説明

X線CT検査装置及びCT検査方法

【課題】従来のデザインに比して機能上簡素且つコンパクトであり、また、異なる大きさの被写体を迅速に検査でき、小さい被写体を迅速に、大きい被写体を少しゆっくり検査することができるX線CT検査装置を提供する。
【解決手段】焦点2を有し、該焦点2から所定の距離にて検出器4全体をX線照射するファンビーム3又は円錐状のビームを作り出すX線チューブ1と、検査される被写体を記録するために、ファンビーム3に垂直となる回転可能な回転軸5を有する検査台とを備え、前記検査台は、検出器4の端縁8に接する端縁軸7,7’に近接してファンビーム3内に設置可能であり、前記検査台は、検出器4の中心に交わる中心軸6に対し斜めに形成される測定ライン7a;9上で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点を具備し、検出器の全体を焦点から所定の距離でX線照射するファンビームまたは円錐状のビームを作り出すX線チューブと、検査される被写体を記録するために、ファンビームに垂直となる回転可能な回転軸を有する検査台とを備えるX線CT検査装置に関する。また、本発明は、上記X線CT検査装置を用いて、被写体特に様々な大きさの被写体を検査するCT方法に関する。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
現在、産業のコンピュータ断層撮影(CT)には2つの検査方法がある。一方は転換/回転断層撮影であり、他方は回転断層撮影である。両方の場合において、1次元の検出器の全体をX線照射するファンビームは、X線源の焦点位置(前記焦点)の前で覆われている。X線源と検出器との両方が設けられている。前記ファンの平面に垂直な軸のまわりで回転する検査されるべき被写体は、該被写体が再構成され得るように、ファンビーム内のそれらの間に挿入される。X線チューブと検出器との間の距離は変更可能であり、同様に、幾何学的な拡大となるようにターンテーブル上に配置される被写体の位置は、各場合での要求に適合可能である。前記被写体の個々の水平層は、被写体或いはX線チューブと検出器との高さを次第に変更することによって記録される。ファンビームを用いる代わりに、円錐状のビームを用いてこれを2次元の検出器上に投影することが可能である。その時、層毎の走査は、被写体の大きさに依存して省略され得る。
【0003】
従って、回転断層撮影においては、検査される被写体の全体がファンビーム内の断面にあり、投影が少なくとも180°にファンビームの開き角度を加えた角度から記録されるので、完全な測定データ記録が作成される。この方法は速いけれども、ビームファンの大きさは、この配置で断層撮影され得る被写体の最大の大きさを決定する。また、この大きさは測定円と呼ばれる。また、前記関係は逆に適合する、すなわち、より大きな被写体が断層撮影され得るように前記測定円はより大きくなければならない、言い換えると、より大きな開き角度を有するファンビームとより大きな検出器とが用いられる。この方法によると、多少小さい被写体であっても、長い検出器と焦点及び検出器の間の大きな距離とを有する大きな装置を必要とする。技術的な制限は、開き角度を制限する光線源の放射の最大角度と検出器の大きさとに起因している。
【0004】
ファンビームが被写体全体を覆わない場合には、このファンビームは、検出器または被写体のどちらかを横に移動させることによって人工的に広げられる。これが転換/回転断層撮影である。しかし、直線移動と回転移動とが交互に起こらなければならず、それは時間を無駄遣いし、また、横移動のための直線軸を必要とする。その直線軸は、全距離に亘り、ファンビームの平面に正しく角度付けられた回転軸の配置を高い精度で保証しなければならない。
【0005】
2次元のファンビームの代わりに、3次元の円錐状のビームが用いられる場合には、入手可能な検査量は、X線源の焦点とほぼ四角形の2次元平面の検出器の角部または挿入された画像記録機器の端縁形状との間に限定される。さもなければ、上に述べたことはアナロジーによって適合される。
【0006】
これまでは、検査される被写体の典型的な大きさと数量分布−しばしば、多くの小さい被写体と少数の大きい被写体とがある−とを与えられると、大きい被写体がすべての場合に検査され得るような検査装置をデザインする必要があった。検査装置全体の大きさと達成可能な測定時間とについては、不利点はこれに起因している。
【0007】
本発明の目的は、公知の断層撮影方法によって操作されるX線CT検査装置を、従来のデザインに比して機能上簡素化することである。さらにまた、そのような装置はよりコンパクトであることである。本発明の発展に対して、異なる大きさの被写体はより迅速に検査され得ることである。小さい被写体は迅速に検査されることができ、大きな被写体は少しだけゆっくり検査されることができることである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、請求項1の構成を具備するX線CT検査装置によって達成される。ファンビーム内の検査台は、検出器の端縁にて接する端縁軸の近くに設けられるので、ハーフ−ファン手段は実行され得る。これは限界の場合を示している。被写体の吸収対称のために、他方の半分についての情報は一方の検出器側の半分についての測定データから計算される。この場合には、被写体全体がビームファン内にないけれども、横移動は必要でない。従って、より小さい検出器と結果的により小さいX線CT検査装置とは、予め決められた大きさの被写体を検査するのに用いられ得る。これは、X線CT検査装置に関してコスト削減をもたらしている。検査台は、検出器の中心に交わる中心軸に対して斜めに形成される測定ライン上で移動することができるので、ファンビームによって全体的に覆われる小さい被写体のための所定の軸が決定され、その上にそれらが配置される;これは設置の簡素化をもたらしている。また、より大きい被写体には同じことがあてはまる。より大きい被写体の場合には、検査台が端縁軸の方向でさらに外側へ配置され、従って簡単な設置が行われる。検査装置のメカニズムは、検査台が移動可能である予め決められた測定ラインによって簡素化される。
【0009】
また、本発明の有利な発展は、中心軸に沿って形成されると共に同じように設けられる第1測定ラインに沿って検査台が移動することができることである。前記第1測定ラインは位置決め軸として役立つ。前記回転軸は、それが接近点でのみファンビームの平面に垂直になるように、可能な限り正確に配置される必要がある。一方、転換/回転断層撮影の場合には、これは回転軸の横移動の間ずっと前記状況でなければならない。
【0010】
検査台がファンビームの平面内に2つの自由度を有するので、検査される被写体は、常に、回転断層撮影またはハーフ−ファン手段のどちらかに適する検査方法が実行され得る位置に移動することができる。高速回転断層撮影は、ビームファンによって全体的に貫通される小さな部分に対して実行される。より大きな部分は、ハーフ−ファン手段が実行され得るように配置される。また、これは、そのような大きな被写体に対してこれまで実行されていた転換/回転断層撮影方法より著しく高速である。そしてまた、横移動のための高い精度の直線軸を設ける必要はない。
【0011】
本発明のさらなる有利な発展は、端縁軸での第1ポイントから中心軸上の第2ポイントまで延びる測定ラインは1つしかないということである。従って、大きさが変わる被写体に対して用いられる単一の非常に短い測定ラインだけが必要とされている。このことは、検査装置のメカニズムをさらに簡素化し、従ってそのコストを下げる。
【0012】
本発明のさらなる有利な発展は、前記第1ポイントおよび/または前記第2ポイントは検出器に対して可能な限り近い状態であり、その上に検査される被写体が設けられた検査台の自由回転が可能であることである。これは、予め決められた焦点検出器システムと、ファンビームによって全体的に覆われる最大の小さい部分とにおいて同時に可能となる被写体の最大サイズを端縁軸上で可能とするので、そのような斜めの短い測定ラインの最適なデザインである。従って、回転断層撮影とハーフ−ファン手段との両方を用いて、小さい第1被写体と大きい第2被写体との両方の可能な限り速く検査するための最適な組み合わせが結果として生じる。
【0013】
さらに、前記目的は請求項5の特徴を具備するCT方法によってもまた達成される。ファンビーム内の位置についての検査台の回転軸が、端縁軸に近付いて空間的に設けられ、その状態で、被写体は、回転軸周りの回転の間に他の端縁軸を越えて突出することはないので、本発明にかかるX線CT装置に関する上記利点は達成される、すなわち、予め決められた大きさの被写体の検査に対し、より小さい検出器とその結果より小さいサイズのX線CT検査装置とを用いることができる。これは、X線CT検査方法に関してコスト削減をもたらしている。前記回転軸は、中心軸に対し斜めに形成され、回転軸周りの回転の間に被写体が他の端縁軸を越えて突出しない配置位置に空間的に設けられる測定ラインに沿って移動する。従って、好適なハーフ−ファン手段は、上述の利点に常に適用される。さらに、前記回転軸は、被写体を検査するための配置位置でのみファンビームの平面に対して可能な限り正確に垂直にある必要がある。
【0014】
さらに、前記目的は、請求項6の特徴を具備するCT方法によってもまた達成される。被写体の位置決めはその大きさに依存しているので、小さい第1被写体は、それらが全体的にファンビームによって貫通されるように配置されることができ、これらの小さい第1被写体の極めて速い検査をもたらす。さらに、その全体がファンビームによって貫通されないようなより大きい第2被写体は、前記端縁軸及び実行されたハーフ−ファン手段にて配置され得る。
【0015】
また、これは、転換/回転断層撮影より極めて速い方法である。本発明によると、より大きな第2被写体の場合に、測定円が他の端縁軸を越えて突出しないように回転軸が端縁軸に配置されていることを単に保証されていなければならない。
【0016】
本発明の有利な発展は、第1被写体は、検査のため中心軸上の焦点から非常に離れて配置されているので、検査中にファンビームを越えて突出しないことである。従って、それは、回転断層撮影を用いて、最大のサイズの小さい第1被写体を断層撮影することが可能となる。
【0017】
本発明のさらなる有利な発展は、第2被写体は、検査のために端縁軸上の焦点から非常に離れて配置されているので、検査の間、他の端縁軸を越えて突出しないことである。従って、可能な限り大きい第2被写体がハーフ−ファン手段によって断層撮影されることが可能となる。
【0018】
本発明のさらに有利な発展は、検査のための被写体の回転軸は、測定ライン上で移動させられ、該測定ラインは、前記中心軸上であって検出器から非常に離れているため第1被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第1ポイントから、前記端縁軸上であって検出器から非常に離れているため回転中に第2被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第2ポイントまで直線状に延びていることである。従って、−上述したように−、検査される被写体の大きさに応じた測定ラインに沿って検査台が単に移動する必要がある可能な限り簡単なメカニズムを具備する検査装置の使用は可能になる。
【0019】
前記第1ポイントは、検出器と関連している第1被写体の回転が衝突なしで行えるように決められ、前記第2ポイントは、検出器と関連している第2被写体の回転が衝突なしで行えるように決められる。従って、−上述したように−、前記測定ラインは、ファンビームにて全体が貫通されるように配置される可能な限り大きい第1被写体と、同様に、単にハーフ−ファン手段によって断層撮影される可能な限り大きい第2被写体とが検査装置全体にて検査されることができるように配置される。従って、前記検査装置には、可能な限り広い利用分野がある。
【0020】
本発明にかかるX線CT検査装置は、焦点2を有し、該焦点2から所定の距離にて検出器4全体をX線照射するファンビーム3又は円錐状のビームを作り出すX線チューブ1と、検査される被写体を記録するために、ファンビーム3に垂直となる回転可能な回転軸5を有する検査台とを備え、
前記検査台は、検出器4の端縁8に接する端縁軸7,7’に近接してファンビーム3内に設置可能であるX線CT検査装置において、
前記検査台は、検出器4の中心に交わる中心軸6に対し斜めに形成される測定ライン7a;9上で移動可能であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項1に記載のX線CT検査装置において、前記検査台は、第1測定ライン6aに沿って移動可能であり、該第1測定ライン6aは、前記中心線6に沿って形成され、中心線6と同様に固定されることが好ましい。
【0022】
更に、請求項1に記載のX線CT検査装置において、前記端縁軸7での第1ポイント10から前記中心軸6上の第2ポイント11まで延びる単一の測定ライン9が設けられていることが好ましい。
【0023】
更に、請求項3に記載のX線CT検査装置において、前記第1ポイント10および/または前記第2ポイント11は、可能な限り検出器4に近接しており、その上に検査される被写体が設けられた検査台の自由回転が可能であることが好ましい。
【0024】
また、本発明にかかるCT方法は、請求項1乃至4の何れかに記載のX線CT検査装置を用いた被写体検査のCT方法であって、検査するために配置した後に、被写体は前記検査台の回転軸5周りに回転させられ、
検査台の前記回転軸5は、ファンビーム3内に配置するために端縁軸7の近くに空間的に設けられ、その状態で、被写体は、回転軸5周りの回転の間、他の端縁軸7’を越えて突出しないCT方法において、
前記回転軸5は、測定ライン7a;9に沿って移動し、該測定ライン7a;9は、中心軸6に対し斜めに形成され、回転軸5周りの回転の間、被写体が他の端縁軸7’を越えて突出しない位置で配置するための位置に空間的に設けられていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明にかかるCT方法は、請求項1乃至4の何れかに記載のX線CT検査装置を用いた様々な大きさの被写体検査のCT方法であって、
被写体の位置決めはその大きさに依存しており、被写体は、検査のための配置の後に、検査台の回転軸5周りで回転させられ、
−非常に小さいために、回転軸5周りの回転の間ファンビーム3または円錐状のビームによって全体的に覆われる第1被写体の場合には、回転軸5は中心軸6上に配置され;
−より大きい第2被写体の場合には、回転軸5と焦点2との間の距離が非常に大きいために、回転軸5周りの回転の間第2被写体が他の端縁軸7’を越えて突出しないように、前記回転軸5は、検査台を介して中心軸6と端縁軸7との間に配置されることを特徴とする。
【0026】
また、請求項6に記載のCT方法において、第1被写体は、検査のため中心軸6上の前記焦点2から非常に離れて配置されているので、検査の間ファンビーム3を越えて突出しないことが好ましい。
【0027】
更に、請求項6または7に記載のCT方法において、第2被写体は、検査のために端縁軸7上の焦点2から非常に離れて配置されているので、検査の間、他の端縁軸7’を越えて突出しないことが好ましい。
【0028】
更に、請求項6乃至8の何れかに記載のCT方法において、検査のための被写体の回転軸5は、測定ライン9上で移動させられ、該測定ライン9は、前記中心軸6上であって検出器4から非常に離れているため回転中に第1被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第1ポイントから前記端縁軸7上であって検出器4から非常に離れているため回転中に第2被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第2ポイントまで直線状に延びていることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のさらなる利点と詳細とは、以下で説明される実施例によって説明され、各図に示される。図1にX線CT検査装置の概略平面図が示されている。
【0030】
X線チューブ1は、焦点2を具備し、そこからファンビーム3という形式のX線ビームが放射する。このファンビーム3は、ファンビーム3によって全体がX線照射される検出器4に接触する。そのような配置はCT産業にてよく知られている。検出器4と焦点2との間の距離は、検査される被写体についてのイメージ形状が可能な限り良好になるように変更することができる。検査される被写体のファンビーム3の平面内の薄い部分だけがファンビーム3によって断層撮影可能である場合には、X線チューブ1と検出器4との両方は垂直に動くことができる。検査される被写体は、層毎にX線照射される。代わりに、被写体の高さを変更する、または、両方の方法を組合せることもまた可能である。
【0031】
検査される被写体が設けられる台は、前記焦点2と前記検出器4との間に配置されている。該検査台は、ファンビーム3の平面に垂直な回転軸5まわりで回転する。従って、様々な照射経路に沿った被写体のデータ記録が生成される。その後、検査される被写体は、これらのデータ記録から再構成される。これは、検査される被写体内部の故障、例えば鋳造物内の欠陥の非破壊解析である。
【0032】
大きさの異なる被写体は、異なる測定円12,13を具備する。測定円は、一方では、被写体の形状と被写体が検査中に回転する回転軸5とによって決定される。測定円12,13の半径は、回転軸5からの被写体のあらゆるポイントのうち最も遠い距離と一致する。「回転対称な」周縁の場合、その中心が回転軸5と一致するように前記周縁が検査台に取り付けられているならば、これは周縁の半径と一致する。
【0033】
これまで、その測定円12が全体的にファンビーム3内にある回転断層撮影手段によって被写体を検査するのは可能であった。このことは、それらが検出器4の周辺に配置される必要があるために最大可能被写体が倍率の非常に小さなもののみ記録可能であったので、最大可能被写体を大きく制限していた。他方では、より小さな測定円12を具備するより小さな被写体を用いて、検出器4よりもより大きな距離でファンビーム3内の中心軸6に沿ってこれらを配置することは可能であった。
【0034】
より大きな円13を具備する断層撮影の被写体のために、以前は、時間を無駄遣いすると共に技術的により高価である上述の転換/回転断層撮影を用いる必要があった。そのような大きな被写体のための他の可能性は、ハーフ−ファン手段を用いることである。
【0035】
さて、図2及び図3に示す本発明は、ハーフ−ファン手段と同じX線CT検査装置にて回転断層撮影を実行する可能性を広げる。それによると、前記被写体とその測定円12,13との大きさに応じた各場合それぞれに適合した方法を決定することが可能である。可能な限り速い測定を成すために、回転断層撮影は、全体がファンビーム3内にある第1測定円12を具備する小さな被写体に対して規則的に実行される。しかし、ハーフ−ファン手段もまた、幾何学的な画像処理条件がそれぞれのアプリケーションをその時向上させることができる場合には、そのようなより大きな被写体の場合の第1測定円12にて実行され得る。結果は、ハーフ−ファン手段では、予め決定された測定円12,13を具備する被写体が焦点2により近付いて配置されるにもかかわらず、信頼性のあるX線撮影がまだ成されることである。
【0036】
2つの異なる断層撮影方法の組み合わせは、検査台が原則として位置決め範囲14の中の2つの自由度X,Y上で移動可能であることによって達成される。理論上可能な位置決め範囲14は、図1においてハッチングにて示されている。これは単に回転軸5の可能な位置決めを提供するけれども、ハッチングされた位置決め範囲14内にあるすべてのポイントは、また、利用できる測定をするために実質的に接近され得る。これは、少なくとも半分の測定円13がファンビーム3内に位置しなければならないためである。従って、ファンビーム3内−最大でもちょうど2つの端縁軸7,7’内−に位置しているポジションは回転軸5として可能である。さらに、それぞれの測定円13が端縁軸7または他の端縁軸7’だけを越えて突出している、または、両方を越えていないということが保証されていなければならない。さもなければ、転換/回転断層撮影が実行される必要があるであろう。
【0037】
このように、図2で示される本発明にかかるX線CT検査装置によって、好ましいイメージ幾何学に関して非常に異なる大きさの測定円12,13を具備する被写体を最適に配置すること、および、それらを断層撮影することが可能となる。検査台が移動する装置は、本発明に必須でなく、また、それがここでより詳細に説明されないように当業者によく知られている。
【0038】
図2に示す本発明にかかるX線CT検査装置の第1実施形態は、基本的に構造上図1に示す装置に非常に類似している。このため、図1の装置と比較した相違点だけがより詳細に説明される。同一のまたは同じ効果がある部分には、同じ参照符号が付される。
【0039】
図1の装置と図2の本発明にかかる第1実施形態との主要な相違点は、それぞれの検査台が2つの軸に沿ってのみ移動することができることである。全体がファンビーム3内にある第1測定円12を具備する小さな被写体に対して、回転軸5は、検出器4の中心軸6に一致する第1測定ライン6aに沿って配置される。言うまでもなく、前記回転軸5は、一方では、被写体が矢印で示す方向またはその反対方向に自由に回転することができるように検出器4から十分に離れていなければならない。さらに、前記回転軸5が前記焦点2に非常に近付くことだけできるので、全ての測定円12は依然としてファンビーム3内にあることは当業者に明白である。
【0040】
より大きな第2測定円13を具備するより大きな被写体に対して、前記回転軸5は、ファンビーム3内を通ると共に2つの端縁軸7,7’の一方に近接する第2測定ライン7a上に配置可能である。前記端縁軸7は、前記焦点2から始まり検出器4の端縁8に接する軸である。ここでまた、前記回転軸5は検出器4に近付くことのみできるので、その回転中に、検査される被写体の自由回転が矢印で示す方向またはその反対の方向に可能となる。さらにまた、前記回転軸5は焦点2に近付くことのみできるので、前記測定円13は他の端縁軸7’を越えて突出しない。さもなければ、高価な転換/回転断層撮影を実行することが必要であろう。
【0041】
第2実施形態にかかるデザインによって、これが単に第1測定ライン6aまたは第2測定ライン7aの軸に沿って移動する必要がある場合に、それぞれの検査台を機械的に配置することがより一層簡単に可能となる。軸に沿った検査台の誘導と、この軸のあらゆるポイントにそれを固定することの可能性とは、本発明に必須でなく、これのさらなる詳細が省略されることができるように当業者にさらによく知られている。
【0042】
X線CT検査装置の本発明にかかる第2実施形態は、図3に示されている。その基本的構想は、同一のまたは同じ効果がある部分には同じ参照符号が付されているように、従来の形態のそれに非常に類似している。上述の実施形態と比較した相違点のみが以下で説明される。
【0043】
前記第1実施形態での2つの測定ライン6a,7a(図2参照)に沿って移動可能である検査台の代わりに、単一の短い測定ライン9のみが予め決定される。測定ライン9は、端縁軸7に近い第2ポイント11から中心軸6の第1ポイント10まで延びている。前記第2ポイント11は、第2測定円13が検出器4と重ならないように選択される、すなわち、第2ポイント11に位置する回転軸5周りの回転中の被写体の衝突のない回転が可能となる。当然、他の端縁軸7’を越えて突出しない第2測定円13を具備する被写体だけが用いられ得るということが、従来の形態のように、また再び適用される。従って、第2ポイント11の選択は、検査される被写体の最大可能範囲を決定する。本実施形態においては、検出器4にもう少し近くなるように第2ポイント11を移動させることは可能である。従って、いっそうより大きな第2測定円13を具備する被写体を検査することは可能である。
【0044】
前記第1ポイント10は、検査される被写体の測定円12が検出器4に重ならないのと同時に端縁軸7,7’を越えて突出しないように設けられる。この第1ポイント10の選択を通じて、特に高速回転断層撮影によって検査され得る被写体の大きさが制限される。本実施形態において、第1測定円12はほぼ最大である。第1ポイント10を検出器4の方向にさらに少し遠くにすることが可能であり、従って、回転断層撮影手段によって少し大きい被写体をX線照射することができる。
【0045】
必然的に、第1ポイント10と第2ポイント11との両方を、検出器からより離間させてすなわち焦点2の上に設けることが同時に可能である。従って、他のイメージ形状がより大きな倍率にて得られるが、第1測定円12と第2測定円13との最大サイズが小さくなる。しかしながら、このことは、検査される被写体がそれぞれの測定円12、13の最大サイズを必ずしも必要としないので、一定の状況下では十分である。従って、測定される異なる大きさの被写体の値の分布に基づいて、測定ライン9の配置は個々に選択される。従って、検査装置と方法とは、異なる大きさの被写体の最適な検査が少ない機械的費用で非常に容易に成されるように利用可能である。
【0046】
言うまでもなく、具体的な被写体は、この検査を実行するために測定ライン9に沿ってどこにでも配置され得る。被写体は、単に、関連した測定円13が他の端縁軸7’を越えて突出しない条件を満たさなければならない。
【0047】
示されている第2実施形態における結果的な利点は、中心ビーム6に斜めに位置合わせされた測定ライン9が、焦点2と検出器4との間でより小さい距離が選択され得るということを意味することであり、結果としてX線CT検査装置のコンパクトなデザインがなされる。
【0048】
本発明と特に2つの示された実施形態とは、ファンビーム3の代わりに円錐状のビームによっても実行されることは当業者に明白である。そして、一定の状況下では、被写体が全体的に円錐形のビームに含まれている場合には、被写体の層状X線照射を省くことさえできる。その時、四角い2次元の検出器が1次元の検出器4の代わりに主に使用される。しかし、このことは技術分野においてよく知られており、従って、ここではより詳細に説明する必要がない。
【0049】
また、特に図2の第1実施形態にかかるデザインも、前記端縁軸7,7’に沿った検査台の移動を許容することができるのみであると指摘されるかもしれない。その時、前記検査台は、検査と、ファンビーム3の平面に対し可能な限り正確に垂直となるように配置される回転軸5のまわりで回転される被写体とに対して設けられる。また、極端な場合には、すべての検査台においていかなる移動も実質的に許容しないことは好都合であるかもしれない。前記回転軸5は、その時、検査のための1つのポイントにのみ固定されている。従って、X線CT検査装置の非常に簡単な構成は保証されており、その中でハーフ−ファン手段が既知の利点を伴って実行される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】X線CT検査装置の平面図。
【図2】本発明にかかるX線CT検査装置の第1の実施例を示す平面図。
【図3】本発明にかかるX線CT検査装置の第2の実施例を示す平面図。
【符号の説明】
【0051】
1…X線チューブ、2…焦点、3…ファンビーム、4…検出器、5…回転軸、6…中心軸、6a…第1測定ライン、7…端縁軸、7’…他の端縁軸、7a…第2測定ライン、8…検出器の端縁、9…測定ライン、10…第1ポイント、11…第2ポイント、12…第1測定円、13…第2測定円、14…位置決め範囲、X…自由度、Y…自由度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点(2)を有し、該焦点(2)から所定の距離にて検出器(4)全体をX線照射するファンビーム(3)又は円錐状のビームを作り出すX線チューブ(1)と、検査される被写体を記録するために、ファンビーム(3)に垂直となる回転可能な回転軸(5)を有する検査台とを備え、
前記検査台は、検出器(4)の端縁(8)に接する端縁軸(7,7’)に近接してファンビーム(3)内に設置可能であるX線CT検査装置において、
前記検査台は、検出器(4)の中心に交わる中心軸(6)に対し斜めに形成される測定ライン(7a;9)上で移動可能であることを特徴とするX線CT検査装置。
【請求項2】
前記検査台は、第1測定ライン(6a)に沿って移動可能であり、該第1測定ライン(6a)は、前記中心線(6)に沿って形成され、中心線(6)と同様に設けられることを特徴とする請求項1に記載のX線CT検査装置。
【請求項3】
前記端縁軸(7)での第1ポイント(10)から前記中心軸(6)上の第2ポイント(11)まで延びる単一の測定ライン(9)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のX線CT検査装置。
【請求項4】
前記第1ポイントおよび/または前記第2ポイントは、可能な限り検出器(4)に近接しており、その上に検査される被写体が設けられた検査台の自由回転が可能であることを特徴とする請求項3に記載のX線CT検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のX線CT検査装置を用いた被写体検査のCT方法であって、検査するために配置した後に、被写体は前記検査台の回転軸(5)周りに回転させられ、
検査台の前記回転軸(5)は、ファンビーム(3)内に配置するために端縁軸(7)の近くに空間的に設けられ、その状態で、被写体は、回転軸(5)周りの回転の間、他の端縁軸(7’)を越えて突出しないCT方法において、
前記回転軸(5)は、測定ライン(7a;9)に沿って移動し、該測定ライン(7a;9)は、中心軸(6)に対し斜めに形成され、回転軸(5)周りの回転の間、被写体が他の端縁軸(7’)を越えて突出しない位置で配置するための位置に空間的に設けられていることを特徴とするCT方法。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載のX線CT検査装置を用いた様々な大きさの被写体検査のCT方法であって、
被写体の位置決めはその大きさに依存しており、被写体は、検査のための配置の後に、検査台の回転軸(5)周りで回転させられ、
−非常に小さいために、回転軸(5)周りの回転の間ファンビーム(3)または円錐状のビームによって全体的に覆われる第1被写体の場合には、回転軸(5)は中心軸(6)上に配置され;
−より大きい第2被写体の場合には、回転軸(5)と焦点(2)との間の距離が非常に大きいために、回転軸(5)周りの回転の間第2被写体が他の端縁軸(7’)を越えて突出しないように、前記回転軸(5)は、検査台を介して中心軸(6)と端縁軸(7)との間に配置されることを特徴とするCT方法。
【請求項7】
第1被写体は、検査のため中心軸(6)上の前記焦点(2)から非常に離れて配置されているので、検査の間ファンビーム(3)を越えて突出しないことを特徴とする請求項6に記載のCT方法。
【請求項8】
第2被写体は、検査のために端縁軸(7)上の焦点(2)から非常に離れて配置されているので、検査の間、他の端縁軸(7’)を越えて突出しないことを特徴とする請求項6または7に記載のCT方法。
【請求項9】
検査のための被写体の回転軸(5)は、測定ライン(9)上で移動させられ、該測定ライン(9)は、前記中心軸(6)上であって検出器(4)から非常に離れているため回転中に第1被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第1ポイントから前記端縁軸(7)上であって検出器(4)から非常に離れているため回転中に第2被写体が検出器に衝突することなく移動可能である第2ポイントまで直線状に延びていることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のCT方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−41002(P2007−41002A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−212081(P2006−212081)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(506266517)エクスロン インターナショナル シーティー ディベロップメント ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】YXLON International CT Development GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Walzwerk 41,45527 Hattingen,DE
【Fターム(参考)】