説明

X線CT装置及び演算処理構成設定用制御プログラム

【課題】 投影データの並列処理を短時間で実行する演算処理構成の自動設定。
【解決手段】 予備撮影モードのCT撮影にて収集された投影データを複数の演算処理ユニットを備えた演算処理部によって並列処理し画像データを生成する際、予め入力/設定された演算処理ユニットの処理速度及び当該CT撮影の撮影条件から推定した演算処理ユニットの処理能力に基づいて画像データの生成に必要な各種演算処理に対する前記演算処理ユニットの割り振り(演算処理構成)を設定する。次いで、この演算処理構成あるいは後述の更新された演算処理構成の演算処理ユニットによる画像データの生成にて検出された前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて演算処理構成を順次更新しながら各演算処理構成における画像生成時間を検出し、画像生成時間が最も少ない演算処理構成を投影データの並列処理に好適な本撮影モード用演算処理構成として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置及び演算処理構成設定用制御プログラムに係り、特に、投影データを並列処理することにより画像データの生成に要する時間を短縮することが可能なX線CT装置及び演算処理構成設定用制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、近年、X線検出器や演算処理部の高速化及び高性能化により画像データのリアルタイム表示が可能となり、又、ヘリカルスキャン方式やマルチスライス方式、更には、これらの方式を組み合わせたマルチヘリカルスキャン方式の開発により複数のスライス断面における画像データを短時間で収集することが可能となった。特に、上述のスキャン方式を適用することによりスライス方向(被検体の体軸方向)の広範囲な領域における画像データの収集に要する時間が飛躍的に短縮され、診断効率が大幅に向上すると共に装置を操作する医師や検査技師(以下では、操作者と呼ぶ。)あるいは被検体に対する負荷が軽減されるようになった。
【0003】
ところで、上述のヘリカルスキャン方式やマルチスライス方式等によって収集された膨大な投影データを処理して画像データを生成する際、画像データの生成に要する時間(画像生成時間)を短縮するために、画像データの生成に必要な演算処理を複数の演算処理に分割し、分割された各種演算処理を並行して実施する、所謂、並列処理が従来から行なわれてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、被検体に対するX線CT撮影によって収集した投影データに基づいて画像データを生成する場合、投影データに含まれたシステムノイズ及び外来ノイズを除去するノイズ除去処理や回転架台部の回転に伴うX線エネルギーの変動を補正するエネルギー補正処理等の前処理、前処理後の投影データに対して行なわれる再構成処理、再構成処理によって生成された画像データに対して行なわれるアーチファクト除去処理や平滑化処理等の後処理が上述の並列処理によって行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−125966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1等に記載された方法によれば、X線CT撮影によって収集された多くの投影データを並列処理することにより画像データの生成に要する時間を大幅に短縮することができ、画像データのリアルタイム表示が容易となる。
【0007】
しかしながら、複数の演算処理ユニットから構成される演算処理部を用いて投影データを並列処理する場合、各種演算処理の各々における演算処理開始タイミング及び演算処理終了タイミングを揃えることによりこれらの演算処理を同期させる必要があり、そのためには、各種演算処理に要する時間が略等しくなるような演算処理ユニットの割り振り(演算処理構成)が必要となる。
【0008】
これに対して、並列処理を可能とする従来の演算処理部では、基本的な演算処理構成を自動的に設定することはある程度可能であったが、投影データ収集条件や再構成条件等の撮影条件が十分考慮された演算処理構成の設定は、X線CT装置の操作者が手動で行なう必要があった。このため、演算処理構成の設定に多大の時間を要し操作者に大きな負荷を与えてきた。
【0009】
又、近年では、演算処理部に用いている演算処理ユニットの生産サイクルの短縮化に伴って既存の演算処理ユニットと新しく開発された処理能力の異なる演算処理ユニットとの交換頻度が増大し、このような演算処理ユニットの交換に伴う演算処理構成の再設定は操作者にとって大きな負荷となっていた。
【0010】
更に、従来の演算処理構成における演算処理ユニットの各々は、所定の演算処理に特化されていたため、これらの一部が故障した場合、同一の処理能力を有した新しい演算処理ユニットと交換されるまで画像データの生成は不可能となり被検体に対するCT検査を中断しなくてはならなかった。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線CT撮影によって得られた投影データを複数の演算処理ユニットを備えた演算処理部により並列処理して画像データを生成する際、画像データの生成に必要な各種演算処理に対する演算処理ユニットの割り振り(以下では、演算処理構成と呼ぶ。)を各種演算処理に対する演算処理ユニットの処理能力に基づいて自動設定することにより、画像データの生成に要する時間を短縮することが可能なX線CT装置及び演算処理構成設定用制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線CT装置は、画像データの生成に必要な各種演算処理に対し複数の演算処理ユニットが割り振られた演算処理構成の演算処理手段によりX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理するX線CT装置において、予め設定された演算処理構成の演算処理ユニットを用いて画像データを生成する際に前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出する処理能力検出手段と、前記処理能力の検出結果に基づいて前記演算処理構成を更新する演算処理ユニット選択手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
又、請求項9に係る本発明の演算処理構成設定用制御プログラムは、画像データの生成に必要な各種演算処理に対し複数の演算処理ユニットが割り振られた演算処理構成の演算処理手段によりX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理するX線CT装置に対し、前記X線CT撮影の撮影条件及び前記演算処理ユニットの処理速度に基づいて前記各種演算処理の各々に対する前記演算処理ユニットの処理能力を推定する処理能力推定機能と、前記処理能力推定機能によって推定された前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて最初の演算処理構成を基準演算処理構成として設定する基準演算処理構成設定機能と、前記基準演算処理構成の演算処理手段によって画像データを生成する際の前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出する処理能力検出機能と、前記処理能力検出機能によって検出された前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて前記演算処理構成を更新する演算処理構成更新機能を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、X線CT撮影によって得られた投影データを複数の演算処理ユニットを備えた演算処理部により並列処理して画像データを生成する際、画像データの生成に必要な各種演算処理に対する演算処理ユニットの割り振り(演算処理構成)を各種演算処理に対する演算処理ユニットの処理能力に基づいて自動設定することにより、画像データの生成に要する時間を短縮することができる。このため、診断効率が向上するのみならず演算処理構成の設定における操作者の負担が大幅に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例におけるX線CT装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例のX線CT装置が備えるX線撮影部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】同実施例の演算処理部によって行なわれる各種演算処理の具体例を示す図。
【図4】同実施例における演算処理ユニット選択部及び演算処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図5】同実施例の演算処理ユニットによって行なわれる並列処理の具体例を示す図。
【図6】同実施例における本撮影モード用演算処理構成の設定手順を示すフローチャート。
【図7】同実施例において設定される基準演算処理構成及び本撮影モード用演算処理構成の具体例を示す図。
【図8】同実施例の変形例における演算処理構成の設定手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0017】
本実施例におけるX線CT装置では、本撮影モードに先行して行われる生体ファントムを用いた予備撮影モードのX線CT撮影において収集された投影データを複数からなる汎用の演算処理ユニットを備えた演算処理部によって並列処理し画像データを生成する際、予め入力あるいは設定された演算処理ユニットの処理速度及び当該X線CT撮影の撮影条件から推定した演算処理ユニットの処理能力に基づいて画像データの生成に必要な各種演算処理に対する前記演算処理ユニットの割り振り(演算処理構成)を設定する。次いで、前記演算処理構成あるいは後述の更新された演算処理構成の演算処理ユニットによる画像データの生成において新たに検出された演算処理ユニットの処理能力に基づいて演算処理構成を順次更新しながら更新された演算処理構成での画像データの生成に要する時間(以下では、画像生成時間と呼ぶ。)を検出し、この画像生成時間が最も少ない演算処理構成を投影データの並列処理に好適な本撮影モード用演算処理構成として設定する。
【0018】
尚、以下の実施例では、生体ファントムを用いた予備撮影モードのX線CT撮影において投影データの並列処理に好適な本撮影モード用演算処理構成を自動設定する場合について述べるが、生体ファントムや被検体を用いない予備撮影モードのX線CT撮影によって上述の本撮影モード用演算処理構成を自動設定しても構わない。
【0019】
(装置の構成)
以下、本発明の実施例におけるX線CT装置の構成と機能につき図1乃至図5を用いて説明する。尚、図1は、本実施例におけるX線CT装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、このX線CT装置が備えるX線撮影部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すX線CT装置100は、生体ファントム30に対するX線撮影により体軸方向の複数スライス断面において投影データを収集するX線撮影部2と、得られた投影データをスライス断面単位で再構成処理して複数の画像データを生成する画像データ生成部3と、生成された画像データを表示する表示部4と、投影データ収集条件や再構成条件の設定、後述の演算処理ユニットが備える処理速度の入力、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部5と、X線CT装置100に設けられた上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部6を備えている。
【0021】
次に、生体ファントム30の投影データを収集するX線撮影部2の具体的な構成につき図2を用いて説明する。
【0022】
X線撮影部2は、図2に示すように、生体ファントム30に対してX線を照射するX線発生部22と、前記X線の照射強度を制御する照射強度制御部21と、生体ファントム30を透過したX線を検出して投影データを収集する投影データ収集部23と、X線発生部22及び投影データ収集部23を搭載して生体ファントム30の周囲で高速回転する回転架台部27と、生体ファントム30を載置し体軸方向(図2のz方向:スライス方向)へ移動することによりその中心部を回転架台部27の中央部(撮影野)に配置する天板29と、天板29の移動や回転架台部27の高速回転を行なう移動機構部25を備えている。
【0023】
X線発生部22は、生体ファントム30に対しX線を照射するX線管221と、X線管221の陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生する高電圧発生器222と、X線管221から放射されたX線の生体ファントム30に対する照射範囲を制御するX線絞り器223と、高電圧発生器222が発生した高電圧を回転架台部27に設けられたX線管221へ供給するスリップリング224を備えている。
【0024】
X線管221は、X線を発生する真空管であり、高電圧発生器222から供給された高電圧によって加速した電子をタングステンターゲットに衝突させてX線を発生する。X線絞り器223は、X線管221と生体ファントム30の間に設けられ、X線管221から放射されたX線を所定の照射範囲に絞り込む機能と生体ファントム30に対するX線の照射強度分布を設定する機能を有している。例えば、X線管221から放射されたX線ビームを予め設定された撮影領域に対応するコーンビーム状あるいはファンビーム状のX線ビームに成形する。
【0025】
次に、照射強度制御部21は、入力部5からシステム制御部6を介して供給される投影データ収集条件のX線照射条件(即ち、X線管221の管電圧、管電流及びX線照射時間)に基づいて制御信号を生成し、この制御信号をX線発生部22の高電圧発生器222へ供給してX線管221から生体ファントム30へ照射されるX線の照射強度を制御する。
【0026】
一方、投影データ収集部23は、生体ファントム30を透過したX線を検出するX線検出器231と、このX線検出器231から出力された複数チャンネルの検出信号を所定のチャンネル数に束ねるスイッチ群232と、スイッチ群232の出力信号に対して電流/電圧変換とA/D変換を行なうデータ収集ユニット(以下では、DAS(data acquisition system)ユニットと呼ぶ。)233と、DASユニット233の出力信号に対してパラレル/シリアル変換、電気/光/電気変換及びシリアル/パラレル変換を行なうデータ伝送回路234を備えている。
【0027】
投影データ収集部23のX線検出器231は、2次元配列された図示しないX線検出素子を備え、このX線検出素子の各々は、例えば、X線を光に変換するシンチレータと光を電気信号に変換するフォトダイオードによって構成されている。そして、これらのX線検出素子は、X線管221の焦点を中心とした円弧に沿って回転架台部27に取り付けられ、生体ファントム30を透過したX線を検出して投影データを生成する。
【0028】
一方、スイッチ群232は、図示しないマルチプレクサを備え、X線検出器231から供給された投影データをDASユニット233へ転送する際、X線検出素子から出力されたスライス方向(図2のz方向)における複数チャンネルの投影データを所定のチャンネル数に「データ束ね」することによりスライス方向における投影データの収集位置と収集幅を決定する。
【0029】
DASユニット233は、X線検出器231から供給された投影データに対して電流/電圧変換とA/D変換を行なう。データ伝送回路234は、図示しないパラレル/シリアル変換器と電気/光/電気変換器とシリアル/パラレル変換器を有し、DASユニット233から出力された投影データは、回転架台部27に設けられた前記パラレル/シリアル変換器において時系列的な1チャンネルの投影データに変換され、前記電気/光/電気変換器による光通信によって固定架台部28の前記シリアル/パラレル変換器に供給される。
【0030】
次に、移動機構部25は、機構制御部251及び天板・架台移動機構部252を備えている。機構制御部251は、入力部5からシステム制御部6を介して供給された移動指示信号に基づいて架台回転制御信号及び天板移動制御信号を生成し、天板・架台移動機構部252へ供給する。一方、天板・架台移動機構部252は、機構制御部251から供給された架台回転制御信号及び天板移動制御信号に従ってX線管221及び投影データ収集部23が搭載された回転架台部27を生体ファントム30の周囲にて高速回転させ、更に、生体ファントム30を載置した天板29を体軸方向(z方向)へ所定速度で移動させる。
【0031】
即ち、X線発生部22のX線管221及びX線絞り器223と上述の投影データ収集部23は、生体ファントム30を挟むように対向して回転架台部27に装着され、体軸方向へ順次移動する生体ファントム30の周囲を前記体軸方向に平行な軸を回転中心として所定速度で高速回転する。
【0032】
図1へ戻って、画像データ生成部3は、演算処理部31、プログラム保管部32、処理能力推定部33、処理能力検出部34及び演算処理ユニット選択部35を備えている。尚、ここでは、後述の図4に示すような4つの演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304を備えた演算処理部31について述べるが、演算処理ユニットの数は4つに限定されない。
【0033】
演算処理部31は、X線撮影部2の投影データ収集部23において収集された投影データを再構成処理して画像データを生成する機能を有し、複数からなる汎用の演算処理ユニット(演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304)を画像データの生成に必要な各種演算処理に対して適宜割り振ることにより前処理部311、再構成処理部312及び後処理部313を構成している。尚、上述の各種演算処理における演算量は、入力部5において設定される当該X線CT撮影の撮影条件(投影データ収集条件及び再構成条件)に依存する。
【0034】
図3は、画像データの生成を目的として演算処理部31が行なう各種演算処理の具体例を示したものであり、演算処理部31の前処理部311は、投影データ収集部23において収集された、例えば、架台回転方向の角度範囲Δθにおける複数の投影データ(以下では、投影データ群と呼ぶ。)に対してシステムノイズや外来ノイズ等を除去するノイズ除去処理(前処理1)や回転架台部27の回転に依存して変動するX線エネルギーを補正するエネルギー補正処理(前処理2)等の前処理を行ない、再構成処理部312は、前処理が行なわれた投影データ群に対し補間処理及び逆投影法を適用した再構成処理を行なって画像データを生成する。一方、後処理部313は、再構成処理部312において生成された画像データに対してリング状アーチファクト等を除去するアーチファクト除去処理(後処理1)やスライス断面(図2のx−y平面)における平滑化処理(後処理2)、更には、スライス方向(図2のz方向)における平滑化処理(後処理3)等の後処理を行なう。
【0035】
再び、図1へ戻って、画像データ生成部3のプログラム保管部32には、上述の各種演算処理(即ち、前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3)を実行するための演算処理用プログラムが予め保管され、これらの演算処理用プログラムは、演算処理ユニット選択部35により各種演算処理に対して割り振られた演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304へ供給される。
【0036】
次に、処理能力推定部33は、入力部5において設定/入力された撮影条件(投影データ収集条件及び再構成条件)によって決定される各種演算処理の演算量と演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理速度とに基づいて演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力(即ち、前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3の各々に要する処理時間)を推定する。
【0037】
一方、処理能力検出部34は、演算処理ユニット選択部35によって割り振られた演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304による上述の演算処理において各々の演算処理ユニットから出力される演算処理開始時刻及び演算処理終了時刻の情報に基づいて演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力を検出し、更に、前処理の開始時刻と後処理の終了時刻に基づいて演算処理部31が画像データの生成に要した時間(画像生成時間)を検出する。
【0038】
演算処理ユニット選択部35は、投影データ収集部23から時系列的に供給される、例えば、所定回転角度範囲Δθの投影データ群に対し一連の演算処理(即ち、上述した前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3)を並行して実行することにより画像データを短時間で生成する際の前記演算処理に好適な演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の割り振りを行なう。
【0039】
図4は、演算処理ユニット選択部35及び演算処理部31の具体的な構成を示したブロック図であり、演算処理部31は、例えば、既に述べたような4つの演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304を有している。そして、演算処理ユニット選択部35から供給される選択信号に基づいて前処理部311の前処理1及び前処理2、再構成処理部312の再構成処理、後処理部313の後処理1乃至後処理3を実行する演算処理ユニットが演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の中から選択される。
【0040】
このとき、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の各々には、これらの演算処理ユニットによって実行される前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3に必要な演算処理用プログラムがプログラム保管部32から供給され、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の演算処理における演算処理開始時刻及び演算処理終了時刻の情報は、処理能力検出部34へ送られる。更に、投影データ収集部23において収集された回転角度範囲Δθの投影データ群は、前処理1を実行する演算処理ユニットに対して時系列的に供給され、後処理3を実行する演算処理ユニットから出力されたスライス方向平滑化処理後の画像データは、表示部4へ供給される。
【0041】
尚、上述の演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304による前処理、再構成処理及び後処理は並行して行なわれる。図5は、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304によって行なわれる並列処理の具体例を示したものであり、例えば、この図に示すように前処理1及び前処理2を演算処理ユニット301及び演算処理ユニット302によって行ない、再構成処理を演算処理ユニット303、後処理1乃至後処理3を演算処理ユニット304によって行なう場合、回転架台部27と共にX線管221及びX線検出器231を高速回転させることによって収集した回転角度θ=0〜Δθの投影データ群A10に対し演算処理ユニット301は、演算処理期間[t1〜t2]において前処理1を行ない、演算処理ユニット302は、演算処理期間[t2〜t3]において前処理2を行なう。更に、演算処理ユニット303は、演算処理期間[t3〜t4]において再構成処理を行ない、演算処理ユニット304は、演算処理期間[t4〜t5]において後処理1乃至後処理3を行なう。
【0042】
同様にして、回転角度θ=Δθ〜2Δθの投影データ群A20に対し演算処理ユニット301は、演算処理期間[t2〜t3]において前処理1を行ない、演算処理ユニット302は、演算処理期間[t3〜t4]において前処理2を行なう。更に、演算処理ユニット303は、演算処理期間[t4〜t5]において再構成処理を行ない、演算処理ユニット304は、演算処理期間[t5〜t6]において後処理1乃至後処理3を行なう。
【0043】
以下、同様にして、回転角度θ=2Δθ〜3Δθにおいて収集された投影データ群A30、回転角度θ=3Δθ〜4Δθにおいて収集された投影データ群A40、・・・に対する前処理1及び前処理2、再構成処理及び後処理1乃至後処理3が順次行なわれる。このような場合、各演算処理の演算量と演算処理ユニットの処理能力を考慮し、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の各々における演算処理時間が略等しくなるように各種演算処理に対する前記演算処理ユニットの割り振りを行なうことによりデータ間の同期が容易となる。このため、効率のよい並列処理が可能となり画像データを短時間で生成することができる。
【0044】
次に、図1に示した表示部4は、表示データ生成部41とモニタ42を備えている。表示データ生成部41は、例えば、画像データ生成部3の演算処理部31において生成された画像データに撮影条件等の付帯情報を付加して表示データを生成し、得られた表示データを所定の表示フォーマットに変換してモニタ42に表示する。
【0045】
一方、入力部5は、表示パネルやキーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備え、投影データ収集条件や再構成条件等の撮影条件を設定する撮影条件設定機能51と、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理速度を入力する処理速度入力機能52を有している。更に、各種コマンド信号の入力も上述の入力デバイスや表示パネルを用いて行なわれる。
【0046】
尚、撮影条件として、既に述べたように投影データ収集条件や再構成条件があり、投影データ収集条件として、X線照射条件(X線管221の管電圧、管電流及びX線照射時間)、撮影部位、スキャン方式、スライス間隔、スライス数、撮影領域サイズ、スキャン間隔(所定のスライス位置において時系列的に撮影される画像データの撮影時間間隔)、ビュー間隔(X線管221及びX線検出器231の回転方向におけるデータ収集間隔)、天板29の移動速度等がある。又、再構成条件として、再構成方式、再構成領域サイズ、再構成マトリクスサイズ等がある。
【0047】
次に、システム制御部6は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部5から供給される入力情報や設定情報は前記記憶回路に一旦保存される。そして、前記CPUは、これらの情報に基づいて、X線CT装置100が備える上述の各ユニットを統括的に制御し、画像データを生成する際の並列処理に好適な演算処理構成(各種演算処理に対する演算処理ユニットの割り振り)の設定を演算処理ユニットの処理能力に基づいて実行させる。
【0048】
(本撮影モード用演算処理構成の設定手順)
次に、本撮影モードの投影データを並列処理して画像データを生成する際に適用される本撮影モード用演算処理構成の設定手順につき図6のフローチャートを用いて説明する。尚、ここでも前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3の各種演算処理に対し演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304が割り振られて構成された演算処理部31の演算処理構成について述べるがこれに限定されない。
【0049】
生体ファントム30を用いた本撮影モード用演算処理構成の設定に際し、X線CT装置100の操作者は、入力部5が備える撮影条件設定機能51によって当該CT撮影の撮影条件(投影データ収集条件及び再構成条件)を設定し、更に、処理速度入力機能52によって投影データの並列処理に用いる演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理速度を入力する(図6のステップS1)。そして、入力部5において設定/入力されたこれらの情報は、システム制御部6を介して画像データ生成部3の処理能力推定部33及びX線撮影部2の照射強度制御部21へ供給される。
【0050】
処理能力推定部33は、入力部5において設定/入力された投影データ収集条件及び再構成条件と演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理速度とに基づいて投影データの並列処理に必要な各種演算処理(前処理1、前処理2、再構成処理及び後処理1乃至後処理3)の各々における演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力(処理時間)を推定する(図6のステップS2)。
【0051】
一方、演算処理ユニット選択部35は、処理能力推定部33から供給される演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力に基づいて各種演算処理の各々に好適な演算処理ユニットを演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の中から割り振ることにより基準演算処理構成を設定する(図6のステップS3)。
【0052】
処理能力推定部33によって推定された演算処理ユニットの処理能力に基づく基準演算処理構成の設定が終了したならば、操作者は、天板29に載置された生体ファントム30に対してX線CT撮影を開始するための予備撮影モード開始コマンド信号を入力部5において入力する(図6のステップS4)。
【0053】
一方、上述のコマンド信号と投影データ収集条件を受信したX線撮影部2の照射強度制御部21は、投影データ収集条件のX線照射条件に基づいて生成した制御信号をX線発生部22の高電圧発生器222へ供給し、高電圧発生器222は、前記X線照射条件に基づいた電力(管電圧及び管電流)をX線管221へ供給して生体ファントム30に対しX線を照射する。
【0054】
X線管221から照射され生体ファントム30を透過したX線は、投影データ収集部23のX線検出器231によって検出される。即ち、生体ファントム30を透過したX線は、X線検出器231において透過線量に比例した電荷(電流)信号に変換され、スイッチ群232においてスライス方向に対し「データ束ね」が行なわれる。そして、「データ束ね」された電流信号は、DASユニット233に供給されて電流/電圧変換とA/D変換が行なわれ投影データが生成される。
【0055】
この投影データは、回転架台部27に装着されたデータ伝送回路234の送信部に送られて光信号に変換され、空中を介して固定架台部28に取りつけられたデータ伝送回路234の受信部にて受信される。そして、受信された投影データは、X線検出素子の配列情報や回転架台部27の回転角度情報等を付帯情報として画像データ生成部3の図示しない投影データ記憶部に一旦保存される(図6のステップS5)。そして、上述の投影データの収集と保存は、回転架台部27を生体ファントム30の周囲で高速回転させながら繰り返し行なわれる。
【0056】
次に、画像データ生成部3の演算処理31を構成する基準演算処理構成の演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304は、前記投影データ記憶部から読み出した投影データに対しプログラム保管部32の演算処理プログラムを用いた所定の演算処理(前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3)を行なって画像データを生成する(図6のステップS6)。
【0057】
一方、処理能力検出部34は、上述の各種演算処理において演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の各々から出力される演算処理開始時刻及び演算処理終了時刻の情報に基づいて演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の前記演算処理における処理能力を検出し、更に、前処理1の演算処理開始時刻と後処理3の演算処理終了時刻とに基づいて演算処理部31における画像生成時間を検出する(図6のステップS7)。そして、処理能力の検出結果は、演算処理ユニット選択部35へ供給される。
【0058】
基準演算処理構成における演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力を処理能力検出部34から受信した演算処理ユニット選択部35は、新たに得られた処理能力に基づいて演算処理構成(即ち、各種演算処理に対する演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の割り振り)を更新する(図6のステップS8)。そして、新たな演算処理構成の演算処理部31を用いて上述のステップS5乃至ステップS7と同様の手順による画像データの生成や演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力及び演算処理部31における画像生成時間を検出する。
【0059】
更に、ステップS5乃至ステップS8を繰り返すことにより演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力に基づく演算処理構成の更新、更新された演算処理構成の演算処理部31による画像データの生成、この画像データの生成における演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力及び演算処理部31における画像生成時間の検出を行なう(図6のステップS5乃至ステップS8)。
【0060】
そして、投影データの並列処理が可能な全ての演算処理構成に対する更新が終了したならば、演算処理ユニット選択部35は、演算処理構成の更新を終了させ、処理能力検出部34において検出された画像生成時間が最も少ない演算処理構成を本撮影モードのX線CT撮影に好適な本撮影モード用演算処理構成として設定する。そして、この本撮影モード用演算処理構成の演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304を用いて本撮影モードの画像データが生成される。
【0061】
次に、上述のステップS3において設定された基準演算処理構成とステップS9において設定された本撮影モード用演算処理構成の具体例を図7に示す。この図7に示す基準演算処理構成では、例えば、前処理1及び前処理2に対し演算処理ユニット301及び演算処理ユニット302が、再構成処理に対し演算処理ユニット303が、後処理1乃至後処理3に対し演算処理ユニット304が夫々割り振られている。そして、後処理1乃至後処理3を行なう演算処理ユニット304の負荷が他の演算処理ユニットより大きいことが処理能力検出部34の検出結果から判明した場合、演算処理ユニット選択部35は、各種演算処理に対する演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の割り振りを更新し、比較的負荷の軽い演算処理ユニット301を用いて前処理1及び前処理2を行ない演算処理ユニット302を用いて後処理3のみを行なう本撮影モード用演算処理構成を設定する。
【0062】
(変形例)
次に、本実施例の変形例について説明する。上述の実施例では、被検体に対する本撮影モードのX線CT撮影に先行して行なわれる生体ファントムを用いた予備撮影モードのX線CT撮影において収集された投影データを用いて本撮影モード用演算処理構成の設定を行なったが、本変形例では、本撮影モードのX線CT撮影において収集される投影データを用いて本撮影モードに好適な演算処理構成の設定を逐次行なう。
【0063】
(演算処理構成の設定手順)
本変形例における演算処理構成の設定手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。但し、図8において、図6に示したステップと同一のステップは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。又、上述の実施例と同様にして、前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3の各種演算処理に対し演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304が割り振られて構成された演算処理部31の演算処理構成について述べるがこれに限定されない。
【0064】
即ち、図8のステップS1において本撮影モードの撮影条件(投影データ収集条件及び再構成条件)の設定と演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理速度の入力が行なわれた後ステップS2において演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の各種演算処理における処理能力が推定され、ステップS3において基準演算処理構成が設定される(図8のステップS1乃至ステップS3)。
【0065】
上述の手順によって基準演算処理構成の設定が終了したならば、操作者は、天板29に載置された被検体に対してX線CT撮影を開始するための本撮影モード開始コマンドを入力部5において入力する(図8のステップS14)。
【0066】
一方、上述のコマンド信号と投影データ収集条件を受信したX線撮影部2は、図6のステップS5と同様の手順により被検体の周囲でX線管221及びX線検出器231を高速回転させながら被検体に対するX線CT撮影を行なって投影データを収集する(図8のステップS5)。
【0067】
次いで、画像データ生成部3の演算処理31を構成する基準演算処理構成の演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304は、前記投影データに対しプログラム保管部32の演算処理プログラムを用いて所定の演算処理(前処理1及び前処理2、再構成処理、後処理1乃至後処理3)を行なって画像データを生成し、表示部4のモニタ42に表示する(図8のステップS16)。
【0068】
一方、処理能力検出部34は、上述の各種演算処理において演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の各々から出力される演算処理開始時刻及び演算処理終了時刻の情報に基づいて演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の前記演算処理における処理能力(処理時間)を検出し、更に、前処理1の演算処理開始時刻と後処理3の演算処理終了時刻とに基づいて演算処理部31における画像生成時間を検出する。そして、処理能力の検出結果及び画像生成時間の情報は演算処理ユニット選択部35へ供給される(図8のステップS17)。
【0069】
基準演算処理構成における演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力及び演算処理部31における画像生成時間の情報を処理能力検出部34から受信した演算処理ユニット選択部35は、これらの情報に基づき上述の基礎演算処理構成を画像生成時間の更なる短縮が可能な演算処理構成へ更新する(図8のステップS18)。そして、新たな演算処理構成の演算処理部31を用いて上述のステップS5及びステップS16と同様の手順による画像データの生成及び表示やステップ17と同様の手順による処理能力及び画像生成時間の検出を行なう。
【0070】
更に、ステップS5とステップS16乃至ステップS18を繰り返すことにより演算処理部31の画像生成時間及び演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力に基づく演算処理構成の更新、更新された演算処理構成の演算処理部31による画像データの生成及び表示、この画像データの生成における演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304の処理能力及び演算処理部31における画像生成時間の検出を行なう。
【0071】
そして、予め設定された被検体の診断対象部位に対する所定枚数の画像データが生成されたならば、システム制御部6は、X線CT装置100が有する各ユニットを制御して当該被検体に対する本撮影モードのX線CT撮影を終了させる(図8のステップS19)。
【0072】
以上述べた本発明の実施例及びその変形例によれば、X線CT撮影によって得られた投影データを複数の演算処理ユニットを備えた演算処理部により並列処理して画像データを生成する際、画像データの生成に必要な各種演算処理に対する演算処理ユニットの割り振り(演算処理構成)を各種演算処理に対する演算処理ユニットの処理能力に基づいて自動設定することにより、画像データの生成に要する時間を短縮することができる。このため、診断効率が向上するのみならず演算処理構成の設定における操作者の負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0073】
又、演算処理構成の設定あるいは更新は、演算処理部を構成する複数からなる演算処理ユニットの処理能力に基づいてフレキシブルに行なわれるため、演算処理ユニットの一部が異なる処理速度を有する演算処理ユニットと交換された場合においても好適な演算処理構成を容易に設定することができる。特に、処理速度が異なる安価な演算処理ユニットの入手が可能になった場合には、この演算処理ユニットとの交換が容易となるため、装置の高性能化あるいは低価格化を短期間で実現することが可能となる。
【0074】
更に、上述の実施例によれば、演算処理部によって画像データが生成される際の画像生成時間が演算処理ユニットの処理能力と共に検出され、この画像生成時間に基づいて投影データの並列処理に好適な本撮影モード用演算処理構成が設定されるため、最適な本撮影モード用演算処理構成を容易に設定することができる。
【0075】
又、この実施例によれば、各種演算処理に対する演算処理ユニットの処理能力を検出することができるため、新世代の演算処理ユニットへの交換において新たに採用する演算処理ユニットの性能を的確に評価することが可能となる。
【0076】
一方、上述の変形例によれば、当該被検体のX線CT撮影にて生成される初期の画像データに対する画像生成時間の短縮は必ずしも十分ではないが、本撮影モード用演算処理構成の設定を目的とした予備撮影モードのX線CT撮影を別途行なう必要がないため、検査効率を向上させることができる。
【0077】
又、この変形例によれば、演算処理部によって画像データが生成される際の画像生成時間が演算処理ユニットの処理能力と共に検出され、この画像生成時間と演算処理ユニットの処理能力とに基づいて投影データの並列処理に好適な演算処理構成が設定されるため、好適な演算処理構成を容易に設定することができる。
【0078】
更に、この変形例によれば、本撮影モードのX線CT撮影の途中で演算処理部を構成する演算処理ユニットの一部が故障した場合、残りの演算処理ユニットを用いた新たな演算処理構成が短時間で設定されるため、当該被検体に対するX線CT撮影を続行させることが可能となる。
【0079】
以上、本発明の実施例とその変形例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例及びその変形例に限定されるものではなく、更に変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、生体ファントム30を用いた予備撮影モードのX線CT撮影において投影データの並列処理に好適な本撮影モード用演算処理構成を自動設定する場合について述べたが、被検体に対する予備撮影モードのX線CT撮影あるいは生体ファントムや被検体が存在しない予備撮影モードのX線CT撮影によって上述の本撮影モード用演算処理構成を自動設定しても構わない。
【0080】
又、上述の実施例では、演算処理ユニット301乃至演算処理ユニット304による演算処理構成を順次更新しながら演算処理部31における画像生成時間を検出し、この画像生成時間が最短となる演算処理構成を本撮影モード用演算処理構成として設定する場合について述べたが、演算処理構成を更新しながら更新前の最短画像生成時間と更新後の画像生成時間とを比較することによって本撮影モード用演算処理構成の設定を行なってもよい。
【0081】
一方、上述の変形例では、演算処理部31によって画像データが生成される際の画像生成時間を演算処理ユニットの処理能力と共に検出し、この画像生成時間と演算処理ユニットの処理能力とに基づいて投影データの並列処理に好適な演算処理構成を設定する場合について述べたが、演算処理ユニットの処理能力あるいは画像生成時間の何れか一方に基づいて演算処理構成の設定を行なってもよい。
【符号の説明】
【0082】
2…X線撮影部
21…照射強度制御部
22…X線発生部
23…投影データ収集部
25…移動機構部
3…画像データ生成部
31…演算処理部
311…前処理部
312…再構成処理部
313…後処理部
32…プログラム保管部
33…処理能力推定部
34…処理能力検出部
35…演算処理ユニット選択部
4…表示部
41…表示データ生成部
42…モニタ
5…入力部
51…撮影条件設定機能
52…処理速度入力機能
6…システム制御部
100…X線CT装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの生成に必要な各種演算処理に対し複数の演算処理ユニットが割り振られた演算処理構成の演算処理手段によりX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理するX線CT装置において、
予め設定された演算処理構成の演算処理ユニットを用いて画像データを生成する際に前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出する処理能力検出手段と、
前記処理能力の検出結果に基づいて前記演算処理構成を更新する演算処理ユニット選択手段とを
備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記処理能力検出手段は、前記演算処理ユニットの前記各種演算処理における処理時間及び前記各種演算処理による前記画像データの生成に要する画像生成時間の少なくとも何れかを検出することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記X線CT撮影の撮影条件及び前記演算処理ユニットの処理速度に基づいて前記各種演算処理の各々における前記演算処理ユニットの処理能力を推定する処理能力推定手段を備え、前記演算処理ユニット選択手段は、前記処理能力推定手段が推定した前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて最初の演算処理構成を基準演算処理構成として設定することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記X線CT撮影の撮影条件及び前記演算処理ユニットの処理速度を設定あるいは入力する入力手段を備え、前記処理能力推定手段は、前記入力手段によって設定あるいは入力された前記撮影条件及び前記処理速度に基づいて前記各種演算処理の各々における前記演算処理ユニットの処理能力を推定することを特徴とする請求項3記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記入力手段は、前記X線CT撮影における投影データ収集条件及び再構成条件の少なくとも何れかを前記撮影条件として設定することを特徴とする請求項4記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記処理能力検出手段は、予備撮影モードのX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理する際の前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出し、前記演算処理ユニット選択手段は、前記処理能力検出手段が検出した前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて予め設定された演算処理構成を更新することにより本撮影モード用の演算処理構成を設定することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記処理能力検出手段は、被検体を対象としない前記予備撮影モードのX線CT撮影において収集された投影データを並列処理する際の前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出することを特徴とする請求項6記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記処理能力検出手段は、被検体に対するX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理する際の前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出し、前記演算処理ユニット選択手段は、前記処理能力検出手段が検出した前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて予め設定された演算処理構成を更新することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
【請求項9】
画像データの生成に必要な各種演算処理に対し複数の演算処理ユニットが割り振られた演算処理構成の演算処理手段によりX線CT撮影にて収集された投影データを並列処理するX線CT装置に対し、
前記X線CT撮影の撮影条件及び前記演算処理ユニットの処理速度に基づいて前記各種演算処理の各々に対する前記演算処理ユニットの処理能力を推定する処理能力推定機能と、
前記処理能力推定機能によって推定された前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて最初の演算処理構成を基準演算処理構成として設定する基準演算処理構成設定機能と、
前記基準演算処理構成の演算処理手段によって画像データを生成する際の前記各種演算処理における前記演算処理ユニットの処理能力を検出する処理能力検出機能と、
前記処理能力検出機能によって検出された前記演算処理ユニットの処理能力に基づいて前記演算処理構成を更新する演算処理構成更新機能を
実行させることを特徴とする演算処理構成設定用制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−167241(P2011−167241A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31453(P2010−31453)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】