、X線出射窓がX線管の内側に位置したX線管を製造することができる。製造されたX線管では、X線出射窓からX線管の外側に熱が伝わり難くなる。このため、X線管の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、十分に冷却することができるX線管及びX線管の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るX線管の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1中のX線管本体の平面図である。
【図3】図1中のX線管本体の左側面図である。
【図4】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図5】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図6】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図7】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図8】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図9】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図10】図1のX線管の製造工程を示す図である。
【図11】第1実施形態の変形例を示す断面図である。
【図12】本発明に係るX線管の第2実施形態を示す断面図である。
【図13】図12中のX線管本体の平面図である。
【図14】図12中のX線管本体の左側面図である。
【図15】本発明に係るX線管の第3実施形態を示す断面図である。
【図16】図15中のX線管本体の平面図である。
【図17】図16中のX線管本体の左側面図である。
【図18】本発明に係るX線管の第4実施形態を示す断面図である。
【図19】図15中のX線管本体の平面図である。
【図20】図16中のX線管本体の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るX線管の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るX線管の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1中のX線管本体の平面図、図3は、図1中のX線管本体の左側面図である。図1及び2に示すように、X線管1は、X線管本体2と、X線管本体2から発生した熱を吸収する熱吸収部材3とを備えている。
【0026】
X線管本体2は、筒状の筐体4と、筐体4内の一端側に配置されたフィラメント5と、筐体4内の他端側に配置された陽極部材6と、陽極部材6の表面に形成されたターゲット7とを備えている。
【0027】
筐体4は、一端側の収容部8と、他端側の収容部9とを有している。収容部8は、ガラス製の本体部10と、金属製の継手部11とを有している。本体部10は、円筒状の側壁部10aと、側壁部10aの一端を封止する壁部10bとが一体的に形成されたものである。継手部11は、円筒状の側壁部11aの両端にフランジ部11b,11cを設けたものであり、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる。側壁部11aの外径は、側壁部10aの外径と略同等である。フランジ部11bは、側壁部11aの一端から内側に突出している。フランジ部11cは、側壁部11aの他端から外側に突出している。フランジ部11bは側壁部10aの他端に当接し、側壁部11aの外周は側壁部10aの外周と揃っている。継手部11と本体部10とは、接着等によって結合され、継手部11と本体部10との境界部が封止されている。
【0028】
収容部9は、筒状の側壁部13と、側壁部13の他端に設けられた壁部14(保持壁部)とを有している。側壁部13は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円筒状部材によって構成されている。側壁部13の外側部分には、図3に示すように、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部13dが形成されている。側壁部13の外周部分を切り欠くように形成され、図2に示すように、窪み部13dの底面は矩形の平面となっている。側壁部13のうち、窪み部13dが形成されている部分には、略円形の開口13eが形成されている。開口13eの縁R2は、窪み部13dの縁R1に接している。
【0029】
図1及び2に示すように、側壁部13の外面には、開口13eを塞ぐようにシート15が配置されている。シート15は、例えばベリリウムからなる。側壁部13とシート15とは、ロウ付け等によって結合され、開口13eが封止されている。シート15のうち、開口13eに対応する部分によって、X線が透過しやすいX線出射窓Wが構成されている。すなわち、窪み部13dの形成位置にはX線出射窓Wが設けられ、X線出射窓Wの縁R2は窪み部13dの縁R1に接している。また、側壁部13の一端にはフランジ部13bが設けられ、他端にはフランジ部13aが設けられている。
【0030】
壁部14は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円板状部材によって構成されている。壁部14の外径は、フランジ部13aの外径と略同等である。壁部14の略中央位置には略円形の開口14aが形成されている。壁部14の一方面側では、開口14aの周囲に座ぐり穴14bが形成されている。壁部14の一方面はフランジ部13aに当接し、壁部14の外周はフランジ部13aの外周と揃っている。壁部14の外周部分とフランジ部13aとはロウ付けや溶接等によって結合され、側壁部13と壁部14との境界部が封止されている。
【0031】
収容部9のフランジ部13bは、収容部8のフランジ部11cに当接している。フランジ部13bの外径はフランジ部11cの外径と略同等であり、フランジ部13bの外周はフランジ部11cの外周と揃っている。フランジ部13bとフランジ部11cとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部9と収容部8との境界部が封止されている。
【0032】
フィラメント5は、例えばタングステンからなる発熱線5aと、発熱線5aの両端部に接続された一対のリード線5b,5bと、を有し、収容部8内に収容されている。一対のリード線5b,5bは、ピン状の端子12,12にそれぞれ接続され、端子12,12は、壁部10bを通し、収容部8の外側に延在している。端子12,12に電力を供給すると、発熱線5aが発熱し、熱電子を放出する。
【0033】
陽極部材6は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円柱状の部材である。陽極部材6は、収容部9内に収容されており、陽極部材6の中心軸L1は側壁部13の中心軸L2に沿っている。陽極部材6の他端側の端面6bは、陽極部材6の中心軸L1に対して略垂直となっている。陽極部材6の他端側には、中心軸L1に沿う雌ネジ孔6cが形成されている。陽極部材6の一端側の端面6aは、中心軸L1に対して傾斜している。端面6aの略中央には、例えばタングステンからなるターゲット7が蒸着等によって形成されている。
【0034】
陽極部材6の他端側は、壁部14の座ぐり穴14bに嵌め込まれ、端面6bが座ぐり穴14bの底面に当接している。陽極部材6と壁部14とはロウ付けによって結合され、壁部14の開口14aは陽極部材6によって封止されている。端面6bの中央部分及び雌ネジ孔6cは、開口14aから露出している。端面6aは、フィラメント5とX線出射窓Wとに面している。
【0035】
陽極部材6は、正電圧が印加されると、フィラメント5から発生した熱電子を引き寄せる。ターゲット7は、熱電子の衝突に伴ってX線を発生する。ターゲット7が形成された端面6aは、フィラメント5に面すると共に、X線出射窓Wにも面していることから、ターゲット7で発生したX線はX線出射窓Wに向かう。すなわち、ターゲット7は、電子の衝突により発生したX線がX線出射窓Wに向かうように形成されている。
【0036】
このようにして、筐体4内の一端側にはフィラメント5が配置され、筐体4の他端側には陽極部材6が配置されている。筐体4の内部は密封され、略真空となっている。筐体4の外側に延在している端子12,12のそれぞれには、電力供給用に、高耐圧のケーブル16が接続されている。端子12,12とケーブル16,16との接続部J1,J1は、筐体4の一端側の部分と共に熱収縮チューブ17によって包囲されている。熱収縮チューブ17の内側には樹脂を充填してモールド部18が形成され、モールド部18内に接続部J1,J1が埋設されている。これにより、端子12,12及び接続部J1,J1が補強されると共に、周囲から確実に絶縁されている。
【0037】
次に熱吸収部材3について説明する。
【0038】
熱吸収部材3は、筐体4の他端側に配置された本体部19と、本体部19から一端側に突出した筒状の包囲部20とを有している。包囲部20は、側壁部10a,11a,13を包囲している。熱吸収部材3は、例えばアルミやステンレス等、熱伝導率が高い金属材料からなる。
【0039】
本体部19には、一端側と他端側とに開口する貫通孔19aが形成されている。貫通孔19aには、他端側から一端側に向けてボルト21(締結部材)が通されている。ボルト21の先端部は、壁部14の開口14aを通り、陽極部材6の雌ネジ孔6cに締結されている。すなわち、ボルト21は、本体部19と陽極部材6とに通され、ボルト21の締結によって陽極部材6と本体部19とが結合されている。これにより、陽極部材6と本体部19とは、互いに近接した状態に保持され、壁部14に密着固定されている。
【0040】
また、本体部19には、複数の雌ネジ孔19bが形成されている。雌ネジ孔19bによって、外部機器に本体部19をボルトで取り付けることが可能となっている。
【0041】
包囲部20は、包囲部22(第1の部分)と包囲部23(第2の部分)とを含んでいる。包囲部22は、本体部19と一体的に形成され、収容部9を包囲している。包囲部22には、X線出射窓Wを露出させる略円形の開口22aが形成されている。X線出射窓Wを透過したX線は、開口22aを通って出射される。包囲部23は、包囲部22の一端側に配置され、収容部8を包囲している。包囲部22の一端側の内周には、雌ネジ部22bが形成されている。包囲部23の他端側の外周には、雄ネジ部23aが形成されている。包囲部22と包囲部23とは、雌ネジ部22bに雄ネジ部23aをねじ込むことで着脱自在に連結されている。
【0042】
包囲部23の一端側には、蓋部材24が着脱自在に取り付けられている。蓋部材24には、ケーブル16,16を通すための開口24aが形成されている。ケーブル16,16は、開口24aを通して熱吸収部材3の外部に引き出され、制御用のコントローラに接続される。
【0043】
続いて、上述したX線管1の製造方法について説明する。
【0044】
まず、図4に示すように、側壁部13をなすための円筒状部材E1を準備し、その両端部にフランジ部13a,13bを形成する。次に、図5に示すように、フランジ部13a,13bの間で円筒状部材E1の外周部分を切り欠き、窪み部13dを形成する。次に、窪み部13dを形成した部分に、図6に示すように開口13eを形成する。これらの加工は、切削等によって行う。開口13eが形成された円筒状部材E1の外面には、開口13eを塞ぐようにシート15を配置する。この状態で、円筒状部材E1とシート15とをロウ付け等によって結合し、開口13eを封止する。
【0045】
次に、図7に示すように、壁部14をなすための円板状部材E2に開口14a及び座ぐり穴14bを形成する。また、ターゲット7が形成された陽極部材6を準備する。そして、陽極部材6と円板状部材E2とをロウ付けによって結合し、開口14aを封止する。
【0046】
次に、図8に示すように、陽極部材6を円筒状部材E1に挿入し、円板状部材E2の一方面と円筒状部材E1のフランジ部13aとを当接させ、円板状部材E2の外周とフランジ部13aの外周とを揃える。また、陽極部材6の端面6aがX線出射窓Wに面するように、円板状部材E2と円筒状部材E1との位置関係を調節する。この状態で、円板状部材E2の外周部分と円筒状部材E1のフランジ部13aとをロウ付けや溶接等によって結合し、円筒状部材E1と円板上部材E2との境界部を封止する。これにより、陽極部材6を収容した収容部9が準備される。
【0047】
次に、図9に示すように、フィラメント5を収容した収容部8を準備し、フランジ部13bとフランジ部11cとを当接させ、フランジ部13bの外周とフランジ部11cの外周とを揃える。この状態で、フランジ部13bとフランジ部11cとをロウ付けや溶接等によって結合し、収容部9と収容部8との境界部を封止する。
【0048】
次に、図10に示すように、端子12,12のそれぞれにケーブル16を接続する。端子12,12とケーブル16,16との接続部J1,J1を、筐体4の一端側の部分と共に熱収縮チューブ17によって包囲し、熱収縮チューブ17の内側に樹脂を充填してモールド部18を形成する。
【0049】
次に、包囲部23が取り外された状態の熱吸収部材3を準備し、X線管本体2の他端側を包囲部22に挿入し、壁部14を本体部19に当接させる。包囲部23を取り外しておくことで、X線管本体2を挿入する筒状部分の長さが短くなるため、X線管本体2に熱吸収部材3を装着する作業が容易となる。
【0050】
次に、本体部19の他端側から、本体部19の貫通孔19a及び壁部14の開口14aにボルト21を通し、陽極部材6の雌ネジ孔6cに締結する。すなわち、ボルト21を、本体部19と陽極部材6とに通し、ボルト21の締結によって陽極部材6と本体部19とを結合する。
【0051】
次に、包囲部23に蓋部材24を取り付け、X線管本体2の一端側を包囲部23に挿入する。このときに、ケーブル16,16を蓋部材24の開口24aに通す。包囲部23の雄ネジ部23aを包囲部22の雌ネジ部22bにねじ込むことで、包囲部23を包囲部22に連結する。包囲部23を包囲部22に連結した後に蓋部材24を取り付けてもよい。
【0052】
以上により、陽極部材6と熱吸収部材3とが結合されたX線管1を製造することができる。このX線管1では、ケーブル16,16から端子12,12に電力が供給されると、フィラメント5が熱電子を放出する。陽極部材6に正電圧が印加されると、熱電子が陽極部材6に引き寄せられて加速され、ターゲット7に衝突する。すると、ターゲット7からX線出射窓Wに向かってX線が発生する。このX線はX線出射窓Wを透過し、更に開口22aを通ってX線管1の外部に出射される。
【0053】
このとき、ターゲット7は、電子の衝突によって発熱する。ターゲット7が発熱すると、ターゲット7を保持する陽極部材6全体が高温となり、X線管1の主要な熱源となる。この状況において、陽極部材6は、ボルト21の締結によって熱吸収部材3に結合されている。これにより、陽極部材6が熱吸収部材3に近接した状態で保持され、ボルト21自体も熱伝導経路として機能するので、陽極部材6から熱吸収部材3に効率よく熱を伝えることができる。従って、陽極部材6を十分に冷却することができる。なお、このX線管1は、フィラメント5からの電子が筐体4の軸方向に移動するのに対し、ターゲット7で発生したX線が筐体4の側壁部13のX線出射窓Wに向かう、いわゆる反射型のX線管となっている。このため、熱吸収部材3を陽極部材6に近接させていても、X線が熱吸収部材3によって妨げられることはない。
【0054】
陽極部材6と熱吸収部材3とは、壁部14に密着固定されている。陽極部材6は、ロウ付けによって壁部14に隙間なく固定される。これにより、陽極部材6が壁部14を介して熱吸収部材3に接続されるので、壁部14が熱伝導経路として機能し、陽極部材6から熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0055】
壁部14には、ボルト21が通る開口14aが形成され、陽極部材6は、開口14aを塞ぐように配置されている。これにより、ボルト21による熱伝導経路と、壁部14による熱伝導経路とを簡単な構成で両立できる。
【0056】
熱吸収部材3は、筐体4の他端に当接する本体部19と、側壁部10a,11a,13を包囲する包囲部20と、を有し、包囲部20には、X線出射窓Wを露出させる開口22aが形成されている。これにより、陽極部材6から発生した熱が、筐体4の他端に当接する本体部19と、筐体4の側壁部13を包囲する包囲部20とによって吸収されるため、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0057】
側壁部13の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部13dが形成され、X線出射窓Wは、窪み部13dの形成位置に設けられている。これにより、窪み部13dがない場合に比べ、X線出射窓WがX線管1の内側に位置する。このため、X線出射窓WからX線管1の外側に熱が伝わり難くなる。従って、X線管1の使用環境の温度管理に与える影響を抑制することができる。なお、側壁部13は包囲部20に包囲されているため、窪み部13dによって、側壁部13と包囲部20との間に空間が形成されている。この空間の断熱作用により、X線が出射される方向に更に熱が伝わり難くなっている。
【0058】
X線出射窓Wの縁R2は窪み部13dの縁R1に接している。これにより、窪み部13d内でX線出射窓Wが最大化され、X線の照射範囲が広くなっている。
【0059】
なお、図11に示すように、陽極部材6が壁部14の開口14aに貫通していてもよい。この場合、壁部14の開口14aを貫通した陽極部材6に、熱吸収部材3を直接当接させることができるため、陽極部材6から熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。
【0060】
また、フィラメント5を包囲する側壁部10aと包囲部20との間に、シリコーン等の絶縁材料からなる熱伝導部材30が介在していてもよい。この場合、熱伝導部材30によって、フィラメント5と包囲部20との絶縁が確保されると共に、フィラメント5から発生した熱が包囲部20に効率よく伝えられる。このため、フィラメント5を十分に冷却することができる。
【0061】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、第2実施形態を示す断面図である。図13は、図12中のX線管本体の平面図、図14は、図12中のX線管本体の左側面図である。第2実施形態のX線管1Aは、第1実施形態における側壁部13、壁部14、及び陽極部材6を一体的に形成したものである。
【0062】
図12〜14に示すように、X線管1Aの筐体4Aは、収容部9の代わりに収容部25を有している。収容部25は、例えばコバール、銅、又はステンレスからなる円柱状の部材の一端側に、中心軸L3に沿う穴25aが形成され、他端側に、中心軸L3に沿う雌ネジ孔25bが形成されたものである。穴25aの側壁部25cの外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部25dが形成されている。窪み部25dの底面は平面となっている。側壁部25cのうち、窪み部25dが形成されている部分には、平面視で略円形の開口25eが形成されている。側壁部25cの外面には、開口25eを塞ぐようにシート15が配置され、側壁部25cとシート15とがロウ付け等によって結合されている。シート15のうち、開口25eに対応する部分によって、X線が透過しやすいX線出射窓Wが構成されている。
【0063】
穴25aの底部には、X線出射窓Wに面するように、中心軸L3に対して傾斜した斜面25fが形成されている。斜面25fの略中央には、ターゲット7が蒸着等によって形成されている。このように構成された収容部25では、穴25aの側壁部25cが側壁部13に相当し、雌ネジ孔25bが雌ネジ孔6cに相当する。また、穴25aの底部が、陽極部材6に相当する陽極部材25gとなる。
【0064】
収容部25の一端は、収容部8のフランジ部11cに当接している。収容部25の外径はフランジ部11cの外径と略同等であり、収容部25の外周はフランジ部11cの外周と揃っている。収容部25の外周部分とフランジ部11cとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部25と収容部8との境界部が封止されている。
【0065】
また、収容部25の外径は、包囲部23の内径と略同等となっており、収容部25は包囲部23と嵌合している。これにより、収容部25の側壁部25cは包囲部23に接している。
【0066】
X線管1Aでは、筐体4Aの他端側をなす収容部25は、陽極部材25gと同じ材料からなり、陽極部材25gは、収容部25と一体的に形成されている。これにより、陽極部材25gに熱吸収部材3を直接当接させることができるため、陽極部材25gから熱吸収部材3に更に効率よく熱を伝えることができる。また、側壁部25cと包囲部23とが接することで、側壁部25cから包囲部23に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材25gを更に十分に冷却することができる。
【0067】
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図15は、第3実施形態を示す断面図である。図16は、図15中のX線管本体の平面図、図17は、図15中のX線管本体の左側面図である。第3実施形態のX線管1Bは、第1実施形態における側壁部13と包囲部23とが接するようにしたものである。
【0068】
図15〜17に示すように、X線管1Bの筐体4Bは、収容部9の代わりに収容部9Bを有している。収容部9Bは、側壁部13及び壁部14の代わりに側壁部26及び壁部27を有している。
【0069】
側壁部26は、側壁部13と同様に円筒状部材によって構成されている。側壁部26には、窪み部13dと同様の窪み部26dが形成され、窪み部26dの形成位置にX線出射窓Wが設けられている。側壁部26の一端には、フランジ部13bと同様のフランジ部26bが設けられている。側壁部26の外径は、フランジ部26bを除いて略均一となっている。側壁部26の他端側では、開口の周囲に座ぐり穴26aが形成されている。
【0070】
壁部27は、壁部14と同様に円板状部材によって構成されている。壁部27の外径は、座ぐり穴26aの内径と略同等である。壁部27の厚さは、座ぐり穴26aの深さと略同等である。壁部27には、開口14aと同様の開口27aが形成されている。壁部27の一方面側には座ぐり穴14bと同様の座ぐり穴27bが形成されている。壁部27の他方面側には、開口27aの周囲に座ぐり穴27cが形成されている。
【0071】
壁部27は座ぐり穴26aに嵌め込まれ、壁部27の一方面は座ぐり穴26aの底面に当接している。座ぐり穴27cの側壁部27dは、座ぐり穴26aの側壁部26fに包囲されている。側壁部27dと側壁部26fとはロウ付けや溶接等によって結合され、側壁部26と壁部27との境界部が封止されている。フランジ部13bと同様に、フランジ部26bは、収容部8のフランジ部11cに結合され、収容部9Bと収容部8との境界部が封止されている。座ぐり穴14bと同様に、座ぐり穴27bには陽極部材6が嵌め込まれている。陽極部材6と壁部27とはロウ付けによって結合され、壁部27の開口27aは陽極部材6によって封止されている。
【0072】
フランジ部26bを除く側壁部26の外径は、包囲部23の内径と略同一となっており、側壁部26のフランジ部26bを除く部分は包囲部23と嵌合している。これにより、側壁部26は包囲部23に接している。また、本体部19の一端側には円環状の溝部19cが形成され、溝部19cには側壁部26f及び側壁部27dが嵌め込まれている。
【0073】
X線管1Bでは、側壁部26と包囲部23とが接することで、側壁部26から包囲部23に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0074】
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。図18は、第4実施形態を示す断面図である。図19は、図18中のX線管本体の平面図、図20は、図18中のX線管本体の左側面図である。第4実施形態のX線管1Cは、第3実施形態における側壁部26のフランジ部26b及び継手部11のフランジ部11cをなくし、筐体4Bと包囲部23とが嵌合する長さを長くしたものである。
【0075】
図18〜20に示すように、X線管1Cの筐体4Cは、収容部8及び収容部9Bの代わりに収容部8C及び収容部9Cを有している。
【0076】
収容部8Cは、継手部11の代わりに継手部28を有している。継手部28は、側壁部11aと同様の側壁部28aの一端に、フランジ部11bと同様のフランジ部28bを設けたものである。
【0077】
収容部9Cは、側壁部26の代わりに側壁部29を有している。側壁部29は、側壁部13と同様に円筒状部材によって構成されている。側壁部29の外径は、側壁部28aの外径と略同等である。側壁部29には、窪み部13dと同様の窪み部29dが形成され、窪み部29dの形成位置にX線出射窓Wが設けられている。側壁部29の他端側には、座ぐり穴26aと同様の座ぐり穴29aが形成されている。座ぐり穴26aと同様に、座ぐり穴29aには壁部27が嵌め込まれ、結合されている。側壁部29の一端側の外周には、継手部28の側壁部28aを装着できるように細径化された細径部29bが形成されている。側壁部28aの他端部は、細径部29bに装着され、側壁部28aの外周は、細径部29bを除く側壁部29の外周と揃っている。側壁部28aの他端部と細径部29bとはロウ付けや溶接等によって結合され、収容部9Cと収容部8Cとの境界部が封止されている。
【0078】
このようにして、筐体4Cの外径は、側壁部29から側壁部28aに亘って略均一となっており、側壁部29及び側壁部28aが包囲部23と嵌合している。すなわち、側壁部29のみが包囲部23と嵌合するのに比べ、筐体4Cと包囲部23とが嵌合する長さが長くなっている。これにより、筐体4Cと包囲部23とが更に広い範囲で接触することとなり、筐体4Cから包囲部23に更に効率よく熱が伝わる。従って、陽極部材6を更に十分に冷却することができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、熱吸収部材3の内部に流体の通路を形成し、通路に冷却用の流体を流すことで熱吸収部材3を冷却してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C…X線管、3…熱吸収部材、4…筐体、4A,4B,4C…筐体、5…フィラメント、6,25g…陽極部材、7…ターゲット、10a,11a,13,25c,26,28a,29…側壁部、13d,25d,26d,29d…窪み部、14,27…壁部(保持壁部)、14a,27a…開口、19…本体部、20…包囲部、21…ボルト(締結部材)、22…包囲部(第1の部分)、22a…開口、23…包囲部(第2の部分)、30…熱伝導部材、E1…円筒状部材、E2…円板状部材、R1…縁、R2…縁、W…X線出射窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなすと共に側壁部にX線出射窓が設けられた筐体と、
前記筐体内の一端側に配置され、電子を放出するフィラメントと、
前記筐体内の他端側に配置され、前記フィラメントから放出された前記電子を引き寄せる陽極部材と、
前記電子の衝突によって発生したX線が前記X線出射窓に向かうように前記陽極部材に形成されたターゲットと、
前記筐体の一端側に配置され、前記筐体内で発生した熱を吸収する熱吸収部材と、を備え、
前記陽極部材と前記熱吸収部材とには、締結部材が通され、当該締結部材の締結によって前記陽極部材と前記熱吸収部材とが結合されていることを特徴とするX線管。
【請求項2】
前記筐体は、前記陽極部材を保持した状態で前記側壁部の他端に設けられた保持壁部を更に有し、
前記陽極部材と前記熱吸収部材とは、前記保持壁部に密着固定されていることを特徴とする請求項1記載のX線管。
【請求項3】
前記保持壁部には、前記締結部材が通る開口部が形成され、
前記陽極部材は、前記開口部を塞ぐように配置されていることを特徴とする請求項2記載のX線管。
【請求項4】
前記陽極部材は、前記開口部を貫通するように配置されていることを特徴とする請求項3記載のX線管。
【請求項5】
前記筐体の他端側は、前記陽極部材と同じ材料からなり、
前記陽極部材は、前記筐体の他端側と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載のX線管。
【請求項6】
前記熱吸収部材は、前記筐体の他端に当接する本体部と、前記側壁部を包囲する包囲部と、を有し、
前記包囲部には、前記X線出射窓を露出させる開口部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のX線管。
【請求項7】
前記側壁部と前記包囲部とが接していることを特徴とする請求項6記載のX線管。
【請求項8】
前記側壁部のうち前記フィラメントを包囲する部分と前記包囲部との間に絶縁材料製の熱伝導部材が介在していることを特徴とする請求項6又は7のいずれか一項記載のX線管。
【請求項9】
前記包囲部は、前記本体部から突出して前記筐体の他端側を包囲する第1の部分と、前記第1の部分に対して着脱自在に結合され、前記筐体の一端側を包囲する第2の部分と、を含んでいることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載のX線管。
【請求項10】
前記側壁部の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部が形成され、
前記X線出射窓は、前記窪み部の形成位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のX線管。
【請求項11】
前記X線出射窓の縁が前記窪み部の縁に接していることを特徴とする請求項10記載のX線管。
【請求項12】
請求項1記載のX線管の製造方法であって、
前記熱吸収部材を前記筐体の他端側に配置し、前記締結部材を前記陽極部材と前記熱吸収部材とに通し、当該締結部材を締結することで、前記陽極部材と前記熱吸収部材とを結合する工程を備えることを特徴とするX線管の製造方法。
【請求項13】
前記筐体の側壁部をなすための筒状部材と、前記筐体の他端部をなすための板状部材とを準備し、前記陽極部材と前記板状部材とをロウ付けによって結合し、前記陽極部材を前記筒状部材の他端側に挿入し、前記板状部材を前記筒状部材の他端に結合する工程を更に備えることを特徴とする請求項12記載のX線管の製造方法。
【請求項14】
前記側壁部の外側部分に、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部を形成し、前記窪み部の形成位置に前記X線出射窓を設ける工程を更に備えることを特徴とする請求項12又は13記載のX線管の製造方法。
【請求項1】
筒状をなすと共に側壁部にX線出射窓が設けられた筐体と、
前記筐体内の一端側に配置され、電子を放出するフィラメントと、
前記筐体内の他端側に配置され、前記フィラメントから放出された前記電子を引き寄せる陽極部材と、
前記電子の衝突によって発生したX線が前記X線出射窓に向かうように前記陽極部材に形成されたターゲットと、
前記筐体の一端側に配置され、前記筐体内で発生した熱を吸収する熱吸収部材と、を備え、
前記陽極部材と前記熱吸収部材とには、締結部材が通され、当該締結部材の締結によって前記陽極部材と前記熱吸収部材とが結合されていることを特徴とするX線管。
【請求項2】
前記筐体は、前記陽極部材を保持した状態で前記側壁部の他端に設けられた保持壁部を更に有し、
前記陽極部材と前記熱吸収部材とは、前記保持壁部に密着固定されていることを特徴とする請求項1記載のX線管。
【請求項3】
前記保持壁部には、前記締結部材が通る開口部が形成され、
前記陽極部材は、前記開口部を塞ぐように配置されていることを特徴とする請求項2記載のX線管。
【請求項4】
前記陽極部材は、前記開口部を貫通するように配置されていることを特徴とする請求項3記載のX線管。
【請求項5】
前記筐体の他端側は、前記陽極部材と同じ材料からなり、
前記陽極部材は、前記筐体の他端側と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1記載のX線管。
【請求項6】
前記熱吸収部材は、前記筐体の他端に当接する本体部と、前記側壁部を包囲する包囲部と、を有し、
前記包囲部には、前記X線出射窓を露出させる開口部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のX線管。
【請求項7】
前記側壁部と前記包囲部とが接していることを特徴とする請求項6記載のX線管。
【請求項8】
前記側壁部のうち前記フィラメントを包囲する部分と前記包囲部との間に絶縁材料製の熱伝導部材が介在していることを特徴とする請求項6又は7のいずれか一項記載のX線管。
【請求項9】
前記包囲部は、前記本体部から突出して前記筐体の他端側を包囲する第1の部分と、前記第1の部分に対して着脱自在に結合され、前記筐体の一端側を包囲する第2の部分と、を含んでいることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載のX線管。
【請求項10】
前記側壁部の外側部分には、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部が形成され、
前記X線出射窓は、前記窪み部の形成位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のX線管。
【請求項11】
前記X線出射窓の縁が前記窪み部の縁に接していることを特徴とする請求項10記載のX線管。
【請求項12】
請求項1記載のX線管の製造方法であって、
前記熱吸収部材を前記筐体の他端側に配置し、前記締結部材を前記陽極部材と前記熱吸収部材とに通し、当該締結部材を締結することで、前記陽極部材と前記熱吸収部材とを結合する工程を備えることを特徴とするX線管の製造方法。
【請求項13】
前記筐体の側壁部をなすための筒状部材と、前記筐体の他端部をなすための板状部材とを準備し、前記陽極部材と前記板状部材とをロウ付けによって結合し、前記陽極部材を前記筒状部材の他端側に挿入し、前記板状部材を前記筒状部材の他端に結合する工程を更に備えることを特徴とする請求項12記載のX線管の製造方法。
【請求項14】
前記側壁部の外側部分に、他の外側部分よりも内側に窪んだ窪み部を形成し、前記窪み部の形成位置に前記X線出射窓を設ける工程を更に備えることを特徴とする請求項12又は13記載のX線管の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−93235(P2013−93235A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235150(P2011−235150)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
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